JP2005043152A - 活性ガス発生素子の性能検査方法および製造方法、活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法、これらの製造方法を実行する製造装置、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置 - Google Patents
活性ガス発生素子の性能検査方法および製造方法、活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法、これらの製造方法を実行する製造装置、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明の目的は、活性ガス発生素子自体を検査するのではなく他のファクターを検査することにより、不良品の発生率を低く抑えることを目的とした活性ガス発生素子の性能検査方法およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、活性ガス発生素子の性能検査方法であって、該活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用を検査することを特徴とする、活性ガス発生素子の性能検査方法およびその方法を製造工程の一工程とする製造方法に関するものである。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、活性ガス発生素子の性能検査方法であって、該活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用を検査することを特徴とする、活性ガス発生素子の性能検査方法およびその方法を製造工程の一工程とする製造方法に関するものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性ガス発生素子の性能検査方法および製造方法、活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法、これらの製造方法を実行する製造装置、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住環境の変化に伴い様々な化学物質や微生物などによる疾病やアレルギー等への関心が高まっており、空気中の有害物質や有害微生物もしくはウイルスなどを取り除き健康で快適な生活を送りたいという要望が強くなっている。このような殺菌あるいは有害物質の不活化や脱臭を行ないたいという要望に応え、活性化されたガス(以下、単に活性ガスと記す)の作用によりこのような要望を満足させるべく、そのような活性ガスを発生および放出する機構や素子(以下、単に活性ガス発生素子と記す)を備えた空気調節装置が検討され実用的な商品が市販されている。これらの装置に備えられている活性ガス発生素子は、例えば放電や紫外線励起、その他電子線励起や圧電効果による電圧印加などの物理化学的な作用により、空気中の分子のエネルギー状態を高め活性ガス、すなわち各種のイオンあるいはオゾンや、プラズマなどを含むガスを発生するものである。
【0003】
一般に、このようにして発生する活性ガスは、反応性に富み種々の物質と反応する特徴がある。そのため、活性ガスを生成し空気中に放出する場合は、活性ガスの濃度や組成自体が、その活性ガス発生素子付近の条件変化、すなわちその素子が電極である場合にはその電極の表面構造や表面状態の変化、あるいは光強度、風速、温度、湿度などの変化により大きく変化しやすい。このため、活性ガス発生素子を有する部品あるいは装置を製造するには、製造工程を厳密に管理する必要があり、その製造に困難を伴なうという問題がある。そして、この製造工程の管理に失敗し不良品となったものは、上記殺菌あるいは脱臭等の所定の性能が得られなくなるばかりか、不必要なガス(特に人体に対して有害なガス)が放出され安全性が充分に保てないものとなる。従って、製造工程を管理し不良品の発生率を低く抑えるとともに、その不良品を簡単に検出することが必要になる。
【0004】
このような不良品の検出方法としては、たとえば沿面放電式のオゾン発生素子を溶媒中に浸漬し照明を当てることにより、接着不良や天然マイカの欠陥を際立たせ、欠陥部の明るさの濃淡により不良品を検出する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、このような方法においては、直接的に活性ガスの性能や安全性を検出しようとするものではないため、素子自体に欠陥が発見されないにもかかわらず、依然として所望される活性ガスを発生しないものが含まれ得、所望の効果が得られないばかりか安全性にも問題を有するものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−122548号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたものであってその目的とするところは、活性ガス発生素子自体を検査するのではなく他のファクターを検査することにより、不良品の発生率を低く抑えることを目的とした活性ガス発生素子の性能検査方法およびその製造方法に関する。また、本発明は、そのような活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法、これらの製造方法を実行する製造装置、およびこれらの製造方法により製造される活性ガス発生素子およびそれを付設した装置に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、活性ガス発生素子の性能検査方法であって、該活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用を検査することを特徴とする、活性ガス発生素子の性能検査方法に関するものである。
【0008】
上記活性ガス発生素子は、放電、光励起、電子線励起、放射線励起、電圧印加または機械的衝突のいずれかの方法により、大気中に存在する分子から活性ガスを発生するものとすることができる。
【0009】
また、上記活性ガスは、正イオンおよび/または負イオンとすることができ、好ましくはH3O+(H2O)n(nは0または自然数)および/またはO2 −(H2O)m(mは0または自然数)を主体とすることができる。
【0010】
また、上記活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用の検査は、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のいずれか1種または2種以上とすることができる。
【0011】
また、本発明の活性ガス発生素子の製造方法は、その製造工程の一工程として、上記のいずれかに記載した性能検査方法を実行することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法は、その製造工程の一工程として、上記のいずれかに記載した活性ガス発生素子の性能検査方法を実行することを特徴としている。
【0013】
また、上記活性ガス発生素子を付設した装置の製造工程は、活性ガス発生素子を製造する第1製造工程と、該活性ガス発生素子を筐体に組み込む第2製造工程とを含み、該第1製造工程において上記のいずれかに記載した活性ガス発生素子の性能検査方法を実行した後、該第2製造工程を実行することを特徴としている。
【0014】
また、上記第2製造工程において、互いに形態の異なる複数の筐体に対して該活性ガス発生素子を組み込むことにより、互いに形態の異なる複数の装置を連続的に製造することを特徴としている。
【0015】
また、本発明の活性ガス発生素子の製造方法を実行する製造装置は、活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えたことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法を実行する製造装置は、活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えたことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の活性ガス発生素子は、上記の製造方法により製造されたものである。
【0018】
また、本発明の活性ガス発生素子を付設した装置は、上記のいずれかに記載の製造方法により製造されたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
<活性ガス>
本発明の活性ガスは、後述の活性ガス発生素子によって発生するものであり、以下のような作用を有することにより主として住環境を快適かつ健康的なものにするものである。すなわち、本発明の活性ガスは、細菌や真菌に対して殺菌作用を発揮したり、ウイルスに対して感染力を低下させたり、アレルギー物質、悪臭物質、その他の有害物質に対して分解除去作用を発揮する作用を有している。
【0020】
このような活性ガスとしては、たとえばオゾン、窒素酸化物(NO、NOx)硫黄酸化物(SOx)、炭化水素類、酸化水素(H2O2、HO2)、ラジカル、プラズマガス等を挙げることができるが、さらに好適なものとして正イオンおよび/または負イオンを挙げることができる。また、このような正イオンおよび/または負イオンとしては、H3O+(H2O)n(nは0または自然数)および/またはO2 −(H2O)m(mは0または自然数)を挙げることができ、これらを主体として構成することが好ましい。大気中の酸素や水分等から発生させることができるため環境負荷が低く、またこれら両者が反応して過酸化水素H2O2、二酸化水素OH2、ヒドロキシラジカル・OH等のさらに活性な活性種を容易に生成するからである。なお、H3O+およびO2 −に水分子がクラスター化していることは図9から明らかである。図9は、それぞれ活性ガス発生素子から生成したイオンのマススペクトルを表わしており、図9(a)は正イオンであるH3O+(H2O)n(nは0または自然数)を、図9(b)は負イオンであるO2 −(H2O)m(mは0または自然数)を表わしている。
【0021】
<活性ガス発生素子>
本発明の活性ガス発生素子は、放電、光励起、電子線励起、放射線励起、電圧印加または機械的衝突のいずれかの方法により、大気中に存在する分子から上記のような活性ガスを発生するものである。たとえば、該素子が放電方法を利用するものであれば、構造的には絶縁体を電極で挟み込んだ構造を持ち、片側に交流の高電圧を印加させるとともに、もう一方の電極は接地させ、高電圧を印加させることにより接地電極に接している空気層にプラズマ放電を形成し、大気中の水分子や酸素分子を電離または解離することにより活性ガスとして正負両イオンを生成するものとなる。このような構造において、たとえば電極の形状を電圧印加側は板状またはメッシュ状とし、接地側電極をメッシュ状とした場合、高電圧を印加すると接地側電極のメッシュ端面部で電界が集中して沿面放電が起こりプラズマ領域が形成され活性ガスとして正負両イオンが生成するとともに電気的衝撃も得られる。
【0022】
このような活性ガス発生素子をさらに例示すると、たとえば、沿面放電素子、プラズマ放電素子、コロナ放電素子等を挙げることができる。
【0023】
なお、活性ガスとして上記のように正イオンおよび/または負イオンを発生するものは、特にイオン発生素子と呼ぶものとする。
【0024】
<活性ガス発生素子の性能検査方法>
本発明の活性ガス発生素子の性能検査方法は、活性ガス発生素子自体を検査するのではなく、活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用を検査することを特徴としている。このため、活性ガス発生素子自体の検査ではその異常を発見できなかったために生じることがあった有毒ガスの発生等を未然に防止することができ、活性ガス発生素子の性能の安定性が確保されたとともにその安全性を飛躍的に向上させることに成功したものである。
【0025】
活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成を検査する方法としては、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査等を挙げることができる。ガス質量分析検査は、従来公知の質量分析装置を利用することができ、ガス濃度検査は、ガスクロマトグラフィーやイオンカウンターを利用して計測することができる。また、変色検査や臭気検査は、目視判定や嗅覚検査など官能性検査に付すことができるほか、色差計やニオイセンサ等を利用することもできる。また、発光検査や発生音検査は、これも目視判定や聴覚検査など官能性検査に付すことができるほか、吸光光度計、分光器、光センサー、照度計、マイクロフォン等を利用することができる。
【0026】
