JP2005042472A - 自動車用窓ガラスの支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】窓ガラスに孔をあけることなく、窓ガラスホルダとキャリアプレートとの締結も極めて容易に行うことができる自動車用窓ガラスの支持構造を提供する。
【解決手段】窓1の枠の前後に設けられ、窓ガラス30の前後端縁をそれぞれ案内する窓ガラス案内レール2,3の一方が、窓ガラスをドア4に組み付けた後に装着される構造を有する自動車用ドアにおいて、ドアの窓を開閉すべく昇降機構40に支持されて昇降移動する窓ガラスの支持構造であって、窓ガラスの下端に接着固定された窓ガラスホルダ10と、昇降機構のガイドレール401に摺動可能に装着されたキャリアプレート20とを有する。窓ガラスホルダは、基板の接着面の反対面から突出形成され先端に膨出部を有する突起102を有し、キャリアプレートは、窓ガラスの下端を受容する仮保持溝状部202と、窓ガラスホルダの突起が係合する切り欠き部203とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】窓1の枠の前後に設けられ、窓ガラス30の前後端縁をそれぞれ案内する窓ガラス案内レール2,3の一方が、窓ガラスをドア4に組み付けた後に装着される構造を有する自動車用ドアにおいて、ドアの窓を開閉すべく昇降機構40に支持されて昇降移動する窓ガラスの支持構造であって、窓ガラスの下端に接着固定された窓ガラスホルダ10と、昇降機構のガイドレール401に摺動可能に装着されたキャリアプレート20とを有する。窓ガラスホルダは、基板の接着面の反対面から突出形成され先端に膨出部を有する突起102を有し、キャリアプレートは、窓ガラスの下端を受容する仮保持溝状部202と、窓ガラスホルダの突起が係合する切り欠き部203とを有する。
【選択図】 図1
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラスホルダとキャリアプレートを介して自動車用窓ガラスを昇降機構のガイドレールに支持するための自動車用窓ガラスの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用窓ガラスは、ドアに設けられた昇降機構のガイドレールに支持されており、自動又は手動にて昇降させることができる。窓ガラスを昇降機構のガイドレールに支持する一形態として、窓ガラスの下端に窓ガラスホルダを固定するとともにガイドレールにキャリアプレートを摺動可能に取り付け、窓ガラスホルダとキャリアプレートとをボルトなどを用いて締結する構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、窓ガラスの下端に窓ガラスホルダを固定するために窓ガラスに孔をあけ、この孔にボルトを挿入して窓ガラスホルダとともに締め付ける構造では、締め付け時に窓ガラスが割れるおそれがある。また、窓ガラスに孔をあける工程が別途必要となる。
【0004】
また、窓ガラスホルダとキャリアプレートとをボルトなどを用いて締結する構造においては、ドア側に装着されたキャリアプレートの孔と窓ガラス側に装着された窓ガラスホルダの孔とを重ね合わせた上でボルトを挿入する必要があり、窓ガラス側の位置精度が出ていないとボルトの挿入作業に手間取ってしまうという問題がある。仮に両孔が少しずれた状態でボルトを締め付けるとネジ山が破損したり、後でボルトが緩んだりするおそれがある。
【特許文献1】
特開2003−48427号公報
【考案の開示】
【0005】
本発明は、窓ガラスに孔をあけることなく、また窓ガラスホルダとキャリアプレートとの締結も極めて容易に行うことができる自動車用窓ガラスの支持構造を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によれば、
窓(1)の枠の前後に設けられ、窓ガラス(30)の前後端縁(301,302)をそれぞれ案内する窓ガラス案内レール(2,3)の一方(3)が、前記窓ガラス(30)をドア(4)に組み付けた後に装着される構造を有する自動車用ドアにおいて、前記ドアの窓(1)を開閉すべく昇降機構(40)に支持されて昇降移動する窓ガラスの支持構造であって;
前記窓ガラス(30)の下端(303)に接着固定された窓ガラスホルダ(10)と、
前記昇降機構(40)のガイドレール(401)に摺動可能に装着されたキャリアプレート(20)とを有し;
前記窓ガラスホルダ(10)は、
前記窓ガラス(30)の下端(303)に接着される接着面(1011)を有する基板(101)と、
当該基板(101)の前記接着面(1011)の反対面(1012)から突出形成され先端に膨出部(1021)を有する突起(102)と、を有し、
前記キャリアプレート(20)は、
前記ガイドレール(401)に係合するレール係合部(201)と、
当該レール係合部(201)に一体形成され前記窓ガラス(30)又は前記窓ガラスホルダ(10)の下端(104)を受容する仮保持溝状部(202)と、
前記レール係合部(201)に一体形成され前記窓ガラスホルダ(10)の突起(102)が係合する、前記一方の窓ガラス案内レール(3)側が開口した切り欠き部(203)と、を有することを特徴とする自動車用窓ガラスの支持構造が提供される。
【0007】
