JP2005047892A - 発光性有機化合物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
インキ溶解性、インキ堅牢性、耐光性、発光効率、発光輝度が充分であり、機械的・化学的耐久性、発光性能に優れた発光性有機化合物を提供する。
【解決手段】
発光性有機化合物は、下記式(1)
【化1】
Figure 2005047892

[式(1)中、nは、2以上の数; R−は、置換基を有していてもよい、アリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、フッ素含有アルキル基、またはアルキル基; R−は、置換基を有していてもよい、アリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、フッ素含有アルキル基、またはアルキル基; Mは、3価の金属; R−、R−及びR−は、同一または異なり、置換基を有していてもよい、アルキル基、アラルキル基またはアリール基; −Zは、n価の共有結合性基]で表されるものである。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、セキュリティーインキ、電子・光学デバイスを製造する際に原料として使用される発光性有機化合物、及びその製造方法に関するものである。
製品ロット番号や機密事項等の隠匿すべき情報を印字して、紫外光のような特殊な光線の照射下でのみ目視可能にするセキュリティーインキには、発光性有機化合物が含有されている。発光性有機化合物は、可視光線下ではこのインキの印字を視認させず、紫外光照射下では励起して蛍光発光するフォトルミネッセンス(PL)現象により、この印字を発光させて視認可能にするという性質を有している。発光性有機化合物を含むインキが、例えば特許文献1〜4に開示されている。
特開昭64−6085号公報 特開昭64−26583号公報 特開平8−253715号公報 特開平11−279474号公報
発光性有機化合物は、セキュリティーインキとして用いるために、印字し易くするインキ溶解性、印字した情報を損傷させないインキ堅牢性や耐光性、情報を明瞭に発光させるための発光効率や発光輝度について、一層の向上が求められている。
また、発光性有機化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子や発光色変換膜のような電子・光学デバイスの発光膜に含まれる原料としても、用いられる。有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層に含まれる発光性有機化合物は、直流電圧が印加されると励起しエレクトロルミネッセンス(EL)現象により、自発光するという性質を有している。発光性有機化合物を発光層に含む素子が、例えば、特許文献5〜7に開示されている。
特開平11−255700号公報 特開2000−30869号公報 特開平10−158639号公報
発光性有機化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子に用いるために、機械的・化学的耐久性、発光性能について、一層の向上が求められている。
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、インキ溶解性、インキ堅牢性、耐光性、発光効率、発光輝度が充分であり、機械的・化学的耐久性、発光性能に優れた発光性有機化合物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた本発明の発光性有機化合物は、下記式(1)
Figure 2005047892
[式(1)中、nは、2以上の数; R−は、置換基を有していてもよい、アリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、フッ素含有アルキル基、またはアルキル基; R−は、置換基を有していてもよい、アリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、フッ素含有アルキル基、またはアルキル基; Mは、3価の金属; R−、R−、及びR−は、同一または異なり、置換基を有していてもよい、アルキル基、アラルキル基、またはアリール基; −Zは、n価の共有結合性基]で表されるものである。
前記式(1)中、R−は、2−ナフチル基またはフェニル基である前記アリール基、2−チエニル基または2−フラニル基である前記ヘテロ環基のいずれかであることが好ましい。同じくR−が、炭素数1〜20の含フッ素アルキル基であることが好ましい。同じくMが、ランタノイド系金属中でもユウロピウムやテルビウム、IIIb族金属中でもアルミニウム、またはIIIa族金属であることが好ましい。同じく−Zが、置換基を有していてもよい、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、及びケイ素含有基の少なくともいずれかを含む共有結合性基であることが好ましい。
本発明の前記式(1)で示される発光性有機化合物を製造する方法は、下記式(2)
Figure 2005047892
[式(2)中、R−、及びR−は、前記と同じ]で示される1,3−ブタンジオン誘導体と、3価の金属Mを含有する金属化合物とを反応させて下記式(3)
Figure 2005047892
[式(3)中、R−、R−、及びMは、前記と同じ]で示される金属錯体中間体を調製する第1工程、該金属錯体中間体と、前記式(2)で示される同一または別な1,3−ブタンジオン誘導体と、下記式(4)
Figure 2005047892
[式(4)中、R−、R−、R−、−Z、及びnは前記と同じ、(X)は対イオン]で示され、アンモニウム基を複数有している4級アンモニウム化合物とを反応させる第2工程を含むものである。
本発明のインキ組成物は、前記の発光性有機化合物を含有したものである。この組成物は、インキ溶解性、インキ堅牢性、耐光性が優れ、発光効率、発光輝度が高いものである。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、前記の発光性有機化合物を発光層に含有するものである。その素子は、機械的・化学的耐久性、発光性能が優れたものである。
本発明の発光性有機化合物は、インキ溶解性、インキ堅牢性、耐光性、発光効率、発光輝度が充分で、機械的・化学的耐久性、発光性能が優れている。本発明の製造方法によれば、発光性有機化合物を簡易に高純度かつ高収率で製造することができる。発光性有機化合物は、紫外光を照射し、励起させることにより可視域に強い発光色を示す。
この発光性有機化合物を含むインキ組成物は、機密保持、偽造防止、複写防止を目的として、隠匿すべき情報を記録するのに用いられる。このインキ組成物で商品のロット番号・暗号を目隠し印刷しておくと、商品の流通経路の追跡に役立つ。また、オフィスにおける書類や各種容器のマーキング、バーコード等の目隠し印刷、セキュリティー機能を有する印刷物作成にも、有用である。このインキ組成物で印刷された情報は、可視光下で視認できないので、隠匿すべき情報が改ざんされたり、偽造や複写がなされたりするおそれがないうえ、堅牢性や耐久性が優れているので損傷しない。
また、発光性有機化合物を発光層に用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は、高輝度の発光を得ることができる。
以下、本発明の発光性有機化合物、それの製造方法について、詳細に説明する。
前記式(1)で表される発光性有機化合物は、スペーサーとしてカチオン部分を構成する複数のn個好ましくはnが2〜4個の第4級アンモニウム基が共有結合性基−Zを介して結合しているn価のアンモニウム対イオンと、3価の金属Mの1原子に1,3−ブタンジオン誘導体の4分子が配位したアニオン部分を構成する複数n個の金属錯体イオンとからなる。
式(1)中、3価の金属Mは、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ネオジム(Nd)等のランタノイド系金属;アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等のIIIb族の金属;スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)等のIIIa族の金属が挙げられる。好ましくは、ユウロピウム、テルビウム、またはアルミニウムである。