一方、活性ガス発生素子から発生する活性ガスの作用を検査する方法としては、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査、安全性検査、変色検査等を挙げることができる。殺菌性能検査とは、活性ガスによる細菌や真菌に対する殺菌作用を検査するものであり、適当な細菌や真菌を選択してこれを常法に従って培養したものを用いて、該活性ガスを作用させることによりその殺菌率を測定するものである。ウイルス不活化検査とは、活性ガスによる各種ウイルスの細胞への感染率の低下作用を検査するものであり、適当なウイルスを選択してこれを常法に従って培養したものを用いて、該活性ガスを作用させることによりその感染率を測定するものである。脱臭性能検査とは、活性ガスによる臭気成分の分解除去作用を測定するものであり、該活性ガスを作用させた前後において臭気成分の濃度がどのように変化するかを嗅覚検査やガスクロマトグラフィー等によって測定するものである。有害物質除去検査とは、活性ガスによる有害物質の分解除去作用を測定するものであり、該活性ガスを作用させた前後において有害物質の濃度がどのように変化するかをガスクロマトグラフィー等によって測定するものである。安全性検査とは、該活性ガス発生素子から有毒なガス等が発生するか否かを検査するものであり、発生したガスを動物や植物等に暴露させ急性毒性や慢性毒性を測定するものである。変色検査とは、活性ガスの作用による物質の変色作用を検査するものであり、活性ガスを物品に暴露させその物品が変色するか否かを目視判定等するものである。
【0027】
上記において、活性ガスの性能検査方法を、活性ガスの組成についてのものと作用についてのものとに分けて説明したが、この分類は便宜上のものであって必ずしもいずれか一方のもののみに分類しなければならないとするものではない。本発明においては、これらの性能検査方法を1種または2種以上組合せて適用することができる。特に、発生する活性ガスの種類に応じて、高頻度に検査する必要がある検査項目とそれほど高頻度に検査する必要がない検査項目がある場合には、これらの検査項目を適宜組合せて検査することが好ましい。なお、このような性能検査方法は、製造効率との関係から、製造される活性ガス発生素子の全数について行なっても良いし、一部のものに対して抜き打ち的に行なうこともできる。
【0028】
<活性ガス発生素子の製造方法>
本発明の活性ガス発生素子の製造方法は、その製造工程の一工程として上記に記載した性能検査方法を実行することを特徴としている。これにより、製造される活性ガス発生素子の性能の安定性が確保されるとともにその安全性を飛躍的に向上させることに成功したものである。なお、該性能検査方法は、活性ガス発生素子の製造工程の任意の段階で行なうことができる。また、該性能検査方法以外の製造工程は、特に制限されることなく常法に従うことができる。
【0029】
<活性ガス発生素子を付設した装置>
本発明の活性ガス発生素子を付設した装置とは、その装置内に活性ガス発生素子を組み込んだことにより、日常生活の場で清浄な空間を提供したり、またあるいは医療または健康用の用途等においてより安全性高く清浄な空間を提供する装置である。このような装置としては、たとえば空気調節装置、空気清浄機、空気調和機、除湿機、加湿器、電気ヒータ、石油ストーブ、ガスヒータ、クーラーボックス、冷蔵庫、掃除機、クリーンルーム、エアカーテン発生装置、保育器、ベッド、椅子、マッサージ機、食品保存庫、動物または植物飼育装置、手術機器、住宅、航空機、車両、列車等を挙げることができる。
【0030】
<活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法>
本発明の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法は、その製造工程の一工程として上記した活性ガス発生素子の性能検査方法を実行することを特徴としている。これにより、製造される活性ガス発生素子を付設した装置の性能の安定性が確保されるとともにその安全性を飛躍的に向上させることに成功したものである。
【0031】
このような装置の製造方法としては、活性ガス発生素子の性能検査方法を製造工程の一工程として行なう限り、該性能検査方法以外の製造工程は特に制限されることなく常法に従うことができる。たとえば、このような製造方法の好適な例を挙げると、活性ガス発生素子を製造する第1製造工程と、該活性ガス発生素子を筐体に組み込む第2製造工程とを含み、該第1製造工程において該性能検査方法を実行した後、該第2製造工程を実行するような方法を挙げることができる。このような製造方法を採用することにより、たとえば上記第2製造工程において、互いに形態の異なる複数の筐体に対して該活性ガス発生素子を組み込むようにすれば、互いに形態の異なる複数の装置を連続的に製造することができ好ましい。
【0032】
<製造装置>
本発明の活性ガス発生素子の製造方法を実行する製造装置は、活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えていることが好ましい。
【0033】
また、本発明の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法を実行する製造装置は、活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えていることが好ましい。
【0034】
なお、ここでいう評価機能とは、上述の性能検査方法の測定結果を解析し表示装置を介してその結果を表示する機能や、その測定結果が閾値を超えるような場合に自動的に製造ラインを停止させるような制御機能をいう。
【0035】
以下に、さらに好適な実施の形態を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
<実施の形態1>
本実施の形態は、活性ガス発生素子としてイオン発生素子を製造し、その製造工程の一工程として、活性ガスであるイオンの濃度を測定する性能検査方法を実行するものである。以下、図1に基づいて説明する。
【0037】
活性ガス発生素子の製造工程の一工程として、その活性ガス発生素子の性能検査方法を実行する工程101では、活性ガスがイオンであることからゲルディオン型イオンカウンター(ガス濃度検査装置107)を用いており、加速電極102および捕集電極106において、イオン発生素子(活性ガス発生素子103)から放出されるイオン濃度を測定している。なお、図示していないが、該イオン発生素子にファンが併設されていない場合には、別途ファンを設置しイオン発生素子から発生したイオンが該イオンカウンターに達するようにする。また、この性能検査方法を実行する工程の前の工程には、別のイオン発生素子(活性ガス発生素子104)が待機しており、該活性ガス発生素子103の検査が終了した後、活性ガス発生素子104を移動させイオン濃度を検査する。また、該検査終了後、該活性ガス発生素子103は、同じく活性ガス発生素子105で示される位置に移動する。
【0038】
なお、待機している活性ガス発生素子104は、その前工程において活性ガス発生素子(イオン発生素子)の組み立てやその運搬が行われる。また、性能検査工程を経た活性ガス発生素子105は、原則として(活性ガス発生素子としての)その製造工程が完了するものであるが、これに引続きこの活性ガス発生素子(イオン発生素子)を筐体に組み込む工程やあるいは梱包作業工程などの作業を含む後半工程が行われる。
【0039】
なお、上記ゲルディオン型イオンカウンターは、イオン発生素子から放出された活性ガス(イオン)に電界を印加し、捕集電極に衝突するイオンの電荷量を測定し、イオン濃度を計測するものである。このように活性ガス発生素子(イオン発生素子)の製造工程の一工程として、本実施の形態のような性能検査方法を実行する工程を設けることにより、活性ガス(イオン)濃度を例えば数秒で測定することが可能となり、基準を満たせない活性ガス発生素子(イオン発生素子)を工程から取り除くことができる。これにより、活性ガス発生素子の性能の再現性の確保が可能になり、製造歩留まりの向上と製品信頼性の向上を達成することが可能になる。
【0040】
なお、あらかじめ本実施の形態の活性ガス発生素子(イオン発生素子)から放出されるイオンの濃度と、オゾン濃度あるいはNOxやSOxなどの物質の濃度との関係を調べておくことによって、イオンの濃度を測定すると上記のような他の物質の濃度が推定できるため、オゾン、SOx、NOx等の物質が有害なレベルに達しないよう制御しながら活性ガス発生素子を生産することが可能になる。
【0041】
また、本実施の形態では、活性ガス発生素子であるイオン発生素子あるいはそれを付設した装置を製造する場合を記述したが、活性ガスとしてはイオンだけではなく、たとえばオゾン、窒素酸化物、ラジカルなどを挙げることができ、このような活性ガスを発生することを目的とした各種の素子またはそのような素子を付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能である。
【0042】
なお、本実施の形態で用いるイオン発生素子は、放電方式によるイオン発生方式を用いたが、イオンカウンターを用いた性能検査工程は、以上の素子あるいは装置の製造に有効であるだけでなく、光励起、電子線励起、機械的衝突等による方式を用いた、オゾン、プラズマ、ラジカル、その他の活性ガスを放出する機能を有する活性ガス発生素子やそれを付設した装置においても有効となる。これらの活性ガスが発生する際には、イオンの生成を伴なうためこのイオン濃度を測定することにより、活性ガスの放出性能の安定性を確認することが可能であり、結果として上記活性ガスの放出安定性を検査することができるからである。
【0043】
<実施の形態2>
本実施の形態では、活性ガス発生素子としてイオン発生素子を用い、また活性ガス発生素子を付設した装置として掃除機を製造し、該掃除機の製造工程の一工程として、活性ガス発生素子から発生する活性ガスの殺菌性能検査を実行するものである。以下、図2に基づいて説明する。
【0044】
まず、掃除機(活性ガス発生素子を付設した装置201)の製造工程の一工程として、掃除機は活性ガス発生素子の性能検査方法を実行するべく部屋203の中に置き、部屋203の外側に設置された噴霧器204から大腸菌を含む水溶液を霧状に噴霧205する。そして、該掃除機をイオン(活性ガス)を放出させながら作動させ、該部屋203の菌をサンプリング装置202にて採集し菌数をカウントする。このようにして、部屋203内で掃除機を作動させた時間と、部屋203内の大腸菌の菌数の変化を調査し、掃除機から放出されるイオン(活性ガス)による殺菌性能を検査した。なお、本試験にて殺菌性能が弱いことが判明した場合は、活性ガス発生素子を調整することにより所定の性能が出るようにする。
【0045】
なお、部屋203の外に置かれている掃除機(活性ガス発生素子を付設した装置206)は、上記のような殺菌性能検査が未だされていないものであり、掃除機(活性ガス発生素子を付設した装置201)の検査が終了した後、上記検査が実行されることになる。
【0046】
また、本実施の形態における菌数のカウント方法としては、サンプリング装置202として寒天培地を採用し、該培地に落下した菌を培養することにより増殖した菌の培地の数を計測する方法が簡易であるが、それ以外に光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡を用いてサンプリング装置に落下した菌を直接観察する方法や、培養した細胞に菌を暴露させ、細胞の状態を観察する方法などを採用してもよく、菌数の計数方法は特に限定されるものではない。
【0047】
なお、本実施の形態では大腸菌の計数を行なっているが、カビなどの真菌類や病原性の細菌に対する殺菌性能を調べてもよい。また、ウイルスなどの増殖の程度を測定してもよい。ただしウイルスの試験の場合、上記実施の形態に関する記述において、殺菌という用語は不活化という用語に置き換えられる。
【0048】
以上の方法によれば、活性ガスであるイオンの殺菌性能を確認することが可能になるため、イオン放出量が不必要に上昇せず、室内に不必要な静電気が発生することによる不快感や、不要な電力消費を防止することができる。その結果、信頼性の高い掃除機を製造することが可能となる。また、このように製造工程の一工程として殺菌性能検査あるいはウイルス不活化検査を実行することにより、製造歩留まりの向上と製品信頼性の向上および安全性の確保が可能になる。
【0049】
なお、本実施の形態では、活性ガス発生素子であるイオン発生素子あるいはそれを付設した装置として掃除機を製造する場合を記述したが、活性ガスとしてはイオンだけではなく、たとえばオゾン、窒素酸化物、ラジカルなどを挙げることができ、このような活性ガスを発生することを目的とした各種の素子またはそのような素子を付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能である。
【0050】
また、上記の性能検査において、菌の代わりに、ホルムアルデヒドやトルエン、キシレン、ベンゼンなどの化学物質を散布し、サンプリングによりその濃度を検査することにより脱臭性能検査あるいは有害物質除去検査を行うようにしてもよい。また、さらにアレルゲン物質を散布し、アレルゲンの失活を評価する方法としてもよい。その場合、脱臭性能あるいは有害物質除去性能を確保した信頼性の高い活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造方法を実現できる。
【0051】
<実施の形態3>
