JP2016173083A - カムの設計方法およびカム - Google Patents

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Abstract

【課題】動弁系の弾性変形の影響が除去された所望のバルブの挙動を実現することが可能なカムの設計方法を提供する。【解決手段】カムと、バルブと、前記バルブを駆動する伝達機構とを含むエンジンの動弁系を、前記動弁系の弾性モデルを生成するモデル化ステップと、前記カムの回転速度と、前記クランク角度と前記カムリフト量との関係を示す暫定カムリフト曲線と、を含む前記動弁系の作動パラメータを前記弾性モデルに入力するパラメータ入力ステップと、前記弾性モデルおよび前記作動パラメータに基づいて、暫定バルブ周波数特性を取得する暫定バルブ周波数特性取得ステップと、前記暫定バルブ周波数特性に基づいて、特定の周波数成分を含む周波数領域が減衰された周波数特性を有する目標カムリフト曲線を取得する目標カムリフト曲線取得ステップと、前記目標カムリフト曲線に基づいて前記カムのカム形状を決定するカム形状決定ステップと、を備える。【選択図】図2

Description

本開示は、エンジンの動弁系を構成するカムの設計に関する。
一般に、エンジンの吸気バルブと排気バルブの挙動は、動弁系(動弁機構)に含まれるカムの形状に大きく依存する。すなわち、カムの回転角度(クランク角度)に対して所望のバルブの挙動を実現するようにカムは設計される。そして、カムに当接する従動体が、カムの回転角度に対して設定された量だけカムによって押されることで変位されると、この変位量が、従動体を介してバルブに伝わり、バルブが開閉される。従来から、カム形状の設計は、動弁系の構成要素を剛体とみなして行われている。また、カム形状は滑らかな曲線により形成することが一般的であり、sin、cos、多項式、楕円曲線などを組み合わせたマルチサインカム、ポリノミナルカムなどの既存の幾何形状を元とした形状となるのが一般的である。例えば、特許文献1では、カムと従動体との接触面圧が小さくなるようにしたカム構造の設計方法が開示されている。
特開平8−303215号公報(特許第3859175号)
しかしながら、エンジンの動弁系は、厳密には、剛体ではなく弾性体である。このため、従来の手法により設計されたカムを備えるエンジンを運転すると、動弁系を構成する部品が弾性変形することに起因して、バルブの破損や早期摩耗、想定した性能が出ないなどの問題が生じうる。例えば、動弁系が弾性変形することで、バルブの開弁中にジャンピングが発生してバルブやエンジンのピストンなどのパーツの破損が生じることや、バルブの着座速度が速まることでバルブの開閉タイミングがずれることなどの問題が生じる。このような問題に対して、動弁系の構成部品を太くするなどによって剛性を上げることや、特許文献1のようにカムを構成する曲線のパラメータなどを調整するなどしても、動弁系を構成する部品の弾性変形による影響を完全に除去することはできない。このため、動弁系の弾性変形に起因して生じる、バルブの挙動に現れる振動成分を抑制することは、従来の手法では困難となる。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、動弁系の弾性変形の影響が除去された所望のバルブの挙動を実現することが可能なカムの設計方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るカムの設計方法は、
カムと、バルブと、前記カムによるカムリフト量に応じて前記バルブを駆動する伝達機構とを含むエンジンの動弁系を、前記動弁系の弾性変形を考慮してモデル化することで前記動弁系の弾性モデルを生成するモデル化ステップと、
前記カムの回転速度と、クランク角度と前記カムリフト量との関係を示すカムリフト曲線の暫定設計値である暫定カムリフト曲線と、を含む前記動弁系の作動パラメータを前記弾性モデルに入力するパラメータ入力ステップと、
前記弾性モデルおよび前記作動パラメータに基づいて、前記暫定カムリフト曲線に対応して駆動される前記バルブのバルブリフト曲線の周波数特性である暫定バルブ周波数特性を取得する暫定バルブ周波数特性取得ステップと、
前記暫定バルブ周波数特性に基づいて、特定の周波数成分を含む周波数領域が減衰された周波数特性を有する前記カムリフト量の前記カムリフト曲線である目標カムリフト曲線を取得する目標カムリフト曲線取得ステップと、
前記目標カムリフト曲線に基づいて前記カムのカム形状を決定するカム形状決定ステップと、を備える。
上記(1)の構成によれば、上記の動弁系の弾性モデルには、カム、バルブ、伝達機構といったエンジンの動弁系を構成する部品の弾性変形がモデル化対象として組み込まれており、この弾性モデルを用いることによって、カムに関する作動パラメータ(設定情報)に対応するバルブの挙動が、動弁系の弾性変形が考慮された状態で求められる。つまり、動弁系を構成する部品は厳密には剛体ではなく弾性体であり、動弁系が現実に有する弾性変形を弾性モデルに組み込むことで、より現実に近いバルブの挙動が弾性系モデルを通して取得される。そして、この弾性モデルを通して得られたバルブの挙動に基づいて、バルブリフト曲線の周波数特性(暫定バルブ周波数特性)が取得される。このようにして取得される暫定バルブ周波数特性に基づいて、特定の周波数成分を含む周波数領域が減衰されたカムリフト曲線(目標カムリフト曲線)が取得され、カム形状が決定される。このため、動弁系の弾性変形に起因してバルブの挙動に現れる振動成分を除去することができ、振動成分が除去されたバルブの挙動を実現することが可能なカムを設計することができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記目標カムリフト曲線取得ステップは、
前記暫定カムリフト曲線の周波数特性である暫定カム周波数特性を取得する暫定カム周波数特性取得ステップと、
前記暫定カム周波数特性と前記暫定バルブ周波数特性とを対応づける伝達関数を取得する伝達関数取得ステップと、
前記バルブの目標バルブリフト曲線を決定する目標バルブリフト曲線決定ステップと、
前記目標バルブリフト曲線の周波数特性である目標バルブ周波数特性を取得する目標バルブ周波数特性取得ステップと、
前記目標バルブ周波数特性が前記伝達関数で除算された演算値である目標カム周波数特性を取得する伝達関数除算ステップと、
前記目標カム周波数特性に対応する前記カムリフト曲線を前記目標カムリフト曲線として取得する目標カム特性変換ステップと、を備える。
