JP2005046865A - レーザマーキング装置におけるマーキング方法、及びレーザマーキング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザマーキング装置1は、レーザ光源210からのレーザ光路中においてレーザスポットのスポット径を可変するスポット径可変手段700が設けられており、ワーク300上に照射されるレーザスポットのスポット径をマーキング動作を行う際のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な予備加熱用スポット径に設定してレーザ光をワーク300上に照射することで、マーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱し、その後、スポット径可変手段700により、スポット径をマーキング用スポット径に設定してマーキング動作を行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザマーキング装置のマーキング方法及びレーザマーキング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、レーザ光源として、ガラスを透過しない波長4.8μm以上の赤外線レーザ(より具体的には、例えば経済性等も配慮した波長10.6μmの炭酸ガス(CO2)レーザ等)を用いて、ガラスに文字・記号・図形等をマーキング情報をマーキングするレーザマーキング装置が提供されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−067785公報
【特許文献2】
特開昭62−292655号公報
【特許文献3】
特開2003−136259公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなレーザマーキング装置において、ガラスにレーザ光を照射する場合には、サーマルショック(熱ショック)によってクラック(割れ)が発生してしまう場合があり、この結果、ガラスにマーキングされた文字・記号・図形等の印字品質が低下し、よって、マーキングが施されたガラス製品等の品質そのものを低下させることが懸念される。
【0005】
従来では、上記問題を解決すべく、特許文献1に示すような構成のものが提案されている。この構成は、ガラス(ガラス製品)の製造工程内において、液体状の溶融ガラスから成形する段階において、形が整った後の、まだガラスの温度が高温の状態で、このガラスに対しレーザ光を照射してマーキングを施すことにより、マーキング部分にクラックを発生させないようにしようとするものである。
しかしながら、このような構成においては、ガラス製造過程内での特定の期間でのみマーキング処理を施す必要があり、マーキング処理工程が可能となる期間が限られてしまう。また、完成したガラスに対してマーキング加工を行う場合には、上記問題が依然として残ってしまうこととなる。
【0006】
即ち、ガラスを製造しているメーカでは、製造工程内において上記工程を取り入れることにより、クラックを抑制しつつガラスにマーキングすることが可能であるが、このガラスを購入・利用しているメーカ等でマーキングを行おうとした場合、上記クラック発生の問題が依然として残ってしまい、結果、ガラス製造メーカでマーキング加工を行う場合でしか上記問題を解決し得ないという制約がかかってしまう。
【0007】
一方、ガラスを利用したメーカでマーキングを行いたい場合には、特許文献2に示されるような構成を用いることも考えられる。この構成では、完成したガラスを加熱手段により加熱して、ガラスの温度を高温にした状態で、レーザ光によりマーキングを施し、徐冷することによって、ガラスのマーキング部分にクラックを発生させないようにしている。
【0008】
しかしながら、この構成においては、一度完成したガラスを再加熱するため、この加熱と徐冷にかなりの時間を要してしまうほか、加熱・冷却のための装置が別途必要となり、レーザマーキング装置(システム)全体が大がかりなものになってしまい、コストアップにもつながる。
【0009】
上記問題点を解決するために本出願人は、特許文献3に示すように、レーザ光源からのレーザ光をクラックを生じさせない程度のレーザパワーで用い、印字情報を走査させることによりガラス製品の印字情報を印字させる部分を予備加熱して温めた後、通常のマーキングを行う正規のレーザパワーにてマーキングを行う構成を提供している。
【0010】
上記構成を用いることにより、印字情報の部分にレーザ光が直接照射されて予備加熱されやすくなり、レーザマーキング装置とは別の加熱・冷却装置を用いることなく、この方法よりも迅速にレーザマーキング装置のみにより予備加熱を行うことができる。一方、このような構成が提供されている状況において、さらに上記構成の利点を生かしつつ、印字部分のみならずその周辺(近傍)の部分において予備加熱を一層迅速に行い、より効率良くマーキングを行いうる構成が望まれる。
【0011】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、被マーキング対象物上に文字・記号・図形等のマーキング情報をマーキングするレーザマーキング装置において、クラックの発生を低減ないし防止し、印字品質の優れたマーキングを効率的に行い得るレーザマーキング方法及び装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、
レーザ光源から出射されるレーザ光を、ガルバノミラーにより方向を変え、前記ガルバノミラーからのレーザ光を、収束レンズを通して被マーキング対象物上に照射することにより、この被マーキング対象物にレーザスポットを形成させ、所定のマーキング制御手段により前記レーザスポットを走査してマーキング動作を行うことで文字・記号・図形等のマーキング情報をマーキングするレーザマーキング装置におけるマーキング方法であって、
前記レーザ光源からのレーザ光路中に設けられた、前記レーザスポットのスポット径を可変するスポット径可変手段を用い、
被マーキング対象物上に照射される前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング動作を行う際のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な予備加熱用スポット径に設定して前記レーザ光を前記被マーキング対象物上に照射することで、マーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱し、
その後、前記スポット径可変手段により、前記スポット径を前記マーキング用スポット径に設定し、前記マーキング動作を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、