同じく式(1)中、R−は、置換基を有していてもよい基であって、具体的には、2−ナフチル基、及びフェニル基で例示されるアリール基;2−チエニル基、及び2−フラニル基で例示されるヘテロ環基;トリフルオロメチル基のようなフッ素含有アルキル基;メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基のような炭素数1〜12である直鎖状または分岐鎖状のアルキル基で例示されるアルキル基;またはベンジル基のようなアラルキル基が挙げられる。これらの中でも、2−ナフチル基、及びフェニル基で例示されるアリール基;2−チエニル基、及び2−フラニル基で例示されるヘテロ環基であることが好ましい。これらのアリール基やヘテロ環基やアラルキル基やフッ素含有アルキル基やアルキル基が有していてもよい置換基として、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基のような炭素数4以下の低級アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基のような炭素数4以下の低級アルコキシ基;アミノ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、2−ヒドロキシエチルアミノ基のようなモノアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基のようなジアルキルアミノ基;ベンジル基、α、α’−ジメチルベンジル基、フェネチル基のようなアラルキル基;フェニル基のようなアリール基;塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;スルホン酸エステル基;カルボン酸エステル基;スルホン基;カルボキシル基が挙げられる。
−は、より具体的には、置換基を有していてもよい2−ナフチル基として、2−ナフチル基;1−メチル−2−ナフチル基、3−メチル−2−ナフチル基、4−メチル−2−ナフチル基、5−メチル−2−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、7−メチル−2−ナフチル基、8−メチル−2−ナフチル基、4−エチル−2−ナフチル基で例示される低級アルキル基置換2−ナフチル基;1−メトキシ−2−ナフチル基、3−メトキシ−2−ナフチル基、4−メトキシ−2−ナフチル基、5−メトキシ−2−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、8−メトキシ−2−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基で例示される低級アルコキシ基置換2−ナフチル基;ハロゲン置換2−ナフチル基;アルキルアミノ基置換2−ナフチル基;フェニル基置換2−ナフチル基;ベンジル基置換2−ナフチル基;シアノ基置換2−ナフチル基;ニトロ基置換2−ナフチル基;スルホン酸エステル基置換2−ナフチル基;カルボン酸エステル基置換2−ナフチル基;スルホン基置換2−ナフチル基;カルボキシル基置換2−ナフチル基が挙げられる。
−として、置換基を有していてもよい2−ナフチル基の具体例を示したが、2−ナフチル基以外であってフェニル基のようなアリール基、2−チエニル基や2−フラニル基のようなヘテロ環基、アラルキル基、フッ素含有アルキル基及びアルキル基についても、前記の2−ナフチル基の場合と同様な置換基を有していてもよい。
同じく式(1)中、R−とR−とは、同一または異なる。R−は、置換基を有していてもよい基であって、具体的には炭素数1〜20の含フッ素アルキル基、より具体的にはCF−基、C−基、n−C−基、n−C15−基で例示されるペルフルオロアルキル基C2p+1−基(p=1〜20);CHF−基、CHF−基、CH(CF−基で例示されるパーシャルフルオロアルキル基;メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリブチル基、アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基のような炭素数1〜12のアルキル基で例示されるアルキル基;ベンジル基、フェネチル基、フッ素置換ベンジル基で例示されるアラルキル基が挙げられる。これらアルキル基やアラルキル基が、R−で例示されたのと同様な置換基を有していてもよい。また、R−は、R−で例示されたのと同様なアリール基やヘテロ環基も挙げられる。これらの中でも、R−は、ペルフルオロアルキル基C2p+1−基(p=1〜10)であることが好ましい。
同じく式(1)中、R−、R−、及びR−は、置換基を有していてもよい基であって、同一または異なり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基で例示される炭素数1〜20の直鎖状または環状のアルキル基;アルコキシ基やハロゲン原子のような置換基を有しているこれらのアルキル基;ベンジル基、フェネチル基のようなアラルキル基;ハロゲン原子のような置換基を有しているこれらのアラルキル基;フェニル基、トリル基で例示されるアリール基が挙げられる。
同じく式(1)中、−Zは、置換基を有していてもよい共有結合性基であって、具体的には、炭素数2〜20のアルキレン基;炭素数2〜20アルケニレン基;炭素数2〜20アルキニレン基;フェニレン基、ビフェニレン基で例示されるアリーレン基;スルホン基やカルボキシル基やニトロ基やハロゲン原子のような置換基を有しているこれらのアリーレン基;窒素原子や硫黄原子を有するヘテロアリーレン基;シランジイル基で例示されるケイ素含有基が挙げられる。−Zは、これらアルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、及びケイ素含有基が、複数結合していてもよい。
発光性有機化合物は、1段階で合成する方法と、2段階で合成する方法とのいずれかにより、得られる。
1段階合成法は、1,3−ブタンジオン誘導体4当量と、水酸化ナトリウム4当量とを有機溶媒中で混合した後、アンモニウム基をn個有している4級アンモニウム化合物1/n当量と金属化合物1当量と反応させて、発光性有機化合物を得るというものである。
別な1段階合成法は、金属化合物1当量と、1,3−ブタンジオン誘導体4当量と、水酸化ナトリウム4当量とを有機溶媒中で混合した後、アンモニウム基をn個有している4級アンモニウム化合物1/n当量と反応させて、発光性有機化合物を得るというものである。
発光性有機化合物は、前記の1段階合成法よりも次の2段階合成法で合成される方が、純度、収率ともに高いので、好ましい。
2段階合成法は、例えば下記の化学反応式[i]及び[ii]で示されるものである。2段階合成法は、1,3−ブタンジオン誘導体(2)の3当量に金属化合物例えば塩化ユウロピウム(M=Eu)の1当量を反応させて1,3−ブタンジオン誘導体3分子が金属M1原子に配位した金属錯体中間体(3)を調製する化学反応式[i]で示される第1工程、同一または別な1,3−ブタンジオン誘導体(2)のn当量と、この金属錯体中間体(3)のn当量とに、アンモニウム基をn個有している4級アンモニウム化合物(4)の1当量を反応させる化学反応式[ii]で示される第2工程を経て、発光性有機化合物(1)を得るというものである。
Figure 2005047892
前記式(2)で表される原料である1,3−ブタンジオン誘導体は、合成したものであってもよく、市販品であってもよい。具体的には下記のようなブタンジオン誘導体1〜5が挙げられる。
Figure 2005047892
前記式(3)で表される中間生成物であって、1,3−ブタンジオン誘導体の3分子が金属化合物由来の金属Mの1原子に配位している金属錯体中間体は、具体的には下記の金属錯体中間体1〜7が挙げられる。
Figure 2005047892
前記式(4)で表されるアンモニウム基を複数有している4級アンモニウム化合物は、例えば下記化学式[iii]に示す反応により、調製できるものである。始発物質であるジアミン化合物(n=2)やトリアミン化合物(n=3)のようなアミン化合物(5)を、エタノールのようなアルコール溶媒中で、ヨードメタンCHIのようなハロゲン化アルキルRXで例示されるアルキル化剤で、N−アルキル化すなわち4級化することにより、アンモニウム基を複数有している4級アンモニウム化合物(4)が、調製される。この4級アンモニウム化合物(4)は、錯体イオンとの塩を形成する4級アンモニウム基を複数有する複核型4級アンモニウム化合物(multi−ammonium salt)である。この4級アンモニウム化合物は、発光性有機化合物において、スペーサーとしての役割を果たすものである。
