JP2005043496A - 銀塩フィルムからの銀の回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】銀の回収効率が良く、高度な排ガス処理設備や廃物処理設備が不要であり、ランニングコストにも優れ、しかも環境悪化を招く恐れが極めて少ない銀塩フィルムからの銀の回収方法を提供する。
【解決手段】アルカリ性の処理液を満たした液槽に、破砕した銀塩フィルムを投入して攪拌し、銀含有乳剤層をベース樹脂から剥離した後、ベース樹脂と、銀含有乳剤層を含む銀含有懸濁液とを分離する。次に、この銀含有懸濁液にセルロース系ろ過助剤を加えて攪拌し、銀含有懸濁物をろ過助剤に吸着させる。次いで、銀含有懸濁液のろ過を行い、ろ過面上に銀含有スラッジを残留させ、この銀含有スラッジの焼却・精錬処理を行い、銀を回収する。一方で、ろ過に伴い生じたろ液は前記液槽に供給し、処理液として再利用する。
【選択図】 図1
【解決手段】アルカリ性の処理液を満たした液槽に、破砕した銀塩フィルムを投入して攪拌し、銀含有乳剤層をベース樹脂から剥離した後、ベース樹脂と、銀含有乳剤層を含む銀含有懸濁液とを分離する。次に、この銀含有懸濁液にセルロース系ろ過助剤を加えて攪拌し、銀含有懸濁物をろ過助剤に吸着させる。次いで、銀含有懸濁液のろ過を行い、ろ過面上に銀含有スラッジを残留させ、この銀含有スラッジの焼却・精錬処理を行い、銀を回収する。一方で、ろ過に伴い生じたろ液は前記液槽に供給し、処理液として再利用する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀含有乳剤層を有する写真フィルム、印刷用フィルム等の銀塩フィルムから銀を回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、使用済みの銀塩フィルム(写真フィルム、印刷用フィルム、レントゲンフィルム等)、あるいは、その銀塩フィルムを製造する際に生じた銀塩塗布後の廃材等に含まれる銀を回収しリサイクルする方法として、▲1▼銀塩フィルムを焼却し、その際に生じる残渣から銀を回収する焼却処理方法、▲2▼銀塩フィルムを高アルカリ液中に浸漬させ、銀含有層をベース樹脂から剥離し、沈殿させてベース樹脂から分離させ、その沈殿物から銀を回収する化学処理法が一般に行われている(例えば、特許文献1および2参照)。また、ゼラチン質の銀含有乳剤層を有する銀塩フィルムから銀を回収する方法としては、▲3▼微生物または酵素を含んだ処理液中に銀塩フィルムを浸漬して、前記銀含有ゼラチン乳剤層を生物分解してベース樹脂から剥離し、その銀含有ゼラチン乳剤層を含む懸濁液より凝集法、溶解・電解法等を用いて銀を回収する生物処理法が適用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−35154号公報
【特許文献2】
米国特許第3,960,550号明細書
【0004】
ところで、昨今においては、銀塩フィルムの製造技術の進歩に伴い、従来のゼラチン質の銀含有乳剤層を有する銀塩フィルムだけでなく、合成高分子系の銀含有乳剤層を有する銀塩フィルムも多く生産されるようになってきている。このため、前述の生物処理法単独では、銀含有乳剤層の分離が困難となり、焼却処理、化学処理、あるいはそれらと生物処理を組み合わせた処理法が検討され、環境面、資源の有効利用を考慮した有効な処理法として検討されつつある。
【0005】
図2には、この種の従来の処理法のフロー図が示されている。この従来の処理法は、図示のように、銀塩フィルムを破砕する破砕工程101と、この破砕工程101にて破砕された銀塩フィルムをNaOH溶液等のアルカリ液、あるいはアルカリプロテアーゼ等のアルカリ性の酵素液に浸漬させて攪拌し、ベース樹脂から銀含有乳剤層を剥離するとともに、ベース樹脂と銀含有乳剤層を含む懸濁液(銀含有懸濁液という)とに分離するフィルム剥離工程102と、このフィルム剥離工程102にて得られる銀含有懸濁液に塩酸等の中和剤を添加する中和工程103と、この中和工程103にて中和処理後の銀含有懸濁液にカチオン凝集剤・アニオン凝集剤等の高分子凝集剤を添加して、銀凝集物を生成する凝集工程104と、この凝集工程104にて銀凝集物を沈降分離した後ろ過・脱水して銀含有スラッジを得るろ過・脱水工程105と、このろ過・脱水工程105にて得られる銀含有スラッジを焼却し銀含有スラッジに含まれる凝集剤等の不純物を除去する焼却工程106と、この焼却工程106にて発生する焼却後の残渣分に精錬助剤あるいは酸を添加し再溶解させて電解処理を行う精錬工程107を備えて構成されている。