JP2005042796A - エンドキャップ式ボールねじ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑性能を十分に確保しながら小型化を図り、且つ製作コストの低減化を図ることができるエンドキャップ式ボールねじ装置を提供する。
【解決手段】ボールナットを、肉厚部に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路を有するナット本体と、前記両螺旋溝と前記ボール戻し通路とを連通させる湾曲路を形成するための循環溝を有するエンドキャップ20とで構成する。エンドキャップは、内壁に循環溝22gを形成するとともに、内部を空洞としたケース22と、循環溝を囲むようにケース内に配置され、循環溝に向けて潤滑剤がしみ出す含油部材24,26とで構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】ボールナットを、肉厚部に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路を有するナット本体と、前記両螺旋溝と前記ボール戻し通路とを連通させる湾曲路を形成するための循環溝を有するエンドキャップ20とで構成する。エンドキャップは、内壁に循環溝22gを形成するとともに、内部を空洞としたケース22と、循環溝を囲むようにケース内に配置され、循環溝に向けて潤滑剤がしみ出す含油部材24,26とで構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールねじに係り、特にボールナットの端部にボール循環路を有するいわゆるエンドキャップ式ボールねじの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンドキャップ式ボールねじ装置として、例えば、図8に示す装置が知られている。この装置は、外周面に螺旋溝2aを有するねじ軸2に、その螺旋溝2aと相対する螺旋溝4aを内周面に有するボールナット4が、相対する両螺旋溝2a,4a内を転動するボール6を介して螺合している。
【0003】
ボールナット4は、ナット本体8と、ナット本体8の両端面に連結したエンドキャップ10と、エンドキャップ10の端部に連結した潤滑剤供給部12とで構成されている。ナット本体8の肉厚部には、軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路14が設けられている。エンドキャップ10には、ナット本体8の端面との間に前記相対する両螺旋溝2a,4aと前記ボール戻し通路14とを連通させる湾曲路を形成する循環溝16が設けられている。
【0004】
また、潤滑剤供給部12は、エンドキャップ10に連結したケース12a内に、ねじ軸2の螺旋溝2aに接触するリング状の含油部材12bを配置した構造としている。
そして、ねじ軸2とボールナット4とが相対回転すると、ボール6がねじ軸2とボールナット4との相対する両ボールねじ溝2a,4a内を転動しつつ進み、ナット本体8及びエンドキャップ10の間に設けた湾曲路、ナット本体8に設けたボール戻り通路14を通り、元の位置に戻る循環を繰り返すようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の装置は、ボールナット4が、ナット本体8、一対のエンドキャップ10及び潤滑剤供給部12とで構成されているので、ナット全長L1が長くなり、小型化の面で問題がある。
また、ナット本体8、エンドキャップ10及び潤滑剤供給部12からなるボールナット4は、部品点数が多く、しかも各部品の加工コストも高いので、製作コストの面で問題がある。
【0006】
さらに、潤滑剤供給部12は、含油部材12bから微量にしみ出した潤滑剤がねじ軸2の螺旋溝2aに供給され、さらに螺旋溝2a,4aの隙間、湾曲路、ボール戻り通路14に供給されるようになっているが、湾曲路、ボール戻り通路14に十分な量の潤滑剤が供給されにくく、潤滑性能の面で問題がある。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、潤滑性能を十分に確保しながら小型化を図り、且つ製作コストの低減化を図ることができるエンドキャップ式ボールねじ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