Figure 2005047892
前記式(4)中の共有結合性基−Zは、具体的には2〜4価のものとして、下記
Figure 2005047892
が挙げられる。なお、q=2〜6である。また−R,−Rは水素原子、またはアルキル基である。
前記式(4)で表される4級アンモニウム化合物は、具体的には下記のアンモニウム化合物例(I)〜(III)が挙げられる。なお、R−、R−、R−、及び−Zは前記に同じである。(X)は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンのようなハロゲンイオンで例示される1価の無機アニオンが挙げられる。その中でもより好ましい(X)は、塩素イオン、及びヨウ素イオンである。
Figure 2005047892
より具体的には、下記のアンモニウム化合物1〜13が挙げられる。
Figure 2005047892
Figure 2005047892
前記式(1)で表される発光性有機化合物は、前記の1,3−ブタンジオン誘導体(2)と、前記の金属錯体中間体(3)と、アンモニウム基を複数有している4級アンモニウム化合物(4)との任意の組合せによって合成された複核型の錯化合物(multi−complex)である。具体的には、下記の発光性有機化合物1〜19が挙げられる。
Figure 2005047892
Figure 2005047892
Figure 2005047892
Figure 2005047892
この発光性有機化合物は、無色の粉末であり、蛍光発光剤としてインキ組成物に含有させて用いられるものである。
次に、本発明のインキ組成物について詳細に説明する。
インキ組成物は、この発光性有機化合物を溶媒に溶解または微分散させ、必要に応じてバインダー樹脂、各種界面活性剤等のような通常含有されているインキ組成物成分と混合したものである。
インキ組成物中の発光性有機化合物の濃度は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%である。この濃度が0.01重量%未満であると発光量が少なくなって発光した印字情報の読み取りが難しくなり、一方、5重量%を越えると自己吸収が生じて発光強度が小さくなるおそれがある。
インキ組成物に用いられる溶媒として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールのモノエーテル系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶剤;1,2−ヘキサンジオール、2,4,6−ヘキサントリオール等のポリオール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−メトキシ−4−メチルペンタノン等のケトン系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−プロピル等のエステル系溶剤;ジメチルスルホキシド;N−メチル−2−ピロリドン;γ−ブチロラクトン;トルエン、キシレンのような高沸点石油系溶剤を用いることができる。これらの溶剤は、単独で、または複数種を混合して用いられる。
溶剤は、インキ組成物中の発光性有機化合物の発光強度が最大となるように、比較的高濃度でかつ安定に発光性有機化合物を溶解させることが可能であるケトン系溶剤、酢酸エチルのようなエステル系溶剤、及びアルコール系溶剤のうちの複数の混合物であることが好ましい。
インキ組成物に用いられるバインダー樹脂は、発光性有機化合物を被記録体表面にしっかりと定着させるためのものであり、前記の溶媒に対する溶解性が高く、インキ組成物の粘度を適度に調整できるものが好ましい。バインダー樹脂として、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のようなポリビニル系樹脂;ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン等のようなポリアミン系樹脂;ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルメタアクリレート等のようなポリアクリレート系樹脂;アミノ樹脂;アルキッド樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ポリエステルイミド樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアミドイミド樹脂;シリコーン樹脂;フェノール樹脂;ケトン樹脂;ロジン;フェノール、マレイン酸、フマル酸樹脂等のようなロジン変性樹脂;石油樹脂;エチルセルロース、ニトロセルロース等のようなセルロース系樹脂;アラビアゴム、ゼラチン等のような天然樹脂が挙げられる。
バインダー樹脂は、筆記具用インキ、インクジェットインキ、または印刷インキに汎用されているポリビニル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアミン系樹脂であると好ましい。
インキ組成物中のバインダー樹脂の濃度は、0〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。この濃度が0.5重量%よりも少ないと、特に非浸透性の被記録体に対して発光性有機化合物を十分に定着させることができない。30重量%よりも多いと、インキ組成物の吐出安定性を低下させたり、発光性有機化合物分子の周囲をバインダー層が厚く覆うこととなって発光性有機化合物の発光強度の低下を招いたり、バインダー樹脂自体に起因する発光により発光性有機化合物の発光の障害を惹き起したりするおそれがある。
インキ組成物は、水、または水溶性有機溶剤と水とからなる水性溶剤を用いている場合は、界面活性剤、分散剤、シクロデキストリン(CD)、消泡剤等のような添加剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、例えば、アルキル硫酸エステル、リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアミン塩等のようなアニオン性、ノニオン性、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤;フッ素系界面活性剤;アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。分散剤は、例えば、ロジン酸石鹸、ステアリン酸石鹸、オレイン酸石鹸、Na−ジ−β−ナフチルメタンジサルフェート、Na−ラウリルサルフェート、Na−ジエチルヘキルスルホサクシネートが挙げられる。シクロデキストリン(CD)は、例えば、β−CD、ジメチル−β−CD、メチル−β−CD、ヒドロキシエチル−β−CD、ヒドロキシプロピル−β−CDが挙げられる。インキ組成物中のこれらの添加剤の濃度は、0.1〜5重量%、好ましくは1〜3重量%である。
インキ組成物中の発光性有機化合物は、前記溶媒やバインダー樹脂等に対する優れた溶解性または分散性を有している。
このインキ組成物で印字された隠匿すべき情報は、可視光の下では視認できない。しかし、例えば、この印字部分に、ブラックライトランプのような紫外線ランプにより約365nmの紫外光を照射すると、発光性有機化合物が励起され、可視領域での発光をする結果、情報が視認できる。このインキ組成物は、セキュリティーインキとして有用である。
次に、本発明の発光有機化合物を発光層に含有する有機エレクトロルミネッセンス素子について詳細に説明する。
積層型の有機エレクトロルミネッセンス素子は、一般に、透明な絶縁性基板上に、陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極からなる構成で形成されたものである。基板の材料として、ガラス、樹脂などが用いられる。陽極の材料として、Au等の金属、インジウムスズ酸化物(ITO)等の透明電極が用いられる。発光層には、発光色素が含有されている。正孔注入輸送層の材料として、電荷を効果的に輸送できるヒドラゾン系やトリアリールアミン系の化合物が用いられる。電子注入輸送層の材料として、電子を発光層に効率よく輸送できるトリス(8−ヒドロキシキノリノ)アルミニウム(Alq)、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体等が用いられる。陰極の材料としてMg/Ag、Mg/Au、Al/Li等が用いられる。