前記レーザ光源からの出力レベルを設定する出力レベル設定手段を備え、
前記マーキング動作に先立って、前記スポット径可変手段により前記レーザスポットのスポット径を前記予備加熱用スポット径に拡大させるとともに、前記出力レベル設定手段により、前記出力レベルを、マーキング動作を行う際のマーキング用出力レベルよりも低い予備加熱用出力レベルに設定し、
前記マーキング制御手段により、それら予備加熱用スポット径及び予備加熱用出力レベルを用いて前記レーザ光を前記被マーキング対象物上に照射してマーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱したのち、
前記スポット径可変手段により、前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング用スポット径に設定するとともに、前記出力レベル設定手段により出力レベルを前記マーキング用出力レベルに設定し、
それらマーキング用スポット径及びマーキング用出力レベルを用いて前記マーキング制御手段により走査を行い、前記マーキング情報を前記マーキング対象物上にマーキングすることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、
前記マーキング動作の後において、
前記スポット径可変手段により、前記レーザスポットのスポット径を、前記のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な徐冷用スポット径に設定し、
前記マーキング制御手段により、前記徐冷用スポット径に設定された前記レーザ光を、前記被マーキング対象物上におけるマーキングが施された部分に照射するように徐冷動作を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項4の発明は、レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源からのレーザ光の方向を変更するガルバノミラーと、
前記ガルバノミラーからのレーザ光を収束させ、被マーキング対象物上にレーザスポットを形成する収束レンズと、
前記レーザ光源を駆動制御するとともに、前記ガルバノミラーを駆動制御することにより、前記レーザスポットを走査して所定のマーキング動作を行うことで文字・記号・図形等のマーキング情報をマーキングするマーキング制御手段とを備えたレーザマーキング装置であって、
前記収束レンズを含む少なくとも1つ以上のレンズを備えて構成され、前記レーザスポットのスポット径を可変するスポット径可変手段が、前記レーザ光源からのレーザ光路中に設けられており、
前記マーキング制御手段は、前記マーキング動作に先立って、前記スポット径可変手段に対して第1処理信号を出力し、前記スポット径可変手段は、前記第1処理信号に基づいて、前記レーザスポットのスポット径を、前記マーキング動作を行う際のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な予備加熱用スポット径に設定し、この設定状態で、前記マーキング制御手段は、前記レーザを前記被マーキング対象物上に照射するように制御を行い、マーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱し、
この予備加熱後のマーキング動作時において、前記マーキング制御手段は、前記スポット径可変手段に対しマーキング動作実行信号を出力し、前記スポット径可変手段は、前記マーキング動作実行信号に基づいて、前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング動作を行う際のマーキング用スポット径に設定し、この設定状態で、前記マーキング制御手段により、前記マーキング動作が行われることを特徴とする。
【0016】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、
前記スポット径可変手段は、前記収束レンズを含む少なくとも1つ以上のレンズのうち、少なくともいずれかのレンズを光軸方向に移動させることに基づいて、前記スポット径を前記マーキング用スポット径に設定することを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明は、請求項5に記載のものにおいて、
前記スポット径可変手段は、
前記レーザ光源からのレーザ光のビーム径を変更する複数のレンズからなるビーム径拡大手段と、このビーム径拡大手段の前記複数のレンズのうちの少なくとも1つを移動レンズとして光軸方向に移動可能に構成されたレンズ移動手段とを有すると共に、
前記予備加熱の際には、前記第1処理信号に基づき、前記ビーム径拡大手段の前記移動レンズを前記レンズ移動手段により前記光軸方向に移動させることで、前記ビーム径の大きさ及び前記ビーム径の拡がり角のうちの少なくとも一方を変更させることにより前記レーザスポットのスポット径を前記予備加熱用スポット径に拡大し、
一方、前記マーキング動作の際には、前記マーキング動作実行信号に基づき、前記ビーム拡大手段の前記移動レンズを前記レンズ移動手段により前記光軸方向に移動させることで、前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング動作用スポット径に設定することを特徴とする。
【0018】
請求項7の発明は、請求項4ないし請求項6のいずれかに記載のものにおいて、
前記レーザ光源からのレーザ光の出力レベルを設定する出力レベル設定手段を備え、
前記マーキング制御手段は、
前記マーキング動作に先立って、前記レーザスポットのスポット径を前記予備加熱用スポット径に拡大させるように前記スポット径可変手段を制御すると共に、前記レーザ光の出力レベルを、前記マーキング動作の際のマーキング用出力レベルとは異なる、前記予備加熱用スポット径に応じた予備加熱用出力レベルとするように前記出力レベル設定手段を制御し、これら予備加熱用スポット径及び予備加熱用出力レベルに設定した状態で前記予備加熱を行い、
前記マーキング動作の際には、前記スポット径可変手段により前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング用スポット径に設定すると共に、前記出力レベル設定手段により前記レーザ光の出力レベルを前記マーキング用出力レベルに設定するように制御し、前記マーキング動作を行うことを特徴とする。
【0019】
請求項8の発明は、請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のものにおいて、