したがって、本願発明のエンドキャップ式ボールねじ装置は、外周面に螺旋溝を有するねじ軸と、内周面に前記螺旋溝と対向する螺旋溝を有するボールナットと、対向する前記ねじ軸及びボールナットの両螺旋溝内を転動するボールとを備えたエンドキャップ式ボールねじ装置において、前記ボールナットを、肉厚部に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路を有するナット本体と、前記両螺旋溝と前記ボール戻し通路とを連通させる湾曲路を形成するための循環溝を有するエンドキャップとで構成し、前記エンドキャップを、内壁に前記循環溝を形成するとともに、内部を空洞としたケースと、前記循環溝を囲むように前記ケース内に配置され、前記循環溝に向けて潤滑剤がしみ出す含油部材とで構成している。
また、前記含油部材を、前記循環溝を転動する前記ボールと直接接触するように前記ケース内に配置することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、図8で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
図1は、エンドキャップ式ボールねじ装置を構成する第1実施形態のエンドキャップ20を示すものであり、本実施形態のエンドキャップ20は、ケース22と、このケース22内に配置した一対の第1含油部材24及び一対の第2含油部材26とで構成されている。
【0009】
ケース22は、図2に示すように、円筒形状の外側周壁22aと、軸方向寸法を外側周壁20aより短くした内側周壁22bと、外側周壁22a及び内側周壁22bの一端側で連結している環状の側壁22cと、ナット本体8の端部に連結するための連結ボルト(図示せず)が挿通する複数のボルト穴22dと、内側周壁22bの内周に形成され、ねじ軸2の螺旋溝に対向する螺旋溝22eと、ボール6をすくい上げるタング22fと、これらタング22fと連続して側壁22cの内周面に形成した循環溝22gとを備えた部材である。
【0010】
第1含油部材24は、図3に示すように、平面視略爪形状に形成した潤滑剤含有ポリマーからなる部材である。この第1含油部材24は、図2に示すように、循環溝22g近くの外側周壁22a、内側周壁22b及び側壁22c等で囲まれた第1含油部材24の平面視形状より僅かな小さな形状で開口している2箇所の第1収納凹部28内に配置されている。
【0011】
また、第2含油部材26は、図4に示すように、平面視略眉形に湾曲しており、外周側26aの肉厚を内周側26bの肉厚より厚くした潤滑剤含有ポリマーからなる部材である。この第2含油部材26は、図2に示すように、一対の循環溝22gの間の位置の外側周壁22a、内側周壁22b及び側壁22c等で囲まれた第2含油部材26の平面視形状より僅かな小さな形状で開口している第2収納凹部30内に配置されている。なお、第2含油部材26の内周側の肉厚は、側壁22cの内面から内側周壁22bの先端までの高さと略同一となるように設定している。
【0012】
そして、ケース22内に配置した第1含油部材24及び第2含油部材26は、図2に示すように、循環溝22gを囲むように配置されている。
上記構成のエンドキャップ20は、図5に示すように、ナット本体8の両端部に形成した縮径部32を覆った状態で連結され、縮径部32の端面に形成したねじ穴(図示せず)に、ボルト穴22dに通した連結ボルト(図示せず)をねじ込むことでナット本体8に一体化されてボールナット4を形成する。ここで、ナット本体8の縮径部32の外周に、第2含油部材26の外周側26aの内周が当接し、縮径部32の端面に、第2含油部材26の内周側26bの内側の面と第1含油部材24の端面が当接する。
【0013】
そして、図示しないが、ナット本体8の端面に形成した循環溝がエンドキャップ20の循環溝22gに対向することで、ねじ軸2及びボールナット4の螺旋溝2a,4aとボール戻し通路14とを連通させる湾曲路が形成される。
また、図6は、本実施形態のエンドキャップ20を使用したエンドキャップ式ボールねじ装置であり、従来の装置と比べてナット全長Lが短い(L<L1)装置となる。
次に、本実施形態のエンドキャップ20を使用したエンドキャップ式ボールねじ装置の作用について述べる。
【0014】