陽極と陰極との間に設けられた発光層に含有された発光色素は、β−ジケトン型の金属錯体で例示される前記式(1)の発光性有機化合物である。発光層中の発光色素は、発光素子となるこの発光性有機化合物と、別な発光素子となる青発光のジスチリルベンゼン誘導体や緑発光のトリス(8−ヒドロキシキノリノ)アルミニウム(Alq)とが、マトリックスを形成したものであってもよい。発光性有機化合物のような発光色素は、陽極や正孔注入層からの正孔と負極や電子注入層からの電子との再結合により発光するものである。
発光層は、前記の発光性有機化合物を含む材料で形成する。発光層の形成方法には、発光性化合物を陽極や正孔輸送層の表面に蒸着する方法や、発光性有機化合物を適量(例えば1〜10重量%)含む樹脂溶液を陽極や正孔輸送層の表面に塗布乾燥させる方法等がある。
さらに有機エレクトロルミネッセンスの発光効率を向上させ、フルカラー表示を可能とするために、発光層中に他の蛍光性有機材料がドープされていてもよい。蛍光性有機材料としては、例えば、スチルベン系色素、クマリン系色素、キサンテン系色素、キナクリドン系色素、ユウロピウム錯体、亜鉛ポルフィリン誘導体等のようなドープ色素材料が挙げられる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
先ず、1,3−ブタンジオン誘導体の3分子が金属化合物由来の金属Mの1原子に配位している前記式(3)で表される金属錯体中間体について、合成例1〜5に説明する。
合成例1(金属錯体中間体1の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[39.9g(0.15mol)(東京化成社製)]、塩化ユウロピウム(III)六水和物[18.3g(0.05mol)(和光純薬社製)]、及び1Nの水酸化ナトリウム150mlを、エタノール1000ml中に混合し、約60℃で約3時間加熱攪拌することにより、下記化学式で示される1,3−ブタンジオン誘導体ユウロピウム錯体である金属錯体中間体1を46.4g(収率98%)得た。
Figure 2005047892
合成例2(金属錯体中間体2の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン[33.3g(0.15mol)(東京化成社製)]、塩化ユウロピウム(III)六水和物[18.3g(0.05mol)(和光純薬社製)]、及び1Nの水酸化ナトリウム150mlを、エタノール1000ml中に混合し、約60℃で約3時間加熱攪拌することにより、下記化学式で示される1,3−ブタンジオン誘導体ユウロピウム錯体である金属錯体中間体2を46.4g(収率98%)得た。
Figure 2005047892
合成例3(金属錯体中間体3の合成)
4,4、4−トリフルオロ−1−フェニル−1,3−ブタンジオン[3.24g(0.015mol)(東京化成社製)]、塩化ユウロピウム(III)六水和物[1.83g(0.005mol)(和光純薬社製)]、及び1Nの水酸化ナトリウム15mlを、エタノール100ml中に混合、約60℃で約3時間加熱攪拌することにより、下記化学式で示される1,3−ブタンジオン誘導体ユウロピウム錯体である金属錯体中間体3を3.91g(収率98%)得た。
Figure 2005047892
合成例4(金属錯体中間体4の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[13.3g(0.05mol)(東京化成社製)]、塩化テルビウム(III)六水和物[6.22g(0.0167mol)(和光純薬社製)]、及び1Nの水酸化ナトリウム50mlを、エタノール500ml中に混合し、約60℃で約3時間加熱攪拌することにより、下記化学式で示される1,3−ブタンジオン誘導体テルビウム錯体である金属錯体中間体4を15.3g(収率96%)得た。
Figure 2005047892
合成例5(金属錯体中間体5の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[13.3g(0.05mol)(東京化成社製)]、塩化アルミニウム(III)六水和物[4.02g(0.0167mol)]、及び1Nの水酸化ナトリウム50mlを、エタノール500ml中に混合し、約60℃で約3時間加熱攪拌することにより、下記化学式で示される1,3−ブタンジオン誘導体アルミニウム錯体である金属錯体中間体5を11.7g(収率85.2%)を得た。
Figure 2005047892
次に、前記式(4)で表されるアンモニウム基を複数有している4級アンモニウム化合物例について、合成例6〜11に説明する。
合成例6(アンモニウム化合物1の合成)
N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン[4.64g(0.04mol)(東京化成社製)]、ヨードメタン[17.0g(0.12mol)(和光純薬社製)]をエタノール50ml中に混合し、40℃で約5時間加熱撹拌することにより、下記化学式で示されるN,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチルエチレンジアンモニウムジアイオダイドであるアンモニウム化合物1を15.81g(収率99%)得た。
Figure 2005047892
合成例7(アンモニウム化合物2の合成)
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン[5.77g(0.04mol)(東京化成社製)]、ヨードメタン[17.0g(0.12mol)(和光純薬社製)]をエタノール50ml中に混合し、40℃で約5時間加熱撹拌することにより、下記化学式で示されるN,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチルブチレンジアンモニウムジアイオダイドであるアンモニウム化合物2を16.82g(収率98%)得た。
Figure 2005047892
合成例8(アンモニウム化合物3の合成)
N,N,N’,N’−テトラメチル−p−フェニレンジアミン[6.56g(0.04mol)(東京化成社製)]、ヨードメタン[142g(1.00mol)(和光純薬社製)]をDMF600ml中に混合し、40℃で約40時間加熱撹拌することにより、下記化学式で示されるN,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−p−フェニレンジアンモニウムジアイオダイドであるアンモニウム化合物3を17.6g(収率98%)得た。
Figure 2005047892
合成例9(アンモニウム化合物4の合成)
N,N,N’,N’−テトラメチルベンジジン[12.0g(0.05mol)(東京化成社製)]、ヨードメタン[355g(2.50mol)(和光純薬社製)]をDMF5000ml中に混合し、室温下で約40時間反応させることにより、下記化学式で示されるN,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチルベンジジンジアンモニウムジアイオダイドであるアンモニウム化合物4を25.2g(収率96%)得た。
Figure 2005047892
合成例10(アンモニウム化合物5の合成)
N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン[2.88g(0.02mol)(東京化成社製)]、ヨードブタン[11g(0.06mol)(和光純薬社製)]をエタノール50ml中に混合し、60℃で約10時間加熱撹拌することにより、下記化学式で示されるアンモニウム化合物5を9.99g(収率97%)得た。
Figure 2005047892
合成例11(アンモニウム化合物6の合成)
ロイコクリスタルバイオレット[1.87g(0.005mol)(東京化成社製)]、ヨードメタン[21.3g(0.15mol)(和光純薬社製)]をDMF100ml中に混合し、60℃で約5時間加熱撹拌することにより、下記化学式で示されるアンモニウム化合物6を3.91g(収率98%)得た。
Figure 2005047892
次に、本発明を適用する発光性有機化合物を合成した例を実施合成例1〜11に示す。
実施合成例1(発光性有機化合物1の合成)