前記マーキング動作の後において、
前記マーキング制御手段は、前記スポット径可変手段に対し徐冷動作信号を出力し、
前記スポット径可変手段は、前記徐冷動作信号に基づいて、前記レーザスポットのスポット径を、前記のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な徐冷用スポット径に設定し、
この設定状態で、前記マーキング制御手段は、前記徐冷用スポット径に設定された前記レーザ光を、前記被マーキング対象物上におけるマーキングが施された部分に照射するように徐冷処理を行うことを特徴とする。
【0020】
請求項9の発明は、請求項4ないし請求項8のいずれかに記載のものにおいて、前記被マーキング対象物は、ガラス部材又は超硬化材質部材であることを特徴とする。
【0021】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
請求項1の構成によれば径の大きい予備加熱用スポット径を用いて被マーキング対象物上のマーキング情報の形成予定部分とその周辺部分とを効率よく予備加熱することができるので、クラック発生を抑制するために必要となる予備加熱に伴う加工時間や加工コストを効果的に低減でき、クラックの発生を低減ないし防止しつつ、迅速にマーキング処理を行うことができる。
【0022】
<請求項2の発明>
請求項2の構成によれば、レーザスポットのスポット径の変更と、レーザ光源の出力レベル設定との双方により、加熱度合を設定できるため、設定に関し自由度の高い構成となる。特に、レーザスポットのスポット径を変更するだけではマーキング不能とならないような使用状況、或いはスポット径を大きく変更できない使用状況などに対応することができ、様々な状況に効率的に対処できる構成となる。
【0023】
<請求項3の発明>
請求項3の構成によれば、マーキング動作によりマーキングされた部分が急激に冷やされることを抑制でき、急冷に起因するクラックの発生を効果的に防止することができる。
【0024】
<請求項4の発明>
請求項4の構成によれば、径の大きい予備加熱用スポット径を用いて被マーキング対象物上のマーキング情報の形成予定部分とその周辺部分とを効率よく予備加熱することができるので、クラック発生を抑制するために必要となる予備加熱に伴う加工時間や加工コストを効果的に低減でき、クラックの発生を低減ないし防止しつつ、迅速にマーキング処理を行うことができる好適装置となる。
【0025】
<請求項5の発明>
請求項5の構成によれば、レンズの移動によりスポット径の拡大が可能となるため、新たな特別な構成、或いは複雑な構成を用いずとも通常用いる光学系に工夫を施すことにより有用な効果が得られることとなる。
【0026】
<請求項6の発明>
請求項6の構成によれば、単にビーム径拡大手段における複数のレンズの光軸方向における位置を移動させることによりスポット径の変更を行っているため、複雑な構成をとらずともスポット径を可変し得る構成を簡単に実現できる。
【0027】
具体的には、例えば、収束レンズを変位させることによりスポット径を変更させようとした場合など比較して、収束レンズを光軸方向に移動させる際の、ガルバノミラーの光軸方向に対する位置や回動角度の補正等が必要でないので、構成を簡単化することができるという効果を生ずる。
【0028】
<請求項7の発明>
請求項7の構成によれば、レーザスポットのスポット径の変更と、レーザ光源の出力レベル設定との双方により、加熱度合を設定できるため、設定に関し自由度の高い構成となる。特に、レーザスポットのスポット径を変更するだけではマーキング不能とならないような使用状況、或いはスポット径を大きく変更できない使用状況などに対応することができ、様々な状況に効率的に対処できる好適装置となる。
【0029】
<請求項8の発明>
請求項8の構成によれば、マーキング動作によりマーキングされた部分が急激に冷やされることを抑制でき、急冷に起因するクラックの発生を効果的に防止することができる好適装置となる。
【0030】
<請求項9の発明>
炭素鋼等の鉄系材料などからなる超硬化材質部材、又はガラス材質からなるガラス部材などは特にクラックが生じやすいが、上記マーキング装置を適用することにより、このようなマーキングが行いにくいものにおいて効果的にマーキングが行える構成となる。
【0031】
さらに、請求項1又は請求項2に記載のレーザマーキング装置のマーキング方法、若しくは請求項3ないし請求項6のいずれかに記載のレーザマーキング装置において、前記予備加熱の際には、前記マーキング情報に基づき、マーキング動作時の走査軌跡に沿って走査を行うことにより、マーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱するように構成できる。
このようにマーキング走査軌跡に沿って走査を行うことにより、効率的に予備加熱できる。具体的には、例えばマーキング動作として文字のマーキングが予定される場合には、その文字をマーキングする際の走査軌跡と同一の走査軌跡に沿って予備加熱時の走査を行うようにすれば(換言すれば、予備加熱に照射された部分をなぞるようにしてマーキング動作を行うようにすれば)、予備加熱が必要となる部分を極めて効率的に加熱でき、もって予備加熱動作の時間短縮等を図ることが可能となる。
【0032】
請求項1ないし請求項3に記載のマーキング方法、若しくは請求項4、請求項7、8、9のいずれかに記載のレーザマーキング装置において、
前記ガルバノミラーとして曲率可変ミラーを用い、
前記スポット径可変手段は、前記曲率可変ミラーの曲率を変更することに基づいて、前記レーザスポットのスポット径を設定するように構成することができる。
【0033】
請求項1ないし請求項3に記載のマーキング方法、若しくは請求項4、請求項7、8、9のいずれかに記載のレーザマーキング装置において、
前記収束レンズを含む少なくとも1つ以上のレンズのうち、少なくともいずれかのレンズを曲率可変レンズとして構成し、この曲率可変レンズの曲率を変更することに基づいて前記レーザスポットのスポット径を設定するように構成してもよい。
【0034】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るレーザマーキング装置について図1乃至図8を参照しつつ説明する。図1は、第1実施形態のレーザマーキング装置の構成を概念的に示すブロック図である。この図におけるレーザマーキング装置1は、主として、例えば波長4.8μm以上のレーザ光を出射する赤外線レーザ等として構成されるレーザ光源210(本実施形態の例では、波長10.6μmの炭酸ガス(CO2)レーザ等が用いられる)と、レーザ光源210からのレーザ光の方向を変更するガルバノミラー220と、ガルバノミラー220からのレーザ光を収束させ、被マーキング対象物上にレーザスポットを形成する収束レンズ(fθレンズ720)とを備えた構成をなしている。さらに、レーザ光源210を駆動制御するとともに、ガルバノミラー220を駆動制御することにより、レーザスポットを走査して所定のマーキング動作を行うことで文字・記号・図形等のマーキング情報をマーキングするように構成されており、制御手段130がこのようなマーキング制御を行うマーキング制御手段に相当する。