ねじ軸2を正(逆)回転させると、その軸回転がねじ軸2の螺旋溝2aとボールナット4の螺旋溝4aとの間に介装されたボール6を介してボールナット4に伝達され、ボールナット4は応動して軸方向に前進(後退)移動する。ボール6は、ボールナット4の移動に伴い転動しつつ移動し、螺旋溝2a,4a、ボール戻し通路14及び湾曲路を循環する。すなわち、ボール6は、ボールナット4の進行に伴い相対する螺旋溝2a,4a内を転動して一端のエンドキャップ20側に到達すると、エンドキャップ10に設けたタング22fにすくい上げられ、ナット本体8及びエンドキャップ10に設けた湾曲路に導かれて方向転換されてナット本体8内のボール戻し通路14に入る。そして、このボール戻し通路14内を転動して反対側のエンドキャップ10側に達すると、ナット本体8及びエンドキャップ10の湾曲路に導かれて方向転換され、エンドキャップ10に設けたタング22fに接触じながらねじ軸2とボールナット4の螺旋溝2a,4a内に戻る。
【0015】
ここで、エンドキャップ10内の第1含油部材24、第2含油部材26は、湾曲路を形成しているエンドキャップ10の循環溝22gを囲むように配置されており、第1含油部材24、第2含油部材26から潤滑剤がしみ出して循環溝22gに供給されていく。そして、潤滑溝22aに供給された潤滑剤は、ボール6の転動とともにボール戻し通路14に流れていき、さらに螺旋溝2a,4aの間の隙間に流れていく。
【0016】
本実施形態のエンドキャップ式ボールねじ装置によると、ナット本体8と、このナット本体8の両端に連結している一対のエンドキャップ20とで本実施形態のボールナット4が構成されており、図8で示した従来の装置のナット全長(L1)と比較して本実施形態のボールナット4のナット全長(L)は短いので(L<L1)、装置の小型化を図ることができる。また、ボールナット4の部品点数が少なくなることから、製作コストの低減化を図ることができる。
【0017】
さらに、エンドキャップ20内の第1含油部材24、第2含油部材26は、湾曲路を形成しているエンドキャップ20の循環溝22gを囲むように配置されており、第1含油部材24、第2含油部材26から潤滑剤がしみ出して循環溝22gに供給されていき、さらに、ボール6の転動とともにボール戻し通路14に流れ、螺旋溝2a,4aの間の隙間に流れていき、ボール6の循環路に十分な量の潤滑剤が供給されていくので、潤滑剤の供給をスムーズに行うことができる。
【0018】
次に、図7に示すものは、エンドキャップ式ボールねじ装置を構成する第2実施形態のエンドキャップ40を示すものである。なお、本実施形態も、図1〜図7で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態のエンドキャップ40は、図2と同一構造のケース22と、このケース22内に配置した一対の第1含油部材42及び一対の第2含油部材44とで構成されている。
【0019】
第1含油部材42は、潤滑剤含有ポリマーからなる部材であり、循環溝22g近くの第1収納凹部28内に嵌まり込む平面視が略爪形状の嵌合部42aと、この嵌合部42aの側部から突出して循環溝22gの縁に位置するボール接触部42bとを備えている。
また、第2含油部材44は、図4で示した第1実施形態の第2含油部材26と同様に平面視略眉形に湾曲した潤滑剤含有ポリマーからなる部材である。この第2含油部材44が、第1実施形態の第2含油部材26と異なる部分は、長手方向の一端部から突出し、循環溝22gの縁に位置するボール接触部44aを設けていることである。
【0020】
本実施形態のエンドキャップ40を用いたエンドキャップ式ボールねじ装置によると、ケース22内に配置した第1含油部材42のボール接触部42bが循環溝22gの縁に位置しており、同様にケース22内に配置した第2含油部材44のボール接触部44aが循環溝22gの縁に位置していることから、湾曲路を通過するボール6は、ボール接触部42b,44aに常に接触する。このように、ボール6がボール接触部42b,44aに接触すると、ボール6を介して循環溝22g、ボール戻し通路14、螺旋溝2a,4aの間の隙間に潤滑剤が供給されていくので、潤滑剤の供給をスムーズに行うことができる。
【0021】
また、本実施形態のエンドキャップ40を用いたボールナット4も、図8で示した従来の装置のナット全長(L1)と比較してナット全長が短くなるので、装置の小型化を図ることができるとともに、ボールナット4の部品点数が少なくなることから、製作コストの低減化を図ることができる。