合成例1で得た金属錯体中間体1[2.37g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解させ、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH 2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例6で得たアンモニウム化合物1[0.50g(0.00125mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物1を2.69g(収率83.9%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物1について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図1に示す。これらの結果は、発光性有機化合物1が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例2(発光性有機化合物2の合成)
合成例1で得た金属錯体中間体1[2.37g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例7で得たアンモニウム化合物2[0.50g(0.00125mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物2を2.86g(収率88.0%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物2について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図2に示す。これらの結果は、発光性有機化合物2が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例3(発光性有機化合物3の合成)
合成例1で得た金属錯体中間体1[2.37g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、ヘキサメトニウムクロリド[0.386g(0.00125mol)(東京化成社製)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物3を2.93g(収率89.4%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物3について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図3に示す。これらの結果は、発光性有機化合物3が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例4(発光性有機化合物4の合成)
合成例1で得た金属錯体中間体1[2.37g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例8で得たアンモニウム化合物3[0.560g(0.00125mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物4を2.92g(収率89.0%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物4について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図4に示す。これらの結果は、発光性有機化合物4が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例5(発光性有機化合物5の合成)
合成例1で得た金属錯体中間体1[2.37g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例9で得たアンモニウム化合物4[0.655g(0.00125mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物5を3.02g(収率89.1%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物5について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図5に示す。これらの結果は、発光性有機化合物5が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例6(発光性有機化合物6の合成)
合成例1で得た金属錯体中間体1[2.37g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例10で得たアンモニウム化合物5[0.640g(0.00125mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物6を3.01g(収率90.0%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物6について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図6に示す。これらの結果は、発光性有機化合物6が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例7(発光性有機化合物7の合成)
合成例1で得た金属錯体中間体1[2.37g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例11で得たアンモニウム化合物6[0.666g(0.000833mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物7を2.96g(収率87.5%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物7について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図7に示す。これらの結果は、発光性有機化合物7が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例8(発光性有機化合物8の合成)
合成例2で得た金属錯体中間体2[2.04g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン[0.555g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例7で得たアンモニウム化合物2[0.535g(0.00125mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物8を2.45g(収率87.1%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物8について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図8に示す。これらの結果は、発光性有機化合物8が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例9(発光性有機化合物9の合成)
合成例3で得た金属錯体中間体3[1.99g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−フェニル−1,3−ブタンジオン[0.540g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例7で得たアンモニウム化合物2[0.535g(0.00125mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物9を2.37g(収率86.0%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物9について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図9に示す。これらの結果は、発光性有機化合物9が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例10(発光性有機化合物10の合成)
