JP2005047971A - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】射出成形性及び摺動特性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供する。
【解決手段】本発明は、ノボラック型フェノール樹脂、ヘキサメチレンテトラミン、黒鉛、およびポリエチレン樹脂粉末を配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料であり、また、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンの合計量100重量部に対して、黒鉛110〜160重量部、ポリエチレン樹脂粉末0.1〜1重量部を配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料である。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、ノボラック型フェノール樹脂、ヘキサメチレンテトラミン、黒鉛、およびポリエチレン樹脂粉末を配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料であり、また、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンの合計量100重量部に対して、黒鉛110〜160重量部、ポリエチレン樹脂粉末0.1〜1重量部を配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に使用される機構部品は、その使用環境から耐熱性、耐摩耗性等が要求される。これらの特性を満たすため、従来は、主としてセラミックや金属製の部品が用いられていた。また、かかる要求特性からプラスチックを使用する場合、フェノール樹脂成形材料が多く用いられている。セラミックや金属製の機構部品は、個体の重量が重い、加工に時間がかかる、コストが高い等の問題がある。これに対し、フェノール樹脂成形材料の成形品では耐熱性があり、製品の加工も容易であることからその使用メリットは大きい。このような特性を付与するため、従来は配合充填材としてガラス繊維やシリカ等を使用していた。この場合、機械的強度は向上するもののコストが高くなる上に、耐摩耗性が悪くなるという問題があり、特に耐摩耗性が必要な部品にはこのようなフェノール樹脂成形材料は使用できない。
【0003】
このため、黒鉛入りのフェノール樹脂成形材料が用いられことがある。フェノール樹脂成形材料に黒鉛を配合して摩耗特性を向上させる技術は、例えば、特許文献1に開示されている。これには、レゾール型とノボラック型フェノール樹脂に土状黒鉛(成形材料全体の0.1〜40重量部)を配合して摩耗特性を向上させることが記載されている。これは、高い機械的強度を保持し、電気絶縁性も良好であって、かつ摺動特性に優れたアンモニアフリーのフェノール樹脂成形材料ができるものである。また、特許文献2に示されているように、フェノール樹脂及び麩糠類を原料として得られる多孔性黒鉛化粉末を基本組成とする射出成形可能なフェノール樹脂成形材料も知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−3698号公報
【特許文献2】
特開2003−147163号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、流動性に優れ射出成形用として好適であり、耐摩耗性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ノボラック型フェノール樹脂に、黒鉛およびポリエチレン樹脂粉末を配合することによって、流動性が良好であり、摺動特性に優れた成形材料が得られることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、以下の本発明(1)〜(3)により達成される。
(1) ノボラック型フェノール樹脂、ヘキサメチレンテトラミン、黒鉛、およびポリエチレン樹脂粉末を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
(2) ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンの合計量100重量部に対して、黒鉛110〜160重量部、ポリエチレン樹脂粉末0.1〜1重量部を配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
・ 前記ノボラック型フェノール樹脂が、数平均分子量500〜1000のものである上記(1)または(2)に記載のフェノール樹脂成形材料。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の成形材料において、ノボラック型フェノール樹脂(以下、ノボラック樹脂という)とともに、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用する。ヘキサメチレンテトラミンは、ノボラック樹脂100重量部に対して通常10〜20重量部使用する。10重量部未満では硬化に時間を要し、かつ硬化が十分となることがある。また20重量部を超えると成形品にフクレが生じることがある。好ましくは、ノボラック樹脂100重量部に対して13〜18重量部である。
【0008】