したがって、本実施形態のエンドキャップ40を用いた装置も、潤滑性能を十分に確保しながら小型化を図り、且つ製作コストの低減化を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエンドキャップ式ボールねじ装置は、ボールナットを、ナット本体と、ねじ軸及びナット本体の両螺旋溝及びボール戻し通路を連通させる湾曲路を形成するための循環溝を有するエンドキャップとで構成したことからナット全長が短くなり、装置の小型化を図ることができるとともに、製作コストの低減化を図ることができる。
【0023】
また、エンドキャップを、内壁に循環溝を形成するとともに内部を空洞としたケースと、循環溝を囲むように前記ケース内に配置され、循環溝に向けて潤滑剤がしみ出す含油部材とで構成したことから、潤滑剤が、ボールの転動とともに循環溝、ボール戻し通路、ねじ軸及びナット本体の螺旋溝に流れていってボールの循環路に十分な量の潤滑剤が供給されていくので、潤滑剤の供給をスムーズに行うことができる。
したがって、潤滑性能を十分に確保しながら小型化を図り、且つ製作コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態のエンドキャップを示す図である。
【図2】本発明に係るエンドキャップを構成するケースを示す図である。
【図3】第1実施形態のエンドキャップを構成する第1含油部材を示す図である。
【図4】第1実施形態のエンドキャップを構成する第2含油部材を示す図である。
【図5】第1実施形態のエンドキャップをナット本体に組み付ける状態を示す図である。
【図6】第1実施形態のエンドキャップを用いたエンドキャップ式ボールねじ装置を示す図である。
【図7】本発明に係る第2実施形態のエンドキャップを示す図である。
【図8】従来のエンドキャップ式ボールねじ装置を示す図である。
【符号の説明】
2 ねじ軸
2a ねじ軸の螺旋溝
4 ボールナット
4a ボールナットの螺旋溝
6 ボール
8 ナット本体
14 ボール戻し通路
20 エンドキャップ
22 ケース
22g 循環溝
24 第1含油部材
26 第2含油部材
28 第1収納凹部
30 第2収納凹部
40 エンドキャップ
42 第1含油部材
42b,44a ボール接触部
44 第2含油部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールねじに係り、特にボールナットの端部にボール循環路を有するいわゆるエンドキャップ式ボールねじの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のエンドキャップ式ボールねじ装置として、例えば、図8に示す装置が知られている。この装置は、外周面に螺旋溝2aを有するねじ軸2に、その螺旋溝2aと相対する螺旋溝4aを内周面に有するボールナット4が、相対する両螺旋溝2a,4a内を転動するボール6を介して螺合している。
【0003】
ボールナット4は、ナット本体8と、ナット本体8の両端面に連結したエンドキャップ10と、エンドキャップ10の端部に連結した潤滑剤供給部12とで構成されている。ナット本体8の肉厚部には、軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路14が設けられている。エンドキャップ10には、ナット本体8の端面との間に前記相対する両螺旋溝2a,4aと前記ボール戻し通路14とを連通させる湾曲路を形成する循環溝16が設けられている。
【0004】
また、潤滑剤供給部12は、エンドキャップ10に連結したケース12a内に、ねじ軸2の螺旋溝2aに接触するリング状の含油部材12bを配置した構造としている。
そして、ねじ軸2とボールナット4とが相対回転すると、ボール6がねじ軸2とボールナット4との相対する両ボールねじ溝2a,4a内を転動しつつ進み、ナット本体8及びエンドキャップ10の間に設けた湾曲路、ナット本体8に設けたボール戻り通路14を通り、元の位置に戻る循環を繰り返すようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の装置は、ボールナット4が、ナット本体8、一対のエンドキャップ10及び潤滑剤供給部12とで構成されているので、ナット全長L1が長くなり、小型化の面で問題がある。
また、ナット本体8、エンドキャップ10及び潤滑剤供給部12からなるボールナット4は、部品点数が多く、しかも各部品の加工コストも高いので、製作コストの面で問題がある。