合成例4で得た金属錯体中間体4[2.39g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解後、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例7で得たアンモニウム化合物2[0.535g(0.00125mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物10を2.85g(収率87.2%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物10について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示す。この結果は、発光性有機化合物10が前記化学式の構造であることを支持する。
実施合成例11(発光性有機化合物11の合成)
合成例5で得た金属錯体中間体5[2.03g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、合成例7で得たアンモニウム化合物2[0.535g(0.00125mol)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌するという2段階合成法により、下記化学式で示される発光性有機化合物11を2.52g(収率85.8%)得た。
Figure 2005047892
この発光性有機化合物11について、原子吸光分析及び元素分析を行なった結果を表1に示し、H−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図10に示す。これらの結果は、発光性有機化合物11が前記化学式の構造であることを支持する。
Figure 2005047892
次に、本発明を適用外の発光性有機化合物及びその製造方法により合成した例を比較合成例1〜9に示す。
比較合成例1(比較化合物1の合成)
合成例1で得た金属錯体中間体1[2.37g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[0.665g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、テトラメチルアンモニウムクロライド[0.275g(0.0025mol)(和光純薬社製)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌すると、下記化学式で示される比較化合物1を2.81g(収率87.4%)得た。
Figure 2005047892
比較合成例2(比較化合物2の合成)
合成例2で得た金属錯体中間体2[2.04g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン[0.555g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解後、1N−NaOH2.5ml(1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量)を加え、30分間室温下で反応させた後、テトラメチルアンモニウムクロライド[0.275g(0.0025mol)(和光純薬社製)]を加え、加熱撹拌(60℃で約5時間)すると、下記化学式で示される比較化合物2を2.11g(収率65.0%)得た。
Figure 2005047892
比較合成例3(比較化合物3の合成)
合成例3で得た金属錯体中間体3[1.99g(0.0025mol)]、4,4,4−トリフルオロ−1−フェニル−1,3−ブタンジオン[0.540g(0.0025mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1N−NaOH2.5mlを加え、30分間室温下で反応させた後、テトラメチルアンモニウムクロライド[0.275g(0.0025mol)(和光純薬社製)]を加え、60℃で約5時間加熱撹させたところ、下記化学式で示される比較化合物3を2.25g(収率82.5%)得た。
Figure 2005047892
比較合成例4(1段階合成法による発光性有機化合物1の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[2.66g(0.010mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解後、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1NのNaOH10.0mlを加え、合成例6で得たアンモニウム化合物1[0.500g(0.00125mol)]、塩化ユウロピウム(III)六水和物[0.915g、0.0025mol(和光純薬社製)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌させたところ、発光性有機化合物1とそれ以外の不純物を含有する錯体混合物が収量2.38g(収率74.1%:純度100%と仮定したときの換算値)で得られた。これのH−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図11に示す。
比較合成例5(1段階合成法による発光性有機化合物2の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[2.66g(0.010mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1NのNaOH10.0mlを加え、合成例7で得たアンモニウム化合物2[0.535g(0.00125mol)]、塩化ユウロピウム(III)六水和物[0.915g、0.0025mol(和光純薬社製)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌させたところ、発光性有機化合物2とそれ以外の不純物を含有する錯体混合物が収量2.65g(収率81.4%:純度100%と仮定したときの換算値)で得られた。これのH−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図12に示す。
比較合成例6(1段階合成法による発光性有機化合物6の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[2.66g(0.010mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1NのNaOH10.0mlを加え、合成例10で得たアンモニウム化合物5[0.666g(0.00125mol)]、塩化ユウロピウム(III)六水和物[0.915g、0.0025mol(和光純薬社製)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌させた。得られた生成物は、NMRを測定したところ、発光性有機化合物6とそれ以外の不純物を含有する錯体混合物であることが分かり、その収量が2.34g(収率69.7%:純度100%と仮定したときの換算値)であった。これのH−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図13に示す。
比較合成例7(1段階合成法による発光性有機化合物7の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン[2.66g(0.010mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1NのNaOH10.0mlを加え、合成例11で得たアンモニウム化合物6[0.666g(0.000833mol)]、塩化ユウロピウム(III)六水和物[0.915g、0.0025mol(和光純薬社製)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌させた。得られた生成物は、NMRを測定したところ、発光性有機化合物7とそれ以外の不純物を含有する錯体混合物であることが分かり、その収量が1.00g(収率29.5%:純度100%と仮定したときの換算値)で得られた。これのH−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図14に示す。
