JP2005042597A - 排気弁駆動機構及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多段リフト方式の圧縮圧力開放式補助ブレーキを用いて制動力を向上させると共に、補助ブレーキを使用しない場合で排ガスの浄化が必要な運転状況下では、EGR機能を果たすことで排気ガスの浄化の可能な排気弁駆動機構及びその制御方法の提供。
【解決手段】エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では吸気行程の下死点近傍の領域における排気弁(3)のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ(100)内へ流入する様に構成されていることを特徴としている。
【選択図】図1
【解決手段】エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では吸気行程の下死点近傍の領域における排気弁(3)のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ(100)内へ流入する様に構成されていることを特徴としている。
【選択図】図1
Description
【0001】
本発明は、補助制動(圧縮圧力開放式ブレーキ)とEGRの双方の機能を果たす排気弁駆動機構及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
制動力向上を目的とした圧縮圧力開放式ブレーキにおいて、「多段リフトの圧縮圧開放ブレーキ」は知られている。
圧縮圧力開放式ブレーキは、特に車両総質量が極めて大きな重トレーラを牽引する重トレーラトラクタにおいては大いに効果的な技術である。
【0003】
然るに、そのような車両総質量が極めて大きな重トレーラを牽引する重トレーラトラクタの全自動車における占有率はさほど大きくなく、通常の大型トラック等では係る補助ブレーキを装備するために発生するコスト上昇を考えた場合、それ程の補助ブレーキの向上を現状では必要としていない。
【0004】
ここで、エンジン回転数に応じた補助制動力を得るエンジンブレーキ装置が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
又、第1作動室と第2作動室に作動液が導入された時に、後退した後部ピストンが接続ポートを閉塞するのを防止した2段作動方式のエンジンブレーキ装置の排気弁操作用アクチュエータも知られている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−30415号公報
【特許文献2】
特開平10−30416号公報
【特許文献3】
特開平10−266822号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、爆発・膨張行程で排気バルブを所定量開放して、圧縮された圧力を逃すことによる出力低下によってエンジンブレーキ(補助ブレーキ)をかけると共に、吸気から圧縮に至る工程でも排気バルブを所定量開放することによって、所謂「内部EGR」を行い、以って、NOxの低減を可能ならしめる技術を得るに至った。
本発明の目的は、多段リフト方式の圧縮圧力開放式補助ブレーキを用いて制動力を向上させると共に、補助ブレーキを使用しない場合で排ガスの浄化が必要な運転状況下では、EGR機能を果たすことで排気ガスの浄化の可能な排気弁駆動機構及びその制御方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では吸気行程の下死点近傍の領域における排気弁(3)のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内(100)へ流入する様に構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の2段目において、吸気行程の下死点近傍の領域よりも進角した領域では、一旦リフト量がゼロとなるが、直ちに吸気行程の下死点近傍の領域と同一程度のリフト量となる様に構成されている(請求項2)。
【0010】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の0段目では圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域における排気弁のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内へ流入する様に構成されていることを特徴としている(請求項3)。
【0011】
前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の2段目において、圧縮行程の下死点近傍の領域よりも進角した領域では、一旦リフト量がゼロとなるが、直ちに圧縮行程の下死点近傍の領域と同一程度のリフト量となる様に構成されている(請求項4)。
【0012】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カム(7)は、吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円(7a)よりも突出した形状(7d)となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータの0段目では排気弁(3)のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では排気弁(3)のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ(100)内へ流入する様に設定されていることを特徴としている(請求項5)。
【0013】
前記カム(7)は、吸気行程の下死点近傍の領域では突出している(7d)が、それよりも進角した領域に、ベース円(7a)近傍まで凹んで(7a1)、直ちに吸気行程の下死点近傍の領域と同一程度の突出量となる様な領域(7b)を有している(請求項6)。
【0014】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カム(7)は、圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円(7a)よりも突出した形状(7d)となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータ(10)の0段目では排気弁のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では排気弁(3)のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ(100)内へ流入する様に設定されていることを特徴としている(請求項7)。
【0015】
前記カム(7)は、圧縮行程の下死点近傍の領域では突出している(7d)が、それよりも進角した領域に、ベース円(7a)近傍まで凹んで(7a1)、直ちに圧縮行程の下死点近傍の領域と同一程度の突出量となる様な領域(7b)を有している(請求項8)。
【0016】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カム(7)は、吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円(7a)よりも突出した形状(7d)となっており、当該領域(7d)の突出量は、前記アクチュエータ(10)の0段目では排気弁(3)のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では排気弁(3)のリフト量が正の値となる様に設定されており、以って、前記排気弁(3)が、前記アクチュエータ(10)の0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域における排気弁(3)のリフト量が正の値となり、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内(100)へ流入する様に構成されていることを特徴としている(請求項9)。