本発明では、窓ガラスの下端に窓ガラスホルダを接着固定する一方、キャリアプレートを昇降機構のガイドレールに摺動可能に装着し、昇降機構を自動車用ドアに取り付ける。そして、窓ガラスの前後端縁を案内する窓ガラス案内レールの一方を装着する前に、窓ガラスホルダを接着固定した窓ガラスを自動車用ドアの窓枠から挿入し、窓ガラス又は窓ガラスホルダの下端をキャリアプレートの仮保持溝状部に受容させる。この仮保持状態においては、窓ガラス案内レールの一方は装着されていないので、窓ガラスは前後方向に所定寸法だけ移動可能な状態にある。したがって、窓ガラス又は窓ガラスホルダの下端をキャリアプレートの仮保持溝状部に受容させる際には、窓ガラスの前後方向の正規位置から挿入するのではなく、装着前の窓ガラス案内レール側にずらした位置から窓ガラスを挿入する。
【0008】
そして、窓ガラス又は窓ガラスホルダの下端をキャリアプレートの仮保持溝状部に受容させたら、窓ガラスを正規位置に向かって前後方向にスライドさせる。このスライド時に、窓ガラスホルダの突起がキャリアプレートの切り欠き部に係合することになる。
【0009】
窓ガラスが正規位置に保持されたら、窓ガラス案内レールを自動車用ドアに装着する。以上により、窓ガラスホルダとキャリアプレートを介して窓ガラスを昇降機構のガイドレールに支持させることができる。
【0010】
本発明の支持構造によれば、窓ガラスと窓ガラスホルダとを接着固定しているので窓ガラスが割れたり孔あけ工程が必要になったりすることがない。また、窓ガラスホルダとキャリアプレートは、ボルトを孔に挿入する締結構造を採用せず、窓ガラスを自動車ドアに挿入及びスライドさせるだけで締結できるので、作業性が格段に向上することになる。
【0011】
なお、本発明において、特に限定されないが、前記キャリアプレート(20)の仮保持溝状部(202)は、前記窓ガラス(30)又は前記窓ガラスホルダ(10)の下端(104)を受容する底部(2021)と、前記窓ガラス(30)又は窓ガラスホルダ(10)の基板(101)の両主面(1011,1012)とそれぞれ当面する縦壁部(2022,2023)とを有し、前記縦壁部(2022,2023)の少なくとも一方(2023)が上方に向かって開くように形成されている。
【0012】
また、本発明において、特に限定されないが、前記キャリアプレート(20)の切り欠き部(203)に、前記窓ガラスホルダ(10)の突起(102)を係合正規位置に保持する凸状部(2032)が形成されている。
【0013】
さらに本発明において、特に限定されないが、前記窓ガラスホルダ(10)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリアミド系樹脂を主成分とし、前記窓ガラスにシランカップリング剤を含有する1液タイプのウレタン接着剤により接着固定される。
【発明の実施の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る窓ガラスの支持構造を用いた自動車用ドアを示す全体図、
図2(A)は本発明の実施形態に係る窓ガラスホルダを示す斜視図、
図2(B)は図2(A)のIIB-IIB線に沿う断面図、
図3(A)は本発明の実施形態に係るキャリアプレートを示す斜視図、
図3(B)は図3(A)のIIIB-IIIB線に沿う断面図、
図3(C)は図3(A)のIIIC-IIIC線に沿う断面図、
図4は図1のIV-IV線に沿う断面図、
図5(A)〜(D)は本発明の実施形態に係る窓ガラスの支持構造を用いた自動車用ドアの組立方法を示す全体図である。
【0015】
まず始めに、本実施形態に係る窓ガラスの支持構造が適用される自動車用ドアの構造を説明すると、本例の自動車用ドアは、図1に示すようにリヤドア4であって、窓1の枠の前側及び上側に第1窓ガラス案内レール2が設けられ、同じく後側に第2窓ガラス案内レール3が設けられ、これら2つの窓ガラス案内レール2,3により窓ガラス30の前後端縁301,302をそれぞれ案内するものである。特に本例のリヤドア4は、窓ガラス案内レール2,3の一方である第2窓ガラス案内レール3が、窓ガラス30をドア4に組み付けた後に装着される構造を有する。この組立手順については後述する。
【0016】
本実施形態に係る窓ガラスの支持構造は、窓ガラス30によりドア4の窓1を開閉すべく昇降機構40に窓ガラス30を支持するものであり、図2に示す窓ガラスホルダ10と図3に示すキャリアプレート20とを有する。
【0017】
窓ガラスホルダ10は、合成樹脂により成形され、窓ガラス30の下端303に接着剤により固定される。
【0018】
特に限定はされないが、窓ガラスホルダ10は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリアミド系樹脂を主成分とすることがより好ましく、これに補強材としてのガラス繊維を含有させることもできる。
【0019】
これらポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリアミド系樹脂を主成分とした場合には、窓ガラス30との接着剤として、シランカップリング剤を含有する一液タイプのウレタン接着剤を用いることがより好ましい。なお、これら窓ガラス30と窓ガラスホルダ10とをシランカップリング剤を含有する一液タイプのウレタン接着剤を用いて接着する前に、窓ガラス30又は窓ガラスホルダ10の少なくとも一方に水を噴霧する工程又はこれらの少なくとも一方を高湿度雰囲気に入れる工程を設けることがより好ましい。
【0020】
窓ガラス30とシランカップリング剤を含有する一液型ウレタン系接着剤とは、以下のように結合する。
【0021】
すなわち、一液型ウレタン系接着剤に添加されたシランカップリング剤は、末端に有機官能基X(たとえばNH2 )と珪素原子(Si)から伸びるアルコシキ基(OR)を有し、空気中の水分(OH−H)と接触して加水分解し、シラノール化するとともにアルコールを生成放出する。
【0022】
