JP2005046240A - 医療用キャップ - Google Patents
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Abstract
【課題】ボトル中の薬液の密閉性を向上させ、また栓体と外枠体との外れや、針抜けを防止する手段を有する医療用キャップを提供する。
【解決手段】外枠体1とエラストマー樹脂の栓体2とを備える医療用キャップであって、前記外枠体1は断面略L字形状であり、当該外枠体1の内壁11に、第一内周部(大径部)12、第二内周部13(小径部)及び第一内周部12と前記第二内周部13を繋ぐ段部14とを備えており、前記栓体2は断面略凸形状であって、当該栓体の外壁側面部21が、前記外枠体内壁11に嵌合する形状を有しており、前記外枠体内壁11と前記栓体の外壁側面部21とが、両者の接触面全体に渡って合着されていることを特徴とするキャップである。なかでも外枠体1が、段部14と第二内周部13とが交差する部位の円周上に、内側栓体方向に伸びる襞部15を有するものであることが好ましい。
【選択図】図2
【解決手段】外枠体1とエラストマー樹脂の栓体2とを備える医療用キャップであって、前記外枠体1は断面略L字形状であり、当該外枠体1の内壁11に、第一内周部(大径部)12、第二内周部13(小径部)及び第一内周部12と前記第二内周部13を繋ぐ段部14とを備えており、前記栓体2は断面略凸形状であって、当該栓体の外壁側面部21が、前記外枠体内壁11に嵌合する形状を有しており、前記外枠体内壁11と前記栓体の外壁側面部21とが、両者の接触面全体に渡って合着されていることを特徴とするキャップである。なかでも外枠体1が、段部14と第二内周部13とが交差する部位の円周上に、内側栓体方向に伸びる襞部15を有するものであることが好ましい。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液ボトル等に用いる医療用キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、針で輸液ボトル等からその薬液等を取り出せるようにするため、合成樹脂製の外枠体の内側に、針刺し用のゴムまたはエラストマー樹脂性の栓体を設けたキャップが用いられる。この栓体と外枠体からなるキャップは、略円筒形状の外枠体に栓体を組み込んで用いられている。特に、栓体が合成樹脂エラストマーの栓体の場合、外枠体の内側にエラストマー樹脂の栓体の表面を単に溶着して外枠体に一体化させている。
【0003】
従って、従来のキャップは、栓体と外枠体との密着が十分でない場合がある。
このようなキャップにおいては、針の抜き差しによって栓体と外枠体の位置がずれ、薬液の密閉性に影響を与え、針を抜く際に一緒に栓体が外れてしまう場合があった。この点を改善すべく、外枠体の内壁面に栓体の側壁に対して突出する凸条又は凸部を設ける医療用キャップ等が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−169840公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の構成の場合、栓体と外枠体との密着が未だ十分でない。特に栓体と外枠体とをコンプレッション成形体として一体成形する場合、外枠体の内壁面に栓体の側壁に対して突出する凸条又は凸部を設けることは困難である。
【0006】
本発明の目的は、栓体と外枠体とをコンプレッション成形体として一体成形する場合であっても、栓体と外枠体との密着が確保され、針の抜き差しによって栓体と外枠体の位置がずれ、薬液の密閉性に影響を与え、針を抜く際に一緒に栓体が外れてしまうことがない医療用キャップを提供するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の手段を採ることとした。
【0008】
すなわち本発明は、
合成樹脂製の外枠体と、熱可塑性エラストマー樹脂の栓体とを備える医療用キャップであって、
前記外枠体は断面略L字形状であって、当該外枠体の内壁が、針の刺し入れ方向と水平方向に、大径部の側壁である第一内周部及び小径部の側壁である第二内周部を有し、針の差し入れ方向とほぼ垂直方向に、前記第一内周部の端部から前記第二内周部の端部に向かって伸びる段部とを備えており、
