JP2004319183A - イオン発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】環境の変化に応じてイオン濃度を制御すること。
【解決手段】パルス電圧が印加されると放電して周辺の水蒸気をイオン化するイオン発生素子110と、イオン濃度を検出するイオン濃度センサ(センサ102)と、検出されたイオン濃度に基づいて、イオン発生素子110に印加するパルス電圧の波形を決定する制御部101と、制御部101により制御され、決定された波形のパルス電圧をイオン発生素子110に印加する高圧パルス駆動回路103とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】パルス電圧が印加されると放電して周辺の水蒸気をイオン化するイオン発生素子110と、イオン濃度を検出するイオン濃度センサ(センサ102)と、検出されたイオン濃度に基づいて、イオン発生素子110に印加するパルス電圧の波形を決定する制御部101と、制御部101により制御され、決定された波形のパルス電圧をイオン発生素子110に印加する高圧パルス駆動回路103とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はイオン発生装置に関し、特に、パルス電圧が印加されると放電して周辺の非イオン化物をイオン化するイオン発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気中に存在する水蒸気をイオン化するイオン発生装置が知られている。このイオン発生装置には、沿面放電法を用いたものがある。従来のイオン発生装置では、空気中に存在する水蒸気を正イオンにイオン化するかまたは負イオンにイオン化するかは、イオン発生装置に印加される電圧がプラスかマイナスかにより決定される。すなわち、イオン発生素子にマイナス電圧を印加すると、空気中に存在する水蒸気が帯電して負イオンとなる。逆に、イオン発生素子にプラス電圧を印加すると、空気中に存在する水蒸気が帯電して正イオンとなる。
【0003】
イオン発生素子に交流の電圧を印加すると、正イオンと負イオンとが交互に発生する。正イオンと負イオンは発生後にすぐ消滅するものではなく、10秒程度の寿命を有しており、空間には正イオンと負イオンとが存在する。したがって、イオン化された正負イオンが消滅する前は、空気中のカビ、浮遊菌またはウイルスを除去することに効果的である。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−95731号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のイオン発生装置では、イオン発生素子に所定の電圧で所定の周期の交流電圧が印加されていたため、イオン発生素子がイオン化する正負イオンは一定の量に限定されるものであった。このため、イオン発生素子がイオン化するイオンの濃度に限界があり、設置される環境によってはイオン濃度を高めることができないといった問題があった。
【0006】
また、空気中に存在する水蒸気がイオン化される際にはオゾンが発生するが、イオン発生装置が設置される環境によっては、発生するオゾンの量が増加してしまうといった問題があった。
【0007】
この発明は上述の問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、環境の変化に応じてイオン濃度を制御することが可能なイオン発生装置を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、環境の変化に応じてオゾンの発生量を低減させることが可能なイオン発生装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、イオン発生装置は、パルス電圧が印加されると放電して周辺の非イオン化物をイオン化する放電手段と、環境変数を検出する検出手段と、検出手段により検出された環境変数に基づいて、放電手段に印加するパルス電圧の波形を決定する制御手段と、制御手段により制御され、決定された波形でパルス電圧をイオン発生装置に印加する駆動手段とを備える。
【0010】
この発明に従えば、検出された環境変数に基づいて決定された波形でパルス電圧が放電手段に印加されるので、イオン化するイオンの量が制御される。その結果、イオン濃度を制御することが可能なイオン発生装置を提供することができる。また、イオン化するイオンの量を制御することにより、イオン化により発生するオゾンの濃度が制御される。このため、環境の変化に応じてオゾンの発生量を低減させることが可能なイオン発生装置を提供することができる。
【0011】
好ましくは、環境変数は、イオン濃度、温度、湿度、風速、光量、化学物質の質量の少なくとも1つである。
【0012】
この発明に従えば、イオン濃度、温度、湿度、風速、光量、化学物質の質量の少なくとも1つの変化に応じて、イオン化するイオンの量を制御することができる。
【0013】
好ましくは、制御手段は、イオン濃度の低下を示す環境変数が検出された場合には、イオン化されたイオンの量が多くなる波形に決定する。
【0014】
この発明に従えば、イオン濃度の低下を示す環境変数が検出された場合には、イオン化されるイオンの量が多くなる波形に決定されるので、イオン濃度を所望の値に維持することができる。
【0015】
好ましくは、放電手段がイオン化するイオンは、H3O+(H2O)n(nは0または自然数)の正イオンと、O2 −(H2O)m(mは0または自然数)の負イオンとを含む。
【0016】
この発明に従えば、イオン化される正イオンと負イオンとの量を制御することができる。
【0017】
好ましくは、制御手段は、パルス電圧の電圧値を異ならせた波形に決定する。
この発明に従えば、パルス電圧の電圧値が変更されるので、オゾンの発生量を制御することができる。
【0018】
好ましくは、制御手段は、プラスパルスとマイナスパルスとで異なる電圧値の波形に決定する。
【0019】
この発明に従えば、プラスパルスとマイナスパルスとで異なる電圧値とされるので、イオン化される正イオンと負イオンの量の比率を制御することができる。
【0020】
好ましくは、制御手段は、パルス電圧のパルス幅を異ならせた波形に決定する。
【0021】
この発明に従えば、パルス電圧のパルス幅が変更されるので、イオン化されるイオンの量を制御することができる。
【0022】
好ましくは、制御手段は、プラスパルスとマイナスパルスとの間隔を異ならせた波形に決定する。
【0023】
この発明に従えば、パルスの間隔が変更されるので、イオン化されるイオンの量を制御することができる。
【0024】
好ましくは、制御手段は、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスそれぞれの数を異ならせた波形に決定する。
【0025】
この発明に従えば、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスそれぞれの数が変更されるので、イオン化される正イオンと負イオンの量の比率を制御することができる。
【0026】
好ましくは、制御手段は、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスの順番を変更した波形に決定する。
【0027】
この発明に従えば、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスの順番が変更されるので、イオン化される正イオンと負イオンの量の比率を制御することができる。
【0028】
好ましくは、複数のパターンの波形を予め記憶しておく記憶手段をさらに備え、制御手段は、記憶手段に記憶された複数のパターンのうちからいずれか1つのパターンの波形を選択する選択手段を含む。
【0029】
この発明に従えば、記憶手段に記憶された複数のパターンのうちから1つのパターンの波形が選択されるので、放電手段に印加する波形を容易に決定することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0031】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるイオン発生装置の概略を示す図である。図1を参照して、イオン発生装置100は、イオン発生装置100の全体を制御するための制御部101と、環境変数を検出するためのセンサ102と、空気中に存在する水蒸気をイオン化するイオン発生素子110と、リード線115によりイオン発生素子110に接続された高圧パルス駆動回路103と、イオン発生素子110でイオン化されたイオンを搬送するために空気を流動させるための送風部105とを備える。
【0032】
イオン発生素子110は、パルス電圧が印加される放電する放電素子である。イオン発生素子110が放電することにより、その周辺の空気中に存在する水蒸気がイオン化される。イオン発生素子110については後で詳述する。
【0033】
センサ102は、環境の種々の変数を検出するためのセンサである。環境変数としては、イオン濃度、温度、湿度、風速、光量または化学物質の質量である。センサ102は、イオン濃度を検出するためのイオン濃度センサ、温度を検出するための温度センサ、湿度を検出するための湿度センサ、光量を検出するための光センサ(たとえばフォトダイオード)、化学物質の質量を検出するための質量センサである。ここでは、センサ102にイオン濃度を測定するイオン濃度センサ102Aを用いた例を説明する。
【0034】
制御部101は、中央演算装置(CPU)、マイクロコンピュータなどであり、リードオンリメモリ(ROM)などの記憶媒体に予め記憶された制御プログラムを読取って実行する。
【0035】
送風部105は、モータおよびそのモータの軸に取付けられたファンからなり、モータ駆動することによりファンが回転し、送風する。送風部105は、イオン発生素子110によりその周辺でイオン化されたイオンをイオン発生装置100の外部に放出するために、空気を流動させる。
【0036】
高圧パルス駆動回路103は、制御部101からの指示に基づき、パルス電圧を発生し、イオン発生素子110に発生したパルス電圧を印加する。
【0037】
図2は、イオン濃度センサの構成を示す図である。イオン濃度センサ102Aは、二重同芯円筒法を利用したセンサであり、空気中の分子イオン濃度を連続吸引により計測する。図2を参照して、イオン濃度センサ102Aは、外円筒201と内円筒202からなるゲルディーエンコンデンサと呼ばれる二重同芯円筒を含む。
【0038】
吸引ファン(図示しない)により、二重同芯円筒200には一定流量の空気(正負イオンを含む)が送り込まれ、外円筒201と内円筒202との間の空間に層流が形成される。外円筒201に電圧を印加し、内円筒202を接地すると、外円筒201と内円筒202との間に生じる電界によって、空気中に含まれるイオンが内円筒202の側面に向かって流れ込む。このときに測定される電流値により、印加電圧が正極のときに正極性のイオンの濃度を、印加電圧が負極性のときに負極性のイオンの濃度を判定する。そして、イオン濃度センサ102Aは、空間中のイオン濃度を電気的な信号として制御部101に出力する。
【0039】
このイオン濃度センサ102Aは、空気を一定流量で流しながら連続的にイオン濃度をセンシングすることができるので、空間内のイオン濃度の変化に注目する場合に有効である。また、イオン濃度センサ102Aを連続的に作動させることにより、時間の経過に伴って変化する空間中のイオン濃度を連続的にセンシングすることができる。
【0040】
図3は、イオン発生素子の詳細な構成を示す斜視図である。本実施の形態におけるイオン発生素子110は、沿面放電法により正負イオンを発生する。図3を参照して、イオン発生素子110は、表面に誘電体114が形成されており、この誘電体114の裏面には誘電電極112が形成されている。この誘電電極112と対向するように誘電体114の表面にはイオン発生電極113が形成されている。
【0041】
本実施の形態においてはイオン発生電極113は網目形状である。しかしながら、イオン発生電極113の形状はこれに限定されることなく、正負イオンを発生可能であれば、従来知られている針型等の形状であってもよい。
【0042】
イオン発生電極113と誘電電極112とは、リード線115を通じて高圧パルス駆動回路103に接続されている。高圧パルス駆動回路103は、イオン発生素子110の内部に配置される。
【0043】