上記(2)の構成によれば、上記(1)の目標カムリフト曲線取得ステップにおける目標カムリフト曲線の取得のために、弾性モデルを通して得られた暫定バルブ周波数特性と、作動パラメータとして入力された暫定カムリフト曲線の周波数特性(暫定カム周波数特性)とを対応づける伝達関数が取得される。つまり、この伝達関数によって、弾性モデルを作動パラメータによって動作させた場合のカムリフト曲線の周波数特性とバルブリフト曲線の周波数特性との一般的な入出力関係が求められる。また、動弁系の弾性変形に起因する振動成分が減衰(除去)された、例えば、滑らかなバルブリフト曲線(目標バルブリフト曲線)が任意に決定される。その後、この目標バルブリフト曲線の周波数特性(目標バルブ周波数特性)を上記の伝達関数で除算することで、目標バルブ周波数特性に対応するカムリフト曲線の周波数特性(目標カム周波数特性)が求められ、目標カム周波数特性がカムリフト曲線に変換される。これによって、動弁系の弾性変形に起因してバルブの挙動に現れる振動成分を除去することができ、振動成分が除去されたバルブの挙動を実現することが可能なカムを設計することができる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記目標カムリフト曲線取得ステップは、
ノッチフィルタによって前記暫定バルブ周波数特性のうちから前記周波数領域を減衰させることで、前記暫定バルブ周波数特性が修正された修正バルブ周波数特性を取得する修正バルブ周波数特性取得ステップと、
前記修正バルブ周波数特性に基づいて前記目標カムリフト曲線を取得する目標カムリフト曲線変換ステップと、を備える。
上記(3)の構成によれば、上記(1)の目標カムリフト曲線取得ステップにおける目標カムリフト曲線の取得のために、弾性モデルを通して得られた暫定バルブ周波数特性にノッチフィルタを適用し、特定の周波数成分を減衰して修正バルブ周波数特性が求めている。そして、この修正バルブ周波数特性から目標カムリフト曲線が取得される。これによって、動弁系の弾性変形に起因してバルブの挙動に現れる振動成分を除去することができ、振動成分が除去されたバルブの挙動を実現することが可能なカムを設計することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記目標カムリフト曲線変換ステップは、
前記修正バルブ周波数特性に対応するバルブリフト曲線となる修正バルブリフト曲線を取得するバルブ特性変換ステップと、
前記修正バルブリフト曲線に基づいて前記目標カムリフト曲線を取得するリフト曲線変換ステップと、からなる。
上記(4)の構成によれば、簡易な方法により目標カムリフト曲線を取得することができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)〜(3)の構成において、
前記特定の周波数成分は、前記動弁系の固有振動数成分である。
上記(5)の構成によれば、動弁系の固有振動数成分が減衰されることで、バルブの挙動に現れる振動成分の除去を効果的に行うことが可能なカムを設計することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(5)の構成において、
前記カムの回転速度は、前記エンジンの定格回転数に基づいて決定される。
上記(6)の構成によれば、発電用の定置エンジンなど、定格回転数で回転するエンジンの動弁系において所望のバルブの挙動を実現することが可能なカムを設計することができる。
(7)本発明の少なくとも一実施形態に係るカムは、上記(1)〜(6)に記載のカムの設計方法によって得られたカム形状を有する。
上記(7)の構成によれば、上記(1)〜(6)による設計方法によってカムを設計することで、動弁系の弾性変形に起因してバルブの挙動に現れる振動成分を除去することができ、振動成分が除去されたバルブの挙動を実現することが可能なカムを提供することができる。
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係るカムは、
カムと、バルブと、前記カムによるカムリフト量に応じて前記バルブを駆動する伝達機構とを含むエンジンの動弁系を構成するカムであって、
前記カムのカム形状に対応するカムリフト曲線の周波数特性は、
前記動弁系の固有振動数成分を含む固有振動数領域と、
前記固有振動数領域よりも周波数が低い低周波数領域と、
前記固有振動数領域よりも周波数が高い高周波数領域と、を含み、
前記固有振動数領域における前記周波数に対応する指標値が、前記低周波数領域における前記周波数に対応する指標値、および前記高周波数領域における前記周波数に対応する指標値よりも小さくなるように形成される。
上記(8)の構成によれば、周波数分析することによって得られた、カムのカム形状に対応するカムリフト曲線の周波数特性は、固有振動数領域において落ち込んでいる。このようなカムリフト曲線の周波数特性を有するようなカム形状をカムが有することによって、動弁系の弾性変形に起因してバルブの挙動に現れる振動成分が除去されたバルブの挙動を実現することが可能なカムを提供することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、
前記固有振動数領域における前記指標値の平均値は、前記低周波領域及び前記高周波領域における前記指標値の各々の平均値よりも小さい。
上記(9)の構成によれば、固有振動数領域における周波数に対応する指標値の平均値は、低周波領域及び高周波領域における指標値の平均値よりも小さくなるように落ち込んでいる。これによって、動弁系の弾性変形に起因してバルブの挙動に現れる振動成分が除去されたバルブの挙動を実現すること可能なカムを提供することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)の構成において、
前記固有振動数領域における前記指標値の最頻値は、前記低周波領域及び前記高周波領域における前記指標値の各々の最頻値よりも小さい。
上記(10)の構成によれば、固有振動数領域における周波数に対応する指標値の最頻値は、低周波領域及び高周波領域における指標値の最頻値よりも小さくなるように落ち込んでいる。これによって、動弁系の弾性変形に起因してバルブの挙動に現れる振動成分が除去されたバルブの挙動を実現すること可能なカムを提供することができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、動弁系の弾性変形の影響が除去された所望のバルブの挙動を実現することが可能なカムの設計方法が提供される。
本発明の一実施形態に係るカムの設計方法が適用されるエンジンの動弁系の正面図である。 本発明の一実施形態に係るカムの設計方法を概略的に示すフロー図である。 本発明の一実施形態に係るカムリフト曲線を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係るバネーマスモデル(ばねー質点モデル)によって生成された弾性モデルを示す図である。 カムプロフィールを例示する図である。 本発明の一実施形態に係る弾性モデルを用いた解析により得られるバルブリフト曲線を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る弾性モデルを用いた解析により得られるクランク角度に対するバルブ速度の推移を説明するための図である。 本発明の一実施形態に係る弾性モデルの解析により得られる暫定バルブリフト曲線を示す図である。 図7Aに示される暫定バルブリフト曲線に基づいて取得される暫定バルブ周波数特性を示す図である。 本発明の一実施形態に係るカムの設計方法により設計されたカムによって駆動されるバルブ速度の推移を示す図である。 