また、ノボラック樹脂の分子量は、特に限定されないが、成形材料の良好な流動性を得るためには、数平均分子量が500〜1000のものが好ましく使用でき、特に700〜900のものが好ましい。数平均分子量が前記下限値未満では、成形材料の製造時において溶融した成形材料が低粘度すぎて作業性が悪くなる場合があり、前記上限値を超えると成形材料が十分に溶融せず生産が困難となることがある。
【0009】
なお、数平均分子量は液体クロマトグラフィーにてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定し、ポリスチレンを標準物質として換算したものである。
液体クロマトグラフィー:東ソー製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の条件で示差屈折計を検出器として用いた。
【0010】
本発明では、成形品の摺動特性を向上させるため、充填材として黒鉛を配合する。黒鉛としては、特に限定されず、土状黒鉛、鱗状黒鉛などがあり、いずれも使用することができる。この中で、土状黒鉛は、摺動特性を向上効果が大きく好ましいものである。かかる黒鉛の平均粒子径は1〜10μmが好ましく、より好ましくは3〜7μmである。平均粒子径が前記下限値未満のものも使用できるが、コストが高いため適当とはいえない。また前記上限値を超えると摺動特性が低下するようになる。
【0011】
黒鉛の配合量はノボラック樹脂とヘキサメチレンテトラミンの合計量100重量部に対し110〜160重量部、配合するのが好ましく、さらに好ましくは120〜145重量部である。かかる量の土状黒鉛を配合することにより、摺動特性に優れた成形材料を得ることができる。黒鉛の配合量が前記下限値未満では摺動特性の向上効果が不十分となることがあり、また、前記上限値を越えると流動性が低下して射出成形が困難となることがある。
【0012】
本発明では充填材としてポリエチレン樹脂粉末を配合する。ポリエチレン樹脂粉末と上記黒鉛との組み合わせにより更に摺動特性に優れた成形材料を得ることができる。また、ポリエチレン樹脂粉末を配合することにより、流動性に優れた成形材料を得ることが出来、射出成形に適した成形材料となる。上記効果を十分に発現させるためには、ポリエチレン樹脂粉末の平均粒子径は50〜300μmが好ましい。50μm未満ではコストが高いため適当とは言えず、300μmを超えると成形品にフクレが生じることがある。ポリエチレン樹脂粉末の配合量はノボラック樹脂とヘキサメチレンテトラミンの合計量100重量部に対し、0.1〜1重量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.6重量部である。配合量が前記下限値未満では更なる摺動特性の向上が不十分であることがあり、また、前記上限値を越えると成形品にフクレの発生等の問題が生じることがある。
【0013】
本発明のフェノール樹脂成形材料は、前記ノボラック樹脂およびヘキサメチレンテトラミンに、黒鉛およびポリエチレン樹脂粉末を配合するが、黒鉛およびポリエチレン樹脂粉末による摺動特性の向上効果は、黒鉛を単独で使用した場合に比較して優れており、また、ポリエチレン樹脂粉末による成形材料の流動性の向上と相まって、黒鉛の使用量を少なくすることができ、機械的強度などを維持して耐磨耗性を優れたものとすることができる。
【0014】
本発明のフェノール樹脂成形材料は、ノボラック樹脂、ヘキサメチレンテトラミン、黒鉛、およびポリエチレン樹脂粉末を配合し、必要に応じて着色剤、滑剤などを添加した材料を予備混合した後、加熱ロールまたは二軸混練機等を用いて加熱混練し、冷却後に粉砕または造粒化して成形材料を得ることができる。また、この成形材料を用いて成形する場合は、流動性に優れているため特に射出成形に適しているが、その他の方法、例えば移送成形、圧縮成形等いずれの方法を用いることもできる。射出成形の成形条件の一例を挙げると、温度160〜180℃、圧力50〜200kg/cm2、時間30秒間から2分間で、成形品を成形することができる。
【0015】
【実施例】
次に本発明を実施例及び比較例に基づいて説明する。表1に示す原料および配合量で予備混練した後、90℃の加熱ロールにより3分間混練した後粉砕して、フェノール樹脂成形材料を得た。なお、表1における配合量は「重量部」を表す。
【0016】
【表1】
【0017】
〔表1における原料〕
(1)ノボラック樹脂:住友ベークライト(株)製 A−1082(数平均分子量850)
(2)ヘキサメチレンテトラミン:三菱瓦斯化学(株)製 ヘキサミン
(3)土状黒鉛:西村黒鉛(株)製 特微粉#90(平均粒子径5μm)、S微粉(平均粒子径9μm)
鱗状黒鉛:西村黒鉛(株)製 PS−99(平均粒子径7μm)
(4)ポリエチレン樹脂粉末:チュウセイワックスポリマー製 ポリレッツ90SZP(平均粒子径200μm)
(5)硬化触媒:水酸化カルシウム
(6)滑剤:ステアリン酸
【0018】
各実施例及び比較例で得られた成形材料について、以下に示す条件で射出成形を行い、評価用試験片を成形した。評価結果を表2に示す。
【表2】
【0019】
〔試験片の成形条件〕
(1)温度 175℃
(2)圧力 100kg/cm2
(3)時間 1分間
〔測定項目および方法〕
(1)射出成形性:上記成形条件で、1時間連続成形できた場合を良好とし、できなかった場合を不良とした。
(2)摺動特性:滑り摩耗試験(鈴木式摩耗試験機)により4時間試験し、試験片および相手材の摩耗量を測定した(相手材:S55C)。