本実施の形態は、活性ガス発生素子としてイオン発生素子を製造し、この活性ガス発生素子から発生する活性ガスについてウイルス不活化検査を行うことにより性能検査方法を実行するものである。以下、図3に基づいて説明する。
【0052】
まず、ウイルスを混合した水溶液を噴霧器301を用いて風洞302内に噴霧し、イオン発生素子(活性ガス発生素子304)から放出される正イオン306および負イオン305を含む空気と混合される。該イオン発生素子は、詳細は図示していないがその構成要素である沿面放電電極に正および負からなるパルス状交流高電圧を印加し、電極付近の大気中に存在する分子から活性ガスである正イオン306および負イオン305を発生させるものである。
【0053】
上記噴霧器301から風洞302内の空気中に放出されたウイルスは、前記正イオン306および負イオン305と空気中で接触し、これら正負両イオンの反応により生じるさらに強力な活性ガスであるOHラジカルの酸化作用により不活化される。すなわち、ウイルスは細胞への感染力が顕著に低下し、増殖が抑制される現象が生じる。
【0054】
そして、このウイルスを含んだ混合気体をサンプリング装置303にて収集し、不活化されたウイルスを水溶液に分散させる。その後、この水溶液を細胞にて培養することによって細胞の健康度の検査やあるいはウイルス濃度の検査を行うことにより、上記風洞302を通過後の空気中のウイルスがどの程度不活性化しているかを調べ、以って活性ガス発生素子であるイオン発生素子の性能検査方法を実行することができる。
【0055】
ここで、例えばウイルスの検査方法としては、プラック法によりMDCK細胞あるいはHela細胞などに上記サンプリング装置303にて採取した水溶液を滴下し、細胞へのウイルス感染による細胞破壊を観察することにより、ウイルスの感染の度合いを検査することができる。また、上記のプラック法とは別に、赤血球凝集反応を利用して血液に上記水溶液を混合し赤血球の凝集度を測定することにより、ウイルスと赤血球との作用の度合いを調べ間接的にウイルス濃度を測定することも可能である。
【0056】
なお、上記のようにしてその性能を検査したイオン発生素子(活性ガス発生素子)304は、交換経路307で示す経路で移動させ、次工程において例えば列車、車、住宅、電気機器、工場、製造装置などに組み込むことにより活性ガス発生素子を付設した装置を製造することができる。そして、このようにして製造された各装置は、ウイルスを不活化する効果を安定して働かせることが可能となる。
【0057】
なお、本実施の形態では、活性ガス発生素子であるイオン発生素子あるいはそれを付設した種々の装置を製造する場合を記述したが、活性ガスとしてはイオンだけではなく、たとえばオゾン、窒素酸化物、ラジカルなどを挙げることができ、このような活性ガスを発生することを目的とした各種の素子またはそのような素子を付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能である。また、このように製造工程中の一工程としてウイルスを用いた不活化試験を行なうことにより(すなわち性能検査方法を実行することにより)、製造歩留まりの向上と製品信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0058】
<実施の形態4>
本実施の形態は、活性ガス発生素子であるイオン発生素子の製造工程の一工程として、該素子から放出されるガスの質量分析検査を行なうことにより性能検査方法を実行したものである。以下、図4に基づいて説明する。
【0059】
まず、イオン発生素子(活性ガス発生素子402)から放出された活性ガス中の電荷を有する物質は、パルスバルブ405を通じて飛行時間型質量分析器404の内部に導入される。そして、上記電荷を有する物質は、加速電極406の作用により飛行時間型質量分析器404の内部を飛行し、質量選択ゲート407を通過して検出器408で電気信号として検出される。
【0060】
ここで、飛行するガス状の物質は、質量および電荷量に応じて検出器に到達する時間が異なるため、検出器で得られる電気信号を分析することにより、該ガス状の物質の組成が分析可能となる。したがって、これにより活性ガス発生素子(イオン発生素子)から放出される活性ガス(イオン)の組成を知ることができる。この活性ガスの組成を検査するという性能検査方法を実行することにより、活性ガスの同定や必要に応じた定量評価が可能になり、活性ガス発生素子であるイオン発生素子の製造に関わる安定性や信頼性ないしは安全性を評価することが可能になる。
【0061】
なお、図示していないが、パルスバルブ405付近に電子線等によるガス励起装置を付設することにより、電荷を有しない活性ガス、例えばオゾンやNO、NOx、SOx、炭化水素類などの質量分析も可能である。
【0062】
また、本実施の形態では、同じ製造ラインで製造されるイオン発生素子(活性ガス発生素子401、402、403)を順番に性能検査方法に付する態様を示しており、すなわち活性ガス発生素子401は未だ検査されておらず、活性ガス発生素子403はすでに検査を終えたものである。そして、この活性ガス発生素子403は、さらに梱包等の次工程に移されたり、各種装置に付設する工程に移すことができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、活性ガス発生素子であるイオン発生素子あるいはそれを付設した種々の装置を製造する場合を記述したが、活性ガスとしてはイオンだけではなく、たとえばオゾン、窒素酸化物、ラジカルなどを挙げることができ、このような活性ガスを発生することを目的とした各種の素子またはそのような素子を付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能である。また、このように製造工程中の一工程として活性ガスの質量分析検査を行なう性能検査工程を導入することにより、製造歩留まりの向上と製品信頼性の向上、さらに製品安全性の向上を図ることが可能になる。
【0064】
<実施の形態5>
本実施の形態は、活性ガス発生素子であるイオン発生素子の製造工程の一工程として、活性ガスの動物への安全性検査を性能検査方法として実行する工程を導入したものである。以下、図5および図6に基づいて説明する。
【0065】
まず、試験室501は、本試験動物であるラットが適度に運動できるようなスペースが確保されているとともに換気部504が設けられており、ラットの生存を快適なものとするよう、温度、湿度、酸素濃度などが適度に調節できるようにされている。また、活性ガス発生素子を付設した装置502とイオン発生素子(活性ガス発生素子503)は、図5では両方示されているが、使用目的や用途に応じていずれか一方だけを配置することも可能である。
【0066】
イオン発生素子(活性ガス発生素子503)またはそれを付設した装置502の製造工程の一工程として、このような試験室501内において、イオン発生素子(活性ガス発生素子503)もしくはそれを付設した装置502を作動させ、そのような環境にてラットが健康的な生活を送れるかどうかの安全性検査を行うことにより、活性ガス発生素子の性能検査方法を実行するものである。なお、イオン(活性ガス)は、イオン発生方向509、510の矢印方向に発生させられる。このような性能検査方法により、上記イオン発生素子(活性ガス発生素子503)もしくはそれを付設した装置502の動作による動物への影響、すなわち安全性が調べられるという利点を有している。
【0067】
なお、動物愛護の観点から、本試験においては動物を不必要に悪い環境に置き、上記イオン発生素子(活性ガス発生素子503)もしくはそれを付設した装置502による生物的悪影響を引き起こすことを目的とすることは好ましくなく、活性ガス発生素子503もしくはそれを付設した装置502の安全性を確認することを第一の目的とすることが適当と考えられる。そのため、試験方法として活性ガス発生素子503もしくはそれを付設した装置502の実際の使用条件に近い大気環境を上記室内に実現し、ラットの健康を確認できるような条件であるよう配慮することを試験条件の1例として設定するとよい。
【0068】
そして、例えば上記条件を満たすため室内環境として酸素濃度、二酸化炭素濃度を通常の空間に近い値に設定する。さらに、本検査対象の活性ガス発生素子503もしくはそれを付設した装置502から発生する活性ガスであるイオンが、それらから通常に発生するイオン濃度を基本として、その例えば数倍程度の濃度で上記ラットの周辺に存在するように設定し、ラットの動作状況、体重変化、食餌量、排泄量、眼や口などの粘膜の状況などが、通常条件(活性ガス発生素子503もしくはそれを付設した装置502を設置しない場合)と比較できるように諸条件を設定することが好ましい。
【0069】
なお、本安全性検査の期間を例えば数分から数時間程度の時間とした場合、ラットへの急性毒性の有無を確認することができる一方、さらに長時間の検査を実施する場合には例えば4週間(28日間)の期間、毎日6時間程度のイオン雰囲気をラットに供給し亜慢性毒性の有無について検査することができる。
【0070】
なお、動物への影響調査に関しては、体重変化、動作の観察、その他諸器官の観察や、その他の医学的な検査を適用することが可能である。以上の方法により、動物への安全性を確認することが可能になる。
【0071】
なお、本実施の形態では、同じ製造ラインで製造される活性ガス発生素子またはそれを付設した装置を順番に性能検査方法、すなわち動物に対する安全性検査に付する態様を示しており、活性ガス発生素子503は交換経路507により、また活性ガス発生素子を付設した装置502は交換経路508により、それぞれ梱包等の次工程に移されたり、各種装置を組立てる工程に移すことができる。
【0072】
一方、図6は、以上の動物試験を行う試験室において複数の動物に供給されるイオン濃度を略等しくするため、活性ガス発生素子を付設した装置から放出される活性ガスを、風洞を用いて複数のラットに与えるようにした安全性検査の模式図である。
【0073】
すなわち、活性ガス発生素子を付設した装置601から活性ガスである負イオンを含む空気を発生させ、風洞602および風向調整板606を通じて複数のラット604が配置されている動物用ケージ605に供給される。また、風向607は、各動物用ケージ605において等しくなるように調節されている。
【0074】
また、活性ガス発生素子を付設した装置601は、一連の安全性検査を終えた後、交換経路608によりチャンバー603の外へ搬送され別の活性ガス発生素子を付設した装置の試験が行なえるよう準備される。
【0075】
なお、図6で示す安全性検査では、イオン濃度の条件は本検査に用いた活性ガス発生素子を付設した装置により実際に人間や動物に供給しうるイオン濃度付近の濃度となるように調節する。また、さらに本検査を行なう活性ガス発生素子を付設した装置が、実際に使用される場合に想定されるイオン濃度の最大値以上のイオン濃度をラットに与えるようにしてより高い安全性を検証できるようにすることも好ましい。
【0076】
なお、チャンバー603は、図示していないが外部の清浄空気と換気を行ない、内部の空気の酸素濃度が低下しないように設定している。
【0077】
このような図6に示された安全性検査では、ラットに比較的均一なイオン(活性ガス)を供給することができるため、個々のラットによりイオン濃度の相違が生じにくく、統計的に検査結果を評価する場合においても検査結果を正確に評価できるという利点がある。また、この検査では、動物の体重変化や、血液検査結果、身長、尿検査などの医学的データを統計的に評価する上で信頼性の高いデータを得ることができるため、活性ガスの評価を厳密に行うことが可能になり、安全性の高い活性ガス発生素子を付設した装置を製造することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、活性ガス発生素子としてイオン発生素子またはそれを付設した装置を製造する場合を記載したが、活性ガスであるイオンとしてはこのような負イオン以外に、正イオンあるいは正イオンと負イオンの混合物である場合でも同様の安全性検査が可能である。また、活性ガスとしてオゾンあるいは窒素酸化物、ラジカルなどを発生することを目的とした活性ガス発生素子またはそれを付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能であり、生物への安全性検査を行った上で製造することにより、製品信頼性の向上を得ることが可能になる。
【0079】
なお、このような動物安全性検査は製品の全数について行なう必要は必ずしもなく、抜き取り検査としてもよい。
【0080】
なお、ラットに対してその毛や体の変色がないかどうかの確認を行う方法も当然可能であり、さらには、本検査方法においてラットの代わりに、布や、板、プラスチック、その他物品を配置し、活性ガスを暴露することにより変色検査を行うこともできる。
【0081】
<実施の形態6>
本実施の形態は、実施の形態1におけるイオンカウンターを、別のセンサーに変更することにより、活性ガス発生素子の性能検査方法を実行するものである。
【0082】
たとえば、オゾンセンサーや、NOxセンサーなどの臭いセンサーすなわち、広義の化学物質センサーを用いることにより、発生する活性ガスの組成や臭いを検知できるため、活性ガスの生成過程における臭気成分の検知が可能になり、活性ガス発生素子の性能を検査できる。