本発明の一実施形態に係るカムの設計方法により設計されたカムによって駆動されるバルブ3による弁シート5のシート荷重を示す図である。 本発明の一実施形態に係るカムの設計方法により設計されたカムによって駆動されるバルブ3の着座タイミングを示す図である。 本発明の一実施形態に係るカムの設計方法における目標カムリフト曲線取得ステップの少佐なフロー図である。 本発明の他の一実施形態に係るカムの設計方法における目標カムリフト曲線取得ステップの詳細なフロー図である。 ノッチフィルタを説明するため図である。 本発明の一実施形態に係るカムの設計方法における目標カムリフト曲線取得ステップの詳細なフロー図である。 本発明の一実施形態に係るカムの設計方法により設計されたカムのカムリフト曲線と、他の方法により設計されたカムのカムリフト曲線を比較して示す図である。 本発明の一実施形態に係るカムの設計方法により設計されたカムのカムリフト曲線の周波数特性と、他の方法により設計されたカムのカムリフト曲線の周波数特性を比較して示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るカムの設計方法が適用されるエンジンの動弁系1を例示する図である。
また、図2は、本発明の一実施形態に係るカムの設計方法を概略的に示すフロー図である。エンジンの動弁系1(以下、動弁系1)は、吸気バルブや排気バルブといったエンジンが備えるバルブ3を開閉する機構である。そして、図1に示されるように、動弁系1は、カム2と、バルブ3と、カム2によるカムリフト量に応じてバルブ3を駆動する伝達機構4とを含む。
カム2は、回転運動を直線運動に変換する機構である。すなわち、カム2は回転するカムシャフト26と共に回転すると共に、後述する伝達機構4の従動体(図1の例示ではカムフォロア41)に当接している。そして、回転するカム2によってこの従動体が押されることで、従動体を直線状に運動させる。より詳細には、一般的なカム2の断面は卵形の形状となっており、突出する部分(突出部22)をカム2は有することで、カム2の回転中心Oからカム2の外周までの距離の全てが一定とはなっていない。このため、カム2の回転に従って、従動体に当接するカム2の外周の位置(当接位置)が変化すると、この当接位置とカム2の回転中心Oとの距離が変化し、この距離に応じた分だけ従動体は押されることになる。
具体的には、カム2の回転中心Oから外周までの距離は突出部22に近づくに従って増加し、突出部22の頂部23において最大となる。逆に、突出部22の頂部23から当接位置が離れるに従って、カム2の回転中心Oと当接位置との距離は減少する。このため、従動体がカム2によって押されて変位する変位量であるカムリフト量は、図3に示されるように、当接位置が突出部22に近づくにつれて大きくなり、突出部22の頂部23において最大となる。逆に、突出部22の頂部23から当接位置が離れるに従って、カムリフト量は最大値から減少していく。このように、カムリフト量は、カム形状に大きく依存する。なお、図3は、クランク角度に対してカムリフト量をプロットしたカムリフト曲線Cの一般的な形を例示するものであり、カム2の回転角度はクランク角度を基準に定義されるのが通常である。また、図3の例示では、クランク角度が30度付近で0mmから増加し、120度付近で最大となった後に、240度付近で0mmに戻っている。
バルブ3は、エンジンのシリンダヘッドにあけられた吸気孔と排気孔の開閉状態を制御する吸気バルブや排気バルブである。また、図1に示されるように、バルブ3は、棒状の軸部31と、軸部31の前端31fに連結される円板状の傘部32とで構成される。そして、この傘部32と弁シート5(弁座)との接触状態に応じて吸気孔と排気孔の開閉状態が制御される。すなわち、エンジンの吸気孔や排気孔は、傘部32と弁シート5が接触している時は閉じられた状態であり、逆に、両者が接触していない時は開かれた状態である。そして、このバルブ3の開閉制御は、カム2と伝達機構4とによって行われる。
伝達機構4は、カム2によるカムリフト量に応じてバルブ3を駆動する。言い換えると、この伝達機構4によって、カムリフト量は、弁シート5への着座状態からのバルブ3の変位量であるからバルブリフト量に変換される。より詳細には、図1に示されるように、バルブ3の軸部31の後端31rには伝達機構4が連結されている。そして、上記に説明したように、カム2の回転運動は伝達機構4の従動体によってカムリフト量に変換されると共に、伝達機構4によって、カムリフト量に対応したバルブリフト量だけバルブ3は直線状に変位される。具体的には、バルブ3の軸部31の後端31rがバルブリフト量の増加に伴って伝達機構4に押されると、バルブ3の位置を保持しているスプリング42が縮められながらバルブ3が開かれる。逆に、バルブリフト量の減少に伴って、バルブ3の軸部31の後端31rが伝達機構によって押される力が弱まると、縮められたスプリング42が元に戻ろうとする力でバルブ3は閉じられる。
図1に示される実施形態では、動弁系1はロッカーアーム方式となっている。すなわち、シリンダヘッドなどへのアーム43の固定部分をてこの支点PPとして、アーム43の力点側にカム2が当接し、アーム43の作用点側にバルブ3が当接している。図1の例示では、このロッカーアーム方式の伝達機構4は、従動体に相当するカムフォロア41(滑筒)と、上記のスプリング42と、アーム43(揺腕)と、カムフォロア41とアーム43の力点側を連結する棒状の押棒44と、アーム43の作用点側とバルブ3の後端31rを連結するブリッジ45と、スプリング42とカム2の間に設けられた、スプリング42の一端を保持する作用板46を含んでいる。そして、カム2は、カムフォロア41(従動体)に当接しており、このカムフォロア41は押棒44を介してアーム43に連結されている。また、バルブ3の後端31rは作用板46に当接しており、作用板46はブリッジ45を介してアーム43に連結されている。このようにして、伝達機構4は、カム2側のバルブリフト量をバルブ3側のカムリフト量に変換している。このように、動弁系1は、カムシャフト26、カム2、カムフォロア41、押棒44、アーム43、ブリッジ45、作用板46、バルブ3を含んで構成されており、カム2の回転によって生じるカムリフト量に応じてバルブ3がバルブリフト量だけ駆動される。
なお、他の幾つかの実施形態では、動弁系1は、スイングアーム式や、直動式などの他の方式であっても良く、カム2とバルブ3と伝達機構4で構成されていればどのような方式でも良い。直動式における伝達機構4は作用板46となる。例えば、動弁系1は、カム2が上方にあるオーバーヘッドカムや、ブリッジ45のパーツが無く、ロッカーアームがバルブ3を直接押すタイプ、カムフォロワ41が滑筒タイプとなっているものなどであっても良い。
以下では、図1で例示される動弁系1を用いて、図2に示されるカムの設計方法を説明する。