【0035】
上記のレーザマーキング装置1は、主としてコントローラ部100とヘッド部200とからなり、以下、各々の構成について詳述する。
コントローラ部100には、被マーキング対象物として例えばガラス等のクラック発生材質からなるワーク300上にマーキングする文字・記号・図形等のマーキング情報を入力する入力手段110としてコンソール(パソコンのキーボードなどであってもよい)が設けられており、さらにこのコンソール(入力手段110)から入力されるマーキング情報に基づいて、複数の座標データを得る第1処理手段121と、第2処理手段122とを備えたデータ生成手段120が設けられている。第1処理手段と第2処理手段の具体的な機能は後述するが、これらはそれぞれCPUにより構成されており、各々を別々のCPUにより構成してもよく、同一のCPUに双方の機能をもたせるようにしてもよい。
【0036】
さらに、コントローラ部100には、データ生成手段120で生成された複数の座標データを格納する記憶手段140が設けられており、制御手段130は、記憶手段140に格納される複数の座標データを順番に出力させると共に、それら複数の座標データが、始点および終点である端点の座標データであるか否かを認識し、複数の座標データの出力、および、レーザ光源のON/OFF等を制御するように構成されている。また、ヘッド部200と座標データ等の信号の送受信を行うためのラインドライバ及びラインレシーバ(以下ラインドライバ/レシーバ50Aと称する)が備えられている。
【0037】
一方、ヘッド部200には、コントローラ部100と座標データ等の信号の送受信を行うラインドライバ及びラインレシーバ(以下ラインドライバ/レシーバ50Bと称する)が設けられており、さらに、上述したレーザ光源210と、このレーザ光源210からのレーザ光のビーム径を拡大するビーム径拡大手段であるビームエキスパンダ710と、ビームエキスパンダ710でビーム径を拡大されて出射されたレーザ光の方向を変える上述のガルバノミラー220と、このガルバノミラー220からのレーザ光をワーク300上に照射することによって、ワーク300上にレーザスポットを形成する収束レンズ(fθレンズ720)とが設けられている。また、コントローラ部100の記憶手段140からラインドライバ/レシーバ50Bを介して送られてきた複数の座標データを、それぞれに対応する電圧に変換するD/A変換手段230と、このD/A変換手段230からの電圧に基づいて、ガルバノミラー220を駆動制御するサーボ回路240とを備え、さらに、D/A変換手段230からの各座標データに対応する電圧及びガルバノミラー220の駆動量に対応する電圧に基づいて、端点の座標データに対する、レーザ光の照射位置の接近状態を検出する接近状態検出手段250を備えている。
【0038】
ガルバノミラー220は、一方向にレーザ光の方向を変えるX軸ガルバノミラー220Xと、このX軸方向と直交する方向にレーザ光の方向を変えるY軸ガルバノミラー220Yとから構成されており、この2つのガルバノミラーを駆動することによりレーザ光を2次元方向に走査する構成をなしている。
【0039】
次に、マーキング時及び予備加熱時における各部品の機能について説明する。
マーキング処理を行う場合には、マーキングする文字・記号・図形等のマーキング情報がコンソール(入力手段110)によって入力される。コンソールは入力手段110に加え、表示部を有する図示しない出力装置を兼ね備えており、入力されたマーキング情報が表示部によって確認できるので、この表示を見ながらマーキング情報を入力されることとなる。
【0040】
コンソール110からマーキングデータ生成開始のトリガ信号が入力されると、このトリガ信号を受けて、データ生成手段120の第1処理手段121(CPU)では、入力されたマーキング情報に対し、マーキング情報である文字・図形・記号を構成する線分要素に分解し、始点および終点の座標データを得る。また、この線分要素が直線であるのか曲線であるのかという線種の情報もこの座標データの中に含まれている。
【0041】
データ生成手段120の第2処理手段122(CPU)では、第1処理手段121からの座標データを受け取ると制御手段130に格納開始信号を出力し、制御手段130はこの信号を受けて、記憶手段140内のメモリ142を座標データの書き込みが可能な状態(書き込みモード)にセットする。第1処理手段121からのこれらの座標データの情報を元にして、第2処理手段122では、各線分要素を、始点から終点までの間を更に細かく分解し、始点及び終点とを含めた複数の軌跡点の座標データを演算して求め、それぞれの座標データにアドレスを付してメモリ142に順次格納していく。このとき生成された軌跡点の座標データには、それが始点の座標データであるのか、終点の座標データであるのか、あるいは、中点の座標データであるのかという点データの情報も含まれている。
【0042】
そして、制御手段130は、図示しない、外部からのマーキング開始のトリガ信号が入力されることに伴い、メモリ142に格納されたこれら座標データを出力する際に、メモリ142をデータを読み出し可能な状態(読み出しモード)にセットすると共に、記憶手段140内にあるカウンタ141にカウンタ制御信号を出力する。カウンタ141はこの制御信号を受けてメモリ142のアドレスを順次カウントしていき座標データを読み出し、出力する。メモリ142から出力された座標データは、コントローラ部100のラインドライバ/レシーバ50Aからヘッド部200のラインドライバ/レシーバ50Bを介して、D/A変換手段230へ送出されると共に、制御手段130にも送出される。
【0043】
制御手段130では、ラインドライバ/レシーバ50Aから送出された座標データが、始点の座標データであるのか、終点の座標データであるのかに基づき、後述するレーザ制御信号であるON/OFF信号をレーザ光源210へ出力し、レーザ光源210はこの制御信号を受けてレーザ光をON/OFFさせる。D/A変換手段230では、送出されてきた座標データを電圧に変換してサーボ回路240へ出力すると共に、接近状態検出手段250に備えられた、第1の判別手段であるウィンドウコンパレータ253にも出力している。
【0044】