【0083】
また、光センサーあるいは分光器を用いた発光検査を行うことにより、活性ガスの生成過程における発光強度あるいは発光スペクトルの分析が可能になり、活性ガス発生素子の性能を検査できる。また、マイクロフォンなどを用いることにより音の検査を行うことにより、活性ガスの生成過程における音響発生を検知することが可能になり、活性ガス発生素子の性能を検査できる。
【0084】
以上のように、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造において、臭気検査、発光検査、あるいは発生音検査を行うことにより、活性ガス発生素子の性能を検査できるため、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の信頼性を高めることが可能になる。
【0085】
<実施の形態7>
本実施の形態は、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程において、活性ガスの性能検査工程を複数の工程で実行するものである。以下、図7および図10に基づいて説明する。
【0086】
図7は、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程のフローチャートを示している。第1製造工程S701は、活性ガス発生素子の製造工程S703と性能検査方法を実行する第1性能検査工程S704とからなる。また、これに続く第2製造工程S702は、活性ガス発生素子を筐体に組み込む工程S705と、所望により上記とは別の性能検査方法を実行する第2性能検査工程S706とからなり、以上の工程を経て、活性ガス発生素子を付設した装置の製造は完成S707する。
【0087】
まず、活性ガス発生素子の製造工程S703では、主に活性ガスを発生するための電極や高圧電圧発生部などが作製され、活性ガス発生素子が組立てられる。
【0088】
図10は、このような活性ガス発生素子としてイオン発生素子を例にとりその一例を示したものである。このようなイオン発生素子(活性ガス発生素子1001)は、沿面放電を構成する放電電極1002と沿面放電を構成する誘電体1003を主要構成要素としている。なお、図示しないが、誘電体1003の内部に沿面放電を構成する片側の電極が埋めこまれており、この電極と放電電極1002の間に交流からなる高電圧を印加することにより沿面放電を行い、大気中の種々の分子を励起して、活性ガスとしてイオンやその他のラジカル、オゾンなどを発生させる。
【0089】
次に、このようにして製造された活性ガス発生素子に対して、活性ガスの性能検査方法を実行する第1性能検査工程S704を適用する。第1性能検査工程S704では、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のうち、1種または2種以上のいずれかの検査工程が行われる。この場合、第1性能検査工程S704は、製造された活性ガス発生素子の全数の検査を行わないことも可能であり、抜き取り検査にて試験をする方法を採用することもできる。例えば、活性ガス発生素子がイオン発生素子である場合、製造したイオン発生素子の全数のイオン濃度を測定する検査を行ない、続いてそのうちの一部のイオン発生素子のみに対して、例えばラットを用いた安全性検査やガス質量分析検査を行なうようにすることができ、この場合、前者のイオン濃度検査は全数でなく例えば半数のみの検査とすることもできる。
【0090】
次に、第2製造工程S702として、活性ガス発生素子を筐体に組み込む工程S705、およびそれに続けて所望により第2性能検査工程S706を行なう。
【0091】
第2性能検査工程S706では、第1性能検査工程S704と同様、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のうち、1種または2種以上のいずれかの検査工程が行われる。ただし、第1性能検査工程S704と第2性能検査工程S706とは、別の検査工程とすることが生産工程上効率が良いが、同じ試験を行なっても良い。
【0092】
例えば、第1性能検査工程S704にて、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査を行ない、第2性能検査工程S706では、最終検査として、ガス濃度検査、発生音検査などを行なうものとすることができる。
【0093】
なお、第1性能検査工程S704および第2性能検査工程S706においては、製造されたもの全数について検査を行なう必要はなく、抜き取り検査を行うようにしてもよい。また、第1性能検査工程S704および第2性能検査工程S706のどちらかで検査を一括して行なってもよい。
【0094】
以上の工程の後、活性ガス発生素子を付設した装置が完成S707されることになるが、このような製造工程においては、活性ガス発生素子の完成後第1性能検査工程S704を実行することにより、その後の第2製造工程S702において活性ガス発生素子の不具合が発見される確率が低下し、最終的な商品の歩留まりが良くなり信頼性が向上するという効果を得ることができる。
【0095】
<実施の形態8>
本実施の形態は、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程において、活性ガス発生素子を複数の形態の装置に組み込むものである。以下、図8に基づいて説明する。
【0096】
図8は、活性ガス発生素子およびそれを複数の形態の装置に組み込む製造工程を表わしたフローチャートを示している。第1製造工程S801は、活性ガス発生素子の製造工程S803と性能検査方法を実行する性能検査工程S804とからなる。また、これに続く第2製造工程S802は、活性ガス発生素子を筐体に組み込み装置を完成させる工程であり、そのような装置としては複数のものがあり、航空機への組み込み工程S805、住宅への組み込み工程S806、車両への組み込み工程S807、空気調和機への組み込み工程S808、家電製品への組み込み工程S809、列車への組み込み工程S810となっている。
【0097】
ここで、上記性能検査工程S804としては、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のうち、1種または2種以上のいずれかの検査工程が行われる。
【0098】
また、この性能検査工程S804を完了した後、該活性ガス発生素子をそれぞれ航空機への組み込み工程S805、住宅への組み込み工程S806、車両への組み込み工程S807、空気調和機への組み込み工程S808、家電製品への組み込み工程S809、列車への組み込み工程S810に適用し、活性ガス発生素子を付設した装置として航空機、住宅、車両、空気調和機、家電製品、列車をそれぞれ製造した。なお、ここで、活性ガス発生素子としてはイオン発生素子が挙げられ、車両としてはバスが挙げられ、空気調和機としては空気清浄機が挙げられ、家電製品としては掃除機が挙げられる。
【0099】
以上の製造工程を用いることにより、性能を確認された活性ガス発生素子を各装置に付設することができるため、最終的な商品の信頼性と安全性が向上する。なお、性能検査工程S804は、活性ガス発生素子を各装置に付設した後に行なっても良い。
【0100】
なお、本発明においては、航空機、住宅、車両、空気調和機、家電製品、列車などの各装置自体の固有の製造工程を限定するものではなく、あらゆる製品の製造工程に適用することができる。つまり、活性ガス発生素子を製造した後、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のうち、1種または2種以上のいずれかの検査工程を行なうことにより、その後の製造工程がどのようなものであっても、最終的な製品すなわち活性ガス発生素子を付設した装置の信頼性、安全性を向上させることができるという効果を有する。
【0101】
なお、本発明は、以上の全ての製造方法において、活性ガスの性能検査方法を実行する製造装置を適用することができ、歩留まり良く製品を製造する効果を得ることができる。
【0102】
また、以上の全ての製造方法において、活性ガスの性能検査工程は、必ずしも実際の製造ラインに隣接させて配置する必要はなく、例えば別の検査機関や、別地域の製造工場などにおいて行なってもよく、工程の位置的配置が限定されるものではない。
【0103】
また、活性ガスの性能検査の実施時期とその検査結果が得られるまでの期間との間に、一定の期間を要する場合もある。
【0104】
また、以上の実施の形態においては、活性ガス発生素子としてイオン発生素子を中心に記載したが、オゾン発生素子、放射線によるラジカル発生素子、針型電極によるマイナスイオン発生素子、沿面放電によるイオン発生素子、コロナ放電によるプラズマ等の活性ガス発生素子、レナード効果によるイオン発生素子、酸化チタンなどの光触媒と紫外線などの光を用いた活性ガス発生素子などにおいても、本発明の適用が可能である。
【0105】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0106】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、活性ガス発生素子自体を検査するのではなく、該素子から発生する活性ガスの組成および/または作用を直接検査するものであるため、活性ガス発生素子の信頼性をさらに向上させることが可能になったとともにその安全性を飛躍的に向上させ、しかも製造効率を向上させることに成功したものである。したがって、このような活性ガス発生素子の性能検査方法を、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程の一工程として実行すれば、そのような製造方法により製造される製品において性能の安定性が確保されるとともに、高度な安全性および製造効率を確保することができる。
【0107】
また、本発明によると、特に、活性ガス発生素子が放電、光励起、電子線励起、放射線励起、電圧印加または物理的衝突のいずれかの方法により、大気中に存在する分子から活性ガスを発生させるものである場合において、その活性ガスに対して上記性能検査を行うことにより上記効果を有効に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの濃度を測定する工程を示した模式図である。
【図2】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの殺菌性能検査を実行する工程を示した模式図である。
【図3】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスのウイルス不活化検査を実行する工程を示した模式図である。
【図4】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの質量分析検査を実行する工程を示した模式図である。
【図5】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの動物への安全性検査を実行する工程を示した模式図である。
【図6】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの動物への安全性検査を実行するものであって、複数の動物に同条件の試験を実行する工程を示した模式図である。
【図7】活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程のフローチャートである。
【図8】活性ガス発生素子およびそれを複数の形態の装置に組み込む製造工程を表わしたフローチャートである。
【図9】活性ガス発生素子から生成する正イオンおよび負イオンの質量スペクトルを示した図である。
【図10】活性ガス発生素子であるイオン発生素子の斜視図である。
【符号の説明】
101 活性ガス発生素子の性能検査方法を実行する工程、102,406 加速電極、103,104,105,304,401,402,403,503,1001 活性ガス発生素子、106 捕集電極、107 ガス濃度検査装置、201,206,502,601 活性ガス発生素子を付設した装置、202,303 サンプリング装置、203 部屋、204,301 噴霧器、205噴霧、302,602 風洞、305 負イオン、306 正イオン、307,507,508,608 交換経路、404 飛行時間型質量分析器、405パルスバルブ、407 質量選択ゲート、408 検出器、501 試験室、504 換気部、506,604 ラット、509,510 イオン発生方向、603 チャンバー、605 動物用ケージ、606 風向調整板、607 風向、1002 放電電極、1003 誘電体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性ガス発生素子の性能検査方法および製造方法、活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法、これらの製造方法を実行する製造装置、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住環境の変化に伴い様々な化学物質や微生物などによる疾病やアレルギー等への関心が高まっており、空気中の有害物質や有害微生物もしくはウイルスなどを取り除き健康で快適な生活を送りたいという要望が強くなっている。このような殺菌あるいは有害物質の不活化や脱臭を行ないたいという要望に応え、活性化されたガス(以下、単に活性ガスと記す)の作用によりこのような要望を満足させるべく、そのような活性ガスを発生および放出する機構や素子(以下、単に活性ガス発生素子と記す)を備えた空気調節装置が検討され実用的な商品が市販されている。これらの装置に備えられている活性ガス発生素子は、例えば放電や紫外線励起、その他電子線励起や圧電効果による電圧印加などの物理化学的な作用により、空気中の分子のエネルギー状態を高め活性ガス、すなわち各種のイオンあるいはオゾンや、プラズマなどを含むガスを発生するものである。