図2のステップS21において、動弁系1の弾性変形が考慮された動弁系1のモデルである弾性モデル6を生成する(S21:モデル化ステップ)。この弾性モデル6の生成に際しては、弾性モデル6の挙動が、実際の動弁系1の挙動と一致するように動弁系1の各構成要素がモデル化される。具体的には、弾性変形を考慮することが可能な様々な手法によりこのモデル化を行うことができる。例えば、図4は、幾つかの実施形態における、バネ−マスモデル(ばね−質点モデル)によって生成された弾性モデル6を示す図である。図4に示されるように、バネ−マスモデルによりモデル化される弾性モデル6は、動弁系1の各構成要素をバネと質量でモデル化することで動弁系1の構成部品の弾性変形(すなわち、動弁系1の弾性変形)が考慮されている。また、モデル化された構成要素同士はギャップ要素により相互に接続される。図4の例示では、押棒44は押棒下と押棒上の2つに分割されており、弾性モデル6は、カムシャフト26(BC)、カム2(MC)、カムフォロア41(BF)、押棒44(MP1、MP2)アーム43(MS)、ブリッジ45(MG)、スプリング42(MS1)、バルブ3(バルブ3の後端31r:MV1、前端31fおよび傘部32:MV2)として示されている。なお、MV2に作用するシリンダ内の筒内荷重などは、弾性モデル6による解析条件として設定される。
次のステップS22では、弾性モデル6の挙動を解析するためのパラメータ(作動パラメータI)が入力される(S22:パラメータ入力ステップ)。この作動パラメータIは、カム2の回転速度と、クランク角度とカムリフト量との関係を示すカムリフト曲線Cの暫定的な設計値である暫定カムリフト曲線Cpと、を含む。すなわち、クランク角度とバルブ3のバルブリフト量(変位量)との関係を示すバルブリフト曲線Vはカムリフト曲線Cに大きく依存するため、暫定カムリフト曲線Cpが作動パラメータIに含まれる。このカムリフト曲線Cは、幾つかの実施形態では、図5に示されるように、カム2の形状を特定することが可能なカムプロフィール種別を含むカムプロフィール27に基づいて算出されても良い。例えば、カムプロフィール種別にはカムリフト曲線Cの形状を表す形状パラメータが含まれていても良く、カムリフト曲線が複数の区間に分割され、それぞれの区間の形状を表すのに必要とされる情報が各形状パラメータによって数値的に示されても良い。なお、図5の例示では、オーバルカムについてのカムプロフィールの一例が例示されているが、あくまで例示に過ぎず、様々なカムの形状に応じたカムプロフィール種別とその値の組み合わせを含むカムプロフィールが用意される。
一方、カム2の回転速度は、動弁系1の弾性変形の度合いに影響を与えるため、カム2の回転速度が作動パラメータIに含まれる。例えば、カム2が低速で回転する場合には、カム2(カムリフト量)に追従してバルブ3は動くことができるため、動弁系1の弾性変形がバルブ3の挙動に与える影響は小さい。ところが、回転速度が大きく、慣性力の影響により、バルブ3の挙動がカム2に追従できなくなる場合には、動弁系1の弾性変形による影響がバルブ3の挙動に顕著に現れることになる。なお、カム2を支持しながら回転させるカムシャフト26は、エンジンのクランクシャフトから動力を得て回転するのが通常であり、カム2の回転速度はエンジンの回転速度と減速比により得られる。また、その他のパラメータが作動パラメータIに含まれていても良いことは当然である。
そして、次のステップS23において、上記の弾性モデル6と作動パラメータIに基づいてバルブ3の挙動が解析され、例えば、図6A〜図6Bに例示されるようなバルブ3の挙動が得られる(S23:解析ステップ)。
すなわち、図6Aは、弾性モデル6を用いた解析により得られるバルブリフト曲線Vの例示である。図6Aの例示では、バルブ3の傘部32が弁シート5に着座している位置(初期位置)を0mmとしており、バルブ3の開弁する方向(図1の下向き)がバルブリフト量の負値として示されている。つまり、バルブ3の傘部32と弁シート5との距離(開弁距離)が増加するとバルブリフト量の絶対値も増加する。図6Aの例示では、クランク角度が90度から180度の間で初期位置から開弁し、180度から270度の間でバルブリフト量の絶対値が最大となり、360度〜450度の間で初期位置に戻っている。また、図6Aの例示では、バルブ3の傘部32が弁シート5に着座する際にバウンス現象Pが生じている。これは、動弁系1の弾性変形の影響により、開弁時にバルブ3が設計値より大きくリフトし、その余分なリフト量によりバルブ3が初期位置へ戻るまでに余分に加速され、伝達機構4や弁シート5に激しく衝突し跳ね返るような挙動をバルブが示していることによる。
また、図6Bは、弾性モデル6を用いた解析により得られるクランク角度に対するバルブ速度の例示である。図6Bの例示では、バルブ3の開弁する方向(図1の下向き)が負値として示されており、大まかに説明すると、バルブ速度は、初期位置における速度0から負値の方向に加速した後、開弁距離が最大の位置で一旦速度が0に戻り、その後、正値の方向に加速した後、速度0(初期位置)に戻るというように変化している。
より詳細には、初期位置からの開弁時(図6Bの例示ではクランク角度が90度〜180度の間)には伝達機構4によってバルブ3が押されることで、バルブ速度は、負値の方向(図1の下向き)に加速していく。この際、伝達機構4はスプリング42を圧縮しながらバルブ3を押すため、スプリング42によるバルブ3を押し戻す力によってバルブ速度は減速していき、開弁距離が最大となる位置でバルブ速度は一旦0となる(図6Bの例示ではクランク角度が180度〜270度の間)。開弁距離が最大の位置からは、カ ム2の回転が進むことで伝達機構4がバルブ3を押す力が緩むと共に、圧縮されたスプリング42が元の状態に戻ろうとする力によってバルブ3が押し戻されることで、初期位置に向けて正の方向(図1の上向き)に加速していく。その後、スプリング42が元の状態に戻るに従ってバルブ3を押し戻す力が弱まることで、バルブ速度は減速していき、初期位置でバルブ速度が0となっている(図6Bの例示ではクランク角度が360度〜450度)。
さらに、上記のバルブ速度のクランク角度に対する全体的な推移には振動成分があり、図6Bに例示されるように、波打ちながら(振動しながら)バルブ速度の上記の全体的な推移曲線を辿るように推移している。これは、動弁系1の弾性変形の影響を受けたもので、このようにバルブ速度が振動成分を含むことで、上記のバウンス現象Pなどが生じている。
次のステップS24では、作動パラメータIにおいて入力された暫定カムリフト曲線Cpに対応して駆動されるバルブ3のバルブリフト曲線Vの周波数特性である暫定バルブ周波数特性Vpfを取得する(S24:暫定バルブ周波数特性取得ステップ)。例えば、離散フーリエ変換により、バルブリフト曲線Vからバルブ周波数特性Vfとの変換を行っても良い。より詳細には、例えば、クランク角度と、そのクランク角度に対するバルブリフト量の組(クランク角度、バルブリフト量)を、バルブリフト曲線Vからサンプリングする。仮に、サンプリングピッチ(Δθ)をΔθ=0.5(deg)とすると、N=720個のサンプリング値が得られることになる。ここで、n番目のサンプリング点をnΔθ、n番目の各サンプリング点におけるバルブリフト量をx(nΔθ)と表すと、n番目のサンプリング値は、(nΔθ、x(nΔθ))で表すことができる。そして、これを次式で与えられる離散フーリエ変換の式に代入することで、バルブリフト曲線Vの周波数特性(スペクトル)X(m)に変換することができる。