送風部105により、図面右方向から左方向に空気120が送られ、誘電体114の表面でイオン化されたイオンがその空気120Aとともに搬送される。ここで、沿面放電法を用いる場合は、ある瞬間において正イオンが発生するかあるいは負イオンが発生するかは、イオン発生素子110のイオン発生電極113に印加される電圧がプラスであるかマイナスであるかにより定まる。すなわち、イオン発生電極113にマイナスの電圧が印加されると、イオン発生電極113はマイナスに帯電するので、空気中に存在する水蒸気が帯電して負イオンとなる。このため空気中に負イオンが多量に含まれることになる。逆に、イオン発生電極113にプラスの電圧が印加されると、空気中に存在する水蒸気が帯電して正イオンとなる。このため、空気中には正イオンが大量に含まれることになる。
【0044】
イオン発生電極113に印加する電圧を交流とすることにより、空間には正イオンと負イオンが交互にイオン化される。正イオンと負イオンは発生後(イオン化後)にすぐに消滅するものではなく、10秒程度の寿命を有しているため、その期間空気中に正イオンと負イオンが共存することになる。したがって、イオン発生装置100から放出される空気120Aは、正イオンと負イオンが共存した状態となっている。また、これらの正負イオンは、空気中のカビ、浮遊菌またはウイルスなどを除去する効果がある。
【0045】
次に、このイオン発生素子110の特性について説明する。上述したように、イオン発生素子110は、イオン発生電極113に印加する電圧を交流とすることにより、空間には正イオンと負イオンが交互に放出されるが、印加する電圧のパルス波形によっては、その発生量が異なる。本実施の形態におけるイオン発生装置100は、イオン発生電極113に印加する電圧のパルス波形を変化させることにより、イオン化されるイオンの量を制御するものである。
【0046】
なお、イオン化されるイオンの濃度は、イオン発生電極113の構造、たとえば、配線パターン、電極の太さ、電極エッジのテーパ形状、電極の材質などにも影響を受ける。しかしながら、イオン発生電極113の構造は、イオン発生素子110が製造された後は不変である。したがって、本実施の形態におけるイオン発生装置100は、製造されたイオン発生装置100によりイオン化されるイオンの量を制御するものである。
【0047】
(1) プラス電圧のパルスとマイナス電圧のパルスを所定の間隔をあけた波形の電圧を印加する場合。
【0048】
図4は、プラス電圧のパルスとマイナス電圧のパルスを所定の間隔をあけた波形の一例を示す図である。図では、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、パルス幅(印加時間)を200μ秒、周期を10ミリ秒の波形を示している。ここでの周期とは、プラスパルスから次のプラスパルスの前までの期間をいう。図3に示す波形は、1周期の間にプラスパルスとマイナスパルスがそれぞれ1つあり、プラスパルスとマイナスパルスが等間隔となっている。なお、図4、あるいは図5、図6、図7において、縦軸方向は電圧(kV)を示している。ここでは、1kVあるいは−1kVの電圧を印加した場合について記しているが、実際には、10kVあるいは−10kVにまで変化させる。
【0049】
この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、イオン化される正イオンの量と負イオンの量とはほぼ同程度となる。この場合には、空気中に浮遊するウイルス、カビ、浮遊菌等を除去する効果は、正イオンの量と負イオンの量との濃度に差がある場合に比較して大きな効果が得られる。
【0050】
(2) プラスパルスの直後にマイナスパルスを発生する波形の電圧を印加する場合。
【0051】
図5は、プラスパルスに連続してマイナスパルスを発生する波形の一例を示す図である。図では、プラスパルスの電極を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、パルス幅(印加時間)を200μ秒、周期を10ミリ秒の波形を示している。この周期とは、プラスパルスから次のプラスパルス前までの期間をいう。図5に示す波形は、1周期の間にプラスパルス、マイナスパルスがそれぞれ1つあり、プラスパルスに連続してマイナスパルスが発生する波形となっている。
【0052】
この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される正イオンの量が減少する。負イオンの量は大きな変化がない。このため、空気中には負イオンの濃度が正イオンのそれよりも大きくなるので、人間をリフレッシュさせる効果がある。
【0053】
(3) マイナスパルスの直後にプラスパルスを発生する波形の電圧を印加する場合。
【0054】
上述した(2)の場合と印加される電圧の極性が逆の場合に相当する。この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される負イオンの量が減少する。正イオンの量は大きな変化がない。空気中の負イオンの濃度が高くなりすぎた場合に有効である。なお、空気中で正イオンの濃度が負イオンのそれよりも大きい状態は望ましくない。
【0055】
このように、プラスパルスとマイナスパルスとの順番を変更することで、発生する正イオンと負イオンとの量の比率を異ならせることができる。
【0056】
(4) 1周期におけるプラスパルスの数とマイナスパルスの数を異ならせた波形の電圧を印加する場合。
【0057】
図6は、3つのプラスパルスの後に1つのマイナスパルスを発生する波形を示す図である。図では、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、パルス幅(印加時間)を200μ秒、周期を10ミリ秒の波形を示している。この周期とは、最初のプラスパルスからマイナスパルス後のプラスパルス前までの期間をいう。図6に示す波形は,1周期の間に3つのプラスパルスと1つのマイナスパルスが等間隔で発生される。
【0058】
この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される正イオンの量が増加する。負イオンの量は大きな変化はない。このため、空気中には正イオンの濃度が負イオンのそれよりも大きくなるので、人間をリフレッシュさせる効果がある。
【0059】
逆に、3つのマイナスパルスの後に1つのプラスパルスを発生する波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される負イオンの量が増加する。正イオンの量は大きな変化がない。このため、空気中には負イオンの濃度が正イオンのそれよりも大きくすることができる。
【0060】
なお、パルスを数は、これに限られることなく、1周期中のプラスパルスとマイナスパルスとで異なれば良い。
【0061】
(5) 絶対値の大きなプラスパルスと絶対値の小さなマイナスパルスを所定の間隔をあけた波形の電圧を印加する場合。
【0062】
図7は、絶対値の大きなプラスパルスと絶対値の小さなマイナスパルスを所定の間隔をあけた波形の一例を示す図である。図では、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−0.25kVとし、パルス幅(印加時間)を200μ秒、周期を10ミリ秒としている。ここでの周期とは、プラスパルスから次のプラスパルス前までの期間をいう。図7に示す波形は,1周期の間にプラスパルスとマイナスパルスがそれぞれ1つあり、プラスパルスとマイナスパルスが等間隔となっている。また、プラスパルスの電圧が、マイナスパルスの電圧よりもその絶対値が大きくなっている。
【0063】
この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される負イオンの量が減少する。正イオンの量は大きな変化がない。このため、空気中では、正イオンの濃度が負イオンのそれよりも大きくなるので、人間をリフレッシュさせる効果がある。
【0064】
(6) 次に、パルス電圧とイオン化される正負イオンの量との関係を説明する。図8は、図4に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。プラスパルスおよびマイナスパルスそれぞれの電圧の絶対値が同じとなるように変化させた。図9は、図5に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。図10は、図6に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。図8、図9および図10においては、プラスパルスおよびマイナスパルスそれぞれの電圧の絶対値が同じとなるように電圧を変化させた。
【0065】
図8、図9および図10から明らかなように、プラスパルスおよびマイナスパルスの電圧の絶対値が大きくなるに従って、正イオンおよび負イオンの量の増加率に違いはあるけれども、いずれの量も増加している。したがって、プラスパルスおよびマイナスパルスの電圧の絶対値を大きくすることにより、空気中における正イオンおよび負イオンの濃度を高めることができる。
【0066】
また、パルス電圧を変化させることにより、正イオンと負イオンの量が変化するので、プラスパルスの電圧の絶対値をマイナスパルスの電圧の絶対値よりも大きくした波形、または、マイナスパルスの電圧の絶対値をプラスパルスの電圧の絶対値よりも大きくした波形を用いれば、正イオンと負イオンの量を均一にすることができる。
【0067】
なお、イオン発生素子110に印加する電圧が大きくなれば、オゾン発生量が増加することが知られている。したがって、オゾン濃度が所定の値、たとえば法規制されている0.06ppmを超えないように、印加する電圧を抑える必要がある。
【0068】
(7) 波形の周期とイオン濃度との関係。
図11は、波形の周期とイオン濃度との関係を示す図である。図では、図4に示した波形において、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、パルス幅(印加時間)を50μ秒として、周期を変動させてイオン濃度を計測した結果を示している。この結果から、周期が小さくなり、単位時間当りのパルス電圧の印加割合が多くなるにつれて、イオン発生量は正イオン、負イオンともに増加することがわかる。ここでは、最低の周期を1ミリ秒まで計測したが、より短い周期にしてもイオンの濃度が増加するものと考えられる。
【0069】
(8) 波形のパルス幅とイオン濃度との関係。
図12は、波形のパルス幅とイオン濃度との関係を示す図である。図では、図4に示した波形において、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、周期を10ミリ秒として、パルス幅を変動させてイオン濃度を計測した結果を示している。この結果から、パルス幅が小さくなるにつれて、イオン発生量は正イオン、負イオンともに増加することがわかる。
【0070】
このように、イオン発生素子110は、印加される電圧の波形によりイオン化する正イオンおよび負イオンの量が異なる。このため、波形のパルス幅、周期、電圧、パルス間隔、マイナスパルスとプラスパルスの順番、マイナスパルスとプラスパルスそれぞれの数を異ならせることにより、正イオンと負イオンの濃度を制御することができる。
【0071】
本実施の形態におけるイオン発生装置100は、イオン濃度センサ102Aの検出出力に基づいて空間のイオン濃度を一定に維持する。これについて具体的に説明する。
【0072】
イオン濃度センサ102Aは、連続した正イオンおよび負イオンのイオン濃度を検出して制御部101に出力する。制御部101では、受信した正負イオンそれぞれの濃度を予め定められたしきい値と比較して、その比較結果に基づいてイオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。ここで決定されるのは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数である。
【0073】
(1) 正イオンの濃度がしきい値よりも低い場合には、イオン化する正イオンの量を増加させるための波形を決定する。正イオンの量を増加させるための波形は、プラスパルスの電圧値を高くした波形、プラスパルスの幅を短くした波形、周期を短くした波形、プラスパルスの数を増加した波形である。
【0074】
(2) 正イオンの濃度がしきい値よりも高い場合には、イオン化する正イオンの量を減少させるための波形を決定する。正イオンの量を減少させるための波形は、プラスパルスの電圧値を低くした波形、プラスパルスの幅を長くした波形、周期を長くした波形、プラスパルスの数を減少した波形、プラスパルスの直後のマイナスパルスとの間隔を短くした波形である。
【0075】
(3) 負イオンの濃度がしきい値よりも低い場合には、イオン化する負イオンの量を増加させるための波形を決定する。負イオンの量を増加させるための波形は、マイナスパルスの電圧値の絶対値を大きくした波形、マイナスパルスの幅を短くした波形、周期を短くした波形、マイナスパルスの数を増加した波形である。