シラノール化したシランカップリング剤は、窓ガラス30の表面に吸着された吸着水と脱水縮合反応し、空気中に水を蒸散しながら、窓ガラス30と強固なシロキサン結合で結ばれる。
【0023】
これに対して、シランカップリング剤末端を構成するNH2 基は、ウレタンの末端を構成するイソシアネート(OCN〜NCO)と反応し、シランカップリング剤が添加されたウレタンと尿素結合する。また、一液型ウレタン系プライマーは、ポリオールの末端を構成するOH基とイソシアネート(OCN〜NCO)とが反応し、ウレタン結合する。これにより、シランカップリング剤を含有する一液型ウレタン系プライマー又はウレタン系接着剤は、窓ガラス30と強固に結合する。
【0024】
次に、ポリブチレンテレフタレート系又はポリエチレンテレフタレート系樹脂とウレタン系接着剤との接着メカニズムを説明する。なお、代表的にポリブチレンテレフタレート樹脂にて説明するが、ポリエチレンテレフタレート系樹脂も同様に作用する。
【0025】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、強い極性を有するエステル基(−COO)を有し、エステル結合はマイナスの電子吸引性基を有する。一方、上述したウレタン系接着剤の尿素結合あるいはウレタン結合のNH結合部は、プラスの電子供与性基を有する。したがって、ポリブチレンテレフタレート樹脂とウレタン接着剤とは、相互の電子授受によって強固に結合される。さらに、ウレタンシーラント内に添加されているシランカップリング剤の有機官能基Xと結合し、さらに強固な結合となる。
【0026】
このように、窓ガラス30とポリブチレンテレフタレート系樹脂又はポリエチレンテレフタレート系樹脂製窓ガラスホルダ10とは、シランカップリング剤が含有された一液型ウレタン系プライマー又はウレタン系接着剤を介して強固に結合することになる。
【0027】
次に、ポリアミド系樹脂とウレタン系接着剤との接着メカニズムを化学反応式に基づいて説明する。なお、代表的にナイロン6にて説明するが、他のポリアミド系樹脂も同様に作用する。
【0028】
ナイロン6は、強い極性を有するアミド結合(−CONH−)を有し、このアミド結合は空気中あるいは強制的に供給された水分H2Oと水素結合する。このナイロン6のNH基と水素結合しているOH基が、シラノール化したシランカップリング剤と脱水縮合反応し、空気中に水を蒸散する。これにより、ナイロン6とシランカップリング剤とは、強固なシロキサン結合で結ばれる。このように、窓ガラス30とポリアミド系樹脂製窓ガラスホルダ10とは、シランカップリング剤が含有された一液型ウレタン系接着剤を介して強固に結合することになる。
【0029】
本実施形態に係る窓ガラスホルダ10は、図2(A)及び(B)に示されるように、窓ガラス30の下端303に接着される接着面1011を有する基板101と、この基板101の接着面1011の反対面1012から突出して形成され、先端に膨出部1021を有する突起102とを有する。
【0030】
窓ガラス30の下端縁は、窓ガラスホルダ10の基板101の下端部に形成された段部1014に当接されることにより窓ガラス30と窓ガラスホルダ10との上下方向の位置関係が確保される。
【0031】
突起102は、後述するキャリアプレート20の切り欠き部203に係合し、このとき膨出部1021によって切り欠き部203からの突起102の抜けが防止される。この突起102の軸部1022の直径は、切り欠き部203の幅寸法とほぼ等しいか僅かに小さく形成されている。また、軸部1022の長さL1は、膨出部1021が切り欠き部203からの抜けを防止できるようにキャリアプレート20の板厚t1より僅かに大きく形成されている。
【0032】
図3に示すキャリアプレート20は、自動車用ドア4に固定された昇降機構40のガイドレール401に摺動可能に装着されるもので、アルミ合金又は合成樹脂で一体成形することができる。
【0033】
本実施形態のキャリアプレート20は、同図に示すように、昇降機構40のガイドレール401に係合するレール係合部201と、窓ガラスホルダ10の下端104の段部1014を受容するとともに当該窓ガラスホルダ10の基板101の両主面1011,1012とそれぞれ当面する仮保持溝状部202と、窓ガラスホルダ10の突起102が係合する、後端側が開口した切り欠き部203とを有する。
【0034】
レール係合部201は、断面コ字状のガイドレール401の両端壁部4011,4012を受容する2つの溝2011,2012と、同じくガイドレール401の中間背部4013に被さってガイドレール401の抜けを防止するストッパ2013とを有し、ガイドレール401の一端から当該レール係合部201を差し込むことで、キャリアプレート20がガイドレール401に組み付けられる。
【0035】
レール係合部201に隣接した位置に、昇降機構40のワイヤ402を差し込むための溝2014が形成され、この溝2014の中央にワイヤ402に固定された当該ワイヤ402よりも大径の大径部材403を受容する凹部2015が形成されている。そして、キャリアプレート20のレール係合部201をガイドレール401に差し込み、ワイヤ402を溝2014に差し込むとともに大径部材403を凹部2015に受容させ、ウィンドレギュレータ404を作動させてワイヤ402を何れかの方向に引っ張ると、大径部材403が凹部2015に係合しているのでキャリアプレート20がガイドレール401に沿って昇降することになる。これにより、キャリアプレート20に締結された窓ガラスホルダ10を介して窓ガラス30が昇降することになる。
【0036】