Figure 2016173083
ここで、mは、カム2の1回転あたりに含まれるsin、cos波の数(0、1、2・・・、N−1)であり、m=(60/RPM)(N/360)fとなる。RPMは、カム2の回転数(回転速度)であり、fは周波数(Hz)となる。なお、iは虚数単位である。
上記の通り、離散フーリエ変換によって、バルブリフト曲線Vからバルブリフト曲線Vの周波数特性(バルブ周波数特性Vf)の変換が可能である。すなわち、離散フーリエ変換により、図7Aに例示されるバルブリフト曲線Vから、図7Bに示されるようなバルブリフト曲線Vの周波数特性が取得されることになる。
このため、幾つかの実施形態では、弾性モデル6を用いた解析により、まずは、暫定バルブリフト曲線Vpを取得し、その後、離散フーリエ変換により暫定バルブ周波数特性Vpfを取得しても良い。なお、他の幾つかの実施形態では、弾性モデル6の解析において、暫定バルブ周波数特性Vpfを取得するようにしても良い。
なお、離散フーリエ変換は、バルブリフト曲線Vとバルブ周波数特性Vfとの変換として説明したが、カムリフト曲線Cとカム周波数特性Cfとそれぞれ読み替えることで、カムリフト曲線Cとカム周波数特性Cfの変換も同様に可能である。
次のステップS25では、後述するように、上記の暫定バルブ周波数特性Vpfに基づいて、特定の周波数成分を含む周波数領域が減衰された周波数特性を有するカムリフト量のカムリフト曲線Cである目標カムリフト曲線Ctを取得する(S25:目標カムリフト曲線取得ステップ)。
最後に、ステップS26において、目標カムリフト曲線Ctに基づいてカム2のカム形状を決定する(S26:カム形状決定ステップ)。
以上で説明したカム2の設計方法(図2)によって設計されたカム2の効果を、図8A〜図8Cを用いて説明する。
図8Aは、本発明の設計方法により設計されたカムによって駆動されるバルブ3(本発明のバルブ3)のバルブ速度の推移を示す図である。図8Aに示されるように、実線で示される本発明のバルブ3では、バルブ速度(mm/s)のクランク角度(カム2の回転角度)に対する推移曲線上には振動成分がない。これに対し、本発明の設計方法以外の設計方法により設計されたカムによって駆動されるバルブ3(参考のバルブ3)については、破線で示されるように、そのバルブ速度のクランク角度に対する推移曲線上に振動成分を有している。このように、本発明のバルブ3では、バルブ速度(mm/s)の上記の推移曲線に現れる動弁系1の弾性変形に起因する振動成分は除去されている。
図8Bは、本発明のバルブ3による弁シート5のシート荷重を示す図である。図8Bに示されるように、本発明のバルブ3の傘部32が弁シート5に着座する際のシート荷重(N)(実線)は、参考のバルブ3のシート荷重(破線)に比べて、大幅に低減されている。
また、図8Cは、図8BのAの部分の拡大図である。図8Cにおいて、バルブ3の弁シート5への着座の目標タイミングは矢印Bで示されている。そして、図8Cに示されるように、本発明のバルブ3の傘部32が弁シート5に着座する着座タイミング(実線)は、参考のバルブ3の着座タイミング(破線)よりも、上記の目標タイミングにより良く一致している。
上記の構成によれば、動弁系1の弾性モデル6には、カム2、バルブ3、伝達機構4といったエンジンの動弁系1を構成する部品の弾性変形がモデル化対象として組み込まれており、この弾性モデル6を用いることによって、カム2に関する作動パラメータI(設定情報)に対応する3バルブの挙動が、動弁系1の弾性変形が考慮された状態で求められる。つまり、動弁系1を構成する部品は厳密には剛体ではなく弾性体であり、動弁系1が現実に有する弾性変形を弾性モデル6に組み込むことで、より現実に近いバルブ3の挙動が弾性モデル6を通して取得される。そして、この弾性モデル6を通して得られたバルブ3の挙動に基づいて、バルブリフト曲線Vの周波数特性(暫定バルブ周波数特性Vpf)が取得される。このようにして取得される暫定バルブ周波数特性Vpfに基づいて、特定の周波数成分を含む周波数領域が減衰されたカムリフト曲線(目標カムリフト曲線Ct)が取得され、カム形状が決定される。このため、動弁系1の弾性変形に起因してバルブ3の挙動に現れる振動成分を除去することができ、振動成分が除去されたバルブ3の挙動を実現することが可能なカム2を設計することができる。
以下では、目標カムリフト曲線取得ステップ(図2のステップS25)の詳細を説明する。
幾つかの実施形態では、図9に示されるように、目標カムリフト曲線取得ステップ(図2のステップS25)は、暫定カムリフト曲線Cpの周波数特性である暫定カム周波数特性Cpfを取得する暫定カム周波数特性取得ステップ(ステップS91)と、暫定カム周波数特性Cpfと暫定バルブ周波数特性Vpfとを対応づける伝達関数Gを取得する伝達関数取得ステップ(ステップS92)と、バルブ3の目標バルブリフト曲線Vtを決定する目標バルブリフト曲線決定ステップ(ステップS93)と、目標バルブリフト曲線Vtの周波数特性である目標バルブ周波数特性Vtfを取得する目標バルブ周波数特性取得ステップ(ステップS94)と、目標バルブ周波数特性Vtfが伝達関数Gで除算された演算値である目標カム周波数特性Ctfを取得する伝達関数除算ステップ(ステップS95)と、目標カム周波数特性Ctfに対応するカムリフト曲線Cを目標カムリフト曲線Ctとして取得する目標カム特性変換ステップ(ステップS96)と、を備える。
暫定カム周波数特性取得ステップ(ステップS91)では、作動パラメータIとして入力された暫定カムリフト曲線Cpを、例えば上記で説明した離散フーリエ変換することによって、暫定カム周波数特性Cpfが取得される。そして、伝達関数取得ステップ(ステップS92)において、暫定カム周波数特性Cpfと、既に求められている暫定バルブ周波数特性Vpf(図2のステップS24)とを対応づける伝達関数Gが取得される。言い換えると、入力となる暫定カム周波数特性Cpfと伝達関数Gに基づいて、出力となる暫定バルブ周波数特性Vpfが得られるような伝達関数Gが取得される(Vpf=G×Cpf)。なお、この伝達関数Gは、弾性モデル6の解析において得られる暫定バルブリフト曲線Vpを周波数分析することで、暫定バルブ周波数特性Vpfを算出して取得しても良い。あるいは、弾性モデル6の解析において入力される暫定カムリフト曲線Cpから、直接暫定バルブ周波数特性Vpfが導出されるように構成することで、取得されるようにしても良い。
そして、このようにして求められる伝達関数Gは、任意のカムリフト曲線Cの周波数特性(カム周波数特性Cf)と、この任意のカムリフト曲線Cを作動パラメータIとした弾性モデル6の解析に基づいて取得されるバルブリフト曲線Vの周波数特性(バルブ周波数特性Vf)とを対応づける、一般化された伝達関数Gでもある(Vf=G×Cf)。
以降のステップS93〜ステップS96は、目標バルブリフト曲線Vtから目標カムリフト曲線Ctを逆算して取得するステップとなる。
すなわち、目標バルブリフト曲線決定ステップ(ステップS93)では、所望のバルブリフト曲線Vである目標バルブリフト曲線Vtが任意に決定される。この目標バルブリフト曲線Vtは、通常、動弁系1の弾性変形の影響による振動成分(図6A〜図6B参照)が除去された曲線となる。つまり、設計者が望むような理想的なバルブ3の挙動を示すバルブリフト曲線Vが目標バルブリフト曲線Vtとなる。また、目標バルブ周波数特性取得ステップ(ステップS94)において、目標バルブリフト曲線Vtを、例えば離散フーリエ変換することによって、目標バルブ周波数特性Vtfが取得される。
そして、次の伝達関数除算ステップ(ステップS95)では、先だって求められている、カム周波数特性Cfとバルブ周波数特性Vfと伝達関数Gとの一般的な関係(Vf=G×Cf)と、目標バルブ周波数特性Vtfとから、目標バルブ周波数特性Vtfに対応するカム周波数特性Cf(目標カム周波数特性Ctf)を取得する。すなわち、上記の一般的な関係(Vf=G×Cf)によると、バルブ周波数特性Vfに対応するカム周波数特性Cfは、バルブ周波数特性Vfを伝達関数Gで除算することで取得することができる(Cf=Cf/G)。このため、目標バルブ周波数特性Vtfに対応するカム周波数特性Cf(目標カム周波数特性Ctf)を取得するために、目標バルブ周波数特性Vtfを伝達関数Gで除算する。この演算によって取得される演算値は、目標バルブ周波数特性Vtfを実現するためカム周波数特性Cf(目標カム周波数特性Ctf)となる。
次の目標カム特性変換ステップ(ステップS96)では、上記のようにして取得される目標カム周波数特性Ctfを、カムリフト曲線C(目標カムリフト曲線Ct)に変換する。具体的には、例えば、次式で示される逆離散フーリエ変換により求めることができる。なお、各記号は、上記の離散フーリエ変換について説明したものと基本的に同じであり、バルブ3に関する記載をカム2に置き換えたものとなる。