前記栓体は断面略凸形状であって、当該栓体の外壁側面部が、前記外枠体内壁に嵌合する形状を有しており、
前記外枠体内壁と前記栓体の外壁側面部とが、両者の接触面全体に渡って合着されていることを特徴とする医療用キャップの発明である。
【0009】
なかでも前記外枠体が、前記外枠体内壁の段部と第二内周部とが交差する部位の円周上に、内側栓体方向に伸びる襞部を有し、この方向性を有する襞部が栓体に突き刺した状態で栓体と襞部が成形一体化していることが好ましい。
【0010】
更に前記襞部が、前記外枠体内壁の段部と第二内周部とが交差する部位の円周上の全周に渡って連続しているものであることが好ましい。
【0011】
若しくは前記襞部が、前記外枠体内壁の段部と第二内周部とが交差する部位の円周上の等分位置に、複数存在するものであってもよい。
【0012】
更に前記襞部が、針の差し入れ方向から内側栓体方向に10〜80度の角度θを有していることが好ましい。
【0013】
また、前記医療用キャップの前記外枠体と前記栓体とがコンプレッション成形で一体成形されているものであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて発明を更に詳細に述べる。
【0015】
図1は本発明の医療用キャップの具体例である。図1(a)はキャップの上部からの観察図、図1(b)はキャップの断面側面図、図1(c)はキャップの下部からの観察図である。
【0016】
本発明のキャップは、合成樹脂製の外枠体1と、熱可塑性エラストマー樹脂の栓体2とからなる。外枠体1の合成樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET樹脂等従来医療用に用いられている樹脂が好ましいが、これらに限られるものではない。栓体2の熱可塑性エラストマー樹脂の例としては、オレフィン系、スチレン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニール系、ポリブタジエン系などのエラストマー樹脂を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0017】
外枠体1は、その内壁形状が大径部と小径部とからなる断面略L字形状である。外枠体1の内壁11は、針の刺し入れ方向と水平方向に、大径部の側壁である第一内周部12及び小径部の側壁である第二内周部13を有し、また針の差し入れ方向とほぼ垂直方向に、前記第一内周部12の端部から前記第二内周部端部13に向かって伸びる段部14を備えている。一方、前記栓体2は断面略凸形状である。両者は外枠体1の内壁11と栓体2の外壁側面部21とが互いに嵌合する形状を有している。
【0018】
かかる構造によって、コンプレッション成形にて、外枠体をまず成形し、これに栓体を成形すると、外枠体に栓体に押圧されながら一体成形されるため、外枠体に栓体との接合強度が強固になる。また、前記段部14は、針の抜き差し時において、針の移動とともに動こうとする栓体2の当該動きを規制し、外枠体1に引っかかる役割を有している。
【0019】
大径部と小径部の半径の差、すなわち段部14の針の刺し入れ方向に垂直方向の長さは2〜6mmが好ましい。差が小さい場合は、本発明の効果が十分に発揮されず、一方、差が大きい場合は、栓体のどちらかの底面の面積が小さくなることから、針を刺すべき部位が制限されてしまうからである。
【0020】
前記外枠体1内壁11と前記栓体2の外壁側面部21とは、両者の接触面全体に渡って合着されている。両者が合着するには、外枠体1成形品と栓体2成形品とを単に嵌合させただけでは足りず、両者が強固に結合していることが必要である。このような合着は、コンプレッション成形にて、外枠体1をまず成形し、これに栓体を成形することで一体化させ、両者の密着性を達成することができることは既述の通りであるが、射出成形法や射出圧縮成形法によっても両者を合着することはできる。
【0021】