そして、これら各工程101〜107における各処理を順次行うことによって、銀塩フィルムから最終的に高純度の銀を回収できるようになっている。ここで、前記ろ過・脱水工程105において生じるろ液は、生物処理、廃水濃縮処理等の廃水処理が施された後系外に放流される。さらに、前記焼却工程106にて生じた排ガスは、排ガス処理装置にて無臭化・清浄化・無害化等の排ガス処理が施された後外気中に排出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の従来の処理法を用いた銀回収方法によれば、前記中和工程103、凝集工程104において、中和剤・凝集剤をそれぞれ添加するようにされているため、ろ過・脱水工程105において発生するろ液(廃液)には、大量の中和塩(食塩等)および凝集剤が含有する。したがって、廃物処理設備を設けて、生物処理、廃水濃縮処理等の(ろ液の)廃水処理を行う必要があるだけでなく、この廃液処理に伴い発生する残渣分(食塩等)の濃縮処理を行って、濃縮後に生じる余剰物の搬送埋立処理を行う必要があり、2次公害発生の恐れが生ずる問題点がある。また、ろ過後の銀含有スラッジには、凝集剤および中和剤が多量に残留することから、前記焼却工程106における銀含有スラッジの焼却の際に、悪臭を伴う排ガスの発生と多量の塩類の析出を伴なう。そこで、悪臭処理を含めた高度な排ガス処理設備と析出塩類の廃棄が必要となり、こうした高度な排ガス処理設備、廃物処理設備を設置する必要があることから、コスト高が避けられないという問題点がある。加えて、このような混合処理法においては、多量の薬品類を処理液に常に補充する必要があるため、ランニングコストの増加が避けられず、銀の回収効率にも改善の余地が残されている。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、銀の回収を容易にかつ効率良く行うことができ、ランニングコストが安く、しかも環境に悪影響を及ぼし難い銀回収方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、本発明による銀塩フィルムからの銀の回収方法は、
(a)銀塩フィルムをアルカリ性の処理液内で、銀含有乳剤層を含む懸濁液とベース樹脂とに分離するフィルム剥離工程、
(b)このフィルム剥離工程にて得られる懸濁液にセルロース系ろ過助剤を添加してその懸濁液をろ過脱水し、銀含有スラッジを得るろ過工程および、
(c)このろ過工程にて得られるセルロース系ろ過助剤を含む銀含有スラッジを焼却・精錬処理する焼却精錬工程を備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、吸着性に優れたセルロース系のろ過助剤を、剥離後の銀含有懸濁液に添加するため、懸濁物をそのろ過助剤に良好に吸着させることができ、それによって銀含有スラッジの回収効率を向上させることができるとともに、ろ液の液質をリサイクル可能な程度にまでクリーン化することができる。また、前記ろ過助剤は、従来の凝集剤と異なりセルロース質のため、焼却しても悪臭を伴う煙が発生しないため、悪臭除去機能を有する高度な排ガス処理設備が不要となる。したがって、コストを抑えることができる。
【0010】
前記ろ過工程にて生じるろ液を回収して前記フィルム剥離工程の処理液として再利用するのが好ましい。こうすることによって、ろ液が系外に排出されないシステムを構築することができるので、処理液への薬品類の補充頻度を大幅に減少させてランニングコストの削減を図ることができるとともに、ろ液が環境に悪影響を及ぼすのを防止することができる。また、ろ液の廃液処理および廃物処理設備が不要となるので、銀回収のプロセスの簡易化およびランニングコストの削減を図ることができ、廃物処理設備に費やされていた設置面積を節約することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による銀塩フィルムからの銀の回収方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1には、本発明の一実施形態に係る銀塩フィルムからの銀の回収工程のフロー図が示されている。
【0013】
本実施形態においては、破砕工程1にて、銀含有乳剤層、ベース樹脂等からなる使用済みの銀塩フィルム(写真フィルム、印刷用フィルム、レントゲンフィルム等)をシュレッダー等で適度な大きさに破砕し、フィルム剥離工程2にて、破砕後の銀塩フィルムを、アルカリ液(NaOH溶液等)またはアルカリ性の酵素液(アルカリプロテアーゼ等)の処理液を満たした液槽内に投入して攪拌し、銀含有乳剤層をベース樹脂から剥離させ、沈殿分離後、銀含有乳剤層を含む懸濁液(銀含有懸濁液という)と前記ベース樹脂とを分離させ、この銀含有懸濁液を次工程(懸濁物吸着工程3)に送るようにされている。なお、前記ベース樹脂は、洗浄処理を経た後回収される。