比較合成例8(1段階合成法による発光性有機化合物8の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン[2.22g(0.010mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、この1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量である1NのNaOH10.0mlを加え、合成例7で得たアンモニウム化合物2[0.535g(0.00125mol)]、塩化ユウロピウム(III)六水和物[0.915g、0.0025mol(和光純薬社製)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌させた。得られた生成物は、NMRを測定したところ、発光性有機化合物8とそれ以外の不純物を含有する錯体混合物であることが分かり、その収量が1.34g(収率47.7%:純度100%と仮定したときの換算値)で得られた。これのH−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図15に示す。
比較合成例9(1段階合成法による発光性有機化合物9の合成)
4,4,4−トリフルオロ−1−フェニル−1,3−ブタンジオン[2.16g(0.010mol)(東京化成社製)]をエタノール100ml中に混合溶解し、1NのNaOH10.0ml(1,3−ブタンジオン誘導体に対して1当量)を加え、合成例7で得たアンモニウム化合物2[0.535g(0.00125mol)]、塩化ユウロピウム(III)六水和物[0.915g、0.0025mol(和光純薬社製)]を加え、60℃で約5時間加熱撹拌させたところ、発光性有機化合物9が収量1.68g(収率61.0%)で得られた。これのH−NMR及び13C−NMRの測定をした結果を図16に示す。
比較合成例1〜9の実験結果を表2にまとめた。
Figure 2005047892
表1から明らかなとおり、第1工程及び第2工程とからなる2段階合成法である発光性有機化合物製造方法の実施合成例1〜11では、目的物である発光性有機化合物が高収率で生成されており、その原子吸光分析結果及び元素分析結果がほぼ理論値と一致しているから純度が高いものであった。このように、2段階合成法である発光性有機化合物製造方法が、純度や収率の面から有利である。それに対し、表2から明らかなとおり、1段階合成法である比較合成例4〜9では、目的とする発光性有機化合物が不純物を含んでおり低い純度でしか生成しなかったり、目的とする発光性有機化合物が純度良く生成しても低い収率でしか得られなかったりした。
次に、NMR測定結果について、詳細に検討する。実施合成例1〜9で合成した発光性有機化合物1〜9のNMRスペクトルである図1〜9と、比較合成例4〜9で各々合成した発光性有機化合物1、2、6、7、8、9のNMRスペクトルである図11〜16とを比較し検討したところ、以下のことが明らかとなった。
NMRの分析結果1:実施合成例1〜9で合成した発光性有機化合物1〜9のNMRスペクトルの図1〜9から明らかなように、これらの化合物は、1,3−ブタンジオン誘導体が、希土類金属Euのような金属に対して等価に配位した錯体であり、不純物を含んでいないと認められた。
NMR分析結果2:実施合成例1と比較合成例4とで各々合成した発光性有機化合物2のNMRスペクトルである図1と図11とを比較する。図1と比較すると、図11に示すように比較合成例4で得られた発光性有機化合物1は、数種類のカルボニル基のピークが観測されることから、1,3−ブタンジオン誘導体が希土類金属Euに等価に配位しておらず、不完全にしか配位していないと認められ、また、未反応の1,3−ブタンジオン誘導体を含むと観測された。
NMR分析結果3:実施合成例2と比較合成例5とで各々合成した発光性有機化合物2のNMRスペクトルである図2と図12とを比較する。図2と比較すると、図12に示すように比較合成例5で得られた発光性有機化合物2は、数種類のカルボニル基のピークが観測されることから、1,3−ブタンジオン誘導体が希土類金属Euに対して完全には等価に配位していないと認められた。
NMR分析結果4:実施合成例6と比較合成例6とで各々合成した発光性有機化合物6のNMRスペクトルである図6と図13とを比較する。図6と比較すると、図13に示すように比較合成例6で得られた発光性有機化合物6は、数種類のカルボニル基のピークが観測されることから、1,3−ブタンジオン誘導体が希土類金属Euに対して完全には等価に配位していないことが観測された。
NMR分析結果5:実施合成例7と比較合成例7とで各々合成した発光性有機化合物7のNMRスペクトルである図7と図14とを比較する。図7と比較すると、図14に示すように比較合成例7で得られた発光性有機化合物7は、数種類のカルボニル基のピークが観測されることから、1,3−ブタンジオン誘導体が希土類金属Euに等価に配位しておらず、不完全にしか配位していないと認められ、また、未反応の1,3−ブタンジオン誘導体を含むと観測された。
NMR分析結果6:実施合成例8と比較合成例8とで各々合成した発光性有機化合物8のNMRスペクトルである図8と図15とを比較する。図8と比較すると、図15に示すように比較合成例8で得られた発光性有機化合物8は、数種類のカルボニル基のピークが観測されることから、1,3−ブタンジオン誘導体が希土類金属Euに対して完全には等価に配位していないことが観測された。
NMR分析結果7:実施合成例9と比較合成例9とで各々合成した発光性有機化合物9のNMRスペクトルである図9と図16とを比較すると、両錯体とも1,3−ブタンジオン誘導体が希土類金属に対して等価に配位した錯体であると観測された。
このようなNMR分析結果からも、発光性有機化合物は、第1工程及び第2工程とからなる2段階の製造方法で合成される方が、1段階の製造方法で合成されるよりも、高純度で得られるということが確認された。
次に、得られた各化合物について、蛍光強度を測定し、蛍光特性評価を行った。
評価の方法は、100mlのエタノールにそれぞれの発光性有機化合物25mgを溶解させ、蛍光分光光度計(島津製作所社製のRF−5300PC)を用いて蛍光強度(フォトルミネッセンス強度)を測定するというものである。発光性有機化合物1〜9、11、比較化合物1〜3、及び金属錯体中間体1〜3の各々について測定した結果を、表3に示す。蛍光強度の相対値(1)は、比較化合物3の蛍光強度を1.00としたときの蛍光強度の相対値である。また、蛍光強度の相対値(2)は、金属錯体中間体3の蛍光強度を1.00としたときの蛍光強度の相対値である。
Figure 2005047892
表3から明らかなとおり、実施合成例の発光性有機化合物1〜9,11は、対イオンとして単一のアンモニウム基との錯体である比較化合物1〜3、及び対イオンを有しない金属錯体中間体1〜3と比べ、蛍光強度に優れるものであった。
発光性有機化合物1〜11、及び比較化合物1〜3について、メチルエチルケトン、酢酸エチル、エタノール、キシレン、トルエンに対する溶解度について測定した結果を表4に示す。溶解度の測定は、各溶媒に所定量の錯体を投入した後、超音波にて1時間、湯浴中で加熱を1時間行い、室温下で1晩放置した後、濾過し、残渣を乾燥し、その不溶量を求め、溶解度(W/V%)を算出したものである。
Figure 2005047892
表4から明らかなように、実施合成例の発光性有機化合物1〜11は、比較化合物1〜3に比べ、特に油性インキや印刷インキで用いられるケトン系溶剤や酢酸エチルに対する溶解性が優れていた。また、スペーサーとしての対イオン中の第4級アンモニウム基を非対称にすることにより、キシレンやトルエンへの溶解性が向上していた。
次に、実施合成例の発光性有機化合物を用いて、インキ組成物を調製した例を、実施例A〜Eに示す。
実施例A(インキ組成物Aの調製)
90gのメチルエチルケトンと5gの酢酸エチルとの溶液に、発光性有機化合物1の1gを溶解し、これに4gのポリビニルピロリドン[IPS社製のPVP K−15(商品名)]を加えてインキ組成物Aを調製した。インクジェット記録装置[エプソン社製]を使用して、普通紙にバーコード印刷し、これにブラックライトランプにより紫外光(約365nm)を照射したところ、鮮明な赤色に発光した。
実施例B(インキ組成物Bの調製)
90gのメチルエチルケトンと5gの酢酸エチルとの溶液に、発光性有機化合物3の1gを溶解し、これに4gのポリビニルブチラール[積水化学工業社製のエスレック BL−1(商品名)]を加えてインキ組成物Bを調製した。インクジェット記録装置[エプソン社製]を使用して、普通紙にバーコード印刷し、これにブラックライトランプにより紫外光(約365nm)を照射したところ、鮮明な赤色に発光した。