本実施形態のキャリアプレート20には、さらに仮保持溝状部202が形成され、この仮保持溝状部202は、窓ガラス30の下端303(又はホルダ10の下端の段部1014でもよい。)を受容する底部2021と、当該窓ガラス30の両主面とそれぞれ当面する第1縦壁部2022及び第2縦壁部2023とを有する。このうち第1縦壁部2022は、先の溝2014やレール係合部201の基板となる部材である。また、第2縦壁部2023は、同図に示すように上方に向かって開くように形成され、これにより窓ガラスホルダ10が接着固定された窓ガラス30を挿入してキャリアプレート20に載置する際の呼び込みの機能を司ることになる。
【0037】
第1縦壁部2022には、上述した切り欠き部203が形成され、この切り欠き部203には同図に示すように、窓ガラスホルダ10の突起102を係合正規位置に保持するための凸状部2032が形成されている。すなわち、切り欠き部203は、一端の開口から深さL3で形成されているが、この深さL3は窓ガラス30を組み付ける際の前後方向にスライド可能な寸法(図5(B)参照。)にほぼ等しくされている。そして、係合正規位置とは、窓ガラス30を組み付ける際の最終組付け位置をいう(図5(C)参照。)。この凸状部2032を窓ガラスホルダ10の突起102の軸部1022が乗り越えることにより、当該突起102が切り欠き部203にセットされることになり、組立作業者が窓ガラス30から手を離しても当該窓ガラス30は元の位置には戻らずこの位置をキープする。
【0038】
なお、切り欠き部203の開口の上下縁はともにテーパ面とされ、これにより窓ガラスホルダ10の突起102の挿入が円滑になされることになる。
【0039】
以上のように構成された窓ガラスホルダ10とキャリアプレート20を組み付けた場合の断面構造を図4に示す。
【0040】
次に、窓ガラス30の組立手順を説明する。
【0041】
まず始めに、窓ガラス30の下端303に窓ガラスホルダ10の接着面1011を接着剤により固定する。一方、キャリアプレート20のレール係合部201を昇降機構40のガイドレール401の一端から差し込み摺動可能に装着し、このガイドレール401、ウィンドレギュレータ404を含む昇降機構40を自動車用ドア4のインナパネルに取り付ける。
【0042】
そして、図5(A)に示すように、窓ガラス30の前端縁を案内する第1窓ガラス案内レール2を自動車用ドア4に装着し、窓ガラス30の後端縁を案内する第2窓ガラス案内レール3を自動車用ドア4に装着する前に、窓ガラスホルダ10を接着固定した窓ガラス30を自動車用ドア4の窓枠から挿入する。
【0043】
この状態において、第2窓ガラス案内レール3は装着されていないので、窓ガラス30は前後方向に所定寸法L3だけ移動可能な状態にある。この状態で窓ガラス30を図5(B)に示すように下ろしていき、窓ガラス30の下端303をキャリアプレート20の仮保持溝状部202の底部2021に受容させる。このとき、第1縦壁部2022と第2縦壁部2023によって窓ガラス30の下端303が呼び込まれて案内される。
【0044】
ここで、窓ガラス30の下端303をキャリアプレート20の仮保持溝状部202に受容させる際には、窓ガラス30の前後方向の正規位置から下ろして行くのではなく、窓ガラス30を車両後方に少しずらした位置から窓ガラス30を下ろして行く。
【0045】
そして、窓ガラス30の下端303をキャリアプレート20の仮保持溝状部202に受容させたら、図5(B)に示すように窓ガラス30を正規位置に向かって前方向にスライドさせる。このスライド時に、窓ガラスホルダ10の突起102がキャリアプレート20の切り欠き部203に係合し、最後に突起102の軸部1022が切り欠き部203の凸部2023を超えて保持されることになる。
【0046】
窓ガラス30が正規位置に保持されたら、図5(C)に示すように第2窓ガラス案内レール3を窓ガラス30の後端縁に填め込み、同図(D)に示すように第2窓ガラス案内レール3を自動車用ドア4にボルトなどにより固定する。
【0047】
以上により、窓ガラスホルダ10とキャリアプレート20を介して窓ガラス30を昇降機構40のガイドレール401に支持させることができる。
【0048】
このように、本実施形態の支持構造によれば、窓ガラス30と窓ガラスホルダ10とを接着剤を用いて固定しているので、窓ガラス30が割れたり、孔あけ工程が別途必要になったりすることがない。
【0049】
また、窓ガラスホルダ10とキャリアプレート20は、ボルトを孔に挿入する締結構造を採用せず、窓ガラス30を自動車ドア4に挿入及びスライドさせるだけで締結できるので、作業性が格段に向上することになる。
【0050】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係る窓ガラスの支持構造を用いた自動車用ドアを示す全体図である。
【図2】(A)は本発明の実施形態に係る窓ガラスホルダを示す斜視図、(B)は(A)のIIB-IIB線に沿う断面図である。
【図3】(A)は本発明の実施形態に係るキャリアプレートを示す斜視図、(B)は(A)のIIIB-IIIB線に沿う断面図、(C)は(A)のIIIC-IIIC線に沿う断面図である。
【図4】図1のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】(A)〜(D)は本発明の実施形態に係る窓ガラスの支持構造を用いた自動車用ドアの組立方法を示す全体図である。
【符号の説明】
【0052】
1…窓
2…第1窓ガラス案内レール(前側)
3…第2窓ガラス案内レール(後側)
4…ドア
10…窓ガラスホルダ
101…基板
1011…接着面
1012…接着面の反対面
1013…上端
102…突起
1021…膨出部
104…下端