【0014】
次いで、前記懸濁物吸着工程3にて、前工程(フィルム剥離工程2)で得られた前記銀含有懸濁液に、パルプ、綿等から製造される直径5〜300μmのセルロース系ろ過助剤をボディーフード(処理対象の懸濁液に予め混合すること)として0.01〜0.10%添加して最大30分間攪拌する。ここで、銀含有懸濁物をろ過助剤に良好に吸着させるために、前記銀含有懸濁液の温度を30〜70℃に保持するのが好ましい。
【0015】
次いで、ろ過・脱水工程4において、フィルタープレス等の加圧ろ過器、またはヌッチェ式の真空ろ過器にろ布またはろ紙をセットし、前工程(懸濁物吸着工程3)のセルロースろ過助剤を添加した前記銀含有懸濁液のろ過・脱水を行い、ろ布またはろ紙のろ過面上にセルロース系ろ過助剤を含む銀含有スラッジを残留させる。ここで、前記ろ紙またはろ布に、前記吸着工程3で添加したろ過助剤と同一またはやや粒度の小さいろ過助剤を予め注入し、そのろ紙またはろ布のろ過面上に3〜10mm程度の厚みのろ過支持層を予め形成しておくのが好ましい。こうすることによって、ろ過時における目詰まりと、懸濁物の漏れを防止することができる。また、ろ過・脱水に伴い生じるろ液は、一旦回収し、場合によっては、前記フィルム剥離工程2の処理液として再利用するようにされている。なお、ろ過・脱水工程において、ろ液に濁りが確認された場合は、ろ液のろ過を、濁りが消えるまで繰り返し行い、ろ液中の剥離物の回収を十分に行えるようにされている。
【0016】
次に、焼却工程5にて、ろ過・脱水工程4で得られた前記銀含有スラッジを坩堝に入れて電気炉に移し、300〜600℃で加熱処理して有機物、セルロース系ろ過助剤等を焼却除去後、精錬処理を行う(図中、精錬工程6参照。)。この精錬処理は、焼却後の残渣分(酸化銀)に重炭酸ソーダ等の精錬助剤(還元剤)を添加し、800〜1100℃の還元雰囲下で40分〜2時間行うようにされている。こうして、最終的に高純度の銀を坩堝の底に得ることができる。
【0017】
本実施形態による銀塩フィルムからの銀の回収方法によれば、前記懸濁物吸着工程3において、吸着性に優れるセルロース系のろ過助剤を添加するようにされているため、銀含有懸濁物をそのろ過助剤に良好に吸着させることができ、銀の回収効率を向上させることができる。また、前記セルロース系ろ過助剤は、パルプ、綿等から製造されることから焼却工程5において焼却しても悪臭を伴う排ガスが発生しないので、悪臭処理を含めた高度な排ガス処理設備が不要となり、水循環型のスクラバー等、軽度の排ガス処理で多用されるものでの排ガス処理が可能になる。これによって、コストを大幅に削減することができる。
【0018】
また、本実施形態においては、ろ過・乾燥工程5において発生するろ液を一旦回収し、フィルム剥離工程2の処理液として再利用するようにした、言わば、閉じた処理液の処理システムが構築されているため、ろ液の廃液処理および廃物処理設備を不要のものにすることができ、処理液へ薬品類の補充頻度を大幅に減少させることができる。そのため、ランニングコストを削減することができ、銀回収のプロセスの簡易化を図ることができるとともに、設置面積を節約することができる。加えて、廃液(ろ液)が系外に排出されることがないので、廃液(ろ液)が環境汚染の要因になるのを確実に防止することができる。
【0019】
【実施例】
次に、本発明による銀塩フィルムからの銀の回収工程の具体的な実施例について説明する。
【0020】
(実施例1)ゼラチン質の銀含有乳剤層と、下塗り層と、ハレーション防止層とベース樹脂を有する使用済みのレントゲンフィルムをシュレッダーで適度な大きさに破砕した後、破砕後のレントゲンフィルムを約60℃に加熱調温された3wt%NaOH溶液を満たしたパイロット設備連続処理攪拌槽に連続的に供給し攪拌・浸漬させて20〜40分間攪拌し、銀含有乳剤層、下塗り層およびハレーション防止層を、ベース樹脂から剥離した。次いで、沈降分離法を用いて、ベース樹脂と銀含有乳剤層を含む懸濁液(銀含有懸濁液)とを互いに分離させ、その銀含有懸濁液に、直径20〜100μmのセルロース系ろ過助剤(日本製紙(株)製パルプろ過助剤;KCフロックNo.100またはNo.200)を0.02%添加し15〜20分間攪拌した。
【0021】