Figure 2016173083
このように、逆離散フーリエ変換によって、カムリフト曲線Cの周波数特性(バルブ周波数特性Vf)となるX(m)から、カムリフト曲線Cとなるx(nΔθ)への変換が可能である。このため、目標カム周波数特性Ctfを逆離散フーリエ変換することで、目標カムリフト曲線Ctを取得することができる。
なお、逆離散フーリエ変換は、カム周波数特性Cfとカムリフト曲線Cとの変換として説明したが、バルブ周波数特性Vfとバルブリフト曲線Vとにそれぞれ読み替えることで、バルブ周波数特性Vfとバルブリフト曲線Vとの変換も同様に可能である。
上記の構成によれば、目標カムリフト曲線取得ステップ(図2のステップS25)における目標カムリフト曲線Ctの取得のために、弾性モデル6を通して得られた暫定バルブ周波数特性Vpfと、作動パラメータIとして入力された暫定カムリフト曲線Cpの周波数特性(暫定カム周波数特性Cpf)とを対応づける伝達関数Gが取得される。つまり、この伝達関数Gによって、弾性モデル6を作動パラメータIによって動作させた場合のカムリフト曲線Cの周波数特性Cfとバルブリフト曲線Vの周波数特性Vfとの一般的な入出力関係が求められる。また、動弁系1の弾性変形に起因する振動成分が減衰(除去)された、例えば、滑らかなバルブリフト曲線V(目標バルブリフト曲線Vt)が任意に決定される。その後、この目標バルブリフト曲線Vtの周波数特性(目標バルブ周波数特性Vtf)を上記の伝達関数Gで除算することで、目標バルブ周波数特性Vtfに対応するカムリフト曲線Cの周波数特性(目標カム周波数特性Ctf)が求められ、目標カム周波数特性Ctfがカムリフト曲線Cに変換される。これによって、動弁系1の弾性変形に起因してバルブ3の挙動に現れる振動成分を除去することができ、振動成分が除去されたバルブ3の挙動を実現することが可能なカム2を設計することができる。
また、他の幾つかの実施形態では、図10に示されるように、目標カムリフト曲線取得ステップ(図2のステップS25)は、ノッチフィルタFによって暫定バルブ周波数特性Vpfのうちから特定の周波数成分を含む周波数領域を減衰(除去)させることで、暫定バルブ周波数特性Vpfが修正された修正バルブ周波数特性Vmfを取得する修正バルブ周波数特性取得ステップ(ステップS101)と、修正バルブ周波数特性Vmfに基づいて目標カムリフト曲線Ctを取得する目標カムリフト曲線変換ステップ(ステップS102)と、を備える。
ノッチフィルタFは、特定の周波数周りを減衰させることが可能なフィルタである(図11参照)。そして、中心周波数や減衰させる周波数幅を指定することで、指定された中心周波数を中心に、指定された周波数幅の周波数成分を減数(除去)させることができる。
そして、図10の修正バルブ周波数特性取得ステップ(ステップS101)では、このノッチフィルタFと暫定バルブ周波数特性Vpfを演算(乗算)することで、暫定バルブ周波数特性Vpfのうちから特定の周波数成分を含む周波数領域を減衰させ、演算結果として修正バルブ周波数特性Vmfを取得している。引き続く目標カムリフト曲線変換ステップ(ステップS102)では、修正バルブ周波数特性Vmfに基づいて、目標カムリフト曲線Ctが取得される。
上記の構成によれば、目標カムリフト曲線取得ステップ(図2のステップS25)における目標カムリフト曲線Ctの取得のために、弾性モデル6を通して得られた暫定バルブ周波数特性VpfにノッチフィルタFを適用し、特定の周波数成分を含む周波数領域を減衰して修正バルブ周波数特性Vmfを求めている。そして、この修正バルブ周波数特性Vmfから目標カムリフト曲線Ctが取得される。これによって、動弁系1の弾性変形に起因してバルブ3の挙動に現れる振動成分を除去することができ、振動成分が除去されたバルブ3の挙動を実現することが可能なカム2を設計することができる。
また、他の幾つかの実施形態では、図12に示されるように、目標カムリフト曲線変換ステップ(図10のステップS102)は、修正バルブ周波数特性Vmfに対応するバルブリフト曲線Vとなる修正バルブリフト曲線Vmを取得するバルブ特性変換ステップ(ステップS121)と、修正バルブリフト曲線Vmに基づいて目標カムリフト曲線Ctを取得するリフト曲線変換ステップ(ステップS122)と、からなる。
図12のバルブ特性変換ステップ(ステップS121)では、修正バルブ周波数特性Vmfを例えば逆離散フーリエ変換することによって、修正バルブリフト曲線Vmが取得される。
また、図12のリフト曲線変換ステップ(ステップS122)では、修正バルブリフト曲線Vmと目標カムリフト曲線Ctとを対応づける伝達関数G2を算出しておき、修正バルブリフト曲線Vmをこの伝達関数G2で除算することで、目標カムリフト曲線Ctを取得しても良い。この伝達関数G2は、例えば、ロッカーアームレシオに基づく変換を行う伝達関数G2であって良い。但し、ロッカーアームレシオに基づく変換の際は、ロッカーアーム、カム側からバルブ側の剛性変化、質量変化も考慮する必要がある。すなわち、上述の通り、ロッカーアーム方式では、アームの支点PPとしたてこの原理を利用しており、バルブリフト曲線Vを形成する各バルブリフト量と、カムリフト曲線Cを形成する各カムリフト量とは、てこ比によって変換される。ロッカーアームレシオはこのてこ比であるため、修正バルブリフト曲線Vmとロッカーアームレシオとの演算によって、目標カムリフト曲線Ctが取得される。
上記の構成によれば、簡易な方法により目標カムリフト曲線Ctを取得することができる。
なお、他の幾つかの実施形態では、目標カムリフト曲線変換ステップ(図10のステップS102)は、修正バルブ周波数特性Vmfと目標カム周波数特性Ctfとを対応づける伝達関数G3を用いても良い。そして、修正バルブ周波数特性Vmfと伝達関数G3に基づいて目標カム周波数特性Ctfを導出し、目標カム周波数特性Ctfを逆離散フーリエ変換することにより、目標カムリフト曲線Ctを取得しても良い。
また、他の幾つかの実施形態では、上述の減衰(除去)される特定の周波数成分は、動弁系1の固有振動数成分Zcf(固有振動値)である。すなわち、動弁系1は、その固有振動数成分Zcfで振動を起こしやすい。このため、目標カムリフト曲線Ctは、カムリフト曲線Cの周波数特性から、動弁系1の固有振動数成分Zcfを減衰させられたものとされている。このように、動弁系1の固有振動数成分Zcfが減衰されることで、バルブ3の挙動に現れる振動成分の除去を効果的に行うことが可能なカム2を設計することができる。
また、他の幾つかの実施形態では、カム2の回転速度は、エンジンの定格回転数に基づいて決定される。例えば、エンジンの定格回転数と所定の減速比とから、カム2の回転数が決定される。これによって、発電用の定置エンジンなど、定格回転数で回転するエンジンの動弁系1において所望のバルブ3の挙動を実現することが可能なカム2を設計することができる。