【0017】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カム(7)は、吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円(7a)よりも突出した形状(7d)となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータ(10)の0段目では排気弁(3)のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では排気弁(3)のリフト量が正の値となる様に設定されており、以って、前記排気弁(3)が、前記アクチュエータ(10)の0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域における排気弁(3)のリフト量が正の値となり、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ(100)内へ流入する様に構成されていることを特徴としている(請求項10)。
【0018】
また、本発明の排気弁駆動機構の制御方法は、エンジン(1)の回転数を計測する回転数計測手段(30)と、エンジンの負荷を検出する負荷検出手段(40)と、制御手段(20)とを有しており、前記制御手段(20)は、エンジン(1)の回転数及び負荷が所定の範囲内となった場合には、排気系から排気ガスをエンジンシリンダ(100)内へ流入せしめるために前記アクチュエータ(10)を1段目に移動する制御を行い、運転席側から圧縮圧開放式ブレーキを作動する旨の信号が出力された場合には、前記アクチュエータ(10)を2段目に移動する制御を行う様に構成されている(請求項11)。
【0019】
前記制御方法において、回転数計測手段(30)によりエンジンの回転数を計測する工程(S1)と、負荷検出手段(40)によりエンジンの負荷を検出する工程(S1)と、運転席側から圧縮圧開放式ブレーキを作動する旨の信号が出力されたか否かを判定する工程(S2)と、運転席側から圧縮圧開放式ブレーキを作動する旨の信号が出力された場合に前記アクチュエータ(10)を2段目に移動する工程(S4)と、エンジンの回転数及び負荷が排気系から排気ガスをエンジンシリンダ(100)内へ流入させるべき範囲となったか否かを判定する工程(S3)と、エンジンの回転数及び負荷が排気系から排気ガスをエンジンシリンダ内へ流入させるべき範囲となった場合に前記アクチュエータ(10)を1段目に移動する工程(S5)、とを有することを特徴としている(請求項12)。
【0020】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0021】
先ず、図1〜図7、及び図11を参照して第1実施形態を説明する。
図1は通常運転時を示したブロック図である。図1において、エンジン1のシリンダ100の吸気ポート2を開閉する排気弁3は、図示しないバルブスプリングで垂直上方へ付勢されている。
【0022】
前記排気弁3の弁軸端3aはロッカアーム4の弁側アーム部先端4aに当接している。そのロッカアーム4のプッシュロッド側の先端球状部4cはプッシュロッド5の皿部5cに係合している。プッシュロッド5の下端5bはカムフォロア6を介して弁駆動用のカム7に当接している。
【0023】
そして、カム7が回転し、プッシュロッド5がカムプロフィルの軌跡に応じて上方に突き上げられ、プッシュロッド5と当接するロッカアーム4はロッカアームシャフト8の軸中心(O点)周りに揺動する。ロッカアーム4の揺動によってロッカアーム4に軸端3aが当接した排気弁3は図示しないバルブスプリングの付勢をも借りて開閉運動を行う。
【0024】
一方ロッカアーム4を回動支持するロッカアームシャフト8の端部にはレバー部材9が固着されており、そのレバー部材9の先端9aの下面には2段式アクチュエータ(以降、2段式アクチュエータを単にアクチュエータと言う)10の後述する上方ピストンのロッド部13bの先端が当接している。
したがって、アクチュエータ10の作動状況に応じて、排気弁系はアクチュエータ10の不作動を含め、カム7の回転に関わらず、全体が上下方向3段階に高さを変化させるように構成されている。
【0025】
アクチュエータ10は、シリンダ部11とそのシリンダ部11内を摺動し、分離はしているが上下に重なるように内装される下方ピストン12及び上方ピストン13とで構成されている。
下方ピストン12は、ピストン部12aと、そのピストン部12aよりも外径が細いロッド部12bとで構成され、上方ピストン13は、ピストン部13aと、そのピストン部13aよりも外径が細いロッド部13bとで構成されている。
【0026】
シリンダ部11は内周部に下方ピストン12及び上方ピストン13が重なった状態で、シリンダ部11内を上方ピストン13が上昇して、未だ上昇出来る余地を残した位置で、下方ピストン12のピストン部12aの上端を系止させるストッパリング(例えばE型止め輪)14が取付けられている。
【0027】
又、シリンダ部11の下面にはシリンダ内に油圧を供給するための供給孔11aが設けられ、シリンダ壁(シリンダ側部)11bで底部に相当する位置に下方連通孔11cと、下方ピストン12及び上方ピストン13が重なった状態で且つ下方ピストン12がシリンダ底部に接触した状態で下方ピストン12のロッド部12bとシリンダ壁11bと上方ピストン13の下面とで形成される空間である中間室Sに連通する連通孔11dが形成されている。
【0028】
前記供給口11aには、油圧ポンプPで昇圧された油圧が第1の開閉弁V1を介して与えられる。又、前記シリンダ壁11bに形成された二つの連通孔11c、11dは第2の開閉弁V2を介装した連通管Tによって接続されている。
【0029】
アクチュエータ10の下方ピストン12及び上方ピストン13の作動はコントロールユニット20によって制御される。コントロールユニット20は演算部21とデータベース22と制御信号発信部23とで構成されている。
【0030】
前記演算部21はエンジン回転センサ30及びエンジン負荷センサ40と信号ラインLiを介して接続され、前記制御信号発信部23は制御信号ラインLoを介して前記第1及び第2の開閉弁V1、V2と接続されている。
【0031】
コントロールユニット20の演算部21は、エンジン回転センサ30と負荷センサ40との情報及びデータベース22からの情報に基づいて、「通常運転;0段目の制御」即ち、アクチュエータ10を不作動のままとするか、「EGR運転;1段目の制御」とするか、或いは「圧縮圧解放型の補助ブレーキ作動運転;2段目の制御」とするかを判断し、制御信号発信部23に第1及び第2の開閉弁V1、V2へ制御信号を発信させるように構成されている。
【0032】
次に図4及び図5を参照して第1実施形態のカム形状(カムプロファイル;図4)と排気弁3のバルブリフト(図5)との関係を説明する。
【0033】
図4において、カム7は反時計針回り(R矢印方法)に回転するものとする。カムプロファイルは、ベース円7a(ベース円は1回転中2箇所に存在;7a1、7a2)と、ベース円7aと同心でベース円7aよりも径の大きな円弧部7bと、本来の排気のための頂部7cと、EGR機能を果たすための突起部7dとから成る。
尚、円弧部7bのかむ中心からの高さは、突起部7dと同一か、或いはそれよりもやや低いことが好ましい。
【0034】
図5は、縦軸にバルブリフトを、横軸にクランク回転角度をとったバルブリフト線図である。横軸左端から順に上死点(TDC)、下死点(BDC)を境界として、吸気工程、圧縮工程、爆発・膨張行程、排気工程が区画されている。
【0035】
図5のバルブリフト線70の各所に付された符号は図4に付されたカムプロファイル上の符号と一致している。尚、図5中、破線は開閉基準線を示し、破線の下方の領域では排気弁3は閉じられており、破線の上方の領域では排気弁3がリフト量に応じて開かれる。
【0036】