次に、ろ過面が150mm角で、厚みが10mmの市販のフィルタープレスに綾織ろ布を取り付け、別に準備した3%KCフロック懸濁液を注入して、ろ過面上に3〜5mmの厚みのろ過支持層を形成させた。次いで、前記フィルタープレスを用いて、銀含有懸濁液とセルロース系ろ過助剤を含む液を0.6Paの圧力下で加圧ろ過し、ろ過面上にセルロースろ過助剤を含む銀含有スラッジを得た。また、この際生じたろ液は、NaOH濃度が3%になるように再調整して前記液槽内に供給し、NaOH溶液として再利用するようにした。
【0022】
次いで、前記銀含有スラッジをろ過面上からカーボン製の坩堝内に入れ、電気炉内に移した後、400〜600℃で約30分間加熱し、有機物およびろ過助剤の焼却を行った。排ガスの発生が停止した後、坩堝内に重炭酸ソーダ(精錬助剤、還元剤)を添加して蓋をし、900〜1000℃の還元雰囲気下で約1時間精錬処理を行った。その後、坩堝を取り出し坩堝内を確認すると、底に液状の銀があるのが確認された。
【0023】
(実施例2)合成高分子質の銀含有乳剤層を有する使用済みのレントゲンフィルムをNaOH溶液が満たされた液槽内に供給し、セルロース系ろ過助剤を0.05%添付した以外は、実施例1と同様の手法を用いた。その結果、坩堝の底より液状の銀を得た。
(実施例3)ゼラチン質の銀含有乳剤層を有する使用済み印刷フィルムを液槽内に供給し、セルロース系ろ過助剤を0.10%添付した以外は、実施例1、2と同様の手法を用いた。その結果、坩堝の底より液状の銀を得た。
(実施例4)合成高分子質の銀含有乳剤層を有する使用済み印刷フィルムを液槽内に供給し、セルロース系ろ過助剤を0.50%添付した以外は、実施例1〜3と同様の手法を用いた。その結果、坩堝の底より液状の銀を得た。
【0024】
なお、各実施例1〜4においては、NaOH溶液を交換せずに、100時間連続して銀の回収を行ったが、その間変わりなく、銀含有乳剤層の剥離・分離を行うことができた。また、銀含有スラッジの焼却処理の際に発生した排ガスは、従来の回収方法の際に生じた排ガスと異なり、無色透明で刺激臭を伴わなかった。そのため、軽度の排ガス処理に多用される水循環式のスクラバーでの排ガス処理が可能であった。
【0025】
(比較例)
前記各実施例と同様の方法で銀含有乳剤層を含む銀含有懸濁液(pH11〜13.5、温度50〜65℃)をベース樹脂から分離させ、この銀含有懸濁液に中和剤としての塩酸を添加してpHを6.8〜7.5に調整し、アニオン系高分子凝集剤を加えて微粒凝集物を生成させた後、カチオン系高分子凝集剤を加えてろ過可能な大きさの凝集沈殿物を発生させた。
【0026】
次いで、No.5Aろ紙がセットされた碍子製75mmヌッチェ真空ろ過器を用いて、前記凝集沈殿物を含む懸濁液のろ過を行い、ろ紙上に銀含有脱水凝集物を残留させた。この際、吸引瓶内に残ったろ液中には溶解性の有機物と中和塩が含有されており、そのBOD、CODを測定した結果、BOD値が2830ppm、COD値が835ppmという再利用不可能な値を示した。また、中和に要したHClに基づき、生成されたNaClの濃度を計算すると液濃度で7.6%であることが判明した。この値は極めて高い値であり、中和塩の除去、活性汚泥等の生物処理が必要であると考えられる。
【0027】
ろ過によって得られた銀含有脱水凝集物を回収して坩堝に入れ、電気炉で300〜600℃で焼却処理を行い凝集物中の有機物を分解させた。この際、焼却の初期段階で、凝集物から刺激臭を伴う灰色の煙が発生した。そこで、活性炭の吸着塔を用いて煙の吸着処理を試みたがほとんど効果がなかった。このような排ガスの処理を行うためには、悪臭除去機能を有する高度な排ガス処理設備が必要であると判明した。
【0028】
前述の刺激臭を伴う灰色の煙の発生終了後、坩堝内に重炭酸ソーダ(精錬助剤・還元剤)を添加して蓋をし、800〜1000℃で約1時間精錬処理を施した。その結果、坩堝の底に液状の銀があるのが確認された。しかし、こうして得られた銀は、前記各実施例1〜4で得られた銀よりも少量であることが判明した。
【0029】
実施例1〜4の結果から、銀含有懸濁液に添加されたセルロース系ろ過助剤の作用によって、銀の回収効率を向上できることが判明した。また、従来の凝集剤を添付するのではなく、セルロース系ろ過助剤を添付するようにしたため、焼却の際に悪臭を伴う煙が発生しなかった。それにより、軽度の排ガス処理で多用される水循環型のスクラバー等での排ガス処理が可能となった。加えて、ろ液を再利用するため、処理液(3wt%NaOH溶液)への薬品類の補充頻度が大幅に減少し、また、廃液処理、廃物処理設備が不要となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るフロー図である。
【図2】図2は、従来の処理法のフロー図である。
【符号の説明】
1 破砕工程
2 フィルム剥離工程