【0003】
一般に、このようにして発生する活性ガスは、反応性に富み種々の物質と反応する特徴がある。そのため、活性ガスを生成し空気中に放出する場合は、活性ガスの濃度や組成自体が、その活性ガス発生素子付近の条件変化、すなわちその素子が電極である場合にはその電極の表面構造や表面状態の変化、あるいは光強度、風速、温度、湿度などの変化により大きく変化しやすい。このため、活性ガス発生素子を有する部品あるいは装置を製造するには、製造工程を厳密に管理する必要があり、その製造に困難を伴なうという問題がある。そして、この製造工程の管理に失敗し不良品となったものは、上記殺菌あるいは脱臭等の所定の性能が得られなくなるばかりか、不必要なガス(特に人体に対して有害なガス)が放出され安全性が充分に保てないものとなる。従って、製造工程を管理し不良品の発生率を低く抑えるとともに、その不良品を簡単に検出することが必要になる。
【0004】
このような不良品の検出方法としては、たとえば沿面放電式のオゾン発生素子を溶媒中に浸漬し照明を当てることにより、接着不良や天然マイカの欠陥を際立たせ、欠陥部の明るさの濃淡により不良品を検出する方法が提案されている(特許文献1)。しかし、このような方法においては、直接的に活性ガスの性能や安全性を検出しようとするものではないため、素子自体に欠陥が発見されないにもかかわらず、依然として所望される活性ガスを発生しないものが含まれ得、所望の効果が得られないばかりか安全性にも問題を有するものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−122548号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたものであってその目的とするところは、活性ガス発生素子自体を検査するのではなく他のファクターを検査することにより、不良品の発生率を低く抑えることを目的とした活性ガス発生素子の性能検査方法およびその製造方法に関する。また、本発明は、そのような活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法、これらの製造方法を実行する製造装置、およびこれらの製造方法により製造される活性ガス発生素子およびそれを付設した装置に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、活性ガス発生素子の性能検査方法であって、該活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用を検査することを特徴とする、活性ガス発生素子の性能検査方法に関するものである。
【0008】
上記活性ガス発生素子は、放電、光励起、電子線励起、放射線励起、電圧印加または機械的衝突のいずれかの方法により、大気中に存在する分子から活性ガスを発生するものとすることができる。
【0009】
また、上記活性ガスは、正イオンおよび/または負イオンとすることができ、好ましくはH3O+(H2O)n(nは0または自然数)および/またはO2 −(H2O)m(mは0または自然数)を主体とすることができる。
【0010】
また、上記活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用の検査は、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のいずれか1種または2種以上とすることができる。
【0011】
また、本発明の活性ガス発生素子の製造方法は、その製造工程の一工程として、上記のいずれかに記載した性能検査方法を実行することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法は、その製造工程の一工程として、上記のいずれかに記載した活性ガス発生素子の性能検査方法を実行することを特徴としている。
【0013】
また、上記活性ガス発生素子を付設した装置の製造工程は、活性ガス発生素子を製造する第1製造工程と、該活性ガス発生素子を筐体に組み込む第2製造工程とを含み、該第1製造工程において上記のいずれかに記載した活性ガス発生素子の性能検査方法を実行した後、該第2製造工程を実行することを特徴としている。
【0014】
また、上記第2製造工程において、互いに形態の異なる複数の筐体に対して該活性ガス発生素子を組み込むことにより、互いに形態の異なる複数の装置を連続的に製造することを特徴としている。
【0015】
また、本発明の活性ガス発生素子の製造方法を実行する製造装置は、活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えたことを特徴としている。
【0016】
また、本発明の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法を実行する製造装置は、活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えたことを特徴としている。
【0017】
また、本発明の活性ガス発生素子は、上記の製造方法により製造されたものである。
【0018】
また、本発明の活性ガス発生素子を付設した装置は、上記のいずれかに記載の製造方法により製造されたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
<活性ガス>
本発明の活性ガスは、後述の活性ガス発生素子によって発生するものであり、以下のような作用を有することにより主として住環境を快適かつ健康的なものにするものである。すなわち、本発明の活性ガスは、細菌や真菌に対して殺菌作用を発揮したり、ウイルスに対して感染力を低下させたり、アレルギー物質、悪臭物質、その他の有害物質に対して分解除去作用を発揮する作用を有している。
【0020】
このような活性ガスとしては、たとえばオゾン、窒素酸化物(NO、NOx)硫黄酸化物(SOx)、炭化水素類、酸化水素(H2O2、HO2)、ラジカル、プラズマガス等を挙げることができるが、さらに好適なものとして正イオンおよび/または負イオンを挙げることができる。また、このような正イオンおよび/または負イオンとしては、H3O+(H2O)n(nは0または自然数)および/またはO2 −(H2O)m(mは0または自然数)を挙げることができ、これらを主体として構成することが好ましい。大気中の酸素や水分等から発生させることができるため環境負荷が低く、またこれら両者が反応して過酸化水素H2O2、二酸化水素OH2、ヒドロキシラジカル・OH等のさらに活性な活性種を容易に生成するからである。なお、H3O+およびO2 −に水分子がクラスター化していることは図9から明らかである。図9は、それぞれ活性ガス発生素子から生成したイオンのマススペクトルを表わしており、図9(a)は正イオンであるH3O+(H2O)n(nは0または自然数)を、図9(b)は負イオンであるO2 −(H2O)m(mは0または自然数)を表わしている。
【0021】
<活性ガス発生素子>
本発明の活性ガス発生素子は、放電、光励起、電子線励起、放射線励起、電圧印加または機械的衝突のいずれかの方法により、大気中に存在する分子から上記のような活性ガスを発生するものである。たとえば、該素子が放電方法を利用するものであれば、構造的には絶縁体を電極で挟み込んだ構造を持ち、片側に交流の高電圧を印加させるとともに、もう一方の電極は接地させ、高電圧を印加させることにより接地電極に接している空気層にプラズマ放電を形成し、大気中の水分子や酸素分子を電離または解離することにより活性ガスとして正負両イオンを生成するものとなる。このような構造において、たとえば電極の形状を電圧印加側は板状またはメッシュ状とし、接地側電極をメッシュ状とした場合、高電圧を印加すると接地側電極のメッシュ端面部で電界が集中して沿面放電が起こりプラズマ領域が形成され活性ガスとして正負両イオンが生成するとともに電気的衝撃も得られる。
【0022】
このような活性ガス発生素子をさらに例示すると、たとえば、沿面放電素子、プラズマ放電素子、コロナ放電素子等を挙げることができる。
【0023】
なお、活性ガスとして上記のように正イオンおよび/または負イオンを発生するものは、特にイオン発生素子と呼ぶものとする。
【0024】
<活性ガス発生素子の性能検査方法>
本発明の活性ガス発生素子の性能検査方法は、活性ガス発生素子自体を検査するのではなく、活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用を検査することを特徴としている。このため、活性ガス発生素子自体の検査ではその異常を発見できなかったために生じることがあった有毒ガスの発生等を未然に防止することができ、活性ガス発生素子の性能の安定性が確保されたとともにその安全性を飛躍的に向上させることに成功したものである。
【0025】
活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成を検査する方法としては、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査等を挙げることができる。ガス質量分析検査は、従来公知の質量分析装置を利用することができ、ガス濃度検査は、ガスクロマトグラフィーやイオンカウンターを利用して計測することができる。また、変色検査や臭気検査は、目視判定や嗅覚検査など官能性検査に付すことができるほか、色差計やニオイセンサ等を利用することもできる。また、発光検査や発生音検査は、これも目視判定や聴覚検査など官能性検査に付すことができるほか、吸光光度計、分光器、光センサー、照度計、マイクロフォン等を利用することができる。
【0026】
一方、活性ガス発生素子から発生する活性ガスの作用を検査する方法としては、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査、安全性検査、変色検査等を挙げることができる。殺菌性能検査とは、活性ガスによる細菌や真菌に対する殺菌作用を検査するものであり、適当な細菌や真菌を選択してこれを常法に従って培養したものを用いて、該活性ガスを作用させることによりその殺菌率を測定するものである。ウイルス不活化検査とは、活性ガスによる各種ウイルスの細胞への感染率の低下作用を検査するものであり、適当なウイルスを選択してこれを常法に従って培養したものを用いて、該活性ガスを作用させることによりその感染率を測定するものである。脱臭性能検査とは、活性ガスによる臭気成分の分解除去作用を測定するものであり、該活性ガスを作用させた前後において臭気成分の濃度がどのように変化するかを嗅覚検査やガスクロマトグラフィー等によって測定するものである。有害物質除去検査とは、活性ガスによる有害物質の分解除去作用を測定するものであり、該活性ガスを作用させた前後において有害物質の濃度がどのように変化するかをガスクロマトグラフィー等によって測定するものである。安全性検査とは、該活性ガス発生素子から有毒なガス等が発生するか否かを検査するものであり、発生したガスを動物や植物等に暴露させ急性毒性や慢性毒性を測定するものである。変色検査とは、活性ガスの作用による物質の変色作用を検査するものであり、活性ガスを物品に暴露させその物品が変色するか否かを目視判定等するものである。
【0027】
上記において、活性ガスの性能検査方法を、活性ガスの組成についてのものと作用についてのものとに分けて説明したが、この分類は便宜上のものであって必ずしもいずれか一方のもののみに分類しなければならないとするものではない。本発明においては、これらの性能検査方法を1種または2種以上組合せて適用することができる。特に、発生する活性ガスの種類に応じて、高頻度に検査する必要がある検査項目とそれほど高頻度に検査する必要がない検査項目がある場合には、これらの検査項目を適宜組合せて検査することが好ましい。なお、このような性能検査方法は、製造効率との関係から、製造される活性ガス発生素子の全数について行なっても良いし、一部のものに対して抜き打ち的に行なうこともできる。
【0028】
<活性ガス発生素子の製造方法>
本発明の活性ガス発生素子の製造方法は、その製造工程の一工程として上記に記載した性能検査方法を実行することを特徴としている。これにより、製造される活性ガス発生素子の性能の安定性が確保されるとともにその安全性を飛躍的に向上させることに成功したものである。なお、該性能検査方法は、活性ガス発生素子の製造工程の任意の段階で行なうことができる。また、該性能検査方法以外の製造工程は、特に制限されることなく常法に従うことができる。