【0076】
(4) 負イオンの濃度がしきい値よりも高い場合には、イオン化する負イオンの量を減少させるための波形を決定する。負イオンの量を減少させるための波形は、マイナスパルスの電圧値の絶対値を小さくした波形、マイナスパルスの幅を長くした波形、周期を長くした波形、マイナスパルスの数を減少した波形、マイナスパルスの直後のプラスパルスとの間隔を短くした波形である。
【0077】
制御部101は、このように決定された波形でパルス電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に制御部101で決定される波形でパルス電圧が印加される。
【0078】
このように、本実施の形態におけるイオン発生装置100によれば、イオン濃度センサ102Aの検出出力に基づき、イオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、イオン発生装置100から放出される空気のイオン濃度を所望の値に維持することができる。
【0079】
上述したイオン濃度センサ102Aは、センサ部が電極となっており、作動させるとこの電極部に電界がかかる。そして、空間に存在するイオン濃度が大きくなると、電界により電極部に引付けられるイオンの量が増加し、この現象をモニタすることにより空間全体の電荷量の変化を検出するものである。したがって、イオン濃度センサ102Aは、電気的な環境変化を検出するものである。
【0080】
したがって、センサ102は、イオン濃度センサ102Aに限られず、電気的な環境変化を検出できるセンサであればよい。
【0081】
<第1の変形例>
センサ102に湿度センサ102Bを適用した場合を例に説明する。図13は、第1の変形例におけるイオン発生装置100の概略構成を示す図である。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて湿度センサ102Bを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0082】
湿度センサ102Bは、電気式湿度計、毛髪式湿度計、ジルコニア式湿度計、バイメタル式湿度計等である。
【0083】
(1) 電気式湿度計
電気式湿度計は、高分子フィルムを絶縁体としたコンデンサ構造で、この高分子フィルムの吸湿性を利用し、相対温度の変化によって静電容量が変わることを応用したもので、静電容量を測定することによって相対湿度を検出する。
【0084】
(2) 毛髪式湿度計
毛髪式湿度計は、毛髪の吸湿性を利用したものである。大気中の湿度が変化するとそれに伴って毛髪が伸縮するので相対湿度が20〜100%では、湿度に対しての毛髪の伸長率がほぼ対数的に変化することから、この伸長率をカムでリニアに補正し、差動トランスで電気信号に変換する。この出力を変換モジュールで湿度に比例した電圧に変換する。
【0085】
(3) ジルコニア式湿度計
固体電解質(ジルコニア素子)は高温で酸素イオンに対して導電性を示すので、ジルコニア素子の内外面に白金系の電極を付けて加熱し、素子内外に酸素分圧の異なるガスを接触させると、酸素イオンが分圧の高い方から低い方へ流れて電圧を発生する。ジルコニア素子の測定電極面に試料ガスを導入し、基準局面に空気(21.0vol%O2)を流通させると、両電極間に生ずる起電力E(mV)はNernstの式で与えられる。
【0086】
(4) バイメタル式湿度計
金属(真鍮)に湿気を吸いやすい収縮率の異なる乾湿材を貼り合わせ、湿度変化によって曲がるようにゼンマイ巻きにしたものである。そのときの乾湿材の変化によってゼンマイが巻いたり戻ったりして針を動かす。
【0087】
なお、湿度センサ102Bは、空気中の湿度を検出できれば、これらの湿度計に限定されるものではない。空気中のイオン濃度は、空気中の湿度により変化する。正イオンがH3O+(H2O)m(mは0または自然数)であり、負イオンがO2 −(H2O)n(nは0または自然数)であるため、これらイオンは主に、空間内に存在する水蒸気が(H2O)がイオン化したものである。したがって、空気中に存在する水蒸気量が多くなり、湿度が高くなると正負イオンの量が増加する。
【0088】
湿度センサ102Bは、湿度を連続的にセンシングして、検出した湿度を制御部101に出力する。制御部101では、受信した湿度を予め定められたしきい値と比較して、その比較結果に基づいてイオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。
【0089】
すなわち、湿度が減少するとイオン濃度が減少するので、より多くのイオンを発生させるように波形を決定する。また、湿度が上昇するとイオン濃度が増加するので、より少ないイオンを発生させるイオンに波形を決定する。ここで決定されるのは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数である。これについては上述したのでここでは説明を繰返さない。
【0090】
<第2の変形例>
センサ102に風速センサ102Cを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて風速センサ102Cを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0091】
ここでは、第2の変形例におけるイオン発生装置100は、移動体としての自動車に設置される場合を例に説明する。なお、イオン発生装置100が設置される場所は、自動車に限られず外気と完全ではないが遮断された空間に設置されていればよい。
【0092】
図14は、第2の変形例におけるイオン発生装置の概略構成を示す図である。図14を参照して、自動車300は、3つの扉301と、イオン発生装置100とを備える。3つの扉301それぞれは窓302を備える。イオン発生装置100は、制御部101と、それらが制御部101に接続された3つの風速センサ102Cと、イオン発生素子110と、高圧パルス駆動回路103とを含む。
【0093】
3つの風速センサ102Cは、3つの扉301にそれぞれ配置されている。扉301や窓302が開けられると、風速に変化が生じるので、風速センサ102Cにより扉301や窓302が開けられたことが検出される。
【0094】
イオン発生装置100は、一定の割合で正負イオンを放出している場合、扉301や窓302が閉じられた状態においては自動車300の車内に正負イオンが放出されている。この状態から扉301や窓302が開けられると、正負イオンが車外に漏れ出す。たとえば、高速道路を走行している状態では、車内が密閉されていることが多いので正負イオンの量はそれほど多くする必要はなく、正イオンと負イオンともにイオン発生装置100の吹出部より10cmの地点で10000個/cm3程度のすればカビやウイルスや浮遊菌を除去することができる。
【0095】
しかし、自動車への乗り降りの際などにドアが開けられると、車内空間と車外空間の間で空気の交換が行なわれるので、車内の正負イオンの濃度が急激に減少することになる。
【0096】
風速センサ102Cで風速に変化が生じたこと、すなわち扉301や窓302が開けられたことが検出されると、制御部101にその旨を示す信号を出力する。制御部101では、受信した信号に基づき、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。ここで決定される電圧の波形は、イオン化する正負イオンの量を増加させるのに適した波形である。ここでは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数が決定される。
【0097】
制御部101は、このように決定された波形を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で決定された波形の電圧が印加される。
【0098】
このように、本変形例におけるイオン発生装置100によれば、風速センサ102Cの検出出力に基づき、イオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、自動車300内部の正負イオンの濃度を所望の値に維持することができる。
【0099】
<第3の変形例>
次に、センサ102に温度センサを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて温度センサを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0100】
第3の変形例におけるイオン発生装置100は、たとえば冷凍食品工場等の気温が所定の温度に保たれている空間に設置される。冷凍食品工場においては、作業空間が外部よりも温度が低くなっている。この作業空間において、たとえば従業員が外部から作業空間に入るときに、作業空間と外部とを隔てる扉が開かれると、作業空間には外部からの暖かい空気が侵入し、併せて、正負イオンが外部に漏れ出す。暖かい空気が侵入することにより生じる温度変化が、温度センサにより検出される。すなわち、温度センサにより作業空間の温度変化を検出することにより、正負イオンが外部に漏れ出すことを検出することができる。
【0101】
温度センサは、作業空間の温度に変化が生じたことが検出されると、制御部101にその旨を示す信号を出力する。制御部101では、受信した信号に基づき、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。ここで決定される電圧の波形は、イオン化する正負イオンの量を増加させるのに適した波形である。ここでは、波形のパルスの電圧パルス幅、周期、プラスパルス、マイナスパルスの順番およびそれらの数が決定される。
【0102】
制御部101は、このように決定された波形を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で決定された波形の電圧が印加される。
【0103】
このように、第3の変形例におけるイオン発生装置100によれば、温度センサの検出出力に基づき、イオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、冷凍食品工場等の気温が所定の温度に保たれている空間の正負イオンの濃度を所望の値に維持することができる。
【0104】
<第4の変形例>
センサ102に質量センサを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて質量センサ102Dを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0105】
図15は、質量センサ102Dの一例を示す図である。図15を参照して、イオン発生素子110から生じた正負イオンまたはOHラジカルに対して反応する物質(反応物質)311が質量センサ102Dの表面に塗布される。
【0106】
空間に放出された正イオンと負イオンは、ウイルス、カビまたは浮遊菌に対する効果だけでなく、人間に有害な作用を及ぼす有機化合物に対しても効果的作用を示すことが、知られている。たとえば、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドに対して、正イオンと負イオンが存在すれば分解できることが確認されている。
【0107】
空間に正イオンと負イオンを放出して、空間中のウイルス、カビまたは浮遊菌を除去するメカニズムは次のとおりである。プラズマ放電により空気中の水分子が電離して水素イオン(H+)が生成され、溶媒和エネルギにより空気の中の水分子が水素イオンとクラスタリングして正イオンH3O+(H2O)mが形成される。
【0108】
また、プラズマ放電により空気中の酸素分子または水分子が電離して酸素イオン(O2 −)が生成され、溶媒和エネルギにより空気中の水分子が酸素イオンとクラスタリングして負イオンO2 −(H2O)nが形成される。
【0109】
居住空間に送出された正負イオンは空気中に浮遊している浮遊細菌を取囲む。正負イオンは浮遊細菌の表面で次式(1)、式(2)および式(3)に示すように化学反応して、活性種である過酸化水素(H2O2)または水酸基ラジカル(・OH)を生成する。ここで、式(1)、式(2)および式(3)において、m,m′、n、n′は0または任意の自然数である。これにより、活性種の分解作用によって浮遊細菌が破壊して殺菌される。したがって、効率的に空気中の浮遊細菌を殺菌除去することができる。
【0110】
H3O+(H2O)m+O2 −(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n+1)H2O ・・・(1)