詳細には、吸気工程はベース円7a(7a1)で始まり、吸気工程の区間で下死点(BDC)直前にカムプロファイルの突起部7dが位置し、圧縮工程の大部分はベース円7aで占められ、圧縮工程終了の上死点(TDC)直前から爆発・膨張工程全域においては前記突起部7dと同程度のリフト量を持つ円弧部7bとなり、排気工程において頂部7cによってバルブは開放され、閉じられて、再び吸気工程では一旦円弧部7bを経てベース円7a(7a2)に戻る。
【0037】
図1を再び参照しつつ、図5では前記アクチュエータ10は0段目の状態で不作動で第1及び第2の開閉弁V1、V2は共にドレン側(閉)となっており、油圧はアクチュエータ10に作用していない。したがって、排気弁3の動弁系全体はアクチュエータ10によって持ち上げられておらず、排気弁3は排気工程でのみで開かれる。即ち図5は通常運転モードにおけるバルブリフトを示している。
【0038】
図6のバルブリフト線図及び図2の状態は、アクチュエータ10が1段目の作動、即ち、吸気工程後期において排気弁3を所定量開弁することにより、図示しないシリンダ内部でEGRを行う場合(EGRモード)を示している。
【0039】
図6のバルブリフト線図におけるリフト線の形状は、図5のバルブリフト線70と同一であるが、リフト量、即ち現実の排気弁の開閉の様態は図5とは異なる。即ち、図5のバルブリフト線70をそのままの形状を保ったまま上方(バルブリフト量を増加させる方向)に移動したものが図6である。
【0040】
1段目におけるアクチュエータ10の作動を、図2を参照しつつ以下に詳述する。
前記第1の開閉弁V1は、コントロールユニット20からの制御信号を受け、油圧ポンプPからの油圧をアクチュエータ10の供給孔11aからシリンダ部11内に流入させる(開閉弁V1は開放)。
その時、第2の開閉弁V2は下方連通孔11cと上方連通孔11dとを連通させない、即ち中間室Sはドレン状態(開閉弁V2は閉塞)となっており、一方、アクチュエータ10のシリンダ部11の底部側に供給された油圧は下方ピストン12がストッパリング14に当接まで上昇するが、それ以上は油圧が第2の開閉弁V2でブロックされている。
【0041】
したがって、上方ピストン13のロッド13bは下方ピストンの上昇分(H1;図1の該当位置からの高さの差)だけ上昇して前記レバー部材の先端9aを押し上げる。すると排気弁3も同じ方向に平行に同量だけ持ち上げられる。この時のバルブリフト線図が図6で示されている。
【0042】
アクチュエータ10がそのように作動することで図6の吸気区間では排気弁3が所定区間で所定量だけ開弁し、吸気区間にも関わらず排気がエンジンシリンダ内に流入することが可能となって所謂「内部EGR」が行われ、シリンダ内の温度が下げられ、その結果排気ガス中のNOxの量が削減される。
【0043】
図7のバルブリフト線図及び図3の状態は、アクチュエータ10が2段目の作動、即ち、吸気工程後期において排気弁3を所定量開弁すると共に、爆発・膨張行程においても排気弁3を所定量開弁し、吸気工程後期においてシリンダ内部でEGRを行うと共に、爆発・膨張行程においては圧縮圧力を開放することにより、補助制動力を付与(補助ブレーキ作動モード)している。
【0044】
図7のバルブリフト線図におけるバルブリフト線70の形状は、図5及び図6のバルブリフト線と同一であるが、リフト量、即ち現実の排気弁の開閉の様態は図5及び図6とは異なる。
即ち、図6のバルブリフト線図をそのままの形状を保ったまま、更に上方(バルブリフト量を増加させる方向)に移動したものが図7である。
【0045】
2段目におけるアクチュエータ10の作動を、図3を参照しつつ以下に詳述する。
第1の開閉弁V1は、コントロールユニット20からの制御信号を受け、油圧ポンプPからの油圧をアクチュエータ10の供給孔11aからシリンダ部11内に流入させる(開閉弁V1は開放)。
又、第2の開閉弁V2もコントロールユニット20からの制御信号を受け、連通管Tを連通させるように作動(開放)し、下方連通孔11cと上方連通孔11dとを連通る。
【0046】
したがって、アクチュエータ10のシリンダ部11の底部側に供給された油圧は下方ピストン12がストッパリング14に当接まで上昇した後に、連通管Tを経由して、中間室Sに流入し、上方ピストン13をシリンダ部11の天井に当接するまで押し上げる。
【0047】
上方ピストン13のロッド13b先端は最高点(H2;図1の該当位置からの高さの差)まで上昇して前記レバー部材の先端9aを図2よりも更に上方に押し上げる。すると排気弁3も同じ方向に平行に同量だけ持ち上げられる。この時のバルブリフト線図が図7で示されている。
【0048】
アクチュエータ10がそのように作動することで図7の吸気区間では排気弁3が所定区間で所定量(図7の斜線を施した部分)だけ開弁し、吸気区間にも関わらず排気がエンジンシリンダ内に流入することが可能となって所謂「内部EGR」が行われ、シリンダ内の温度が下げられ、その結果排気ガス中のNOxの量が削減される。
【0049】
更に、爆発・膨張行程の略全域でも図7の斜線で示すように排気弁3が所定量だけ開弁し、圧縮圧力の一部が開放されることにより、出力が急に減ずる方向に働く。即ち、圧縮圧力開放による補助ブレーキが作動することとなる。
【0050】
次に図11を用いて、図1〜図7をも参照して、第1実施形態における排気弁駆動機構の制御方法を説明する。
【0051】
先ず、コントロールユニット20はエンジン回転センサ30からの入力信号によりエンジン回転数を、シリンダ100頂部に設けたエンジン負荷センサからの入力信号によりエンジン負荷を読込む(ステップS1)。
【0052】
次にコントロールユニット20は、ドライバ側から補助ブレーキを操作したか否かを判断する(ステップS2)。ドライバ側から補助ブレーキを操作していなければ(ステップS2のNO)、ステップS3に進み、操作していれば(ステップS2のYES)、補助ブレーキを作動させて(ステップS4)、即ち、第1及び第2の開閉弁V1、V2を開放するべく制御信号を発信して、ステップS7まで進む。
【0053】
ステップS3では、コントロールユニット20は前記読込んだエンジン回転情報、エンジン負荷情報に基づいて、エンジン回転数及びエンジン負荷がEGR領域であるか否かを判断する。
【0054】
エンジン回転数及びエンジン負荷がEGR領域であれば(ステップS3のYES)、EGRモードであると判断して第1の開閉弁V1を開放し、第2の開閉弁V2を閉じた(ステップS5)後、ステップS7に進む。
一方、エンジン回転数及びエンジン負荷がEGR領域でなければ(ステップS3のNO)、通常モードであると判断して、第1及び第2の開閉弁V1、V2を閉じた後、ステップS7に進む。
【0055】
ステップS7では、コントロールユニット20は、車両を停止させるか否かを判断して、停止させるのであれば(ステップS7のYES)、そのまま制御も終了させる。
一方、停止させないのであれば(ステップS7のNO)、再びステップS1に戻りステップS1以降を繰り返す。
【0056】
尚、個々のモードにおけるアクチュエータ10の作動状態は前述の通りである。
【0057】
上述したような第1実施形態の排気弁駆動機構及びその制御方法によれば、2段作動式アクチュエータ10をコントロールユニット20で制御することで、アクチュエータ10作動の第1段目(EGRモード)には、吸気工程の終わりか、圧縮工程の初期において排気弁3を開くように構成されており、排気がシリンダ100内に逆流し内部EGRが行われるために、シリンダ100内の燃焼ガスが適度に冷やされて、排気ガス中に含まれるNOxの排出量を抑制出来る。
【0058】
又、アクチュエータ10作動の第2段目(補助ブレーキ作動モード)には、爆発・膨張行程において排気弁3を開き、シリンダ100内に排気ガスを流入させることにより、エンジン出力を抑制してエンジンブレーキを作動させることが出来る。
【0059】
又、アクチュエータ10を不作動とすることで、通常モードで運転が可能である。
【0060】
又、EGR及び圧縮圧力開放型エンジンブレーキ(補助ブレーキ)作動は、構造が簡単な2段式アクチュエータ1個によって行うことが出来、コストの上昇を最低限に留めることが出来る。
即ち、安価な当該アクチュエータ1個によって、「通常運転モード」、「EGRモード」、「圧縮圧力開放型エンジンブレーキモード」の3つのモードを実現することが出来る。
【0061】