なお、自動車のエンジンなどに用いられるカム2の場合には、エンジの高回転の領域における動弁系1の弾性変形による影響を除去するように、カム2の回転速度は設定されても良い。
以上の通り、上述した実施形態で説明した設計方法によってカムを設計することで、動弁系1の弾性変形に起因してバルブ3の挙動に現れる振動成分を除去することができ、振動成分が除去されたバルブ3の挙動を実現することが可能なカム2を提供することができる。
また、上述した実施形態で説明される設計方法により設計されたカム2は、図13〜図14に示されるような特性を有する。
図13は、本発明の設計方法により設計されたカム2(本発明のカム2)のカムリフト曲線C(つまり、目標カムリフト曲線Ct)と、本発明の設計方法で設計されていないカム2(参考のカム2)のカムリフト曲線C(例えば、暫定カムリフト曲線Cp)を比較して示す図である。図13に示されるように、本発明のカム2と参考のカム2はおおまかには重なっているように見えるが、特に、開弁時や閉弁時の挙動に違いがある。図13の例示では、開弁時においては、同一のクランク角度に対するカムリフト量を本発明のカム2と参考のカム2とで比較すると、例えば、クランク角度が60度付近〜90度付近の間において、本発明のカム2のカムリフト量の方が、参考のカム2のカムリフト量よりも大きくなっている領域がある。他方、閉弁時において上記と同様に、同一のクランク角度で両者を比較した時に、例えば、180度〜240度の間において、本発明のカム2のカムリフト量の方が、参考のカム2のカムリフト量よりもカムリフト量が大きくなっている領域がある。
一方、図14は、本発明のカム2のカムリフト曲線Cの周波数特性Cf(つまり、目標カム周波数特性Ctfに相当)と、参考のカム2のカムリフト曲線Cの周波数特性Cf(例えば、暫定カム周波数特性Cpf)を比較して示す図である。本発明のカム2は、カム2と、バルブ3と、カム2によるカムリフト量に応じてバルブ3を駆動する伝達機構4とを含むエンジンの動弁系1を構成するカム2である。そして、カム2のカム形状に対応するカムリフト曲線を周波数分析することで得られる周波数特性は、図14に示されるように、動弁系1の固有振動数成分Zcfを含む固有振動数領域Zcと、固有振動数領域よりも周波数が低い低周波数領域Zlと、固有振動数領域よりも周波数が高い高周波数領域Zhと、を含んでいる。そして、固有振動数領域Zcにおける周波数に対応する指標値(図14の縦軸値)が、低周波数領域Zlにおける周波数に対応する指標値、および、高周波数領域Zhにおける周波数に対応する指標値よりも小さくなっている。
すなわち、動弁系1は、固有振動数成分Zcfを含む固有振動数領域Zcの周波数によって振動を起こし易い。このため、本発明のカム2によるカムリフト曲線Cの周波数特性を周波数分析により取得すると分かるように、本発明のカム2のカム周波数特性Cfは、固有振動数成分Zcfの付近の周波数が減衰されることで落ち込んでいるという特徴を有している。
図14の例示では、動弁系1の固有振動数成分Zcfは350Hzであり、固有振動数領域は350Hz±100Hzとなっている。つまり、250Hzより小さい周波数領域が低周波数領域Zlとなり、450Hzよりも大きい周波数領域が高周波数領域Zhとなっている。そして、低周波数領域Zlでは、周波数特性の縦軸で示される指標値は、周波数の増加に従って振動しながら全体的には下降して推移している。一方、固有振動数領域Zcでは、上記の指標値は、同様に周波数に対して振動しながらも、固有振動成分となる350Hz付近までは周波数の増加に従って下降し、350Hz付近を境に全体的には周波数に対して上昇する傾向にある。そして、この上昇傾向は、450Hz付近にまで達している。言い換えると、固有振動数領域Zcには、低周波数領域Zlから続く下降傾向が上昇傾向に転じる領域を含んでいる。これによって、固有振動数領域Zcは、低周波数領域Zlと高周波数領域Zhからみて落ち込んでいる。なお、図14の例示では、高周波数領域Zhでは、固有振動数領域Zcにおける周波数に対する上昇傾向が600Hz付近まで続き、その後、上記の指標値が周波数の増加に従って全体的に水平に推移するように変曲している。つまり、図14の例示では、高周波数領域Zhは、変曲点を含む変曲領域と、上記の指標値が、周波数に対して振動しながらも全体的には横軸(周波数)に対して水平の傾向で推移する水平領域が含まれている。
より具体的には、固有振動数領域Zcにおいて上記の通り指標値(縦軸値)が落ち込むことによって、固有振動数領域Zcにおける指標値の平均値は、低周波数領域Zl及び高周波数領域Zhにおける指標値の各々の平均値よりも小さい。あるいは、固有振動数領域Zcにおける指標値の最頻値は、低周波数領域Zl及び高周波数領域Zhにおける指標値の各々の最頻値よりも小さい。
これに対して、図14に示される参考のカム2の周波数特性(例えば、暫定カム周波数特性Cpf)においては、250Hzまでは、本発明のカム2の低周波数領域Zlと同様に周波数に対して指標値が推移するが、250Hz以降においては、下降の度合いを弱めながらも、そのまま全体的には周波数の増加に従って下降するように推移している。すなわち、本発明のカム2は、固有振動数領域Zcにおいて、指標値(周波数特性の縦軸値)が周囲に比べて落ち込んでいるのに対し、参考のカム2のカム周波数特性Cには、本発明のカム2の有する固有振動数領域Zcにおける指標値の落ち込みのような特性を有していない。また、図14の例示では、参考のカム2のカムリフト曲線Cの周波数特性Cfには、本発明のカム2における高周波数領域Zhが有するような水平領域も含まれていない。
上記の構成によれば、本発明のカム2の設計方法により設計されるカム2においては、カム形状に対応するカムリフト曲線Cの周波数特性Cfは、固有振動数領域Zcにおいて周囲の周波数領域に比べて落ち込んでいる。具体的には、固有振動数領域Zcにおける周波数に対応する指標値の平均値や最頻値は、低周波領域Zl及び高周波領域Zhにおける指標値の平均値や最頻値よりも小さくなるように落ち込んでいる。このようなカムリフト曲線Cの周波数特性Cfを有するようなカム形状をカム2が有することによって、動弁系1の弾性変形に起因して現れる振動成分が除去されたバルブ3の挙動を実現することが可能なカムを提供することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
1 動弁系
2 カム
22 突出部
23 突出部の頂部
26 カムシャフト
27 カムプロフィール