【0020】
表2の結果より、実施例1〜5は、いずれもノボラック樹脂に適切な量の土状黒鉛とポリエチレン樹脂粉末を配合しており、射出成形性、摺動特性の良好な成形品を得ることができた。特に実施例1は、土状黒鉛とポリエチレン樹脂粉末の使用量がより適切で、土状黒鉛の平均粒子径も適切であるので、これらの特性において優れた成形品を得ることが出来た。また、実施例6は、黒鉛として鱗状黒鉛を配合したものであるが、土状黒鉛と同様の良好な結果を得ることができた。一方、比較例1は、ポリエチレン樹脂粉末が配合されていないため、流動性が小さく連続成形が出来ず射出成形性が不十分であった。また摺動特性も劣るものとなった。比較例2は、土状黒鉛の配合量が多いので摺動特性は良好であるが、ポリエチレン樹脂粉末が配合されていないため、流動性が小さく連続成形が出来ず射出成形性が不十分であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンに、黒鉛、ポリエチレン樹脂粉末を配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料であり、これらを適量配合することにより、射出成形において優れた流動性を示し、優れた摺動特性を有する成形品を得ることができる。従って、このような特性を要求される成形品、例えばガスメーター部品(分配室、バルブ)、ポンプ部品の摺動部品等に用いられる成形材料として好適である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車等に使用される機構部品は、その使用環境から耐熱性、耐摩耗性等が要求される。これらの特性を満たすため、従来は、主としてセラミックや金属製の部品が用いられていた。また、かかる要求特性からプラスチックを使用する場合、フェノール樹脂成形材料が多く用いられている。セラミックや金属製の機構部品は、個体の重量が重い、加工に時間がかかる、コストが高い等の問題がある。これに対し、フェノール樹脂成形材料の成形品では耐熱性があり、製品の加工も容易であることからその使用メリットは大きい。このような特性を付与するため、従来は配合充填材としてガラス繊維やシリカ等を使用していた。この場合、機械的強度は向上するもののコストが高くなる上に、耐摩耗性が悪くなるという問題があり、特に耐摩耗性が必要な部品にはこのようなフェノール樹脂成形材料は使用できない。
【0003】
このため、黒鉛入りのフェノール樹脂成形材料が用いられことがある。フェノール樹脂成形材料に黒鉛を配合して摩耗特性を向上させる技術は、例えば、特許文献1に開示されている。これには、レゾール型とノボラック型フェノール樹脂に土状黒鉛(成形材料全体の0.1〜40重量部)を配合して摩耗特性を向上させることが記載されている。これは、高い機械的強度を保持し、電気絶縁性も良好であって、かつ摺動特性に優れたアンモニアフリーのフェノール樹脂成形材料ができるものである。また、特許文献2に示されているように、フェノール樹脂及び麩糠類を原料として得られる多孔性黒鉛化粉末を基本組成とする射出成形可能なフェノール樹脂成形材料も知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−3698号公報
【特許文献2】
特開2003−147163号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、流動性に優れ射出成形用として好適であり、耐摩耗性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ノボラック型フェノール樹脂に、黒鉛およびポリエチレン樹脂粉末を配合することによって、流動性が良好であり、摺動特性に優れた成形材料が得られることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、以下の本発明(1)〜(3)により達成される。
(1) ノボラック型フェノール樹脂、ヘキサメチレンテトラミン、黒鉛、およびポリエチレン樹脂粉末を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
(2) ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンの合計量100重量部に対して、黒鉛110〜160重量部、ポリエチレン樹脂粉末0.1〜1重量部を配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
・ 前記ノボラック型フェノール樹脂が、数平均分子量500〜1000のものである上記(1)または(2)に記載のフェノール樹脂成形材料。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の成形材料において、ノボラック型フェノール樹脂(以下、ノボラック樹脂という)とともに、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用する。ヘキサメチレンテトラミンは、ノボラック樹脂100重量部に対して通常10〜20重量部使用する。10重量部未満では硬化に時間を要し、かつ硬化が十分となることがある。また20重量部を超えると成形品にフクレが生じることがある。好ましくは、ノボラック樹脂100重量部に対して13〜18重量部である。
【0008】