次に図4及び図8〜図10を参照して、第2実施形態を説明する。
図8〜図10、及び図4の第2実施形態は図1〜図7の第1実施形態に対して、装置の構成の一つであるカム7のプロファイルのみが異なるものであり、その他の構成及び制御方法は実質的に同様である。
【0062】
即ち、図4におけるθの値が第1実施形態のそれよりも大きく開いた実施形態が第2実施形態である。
したがって、バルブリフト特性は、第1実施形態の吸気区間にあった突起部7d(EGR作動;図5〜図7を参照)を、図8〜図10に示すように、圧縮工程区間の下死点(BDC)直後に移動したものである。
【0063】
第2実施形態によれば、EGR作動のタイミングを吸気工程区間から圧縮工程側に移行することにより、吸気量が減縮されず、出力の低下が抑制される。
【0064】
【発明の効果】
本発明の排気弁駆動機構及びその制御方法によれば、2段作動式アクチュエータ(10)をコントロールユニット(20)で制御することで、アクチュエータ(10)作動の第1段目には、吸気工程の終わりか、圧縮工程の初期において排気弁を開くように構成されており、排気がシリンダ(100)内に逆流し内部EGRが行われるために、シリンダ(100)内の燃焼ガスが適度に冷やされて、排気ガス中に含まれるNOxの排出量を抑制出来る。
更に、EGR作動のタイミングを吸気工程区間から圧縮工程側に移行することにより、吸気量が減縮されず、出力の低下が抑制される。
【0065】
又、アクチュエータ(10)作動の第2段目には、爆発・膨張行程において排気弁を開き、シリンダ(100)内に排気ガスを流入させることにより、エンジン出力を抑制してエンジンブレーキ(補助ブレーキ)を作動させることが出来る。
【0066】
又、アクチュエータ(10)を不作動とすることで、通常モードで運転が可能である。
【0067】
EGR及び圧縮圧力開放型エンジンブレーキ(補助ブレーキ)作動は、構造が簡単な2段式アクチュエータ1個によって行うことが出来、コストの上昇を最低限に留めることが出来る。
即ち、安価な当該アクチュエータ1個によって、「通常運転モード」、「EGRモード」、「圧縮圧力開放型エンジンブレーキモード」の3つのモードを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における構成及び0段目(通常モード)の作動状態を示したブロック図。
【図2】本発明の実施形態における構成及び1段目(EGRモード)の作動状態を示したブロック図。
【図3】本発明の実施形態における構成及び2段目(EGRモード+圧縮圧力開放型補助制動モード)の作動状態を示したブロック図。
【図4】本発明の実施形態におけるカムプロファイルを示した図。
【図5】本発明の第1実施形態における0段目(通常モード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図6】本発明の第1実施形態における1段目(EGRモード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図7】本発明の第1実施形態における2段目(EGRモード+補助ブレーキ作動モード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図8】本発明の第2実施形態における0段目(通常モード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図9】本発明の第2実施形態における1段目(EGRモード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図10】本発明の第2実施形態における2段目(EGRモード+補助ブレーキ作動モード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図11】第1実施形態及び第2実施形態における排気弁動弁機構の制御方法を説明したフローチャート。
【符号の説明】
1・・・エンジン
2・・・排気ポート
3・・・排気弁
4・・・ロッカアーム
5・・・プッシュロッド
6・・・カムフォロワ
7・・・カム
7a・・・ベース円
7b・・・突出部
7c・・・頂部
8・・・ロッカアームシャフト
9・・・レバー部材
10・・・アクチュエータ
11・・・シリンダ部
12・・・下方ピストン
13・・・上方ピストン
20・・・コントロールユニット
30・・・回転センサ
40・・・エンジン負荷センサ
100・・・シリンダ
本発明は、補助制動(圧縮圧力開放式ブレーキ)とEGRの双方の機能を果たす排気弁駆動機構及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
制動力向上を目的とした圧縮圧力開放式ブレーキにおいて、「多段リフトの圧縮圧開放ブレーキ」は知られている。
圧縮圧力開放式ブレーキは、特に車両総質量が極めて大きな重トレーラを牽引する重トレーラトラクタにおいては大いに効果的な技術である。
【0003】
然るに、そのような車両総質量が極めて大きな重トレーラを牽引する重トレーラトラクタの全自動車における占有率はさほど大きくなく、通常の大型トラック等では係る補助ブレーキを装備するために発生するコスト上昇を考えた場合、それ程の補助ブレーキの向上を現状では必要としていない。
【0004】
ここで、エンジン回転数に応じた補助制動力を得るエンジンブレーキ装置が知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
又、第1作動室と第2作動室に作動液が導入された時に、後退した後部ピストンが接続ポートを閉塞するのを防止した2段作動方式のエンジンブレーキ装置の排気弁操作用アクチュエータも知られている(特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−30415号公報
【特許文献2】
特開平10−30416号公報
【特許文献3】
特開平10−266822号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、爆発・膨張行程で排気バルブを所定量開放して、圧縮された圧力を逃すことによる出力低下によってエンジンブレーキ(補助ブレーキ)をかけると共に、吸気から圧縮に至る工程でも排気バルブを所定量開放することによって、所謂「内部EGR」を行い、以って、NOxの低減を可能ならしめる技術を得るに至った。
本発明の目的は、多段リフト方式の圧縮圧力開放式補助ブレーキを用いて制動力を向上させると共に、補助ブレーキを使用しない場合で排ガスの浄化が必要な運転状況下では、EGR機能を果たすことで排気ガスの浄化の可能な排気弁駆動機構及びその制御方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では吸気行程の下死点近傍の領域における排気弁(3)のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内(100)へ流入する様に構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の2段目において、吸気行程の下死点近傍の領域よりも進角した領域では、一旦リフト量がゼロとなるが、直ちに吸気行程の下死点近傍の領域と同一程度のリフト量となる様に構成されている(請求項2)。
【0010】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の0段目では圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域における排気弁のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内へ流入する様に構成されていることを特徴としている(請求項3)。
【0011】
前記排気弁(3)は、前記アクチュエータ(10)の2段目において、圧縮行程の下死点近傍の領域よりも進角した領域では、一旦リフト量がゼロとなるが、直ちに圧縮行程の下死点近傍の領域と同一程度のリフト量となる様に構成されている(請求項4)。