【0029】
<活性ガス発生素子を付設した装置>
本発明の活性ガス発生素子を付設した装置とは、その装置内に活性ガス発生素子を組み込んだことにより、日常生活の場で清浄な空間を提供したり、またあるいは医療または健康用の用途等においてより安全性高く清浄な空間を提供する装置である。このような装置としては、たとえば空気調節装置、空気清浄機、空気調和機、除湿機、加湿器、電気ヒータ、石油ストーブ、ガスヒータ、クーラーボックス、冷蔵庫、掃除機、クリーンルーム、エアカーテン発生装置、保育器、ベッド、椅子、マッサージ機、食品保存庫、動物または植物飼育装置、手術機器、住宅、航空機、車両、列車等を挙げることができる。
【0030】
<活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法>
本発明の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法は、その製造工程の一工程として上記した活性ガス発生素子の性能検査方法を実行することを特徴としている。これにより、製造される活性ガス発生素子を付設した装置の性能の安定性が確保されるとともにその安全性を飛躍的に向上させることに成功したものである。
【0031】
このような装置の製造方法としては、活性ガス発生素子の性能検査方法を製造工程の一工程として行なう限り、該性能検査方法以外の製造工程は特に制限されることなく常法に従うことができる。たとえば、このような製造方法の好適な例を挙げると、活性ガス発生素子を製造する第1製造工程と、該活性ガス発生素子を筐体に組み込む第2製造工程とを含み、該第1製造工程において該性能検査方法を実行した後、該第2製造工程を実行するような方法を挙げることができる。このような製造方法を採用することにより、たとえば上記第2製造工程において、互いに形態の異なる複数の筐体に対して該活性ガス発生素子を組み込むようにすれば、互いに形態の異なる複数の装置を連続的に製造することができ好ましい。
【0032】
<製造装置>
本発明の活性ガス発生素子の製造方法を実行する製造装置は、活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えていることが好ましい。
【0033】
また、本発明の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法を実行する製造装置は、活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えていることが好ましい。
【0034】
なお、ここでいう評価機能とは、上述の性能検査方法の測定結果を解析し表示装置を介してその結果を表示する機能や、その測定結果が閾値を超えるような場合に自動的に製造ラインを停止させるような制御機能をいう。
【0035】
以下に、さらに好適な実施の形態を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
<実施の形態1>
本実施の形態は、活性ガス発生素子としてイオン発生素子を製造し、その製造工程の一工程として、活性ガスであるイオンの濃度を測定する性能検査方法を実行するものである。以下、図1に基づいて説明する。
【0037】
活性ガス発生素子の製造工程の一工程として、その活性ガス発生素子の性能検査方法を実行する工程101では、活性ガスがイオンであることからゲルディオン型イオンカウンター(ガス濃度検査装置107)を用いており、加速電極102および捕集電極106において、イオン発生素子(活性ガス発生素子103)から放出されるイオン濃度を測定している。なお、図示していないが、該イオン発生素子にファンが併設されていない場合には、別途ファンを設置しイオン発生素子から発生したイオンが該イオンカウンターに達するようにする。また、この性能検査方法を実行する工程の前の工程には、別のイオン発生素子(活性ガス発生素子104)が待機しており、該活性ガス発生素子103の検査が終了した後、活性ガス発生素子104を移動させイオン濃度を検査する。また、該検査終了後、該活性ガス発生素子103は、同じく活性ガス発生素子105で示される位置に移動する。
【0038】
なお、待機している活性ガス発生素子104は、その前工程において活性ガス発生素子(イオン発生素子)の組み立てやその運搬が行われる。また、性能検査工程を経た活性ガス発生素子105は、原則として(活性ガス発生素子としての)その製造工程が完了するものであるが、これに引続きこの活性ガス発生素子(イオン発生素子)を筐体に組み込む工程やあるいは梱包作業工程などの作業を含む後半工程が行われる。
【0039】
なお、上記ゲルディオン型イオンカウンターは、イオン発生素子から放出された活性ガス(イオン)に電界を印加し、捕集電極に衝突するイオンの電荷量を測定し、イオン濃度を計測するものである。このように活性ガス発生素子(イオン発生素子)の製造工程の一工程として、本実施の形態のような性能検査方法を実行する工程を設けることにより、活性ガス(イオン)濃度を例えば数秒で測定することが可能となり、基準を満たせない活性ガス発生素子(イオン発生素子)を工程から取り除くことができる。これにより、活性ガス発生素子の性能の再現性の確保が可能になり、製造歩留まりの向上と製品信頼性の向上を達成することが可能になる。
【0040】
なお、あらかじめ本実施の形態の活性ガス発生素子(イオン発生素子)から放出されるイオンの濃度と、オゾン濃度あるいはNOxやSOxなどの物質の濃度との関係を調べておくことによって、イオンの濃度を測定すると上記のような他の物質の濃度が推定できるため、オゾン、SOx、NOx等の物質が有害なレベルに達しないよう制御しながら活性ガス発生素子を生産することが可能になる。
【0041】
また、本実施の形態では、活性ガス発生素子であるイオン発生素子あるいはそれを付設した装置を製造する場合を記述したが、活性ガスとしてはイオンだけではなく、たとえばオゾン、窒素酸化物、ラジカルなどを挙げることができ、このような活性ガスを発生することを目的とした各種の素子またはそのような素子を付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能である。
【0042】
なお、本実施の形態で用いるイオン発生素子は、放電方式によるイオン発生方式を用いたが、イオンカウンターを用いた性能検査工程は、以上の素子あるいは装置の製造に有効であるだけでなく、光励起、電子線励起、機械的衝突等による方式を用いた、オゾン、プラズマ、ラジカル、その他の活性ガスを放出する機能を有する活性ガス発生素子やそれを付設した装置においても有効となる。これらの活性ガスが発生する際には、イオンの生成を伴なうためこのイオン濃度を測定することにより、活性ガスの放出性能の安定性を確認することが可能であり、結果として上記活性ガスの放出安定性を検査することができるからである。
【0043】
<実施の形態2>
本実施の形態では、活性ガス発生素子としてイオン発生素子を用い、また活性ガス発生素子を付設した装置として掃除機を製造し、該掃除機の製造工程の一工程として、活性ガス発生素子から発生する活性ガスの殺菌性能検査を実行するものである。以下、図2に基づいて説明する。
【0044】
まず、掃除機(活性ガス発生素子を付設した装置201)の製造工程の一工程として、掃除機は活性ガス発生素子の性能検査方法を実行するべく部屋203の中に置き、部屋203の外側に設置された噴霧器204から大腸菌を含む水溶液を霧状に噴霧205する。そして、該掃除機をイオン(活性ガス)を放出させながら作動させ、該部屋203の菌をサンプリング装置202にて採集し菌数をカウントする。このようにして、部屋203内で掃除機を作動させた時間と、部屋203内の大腸菌の菌数の変化を調査し、掃除機から放出されるイオン(活性ガス)による殺菌性能を検査した。なお、本試験にて殺菌性能が弱いことが判明した場合は、活性ガス発生素子を調整することにより所定の性能が出るようにする。
【0045】
なお、部屋203の外に置かれている掃除機(活性ガス発生素子を付設した装置206)は、上記のような殺菌性能検査が未だされていないものであり、掃除機(活性ガス発生素子を付設した装置201)の検査が終了した後、上記検査が実行されることになる。
【0046】
また、本実施の形態における菌数のカウント方法としては、サンプリング装置202として寒天培地を採用し、該培地に落下した菌を培養することにより増殖した菌の培地の数を計測する方法が簡易であるが、それ以外に光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡を用いてサンプリング装置に落下した菌を直接観察する方法や、培養した細胞に菌を暴露させ、細胞の状態を観察する方法などを採用してもよく、菌数の計数方法は特に限定されるものではない。
【0047】
なお、本実施の形態では大腸菌の計数を行なっているが、カビなどの真菌類や病原性の細菌に対する殺菌性能を調べてもよい。また、ウイルスなどの増殖の程度を測定してもよい。ただしウイルスの試験の場合、上記実施の形態に関する記述において、殺菌という用語は不活化という用語に置き換えられる。
【0048】
以上の方法によれば、活性ガスであるイオンの殺菌性能を確認することが可能になるため、イオン放出量が不必要に上昇せず、室内に不必要な静電気が発生することによる不快感や、不要な電力消費を防止することができる。その結果、信頼性の高い掃除機を製造することが可能となる。また、このように製造工程の一工程として殺菌性能検査あるいはウイルス不活化検査を実行することにより、製造歩留まりの向上と製品信頼性の向上および安全性の確保が可能になる。
【0049】
なお、本実施の形態では、活性ガス発生素子であるイオン発生素子あるいはそれを付設した装置として掃除機を製造する場合を記述したが、活性ガスとしてはイオンだけではなく、たとえばオゾン、窒素酸化物、ラジカルなどを挙げることができ、このような活性ガスを発生することを目的とした各種の素子またはそのような素子を付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能である。
【0050】
また、上記の性能検査において、菌の代わりに、ホルムアルデヒドやトルエン、キシレン、ベンゼンなどの化学物質を散布し、サンプリングによりその濃度を検査することにより脱臭性能検査あるいは有害物質除去検査を行うようにしてもよい。また、さらにアレルゲン物質を散布し、アレルゲンの失活を評価する方法としてもよい。その場合、脱臭性能あるいは有害物質除去性能を確保した信頼性の高い活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造方法を実現できる。
【0051】
<実施の形態3>
本実施の形態は、活性ガス発生素子としてイオン発生素子を製造し、この活性ガス発生素子から発生する活性ガスについてウイルス不活化検査を行うことにより性能検査方法を実行するものである。以下、図3に基づいて説明する。
【0052】
まず、ウイルスを混合した水溶液を噴霧器301を用いて風洞302内に噴霧し、イオン発生素子(活性ガス発生素子304)から放出される正イオン306および負イオン305を含む空気と混合される。該イオン発生素子は、詳細は図示していないがその構成要素である沿面放電電極に正および負からなるパルス状交流高電圧を印加し、電極付近の大気中に存在する分子から活性ガスである正イオン306および負イオン305を発生させるものである。
【0053】
上記噴霧器301から風洞302内の空気中に放出されたウイルスは、前記正イオン306および負イオン305と空気中で接触し、これら正負両イオンの反応により生じるさらに強力な活性ガスであるOHラジカルの酸化作用により不活化される。すなわち、ウイルスは細胞への感染力が顕著に低下し、増殖が抑制される現象が生じる。
【0054】
そして、このウイルスを含んだ混合気体をサンプリング装置303にて収集し、不活化されたウイルスを水溶液に分散させる。その後、この水溶液を細胞にて培養することによって細胞の健康度の検査やあるいはウイルス濃度の検査を行うことにより、上記風洞302を通過後の空気中のウイルスがどの程度不活性化しているかを調べ、以って活性ガス発生素子であるイオン発生素子の性能検査方法を実行することができる。
【0055】
ここで、例えばウイルスの検査方法としては、プラック法によりMDCK細胞あるいはHela細胞などに上記サンプリング装置303にて採取した水溶液を滴下し、細胞へのウイルス感染による細胞破壊を観察することにより、ウイルスの感染の度合いを検査することができる。また、上記のプラック法とは別に、赤血球凝集反応を利用して血液に上記水溶液を混合し赤血球の凝集度を測定することにより、ウイルスと赤血球との作用の度合いを調べ間接的にウイルス濃度を測定することも可能である。
【0056】
なお、上記のようにしてその性能を検査したイオン発生素子(活性ガス発生素子)304は、交換経路307で示す経路で移動させ、次工程において例えば列車、車、住宅、電気機器、工場、製造装置などに組み込むことにより活性ガス発生素子を付設した装置を製造することができる。そして、このようにして製造された各装置は、ウイルスを不活化する効果を安定して働かせることが可能となる。