H3O+(H2O)m+H3O+(H2O)m´+O2 −(H2O)n+O2 −(H2O)n´→2・OH+O2+(m+m´+n+n´+2)H2O ・・・(2)
H3O+(H2O)m+H3O+(H2O)m´+O2 −(H2O)n+O2 −(H2O)n´→H2O2+O2+(m+m´+n+n´+2)H2O ・・・(3)
すなわち、活性炭とフィルタを用いる場合のような物理的な現象を利用するものでなく、化学的な反応現象を用いている。
【0111】
この反応において生じる水酸基ラジカル(・OH)は、有機化合物に対しても活性を示す。したがって、この反応による有機化合物の質量変化を質量センサ102Dでセンシングすることにより、正負イオン濃度を検出することができる。
【0112】
このように、正イオンと負イオンが両方存在するときにこれらの正負イオンにより分解される化学物質(反応物質311)を質量センサ102Dの表面に塗布(セット)しておき、反応物質311が正負イオンとの反応による現象を、質量の変化から検出することができる。
【0113】
反応物質311が反応すると質量変化するので、それを質量検出部310が検出する。質量センサ102Dは、検出した質量変化を制御部101に出力する。制御部101では、受信した信号に基づき、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。質量の変化量が大きければ空間に存在する正負イオンの濃度が大きく、小さければ空間に存在する正負イオンの濃度が小さい。したがって、制御部101は、質量の変化量が大きいければイオン化する正負イオンの量を減少させるのに適した波形に設定し、質量の変化量が小さければ、イオン化する正負イオンの量を増加させるのに適した波形に設定する。ここでは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数が決定される。
【0114】
制御部101は、このように決定された波形で電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に制御部101で決定された波形で電圧が印加される。
【0115】
このように、本変形例におけるイオン発生装置100によれば、質量センサの検出出力に基づいて、イオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、空間の正負イオンの濃度を所望の値に維持することができる。
【0116】
<第5の変形例>
センサ102に光センサを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて光センサを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。光センサとしては、フォトダイオードを用いることができる。
【0117】
第5の変形例におけるイオン発生装置100は、外部と明るさが異なる空間に設置される。その空間において、たとえば外部から人が侵入するときに、その空間と外部とを隔てる扉が開かれると、その空間の明るさが変化し、併せて、正負イオンが外部に漏れ出す。このとき、明るさの変化すなわち光量の変化が光センサにより検出される。
【0118】
光センサは、光量の変化を示す信号を制御部101に出力する。制御部101では受信した信号に基づきイオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。
【0119】
ここで決定される電圧の波形は、イオン化する正負イオンの量を増加させるのに適した波形である。ここでは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数が決定される。
【0120】
制御部101は、このように決定された波形で電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で決定された波形で電圧が印加される。
【0121】
このように、第5の変形例におけるイオン発生装置100によれば、光センサの検出出力に基づいてイオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、所定の空間における正負イオンの濃度を所望の値に維持することができる。
【0122】
<第6の変形例>
センサ102にオゾンセンサを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えてオゾンセンサを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0123】
上述したように、イオン発生素子110に印加する電圧が大きくなれば、オゾンの発生量が増加する。第6の変形例におけるイオン発生装置100は、このオゾン発生量を所定の値以下に制御する。所定の値は、0.06ppmであることが好ましい。オゾンは高濃度になると、人間にとって有害な悪影響を及ぼすことが知られているが、低濃度であれば殺菌作用を示すものとして、効果的に用いられる。
【0124】
オゾンセンサは、検出したオゾンの濃度を制御部101に出力する。制御部101では、受信したオゾン濃度が所定の値を超える場合には、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。ここで決定される電圧の波形は、電圧値の絶対値を下げた波形である。
【0125】
制御部101は、このように決定された波形の電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で決定された波形の電圧が印加される。
【0126】
このように、第6の変形例におけるイオン発生装置100によれば、オゾンセンサの検出出力に基づき、イオン発生素子110でイオン化する際に生じるオゾンの量が調節される。このため、所定の空間におけるオゾンの濃度が増えすぎるのを防止することができる。
【0127】
本実施の形態におけるイオン発生装置100は、次のような場所に設置される。たとえば、人間が一般的な生活をする住宅施設(民家、キッチン、リビングルーム、寝室、トイレ、風呂等)、公共施設(オフィス、学校、図書館、役所、病院、駅の待合室等)、移動施設(自動車、飛行機、列車、船舶、宇宙船等)や、建築物(ビル、製造工場、製造ライン、養鶏場、養豚場等)、人間のためではなく内部空間に放置する物質が浮遊菌で損害を受けないようにするための設備(保管庫、倉庫、冷蔵庫等)などである。
【0128】
また、本実施の形態におけるイオン発生装置100の用途は、たとえば、エアーコンディショナや空気清浄機等に搭載することが可能である。負イオンを空間に放出すると、人間の気持ちに安らぎが生じるというリフレッシュ作用があると言われている。自然の滝等の水が豊富にある環境においては、レナード効果により負イオンを豊富に含む場所において、人間に安らぎが生じると言われていることにも関係する。
【0129】
放電ガスとして正イオンと負イオンの両方を含有するガスを空間に放出すると、空間に存在するカビや浮遊菌やウイルス等に対して殺菌作用あるいは脱臭作用が得られることが確認されている。一般的な空間においては放出する正イオンとしてはH3O+(H2O)m(mは0または自然数)、負イオンとしては、O2 −(H2O)n(nは0または自然数)が最も安定に生成している。これらの正イオンと負イオンが空気中に同時に生成すると化学反応を起こし、活性種である過酸化水素H2O2または水酸基ラジカル・OHを生成する。これらの過酸化水素H2O2または水酸基ラジカル・OHが極めて強力な活性を示し、これにより空気中のカビや浮遊菌やウイルスを除去することができる。
【0130】
特に、近年は住宅環境の密閉度合いが高まったことなどから、空間中の空気を浄化することにより臭いや汚れを除去して、健康で快適な生活を送りたいという要望が強くなっている。したがって、本実施の形態におけるイオン発生装置100は、このような環境を作り出す上で有効である。
【0131】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態におけるイオン発生装置100Aについて説明する。第2の実施の形態におけるイオン発生装置100Aは、第1の実施の形態におけるイオン発生装置100と異なるところは、複数のパターンの電圧波形を予め記憶しておく記憶部104を備えた点である。以下、第1の実施の形態におけるイオン発生装置100と異なる点を主に説明する。
【0132】
図16は、第2の実施の形態におけるイオン発生装置100Aの全体構成を示す機能ブロック図である。図を参照して、イオン発生装置100Aは、制御部101に接続された記憶部104を含む。
【0133】
記憶部104には、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に印加する電圧の複数のパターンの波形を記憶している。この複数のパターンの波形は、波形のパルス幅、周期、電圧、パルス間隔、マイナスパルスとプラスパルスの順番、マイナスパルスとプラスパルスそれぞれの数を異ならせたものであり、検出された正負イオン濃度に関連して記憶されている。たとえば、正負イオンそれぞれのイオン濃度に対応付けてパターンが記憶されている。このため、正負イオンそれぞれのイオン濃度が定まれば、1つのパターンが定まる。
【0134】
制御部101は、イオン濃度センサ102Aから受信した正負イオンそれぞれの濃度に対応するパターンの波形を記憶部104から読出す。制御部101は、読出したパターンの波形で電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で読出したパターンの波形の電圧が印加される。
【0135】
このように、本実施の形態におけるイオン発生装置100Aによれば、制御部101は、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を、記憶部104に記憶されている複数のパターンの中から選択するので、波形を容易に決定することができる。
【0136】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるイオン発生装置の概略を示す図である。
【図2】イオン濃度センサの構成を示す図である。
【図3】イオン発生素子の詳細な構成を示す斜視図である。
【図4】プラス電圧のパルスとマイナス電圧のパルスを所定の間隔をあけた波形の一例を示す図である。
【図5】プラスパルスに連続してマイナスパルスを発生する波形の一例を示す図である。
【図6】3つのプラスパルスの後に1つのマイナスパルスを発生する波形の一例を示す図である。
【図7】高いプラス電圧のパルスと低いマイナス電圧のパルスを所定の間隔をあけた波形の一例を示す図である。
【図8】図4に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。
【図9】図5に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。
【図10】図6に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。
【図11】波形の周期とイオン濃度との関係を示す図である。
【図12】波形のパルス幅とイオン濃度との関係を示す図である。
【図13】第1の変形例におけるイオン発生装置の概略構成を示す図である。
【図14】第2の変形例におけるイオン発生装置の概略構成を示す図である。
【図15】質量センサの一例を示す図である。
【図16】第2の実施の形態におけるイオン発生装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
100,110A イオン発生装置、101 制御部、102 センサ、102A イオン濃度センサ、102B 湿度センサ、102C 風速センサ、102D 質量センサ、103 高圧パルス駆動回路、104 記憶部、105 送風部、110 イオン発生素子、112 誘電電極、113 イオン発生電極、114 誘電体、115 リード線、200 二重同芯円筒、310 質量検出部、311 反応物質。
【発明の属する技術分野】
本発明はイオン発生装置に関し、特に、パルス電圧が印加されると放電して周辺の非イオン化物をイオン化するイオン発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気中に存在する水蒸気をイオン化するイオン発生装置が知られている。このイオン発生装置には、沿面放電法を用いたものがある。従来のイオン発生装置では、空気中に存在する水蒸気を正イオンにイオン化するかまたは負イオンにイオン化するかは、イオン発生装置に印加される電圧がプラスかマイナスかにより決定される。すなわち、イオン発生素子にマイナス電圧を印加すると、空気中に存在する水蒸気が帯電して負イオンとなる。逆に、イオン発生素子にプラス電圧を印加すると、空気中に存在する水蒸気が帯電して正イオンとなる。