【0012】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カム(7)は、吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円(7a)よりも突出した形状(7d)となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータの0段目では排気弁(3)のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では排気弁(3)のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ(100)内へ流入する様に設定されていることを特徴としている(請求項5)。
【0013】
前記カム(7)は、吸気行程の下死点近傍の領域では突出している(7d)が、それよりも進角した領域に、ベース円(7a)近傍まで凹んで(7a1)、直ちに吸気行程の下死点近傍の領域と同一程度の突出量となる様な領域(7b)を有している(請求項6)。
【0014】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カム(7)は、圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円(7a)よりも突出した形状(7d)となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータ(10)の0段目では排気弁のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では排気弁(3)のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ(100)内へ流入する様に設定されていることを特徴としている(請求項7)。
【0015】
前記カム(7)は、圧縮行程の下死点近傍の領域では突出している(7d)が、それよりも進角した領域に、ベース円(7a)近傍まで凹んで(7a1)、直ちに圧縮行程の下死点近傍の領域と同一程度の突出量となる様な領域(7b)を有している(請求項8)。
【0016】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カム(7)は、吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円(7a)よりも突出した形状(7d)となっており、当該領域(7d)の突出量は、前記アクチュエータ(10)の0段目では排気弁(3)のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では排気弁(3)のリフト量が正の値となる様に設定されており、以って、前記排気弁(3)が、前記アクチュエータ(10)の0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域における排気弁(3)のリフト量が正の値となり、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内(100)へ流入する様に構成されていることを特徴としている(請求項9)。
【0017】
また、本発明の排気弁駆動機構は、エンジン(1)の排気弁(3)を開閉するためのプッシュロッド(5)及びカム(7)と、排気弁(3)のリフト量を可変にするアクチュエータ(10)とを有しており、前記アクチュエータ(10)は排気弁(3)のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カム(7)は、吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円(7a)よりも突出した形状(7d)となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータ(10)の0段目では排気弁(3)のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では排気弁(3)のリフト量が正の値となる様に設定されており、以って、前記排気弁(3)が、前記アクチュエータ(10)の0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータ(10)の1段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域における排気弁(3)のリフト量が正の値となり、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ(100)内へ流入する様に構成されていることを特徴としている(請求項10)。
【0018】
また、本発明の排気弁駆動機構の制御方法は、エンジン(1)の回転数を計測する回転数計測手段(30)と、エンジンの負荷を検出する負荷検出手段(40)と、制御手段(20)とを有しており、前記制御手段(20)は、エンジン(1)の回転数及び負荷が所定の範囲内となった場合には、排気系から排気ガスをエンジンシリンダ(100)内へ流入せしめるために前記アクチュエータ(10)を1段目に移動する制御を行い、運転席側から圧縮圧開放式ブレーキを作動する旨の信号が出力された場合には、前記アクチュエータ(10)を2段目に移動する制御を行う様に構成されている(請求項11)。
【0019】
前記制御方法において、回転数計測手段(30)によりエンジンの回転数を計測する工程(S1)と、負荷検出手段(40)によりエンジンの負荷を検出する工程(S1)と、運転席側から圧縮圧開放式ブレーキを作動する旨の信号が出力されたか否かを判定する工程(S2)と、運転席側から圧縮圧開放式ブレーキを作動する旨の信号が出力された場合に前記アクチュエータ(10)を2段目に移動する工程(S4)と、エンジンの回転数及び負荷が排気系から排気ガスをエンジンシリンダ(100)内へ流入させるべき範囲となったか否かを判定する工程(S3)と、エンジンの回転数及び負荷が排気系から排気ガスをエンジンシリンダ内へ流入させるべき範囲となった場合に前記アクチュエータ(10)を1段目に移動する工程(S5)、とを有することを特徴としている(請求項12)。
【0020】
【発明の実施の形態】
添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0021】
先ず、図1〜図7、及び図11を参照して第1実施形態を説明する。
図1は通常運転時を示したブロック図である。図1において、エンジン1のシリンダ100の吸気ポート2を開閉する排気弁3は、図示しないバルブスプリングで垂直上方へ付勢されている。
【0022】
前記排気弁3の弁軸端3aはロッカアーム4の弁側アーム部先端4aに当接している。そのロッカアーム4のプッシュロッド側の先端球状部4cはプッシュロッド5の皿部5cに係合している。プッシュロッド5の下端5bはカムフォロア6を介して弁駆動用のカム7に当接している。
【0023】
そして、カム7が回転し、プッシュロッド5がカムプロフィルの軌跡に応じて上方に突き上げられ、プッシュロッド5と当接するロッカアーム4はロッカアームシャフト8の軸中心(O点)周りに揺動する。ロッカアーム4の揺動によってロッカアーム4に軸端3aが当接した排気弁3は図示しないバルブスプリングの付勢をも借りて開閉運動を行う。
【0024】
一方ロッカアーム4を回動支持するロッカアームシャフト8の端部にはレバー部材9が固着されており、そのレバー部材9の先端9aの下面には2段式アクチュエータ(以降、2段式アクチュエータを単にアクチュエータと言う)10の後述する上方ピストンのロッド部13bの先端が当接している。
したがって、アクチュエータ10の作動状況に応じて、排気弁系はアクチュエータ10の不作動を含め、カム7の回転に関わらず、全体が上下方向3段階に高さを変化させるように構成されている。
【0025】
アクチュエータ10は、シリンダ部11とそのシリンダ部11内を摺動し、分離はしているが上下に重なるように内装される下方ピストン12及び上方ピストン13とで構成されている。
下方ピストン12は、ピストン部12aと、そのピストン部12aよりも外径が細いロッド部12bとで構成され、上方ピストン13は、ピストン部13aと、そのピストン部13aよりも外径が細いロッド部13bとで構成されている。