更に前記外枠体1が、前記外枠体内壁11の段部14と第二内周部13とが交差する部位の円周上に、内側栓体方向に伸びる襞部15を有するものであることが好ましい。図2及び図3は、本発明のこのような襞部15のある医療用キャップの具体的な例である。かかる襞部15の存在は、外枠体1が段部14を有していることと相まって、針の抜き差し時などにおける外枠体1に対する栓体2の引っかかりがさらに強くなり、外枠体1と栓体2との密着性は更に向上する。特に、外枠体1と栓体2とをコンプレッション成形にて外枠体1をまず成形し、これに栓体を成形する場合、コンプレッション成形によって外枠体内に装填される栓体の原料が、前記外枠体の襞部15を取り囲むようにして成形されるため、密着度はさらに強固なものとなる。
【0022】
襞部15の内側栓体方向に伸びる長さは1.0〜1.5mmが好ましい。当該長さが短い場合は、本発明の効果が十分に発揮されず、一方、当該長さが長い場合は、栓体1の状底面に針を刺す際に襞部15を見ることができないので、襞部15を貫通することがあるからである。また襞部15の厚さは0.3〜0.8mmであることが好ましい。当該厚さが薄すぎる場合や厚すぎる場合は、襞部15を設けた効果が十分に発揮されないからである。
【0023】
なかでも襞部15が、前記外枠体内壁11の段部14と第二内周部13とが交差する部位の円周上の全周に渡って連続しているものであることが好ましい。図2は、このような襞部15が円周上の全周に渡って連続しているものを有する場合のキャップの例である。図2(a)は、キャップの断面側面図、図2(b)は図2(a)の一点鎖線水平線における断面水平図である。若しくは襞部15が、前記外枠体内壁11の段部14と第二内周部13とが交差する部位の円周上の等分位置に、複数存在するものであってもよい。図3は、このような襞部15が、等分位置に複数存在する場合のキャップの例である。図3(a)は、キャップの断面側面図、図3(b)は、図3(a)の一点鎖線水平線における断面水平図である。
【0024】
襞部15が円周上の全周に渡って連続しているものであるか、若しくは円周上の等分位置に複数存在するものである場合には、針の抜き差しによる栓体2にかかる力は、栓体2から外枠体1へ均等に分散されることになる。従って、円周上の一部分のみにこのような襞部を設けた場合と比較した場合、例えば針が斜め方向から抜き差しされた場合でも、両者の密着性が損なわれにくい。なお、図3に示すように、襞部15が円周上の等分位置に複数断続して形成されたキャップは、コンプレッション成形体として構成する場合に、栓体の原料が外枠体の間隙を通じて襞部15の周りに回り込んで栓体と外枠体との密着度が向上する。なお、襞部15は、外枠体1の一部として外枠体1成形時に成形することが望ましい。
【0025】
更に前記襞部15は、針の差し入れ方向から内側栓体2方向に10〜80度の角度θを有していることが好ましい。更に好ましくはθが30〜60度である。すなわち最も効果的な襞部15の角度は、垂直方向にも水平方向にも力を分散することができる角度である45度であるので、襞部15角度の角度は45度に近い角度であることが効果的である。
【0026】
本発明にいう角度θを図2にて示した。この範囲の角度を有している場合、特に栓体2から針を抜く場合に、上記の外枠体1と栓体2との密着性向上の効果に加えて、針抜け防止効果と、針を抜いた後に栓体2に生じる針穴の再シール性効果を向上させることができる。すなわち、針の差し入れ方向から内側栓体2方向に10〜80度の角度θで襞部15が存在している場合、栓体2の上底部から針を刺すときには、針の流入方向は、襞方向と順方向になり、針が突き刺しやすい。一方、針が抜ける方向は、襞方向と逆方向になるので、針は強く保持されることになり、針抜け防止効果が生じる。また針を抜いた後は、襞部15により、栓体2のエラストマー樹脂を中央の針穴部に押し戻す力が与えられるので、針を刺すことで生じた針穴部における再シール性が向上することになる。θの角度が10度未満または80度を超えた場合には、かかる加重的効果はほとんど奏しない。
【0027】