【0003】
イオン発生素子に交流の電圧を印加すると、正イオンと負イオンとが交互に発生する。正イオンと負イオンは発生後にすぐ消滅するものではなく、10秒程度の寿命を有しており、空間には正イオンと負イオンとが存在する。したがって、イオン化された正負イオンが消滅する前は、空気中のカビ、浮遊菌またはウイルスを除去することに効果的である。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−95731号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のイオン発生装置では、イオン発生素子に所定の電圧で所定の周期の交流電圧が印加されていたため、イオン発生素子がイオン化する正負イオンは一定の量に限定されるものであった。このため、イオン発生素子がイオン化するイオンの濃度に限界があり、設置される環境によってはイオン濃度を高めることができないといった問題があった。
【0006】
また、空気中に存在する水蒸気がイオン化される際にはオゾンが発生するが、イオン発生装置が設置される環境によっては、発生するオゾンの量が増加してしまうといった問題があった。
【0007】
この発明は上述の問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の1つは、環境の変化に応じてイオン濃度を制御することが可能なイオン発生装置を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、環境の変化に応じてオゾンの発生量を低減させることが可能なイオン発生装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、イオン発生装置は、パルス電圧が印加されると放電して周辺の非イオン化物をイオン化する放電手段と、環境変数を検出する検出手段と、検出手段により検出された環境変数に基づいて、放電手段に印加するパルス電圧の波形を決定する制御手段と、制御手段により制御され、決定された波形でパルス電圧をイオン発生装置に印加する駆動手段とを備える。
【0010】
この発明に従えば、検出された環境変数に基づいて決定された波形でパルス電圧が放電手段に印加されるので、イオン化するイオンの量が制御される。その結果、イオン濃度を制御することが可能なイオン発生装置を提供することができる。また、イオン化するイオンの量を制御することにより、イオン化により発生するオゾンの濃度が制御される。このため、環境の変化に応じてオゾンの発生量を低減させることが可能なイオン発生装置を提供することができる。
【0011】
好ましくは、環境変数は、イオン濃度、温度、湿度、風速、光量、化学物質の質量の少なくとも1つである。
【0012】
この発明に従えば、イオン濃度、温度、湿度、風速、光量、化学物質の質量の少なくとも1つの変化に応じて、イオン化するイオンの量を制御することができる。
【0013】
好ましくは、制御手段は、イオン濃度の低下を示す環境変数が検出された場合には、イオン化されたイオンの量が多くなる波形に決定する。
【0014】
この発明に従えば、イオン濃度の低下を示す環境変数が検出された場合には、イオン化されるイオンの量が多くなる波形に決定されるので、イオン濃度を所望の値に維持することができる。
【0015】
好ましくは、放電手段がイオン化するイオンは、H3O+(H2O)n(nは0または自然数)の正イオンと、O2 −(H2O)m(mは0または自然数)の負イオンとを含む。
【0016】
この発明に従えば、イオン化される正イオンと負イオンとの量を制御することができる。
【0017】
好ましくは、制御手段は、パルス電圧の電圧値を異ならせた波形に決定する。
この発明に従えば、パルス電圧の電圧値が変更されるので、オゾンの発生量を制御することができる。
【0018】
好ましくは、制御手段は、プラスパルスとマイナスパルスとで異なる電圧値の波形に決定する。
【0019】
この発明に従えば、プラスパルスとマイナスパルスとで異なる電圧値とされるので、イオン化される正イオンと負イオンの量の比率を制御することができる。
【0020】
好ましくは、制御手段は、パルス電圧のパルス幅を異ならせた波形に決定する。
【0021】
この発明に従えば、パルス電圧のパルス幅が変更されるので、イオン化されるイオンの量を制御することができる。
【0022】
好ましくは、制御手段は、プラスパルスとマイナスパルスとの間隔を異ならせた波形に決定する。
【0023】
この発明に従えば、パルスの間隔が変更されるので、イオン化されるイオンの量を制御することができる。
【0024】
好ましくは、制御手段は、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスそれぞれの数を異ならせた波形に決定する。
【0025】
この発明に従えば、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスそれぞれの数が変更されるので、イオン化される正イオンと負イオンの量の比率を制御することができる。
【0026】
好ましくは、制御手段は、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスの順番を変更した波形に決定する。
【0027】
この発明に従えば、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスの順番が変更されるので、イオン化される正イオンと負イオンの量の比率を制御することができる。
【0028】
好ましくは、複数のパターンの波形を予め記憶しておく記憶手段をさらに備え、制御手段は、記憶手段に記憶された複数のパターンのうちからいずれか1つのパターンの波形を選択する選択手段を含む。
【0029】
この発明に従えば、記憶手段に記憶された複数のパターンのうちから1つのパターンの波形が選択されるので、放電手段に印加する波形を容易に決定することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0031】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるイオン発生装置の概略を示す図である。図1を参照して、イオン発生装置100は、イオン発生装置100の全体を制御するための制御部101と、環境変数を検出するためのセンサ102と、空気中に存在する水蒸気をイオン化するイオン発生素子110と、リード線115によりイオン発生素子110に接続された高圧パルス駆動回路103と、イオン発生素子110でイオン化されたイオンを搬送するために空気を流動させるための送風部105とを備える。
【0032】
イオン発生素子110は、パルス電圧が印加される放電する放電素子である。イオン発生素子110が放電することにより、その周辺の空気中に存在する水蒸気がイオン化される。イオン発生素子110については後で詳述する。
【0033】
センサ102は、環境の種々の変数を検出するためのセンサである。環境変数としては、イオン濃度、温度、湿度、風速、光量または化学物質の質量である。センサ102は、イオン濃度を検出するためのイオン濃度センサ、温度を検出するための温度センサ、湿度を検出するための湿度センサ、光量を検出するための光センサ(たとえばフォトダイオード)、化学物質の質量を検出するための質量センサである。ここでは、センサ102にイオン濃度を測定するイオン濃度センサ102Aを用いた例を説明する。
【0034】
制御部101は、中央演算装置(CPU)、マイクロコンピュータなどであり、リードオンリメモリ(ROM)などの記憶媒体に予め記憶された制御プログラムを読取って実行する。
【0035】
送風部105は、モータおよびそのモータの軸に取付けられたファンからなり、モータ駆動することによりファンが回転し、送風する。送風部105は、イオン発生素子110によりその周辺でイオン化されたイオンをイオン発生装置100の外部に放出するために、空気を流動させる。
【0036】
高圧パルス駆動回路103は、制御部101からの指示に基づき、パルス電圧を発生し、イオン発生素子110に発生したパルス電圧を印加する。
【0037】
図2は、イオン濃度センサの構成を示す図である。イオン濃度センサ102Aは、二重同芯円筒法を利用したセンサであり、空気中の分子イオン濃度を連続吸引により計測する。図2を参照して、イオン濃度センサ102Aは、外円筒201と内円筒202からなるゲルディーエンコンデンサと呼ばれる二重同芯円筒を含む。
【0038】
吸引ファン(図示しない)により、二重同芯円筒200には一定流量の空気(正負イオンを含む)が送り込まれ、外円筒201と内円筒202との間の空間に層流が形成される。外円筒201に電圧を印加し、内円筒202を接地すると、外円筒201と内円筒202との間に生じる電界によって、空気中に含まれるイオンが内円筒202の側面に向かって流れ込む。このときに測定される電流値により、印加電圧が正極のときに正極性のイオンの濃度を、印加電圧が負極性のときに負極性のイオンの濃度を判定する。そして、イオン濃度センサ102Aは、空間中のイオン濃度を電気的な信号として制御部101に出力する。
【0039】
このイオン濃度センサ102Aは、空気を一定流量で流しながら連続的にイオン濃度をセンシングすることができるので、空間内のイオン濃度の変化に注目する場合に有効である。また、イオン濃度センサ102Aを連続的に作動させることにより、時間の経過に伴って変化する空間中のイオン濃度を連続的にセンシングすることができる。
【0040】
図3は、イオン発生素子の詳細な構成を示す斜視図である。本実施の形態におけるイオン発生素子110は、沿面放電法により正負イオンを発生する。図3を参照して、イオン発生素子110は、表面に誘電体114が形成されており、この誘電体114の裏面には誘電電極112が形成されている。この誘電電極112と対向するように誘電体114の表面にはイオン発生電極113が形成されている。
【0041】
本実施の形態においてはイオン発生電極113は網目形状である。しかしながら、イオン発生電極113の形状はこれに限定されることなく、正負イオンを発生可能であれば、従来知られている針型等の形状であってもよい。
【0042】
イオン発生電極113と誘電電極112とは、リード線115を通じて高圧パルス駆動回路103に接続されている。高圧パルス駆動回路103は、イオン発生素子110の内部に配置される。
【0043】
送風部105により、図面右方向から左方向に空気120が送られ、誘電体114の表面でイオン化されたイオンがその空気120Aとともに搬送される。ここで、沿面放電法を用いる場合は、ある瞬間において正イオンが発生するかあるいは負イオンが発生するかは、イオン発生素子110のイオン発生電極113に印加される電圧がプラスであるかマイナスであるかにより定まる。すなわち、イオン発生電極113にマイナスの電圧が印加されると、イオン発生電極113はマイナスに帯電するので、空気中に存在する水蒸気が帯電して負イオンとなる。このため空気中に負イオンが多量に含まれることになる。逆に、イオン発生電極113にプラスの電圧が印加されると、空気中に存在する水蒸気が帯電して正イオンとなる。このため、空気中には正イオンが大量に含まれることになる。
【0044】
イオン発生電極113に印加する電圧を交流とすることにより、空間には正イオンと負イオンが交互にイオン化される。正イオンと負イオンは発生後(イオン化後)にすぐに消滅するものではなく、10秒程度の寿命を有しているため、その期間空気中に正イオンと負イオンが共存することになる。したがって、イオン発生装置100から放出される空気120Aは、正イオンと負イオンが共存した状態となっている。また、これらの正負イオンは、空気中のカビ、浮遊菌またはウイルスなどを除去する効果がある。
【0045】
次に、このイオン発生素子110の特性について説明する。上述したように、イオン発生素子110は、イオン発生電極113に印加する電圧を交流とすることにより、空間には正イオンと負イオンが交互に放出されるが、印加する電圧のパルス波形によっては、その発生量が異なる。本実施の形態におけるイオン発生装置100は、イオン発生電極113に印加する電圧のパルス波形を変化させることにより、イオン化されるイオンの量を制御するものである。
【0046】
なお、イオン化されるイオンの濃度は、イオン発生電極113の構造、たとえば、配線パターン、電極の太さ、電極エッジのテーパ形状、電極の材質などにも影響を受ける。しかしながら、イオン発生電極113の構造は、イオン発生素子110が製造された後は不変である。したがって、本実施の形態におけるイオン発生装置100は、製造されたイオン発生装置100によりイオン化されるイオンの量を制御するものである。