【0057】
なお、本実施の形態では、活性ガス発生素子であるイオン発生素子あるいはそれを付設した種々の装置を製造する場合を記述したが、活性ガスとしてはイオンだけではなく、たとえばオゾン、窒素酸化物、ラジカルなどを挙げることができ、このような活性ガスを発生することを目的とした各種の素子またはそのような素子を付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能である。また、このように製造工程中の一工程としてウイルスを用いた不活化試験を行なうことにより(すなわち性能検査方法を実行することにより)、製造歩留まりの向上と製品信頼性の向上を図ることが可能になる。
【0058】
<実施の形態4>
本実施の形態は、活性ガス発生素子であるイオン発生素子の製造工程の一工程として、該素子から放出されるガスの質量分析検査を行なうことにより性能検査方法を実行したものである。以下、図4に基づいて説明する。
【0059】
まず、イオン発生素子(活性ガス発生素子402)から放出された活性ガス中の電荷を有する物質は、パルスバルブ405を通じて飛行時間型質量分析器404の内部に導入される。そして、上記電荷を有する物質は、加速電極406の作用により飛行時間型質量分析器404の内部を飛行し、質量選択ゲート407を通過して検出器408で電気信号として検出される。
【0060】
ここで、飛行するガス状の物質は、質量および電荷量に応じて検出器に到達する時間が異なるため、検出器で得られる電気信号を分析することにより、該ガス状の物質の組成が分析可能となる。したがって、これにより活性ガス発生素子(イオン発生素子)から放出される活性ガス(イオン)の組成を知ることができる。この活性ガスの組成を検査するという性能検査方法を実行することにより、活性ガスの同定や必要に応じた定量評価が可能になり、活性ガス発生素子であるイオン発生素子の製造に関わる安定性や信頼性ないしは安全性を評価することが可能になる。
【0061】
なお、図示していないが、パルスバルブ405付近に電子線等によるガス励起装置を付設することにより、電荷を有しない活性ガス、例えばオゾンやNO、NOx、SOx、炭化水素類などの質量分析も可能である。
【0062】
また、本実施の形態では、同じ製造ラインで製造されるイオン発生素子(活性ガス発生素子401、402、403)を順番に性能検査方法に付する態様を示しており、すなわち活性ガス発生素子401は未だ検査されておらず、活性ガス発生素子403はすでに検査を終えたものである。そして、この活性ガス発生素子403は、さらに梱包等の次工程に移されたり、各種装置に付設する工程に移すことができる。
【0063】
なお、本実施の形態では、活性ガス発生素子であるイオン発生素子あるいはそれを付設した種々の装置を製造する場合を記述したが、活性ガスとしてはイオンだけではなく、たとえばオゾン、窒素酸化物、ラジカルなどを挙げることができ、このような活性ガスを発生することを目的とした各種の素子またはそのような素子を付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能である。また、このように製造工程中の一工程として活性ガスの質量分析検査を行なう性能検査工程を導入することにより、製造歩留まりの向上と製品信頼性の向上、さらに製品安全性の向上を図ることが可能になる。
【0064】
<実施の形態5>
本実施の形態は、活性ガス発生素子であるイオン発生素子の製造工程の一工程として、活性ガスの動物への安全性検査を性能検査方法として実行する工程を導入したものである。以下、図5および図6に基づいて説明する。
【0065】
まず、試験室501は、本試験動物であるラットが適度に運動できるようなスペースが確保されているとともに換気部504が設けられており、ラットの生存を快適なものとするよう、温度、湿度、酸素濃度などが適度に調節できるようにされている。また、活性ガス発生素子を付設した装置502とイオン発生素子(活性ガス発生素子503)は、図5では両方示されているが、使用目的や用途に応じていずれか一方だけを配置することも可能である。
【0066】
イオン発生素子(活性ガス発生素子503)またはそれを付設した装置502の製造工程の一工程として、このような試験室501内において、イオン発生素子(活性ガス発生素子503)もしくはそれを付設した装置502を作動させ、そのような環境にてラットが健康的な生活を送れるかどうかの安全性検査を行うことにより、活性ガス発生素子の性能検査方法を実行するものである。なお、イオン(活性ガス)は、イオン発生方向509、510の矢印方向に発生させられる。このような性能検査方法により、上記イオン発生素子(活性ガス発生素子503)もしくはそれを付設した装置502の動作による動物への影響、すなわち安全性が調べられるという利点を有している。
【0067】
なお、動物愛護の観点から、本試験においては動物を不必要に悪い環境に置き、上記イオン発生素子(活性ガス発生素子503)もしくはそれを付設した装置502による生物的悪影響を引き起こすことを目的とすることは好ましくなく、活性ガス発生素子503もしくはそれを付設した装置502の安全性を確認することを第一の目的とすることが適当と考えられる。そのため、試験方法として活性ガス発生素子503もしくはそれを付設した装置502の実際の使用条件に近い大気環境を上記室内に実現し、ラットの健康を確認できるような条件であるよう配慮することを試験条件の1例として設定するとよい。
【0068】
そして、例えば上記条件を満たすため室内環境として酸素濃度、二酸化炭素濃度を通常の空間に近い値に設定する。さらに、本検査対象の活性ガス発生素子503もしくはそれを付設した装置502から発生する活性ガスであるイオンが、それらから通常に発生するイオン濃度を基本として、その例えば数倍程度の濃度で上記ラットの周辺に存在するように設定し、ラットの動作状況、体重変化、食餌量、排泄量、眼や口などの粘膜の状況などが、通常条件(活性ガス発生素子503もしくはそれを付設した装置502を設置しない場合)と比較できるように諸条件を設定することが好ましい。
【0069】
なお、本安全性検査の期間を例えば数分から数時間程度の時間とした場合、ラットへの急性毒性の有無を確認することができる一方、さらに長時間の検査を実施する場合には例えば4週間(28日間)の期間、毎日6時間程度のイオン雰囲気をラットに供給し亜慢性毒性の有無について検査することができる。
【0070】
なお、動物への影響調査に関しては、体重変化、動作の観察、その他諸器官の観察や、その他の医学的な検査を適用することが可能である。以上の方法により、動物への安全性を確認することが可能になる。
【0071】
なお、本実施の形態では、同じ製造ラインで製造される活性ガス発生素子またはそれを付設した装置を順番に性能検査方法、すなわち動物に対する安全性検査に付する態様を示しており、活性ガス発生素子503は交換経路507により、また活性ガス発生素子を付設した装置502は交換経路508により、それぞれ梱包等の次工程に移されたり、各種装置を組立てる工程に移すことができる。
【0072】
一方、図6は、以上の動物試験を行う試験室において複数の動物に供給されるイオン濃度を略等しくするため、活性ガス発生素子を付設した装置から放出される活性ガスを、風洞を用いて複数のラットに与えるようにした安全性検査の模式図である。
【0073】
すなわち、活性ガス発生素子を付設した装置601から活性ガスである負イオンを含む空気を発生させ、風洞602および風向調整板606を通じて複数のラット604が配置されている動物用ケージ605に供給される。また、風向607は、各動物用ケージ605において等しくなるように調節されている。
【0074】
また、活性ガス発生素子を付設した装置601は、一連の安全性検査を終えた後、交換経路608によりチャンバー603の外へ搬送され別の活性ガス発生素子を付設した装置の試験が行なえるよう準備される。
【0075】
なお、図6で示す安全性検査では、イオン濃度の条件は本検査に用いた活性ガス発生素子を付設した装置により実際に人間や動物に供給しうるイオン濃度付近の濃度となるように調節する。また、さらに本検査を行なう活性ガス発生素子を付設した装置が、実際に使用される場合に想定されるイオン濃度の最大値以上のイオン濃度をラットに与えるようにしてより高い安全性を検証できるようにすることも好ましい。
【0076】
なお、チャンバー603は、図示していないが外部の清浄空気と換気を行ない、内部の空気の酸素濃度が低下しないように設定している。
【0077】
このような図6に示された安全性検査では、ラットに比較的均一なイオン(活性ガス)を供給することができるため、個々のラットによりイオン濃度の相違が生じにくく、統計的に検査結果を評価する場合においても検査結果を正確に評価できるという利点がある。また、この検査では、動物の体重変化や、血液検査結果、身長、尿検査などの医学的データを統計的に評価する上で信頼性の高いデータを得ることができるため、活性ガスの評価を厳密に行うことが可能になり、安全性の高い活性ガス発生素子を付設した装置を製造することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、活性ガス発生素子としてイオン発生素子またはそれを付設した装置を製造する場合を記載したが、活性ガスであるイオンとしてはこのような負イオン以外に、正イオンあるいは正イオンと負イオンの混合物である場合でも同様の安全性検査が可能である。また、活性ガスとしてオゾンあるいは窒素酸化物、ラジカルなどを発生することを目的とした活性ガス発生素子またはそれを付設した装置の場合でも同様の製造方法の適用が可能であり、生物への安全性検査を行った上で製造することにより、製品信頼性の向上を得ることが可能になる。
【0079】
なお、このような動物安全性検査は製品の全数について行なう必要は必ずしもなく、抜き取り検査としてもよい。
【0080】
なお、ラットに対してその毛や体の変色がないかどうかの確認を行う方法も当然可能であり、さらには、本検査方法においてラットの代わりに、布や、板、プラスチック、その他物品を配置し、活性ガスを暴露することにより変色検査を行うこともできる。
【0081】
<実施の形態6>
本実施の形態は、実施の形態1におけるイオンカウンターを、別のセンサーに変更することにより、活性ガス発生素子の性能検査方法を実行するものである。
【0082】
たとえば、オゾンセンサーや、NOxセンサーなどの臭いセンサーすなわち、広義の化学物質センサーを用いることにより、発生する活性ガスの組成や臭いを検知できるため、活性ガスの生成過程における臭気成分の検知が可能になり、活性ガス発生素子の性能を検査できる。
【0083】
また、光センサーあるいは分光器を用いた発光検査を行うことにより、活性ガスの生成過程における発光強度あるいは発光スペクトルの分析が可能になり、活性ガス発生素子の性能を検査できる。また、マイクロフォンなどを用いることにより音の検査を行うことにより、活性ガスの生成過程における音響発生を検知することが可能になり、活性ガス発生素子の性能を検査できる。
【0084】
以上のように、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造において、臭気検査、発光検査、あるいは発生音検査を行うことにより、活性ガス発生素子の性能を検査できるため、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の信頼性を高めることが可能になる。
【0085】
<実施の形態7>
本実施の形態は、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程において、活性ガスの性能検査工程を複数の工程で実行するものである。以下、図7および図10に基づいて説明する。
【0086】
図7は、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程のフローチャートを示している。第1製造工程S701は、活性ガス発生素子の製造工程S703と性能検査方法を実行する第1性能検査工程S704とからなる。また、これに続く第2製造工程S702は、活性ガス発生素子を筐体に組み込む工程S705と、所望により上記とは別の性能検査方法を実行する第2性能検査工程S706とからなり、以上の工程を経て、活性ガス発生素子を付設した装置の製造は完成S707する。
【0087】
まず、活性ガス発生素子の製造工程S703では、主に活性ガスを発生するための電極や高圧電圧発生部などが作製され、活性ガス発生素子が組立てられる。
【0088】
図10は、このような活性ガス発生素子としてイオン発生素子を例にとりその一例を示したものである。このようなイオン発生素子(活性ガス発生素子1001)は、沿面放電を構成する放電電極1002と沿面放電を構成する誘電体1003を主要構成要素としている。なお、図示しないが、誘電体1003の内部に沿面放電を構成する片側の電極が埋めこまれており、この電極と放電電極1002の間に交流からなる高電圧を印加することにより沿面放電を行い、大気中の種々の分子を励起して、活性ガスとしてイオンやその他のラジカル、オゾンなどを発生させる。