サーボ回路240ではこの電圧を受けて回路を駆動させるとともに、ガルバノミラー220の角度制御を行っており、これによってガルバノミラー220の角度が変化して、レーザ光源210からのレーザ光の方向を制御することで、ワーク300上に照射されるレーザ光を2次元的に走査する。サーボ回路240内には角度検出手段251が備えられており、この角度検出手段251はガルバノミラー220の角度を検出して、この角度に対応した電圧をサーボ回路240内にフィードバックすると共に、この電圧をウィンドウコンパレータ253にも出力している。
【0045】
また、サーボ回路240内には速度検出手段である微分回路252も備えられており、この微分回路252は角度検出手段251からの電圧をガルバノミラー220の走査速度に対応した電圧に変換して、サーボ回路240内にフィードバックすると共に、この電圧を接近状態検出手段250に備えられている第2の判別手段であるコンパレータ254にも出力している。
【0046】
ウィンドウコンパレータ253では、入力されたD/A変換手段230からの電圧に対する、角度検出手段251からの電圧の差を、所定の第1の基準電圧と比較し、その結果を第1の2値化信号で出力し、この第1の2値化信号はヘッド部200のラインドライバ/レシーバ50Bからコントローラ部100のラインドライバ/レシーバ50Aを介して制御手段130へと入力される。また、コンパレータ254では、入力された微分回路252からの電圧が所定の第2の基準電圧と比較し、その結果を第2の2値化信号で出力し、この第2の2値化信号もヘッド部200のラインドライバ/レシーバ50Bからコントローラ部100のラインドライバ/レシーバ50Aを介して制御手段130へと入力される。
【0047】
制御手段130では、メモリ142からラインドライバ50Cを介して送出された座標データが、始点及び終点の座標データであった場合に、この2値化信号を受け入れて、D/A変換手段230からの電圧に対する角度検出手段251からの電圧の差が所定の第1の基準電圧以内であって、かつ、微分回路252からの電圧が所定の第2の基準電圧以内の時に、順次座標データを送出するようにして、それ以外の判別結果の時は、メモリ142のアドレスをカウントしているカウンタ141をこの始点、或いは終点の座標データのアドレスで繰り返しカウントさせるようにする。
【0048】
また、制御手段130では、メモリ142からラインドライバ/レシーバ50Aを介して送出された座標データが、始点の座標データであった場合には、この2値化信号を受け入れて、D/A変換手段230からの電圧に対する角度検出手段251からの電圧の差が所定の第1の基準電圧以内であって、かつ、微分回路252からの電圧が所定の第2の基準電圧以内の時に、順次座標データを送出するわけだが、この際に、メモリ142のアドレスをカウントアップして、次の座標データを送出すると共に、レーザ光源210にレーザ制御信号(ON信号)を与え、レーザ光を出射させる。一方、メモリ142からラインドライバ50を介して送出された座標データが、終点の座標データであった場合には、この2値化信号を受け入れて、D/A変換手段230からの電圧に対する角度検出手段251からの電圧の差が所定の第1の基準電圧以内であって、かつ、微分回路252からの電圧が所定の第2の基準電圧以内の時に、レーザ光源210にレーザ制御信号(OFF信号)を与え、レーザ光をOFFする。
【0049】
次に、予備加熱動作及びマーキング動作について説明する。
本実施形態では、収束レンズを含む少なくとも1つ以上のレンズを備えて構成されると共に、このレンズを光軸方向に移動させることに基づいてレーザスポットのスポット径を可変するスポット径可変手段が、レーザ光源からのレーザ光路中に設けられた構成をなしている。ここでのスポット径拡大手段は、図4及び図5にて概念的に示されるように、レーザ光源210からのレーザ光のビーム径を変更する複数のレンズからなるビームエキスパンダ710(本実施形態ではビームエキスパンダ710がビーム径拡大手段に相当する)と、このビームエキスパンダ710の複数のレンズのうちの少なくとも1つを移動レンズとして光軸方向に移動可能に構成されたレンズ移動手段とを有した構成をなし、このレンズの移動によりワーク300に照射されるスポット径を図2に示すような予備加熱時と図3に示すようなマーキング動作時で異ならせている。以下、予備加熱動作及びマーキング動作についてそれぞれ具体的に説明する。
【0050】
(予備加熱動作)
本実施形態ではマーキング動作に先立って予備加熱動作が行われるが、この予備加熱の際には、図1に示す制御手段130からスポット径可変手段に対して第1処理信号が出力され、このスポット径可変手段は、第1処理信号に基づいて、レンズを光軸方向に移動して、レーザスポットのスポット径を、マーキング動作を行う際のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な予備加熱用スポット径D1に設定する(図5(A)参照)。そして、この設定状態で、図2のようにレーザ光をワーク300上に照射するように制御が行われ、図2(A)及び(B)の加熱部3のように、マーキングが予定される部分とその周辺が予備加熱されることとなる。
【0051】
具体的には、第1処理信号に基づき、ビームエキスパンダ710に設けられたレンズをレンズ移動手段により光軸方向に移動させることで、ビーム径の大きさ及びビーム径の拡がり角のうちの少なくとも一方を増大させ、これによりレーザスポットのスポット径を予備加熱用スポット径に拡大する。ビーム径拡大手段であるビームエキスパンダ710は、複数のレンズから成る複合レンズ系であり、互いの離間距離により総合的にビームエキスパンダから出射されるレーザ光のビーム幅や出射角度が変更されようになっており、図4及び図5では、説明を簡略化するために2枚のレンズ710A,710Bを用いて擬似的に説明している。
図5の例では、ビームエキスパンダ710内の発散レンズ(拡大レンズ710A)と収束レンズ(コリメータレンズ710B)との光軸方向における位置(つまり、お互いの離間距離)を、レンズ移動手段により変化させることで、レーザ光源210からのレーザ光のビーム径の大きさを変更するようにしており、このレーザ光の経路をLにて概念的に示している。なお、レンズ移動手段は例えば少なくとも一方のレンズを駆動するための駆動機構と、駆動制御回路を備えて構成でき、例えばサーボ回路などを用いた自動制御により駆動を行うことができる。
【0052】
詳細には、図5(A)に示すように、予備加熱動作において、ビームエキスパンダ710から出射されるビーム径を、実際にマーキングをする際のビーム径(図5(B)参照)よりも細いビーム径にする。このようにビームエキスパンダ710から出射されるビーム径を細経とすることで、最終的に収束レンズであるfθレンズ720を通してワーク300上にレーザスポットが形成されるわけであるが、fθレンズ720から出射されたレーザ光の焦点距離はマーキング動作時と変わらずワーク300上にレーザビーム幅の最も小さくなる焦点が位置することになる。