【0006】
さらに、潤滑剤供給部12は、含油部材12bから微量にしみ出した潤滑剤がねじ軸2の螺旋溝2aに供給され、さらに螺旋溝2a,4aの隙間、湾曲路、ボール戻り通路14に供給されるようになっているが、湾曲路、ボール戻り通路14に十分な量の潤滑剤が供給されにくく、潤滑性能の面で問題がある。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、潤滑性能を十分に確保しながら小型化を図り、且つ製作コストの低減化を図ることができるエンドキャップ式ボールねじ装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
したがって、本願発明のエンドキャップ式ボールねじ装置は、外周面に螺旋溝を有するねじ軸と、内周面に前記螺旋溝と対向する螺旋溝を有するボールナットと、対向する前記ねじ軸及びボールナットの両螺旋溝内を転動するボールとを備えたエンドキャップ式ボールねじ装置において、前記ボールナットを、肉厚部に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路を有するナット本体と、前記両螺旋溝と前記ボール戻し通路とを連通させる湾曲路を形成するための循環溝を有するエンドキャップとで構成し、前記エンドキャップを、内壁に前記循環溝を形成するとともに、内部を空洞としたケースと、前記循環溝を囲むように前記ケース内に配置され、前記循環溝に向けて潤滑剤がしみ出す含油部材とで構成している。
また、前記含油部材を、前記循環溝を転動する前記ボールと直接接触するように前記ケース内に配置することが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、図8で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
図1は、エンドキャップ式ボールねじ装置を構成する第1実施形態のエンドキャップ20を示すものであり、本実施形態のエンドキャップ20は、ケース22と、このケース22内に配置した一対の第1含油部材24及び一対の第2含油部材26とで構成されている。
【0009】
ケース22は、図2に示すように、円筒形状の外側周壁22aと、軸方向寸法を外側周壁20aより短くした内側周壁22bと、外側周壁22a及び内側周壁22bの一端側で連結している環状の側壁22cと、ナット本体8の端部に連結するための連結ボルト(図示せず)が挿通する複数のボルト穴22dと、内側周壁22bの内周に形成され、ねじ軸2の螺旋溝に対向する螺旋溝22eと、ボール6をすくい上げるタング22fと、これらタング22fと連続して側壁22cの内周面に形成した循環溝22gとを備えた部材である。
【0010】
第1含油部材24は、図3に示すように、平面視略爪形状に形成した潤滑剤含有ポリマーからなる部材である。この第1含油部材24は、図2に示すように、循環溝22g近くの外側周壁22a、内側周壁22b及び側壁22c等で囲まれた第1含油部材24の平面視形状より僅かな小さな形状で開口している2箇所の第1収納凹部28内に配置されている。
【0011】
また、第2含油部材26は、図4に示すように、平面視略眉形に湾曲しており、外周側26aの肉厚を内周側26bの肉厚より厚くした潤滑剤含有ポリマーからなる部材である。この第2含油部材26は、図2に示すように、一対の循環溝22gの間の位置の外側周壁22a、内側周壁22b及び側壁22c等で囲まれた第2含油部材26の平面視形状より僅かな小さな形状で開口している第2収納凹部30内に配置されている。なお、第2含油部材26の内周側の肉厚は、側壁22cの内面から内側周壁22bの先端までの高さと略同一となるように設定している。
【0012】
そして、ケース22内に配置した第1含油部材24及び第2含油部材26は、図2に示すように、循環溝22gを囲むように配置されている。
上記構成のエンドキャップ20は、図5に示すように、ナット本体8の両端部に形成した縮径部32を覆った状態で連結され、縮径部32の端面に形成したねじ穴(図示せず)に、ボルト穴22dに通した連結ボルト(図示せず)をねじ込むことでナット本体8に一体化されてボールナット4を形成する。ここで、ナット本体8の縮径部32の外周に、第2含油部材26の外周側26aの内周が当接し、縮径部32の端面に、第2含油部材26の内周側26bの内側の面と第1含油部材24の端面が当接する。