さらに外枠体1にはフランジ(図示せず)を設けることができる。フランジを設けることで薬液ボトル等への取り付け、取り外しが容易となる。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上の通り、キャップの外枠体の内壁及びその嵌合形状である栓体の外壁側面部が上記のような形状をしており、かつ両者が接触面全面で合着しているので、栓体と外枠体との密着性が向上し、両者の接触表面積増大による密着性増大効果も相乗的に確保できる。
【0029】
また、襞部を設けることで、かかる引っかかりによる密着性増大効果は、更に大きなものとすることができる。特に襞部が円周上の全周に渡って連続しているものであるか、若しくは円周上の等分位置に複数存在するものである場合には、襞部は栓体にかかる力を外枠部へ均一に分散させるので、栓体と外枠部のずれ防止効果が確実なものになる。
【0030】
また更に前記襞部が、針の差し入れ方向から内側栓体12方向に10〜80度の角度θで設けることで、上記外枠体1と栓体2との密着効果に加えて、針を刺した後に生じる針穴部分の再シール性向上効果を有するので、本発明の医療用キャップ全体として優れた密閉性効果を得ることができるのみならず針抜け防止効果も奏することができる。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用キャップの具体例である。
(a)はキャップの上部からの観察図である。
(b)はキャップの断面側面図である。
(c)はキャップの下部からの観察図である。
【図2】本発明の製部を有する医療キャップの具体例である。
(a)はキャップの断面側面図である。
(b)は、図2(a)の一点鎖線水平線における断面水平図である。
【図3】本発明の駐部を有する医療キャップの別の具体例である。
(a)は、キャップの断面側面図である。
(b)は、図3(a)の一点鎖線水平線における断面水平図である。
【符号の説明】
1 外枠体
11 (外枠体)内壁
12 第一内周部
13 第二内周部
14 段部
15 襞部
2 栓体
21 (栓体)外壁側面部
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液ボトル等に用いる医療用キャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、針で輸液ボトル等からその薬液等を取り出せるようにするため、合成樹脂製の外枠体の内側に、針刺し用のゴムまたはエラストマー樹脂性の栓体を設けたキャップが用いられる。この栓体と外枠体からなるキャップは、略円筒形状の外枠体に栓体を組み込んで用いられている。特に、栓体が合成樹脂エラストマーの栓体の場合、外枠体の内側にエラストマー樹脂の栓体の表面を単に溶着して外枠体に一体化させている。
【0003】
従って、従来のキャップは、栓体と外枠体との密着が十分でない場合がある。
このようなキャップにおいては、針の抜き差しによって栓体と外枠体の位置がずれ、薬液の密閉性に影響を与え、針を抜く際に一緒に栓体が外れてしまう場合があった。この点を改善すべく、外枠体の内壁面に栓体の側壁に対して突出する凸条又は凸部を設ける医療用キャップ等が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−169840公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の構成の場合、栓体と外枠体との密着が未だ十分でない。特に栓体と外枠体とをコンプレッション成形体として一体成形する場合、外枠体の内壁面に栓体の側壁に対して突出する凸条又は凸部を設けることは困難である。
【0006】
本発明の目的は、栓体と外枠体とをコンプレッション成形体として一体成形する場合であっても、栓体と外枠体との密着が確保され、針の抜き差しによって栓体と外枠体の位置がずれ、薬液の密閉性に影響を与え、針を抜く際に一緒に栓体が外れてしまうことがない医療用キャップを提供するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の手段を採ることとした。
【0008】
すなわち本発明は、
合成樹脂製の外枠体と、熱可塑性エラストマー樹脂の栓体とを備える医療用キャップであって、