【0026】
シリンダ部11は内周部に下方ピストン12及び上方ピストン13が重なった状態で、シリンダ部11内を上方ピストン13が上昇して、未だ上昇出来る余地を残した位置で、下方ピストン12のピストン部12aの上端を系止させるストッパリング(例えばE型止め輪)14が取付けられている。
【0027】
又、シリンダ部11の下面にはシリンダ内に油圧を供給するための供給孔11aが設けられ、シリンダ壁(シリンダ側部)11bで底部に相当する位置に下方連通孔11cと、下方ピストン12及び上方ピストン13が重なった状態で且つ下方ピストン12がシリンダ底部に接触した状態で下方ピストン12のロッド部12bとシリンダ壁11bと上方ピストン13の下面とで形成される空間である中間室Sに連通する連通孔11dが形成されている。
【0028】
前記供給口11aには、油圧ポンプPで昇圧された油圧が第1の開閉弁V1を介して与えられる。又、前記シリンダ壁11bに形成された二つの連通孔11c、11dは第2の開閉弁V2を介装した連通管Tによって接続されている。
【0029】
アクチュエータ10の下方ピストン12及び上方ピストン13の作動はコントロールユニット20によって制御される。コントロールユニット20は演算部21とデータベース22と制御信号発信部23とで構成されている。
【0030】
前記演算部21はエンジン回転センサ30及びエンジン負荷センサ40と信号ラインLiを介して接続され、前記制御信号発信部23は制御信号ラインLoを介して前記第1及び第2の開閉弁V1、V2と接続されている。
【0031】
コントロールユニット20の演算部21は、エンジン回転センサ30と負荷センサ40との情報及びデータベース22からの情報に基づいて、「通常運転;0段目の制御」即ち、アクチュエータ10を不作動のままとするか、「EGR運転;1段目の制御」とするか、或いは「圧縮圧解放型の補助ブレーキ作動運転;2段目の制御」とするかを判断し、制御信号発信部23に第1及び第2の開閉弁V1、V2へ制御信号を発信させるように構成されている。
【0032】
次に図4及び図5を参照して第1実施形態のカム形状(カムプロファイル;図4)と排気弁3のバルブリフト(図5)との関係を説明する。
【0033】
図4において、カム7は反時計針回り(R矢印方法)に回転するものとする。カムプロファイルは、ベース円7a(ベース円は1回転中2箇所に存在;7a1、7a2)と、ベース円7aと同心でベース円7aよりも径の大きな円弧部7bと、本来の排気のための頂部7cと、EGR機能を果たすための突起部7dとから成る。
尚、円弧部7bのかむ中心からの高さは、突起部7dと同一か、或いはそれよりもやや低いことが好ましい。
【0034】
図5は、縦軸にバルブリフトを、横軸にクランク回転角度をとったバルブリフト線図である。横軸左端から順に上死点(TDC)、下死点(BDC)を境界として、吸気工程、圧縮工程、爆発・膨張行程、排気工程が区画されている。
【0035】
図5のバルブリフト線70の各所に付された符号は図4に付されたカムプロファイル上の符号と一致している。尚、図5中、破線は開閉基準線を示し、破線の下方の領域では排気弁3は閉じられており、破線の上方の領域では排気弁3がリフト量に応じて開かれる。
【0036】
詳細には、吸気工程はベース円7a(7a1)で始まり、吸気工程の区間で下死点(BDC)直前にカムプロファイルの突起部7dが位置し、圧縮工程の大部分はベース円7aで占められ、圧縮工程終了の上死点(TDC)直前から爆発・膨張工程全域においては前記突起部7dと同程度のリフト量を持つ円弧部7bとなり、排気工程において頂部7cによってバルブは開放され、閉じられて、再び吸気工程では一旦円弧部7bを経てベース円7a(7a2)に戻る。
【0037】
図1を再び参照しつつ、図5では前記アクチュエータ10は0段目の状態で不作動で第1及び第2の開閉弁V1、V2は共にドレン側(閉)となっており、油圧はアクチュエータ10に作用していない。したがって、排気弁3の動弁系全体はアクチュエータ10によって持ち上げられておらず、排気弁3は排気工程でのみで開かれる。即ち図5は通常運転モードにおけるバルブリフトを示している。
【0038】
図6のバルブリフト線図及び図2の状態は、アクチュエータ10が1段目の作動、即ち、吸気工程後期において排気弁3を所定量開弁することにより、図示しないシリンダ内部でEGRを行う場合(EGRモード)を示している。
【0039】
図6のバルブリフト線図におけるリフト線の形状は、図5のバルブリフト線70と同一であるが、リフト量、即ち現実の排気弁の開閉の様態は図5とは異なる。即ち、図5のバルブリフト線70をそのままの形状を保ったまま上方(バルブリフト量を増加させる方向)に移動したものが図6である。
【0040】
1段目におけるアクチュエータ10の作動を、図2を参照しつつ以下に詳述する。
前記第1の開閉弁V1は、コントロールユニット20からの制御信号を受け、油圧ポンプPからの油圧をアクチュエータ10の供給孔11aからシリンダ部11内に流入させる(開閉弁V1は開放)。
その時、第2の開閉弁V2は下方連通孔11cと上方連通孔11dとを連通させない、即ち中間室Sはドレン状態(開閉弁V2は閉塞)となっており、一方、アクチュエータ10のシリンダ部11の底部側に供給された油圧は下方ピストン12がストッパリング14に当接まで上昇するが、それ以上は油圧が第2の開閉弁V2でブロックされている。
【0041】
したがって、上方ピストン13のロッド13bは下方ピストンの上昇分(H1;図1の該当位置からの高さの差)だけ上昇して前記レバー部材の先端9aを押し上げる。すると排気弁3も同じ方向に平行に同量だけ持ち上げられる。この時のバルブリフト線図が図6で示されている。
【0042】
アクチュエータ10がそのように作動することで図6の吸気区間では排気弁3が所定区間で所定量だけ開弁し、吸気区間にも関わらず排気がエンジンシリンダ内に流入することが可能となって所謂「内部EGR」が行われ、シリンダ内の温度が下げられ、その結果排気ガス中のNOxの量が削減される。
【0043】
図7のバルブリフト線図及び図3の状態は、アクチュエータ10が2段目の作動、即ち、吸気工程後期において排気弁3を所定量開弁すると共に、爆発・膨張行程においても排気弁3を所定量開弁し、吸気工程後期においてシリンダ内部でEGRを行うと共に、爆発・膨張行程においては圧縮圧力を開放することにより、補助制動力を付与(補助ブレーキ作動モード)している。
【0044】
図7のバルブリフト線図におけるバルブリフト線70の形状は、図5及び図6のバルブリフト線と同一であるが、リフト量、即ち現実の排気弁の開閉の様態は図5及び図6とは異なる。
即ち、図6のバルブリフト線図をそのままの形状を保ったまま、更に上方(バルブリフト量を増加させる方向)に移動したものが図7である。
【0045】
2段目におけるアクチュエータ10の作動を、図3を参照しつつ以下に詳述する。
第1の開閉弁V1は、コントロールユニット20からの制御信号を受け、油圧ポンプPからの油圧をアクチュエータ10の供給孔11aからシリンダ部11内に流入させる(開閉弁V1は開放)。
又、第2の開閉弁V2もコントロールユニット20からの制御信号を受け、連通管Tを連通させるように作動(開放)し、下方連通孔11cと上方連通孔11dとを連通る。
【0046】
したがって、アクチュエータ10のシリンダ部11の底部側に供給された油圧は下方ピストン12がストッパリング14に当接まで上昇した後に、連通管Tを経由して、中間室Sに流入し、上方ピストン13をシリンダ部11の天井に当接するまで押し上げる。
【0047】
上方ピストン13のロッド13b先端は最高点(H2;図1の該当位置からの高さの差)まで上昇して前記レバー部材の先端9aを図2よりも更に上方に押し上げる。すると排気弁3も同じ方向に平行に同量だけ持ち上げられる。この時のバルブリフト線図が図7で示されている。
【0048】
アクチュエータ10がそのように作動することで図7の吸気区間では排気弁3が所定区間で所定量(図7の斜線を施した部分)だけ開弁し、吸気区間にも関わらず排気がエンジンシリンダ内に流入することが可能となって所謂「内部EGR」が行われ、シリンダ内の温度が下げられ、その結果排気ガス中のNOxの量が削減される。