【0053】
但し、光をレンズにより収束させる際に、ビーム径が大きいほど焦点位置において鮮明となり、より小さいスポットで収束させることができ、ビーム径が小さくなると小さいスポットに絞りきれなくなるため、レーザスポットが大きくなる。この現象を利用して、マーキング動作時のスポット径D2よりも大きなマーキング不能な予備加熱用スポット径D1に設定し、図2に示すように、マーキング情報である文字・記号・図形等(この場合「A」)についてワーク300上で1回走査ないし複数回走査する。
【0054】
このとき、図2(A)に示すように、マーキング情報である文字・記号・図形等(この場合「A」)を走査するが、マーキング不能なスポット径の大きなレーザスポットであるので、図2(B)に示すようにガラス部材からなるワーク300表面を加熱してマーキング情報である「A」とその周辺の加熱がなされ、実際のマーキングはなされない。
【0055】
(マーキング動作)
予備加熱後のマーキング動作時において、マーキング制御手段としての制御手段130は、スポット径可変手段に対しマーキング動作実行信号を出力し、スポット径可変手段は、このマーキング動作実行信号に基づいて、レンズを光軸方向に移動させて、レーザスポットのスポット径をマーキング動作を行う際のマーキング用スポット径に設定する。そして、この設定状態で、図3のようにマーキング動作が行われることとなる。
【0056】
本実施形態では、制御手段130によりスポット径可変手段700に対しマーキング動作実行信号が出力され、このマーキング動作実行信号に基づき、図5(B)のようにビームエキスパンダ710の発散レンズ(拡大レンズ710A)と収束レンズ(コリメータレンズ710B)の双方ががレンズ移動手段により光軸方向に移動されることで、レーザスポットのスポット径が縮小してマーキング可能なマーキング動作用スポット径D2に設定される。マーキング動作用スポット径D2に設定された状態で、レーザ光源210からのレーザ光により再び「A」の箇所を走査することにより、先立って予備加熱された「A」の部分において図3のようにワーク300にマーキングが施される。
【0057】
なお、本実施形態においては、実際のマーキング動作を終えると、図2に示すように、再びスポット径可変手段700によりレーザスポットのスポット径をマーキング時のスポット径よりも大きなマーキング不能なスポット径として、「A」の文字の部分を、再び1回または複数回走査することで、マーキングしたマーキング情報の部分(ここでは「A」の部分)を徐々に冷やすように冷却期間(徐冷期間)を設けている。これにより、マーキング動作によりマーキングされた部分(即ち文字「A」)が急激に冷やされることがないので、よりクラックの発生を防止することができる。
【0058】
また、本実施形態では、この予備加熱の動作をマーキング動作に先立って行うものとしているが、ここで「マーキング動作」とは、設定されるマーキング情報を「印字単位」で区切ってマーキングする際の「印字単位」での動作を意味しており、例えば、図6(A)〜(D)に示すような「線分単位」であり、或いは図7のような「文字(記号・図形)単位」であり、若しくは図8のような「文字列(記号列・図形群)単位」でもあり、要は、予備加熱を行ってからマーキング動作を実施するまでに予備加熱した部分の熱が冷めないような時間で決定されるものであって、マーキング速度やワークの吸熱・放熱との関係により適宜定められるものである。
【0059】
図6の線分単位での印字方法は、例えば直線或いは曲線を所定領域予備加熱した後、その予備加熱された領域にわたりマーキング動作を行い、これを繰り返すようにして文字、記号、図形等をマーキングする方法である。図7の文字単位での印字方法は、文字、記号、図形を1文字予備加熱した後、その予備加熱された1文字の印字を行うようにしてこれを繰り返し、文字、記号、図形等をマーキングする方法である。また、図8の文字列単位での印字方法は、文字列毎に予備加熱動作とマーキング動作をそれぞれ行い、これを繰り返すようにして印字を行う方法である。例えば、冷却が早い環境下では線分単位での印字が有効であり、スピード向上を図る場合には文字列単位の印字が有効である。
【0060】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図9によって説明する。
第1実施形態では、スポット径可変手段700としてビーム径拡大手段であるビームエキスパンダ710のレンズを移動させることに基づいて、レーザ光源210からのレーザ光のビーム幅を小さくすることでワークに照射されるレーザスポットのスポット径を拡大するものであったが、第2実施形態では、ビームエキスパンダ710のレンズを可動させることに基づいて、レーザ光源210からのレーザ光のビーム出射角度を小さく、或いは、大きくすることで(図9の例では出射角度を拡大している)ワークに照射されるレーザスポットのスポット径を拡大するように構成されており、このビームエキスパンダに係る構成以外は第1実施形態と同様である。図9の例では、fθレンズ720からの焦点距離が変わるように収束レンズ(コリメータレンズ710B)の位置制御を行い、焦点ずらしにより、ワーク300上のレーザスポットのスポット径を拡大させている。
【0061】
<第3実施形態>
図10及び図11は本発明の第3実施形態を示す。
第1及び第2実施形態では、スポット径可変手段700としてビーム径拡大手段であるビームエキスパンダ710のレンズを可動させることに基づいて、ワークに照射されるレーザスポットのスポット径を拡大するものであったが、第3実施形態では、図10に示すように、収束レンズであるfθレンズ720を移動レンズとしてスポット径可変手段を構成し、これを移動させることで図11に示すようにレーザスポットのスポット径を拡大するようにしている。なお、レンズを移動させるためのレンズ移動手段は第1実施形態と同様に、駆動機構及び駆動回路などを用いて構成できる。また、第1実施形態又は第2実施形態のものに第3実施形態を組み合わせた構成としてもよい。この場合、ビームエキスパンダ710及びfθレンズ720の両方を総合的に移動させるようにしてスポット径の拡大、縮小を行うことができる。
【0062】