前記外枠体は断面略L字形状であって、当該外枠体の内壁が、針の刺し入れ方向と水平方向に、大径部の側壁である第一内周部及び小径部の側壁である第二内周部を有し、針の差し入れ方向とほぼ垂直方向に、前記第一内周部の端部から前記第二内周部の端部に向かって伸びる段部とを備えており、
前記栓体は断面略凸形状であって、当該栓体の外壁側面部が、前記外枠体内壁に嵌合する形状を有しており、
前記外枠体内壁と前記栓体の外壁側面部とが、両者の接触面全体に渡って合着されていることを特徴とする医療用キャップの発明である。
【0009】
なかでも前記外枠体が、前記外枠体内壁の段部と第二内周部とが交差する部位の円周上に、内側栓体方向に伸びる襞部を有し、この方向性を有する襞部が栓体に突き刺した状態で栓体と襞部が成形一体化していることが好ましい。
【0010】
更に前記襞部が、前記外枠体内壁の段部と第二内周部とが交差する部位の円周上の全周に渡って連続しているものであることが好ましい。
【0011】
若しくは前記襞部が、前記外枠体内壁の段部と第二内周部とが交差する部位の円周上の等分位置に、複数存在するものであってもよい。
【0012】
更に前記襞部が、針の差し入れ方向から内側栓体方向に10〜80度の角度θを有していることが好ましい。
【0013】
また、前記医療用キャップの前記外枠体と前記栓体とがコンプレッション成形で一体成形されているものであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて発明を更に詳細に述べる。
【0015】
図1は本発明の医療用キャップの具体例である。図1(a)はキャップの上部からの観察図、図1(b)はキャップの断面側面図、図1(c)はキャップの下部からの観察図である。
【0016】
本発明のキャップは、合成樹脂製の外枠体1と、熱可塑性エラストマー樹脂の栓体2とからなる。外枠体1の合成樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、PET樹脂等従来医療用に用いられている樹脂が好ましいが、これらに限られるものではない。栓体2の熱可塑性エラストマー樹脂の例としては、オレフィン系、スチレン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニール系、ポリブタジエン系などのエラストマー樹脂を挙げることができるが、これらに制限されるものではない。
【0017】
外枠体1は、その内壁形状が大径部と小径部とからなる断面略L字形状である。外枠体1の内壁11は、針の刺し入れ方向と水平方向に、大径部の側壁である第一内周部12及び小径部の側壁である第二内周部13を有し、また針の差し入れ方向とほぼ垂直方向に、前記第一内周部12の端部から前記第二内周部端部13に向かって伸びる段部14を備えている。一方、前記栓体2は断面略凸形状である。両者は外枠体1の内壁11と栓体2の外壁側面部21とが互いに嵌合する形状を有している。
【0018】
かかる構造によって、コンプレッション成形にて、外枠体をまず成形し、これに栓体を成形すると、外枠体に栓体に押圧されながら一体成形されるため、外枠体に栓体との接合強度が強固になる。また、前記段部14は、針の抜き差し時において、針の移動とともに動こうとする栓体2の当該動きを規制し、外枠体1に引っかかる役割を有している。
【0019】
大径部と小径部の半径の差、すなわち段部14の針の刺し入れ方向に垂直方向の長さは2〜6mmが好ましい。差が小さい場合は、本発明の効果が十分に発揮されず、一方、差が大きい場合は、栓体のどちらかの底面の面積が小さくなることから、針を刺すべき部位が制限されてしまうからである。
【0020】
前記外枠体1内壁11と前記栓体2の外壁側面部21とは、両者の接触面全体に渡って合着されている。両者が合着するには、外枠体1成形品と栓体2成形品とを単に嵌合させただけでは足りず、両者が強固に結合していることが必要である。このような合着は、コンプレッション成形にて、外枠体1をまず成形し、これに栓体を成形することで一体化させ、両者の密着性を達成することができることは既述の通りであるが、射出成形法や射出圧縮成形法によっても両者を合着することはできる。
【0021】