3 懸濁物吸着工程
4 ろ過・脱水工程
5 焼却工程
6 精錬工程
【発明の属する技術分野】
本発明は、銀含有乳剤層を有する写真フィルム、印刷用フィルム等の銀塩フィルムから銀を回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、使用済みの銀塩フィルム(写真フィルム、印刷用フィルム、レントゲンフィルム等)、あるいは、その銀塩フィルムを製造する際に生じた銀塩塗布後の廃材等に含まれる銀を回収しリサイクルする方法として、▲1▼銀塩フィルムを焼却し、その際に生じる残渣から銀を回収する焼却処理方法、▲2▼銀塩フィルムを高アルカリ液中に浸漬させ、銀含有層をベース樹脂から剥離し、沈殿させてベース樹脂から分離させ、その沈殿物から銀を回収する化学処理法が一般に行われている(例えば、特許文献1および2参照)。また、ゼラチン質の銀含有乳剤層を有する銀塩フィルムから銀を回収する方法としては、▲3▼微生物または酵素を含んだ処理液中に銀塩フィルムを浸漬して、前記銀含有ゼラチン乳剤層を生物分解してベース樹脂から剥離し、その銀含有ゼラチン乳剤層を含む懸濁液より凝集法、溶解・電解法等を用いて銀を回収する生物処理法が適用されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−35154号公報
【特許文献2】
米国特許第3,960,550号明細書
【0004】
ところで、昨今においては、銀塩フィルムの製造技術の進歩に伴い、従来のゼラチン質の銀含有乳剤層を有する銀塩フィルムだけでなく、合成高分子系の銀含有乳剤層を有する銀塩フィルムも多く生産されるようになってきている。このため、前述の生物処理法単独では、銀含有乳剤層の分離が困難となり、焼却処理、化学処理、あるいはそれらと生物処理を組み合わせた処理法が検討され、環境面、資源の有効利用を考慮した有効な処理法として検討されつつある。
【0005】
図2には、この種の従来の処理法のフロー図が示されている。この従来の処理法は、図示のように、銀塩フィルムを破砕する破砕工程101と、この破砕工程101にて破砕された銀塩フィルムをNaOH溶液等のアルカリ液、あるいはアルカリプロテアーゼ等のアルカリ性の酵素液に浸漬させて攪拌し、ベース樹脂から銀含有乳剤層を剥離するとともに、ベース樹脂と銀含有乳剤層を含む懸濁液(銀含有懸濁液という)とに分離するフィルム剥離工程102と、このフィルム剥離工程102にて得られる銀含有懸濁液に塩酸等の中和剤を添加する中和工程103と、この中和工程103にて中和処理後の銀含有懸濁液にカチオン凝集剤・アニオン凝集剤等の高分子凝集剤を添加して、銀凝集物を生成する凝集工程104と、この凝集工程104にて銀凝集物を沈降分離した後ろ過・脱水して銀含有スラッジを得るろ過・脱水工程105と、このろ過・脱水工程105にて得られる銀含有スラッジを焼却し銀含有スラッジに含まれる凝集剤等の不純物を除去する焼却工程106と、この焼却工程106にて発生する焼却後の残渣分に精錬助剤あるいは酸を添加し再溶解させて電解処理を行う精錬工程107を備えて構成されている。そして、これら各工程101〜107における各処理を順次行うことによって、銀塩フィルムから最終的に高純度の銀を回収できるようになっている。ここで、前記ろ過・脱水工程105において生じるろ液は、生物処理、廃水濃縮処理等の廃水処理が施された後系外に放流される。さらに、前記焼却工程106にて生じた排ガスは、排ガス処理装置にて無臭化・清浄化・無害化等の排ガス処理が施された後外気中に排出される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の従来の処理法を用いた銀回収方法によれば、前記中和工程103、凝集工程104において、中和剤・凝集剤をそれぞれ添加するようにされているため、ろ過・脱水工程105において発生するろ液(廃液)には、大量の中和塩(食塩等)および凝集剤が含有する。したがって、廃物処理設備を設けて、生物処理、廃水濃縮処理等の(ろ液の)廃水処理を行う必要があるだけでなく、この廃液処理に伴い発生する残渣分(食塩等)の濃縮処理を行って、濃縮後に生じる余剰物の搬送埋立処理を行う必要があり、2次公害発生の恐れが生ずる問題点がある。また、ろ過後の銀含有スラッジには、凝集剤および中和剤が多量に残留することから、前記焼却工程106における銀含有スラッジの焼却の際に、悪臭を伴う排ガスの発生と多量の塩類の析出を伴なう。そこで、悪臭処理を含めた高度な排ガス処理設備と析出塩類の廃棄が必要となり、こうした高度な排ガス処理設備、廃物処理設備を設置する必要があることから、コスト高が避けられないという問題点がある。加えて、このような混合処理法においては、多量の薬品類を処理液に常に補充する必要があるため、ランニングコストの増加が避けられず、銀の回収効率にも改善の余地が残されている。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、銀の回収を容易にかつ効率良く行うことができ、ランニングコストが安く、しかも環境に悪影響を及ぼし難い銀回収方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前記目的を達成するために、本発明による銀塩フィルムからの銀の回収方法は、