【0049】
更に、爆発・膨張行程の略全域でも図7の斜線で示すように排気弁3が所定量だけ開弁し、圧縮圧力の一部が開放されることにより、出力が急に減ずる方向に働く。即ち、圧縮圧力開放による補助ブレーキが作動することとなる。
【0050】
次に図11を用いて、図1〜図7をも参照して、第1実施形態における排気弁駆動機構の制御方法を説明する。
【0051】
先ず、コントロールユニット20はエンジン回転センサ30からの入力信号によりエンジン回転数を、シリンダ100頂部に設けたエンジン負荷センサからの入力信号によりエンジン負荷を読込む(ステップS1)。
【0052】
次にコントロールユニット20は、ドライバ側から補助ブレーキを操作したか否かを判断する(ステップS2)。ドライバ側から補助ブレーキを操作していなければ(ステップS2のNO)、ステップS3に進み、操作していれば(ステップS2のYES)、補助ブレーキを作動させて(ステップS4)、即ち、第1及び第2の開閉弁V1、V2を開放するべく制御信号を発信して、ステップS7まで進む。
【0053】
ステップS3では、コントロールユニット20は前記読込んだエンジン回転情報、エンジン負荷情報に基づいて、エンジン回転数及びエンジン負荷がEGR領域であるか否かを判断する。
【0054】
エンジン回転数及びエンジン負荷がEGR領域であれば(ステップS3のYES)、EGRモードであると判断して第1の開閉弁V1を開放し、第2の開閉弁V2を閉じた(ステップS5)後、ステップS7に進む。
一方、エンジン回転数及びエンジン負荷がEGR領域でなければ(ステップS3のNO)、通常モードであると判断して、第1及び第2の開閉弁V1、V2を閉じた後、ステップS7に進む。
【0055】
ステップS7では、コントロールユニット20は、車両を停止させるか否かを判断して、停止させるのであれば(ステップS7のYES)、そのまま制御も終了させる。
一方、停止させないのであれば(ステップS7のNO)、再びステップS1に戻りステップS1以降を繰り返す。
【0056】
尚、個々のモードにおけるアクチュエータ10の作動状態は前述の通りである。
【0057】
上述したような第1実施形態の排気弁駆動機構及びその制御方法によれば、2段作動式アクチュエータ10をコントロールユニット20で制御することで、アクチュエータ10作動の第1段目(EGRモード)には、吸気工程の終わりか、圧縮工程の初期において排気弁3を開くように構成されており、排気がシリンダ100内に逆流し内部EGRが行われるために、シリンダ100内の燃焼ガスが適度に冷やされて、排気ガス中に含まれるNOxの排出量を抑制出来る。
【0058】
又、アクチュエータ10作動の第2段目(補助ブレーキ作動モード)には、爆発・膨張行程において排気弁3を開き、シリンダ100内に排気ガスを流入させることにより、エンジン出力を抑制してエンジンブレーキを作動させることが出来る。
【0059】
又、アクチュエータ10を不作動とすることで、通常モードで運転が可能である。
【0060】
又、EGR及び圧縮圧力開放型エンジンブレーキ(補助ブレーキ)作動は、構造が簡単な2段式アクチュエータ1個によって行うことが出来、コストの上昇を最低限に留めることが出来る。
即ち、安価な当該アクチュエータ1個によって、「通常運転モード」、「EGRモード」、「圧縮圧力開放型エンジンブレーキモード」の3つのモードを実現することが出来る。
【0061】
次に図4及び図8〜図10を参照して、第2実施形態を説明する。
図8〜図10、及び図4の第2実施形態は図1〜図7の第1実施形態に対して、装置の構成の一つであるカム7のプロファイルのみが異なるものであり、その他の構成及び制御方法は実質的に同様である。
【0062】
即ち、図4におけるθの値が第1実施形態のそれよりも大きく開いた実施形態が第2実施形態である。
したがって、バルブリフト特性は、第1実施形態の吸気区間にあった突起部7d(EGR作動;図5〜図7を参照)を、図8〜図10に示すように、圧縮工程区間の下死点(BDC)直後に移動したものである。
【0063】
第2実施形態によれば、EGR作動のタイミングを吸気工程区間から圧縮工程側に移行することにより、吸気量が減縮されず、出力の低下が抑制される。
【0064】
【発明の効果】
本発明の排気弁駆動機構及びその制御方法によれば、2段作動式アクチュエータ(10)をコントロールユニット(20)で制御することで、アクチュエータ(10)作動の第1段目には、吸気工程の終わりか、圧縮工程の初期において排気弁を開くように構成されており、排気がシリンダ(100)内に逆流し内部EGRが行われるために、シリンダ(100)内の燃焼ガスが適度に冷やされて、排気ガス中に含まれるNOxの排出量を抑制出来る。
更に、EGR作動のタイミングを吸気工程区間から圧縮工程側に移行することにより、吸気量が減縮されず、出力の低下が抑制される。
【0065】
又、アクチュエータ(10)作動の第2段目には、爆発・膨張行程において排気弁を開き、シリンダ(100)内に排気ガスを流入させることにより、エンジン出力を抑制してエンジンブレーキ(補助ブレーキ)を作動させることが出来る。
【0066】
又、アクチュエータ(10)を不作動とすることで、通常モードで運転が可能である。
【0067】
EGR及び圧縮圧力開放型エンジンブレーキ(補助ブレーキ)作動は、構造が簡単な2段式アクチュエータ1個によって行うことが出来、コストの上昇を最低限に留めることが出来る。
即ち、安価な当該アクチュエータ1個によって、「通常運転モード」、「EGRモード」、「圧縮圧力開放型エンジンブレーキモード」の3つのモードを実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における構成及び0段目(通常モード)の作動状態を示したブロック図。
【図2】本発明の実施形態における構成及び1段目(EGRモード)の作動状態を示したブロック図。
【図3】本発明の実施形態における構成及び2段目(EGRモード+圧縮圧力開放型補助制動モード)の作動状態を示したブロック図。
【図4】本発明の実施形態におけるカムプロファイルを示した図。
【図5】本発明の第1実施形態における0段目(通常モード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図6】本発明の第1実施形態における1段目(EGRモード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図7】本発明の第1実施形態における2段目(EGRモード+補助ブレーキ作動モード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図8】本発明の第2実施形態における0段目(通常モード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図9】本発明の第2実施形態における1段目(EGRモード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図10】本発明の第2実施形態における2段目(EGRモード+補助ブレーキ作動モード)作動時のバルブリフトを示した特性図。
【図11】第1実施形態及び第2実施形態における排気弁動弁機構の制御方法を説明したフローチャート。
【符号の説明】
1・・・エンジン
2・・・排気ポート
3・・・排気弁
4・・・ロッカアーム
5・・・プッシュロッド
6・・・カムフォロワ
7・・・カム
7a・・・ベース円
7b・・・突出部
7c・・・頂部
8・・・ロッカアームシャフト
9・・・レバー部材
10・・・アクチュエータ
11・・・シリンダ部
12・・・下方ピストン
13・・・上方ピストン
20・・・コントロールユニット
30・・・回転センサ
40・・・エンジン負荷センサ
100・・・シリンダ
Claims (12)