更に前記外枠体1が、前記外枠体内壁11の段部14と第二内周部13とが交差する部位の円周上に、内側栓体方向に伸びる襞部15を有するものであることが好ましい。図2及び図3は、本発明のこのような襞部15のある医療用キャップの具体的な例である。かかる襞部15の存在は、外枠体1が段部14を有していることと相まって、針の抜き差し時などにおける外枠体1に対する栓体2の引っかかりがさらに強くなり、外枠体1と栓体2との密着性は更に向上する。特に、外枠体1と栓体2とをコンプレッション成形にて外枠体1をまず成形し、これに栓体を成形する場合、コンプレッション成形によって外枠体内に装填される栓体の原料が、前記外枠体の襞部15を取り囲むようにして成形されるため、密着度はさらに強固なものとなる。
【0022】
襞部15の内側栓体方向に伸びる長さは1.0〜1.5mmが好ましい。当該長さが短い場合は、本発明の効果が十分に発揮されず、一方、当該長さが長い場合は、栓体1の状底面に針を刺す際に襞部15を見ることができないので、襞部15を貫通することがあるからである。また襞部15の厚さは0.3〜0.8mmであることが好ましい。当該厚さが薄すぎる場合や厚すぎる場合は、襞部15を設けた効果が十分に発揮されないからである。
【0023】
なかでも襞部15が、前記外枠体内壁11の段部14と第二内周部13とが交差する部位の円周上の全周に渡って連続しているものであることが好ましい。図2は、このような襞部15が円周上の全周に渡って連続しているものを有する場合のキャップの例である。図2(a)は、キャップの断面側面図、図2(b)は図2(a)の一点鎖線水平線における断面水平図である。若しくは襞部15が、前記外枠体内壁11の段部14と第二内周部13とが交差する部位の円周上の等分位置に、複数存在するものであってもよい。図3は、このような襞部15が、等分位置に複数存在する場合のキャップの例である。図3(a)は、キャップの断面側面図、図3(b)は、図3(a)の一点鎖線水平線における断面水平図である。
【0024】
襞部15が円周上の全周に渡って連続しているものであるか、若しくは円周上の等分位置に複数存在するものである場合には、針の抜き差しによる栓体2にかかる力は、栓体2から外枠体1へ均等に分散されることになる。従って、円周上の一部分のみにこのような襞部を設けた場合と比較した場合、例えば針が斜め方向から抜き差しされた場合でも、両者の密着性が損なわれにくい。なお、図3に示すように、襞部15が円周上の等分位置に複数断続して形成されたキャップは、コンプレッション成形体として構成する場合に、栓体の原料が外枠体の間隙を通じて襞部15の周りに回り込んで栓体と外枠体との密着度が向上する。なお、襞部15は、外枠体1の一部として外枠体1成形時に成形することが望ましい。
【0025】
更に前記襞部15は、針の差し入れ方向から内側栓体2方向に10〜80度の角度θを有していることが好ましい。更に好ましくはθが30〜60度である。すなわち最も効果的な襞部15の角度は、垂直方向にも水平方向にも力を分散することができる角度である45度であるので、襞部15角度の角度は45度に近い角度であることが効果的である。
【0026】
本発明にいう角度θを図2にて示した。この範囲の角度を有している場合、特に栓体2から針を抜く場合に、上記の外枠体1と栓体2との密着性向上の効果に加えて、針抜け防止効果と、針を抜いた後に栓体2に生じる針穴の再シール性効果を向上させることができる。すなわち、針の差し入れ方向から内側栓体2方向に10〜80度の角度θで襞部15が存在している場合、栓体2の上底部から針を刺すときには、針の流入方向は、襞方向と順方向になり、針が突き刺しやすい。一方、針が抜ける方向は、襞方向と逆方向になるので、針は強く保持されることになり、針抜け防止効果が生じる。また針を抜いた後は、襞部15により、栓体2のエラストマー樹脂を中央の針穴部に押し戻す力が与えられるので、針を刺すことで生じた針穴部における再シール性が向上することになる。θの角度が10度未満または80度を超えた場合には、かかる加重的効果はほとんど奏しない。
【0027】
さらに外枠体1にはフランジ(図示せず)を設けることができる。フランジを設けることで薬液ボトル等への取り付け、取り外しが容易となる。