(a)銀塩フィルムをアルカリ性の処理液内で、銀含有乳剤層を含む懸濁液とベース樹脂とに分離するフィルム剥離工程、
(b)このフィルム剥離工程にて得られる懸濁液にセルロース系ろ過助剤を添加してその懸濁液をろ過脱水し、銀含有スラッジを得るろ過工程および、
(c)このろ過工程にて得られるセルロース系ろ過助剤を含む銀含有スラッジを焼却・精錬処理する焼却精錬工程を備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、吸着性に優れたセルロース系のろ過助剤を、剥離後の銀含有懸濁液に添加するため、懸濁物をそのろ過助剤に良好に吸着させることができ、それによって銀含有スラッジの回収効率を向上させることができるとともに、ろ液の液質をリサイクル可能な程度にまでクリーン化することができる。また、前記ろ過助剤は、従来の凝集剤と異なりセルロース質のため、焼却しても悪臭を伴う煙が発生しないため、悪臭除去機能を有する高度な排ガス処理設備が不要となる。したがって、コストを抑えることができる。
【0010】
前記ろ過工程にて生じるろ液を回収して前記フィルム剥離工程の処理液として再利用するのが好ましい。こうすることによって、ろ液が系外に排出されないシステムを構築することができるので、処理液への薬品類の補充頻度を大幅に減少させてランニングコストの削減を図ることができるとともに、ろ液が環境に悪影響を及ぼすのを防止することができる。また、ろ液の廃液処理および廃物処理設備が不要となるので、銀回収のプロセスの簡易化およびランニングコストの削減を図ることができ、廃物処理設備に費やされていた設置面積を節約することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による銀塩フィルムからの銀の回収方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1には、本発明の一実施形態に係る銀塩フィルムからの銀の回収工程のフロー図が示されている。
【0013】
本実施形態においては、破砕工程1にて、銀含有乳剤層、ベース樹脂等からなる使用済みの銀塩フィルム(写真フィルム、印刷用フィルム、レントゲンフィルム等)をシュレッダー等で適度な大きさに破砕し、フィルム剥離工程2にて、破砕後の銀塩フィルムを、アルカリ液(NaOH溶液等)またはアルカリ性の酵素液(アルカリプロテアーゼ等)の処理液を満たした液槽内に投入して攪拌し、銀含有乳剤層をベース樹脂から剥離させ、沈殿分離後、銀含有乳剤層を含む懸濁液(銀含有懸濁液という)と前記ベース樹脂とを分離させ、この銀含有懸濁液を次工程(懸濁物吸着工程3)に送るようにされている。なお、前記ベース樹脂は、洗浄処理を経た後回収される。
【0014】
次いで、前記懸濁物吸着工程3にて、前工程(フィルム剥離工程2)で得られた前記銀含有懸濁液に、パルプ、綿等から製造される直径5〜300μmのセルロース系ろ過助剤をボディーフード(処理対象の懸濁液に予め混合すること)として0.01〜0.10%添加して最大30分間攪拌する。ここで、銀含有懸濁物をろ過助剤に良好に吸着させるために、前記銀含有懸濁液の温度を30〜70℃に保持するのが好ましい。
【0015】
次いで、ろ過・脱水工程4において、フィルタープレス等の加圧ろ過器、またはヌッチェ式の真空ろ過器にろ布またはろ紙をセットし、前工程(懸濁物吸着工程3)のセルロースろ過助剤を添加した前記銀含有懸濁液のろ過・脱水を行い、ろ布またはろ紙のろ過面上にセルロース系ろ過助剤を含む銀含有スラッジを残留させる。ここで、前記ろ紙またはろ布に、前記吸着工程3で添加したろ過助剤と同一またはやや粒度の小さいろ過助剤を予め注入し、そのろ紙またはろ布のろ過面上に3〜10mm程度の厚みのろ過支持層を予め形成しておくのが好ましい。こうすることによって、ろ過時における目詰まりと、懸濁物の漏れを防止することができる。また、ろ過・脱水に伴い生じるろ液は、一旦回収し、場合によっては、前記フィルム剥離工程2の処理液として再利用するようにされている。なお、ろ過・脱水工程において、ろ液に濁りが確認された場合は、ろ液のろ過を、濁りが消えるまで繰り返し行い、ろ液中の剥離物の回収を十分に行えるようにされている。