実施例C(インキ組成物Cの調製)
90gのメチルエチルケトンと5gの酢酸エチルとの溶液に、発光性有機化合物5の1gを溶解し、これに4gのポリアクリレート系樹脂[Avecia社製のNeoCrylB−814(商品名)]を加えてインキ組成物Cを調製した。インクジェット記録装置[エプソン社製]を使用して、普通紙にバーコード印刷し、これにブラックライトランプにより紫外光(約365nm)を照射したところ、鮮明な赤色に発光した。
実施例D(インキ組成物Dの調製)
80gのメチルエチルケトンと5gの酢酸エチルとの溶液に、発光性有機化合物7の1gを溶解し、これに15gのポリアリルアミン[日東紡績社製の重量平均分子量約1万の20%水溶液PAA−L(商品名)]を加えてインキ組成物Dを調製した。インクジェット記録装置[エプソン社製]を使用して、普通紙にバーコード印刷し、これにブラックライトランプにより紫外光(約365nm)を照射したところ、鮮明な赤色に強く発光した。
実施例E(インキ組成物Eの調製)
90gのメチルエチルケトンと5gの酢酸エチルとの溶液に、発光性有機化合物11の1gを溶解し、これに4gのポリビニルピロリドン[IPS社製のPVP K−15(商品名)]を加えてインキ組成物Eを調製した。インクジェット記録装置[エプソン社製]を使用して、普通紙にバーコード印刷し、これにブラックライトランプにより紫外光(約365nm)を照射したところ、鮮明な青色に発光した。
次に、実施合成例4の発光性有機化合物4を用いて、トリアリールアミンダイマー(TPD)を正孔輸送材料(HTM)として使用した積層型有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した例を、実施例Fに示す。
実施例F(有機エレクトロルミネッセンス素子の作製)
透明電極としてイソプロピルアルコールで十分に洗浄した膜厚100nmのITOガラス基板上に、正孔注入輸送層として、特開2000−256276号の記載に従って合成したトリフェニルアミンダイマーを膜厚80nm、発光層として発光性有機化合物4を膜厚80nm、順次真空蒸着により形成した。さらに基板上に陰極としてMg:Ag=10:1で混合した合金で膜厚150nmの電極を形成しEL素子を作成した。15Vの直流電圧を印加したところ、発光輝度の高い赤色発光が確認された。
本発明を適用する実施合成例1で合成した発光性有機化合物1のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用する実施合成例2で合成した発光性有機化合物2のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用する実施合成例3で合成した発光性有機化合物3のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用する実施合成例4で合成した発光性有機化合物4のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用する実施合成例5で合成した発光性有機化合物5のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用する実施合成例6で合成した発光性有機化合物6のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用する実施合成例7で合成した発光性有機化合物7のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用する実施合成例8で合成した発光性有機化合物8のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用する実施合成例9で合成した発光性有機化合物9のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用する実施合成例11で合成した発光性有機化合物11のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用外の比較合成例4で得られた発光性有機化合物1のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用外の比較合成例5で得られた発光性有機化合物2のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用外の比較合成例6で得られた発光性有機化合物6NMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用外の比較合成例7で得られた発光性有機化合物7のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用外の比較合成例8で得られた発光性有機化合物8のNMRスペクトルを示す図である。 本発明を適用外の比較合成例9で得られた発光性有機化合物9のNMRスペクトルを示す図である。

Claims (9)

  1. 下記式(1)
    Figure 2005047892
    [式(1)中、
    nは、2以上の数、
    −は、置換基を有していてもよい、アリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、フッ素含有アルキル基、またはアルキル基、
    −は、置換基を有していてもよい、アリール基、ヘテロ環基、アラルキル基、フッ素含有アルキル基、またはアルキル基、
    Mは、3価の金属、
    −、R−及びR−は、同一または異なり、置換基を有していてもよい、アルキル基、アラルキル基、またはアリール基、
    −Zは、n価の共有結合性基]
    で表されることを特徴とする発光性有機化合物。
  2. 前記式(1)中のR−が、2−ナフチル基またはフェニル基の該アリール基、2−チエニル基または2−フラニル基の該ヘテロ環基とすることを特徴とする請求項1に記載の発光性有機化合物。
  3. 前記式(1)中のR−が、炭素数1〜20の該フッ素含有アルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の発光性有機化合物。
  4. 前記式(1)中のMが、ユウロピウム、テルビウム、またはアルミニウムであることを特徴とする請求項1記載の発光性有機化合物。
  5. 前記式(1)中の−Zが、2価、3価、または4価の該共有結合性基であることを特徴とする請求項1に記載の発光性有機化合物。
  6. 前記式(1)中の−Zが、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基及びケイ素含有基の少なくともいずれかを含んでいて置換基を有していてもよい該共有結合性基であることを特徴とする請求項5に記載の発光性有機化合物。
  7. 前記式(1)で示される発光性有機化合物を製造する方法であって、下記式(2)
    Figure 2005047892
    [式(2)中、R−、及びR−は、前記と同じ]で示される1,3−ブタンジオン誘導体と、3価の金属Mを含有する金属化合物とを反応させて下記式(3)
    Figure 2005047892
    [式(3)中、R−、R−、及びMは、前記と同じ]で示される金属錯体中間体を調製する第1工程、
    該金属錯体中間体と、前記式(2)で示される同一または別な1,3−ブタンジオン誘導体と、下記式(4)
    Figure 2005047892
    [式(4)中、R−、R−、R−、−Z、及びnは前記と同じ、(X)は対イオン]で示され、アンモニウム基を複数有している4級アンモニウム化合物とを反応させる第2工程
    を含むことを特徴とする発光性有機化合物を製造する方法。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の発光性有機化合物を含有することを特徴とするインキ組成物。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の発光性有機化合物を発光層に含有していることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
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