20…キャリアプレート
201…レール係合部
202…仮保持溝状部
2021…底部
2022…第1縦壁部
2023…第2縦壁部
203…切り欠き部
2032…凸状部
30…窓ガラス
301…前端縁
302…後端縁
303…下端
40…昇降機構
401…ガイドレール
402…ワイヤ
403…大径部材
404…ウィンドレギュレータ
【0001】
本発明は、窓ガラスホルダとキャリアプレートを介して自動車用窓ガラスを昇降機構のガイドレールに支持するための自動車用窓ガラスの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用窓ガラスは、ドアに設けられた昇降機構のガイドレールに支持されており、自動又は手動にて昇降させることができる。窓ガラスを昇降機構のガイドレールに支持する一形態として、窓ガラスの下端に窓ガラスホルダを固定するとともにガイドレールにキャリアプレートを摺動可能に取り付け、窓ガラスホルダとキャリアプレートとをボルトなどを用いて締結する構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、窓ガラスの下端に窓ガラスホルダを固定するために窓ガラスに孔をあけ、この孔にボルトを挿入して窓ガラスホルダとともに締め付ける構造では、締め付け時に窓ガラスが割れるおそれがある。また、窓ガラスに孔をあける工程が別途必要となる。
【0004】
また、窓ガラスホルダとキャリアプレートとをボルトなどを用いて締結する構造においては、ドア側に装着されたキャリアプレートの孔と窓ガラス側に装着された窓ガラスホルダの孔とを重ね合わせた上でボルトを挿入する必要があり、窓ガラス側の位置精度が出ていないとボルトの挿入作業に手間取ってしまうという問題がある。仮に両孔が少しずれた状態でボルトを締め付けるとネジ山が破損したり、後でボルトが緩んだりするおそれがある。
【特許文献1】
特開2003−48427号公報
【考案の開示】
【0005】
本発明は、窓ガラスに孔をあけることなく、また窓ガラスホルダとキャリアプレートとの締結も極めて容易に行うことができる自動車用窓ガラスの支持構造を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によれば、
窓(1)の枠の前後に設けられ、窓ガラス(30)の前後端縁(301,302)をそれぞれ案内する窓ガラス案内レール(2,3)の一方(3)が、前記窓ガラス(30)をドア(4)に組み付けた後に装着される構造を有する自動車用ドアにおいて、前記ドアの窓(1)を開閉すべく昇降機構(40)に支持されて昇降移動する窓ガラスの支持構造であって;
前記窓ガラス(30)の下端(303)に接着固定された窓ガラスホルダ(10)と、
前記昇降機構(40)のガイドレール(401)に摺動可能に装着されたキャリアプレート(20)とを有し;
前記窓ガラスホルダ(10)は、
前記窓ガラス(30)の下端(303)に接着される接着面(1011)を有する基板(101)と、
当該基板(101)の前記接着面(1011)の反対面(1012)から突出形成され先端に膨出部(1021)を有する突起(102)と、を有し、
前記キャリアプレート(20)は、
前記ガイドレール(401)に係合するレール係合部(201)と、
当該レール係合部(201)に一体形成され前記窓ガラス(30)又は前記窓ガラスホルダ(10)の下端(104)を受容する仮保持溝状部(202)と、
前記レール係合部(201)に一体形成され前記窓ガラスホルダ(10)の突起(102)が係合する、前記一方の窓ガラス案内レール(3)側が開口した切り欠き部(203)と、を有することを特徴とする自動車用窓ガラスの支持構造が提供される。
【0007】
本発明では、窓ガラスの下端に窓ガラスホルダを接着固定する一方、キャリアプレートを昇降機構のガイドレールに摺動可能に装着し、昇降機構を自動車用ドアに取り付ける。そして、窓ガラスの前後端縁を案内する窓ガラス案内レールの一方を装着する前に、窓ガラスホルダを接着固定した窓ガラスを自動車用ドアの窓枠から挿入し、窓ガラス又は窓ガラスホルダの下端をキャリアプレートの仮保持溝状部に受容させる。この仮保持状態においては、窓ガラス案内レールの一方は装着されていないので、窓ガラスは前後方向に所定寸法だけ移動可能な状態にある。したがって、窓ガラス又は窓ガラスホルダの下端をキャリアプレートの仮保持溝状部に受容させる際には、窓ガラスの前後方向の正規位置から挿入するのではなく、装着前の窓ガラス案内レール側にずらした位置から窓ガラスを挿入する。
【0008】
そして、窓ガラス又は窓ガラスホルダの下端をキャリアプレートの仮保持溝状部に受容させたら、窓ガラスを正規位置に向かって前後方向にスライドさせる。このスライド時に、窓ガラスホルダの突起がキャリアプレートの切り欠き部に係合することになる。
【0009】
窓ガラスが正規位置に保持されたら、窓ガラス案内レールを自動車用ドアに装着する。以上により、窓ガラスホルダとキャリアプレートを介して窓ガラスを昇降機構のガイドレールに支持させることができる。
【0010】
本発明の支持構造によれば、窓ガラスと窓ガラスホルダとを接着固定しているので窓ガラスが割れたり孔あけ工程が必要になったりすることがない。また、窓ガラスホルダとキャリアプレートは、ボルトを孔に挿入する締結構造を採用せず、窓ガラスを自動車ドアに挿入及びスライドさせるだけで締結できるので、作業性が格段に向上することになる。
【0011】