【0016】
次に、焼却工程5にて、ろ過・脱水工程4で得られた前記銀含有スラッジを坩堝に入れて電気炉に移し、300〜600℃で加熱処理して有機物、セルロース系ろ過助剤等を焼却除去後、精錬処理を行う(図中、精錬工程6参照。)。この精錬処理は、焼却後の残渣分(酸化銀)に重炭酸ソーダ等の精錬助剤(還元剤)を添加し、800〜1100℃の還元雰囲下で40分〜2時間行うようにされている。こうして、最終的に高純度の銀を坩堝の底に得ることができる。
【0017】
本実施形態による銀塩フィルムからの銀の回収方法によれば、前記懸濁物吸着工程3において、吸着性に優れるセルロース系のろ過助剤を添加するようにされているため、銀含有懸濁物をそのろ過助剤に良好に吸着させることができ、銀の回収効率を向上させることができる。また、前記セルロース系ろ過助剤は、パルプ、綿等から製造されることから焼却工程5において焼却しても悪臭を伴う排ガスが発生しないので、悪臭処理を含めた高度な排ガス処理設備が不要となり、水循環型のスクラバー等、軽度の排ガス処理で多用されるものでの排ガス処理が可能になる。これによって、コストを大幅に削減することができる。
【0018】
また、本実施形態においては、ろ過・乾燥工程5において発生するろ液を一旦回収し、フィルム剥離工程2の処理液として再利用するようにした、言わば、閉じた処理液の処理システムが構築されているため、ろ液の廃液処理および廃物処理設備を不要のものにすることができ、処理液へ薬品類の補充頻度を大幅に減少させることができる。そのため、ランニングコストを削減することができ、銀回収のプロセスの簡易化を図ることができるとともに、設置面積を節約することができる。加えて、廃液(ろ液)が系外に排出されることがないので、廃液(ろ液)が環境汚染の要因になるのを確実に防止することができる。
【0019】
【実施例】
次に、本発明による銀塩フィルムからの銀の回収工程の具体的な実施例について説明する。
【0020】
(実施例1)ゼラチン質の銀含有乳剤層と、下塗り層と、ハレーション防止層とベース樹脂を有する使用済みのレントゲンフィルムをシュレッダーで適度な大きさに破砕した後、破砕後のレントゲンフィルムを約60℃に加熱調温された3wt%NaOH溶液を満たしたパイロット設備連続処理攪拌槽に連続的に供給し攪拌・浸漬させて20〜40分間攪拌し、銀含有乳剤層、下塗り層およびハレーション防止層を、ベース樹脂から剥離した。次いで、沈降分離法を用いて、ベース樹脂と銀含有乳剤層を含む懸濁液(銀含有懸濁液)とを互いに分離させ、その銀含有懸濁液に、直径20〜100μmのセルロース系ろ過助剤(日本製紙(株)製パルプろ過助剤;KCフロックNo.100またはNo.200)を0.02%添加し15〜20分間攪拌した。
【0021】
次に、ろ過面が150mm角で、厚みが10mmの市販のフィルタープレスに綾織ろ布を取り付け、別に準備した3%KCフロック懸濁液を注入して、ろ過面上に3〜5mmの厚みのろ過支持層を形成させた。次いで、前記フィルタープレスを用いて、銀含有懸濁液とセルロース系ろ過助剤を含む液を0.6Paの圧力下で加圧ろ過し、ろ過面上にセルロースろ過助剤を含む銀含有スラッジを得た。また、この際生じたろ液は、NaOH濃度が3%になるように再調整して前記液槽内に供給し、NaOH溶液として再利用するようにした。
【0022】
次いで、前記銀含有スラッジをろ過面上からカーボン製の坩堝内に入れ、電気炉内に移した後、400〜600℃で約30分間加熱し、有機物およびろ過助剤の焼却を行った。排ガスの発生が停止した後、坩堝内に重炭酸ソーダ(精錬助剤、還元剤)を添加して蓋をし、900〜1000℃の還元雰囲気下で約1時間精錬処理を行った。その後、坩堝を取り出し坩堝内を確認すると、底に液状の銀があるのが確認された。
【0023】
(実施例2)合成高分子質の銀含有乳剤層を有する使用済みのレントゲンフィルムをNaOH溶液が満たされた液槽内に供給し、セルロース系ろ過助剤を0.05%添付した以外は、実施例1と同様の手法を用いた。その結果、坩堝の底より液状の銀を得た。
(実施例3)ゼラチン質の銀含有乳剤層を有する使用済み印刷フィルムを液槽内に供給し、セルロース系ろ過助剤を0.10%添付した以外は、実施例1、2と同様の手法を用いた。その結果、坩堝の底より液状の銀を得た。
(実施例4)合成高分子質の銀含有乳剤層を有する使用済み印刷フィルムを液槽内に供給し、セルロース系ろ過助剤を0.50%添付した以外は、実施例1〜3と同様の手法を用いた。その結果、坩堝の底より液状の銀を得た。
