JP2005042688A - 内燃機関の動弁装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この装置は、ポート22の弁座10aに離着座する弁12をカム18及び弁ばね16の協働により開閉駆動するカム駆動機構と、弁12をその開及び閉方向のいずれかの方向に選択的に付勢する付勢力を発生してその駆動を補助するアクチュエータ24とを備える。弁12の目標変位が着座位置となる着座期間に弁12が閉方向に付勢されるようにアクチュエータ24を制御する。
【選択図】 図1
Description
先ず、請求項1記載の発明は、内燃機関の吸気ポート又は排気ポートの弁座に離着座する弁をカム及びばねの協働により開閉駆動するカム駆動機構と、前記弁をその開及び閉方向のいずれかの方向に選択的に付勢する付勢力を発生してその駆動を補助する補助駆動機構とを有する内燃機関の動弁装置において、前記弁の目標位置が着座位置となる着座期間に前記弁が閉方向に付勢されるように前記補助駆動機構の付勢力を制御する制御手段を備えることをその要旨とする。
こうした付勢力の大きさは、例えばこれを着座期間において一定に設定する、或いはバウンスの生じやすい着座期間の初期にあるほど大きく設定する、ことができる。但し、このように補助駆動機構を通じて弁に付勢力を付与するためには、当然ながら同機構におけるエネルギ消費が避けられない。
本実施の形態にかかる動弁装置は、内燃機関の吸気弁又は排気弁をカムシャフトに形成されたカム及び弁ばねの協働によって往復駆動させ、吸気或いは排気ポートと燃焼室との連通及び遮断を切換えるためのものである。これら各弁の動弁特性は基本的に各々に対応したカムの形状、即ちカムプロフィールにより決定される。尚、吸気弁及び排気弁は略同構成を有しているため、以下ではそれらを特に区別することなく説明する。
同図1に示すように、弁12は軸12a及び弁本体12bを有し、その軸12aはシリンダヘッド10に往復動可能に支持されている。弁12の上端部にはリフタ14が装着されており、同リフタ14は弁ばね16によって常時閉方向(図1の上方)に付勢されている。
本実施の形態にかかる動弁装置では、弁12の実変位Xと目標変位Xtとに変位偏差ΔX(=Xt−X)が生じた場合にその変位偏差ΔXに応じて動弁装置の剛性力が見かけ上増大するようにアクチュエータ24を作動させる。更に、こうした変位偏差ΔXの他、弁12の実際の変位速度(以下、実速度)Vと目標速度Vtとに速度偏差ΔV(=Vt−V)が生じた場合には、その速度偏差ΔVに応じて動弁装置の減衰力が見かけ上増大するようにアクチュエータ24を作動させる。そして、こうしたアクチュエータ24の駆動制御を通じて、バウンスや閉弁途中に弁12がカム面から離間する現象、いわゆるジャンプの発生を抑えるようにしている。
尚、このフローチャートに示される一連の処理は所定周期毎の処理として電子制御装置32により実行される。
U=K1・ΔX+C1・ΔV …(1)
ΔX:弁12の目標変位Xtと実変位Xとの変位偏差ΔX
ΔV:弁12の目標速度Vtと実速度Vとの速度偏差ΔV
K1,C1:係数
上式(1)において、右辺第1項K1・ΔXは変位偏差ΔXに比例する項であり、同項によりカム駆動機構及び補助駆動機構により構成されるばね−質量系の剛性力を見かけ上増減することができる。また、同式(2)において、右辺第2項C1・ΔVは速度偏差ΔVに比例する項であり、同項に上記ばね−質量系の減衰力を見かけ上増減することができる。
この処理では先ず、カム位相θが所定位相範囲S内であるか否かが判断される(ステップS100)。
一方、カム位相θが所定位相範囲S内である場合には(ステップS100:YES)、以下の式(2)における各パラメータM,C,Kがそれぞれメモリ32aから読み込まれる(ステップS102)。
F=M・A+C・V+K・X …(2)
A:弁加速度(Xの二階微分値)
V:弁速度(Xの一階微分値)
上式(2)は、カム駆動機構並びに補助駆動機構、すなわち弁12、弁ばね16、及びアクチュエータ24等により構成されるばね−質量系の等価質量をM、減衰係数をC、ばね係数をKとしてモデル化したときの振動モデルに関する運動方程式である。具体的には、等価質量Mは、弁12をはじめとするリフタ14、電磁コイル26等、上記振動モデルにおける可動部の質量である。因みに、ピポット式やロッカーアーム式の動弁装置では、上記等価質量Mにロッカアームの質量も含まれる。また、減衰係数Cは動弁装置、具体的にはカム駆動機構及び補助駆動機構の各部において弁速度に応じて発生する抵抗力に基づき設定されている。更にばね係数Kは主に弁ばね16の弾性特性、即ち同弁ばね16のばね係数Kと略等しく設定されている。