また、ノボラック樹脂の分子量は、特に限定されないが、成形材料の良好な流動性を得るためには、数平均分子量が500〜1000のものが好ましく使用でき、特に700〜900のものが好ましい。数平均分子量が前記下限値未満では、成形材料の製造時において溶融した成形材料が低粘度すぎて作業性が悪くなる場合があり、前記上限値を超えると成形材料が十分に溶融せず生産が困難となることがある。
【0009】
なお、数平均分子量は液体クロマトグラフィーにてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定し、ポリスチレンを標準物質として換算したものである。
液体クロマトグラフィー:東ソー製GPCカラム(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の条件で示差屈折計を検出器として用いた。
【0010】
本発明では、成形品の摺動特性を向上させるため、充填材として黒鉛を配合する。黒鉛としては、特に限定されず、土状黒鉛、鱗状黒鉛などがあり、いずれも使用することができる。この中で、土状黒鉛は、摺動特性を向上効果が大きく好ましいものである。かかる黒鉛の平均粒子径は1〜10μmが好ましく、より好ましくは3〜7μmである。平均粒子径が前記下限値未満のものも使用できるが、コストが高いため適当とはいえない。また前記上限値を超えると摺動特性が低下するようになる。
【0011】
黒鉛の配合量はノボラック樹脂とヘキサメチレンテトラミンの合計量100重量部に対し110〜160重量部、配合するのが好ましく、さらに好ましくは120〜145重量部である。かかる量の土状黒鉛を配合することにより、摺動特性に優れた成形材料を得ることができる。黒鉛の配合量が前記下限値未満では摺動特性の向上効果が不十分となることがあり、また、前記上限値を越えると流動性が低下して射出成形が困難となることがある。
【0012】
本発明では充填材としてポリエチレン樹脂粉末を配合する。ポリエチレン樹脂粉末と上記黒鉛との組み合わせにより更に摺動特性に優れた成形材料を得ることができる。また、ポリエチレン樹脂粉末を配合することにより、流動性に優れた成形材料を得ることが出来、射出成形に適した成形材料となる。上記効果を十分に発現させるためには、ポリエチレン樹脂粉末の平均粒子径は50〜300μmが好ましい。50μm未満ではコストが高いため適当とは言えず、300μmを超えると成形品にフクレが生じることがある。ポリエチレン樹脂粉末の配合量はノボラック樹脂とヘキサメチレンテトラミンの合計量100重量部に対し、0.1〜1重量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.6重量部である。配合量が前記下限値未満では更なる摺動特性の向上が不十分であることがあり、また、前記上限値を越えると成形品にフクレの発生等の問題が生じることがある。
【0013】
本発明のフェノール樹脂成形材料は、前記ノボラック樹脂およびヘキサメチレンテトラミンに、黒鉛およびポリエチレン樹脂粉末を配合するが、黒鉛およびポリエチレン樹脂粉末による摺動特性の向上効果は、黒鉛を単独で使用した場合に比較して優れており、また、ポリエチレン樹脂粉末による成形材料の流動性の向上と相まって、黒鉛の使用量を少なくすることができ、機械的強度などを維持して耐磨耗性を優れたものとすることができる。
【0014】
本発明のフェノール樹脂成形材料は、ノボラック樹脂、ヘキサメチレンテトラミン、黒鉛、およびポリエチレン樹脂粉末を配合し、必要に応じて着色剤、滑剤などを添加した材料を予備混合した後、加熱ロールまたは二軸混練機等を用いて加熱混練し、冷却後に粉砕または造粒化して成形材料を得ることができる。また、この成形材料を用いて成形する場合は、流動性に優れているため特に射出成形に適しているが、その他の方法、例えば移送成形、圧縮成形等いずれの方法を用いることもできる。射出成形の成形条件の一例を挙げると、温度160〜180℃、圧力50〜200kg/cm2、時間30秒間から2分間で、成形品を成形することができる。
【0015】
【実施例】
次に本発明を実施例及び比較例に基づいて説明する。表1に示す原料および配合量で予備混練した後、90℃の加熱ロールにより3分間混練した後粉砕して、フェノール樹脂成形材料を得た。なお、表1における配合量は「重量部」を表す。
【0016】
【表1】
【0017】
〔表1における原料〕
(1)ノボラック樹脂:住友ベークライト(株)製 A−1082(数平均分子量850)
(2)ヘキサメチレンテトラミン:三菱瓦斯化学(株)製 ヘキサミン
(3)土状黒鉛:西村黒鉛(株)製 特微粉#90(平均粒子径5μm)、S微粉(平均粒子径9μm)
鱗状黒鉛:西村黒鉛(株)製 PS−99(平均粒子径7μm)
(4)ポリエチレン樹脂粉末:チュウセイワックスポリマー製 ポリレッツ90SZP(平均粒子径200μm)
(5)硬化触媒:水酸化カルシウム
(6)滑剤:ステアリン酸
【0018】
各実施例及び比較例で得られた成形材料について、以下に示す条件で射出成形を行い、評価用試験片を成形した。評価結果を表2に示す。
【表2】
【0019】
〔試験片の成形条件〕
(1)温度 175℃
(2)圧力 100kg/cm2
(3)時間 1分間
〔測定項目および方法〕
(1)射出成形性:上記成形条件で、1時間連続成形できた場合を良好とし、できなかった場合を不良とした。
(2)摺動特性:滑り摩耗試験(鈴木式摩耗試験機)により4時間試験し、試験片および相手材の摩耗量を測定した(相手材:S55C)。
【0020】