なお、本発明において、特に限定されないが、前記キャリアプレート(20)の仮保持溝状部(202)は、前記窓ガラス(30)又は前記窓ガラスホルダ(10)の下端(104)を受容する底部(2021)と、前記窓ガラス(30)又は窓ガラスホルダ(10)の基板(101)の両主面(1011,1012)とそれぞれ当面する縦壁部(2022,2023)とを有し、前記縦壁部(2022,2023)の少なくとも一方(2023)が上方に向かって開くように形成されている。
【0012】
また、本発明において、特に限定されないが、前記キャリアプレート(20)の切り欠き部(203)に、前記窓ガラスホルダ(10)の突起(102)を係合正規位置に保持する凸状部(2032)が形成されている。
【0013】
さらに本発明において、特に限定されないが、前記窓ガラスホルダ(10)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリアミド系樹脂を主成分とし、前記窓ガラスにシランカップリング剤を含有する1液タイプのウレタン接着剤により接着固定される。
【発明の実施の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る窓ガラスの支持構造を用いた自動車用ドアを示す全体図、
図2(A)は本発明の実施形態に係る窓ガラスホルダを示す斜視図、
図2(B)は図2(A)のIIB-IIB線に沿う断面図、
図3(A)は本発明の実施形態に係るキャリアプレートを示す斜視図、
図3(B)は図3(A)のIIIB-IIIB線に沿う断面図、
図3(C)は図3(A)のIIIC-IIIC線に沿う断面図、
図4は図1のIV-IV線に沿う断面図、
図5(A)〜(D)は本発明の実施形態に係る窓ガラスの支持構造を用いた自動車用ドアの組立方法を示す全体図である。
【0015】
まず始めに、本実施形態に係る窓ガラスの支持構造が適用される自動車用ドアの構造を説明すると、本例の自動車用ドアは、図1に示すようにリヤドア4であって、窓1の枠の前側及び上側に第1窓ガラス案内レール2が設けられ、同じく後側に第2窓ガラス案内レール3が設けられ、これら2つの窓ガラス案内レール2,3により窓ガラス30の前後端縁301,302をそれぞれ案内するものである。特に本例のリヤドア4は、窓ガラス案内レール2,3の一方である第2窓ガラス案内レール3が、窓ガラス30をドア4に組み付けた後に装着される構造を有する。この組立手順については後述する。
【0016】
本実施形態に係る窓ガラスの支持構造は、窓ガラス30によりドア4の窓1を開閉すべく昇降機構40に窓ガラス30を支持するものであり、図2に示す窓ガラスホルダ10と図3に示すキャリアプレート20とを有する。
【0017】
窓ガラスホルダ10は、合成樹脂により成形され、窓ガラス30の下端303に接着剤により固定される。
【0018】
特に限定はされないが、窓ガラスホルダ10は、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリアミド系樹脂を主成分とすることがより好ましく、これに補強材としてのガラス繊維を含有させることもできる。
【0019】
これらポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリアミド系樹脂を主成分とした場合には、窓ガラス30との接着剤として、シランカップリング剤を含有する一液タイプのウレタン接着剤を用いることがより好ましい。なお、これら窓ガラス30と窓ガラスホルダ10とをシランカップリング剤を含有する一液タイプのウレタン接着剤を用いて接着する前に、窓ガラス30又は窓ガラスホルダ10の少なくとも一方に水を噴霧する工程又はこれらの少なくとも一方を高湿度雰囲気に入れる工程を設けることがより好ましい。
【0020】
窓ガラス30とシランカップリング剤を含有する一液型ウレタン系接着剤とは、以下のように結合する。
【0021】
すなわち、一液型ウレタン系接着剤に添加されたシランカップリング剤は、末端に有機官能基X(たとえばNH2 )と珪素原子(Si)から伸びるアルコシキ基(OR)を有し、空気中の水分(OH−H)と接触して加水分解し、シラノール化するとともにアルコールを生成放出する。
【0022】
シラノール化したシランカップリング剤は、窓ガラス30の表面に吸着された吸着水と脱水縮合反応し、空気中に水を蒸散しながら、窓ガラス30と強固なシロキサン結合で結ばれる。
【0023】
これに対して、シランカップリング剤末端を構成するNH2 基は、ウレタンの末端を構成するイソシアネート(OCN〜NCO)と反応し、シランカップリング剤が添加されたウレタンと尿素結合する。また、一液型ウレタン系プライマーは、ポリオールの末端を構成するOH基とイソシアネート(OCN〜NCO)とが反応し、ウレタン結合する。これにより、シランカップリング剤を含有する一液型ウレタン系プライマー又はウレタン系接着剤は、窓ガラス30と強固に結合する。
【0024】
次に、ポリブチレンテレフタレート系又はポリエチレンテレフタレート系樹脂とウレタン系接着剤との接着メカニズムを説明する。なお、代表的にポリブチレンテレフタレート樹脂にて説明するが、ポリエチレンテレフタレート系樹脂も同様に作用する。
【0025】
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、強い極性を有するエステル基(−COO)を有し、エステル結合はマイナスの電子吸引性基を有する。一方、上述したウレタン系接着剤の尿素結合あるいはウレタン結合のNH結合部は、プラスの電子供与性基を有する。したがって、ポリブチレンテレフタレート樹脂とウレタン接着剤とは、相互の電子授受によって強固に結合される。さらに、ウレタンシーラント内に添加されているシランカップリング剤の有機官能基Xと結合し、さらに強固な結合となる。
【0026】