【0089】
次に、このようにして製造された活性ガス発生素子に対して、活性ガスの性能検査方法を実行する第1性能検査工程S704を適用する。第1性能検査工程S704では、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のうち、1種または2種以上のいずれかの検査工程が行われる。この場合、第1性能検査工程S704は、製造された活性ガス発生素子の全数の検査を行わないことも可能であり、抜き取り検査にて試験をする方法を採用することもできる。例えば、活性ガス発生素子がイオン発生素子である場合、製造したイオン発生素子の全数のイオン濃度を測定する検査を行ない、続いてそのうちの一部のイオン発生素子のみに対して、例えばラットを用いた安全性検査やガス質量分析検査を行なうようにすることができ、この場合、前者のイオン濃度検査は全数でなく例えば半数のみの検査とすることもできる。
【0090】
次に、第2製造工程S702として、活性ガス発生素子を筐体に組み込む工程S705、およびそれに続けて所望により第2性能検査工程S706を行なう。
【0091】
第2性能検査工程S706では、第1性能検査工程S704と同様、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のうち、1種または2種以上のいずれかの検査工程が行われる。ただし、第1性能検査工程S704と第2性能検査工程S706とは、別の検査工程とすることが生産工程上効率が良いが、同じ試験を行なっても良い。
【0092】
例えば、第1性能検査工程S704にて、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査を行ない、第2性能検査工程S706では、最終検査として、ガス濃度検査、発生音検査などを行なうものとすることができる。
【0093】
なお、第1性能検査工程S704および第2性能検査工程S706においては、製造されたもの全数について検査を行なう必要はなく、抜き取り検査を行うようにしてもよい。また、第1性能検査工程S704および第2性能検査工程S706のどちらかで検査を一括して行なってもよい。
【0094】
以上の工程の後、活性ガス発生素子を付設した装置が完成S707されることになるが、このような製造工程においては、活性ガス発生素子の完成後第1性能検査工程S704を実行することにより、その後の第2製造工程S702において活性ガス発生素子の不具合が発見される確率が低下し、最終的な商品の歩留まりが良くなり信頼性が向上するという効果を得ることができる。
【0095】
<実施の形態8>
本実施の形態は、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程において、活性ガス発生素子を複数の形態の装置に組み込むものである。以下、図8に基づいて説明する。
【0096】
図8は、活性ガス発生素子およびそれを複数の形態の装置に組み込む製造工程を表わしたフローチャートを示している。第1製造工程S801は、活性ガス発生素子の製造工程S803と性能検査方法を実行する性能検査工程S804とからなる。また、これに続く第2製造工程S802は、活性ガス発生素子を筐体に組み込み装置を完成させる工程であり、そのような装置としては複数のものがあり、航空機への組み込み工程S805、住宅への組み込み工程S806、車両への組み込み工程S807、空気調和機への組み込み工程S808、家電製品への組み込み工程S809、列車への組み込み工程S810となっている。
【0097】
ここで、上記性能検査工程S804としては、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のうち、1種または2種以上のいずれかの検査工程が行われる。
【0098】
また、この性能検査工程S804を完了した後、該活性ガス発生素子をそれぞれ航空機への組み込み工程S805、住宅への組み込み工程S806、車両への組み込み工程S807、空気調和機への組み込み工程S808、家電製品への組み込み工程S809、列車への組み込み工程S810に適用し、活性ガス発生素子を付設した装置として航空機、住宅、車両、空気調和機、家電製品、列車をそれぞれ製造した。なお、ここで、活性ガス発生素子としてはイオン発生素子が挙げられ、車両としてはバスが挙げられ、空気調和機としては空気清浄機が挙げられ、家電製品としては掃除機が挙げられる。
【0099】
以上の製造工程を用いることにより、性能を確認された活性ガス発生素子を各装置に付設することができるため、最終的な商品の信頼性と安全性が向上する。なお、性能検査工程S804は、活性ガス発生素子を各装置に付設した後に行なっても良い。
【0100】
なお、本発明においては、航空機、住宅、車両、空気調和機、家電製品、列車などの各装置自体の固有の製造工程を限定するものではなく、あらゆる製品の製造工程に適用することができる。つまり、活性ガス発生素子を製造した後、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のうち、1種または2種以上のいずれかの検査工程を行なうことにより、その後の製造工程がどのようなものであっても、最終的な製品すなわち活性ガス発生素子を付設した装置の信頼性、安全性を向上させることができるという効果を有する。
【0101】
なお、本発明は、以上の全ての製造方法において、活性ガスの性能検査方法を実行する製造装置を適用することができ、歩留まり良く製品を製造する効果を得ることができる。
【0102】
また、以上の全ての製造方法において、活性ガスの性能検査工程は、必ずしも実際の製造ラインに隣接させて配置する必要はなく、例えば別の検査機関や、別地域の製造工場などにおいて行なってもよく、工程の位置的配置が限定されるものではない。
【0103】
また、活性ガスの性能検査の実施時期とその検査結果が得られるまでの期間との間に、一定の期間を要する場合もある。
【0104】
また、以上の実施の形態においては、活性ガス発生素子としてイオン発生素子を中心に記載したが、オゾン発生素子、放射線によるラジカル発生素子、針型電極によるマイナスイオン発生素子、沿面放電によるイオン発生素子、コロナ放電によるプラズマ等の活性ガス発生素子、レナード効果によるイオン発生素子、酸化チタンなどの光触媒と紫外線などの光を用いた活性ガス発生素子などにおいても、本発明の適用が可能である。
【0105】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0106】
【発明の効果】
本発明の構成によれば、活性ガス発生素子自体を検査するのではなく、該素子から発生する活性ガスの組成および/または作用を直接検査するものであるため、活性ガス発生素子の信頼性をさらに向上させることが可能になったとともにその安全性を飛躍的に向上させ、しかも製造効率を向上させることに成功したものである。したがって、このような活性ガス発生素子の性能検査方法を、活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程の一工程として実行すれば、そのような製造方法により製造される製品において性能の安定性が確保されるとともに、高度な安全性および製造効率を確保することができる。
【0107】
また、本発明によると、特に、活性ガス発生素子が放電、光励起、電子線励起、放射線励起、電圧印加または物理的衝突のいずれかの方法により、大気中に存在する分子から活性ガスを発生させるものである場合において、その活性ガスに対して上記性能検査を行うことにより上記効果を有効に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの濃度を測定する工程を示した模式図である。
【図2】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの殺菌性能検査を実行する工程を示した模式図である。
【図3】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスのウイルス不活化検査を実行する工程を示した模式図である。
【図4】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの質量分析検査を実行する工程を示した模式図である。
【図5】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの動物への安全性検査を実行する工程を示した模式図である。
【図6】活性ガス発生素子の性能検査方法として活性ガスの動物への安全性検査を実行するものであって、複数の動物に同条件の試験を実行する工程を示した模式図である。
【図7】活性ガス発生素子およびそれを付設した装置の製造工程のフローチャートである。
【図8】活性ガス発生素子およびそれを複数の形態の装置に組み込む製造工程を表わしたフローチャートである。
【図9】活性ガス発生素子から生成する正イオンおよび負イオンの質量スペクトルを示した図である。
【図10】活性ガス発生素子であるイオン発生素子の斜視図である。
【符号の説明】
101 活性ガス発生素子の性能検査方法を実行する工程、102,406 加速電極、103,104,105,304,401,402,403,503,1001 活性ガス発生素子、106 捕集電極、107 ガス濃度検査装置、201,206,502,601 活性ガス発生素子を付設した装置、202,303 サンプリング装置、203 部屋、204,301 噴霧器、205噴霧、302,602 風洞、305 負イオン、306 正イオン、307,507,508,608 交換経路、404 飛行時間型質量分析器、405パルスバルブ、407 質量選択ゲート、408 検出器、501 試験室、504 換気部、506,604 ラット、509,510 イオン発生方向、603 チャンバー、605 動物用ケージ、606 風向調整板、607 風向、1002 放電電極、1003 誘電体。
Claims (13)
- 活性ガス発生素子の性能検査方法であって、該活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用を検査することを特徴とする、活性ガス発生素子の性能検査方法。
- 活性ガス発生素子が、放電、光励起、電子線励起、放射線励起、電圧印加または機械的衝突のいずれかの方法により、大気中に存在する分子から活性ガスを発生するものである、請求項1記載の活性ガス発生素子の性能検査方法。
- 活性ガスが、正イオンおよび/または負イオンである、請求項1または2記載の活性ガス発生素子の性能検査方法。
- 活性ガスが、H3O+(H2O)n(nは0または自然数)および/またはO2 −(H2O)m(mは0または自然数)を主体とするものである、請求項1〜3のいずれかに記載の活性ガス発生素子の性能検査方法。
- 活性ガス発生素子から発生する活性ガスの組成および/または作用の検査が、ガス質量分析検査、ガス濃度検査、変色検査、臭気検査、発光検査、発生音検査、殺菌性能検査、ウイルス不活化検査、脱臭性能検査、有害物質除去検査または安全性検査のいずれか1種または2種以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の活性ガス発生素子の性能検査方法。
- 活性ガス発生素子の製造工程の一工程として、請求項1〜5のいずれかに記載した性能検査方法を実行することを特徴とする、活性ガス発生素子の製造方法。
- 活性ガス発生素子を付設した装置の製造工程の一工程として、請求項1〜5のいずれかに記載した活性ガス発生素子の性能検査方法を実行することを特徴とする、活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法。
- 活性ガス発生素子を付設した装置の製造工程が、活性ガス発生素子を製造する第1製造工程と、該活性ガス発生素子を筐体に組み込む第2製造工程とを含み、該第1製造工程において請求項1〜5のいずれかに記載した活性ガス発生素子の性能検査方法を実行した後、該第2製造工程を実行することを特徴とする、請求項7記載の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法。
- 第2製造工程において、互いに形態の異なる複数の筐体に対して該活性ガス発生素子を組み込むことにより、互いに形態の異なる複数の装置を連続的に製造することを特徴とする、請求項8記載の活性ガス発生素子を付設した装置の製造方法。
- 活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えたことを特徴とする、請求項6記載の製造方法を実行する製造装置。
- 活性ガス発生素子の性能検査を実行して得られた性能検査結果を評価する評価機能を備えたことを特徴とする、請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法を実行する製造装置。
- 請求項6記載の製造方法により製造された活性ガス発生素子。
- 請求項7〜9のいずれかに記載の製造方法により製造された活性ガス発生素子を付設した装置。
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