【0028】
【発明の効果】
本発明は、以上の通り、キャップの外枠体の内壁及びその嵌合形状である栓体の外壁側面部が上記のような形状をしており、かつ両者が接触面全面で合着しているので、栓体と外枠体との密着性が向上し、両者の接触表面積増大による密着性増大効果も相乗的に確保できる。
【0029】
また、襞部を設けることで、かかる引っかかりによる密着性増大効果は、更に大きなものとすることができる。特に襞部が円周上の全周に渡って連続しているものであるか、若しくは円周上の等分位置に複数存在するものである場合には、襞部は栓体にかかる力を外枠部へ均一に分散させるので、栓体と外枠部のずれ防止効果が確実なものになる。
【0030】
また更に前記襞部が、針の差し入れ方向から内側栓体12方向に10〜80度の角度θで設けることで、上記外枠体1と栓体2との密着効果に加えて、針を刺した後に生じる針穴部分の再シール性向上効果を有するので、本発明の医療用キャップ全体として優れた密閉性効果を得ることができるのみならず針抜け防止効果も奏することができる。
【0031】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用キャップの具体例である。
(a)はキャップの上部からの観察図である。
(b)はキャップの断面側面図である。
(c)はキャップの下部からの観察図である。
【図2】本発明の製部を有する医療キャップの具体例である。
(a)はキャップの断面側面図である。
(b)は、図2(a)の一点鎖線水平線における断面水平図である。
【図3】本発明の駐部を有する医療キャップの別の具体例である。
(a)は、キャップの断面側面図である。
(b)は、図3(a)の一点鎖線水平線における断面水平図である。
【符号の説明】
1 外枠体
11 (外枠体)内壁
12 第一内周部
13 第二内周部
14 段部
15 襞部
2 栓体
21 (栓体)外壁側面部
Claims (6)
- 合成樹脂製の外枠体と、熱可塑性エラストマー樹脂の栓体とを備える医療用キャップであって、
前記外枠体は断面略L字形状であって、当該外枠体の内壁が、針の刺し入れ方向と水平方向に、大径部の側壁である第一内周部及び小径部の側壁である第二内周部を有し、針の差し入れ方向とほぼ垂直方向に、前記第一内周部の端部から前記第二内周部の端部に向かって伸びる段部とを備えており、
前記栓体は断面略凸形状であって、当該栓体の外壁側面部が、前記外枠体内壁に嵌合する形状を有しており、
前記外枠体内壁と前記栓体の外壁側面部とが、両者の接触面全体に渡って合着されていることを特徴とする医療用キャップ。 - 前記外枠体が、前記外枠体内壁の段部と第二内周部とが交差する部位の円周上に、内側栓体に方向に伸びる襞部を有し、この方向性を有する襞部が栓体に突き刺した状態で栓体と襞部が成形一体化している請求項1記載の医療用キャップ。
- 前記襞部が、前記外枠体内壁の段部と第二内周部とが交差する部位の円周上の全周に渡って連続しているものである請求項2記載の医療用キャップ。
- 前記襞部が、前記外枠体内壁の段部と第二内周部とが交差する部位の円周上の等分位置に、複数設けられた請求項2記載の医療用キャップ。
- 前記襞部が、針の差し入れ方向から内側栓体方向に10〜80度の角度θを有している請求項2乃至4のいずれかの項に記載された医療用キャップ。
- 前記外枠体と前記栓体とがコンプレッション成形で一体成形されている請求項1乃至5のいずれかの項に記載された医療用キャップ。
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JP2003204302A JP2005046240A (ja) | 2003-07-31 | 2003-07-31 | 医療用キャップ |
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2003
- 2003-07-31 JP JP2003204302A patent/JP2005046240A/ja active Pending
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