なお、上記第1ないし第3のいずれの実施形態においても、レーザ光源からの出力レベルを設定する出力レベル設定手段を設け、以下のように構成してもよい。即ち、マーキング動作に先立って、上記のようにスポット径可変手段700によりレーザスポットのスポット径を予備加熱用スポット径D1に拡大させるとともに、出力レベル設定手段により、レーザ光の出力レベルを、マーキング動作を行う際のマーキング用出力レベルよりも低い予備加熱用出力レベルに設定し、それら予備加熱用スポット径及び予備加熱用出力レベルを用いてレーザ光を被マーキング対象物上に照射してマーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱したのち、スポット径可変手段700により、レーザスポットのスポット径をマーキング用スポット径D2に設定するとともに、出力レベル設定手段により出力レベルをマーキング用出力レベルに設定し、その状態でマーキング動作を行うようにすることができる。上記第1ないし第3実施形態においては、制御手段130を出力レベル設定手段として機能させることができ、具体的には制御手段130からレーザ光源210に対し出力レベルを制御するための制御信号を送信するように構成でき、例えば、予備加熱用出力レベルに制御する第1制御信号及びマーキング用出力レベルに制御する第2制御信号がそれぞれ送信されるように構成できる。なお、ここでは予備加熱時にマーキング時よりも低い出力レベルとしているが、加熱状況に応じて高い出力レベルとしても良い。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)本実施形態では、マーキング動作終了後に、出力レベルを落として再度、マーキング箇所を走査する冷却期間を設けていたが、この限りではなく、この冷却期間を設けない構成であっても良い。ただし、冷却期間を設けていれば、マーキング動作によりマーキングされた文字・記号・図形等の部分が急激に冷やされることがないから、クラックの発生を防止する効果を更に向上することができる。
(2)本実施形態では、レーザ光源に、ガラスを透過しない波長4.8μm以上の赤外線レーザを例として、経済性等も配慮した波長10.6μmの炭酸ガスのCO2レーザを用いる構成であったが、この限りではなく、ガラスを透過しないレーザであればよく、波長の非常に短い領域の紫外線領域のレーザ光を用いても良い。
(3)本実施形態では、加熱期間として、マーキングする文字・記号・図形等のマーキング情報を、1スキャン(1回走査)して、ガラス部材のマーキング箇所を加熱する構成であったが、この限りではなく、例えば、このマーキング情報を複数回スキャン(走査)することで加熱する構成であっても良い。なお、冷却(除冷)期間についても同様である。
(4)本実施形態では、予備加熱の際に、マーキング動作時に予定される走査軌跡に沿って走査を行うことにより、マーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱するように構成しているが、このようにせずに、例えば図12に示すようにマーキングが予定される領域において文字全体を網羅するようにレーザ光を照射を行うようにしてもよい。
(5)上記実施形態では、所定のレンズ(ビームエキスパンダや収束レンズなど)を移動させることによりスポット径を変更させる構成としたが、ガルバノミラーの少なくとも一部として曲率可変ミラーを用い、曲率可変ミラーの曲率を変更することに基づいて、レーザスポットのスポット径を設定するようにスポット径可変手段を構成してもよい。また、収束レンズを含む少なくとも1つ以上のレンズのうち、少なくともいずれかのレンズを曲率可変レンズとして構成し、この曲率可変レンズの曲率を変更することに基づいてレーザスポットのスポット径を設定するように構成してもよい。なお、曲率可変ミラーや曲率可変レンズの曲率を電子制御により可変する構成は公知であるので詳細な説明は省略するが、例えば、特開平11−72605号公報、特開2000−158172公報、特開2000−84689公報、特許第3138613号公報に示されるような曲率可変ミラー、曲率可変レンズを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係るレーザマーキング装置の構成を概念的に示すブロック図
【図2】予備加熱動作を概念的に説明する説明図
【図3】マーキング動作を概念的に説明する説明図
【図4】スポット径の変更方法を概念的に説明する説明図
【図5】図4に続く説明図
【図6】予備加熱動作の一例を説明する説明図
【図7】図6の別例1を示す図
【図8】図6の別例2を示す図
【図9】第2実施形態に係るレーザマーキング装置の要部機能を概念的に説明する説明図
【図10】第3実施形態に係るレーザマーキング装置の要部機能を概念的に説明する説明図
【図11】図10に続く説明図
【図12】図6とは異なる走査方法を用いた予備加熱工程について説明する説明図
【符号の説明】
1…レーザマーキング装置
130…制御手段(マーキング制御手段、出力レベル設定手段)
210…レーザ光源
220…ガルバノミラー
300…ワーク(被マーキング対象物)
710…ビームエキスパンダ(ビーム径拡大手段、スポット径可変手段)
720…Fθレンズ(収束レンズ)
Claims (9)
- レーザ光源から出射されるレーザ光を、ガルバノミラーにより方向を変え、前記ガルバノミラーからのレーザ光を、収束レンズを通して被マーキング対象物上に照射することにより、この被マーキング対象物にレーザスポットを形成させ、所定のマーキング制御手段により前記レーザスポットを走査してマーキング動作を行うことで文字・記号・図形等のマーキング情報をマーキングするレーザマーキング装置におけるマーキング方法であって、
前記レーザ光源からのレーザ光路中に設けられた、前記レーザスポットのスポット径を可変するスポット径可変手段を用い、
被マーキング対象物上に照射される前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング動作を行う際のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な予備加熱用スポット径に設定して前記レーザ光を前記被マーキング対象物上に照射することで、マーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱し、
その後、前記スポット径可変手段により、前記スポット径を前記マーキング用スポット径に設定し、前記マーキング動作を行うことを特徴とするレーザマーキング装置のマーキング方法。 - 前記レーザ光源からの出力レベルを設定する出力レベル設定手段を備え、
前記マーキング動作に先立って、前記スポット径可変手段により前記レーザスポットのスポット径を前記予備加熱用スポット径に拡大させるとともに、前記出力レベル設定手段により、前記出力レベルを、マーキング動作を行う際のマーキング用出力レベルよりも低い予備加熱用出力レベルに設定し、