表2の結果より、実施例1〜5は、いずれもノボラック樹脂に適切な量の土状黒鉛とポリエチレン樹脂粉末を配合しており、射出成形性、摺動特性の良好な成形品を得ることができた。特に実施例1は、土状黒鉛とポリエチレン樹脂粉末の使用量がより適切で、土状黒鉛の平均粒子径も適切であるので、これらの特性において優れた成形品を得ることが出来た。また、実施例6は、黒鉛として鱗状黒鉛を配合したものであるが、土状黒鉛と同様の良好な結果を得ることができた。一方、比較例1は、ポリエチレン樹脂粉末が配合されていないため、流動性が小さく連続成形が出来ず射出成形性が不十分であった。また摺動特性も劣るものとなった。比較例2は、土状黒鉛の配合量が多いので摺動特性は良好であるが、ポリエチレン樹脂粉末が配合されていないため、流動性が小さく連続成形が出来ず射出成形性が不十分であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明は、ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンに、黒鉛、ポリエチレン樹脂粉末を配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料であり、これらを適量配合することにより、射出成形において優れた流動性を示し、優れた摺動特性を有する成形品を得ることができる。従って、このような特性を要求される成形品、例えばガスメーター部品(分配室、バルブ)、ポンプ部品の摺動部品等に用いられる成形材料として好適である。
Claims (3)
- ノボラック型フェノール樹脂、ヘキサメチレンテトラミン、黒鉛、およびポリエチレン樹脂粉末を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
- ノボラック型フェノール樹脂とヘキサメチレンテトラミンの合計量100重量部に対して、黒鉛110〜160重量部、ポリエチレン樹脂粉末0.1〜1重量部を配合することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
- 前記ノボラック型フェノール樹脂が、数平均分子量500〜1000のものである請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003203635A JP2005047971A (ja) | 2003-07-30 | 2003-07-30 | フェノール樹脂成形材料 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003203635A JP2005047971A (ja) | 2003-07-30 | 2003-07-30 | フェノール樹脂成形材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005047971A true JP2005047971A (ja) | 2005-02-24 |
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ID=34262919
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003203635A Pending JP2005047971A (ja) | 2003-07-30 | 2003-07-30 | フェノール樹脂成形材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005047971A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2568002A1 (en) | 2011-09-06 | 2013-03-13 | Sumitomo Bakelite Co., Ltd. | Phenolic resin molding compound |
KR102319096B1 (ko) * | 2020-06-26 | 2021-10-28 | 제이에프이 케미칼 가부시키가이샤 | 탄소질 피복 흑연 입자의 제조 방법 |
-
2003
- 2003-07-30 JP JP2003203635A patent/JP2005047971A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2568002A1 (en) | 2011-09-06 | 2013-03-13 | Sumitomo Bakelite Co., Ltd. | Phenolic resin molding compound |
US9085694B2 (en) | 2011-09-06 | 2015-07-21 | Sumitomo Bakelite Co., Ltd. | Phenolic resin molding compound |
US9228084B2 (en) | 2011-09-06 | 2016-01-05 | Sumitomo Bakelite Co., Ltd. | Phenolic resin molding compound |
KR102319096B1 (ko) * | 2020-06-26 | 2021-10-28 | 제이에프이 케미칼 가부시키가이샤 | 탄소질 피복 흑연 입자의 제조 방법 |
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