√((K+K1)/M)=ωc・α …(3)
α:定数
同式(3)における左辺√((K+K1)/M)は、式(1)に示される補助駆動機構の付勢力Uを考慮したカム駆動機構及び補助駆動機構により構成されるばね−質量系の固有振動数である。また、定数αは「1.0」より十分に大きい所定値である。本実施の形態では、上式(3)を通じて、上記ばね−質量系の固有振動数ωvがカム18の角振動数ωcよりも高くなるように係数K1が設定される。
(C1+C1)/M=2・ζ・ωv …(4)
但し、ωv=√((K+K1)/M)
ζ:拡大率
尚、上式(4)の拡大率ζとして、「1.0」以上の値が用いられる。これにより本実施の形態では、カム駆動機構及び補助駆動機構の振動性が低くなるような値が係数C1として算出される。
It=U/G …(5)
G:係数
尚、上記係数Gは、アクチュエータ24の特性によって定められる定数であり、式(1)から求められる付勢力Uの目標値とアクチュエータ24によって弁12に付与される付勢力の実際値とが等しくなるように実験等を通じて求められ、電子制御装置32のメモリ32aに記憶されている。
(1)カム駆動機構の駆動に基づく弁12の目標駆動態様と実駆動態様との乖離度合に応じた付勢力、即ち変位偏差ΔX及び速度偏差ΔVに応じた付勢力Uが発生するようにアクチュエータ24を制御するようにした。このため、着座期間にバウンスが発生するときには、これを抑える閉方向の付勢力がアクチュエータ24から弁12に付与される。その結果、この付勢力によってバウンスの発生を抑制することができるようになる。
・弁12が開方向に付勢され始める時期から所定期間が経過するまで同弁12を開方向に付勢する付勢力が発生するようにアクチュエータ24を作動させるようにしてもよい。通常、動弁装置においては、弁12の熱膨張による開弁を防止するために、バルブクリアランスと称される隙間(図1にLで示す隙間)が設けられている。従って、弁12が開弁する際には、こうした隙間が無くなるときに、リフタ14とカム18とが衝突して衝突音が発生する。この点、上記構成によれば、弁12が開弁する際におけるリフタ14とカム18との衝突力を弱めることができ、それに起因する衝突音の発生を抑制することができるようになる。尚、この際の付勢力の大きさは、例えばこれを上記所定期間において一定に設定する、若しくは同所定期間の初期にあるほど大きく設定することが、衝突音を低減する上で有効である。
・図5に駆動制御処理の変形例を示すように、バウンスの発生の有無を判定するとともに同バウンスが発生した旨の判定がなされたことを条件に(ステップS200:YES)、前述したステップS102〜S114の処理(図2)を実行するようにしてもよい。同構成によれば、バウンスが発生した場合に、それに応じたかたちでアクチュエータ24を作動させることができるようになる。尚、バウンスの発生は、着座期間に弁12の実変位Xが「0」と異なっていることにより判断することができる。また、例えば弁12の実変位Xが「0」である状態が所定時間継続するのを待って上記アクチュエータ24の作動を停止するのが望ましい(ステップS202及びS204)。このように構成すれば、短期間のうちにアクチュエータ24の作動・非作動が繰り返されることによる制御の不安定化を抑制することができるようになる。
・また、上記付勢力として弁12の着座時に大きな力を発生させるとともに、その後において同力が徐々に小さくなるようにアクチュエータ24を作動させるようにしてもよい。バウンスが発生する場合には、その強度は弁12の着座直後において最も大きく、その後徐々に小さくなる。上記構成によれば、そうしたバウンス強度の推移に応じたかたちでアクチュエータ24を制御することができるようになる。
Claims (12)
- 内燃機関の吸気ポート又は排気ポートの弁座に離着座する弁をカム及びばねの協働により開閉駆動するカム駆動機構と、前記弁をその開及び閉方向のいずれかの方向に選択的に付勢する付勢力を発生してその駆動を補助する補助駆動機構とを有する内燃機関の動弁装置において、