前記マーキング制御手段により、それら予備加熱用スポット径及び予備加熱用出力レベルを用いて前記レーザ光を前記被マーキング対象物上に照射してマーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱したのち、
前記スポット径可変手段により、前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング用スポット径に設定するとともに、前記出力レベル設定手段により出力レベルを前記マーキング用出力レベルに設定し、
それらマーキング用スポット径及びマーキング用出力レベルを用いて前記マーキング制御手段により走査を行い、前記マーキング情報を前記マーキング対象物上にマーキングすることを特徴とする請求項1に記載のレーザマーキング装置のマーキング方法。 - 前記マーキング動作の後において、
前記スポット径可変手段により、前記レーザスポットのスポット径を、前記のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な徐冷用スポット径に設定し、
前記マーキング制御手段により、前記徐冷用スポット径に設定された前記レーザ光を、前記被マーキング対象物上におけるマーキングが施された部分に照射するように徐冷動作を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレーザマーキング装置のマーキング方法。 - レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光源からのレーザ光の方向を変更するガルバノミラーと、
前記ガルバノミラーからのレーザ光を収束させ、被マーキング対象物上にレーザスポットを形成する収束レンズと、
前記レーザ光源を駆動制御するとともに、前記ガルバノミラーを駆動制御することにより、前記レーザスポットを走査して所定のマーキング動作を行うことで文字・記号・図形等のマーキング情報をマーキングするマーキング制御手段とを備えたレーザマーキング装置であって、
前記収束レンズを含む少なくとも1つ以上のレンズを備えて構成され、前記レーザスポットのスポット径を可変するスポット径可変手段が、前記レーザ光源からのレーザ光路中に設けられており、
前記マーキング制御手段は、前記マーキング動作に先立って、前記スポット径可変手段に対して第1処理信号を出力し、前記スポット径可変手段は、前記第1処理信号に基づいて、前記レーザスポットのスポット径を、前記マーキング動作を行う際のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な予備加熱用スポット径に設定し、この設定状態で、前記マーキング制御手段は、前記レーザを前記被マーキング対象物上に照射するように制御を行い、マーキングが予定される部分とその周辺を予備加熱し、
この予備加熱後のマーキング動作時において、前記マーキング制御手段は、前記スポット径可変手段に対しマーキング動作実行信号を出力し、前記スポット径可変手段は、前記マーキング動作実行信号に基づいて、前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング動作を行う際のマーキング用スポット径に設定し、この設定状態で、前記マーキング制御手段により、前記マーキング動作が行われることを特徴とするレーザマーキング装置。 - 前記スポット径可変手段は、前記収束レンズを含む少なくとも1つ以上のレンズのうち、少なくともいずれかのレンズを光軸方向に移動させることに基づいて、前記スポット径を前記マーキング用スポット径に設定することを特徴とする請求項4に記載のレーザマーキング装置。
- 前記スポット径可変手段は、
前記レーザ光源からのレーザ光のビーム径を変更する複数のレンズからなるビーム径拡大手段と、このビーム径拡大手段の前記複数のレンズのうちの少なくとも1つを移動レンズとして光軸方向に移動可能に構成されたレンズ移動手段とを有すると共に、
前記予備加熱の際には、前記第1処理信号に基づき、前記ビーム径拡大手段の前記移動レンズを前記レンズ移動手段により前記光軸方向に移動させることで、前記ビーム径の大きさ及び前記ビーム径の拡がり角のうちの少なくとも一方を変更させることにより前記レーザスポットのスポット径を前記予備加熱用スポット径に拡大し、
一方、前記マーキング動作の際には、前記マーキング動作実行信号に基づき、前記ビーム拡大手段の前記移動レンズを前記レンズ移動手段により前記光軸方向に移動させることで、前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング動作用スポット径に設定することを特徴とする請求項5に記載のレーザマーキング装置。 - 前記レーザ光源からのレーザ光の出力レベルを設定する出力レベル設定手段を備え、
前記マーキング制御手段は、
前記マーキング動作に先立って、前記レーザスポットのスポット径を前記予備加熱用スポット径に拡大させるように前記スポット径可変手段を制御すると共に、前記レーザ光の出力レベルを、前記マーキング動作の際のマーキング用出力レベルとは異なる、前記予備加熱用スポット径に応じた予備加熱用出力レベルとするように前記出力レベル設定手段を制御し、これら予備加熱用スポット径及び予備加熱用出力レベルに設定した状態で前記予備加熱を行い、
前記マーキング動作の際には、前記スポット径可変手段により前記レーザスポットのスポット径を前記マーキング用スポット径に設定すると共に、前記出力レベル設定手段により前記レーザ光の出力レベルを前記マーキング用出力レベルに設定するように制御し、前記マーキング動作を行うことを特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載のレーザマーキング装置。 - 前記マーキング動作の後において、
前記マーキング制御手段は、前記スポット径可変手段に対し徐冷動作信号を出力し、
前記スポット径可変手段は、前記徐冷動作信号に基づいて、前記レーザスポットのスポット径を、前記のマーキング用スポット径よりも大きい、マーキング不能な徐冷用スポット径に設定し、
この設定状態で、前記マーキング制御手段は、前記徐冷用スポット径に設定された前記レーザ光を、前記被マーキング対象物上におけるマーキングが施された部分に照射するように徐冷処理を行うことを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のレーザマーキング装置。 - 前記被マーキング対象物は、ガラス部材又は超硬化材質部材であることを特徴とする請求項4ないし請求項8のいずれかに記載のレーザマーキング装置。
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