【0047】
(1) プラス電圧のパルスとマイナス電圧のパルスを所定の間隔をあけた波形の電圧を印加する場合。
【0048】
図4は、プラス電圧のパルスとマイナス電圧のパルスを所定の間隔をあけた波形の一例を示す図である。図では、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、パルス幅(印加時間)を200μ秒、周期を10ミリ秒の波形を示している。ここでの周期とは、プラスパルスから次のプラスパルスの前までの期間をいう。図3に示す波形は、1周期の間にプラスパルスとマイナスパルスがそれぞれ1つあり、プラスパルスとマイナスパルスが等間隔となっている。なお、図4、あるいは図5、図6、図7において、縦軸方向は電圧(kV)を示している。ここでは、1kVあるいは−1kVの電圧を印加した場合について記しているが、実際には、10kVあるいは−10kVにまで変化させる。
【0049】
この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、イオン化される正イオンの量と負イオンの量とはほぼ同程度となる。この場合には、空気中に浮遊するウイルス、カビ、浮遊菌等を除去する効果は、正イオンの量と負イオンの量との濃度に差がある場合に比較して大きな効果が得られる。
【0050】
(2) プラスパルスの直後にマイナスパルスを発生する波形の電圧を印加する場合。
【0051】
図5は、プラスパルスに連続してマイナスパルスを発生する波形の一例を示す図である。図では、プラスパルスの電極を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、パルス幅(印加時間)を200μ秒、周期を10ミリ秒の波形を示している。この周期とは、プラスパルスから次のプラスパルス前までの期間をいう。図5に示す波形は、1周期の間にプラスパルス、マイナスパルスがそれぞれ1つあり、プラスパルスに連続してマイナスパルスが発生する波形となっている。
【0052】
この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される正イオンの量が減少する。負イオンの量は大きな変化がない。このため、空気中には負イオンの濃度が正イオンのそれよりも大きくなるので、人間をリフレッシュさせる効果がある。
【0053】
(3) マイナスパルスの直後にプラスパルスを発生する波形の電圧を印加する場合。
【0054】
上述した(2)の場合と印加される電圧の極性が逆の場合に相当する。この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される負イオンの量が減少する。正イオンの量は大きな変化がない。空気中の負イオンの濃度が高くなりすぎた場合に有効である。なお、空気中で正イオンの濃度が負イオンのそれよりも大きい状態は望ましくない。
【0055】
このように、プラスパルスとマイナスパルスとの順番を変更することで、発生する正イオンと負イオンとの量の比率を異ならせることができる。
【0056】
(4) 1周期におけるプラスパルスの数とマイナスパルスの数を異ならせた波形の電圧を印加する場合。
【0057】
図6は、3つのプラスパルスの後に1つのマイナスパルスを発生する波形を示す図である。図では、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、パルス幅(印加時間)を200μ秒、周期を10ミリ秒の波形を示している。この周期とは、最初のプラスパルスからマイナスパルス後のプラスパルス前までの期間をいう。図6に示す波形は,1周期の間に3つのプラスパルスと1つのマイナスパルスが等間隔で発生される。
【0058】
この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される正イオンの量が増加する。負イオンの量は大きな変化はない。このため、空気中には正イオンの濃度が負イオンのそれよりも大きくなるので、人間をリフレッシュさせる効果がある。
【0059】
逆に、3つのマイナスパルスの後に1つのプラスパルスを発生する波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される負イオンの量が増加する。正イオンの量は大きな変化がない。このため、空気中には負イオンの濃度が正イオンのそれよりも大きくすることができる。
【0060】
なお、パルスを数は、これに限られることなく、1周期中のプラスパルスとマイナスパルスとで異なれば良い。
【0061】
(5) 絶対値の大きなプラスパルスと絶対値の小さなマイナスパルスを所定の間隔をあけた波形の電圧を印加する場合。
【0062】
図7は、絶対値の大きなプラスパルスと絶対値の小さなマイナスパルスを所定の間隔をあけた波形の一例を示す図である。図では、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−0.25kVとし、パルス幅(印加時間)を200μ秒、周期を10ミリ秒としている。ここでの周期とは、プラスパルスから次のプラスパルス前までの期間をいう。図7に示す波形は,1周期の間にプラスパルスとマイナスパルスがそれぞれ1つあり、プラスパルスとマイナスパルスが等間隔となっている。また、プラスパルスの電圧が、マイナスパルスの電圧よりもその絶対値が大きくなっている。
【0063】
この波形の電圧をイオン発生素子110に印加した場合には、(1)に示した波形の電圧を印加した場合と比較して、イオン化される負イオンの量が減少する。正イオンの量は大きな変化がない。このため、空気中では、正イオンの濃度が負イオンのそれよりも大きくなるので、人間をリフレッシュさせる効果がある。
【0064】
(6) 次に、パルス電圧とイオン化される正負イオンの量との関係を説明する。図8は、図4に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。プラスパルスおよびマイナスパルスそれぞれの電圧の絶対値が同じとなるように変化させた。図9は、図5に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。図10は、図6に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。図8、図9および図10においては、プラスパルスおよびマイナスパルスそれぞれの電圧の絶対値が同じとなるように電圧を変化させた。
【0065】
図8、図9および図10から明らかなように、プラスパルスおよびマイナスパルスの電圧の絶対値が大きくなるに従って、正イオンおよび負イオンの量の増加率に違いはあるけれども、いずれの量も増加している。したがって、プラスパルスおよびマイナスパルスの電圧の絶対値を大きくすることにより、空気中における正イオンおよび負イオンの濃度を高めることができる。
【0066】
また、パルス電圧を変化させることにより、正イオンと負イオンの量が変化するので、プラスパルスの電圧の絶対値をマイナスパルスの電圧の絶対値よりも大きくした波形、または、マイナスパルスの電圧の絶対値をプラスパルスの電圧の絶対値よりも大きくした波形を用いれば、正イオンと負イオンの量を均一にすることができる。
【0067】
なお、イオン発生素子110に印加する電圧が大きくなれば、オゾン発生量が増加することが知られている。したがって、オゾン濃度が所定の値、たとえば法規制されている0.06ppmを超えないように、印加する電圧を抑える必要がある。
【0068】
(7) 波形の周期とイオン濃度との関係。
図11は、波形の周期とイオン濃度との関係を示す図である。図では、図4に示した波形において、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、パルス幅(印加時間)を50μ秒として、周期を変動させてイオン濃度を計測した結果を示している。この結果から、周期が小さくなり、単位時間当りのパルス電圧の印加割合が多くなるにつれて、イオン発生量は正イオン、負イオンともに増加することがわかる。ここでは、最低の周期を1ミリ秒まで計測したが、より短い周期にしてもイオンの濃度が増加するものと考えられる。
【0069】
(8) 波形のパルス幅とイオン濃度との関係。
図12は、波形のパルス幅とイオン濃度との関係を示す図である。図では、図4に示した波形において、プラスパルスの電圧を1kV、マイナスパルスの電圧を−1kVとし、周期を10ミリ秒として、パルス幅を変動させてイオン濃度を計測した結果を示している。この結果から、パルス幅が小さくなるにつれて、イオン発生量は正イオン、負イオンともに増加することがわかる。
【0070】
このように、イオン発生素子110は、印加される電圧の波形によりイオン化する正イオンおよび負イオンの量が異なる。このため、波形のパルス幅、周期、電圧、パルス間隔、マイナスパルスとプラスパルスの順番、マイナスパルスとプラスパルスそれぞれの数を異ならせることにより、正イオンと負イオンの濃度を制御することができる。
【0071】
本実施の形態におけるイオン発生装置100は、イオン濃度センサ102Aの検出出力に基づいて空間のイオン濃度を一定に維持する。これについて具体的に説明する。
【0072】
イオン濃度センサ102Aは、連続した正イオンおよび負イオンのイオン濃度を検出して制御部101に出力する。制御部101では、受信した正負イオンそれぞれの濃度を予め定められたしきい値と比較して、その比較結果に基づいてイオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。ここで決定されるのは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数である。
【0073】
(1) 正イオンの濃度がしきい値よりも低い場合には、イオン化する正イオンの量を増加させるための波形を決定する。正イオンの量を増加させるための波形は、プラスパルスの電圧値を高くした波形、プラスパルスの幅を短くした波形、周期を短くした波形、プラスパルスの数を増加した波形である。
【0074】
(2) 正イオンの濃度がしきい値よりも高い場合には、イオン化する正イオンの量を減少させるための波形を決定する。正イオンの量を減少させるための波形は、プラスパルスの電圧値を低くした波形、プラスパルスの幅を長くした波形、周期を長くした波形、プラスパルスの数を減少した波形、プラスパルスの直後のマイナスパルスとの間隔を短くした波形である。
【0075】
(3) 負イオンの濃度がしきい値よりも低い場合には、イオン化する負イオンの量を増加させるための波形を決定する。負イオンの量を増加させるための波形は、マイナスパルスの電圧値の絶対値を大きくした波形、マイナスパルスの幅を短くした波形、周期を短くした波形、マイナスパルスの数を増加した波形である。
【0076】
(4) 負イオンの濃度がしきい値よりも高い場合には、イオン化する負イオンの量を減少させるための波形を決定する。負イオンの量を減少させるための波形は、マイナスパルスの電圧値の絶対値を小さくした波形、マイナスパルスの幅を長くした波形、周期を長くした波形、マイナスパルスの数を減少した波形、マイナスパルスの直後のプラスパルスとの間隔を短くした波形である。
【0077】
制御部101は、このように決定された波形でパルス電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に制御部101で決定される波形でパルス電圧が印加される。
【0078】
このように、本実施の形態におけるイオン発生装置100によれば、イオン濃度センサ102Aの検出出力に基づき、イオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、イオン発生装置100から放出される空気のイオン濃度を所望の値に維持することができる。
【0079】
上述したイオン濃度センサ102Aは、センサ部が電極となっており、作動させるとこの電極部に電界がかかる。そして、空間に存在するイオン濃度が大きくなると、電界により電極部に引付けられるイオンの量が増加し、この現象をモニタすることにより空間全体の電荷量の変化を検出するものである。したがって、イオン濃度センサ102Aは、電気的な環境変化を検出するものである。
【0080】
したがって、センサ102は、イオン濃度センサ102Aに限られず、電気的な環境変化を検出できるセンサであればよい。
【0081】
<第1の変形例>
センサ102に湿度センサ102Bを適用した場合を例に説明する。図13は、第1の変形例におけるイオン発生装置100の概略構成を示す図である。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて湿度センサ102Bを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるのでここでは説明を繰返さない。