- エンジンの排気弁を開閉するためのプッシュロッド及びカムと、排気弁のリフト量を可変にするアクチュエータとを有しており、前記アクチュエータは排気弁のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記排気弁は、前記アクチュエータの0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では吸気行程の下死点近傍の領域における排気弁のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内へ流入する様に構成されていることを特徴とする排気弁駆動機構。
- 前記排気弁は、前記アクチュエータの2段目において、吸気行程の下死点近傍の領域よりも進角した領域では、一旦リフト量がゼロとなるが、直ちに吸気行程の下死点近傍の領域と同一程度のリフト量となる様に構成されている請求項1の排気弁駆動機構。
- エンジンの排気弁を開閉するためのプッシュロッド及びカムと、排気弁のリフト量を可変にするアクチュエータとを有しており、前記アクチュエータは排気弁のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記排気弁は、前記アクチュエータの0段目では圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域における排気弁のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内へ流入する様に構成されていることを特徴とする排気弁駆動機構。
- 前記排気弁は、前記アクチュエータの2段目において、圧縮行程の下死点近傍の領域よりも進角した領域では、一旦リフト量がゼロとなるが、直ちに圧縮行程の下死点近傍の領域と同一程度のリフト量となる様に構成されている請求項3の排気弁駆動機構。
- エンジンの排気弁を開閉するためのプッシュロッド及びカムと、排気弁のリフト量を可変にするアクチュエータとを有しており、前記アクチュエータは排気弁のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カムは、吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円よりも突出した形状となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータの0段目では排気弁のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では排気弁のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内へ流入する様に設定されていることを特徴とする排気弁駆動機構。
- 前記カムは、吸気行程の下死点近傍の領域では突出しているが、それよりも進角した領域に、ベース円近傍まで凹んで、直ちに吸気行程の下死点近傍の領域と同一程度の突出量となる様な領域を有している請求項5の何れかに記載の排気弁駆動機構。
- エンジンの排気弁を開閉するためのプッシュロッド及びカムと、排気弁のリフト量を可変にするアクチュエータとを有しており、前記アクチュエータは排気弁のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カムは、圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円よりも突出した形状となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータの0段目では排気弁のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では排気弁のリフト量が正の値となり、以って、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内へ流入する様に設定されていることを特徴とする排気弁駆動機構。
- 前記カムは、圧縮行程の下死点近傍の領域では突出しているが、それよりも進角した領域に、ベース円近傍まで凹んで、直ちに圧縮行程の下死点近傍の領域と同一程度の突出量となる様な領域を有している請求項7の排気弁駆動機構。
- エンジンの排気弁を開閉するためのプッシュロッド及びカムと、排気弁のリフト量を可変にするアクチュエータとを有しており、前記アクチュエータは排気弁のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カムは、吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円よりも突出した形状となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータの0段目では排気弁のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では排気弁のリフト量が正の値となる様に設定されており、以って、前記排気弁が、前記アクチュエータの0段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では吸気行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域における排気弁のリフト量が正の値となり、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内へ流入する様に構成されていることを特徴とする排気弁駆動機構。
- エンジンの排気弁を開閉するためのプッシュロッド及びカムと、排気弁のリフト量を可変にするアクチュエータとを有しており、前記アクチュエータは排気弁のリフト量を3段階に変化する様に構成されており、前記カムは、圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍に対応する領域がベース円よりも突出した形状となっており、当該領域の突出量は、前記アクチュエータの0段目では排気弁のリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では排気弁のリフト量が正の値となる様に設定されており、以って、前記排気弁が、前記アクチュエータの0段目では圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域におけるリフト量はゼロであるが、前記アクチュエータの1段目では圧縮行程の下死点近傍の領域から圧縮行程の上死点近傍の領域における排気弁のリフト量が正の値となり、排気系から排気ガスがエンジンシリンダ内へ流入する様に構成されていることを特徴とする排気弁駆動機構。
- エンジンの回転数を計測する回転数計測手段と、エンジンの負荷を検出する負荷検出手段と、制御手段とを有しており、前記制御手段は、エンジンの回転数及び負荷が所定の範囲内となった場合には、排気系から排気ガスをエンジンシリンダ内へ流入せしめるために前記アクチュエータを1段目に移動する制御を行い、運転席側から圧縮圧開放式ブレーキを作動する旨の信号が出力された場合には、前記アクチュエータを2段目に移動する制御を行う様に構成されている請求項1〜10の何れか1項の排気弁駆動機構の制御方法。
- 請求項11の排気弁駆動機構の制御方法において、回転数計測手段によりエンジンの回転数を計測する工程と、負荷検出手段によりエンジンの負荷を検出する工程と、運転席側から圧縮圧開放式ブレーキを作動する旨の信号が出力されたか否かを判定する工程と、運転席側から圧縮圧開放式ブレーキを作動する旨の信号が出力された場合に前記アクチュエータを2段目に移動する工程と、エンジンの回転数及び負荷が排気系から排気ガスをエンジンシリンダ内へ流入させるべき範囲となったか否かを判定する工程と、エンジンの回転数及び負荷が排気系から排気ガスをエンジンシリンダ内へ流入させるべき範囲となった場合に前記アクチュエータを1段目に移動する工程、とを有することを特徴とする排気弁駆動機構の制御方法。
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JP2003202230A JP2005042597A (ja) | 2003-07-28 | 2003-07-28 | 排気弁駆動機構及びその制御方法 |
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