前記弁の目標位置が着座位置となる着座期間に前記弁が閉方向に付勢されるように前記補助駆動機構の付勢力を制御する制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の動弁装置。 - 前記弁の変位を検出する検出手段を更に備え、
前記制御手段は前記着座期間にあって前記検出手段の検出結果に基づく前記弁の位置が前記弁座から離間する位置にあるときに前記付勢力が発生するように前記補助駆動機構を制御する
請求項1記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記制御手段は前記付勢力の大きさが前記弁と前記弁座との離間間隔及び前記弁の速度の少なくとも一方に応じて変化するように前記補助駆動機構を制御する
請求項2記載の内燃機関の動弁装置。 - 内燃機関の吸気ポート又は排気ポートの弁座に離着座する弁をカム及びばねの協働により開閉駆動するカム駆動機構と、前記弁をその開及び閉方向のいずれかの方向に選択的に付勢する付勢力を発生してその駆動を補助する補助駆動機構とを有する内燃機関の動弁装置において、
前記弁の実駆動態様を検出する検出手段と、
前記カム駆動機構の駆動に基づく前記弁の目標駆動態様と前記検出される実駆動態様との乖離度合に応じた大きさの付勢力が発生するように前記補助駆動機構を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする内燃機関の動弁装置。 - 前記制御手段は前記カム駆動機構により前記弁が前記弁座に着座可能になる着座期間にあることを条件に前記付勢力が発生するように前記補助駆動機構を制御する
請求項4記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記制御手段は前記カム駆動機構を通じて前記弁が閉方向に付勢される期間にあることを条件に前記付勢力が発生するように前記補助駆動機構を制御する
請求項4又は5記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記駆動態様には前記弁の変位及び同弁の速度の少なくとも一方が含まれる
請求項4〜6の何れかに記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記制御手段は前記付勢力Uを以下の関係式
U=K1・ΔX+C1・ΔV(U>0のとき弁を開方向に付勢する付勢力を意味する)
ΔX:弁の目標変位と実変位との偏差(=目標変位−実変位:開方向を正)
ΔV:弁の目標速度と実速度との偏差(=目標速度−実速度)
K1,C1:係数
に基づいて算出する
請求項3又は7記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記制御手段は前記カム駆動機構及び補助駆動機構により構成されるばね−質量系をモデル化したときの等価質量をM、減衰係数をC、ばね係数をKとそれぞれしたとき、上記係数K1を以下の関係式
√((K+K1)/M)>ωc
ωc:カムシャフトの角振動数
が満たされるように設定する
請求項8記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記制御手段は上記係数C1を以下の各関係式
ζ≧1
2・ζ・ωv=(C+C1)/M
ωv=√((K+K1)/M)
がそれぞれ満たされるように設定する
請求項9記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記制御手段は前記カム駆動機構により前記弁が開方向に付勢され始める時期から所定期間が経過するまで前記弁を開方向に付勢する付勢力が発生するように前記補助駆動機構を制御する
請求項1〜10の何れかに記載の内燃機関の動弁装置。 - 前記補助駆動機構は前記弁に接触することなく同弁に付勢力を付与可能な非接触式の駆動機構である
請求項1〜11の何れかに記載の内燃機関の動弁装置。
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JP2013108428A (ja) * | 2011-11-21 | 2013-06-06 | Toyota Motor Corp | 内燃機関の動弁装置 |
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