【0013】
そして、図示しないが、ナット本体8の端面に形成した循環溝がエンドキャップ20の循環溝22gに対向することで、ねじ軸2及びボールナット4の螺旋溝2a,4aとボール戻し通路14とを連通させる湾曲路が形成される。
また、図6は、本実施形態のエンドキャップ20を使用したエンドキャップ式ボールねじ装置であり、従来の装置と比べてナット全長Lが短い(L<L1)装置となる。
次に、本実施形態のエンドキャップ20を使用したエンドキャップ式ボールねじ装置の作用について述べる。
【0014】
ねじ軸2を正(逆)回転させると、その軸回転がねじ軸2の螺旋溝2aとボールナット4の螺旋溝4aとの間に介装されたボール6を介してボールナット4に伝達され、ボールナット4は応動して軸方向に前進(後退)移動する。ボール6は、ボールナット4の移動に伴い転動しつつ移動し、螺旋溝2a,4a、ボール戻し通路14及び湾曲路を循環する。すなわち、ボール6は、ボールナット4の進行に伴い相対する螺旋溝2a,4a内を転動して一端のエンドキャップ20側に到達すると、エンドキャップ10に設けたタング22fにすくい上げられ、ナット本体8及びエンドキャップ10に設けた湾曲路に導かれて方向転換されてナット本体8内のボール戻し通路14に入る。そして、このボール戻し通路14内を転動して反対側のエンドキャップ10側に達すると、ナット本体8及びエンドキャップ10の湾曲路に導かれて方向転換され、エンドキャップ10に設けたタング22fに接触じながらねじ軸2とボールナット4の螺旋溝2a,4a内に戻る。
【0015】
ここで、エンドキャップ10内の第1含油部材24、第2含油部材26は、湾曲路を形成しているエンドキャップ10の循環溝22gを囲むように配置されており、第1含油部材24、第2含油部材26から潤滑剤がしみ出して循環溝22gに供給されていく。そして、潤滑溝22aに供給された潤滑剤は、ボール6の転動とともにボール戻し通路14に流れていき、さらに螺旋溝2a,4aの間の隙間に流れていく。
【0016】
本実施形態のエンドキャップ式ボールねじ装置によると、ナット本体8と、このナット本体8の両端に連結している一対のエンドキャップ20とで本実施形態のボールナット4が構成されており、図8で示した従来の装置のナット全長(L1)と比較して本実施形態のボールナット4のナット全長(L)は短いので(L<L1)、装置の小型化を図ることができる。また、ボールナット4の部品点数が少なくなることから、製作コストの低減化を図ることができる。
【0017】
さらに、エンドキャップ20内の第1含油部材24、第2含油部材26は、湾曲路を形成しているエンドキャップ20の循環溝22gを囲むように配置されており、第1含油部材24、第2含油部材26から潤滑剤がしみ出して循環溝22gに供給されていき、さらに、ボール6の転動とともにボール戻し通路14に流れ、螺旋溝2a,4aの間の隙間に流れていき、ボール6の循環路に十分な量の潤滑剤が供給されていくので、潤滑剤の供給をスムーズに行うことができる。
【0018】
次に、図7に示すものは、エンドキャップ式ボールねじ装置を構成する第2実施形態のエンドキャップ40を示すものである。なお、本実施形態も、図1〜図7で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態のエンドキャップ40は、図2と同一構造のケース22と、このケース22内に配置した一対の第1含油部材42及び一対の第2含油部材44とで構成されている。
【0019】
第1含油部材42は、潤滑剤含有ポリマーからなる部材であり、循環溝22g近くの第1収納凹部28内に嵌まり込む平面視が略爪形状の嵌合部42aと、この嵌合部42aの側部から突出して循環溝22gの縁に位置するボール接触部42bとを備えている。
また、第2含油部材44は、図4で示した第1実施形態の第2含油部材26と同様に平面視略眉形に湾曲した潤滑剤含有ポリマーからなる部材である。この第2含油部材44が、第1実施形態の第2含油部材26と異なる部分は、長手方向の一端部から突出し、循環溝22gの縁に位置するボール接触部44aを設けていることである。
【0020】