このように、窓ガラス30とポリブチレンテレフタレート系樹脂又はポリエチレンテレフタレート系樹脂製窓ガラスホルダ10とは、シランカップリング剤が含有された一液型ウレタン系プライマー又はウレタン系接着剤を介して強固に結合することになる。
【0027】
次に、ポリアミド系樹脂とウレタン系接着剤との接着メカニズムを化学反応式に基づいて説明する。なお、代表的にナイロン6にて説明するが、他のポリアミド系樹脂も同様に作用する。
【0028】
ナイロン6は、強い極性を有するアミド結合(−CONH−)を有し、このアミド結合は空気中あるいは強制的に供給された水分H2Oと水素結合する。このナイロン6のNH基と水素結合しているOH基が、シラノール化したシランカップリング剤と脱水縮合反応し、空気中に水を蒸散する。これにより、ナイロン6とシランカップリング剤とは、強固なシロキサン結合で結ばれる。このように、窓ガラス30とポリアミド系樹脂製窓ガラスホルダ10とは、シランカップリング剤が含有された一液型ウレタン系接着剤を介して強固に結合することになる。
【0029】
本実施形態に係る窓ガラスホルダ10は、図2(A)及び(B)に示されるように、窓ガラス30の下端303に接着される接着面1011を有する基板101と、この基板101の接着面1011の反対面1012から突出して形成され、先端に膨出部1021を有する突起102とを有する。
【0030】
窓ガラス30の下端縁は、窓ガラスホルダ10の基板101の下端部に形成された段部1014に当接されることにより窓ガラス30と窓ガラスホルダ10との上下方向の位置関係が確保される。
【0031】
突起102は、後述するキャリアプレート20の切り欠き部203に係合し、このとき膨出部1021によって切り欠き部203からの突起102の抜けが防止される。この突起102の軸部1022の直径は、切り欠き部203の幅寸法とほぼ等しいか僅かに小さく形成されている。また、軸部1022の長さL1は、膨出部1021が切り欠き部203からの抜けを防止できるようにキャリアプレート20の板厚t1より僅かに大きく形成されている。
【0032】
図3に示すキャリアプレート20は、自動車用ドア4に固定された昇降機構40のガイドレール401に摺動可能に装着されるもので、アルミ合金又は合成樹脂で一体成形することができる。
【0033】
本実施形態のキャリアプレート20は、同図に示すように、昇降機構40のガイドレール401に係合するレール係合部201と、窓ガラスホルダ10の下端104の段部1014を受容するとともに当該窓ガラスホルダ10の基板101の両主面1011,1012とそれぞれ当面する仮保持溝状部202と、窓ガラスホルダ10の突起102が係合する、後端側が開口した切り欠き部203とを有する。
【0034】
レール係合部201は、断面コ字状のガイドレール401の両端壁部4011,4012を受容する2つの溝2011,2012と、同じくガイドレール401の中間背部4013に被さってガイドレール401の抜けを防止するストッパ2013とを有し、ガイドレール401の一端から当該レール係合部201を差し込むことで、キャリアプレート20がガイドレール401に組み付けられる。
【0035】
レール係合部201に隣接した位置に、昇降機構40のワイヤ402を差し込むための溝2014が形成され、この溝2014の中央にワイヤ402に固定された当該ワイヤ402よりも大径の大径部材403を受容する凹部2015が形成されている。そして、キャリアプレート20のレール係合部201をガイドレール401に差し込み、ワイヤ402を溝2014に差し込むとともに大径部材403を凹部2015に受容させ、ウィンドレギュレータ404を作動させてワイヤ402を何れかの方向に引っ張ると、大径部材403が凹部2015に係合しているのでキャリアプレート20がガイドレール401に沿って昇降することになる。これにより、キャリアプレート20に締結された窓ガラスホルダ10を介して窓ガラス30が昇降することになる。
【0036】
本実施形態のキャリアプレート20には、さらに仮保持溝状部202が形成され、この仮保持溝状部202は、窓ガラス30の下端303(又はホルダ10の下端の段部1014でもよい。)を受容する底部2021と、当該窓ガラス30の両主面とそれぞれ当面する第1縦壁部2022及び第2縦壁部2023とを有する。このうち第1縦壁部2022は、先の溝2014やレール係合部201の基板となる部材である。また、第2縦壁部2023は、同図に示すように上方に向かって開くように形成され、これにより窓ガラスホルダ10が接着固定された窓ガラス30を挿入してキャリアプレート20に載置する際の呼び込みの機能を司ることになる。
【0037】
第1縦壁部2022には、上述した切り欠き部203が形成され、この切り欠き部203には同図に示すように、窓ガラスホルダ10の突起102を係合正規位置に保持するための凸状部2032が形成されている。すなわち、切り欠き部203は、一端の開口から深さL3で形成されているが、この深さL3は窓ガラス30を組み付ける際の前後方向にスライド可能な寸法(図5(B)参照。)にほぼ等しくされている。そして、係合正規位置とは、窓ガラス30を組み付ける際の最終組付け位置をいう(図5(C)参照。)。この凸状部2032を窓ガラスホルダ10の突起102の軸部1022が乗り越えることにより、当該突起102が切り欠き部203にセットされることになり、組立作業者が窓ガラス30から手を離しても当該窓ガラス30は元の位置には戻らずこの位置をキープする。
【0038】
なお、切り欠き部203の開口の上下縁はともにテーパ面とされ、これにより窓ガラスホルダ10の突起102の挿入が円滑になされることになる。