【0082】
湿度センサ102Bは、電気式湿度計、毛髪式湿度計、ジルコニア式湿度計、バイメタル式湿度計等である。
【0083】
(1) 電気式湿度計
電気式湿度計は、高分子フィルムを絶縁体としたコンデンサ構造で、この高分子フィルムの吸湿性を利用し、相対温度の変化によって静電容量が変わることを応用したもので、静電容量を測定することによって相対湿度を検出する。
【0084】
(2) 毛髪式湿度計
毛髪式湿度計は、毛髪の吸湿性を利用したものである。大気中の湿度が変化するとそれに伴って毛髪が伸縮するので相対湿度が20〜100%では、湿度に対しての毛髪の伸長率がほぼ対数的に変化することから、この伸長率をカムでリニアに補正し、差動トランスで電気信号に変換する。この出力を変換モジュールで湿度に比例した電圧に変換する。
【0085】
(3) ジルコニア式湿度計
固体電解質(ジルコニア素子)は高温で酸素イオンに対して導電性を示すので、ジルコニア素子の内外面に白金系の電極を付けて加熱し、素子内外に酸素分圧の異なるガスを接触させると、酸素イオンが分圧の高い方から低い方へ流れて電圧を発生する。ジルコニア素子の測定電極面に試料ガスを導入し、基準局面に空気(21.0vol%O2)を流通させると、両電極間に生ずる起電力E(mV)はNernstの式で与えられる。
【0086】
(4) バイメタル式湿度計
金属(真鍮)に湿気を吸いやすい収縮率の異なる乾湿材を貼り合わせ、湿度変化によって曲がるようにゼンマイ巻きにしたものである。そのときの乾湿材の変化によってゼンマイが巻いたり戻ったりして針を動かす。
【0087】
なお、湿度センサ102Bは、空気中の湿度を検出できれば、これらの湿度計に限定されるものではない。空気中のイオン濃度は、空気中の湿度により変化する。正イオンがH3O+(H2O)m(mは0または自然数)であり、負イオンがO2 −(H2O)n(nは0または自然数)であるため、これらイオンは主に、空間内に存在する水蒸気が(H2O)がイオン化したものである。したがって、空気中に存在する水蒸気量が多くなり、湿度が高くなると正負イオンの量が増加する。
【0088】
湿度センサ102Bは、湿度を連続的にセンシングして、検出した湿度を制御部101に出力する。制御部101では、受信した湿度を予め定められたしきい値と比較して、その比較結果に基づいてイオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。
【0089】
すなわち、湿度が減少するとイオン濃度が減少するので、より多くのイオンを発生させるように波形を決定する。また、湿度が上昇するとイオン濃度が増加するので、より少ないイオンを発生させるイオンに波形を決定する。ここで決定されるのは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数である。これについては上述したのでここでは説明を繰返さない。
【0090】
<第2の変形例>
センサ102に風速センサ102Cを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて風速センサ102Cを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0091】
ここでは、第2の変形例におけるイオン発生装置100は、移動体としての自動車に設置される場合を例に説明する。なお、イオン発生装置100が設置される場所は、自動車に限られず外気と完全ではないが遮断された空間に設置されていればよい。
【0092】
図14は、第2の変形例におけるイオン発生装置の概略構成を示す図である。図14を参照して、自動車300は、3つの扉301と、イオン発生装置100とを備える。3つの扉301それぞれは窓302を備える。イオン発生装置100は、制御部101と、それらが制御部101に接続された3つの風速センサ102Cと、イオン発生素子110と、高圧パルス駆動回路103とを含む。
【0093】
3つの風速センサ102Cは、3つの扉301にそれぞれ配置されている。扉301や窓302が開けられると、風速に変化が生じるので、風速センサ102Cにより扉301や窓302が開けられたことが検出される。
【0094】
イオン発生装置100は、一定の割合で正負イオンを放出している場合、扉301や窓302が閉じられた状態においては自動車300の車内に正負イオンが放出されている。この状態から扉301や窓302が開けられると、正負イオンが車外に漏れ出す。たとえば、高速道路を走行している状態では、車内が密閉されていることが多いので正負イオンの量はそれほど多くする必要はなく、正イオンと負イオンともにイオン発生装置100の吹出部より10cmの地点で10000個/cm3程度のすればカビやウイルスや浮遊菌を除去することができる。
【0095】
しかし、自動車への乗り降りの際などにドアが開けられると、車内空間と車外空間の間で空気の交換が行なわれるので、車内の正負イオンの濃度が急激に減少することになる。
【0096】
風速センサ102Cで風速に変化が生じたこと、すなわち扉301や窓302が開けられたことが検出されると、制御部101にその旨を示す信号を出力する。制御部101では、受信した信号に基づき、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。ここで決定される電圧の波形は、イオン化する正負イオンの量を増加させるのに適した波形である。ここでは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数が決定される。
【0097】
制御部101は、このように決定された波形を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で決定された波形の電圧が印加される。
【0098】
このように、本変形例におけるイオン発生装置100によれば、風速センサ102Cの検出出力に基づき、イオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、自動車300内部の正負イオンの濃度を所望の値に維持することができる。
【0099】
<第3の変形例>
次に、センサ102に温度センサを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて温度センサを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0100】
第3の変形例におけるイオン発生装置100は、たとえば冷凍食品工場等の気温が所定の温度に保たれている空間に設置される。冷凍食品工場においては、作業空間が外部よりも温度が低くなっている。この作業空間において、たとえば従業員が外部から作業空間に入るときに、作業空間と外部とを隔てる扉が開かれると、作業空間には外部からの暖かい空気が侵入し、併せて、正負イオンが外部に漏れ出す。暖かい空気が侵入することにより生じる温度変化が、温度センサにより検出される。すなわち、温度センサにより作業空間の温度変化を検出することにより、正負イオンが外部に漏れ出すことを検出することができる。
【0101】
温度センサは、作業空間の温度に変化が生じたことが検出されると、制御部101にその旨を示す信号を出力する。制御部101では、受信した信号に基づき、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。ここで決定される電圧の波形は、イオン化する正負イオンの量を増加させるのに適した波形である。ここでは、波形のパルスの電圧パルス幅、周期、プラスパルス、マイナスパルスの順番およびそれらの数が決定される。
【0102】
制御部101は、このように決定された波形を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で決定された波形の電圧が印加される。
【0103】
このように、第3の変形例におけるイオン発生装置100によれば、温度センサの検出出力に基づき、イオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、冷凍食品工場等の気温が所定の温度に保たれている空間の正負イオンの濃度を所望の値に維持することができる。
【0104】
<第4の変形例>
センサ102に質量センサを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて質量センサ102Dを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0105】
図15は、質量センサ102Dの一例を示す図である。図15を参照して、イオン発生素子110から生じた正負イオンまたはOHラジカルに対して反応する物質(反応物質)311が質量センサ102Dの表面に塗布される。
【0106】
空間に放出された正イオンと負イオンは、ウイルス、カビまたは浮遊菌に対する効果だけでなく、人間に有害な作用を及ぼす有機化合物に対しても効果的作用を示すことが、知られている。たとえば、シックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒドに対して、正イオンと負イオンが存在すれば分解できることが確認されている。
【0107】
空間に正イオンと負イオンを放出して、空間中のウイルス、カビまたは浮遊菌を除去するメカニズムは次のとおりである。プラズマ放電により空気中の水分子が電離して水素イオン(H+)が生成され、溶媒和エネルギにより空気の中の水分子が水素イオンとクラスタリングして正イオンH3O+(H2O)mが形成される。
【0108】
また、プラズマ放電により空気中の酸素分子または水分子が電離して酸素イオン(O2 −)が生成され、溶媒和エネルギにより空気中の水分子が酸素イオンとクラスタリングして負イオンO2 −(H2O)nが形成される。
【0109】
居住空間に送出された正負イオンは空気中に浮遊している浮遊細菌を取囲む。正負イオンは浮遊細菌の表面で次式(1)、式(2)および式(3)に示すように化学反応して、活性種である過酸化水素(H2O2)または水酸基ラジカル(・OH)を生成する。ここで、式(1)、式(2)および式(3)において、m,m′、n、n′は0または任意の自然数である。これにより、活性種の分解作用によって浮遊細菌が破壊して殺菌される。したがって、効率的に空気中の浮遊細菌を殺菌除去することができる。
【0110】
H3O+(H2O)m+O2 −(H2O)n→・OH+1/2O2+(m+n+1)H2O ・・・(1)
H3O+(H2O)m+H3O+(H2O)m´+O2 −(H2O)n+O2 −(H2O)n´→2・OH+O2+(m+m´+n+n´+2)H2O ・・・(2)
H3O+(H2O)m+H3O+(H2O)m´+O2 −(H2O)n+O2 −(H2O)n´→H2O2+O2+(m+m´+n+n´+2)H2O ・・・(3)
すなわち、活性炭とフィルタを用いる場合のような物理的な現象を利用するものでなく、化学的な反応現象を用いている。
【0111】
この反応において生じる水酸基ラジカル(・OH)は、有機化合物に対しても活性を示す。したがって、この反応による有機化合物の質量変化を質量センサ102Dでセンシングすることにより、正負イオン濃度を検出することができる。
【0112】
このように、正イオンと負イオンが両方存在するときにこれらの正負イオンにより分解される化学物質(反応物質311)を質量センサ102Dの表面に塗布(セット)しておき、反応物質311が正負イオンとの反応による現象を、質量の変化から検出することができる。
【0113】
反応物質311が反応すると質量変化するので、それを質量検出部310が検出する。質量センサ102Dは、検出した質量変化を制御部101に出力する。制御部101では、受信した信号に基づき、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。質量の変化量が大きければ空間に存在する正負イオンの濃度が大きく、小さければ空間に存在する正負イオンの濃度が小さい。したがって、制御部101は、質量の変化量が大きいければイオン化する正負イオンの量を減少させるのに適した波形に設定し、質量の変化量が小さければ、イオン化する正負イオンの量を増加させるのに適した波形に設定する。ここでは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数が決定される。
【0114】
制御部101は、このように決定された波形で電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に制御部101で決定された波形で電圧が印加される。