本実施形態のエンドキャップ40を用いたエンドキャップ式ボールねじ装置によると、ケース22内に配置した第1含油部材42のボール接触部42bが循環溝22gの縁に位置しており、同様にケース22内に配置した第2含油部材44のボール接触部44aが循環溝22gの縁に位置していることから、湾曲路を通過するボール6は、ボール接触部42b,44aに常に接触する。このように、ボール6がボール接触部42b,44aに接触すると、ボール6を介して循環溝22g、ボール戻し通路14、螺旋溝2a,4aの間の隙間に潤滑剤が供給されていくので、潤滑剤の供給をスムーズに行うことができる。
【0021】
また、本実施形態のエンドキャップ40を用いたボールナット4も、図8で示した従来の装置のナット全長(L1)と比較してナット全長が短くなるので、装置の小型化を図ることができるとともに、ボールナット4の部品点数が少なくなることから、製作コストの低減化を図ることができる。
したがって、本実施形態のエンドキャップ40を用いた装置も、潤滑性能を十分に確保しながら小型化を図り、且つ製作コストの低減化を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエンドキャップ式ボールねじ装置は、ボールナットを、ナット本体と、ねじ軸及びナット本体の両螺旋溝及びボール戻し通路を連通させる湾曲路を形成するための循環溝を有するエンドキャップとで構成したことからナット全長が短くなり、装置の小型化を図ることができるとともに、製作コストの低減化を図ることができる。
【0023】
また、エンドキャップを、内壁に循環溝を形成するとともに内部を空洞としたケースと、循環溝を囲むように前記ケース内に配置され、循環溝に向けて潤滑剤がしみ出す含油部材とで構成したことから、潤滑剤が、ボールの転動とともに循環溝、ボール戻し通路、ねじ軸及びナット本体の螺旋溝に流れていってボールの循環路に十分な量の潤滑剤が供給されていくので、潤滑剤の供給をスムーズに行うことができる。
したがって、潤滑性能を十分に確保しながら小型化を図り、且つ製作コストの低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態のエンドキャップを示す図である。
【図2】本発明に係るエンドキャップを構成するケースを示す図である。
【図3】第1実施形態のエンドキャップを構成する第1含油部材を示す図である。
【図4】第1実施形態のエンドキャップを構成する第2含油部材を示す図である。
【図5】第1実施形態のエンドキャップをナット本体に組み付ける状態を示す図である。
【図6】第1実施形態のエンドキャップを用いたエンドキャップ式ボールねじ装置を示す図である。
【図7】本発明に係る第2実施形態のエンドキャップを示す図である。
【図8】従来のエンドキャップ式ボールねじ装置を示す図である。
【符号の説明】
2 ねじ軸
2a ねじ軸の螺旋溝
4 ボールナット
4a ボールナットの螺旋溝
6 ボール
8 ナット本体
14 ボール戻し通路
20 エンドキャップ
22 ケース
22g 循環溝
24 第1含油部材
26 第2含油部材
28 第1収納凹部
30 第2収納凹部
40 エンドキャップ
42 第1含油部材
42b,44a ボール接触部
44 第2含油部材
Claims (2)
- 外周面に螺旋溝を有するねじ軸と、内周面に前記螺旋溝と対向する螺旋溝を有するボールナットと、対向する前記ねじ軸及び前記ボールナットの両螺旋溝内を転動するボールとを備えたエンドキャップ式ボールねじ装置において、
前記ボールナットを、肉厚部に軸方向の貫通孔からなるボール戻し通路を有するナット本体と、前記両螺旋溝と前記ボール戻し通路とを連通させる湾曲路を形成するための循環溝を有するエンドキャップとで構成し、前記エンドキャップを、内壁に前記循環溝を形成するとともに、内部を空洞としたケースと、前記循環溝を囲むように前記ケース内に配置され、前記循環溝に向けて潤滑剤がしみ出す含油部材とで構成したことを特徴とするエンドキャップ式ボールねじ装置。 - 前記含油部材を、前記循環溝を転動する前記ボールと直接接触するように前記ケース内に配置したことを特徴とする請求項1記載のエンドキャップ式ボールねじ装置。
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-
2003
- 2003-07-28 JP JP2003202391A patent/JP2005042796A/ja active Pending
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