3 バルブ
31 軸部
31f 軸部の前端
31r 軸部の後端
32 傘部

4 伝達機構
41 カムフォロア(従動体)
42 スプリング
43 アーム
44 押棒
45 ブリッジ
46 作用板

5 弁シート
6 弾性モデル

O カムの回転中心
PP 支点
I 作動パラメータ
P バウンス現象

C カムリフト曲線
Cf カムリフト曲線の周波数特性
Cp 暫定カムリフト曲線
Cpf 暫定カムリフト曲線の周波数特性
Ct 目標カムリフト曲線
Ctf 目標カムリフト曲線の周波数特性

V バルブリフト曲線
Vf バルブリフト曲線の周波数特性
Vp 暫定バルブリフト曲線
Vpf 暫定バルブリフト曲線の周波数特性
Vt 目標バルブリフト曲線
Vtf 目標バルブリフト曲線の周波数特性
Vm 修正バルブリフト曲線
Vmf 修正バルブリフト曲線の周波数特性

G 伝達関数

F ノッチフィルタ

Zc 固有振動数領域
Zl 低周波数領域
Zh 高周波数領域
Zcf 固有振動数成分

Claims (10)

  1. カムと、バルブと、前記カムによるカムリフト量に応じて前記バルブを駆動する伝達機構とを含むエンジンの動弁系を、前記動弁系の弾性変形を考慮してモデル化することで前記動弁系の弾性モデルを生成するモデル化ステップと、
    前記カムの回転速度と、クランク角度と前記カムリフト量との関係を示すカムリフト曲線の暫定設計値である暫定カムリフト曲線と、を含む前記動弁系の作動パラメータを前記弾性モデルに入力するパラメータ入力ステップと、
    前記弾性モデルおよび前記作動パラメータに基づいて、前記暫定カムリフト曲線に対応して駆動される前記バルブのバルブリフト曲線の周波数特性である暫定バルブ周波数特性を取得する暫定バルブ周波数特性取得ステップと、
    前記暫定バルブ周波数特性に基づいて、特定の周波数成分を含む周波数領域が減衰された周波数特性を有する前記カムリフト量の前記カムリフト曲線である目標カムリフト曲線を取得する目標カムリフト曲線取得ステップと、
    前記目標カムリフト曲線に基づいて前記カムのカム形状を決定するカム形状決定ステップと、を備えることを特徴とするカムの設計方法。
  2. 前記目標カムリフト曲線取得ステップは、
    前記暫定カムリフト曲線の周波数特性である暫定カム周波数特性を取得する暫定カム周波数特性取得ステップと、
    前記暫定カム周波数特性と前記暫定バルブ周波数特性とを対応づける伝達関数を取得する伝達関数取得ステップと、
    前記バルブの目標バルブリフト曲線を決定する目標バルブリフト曲線決定ステップと、
    前記目標バルブリフト曲線の周波数特性である目標バルブ周波数特性を取得する目標バルブ周波数特性取得ステップと、
    前記目標バルブ周波数特性が前記伝達関数で除算された演算値である目標カム周波数特性を取得する伝達関数除算ステップと、
    前記目標カム周波数特性に対応する前記カムリフト曲線を前記目標カムリフト曲線として取得する目標カム特性変換ステップと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のカムの設計方法。
  3. 前記目標カムリフト曲線取得ステップは、
    ノッチフィルタによって前記暫定バルブ周波数特性のうちから前記周波数領域を減衰させることで、前記暫定バルブ周波数特性が修正された修正バルブ周波数特性を取得する修正バルブ周波数特性取得ステップと、
    前記修正バルブ周波数特性に基づいて前記目標カムリフト曲線を取得する目標カムリフト曲線変換ステップと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のカムの設計方法。
  4. 前記目標カムリフト曲線変換ステップは、
    前記修正バルブ周波数特性に対応するバルブリフト曲線となる修正バルブリフト曲線を取得するバルブ特性変換ステップと、
    前記修正バルブリフト曲線に基づいて前記目標カムリフト曲線を取得するリフト曲線変換ステップと、からなることを特徴とする請求項3に記載のカムの設計方法。
  5. 前記特定の周波数成分は、前記動弁系の固有振動数成分であることを特徴とする請求項2または3に記載のカムの設計方法。
  6. 前記カムの回転速度は、前記エンジンの定格回転数に基づいて決定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカムの設計方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のカムの設計方法によって得られたカム形状を有することを特徴とするカム。
  8. カムと、バルブと、前記カムによるカムリフト量に応じて前記バルブを駆動する伝達機構とを含むエンジンの動弁系を構成するカムであって、
    前記カムのカム形状に対応するカムリフト曲線の周波数特性は、
    前記動弁系の固有振動数成分を含む固有振動数領域と、
    前記固有振動数領域よりも周波数が低い低周波数領域と、
    前記固有振動数領域よりも周波数が高い高周波数領域と、を含み、
    前記固有振動数領域における前記周波数に対応する指標値が、前記低周波数領域における前記周波数に対応する指標値、および前記高周波数領域における前記周波数に対応する指標値よりも小さくなるように形成されるカム。
  9. 前記固有振動数領域における前記指標値の平均値は、前記低周波領域及び前記高周波領域における前記指標値の各々の平均値よりも小さいことを特徴とする請求項8に記載のカム。
  10. 前記固有振動数領域における前記指標値の最頻値は、前記低周波領域及び前記高周波領域における前記指標値の各々の最頻値よりも小さいことを特徴とする請求項8に記載のカム。
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