【0115】
このように、本変形例におけるイオン発生装置100によれば、質量センサの検出出力に基づいて、イオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、空間の正負イオンの濃度を所望の値に維持することができる。
【0116】
<第5の変形例>
センサ102に光センサを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えて光センサを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。光センサとしては、フォトダイオードを用いることができる。
【0117】
第5の変形例におけるイオン発生装置100は、外部と明るさが異なる空間に設置される。その空間において、たとえば外部から人が侵入するときに、その空間と外部とを隔てる扉が開かれると、その空間の明るさが変化し、併せて、正負イオンが外部に漏れ出す。このとき、明るさの変化すなわち光量の変化が光センサにより検出される。
【0118】
光センサは、光量の変化を示す信号を制御部101に出力する。制御部101では受信した信号に基づきイオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。
【0119】
ここで決定される電圧の波形は、イオン化する正負イオンの量を増加させるのに適した波形である。ここでは、波形のパルスの電圧値、パルス幅、周期、プラスパルスとマイナスパルスの順番およびそれらの数が決定される。
【0120】
制御部101は、このように決定された波形で電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で決定された波形で電圧が印加される。
【0121】
このように、第5の変形例におけるイオン発生装置100によれば、光センサの検出出力に基づいてイオン発生素子110でイオン化するイオンの量が調節されるので、所定の空間における正負イオンの濃度を所望の値に維持することができる。
【0122】
<第6の変形例>
センサ102にオゾンセンサを適用した場合を例に説明する。上述したイオン発生装置100に、イオン濃度センサ102Aに代えてオゾンセンサを用いたものである。その他の構成は上述したイオン発生装置100と同様であるので、ここでは説明を繰返さない。
【0123】
上述したように、イオン発生素子110に印加する電圧が大きくなれば、オゾンの発生量が増加する。第6の変形例におけるイオン発生装置100は、このオゾン発生量を所定の値以下に制御する。所定の値は、0.06ppmであることが好ましい。オゾンは高濃度になると、人間にとって有害な悪影響を及ぼすことが知られているが、低濃度であれば殺菌作用を示すものとして、効果的に用いられる。
【0124】
オゾンセンサは、検出したオゾンの濃度を制御部101に出力する。制御部101では、受信したオゾン濃度が所定の値を超える場合には、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を決定する。ここで決定される電圧の波形は、電圧値の絶対値を下げた波形である。
【0125】
制御部101は、このように決定された波形の電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で決定された波形の電圧が印加される。
【0126】
このように、第6の変形例におけるイオン発生装置100によれば、オゾンセンサの検出出力に基づき、イオン発生素子110でイオン化する際に生じるオゾンの量が調節される。このため、所定の空間におけるオゾンの濃度が増えすぎるのを防止することができる。
【0127】
本実施の形態におけるイオン発生装置100は、次のような場所に設置される。たとえば、人間が一般的な生活をする住宅施設(民家、キッチン、リビングルーム、寝室、トイレ、風呂等)、公共施設(オフィス、学校、図書館、役所、病院、駅の待合室等)、移動施設(自動車、飛行機、列車、船舶、宇宙船等)や、建築物(ビル、製造工場、製造ライン、養鶏場、養豚場等)、人間のためではなく内部空間に放置する物質が浮遊菌で損害を受けないようにするための設備(保管庫、倉庫、冷蔵庫等)などである。
【0128】
また、本実施の形態におけるイオン発生装置100の用途は、たとえば、エアーコンディショナや空気清浄機等に搭載することが可能である。負イオンを空間に放出すると、人間の気持ちに安らぎが生じるというリフレッシュ作用があると言われている。自然の滝等の水が豊富にある環境においては、レナード効果により負イオンを豊富に含む場所において、人間に安らぎが生じると言われていることにも関係する。
【0129】
放電ガスとして正イオンと負イオンの両方を含有するガスを空間に放出すると、空間に存在するカビや浮遊菌やウイルス等に対して殺菌作用あるいは脱臭作用が得られることが確認されている。一般的な空間においては放出する正イオンとしてはH3O+(H2O)m(mは0または自然数)、負イオンとしては、O2 −(H2O)n(nは0または自然数)が最も安定に生成している。これらの正イオンと負イオンが空気中に同時に生成すると化学反応を起こし、活性種である過酸化水素H2O2または水酸基ラジカル・OHを生成する。これらの過酸化水素H2O2または水酸基ラジカル・OHが極めて強力な活性を示し、これにより空気中のカビや浮遊菌やウイルスを除去することができる。
【0130】
特に、近年は住宅環境の密閉度合いが高まったことなどから、空間中の空気を浄化することにより臭いや汚れを除去して、健康で快適な生活を送りたいという要望が強くなっている。したがって、本実施の形態におけるイオン発生装置100は、このような環境を作り出す上で有効である。
【0131】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態におけるイオン発生装置100Aについて説明する。第2の実施の形態におけるイオン発生装置100Aは、第1の実施の形態におけるイオン発生装置100と異なるところは、複数のパターンの電圧波形を予め記憶しておく記憶部104を備えた点である。以下、第1の実施の形態におけるイオン発生装置100と異なる点を主に説明する。
【0132】
図16は、第2の実施の形態におけるイオン発生装置100Aの全体構成を示す機能ブロック図である。図を参照して、イオン発生装置100Aは、制御部101に接続された記憶部104を含む。
【0133】
記憶部104には、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に印加する電圧の複数のパターンの波形を記憶している。この複数のパターンの波形は、波形のパルス幅、周期、電圧、パルス間隔、マイナスパルスとプラスパルスの順番、マイナスパルスとプラスパルスそれぞれの数を異ならせたものであり、検出された正負イオン濃度に関連して記憶されている。たとえば、正負イオンそれぞれのイオン濃度に対応付けてパターンが記憶されている。このため、正負イオンそれぞれのイオン濃度が定まれば、1つのパターンが定まる。
【0134】
制御部101は、イオン濃度センサ102Aから受信した正負イオンそれぞれの濃度に対応するパターンの波形を記憶部104から読出す。制御部101は、読出したパターンの波形で電圧を出力する指示を高圧パルス駆動回路103に出力する。そして、高圧パルス駆動回路103からイオン発生素子110に、制御部101で読出したパターンの波形の電圧が印加される。
【0135】
このように、本実施の形態におけるイオン発生装置100Aによれば、制御部101は、イオン発生素子110に印加する電圧の波形を、記憶部104に記憶されている複数のパターンの中から選択するので、波形を容易に決定することができる。
【0136】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるイオン発生装置の概略を示す図である。
【図2】イオン濃度センサの構成を示す図である。
【図3】イオン発生素子の詳細な構成を示す斜視図である。
【図4】プラス電圧のパルスとマイナス電圧のパルスを所定の間隔をあけた波形の一例を示す図である。
【図5】プラスパルスに連続してマイナスパルスを発生する波形の一例を示す図である。
【図6】3つのプラスパルスの後に1つのマイナスパルスを発生する波形の一例を示す図である。
【図7】高いプラス電圧のパルスと低いマイナス電圧のパルスを所定の間隔をあけた波形の一例を示す図である。
【図8】図4に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。
【図9】図5に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。
【図10】図6に示した波形において、電圧を変化させた場合にイオン化されるイオンの量を示す図である。
【図11】波形の周期とイオン濃度との関係を示す図である。
【図12】波形のパルス幅とイオン濃度との関係を示す図である。
【図13】第1の変形例におけるイオン発生装置の概略構成を示す図である。
【図14】第2の変形例におけるイオン発生装置の概略構成を示す図である。
【図15】質量センサの一例を示す図である。
【図16】第2の実施の形態におけるイオン発生装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
【符号の説明】
100,110A イオン発生装置、101 制御部、102 センサ、102A イオン濃度センサ、102B 湿度センサ、102C 風速センサ、102D 質量センサ、103 高圧パルス駆動回路、104 記憶部、105 送風部、110 イオン発生素子、112 誘電電極、113 イオン発生電極、114 誘電体、115 リード線、200 二重同芯円筒、310 質量検出部、311 反応物質。
Claims (11)
- パルス電圧が印加されると放電して周辺の非イオン化物をイオン化する放電手段と、
環境変数を検出する検出手段と、
前記検出手段により検出された環境変数に基づいて、前記放電手段に印加するパルス電圧の波形を決定する制御手段と、
前記制御手段により制御され、前記決定された波形でパルス電圧を前記放電手段に印加する駆動手段とを備えた、イオン発生装置。 - 前記環境変数は、イオン濃度、温度、湿度、風速、光量、化学物質の質量の少なくとも1つである、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記制御手段は、イオン濃度の低下を示す環境変数が検出された場合には、イオン化されるイオンの量が多くなる波形に決定する、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記放電手段がイオン化するイオンは、H3O+(H2O)m(mは0または自然数)の正イオンと、O2 −(H2O)n(nは0または自然数)の負イオンとを含む、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記制御手段は、パルス電圧の電圧値を異ならせた波形に決定する、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記制御手段は、プラスパルスとマイナスパルスとで異なる電圧値の波形に決定する、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記制御手段は、パルス電圧のパルス幅を異ならせた波形に決定する、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記制御手段は、プラスパルスとマイナスパルスとの間隔を異ならせた波形に決定する、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記制御手段は、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスそれぞれの数を異ならせた波形に決定する、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 前記制御手段は、所定期間に印加するプラスパルスとマイナスパルスの順番を変更した波形に決定する、請求項1に記載のイオン発生装置。
- 複数のパターンの波形を予め記憶しておく記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記記憶手段に記憶された複数のパターンのうちからいずれか1つのパターンの波形を選択する選択手段を含む、請求項1に記載のイオン発生装置。
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