【0024】
なお、各実施例1〜4においては、NaOH溶液を交換せずに、100時間連続して銀の回収を行ったが、その間変わりなく、銀含有乳剤層の剥離・分離を行うことができた。また、銀含有スラッジの焼却処理の際に発生した排ガスは、従来の回収方法の際に生じた排ガスと異なり、無色透明で刺激臭を伴わなかった。そのため、軽度の排ガス処理に多用される水循環式のスクラバーでの排ガス処理が可能であった。
【0025】
(比較例)
前記各実施例と同様の方法で銀含有乳剤層を含む銀含有懸濁液(pH11〜13.5、温度50〜65℃)をベース樹脂から分離させ、この銀含有懸濁液に中和剤としての塩酸を添加してpHを6.8〜7.5に調整し、アニオン系高分子凝集剤を加えて微粒凝集物を生成させた後、カチオン系高分子凝集剤を加えてろ過可能な大きさの凝集沈殿物を発生させた。
【0026】
次いで、No.5Aろ紙がセットされた碍子製75mmヌッチェ真空ろ過器を用いて、前記凝集沈殿物を含む懸濁液のろ過を行い、ろ紙上に銀含有脱水凝集物を残留させた。この際、吸引瓶内に残ったろ液中には溶解性の有機物と中和塩が含有されており、そのBOD、CODを測定した結果、BOD値が2830ppm、COD値が835ppmという再利用不可能な値を示した。また、中和に要したHClに基づき、生成されたNaClの濃度を計算すると液濃度で7.6%であることが判明した。この値は極めて高い値であり、中和塩の除去、活性汚泥等の生物処理が必要であると考えられる。
【0027】
ろ過によって得られた銀含有脱水凝集物を回収して坩堝に入れ、電気炉で300〜600℃で焼却処理を行い凝集物中の有機物を分解させた。この際、焼却の初期段階で、凝集物から刺激臭を伴う灰色の煙が発生した。そこで、活性炭の吸着塔を用いて煙の吸着処理を試みたがほとんど効果がなかった。このような排ガスの処理を行うためには、悪臭除去機能を有する高度な排ガス処理設備が必要であると判明した。
【0028】
前述の刺激臭を伴う灰色の煙の発生終了後、坩堝内に重炭酸ソーダ(精錬助剤・還元剤)を添加して蓋をし、800〜1000℃で約1時間精錬処理を施した。その結果、坩堝の底に液状の銀があるのが確認された。しかし、こうして得られた銀は、前記各実施例1〜4で得られた銀よりも少量であることが判明した。
【0029】
実施例1〜4の結果から、銀含有懸濁液に添加されたセルロース系ろ過助剤の作用によって、銀の回収効率を向上できることが判明した。また、従来の凝集剤を添付するのではなく、セルロース系ろ過助剤を添付するようにしたため、焼却の際に悪臭を伴う煙が発生しなかった。それにより、軽度の排ガス処理で多用される水循環型のスクラバー等での排ガス処理が可能となった。加えて、ろ液を再利用するため、処理液(3wt%NaOH溶液)への薬品類の補充頻度が大幅に減少し、また、廃液処理、廃物処理設備が不要となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るフロー図である。
【図2】図2は、従来の処理法のフロー図である。
【符号の説明】
1 破砕工程
2 フィルム剥離工程
3 懸濁物吸着工程
4 ろ過・脱水工程
5 焼却工程
6 精錬工程
Claims (2)
- (a)銀塩フィルムをアルカリ性の処理液内で、銀含有乳剤層を含む懸濁液とベース樹脂とに分離するフィルム剥離工程、
(b)このフィルム剥離工程にて得られる懸濁液にセルロース系ろ過助剤を添加してその懸濁液をろ過脱水し、銀含有スラッジを得るろ過工程および、
(c)このろ過工程にて得られる銀含有スラッジを焼却・精錬処理する焼却精錬工程を備えることを特徴とする銀塩フィルムからの銀の回収方法。 - 前記ろ過工程にて生じるろ液を回収して前記フィルム剥離工程の処理液として再利用する請求項1に記載の銀塩フィルムからの銀の回収方法。
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KR101133651B1 (ko) * | 2011-05-11 | 2012-04-10 | (주)삼흥금속 | X-ray 폐 필름에서 pet와 은을 회수하는 방법 |
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2003
- 2003-07-24 JP JP2003200974A patent/JP2005043496A/ja not_active Withdrawn
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