【0039】
以上のように構成された窓ガラスホルダ10とキャリアプレート20を組み付けた場合の断面構造を図4に示す。
【0040】
次に、窓ガラス30の組立手順を説明する。
【0041】
まず始めに、窓ガラス30の下端303に窓ガラスホルダ10の接着面1011を接着剤により固定する。一方、キャリアプレート20のレール係合部201を昇降機構40のガイドレール401の一端から差し込み摺動可能に装着し、このガイドレール401、ウィンドレギュレータ404を含む昇降機構40を自動車用ドア4のインナパネルに取り付ける。
【0042】
そして、図5(A)に示すように、窓ガラス30の前端縁を案内する第1窓ガラス案内レール2を自動車用ドア4に装着し、窓ガラス30の後端縁を案内する第2窓ガラス案内レール3を自動車用ドア4に装着する前に、窓ガラスホルダ10を接着固定した窓ガラス30を自動車用ドア4の窓枠から挿入する。
【0043】
この状態において、第2窓ガラス案内レール3は装着されていないので、窓ガラス30は前後方向に所定寸法L3だけ移動可能な状態にある。この状態で窓ガラス30を図5(B)に示すように下ろしていき、窓ガラス30の下端303をキャリアプレート20の仮保持溝状部202の底部2021に受容させる。このとき、第1縦壁部2022と第2縦壁部2023によって窓ガラス30の下端303が呼び込まれて案内される。
【0044】
ここで、窓ガラス30の下端303をキャリアプレート20の仮保持溝状部202に受容させる際には、窓ガラス30の前後方向の正規位置から下ろして行くのではなく、窓ガラス30を車両後方に少しずらした位置から窓ガラス30を下ろして行く。
【0045】
そして、窓ガラス30の下端303をキャリアプレート20の仮保持溝状部202に受容させたら、図5(B)に示すように窓ガラス30を正規位置に向かって前方向にスライドさせる。このスライド時に、窓ガラスホルダ10の突起102がキャリアプレート20の切り欠き部203に係合し、最後に突起102の軸部1022が切り欠き部203の凸部2023を超えて保持されることになる。
【0046】
窓ガラス30が正規位置に保持されたら、図5(C)に示すように第2窓ガラス案内レール3を窓ガラス30の後端縁に填め込み、同図(D)に示すように第2窓ガラス案内レール3を自動車用ドア4にボルトなどにより固定する。
【0047】
以上により、窓ガラスホルダ10とキャリアプレート20を介して窓ガラス30を昇降機構40のガイドレール401に支持させることができる。
【0048】
このように、本実施形態の支持構造によれば、窓ガラス30と窓ガラスホルダ10とを接着剤を用いて固定しているので、窓ガラス30が割れたり、孔あけ工程が別途必要になったりすることがない。
【0049】
また、窓ガラスホルダ10とキャリアプレート20は、ボルトを孔に挿入する締結構造を採用せず、窓ガラス30を自動車ドア4に挿入及びスライドさせるだけで締結できるので、作業性が格段に向上することになる。
【0050】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係る窓ガラスの支持構造を用いた自動車用ドアを示す全体図である。
【図2】(A)は本発明の実施形態に係る窓ガラスホルダを示す斜視図、(B)は(A)のIIB-IIB線に沿う断面図である。
【図3】(A)は本発明の実施形態に係るキャリアプレートを示す斜視図、(B)は(A)のIIIB-IIIB線に沿う断面図、(C)は(A)のIIIC-IIIC線に沿う断面図である。
【図4】図1のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】(A)〜(D)は本発明の実施形態に係る窓ガラスの支持構造を用いた自動車用ドアの組立方法を示す全体図である。
【符号の説明】
【0052】
1…窓
2…第1窓ガラス案内レール(前側)
3…第2窓ガラス案内レール(後側)
4…ドア
10…窓ガラスホルダ
101…基板
1011…接着面
1012…接着面の反対面
1013…上端
102…突起
1021…膨出部
104…下端
20…キャリアプレート
201…レール係合部
202…仮保持溝状部
2021…底部
2022…第1縦壁部
2023…第2縦壁部
203…切り欠き部
2032…凸状部
30…窓ガラス
301…前端縁
302…後端縁
303…下端
40…昇降機構
401…ガイドレール
402…ワイヤ
403…大径部材
404…ウィンドレギュレータ
Claims (4)
- 窓の枠の前後に設けられ、窓ガラスの前後端縁をそれぞれ案内する窓ガラス案内レールの一方が、前記窓ガラスをドアに組み付けた後に装着される構造を有する自動車用ドアにおいて、前記ドアの窓を開閉すべく昇降機構に支持されて昇降移動する窓ガラスの支持構造であって、
前記窓ガラスの下端に接着固定された窓ガラスホルダと、
前記昇降機構のガイドレールに摺動可能に装着されたキャリアプレートとを有し、
前記窓ガラスホルダは、前記窓ガラスの下端に接着される接着面を有する基板と、当該基板の前記接着面の反対面から突出形成され先端に膨出部を有する突起とを有し、
前記キャリアプレートは、前記ガイドレールに係合するレール係合部と、当該レール係合部に一体形成され前記窓ガラスの下端又は前記窓ガラスホルダの下端を受容する仮保持溝状部と、前記レール係合部に一体形成され前記窓ガラスホルダの突起が係合する、前記一方の窓ガラス案内レール側が開口した切り欠き部とを有することを特徴とする自動車用窓ガラスの支持構造。 - 前記キャリアプレートの仮保持溝状部は、前記窓ガラス又は前記窓ガラスホルダの下端を受容する底部と、前記窓ガラス又は前記窓ガラスホルダの基板の両主面とそれぞれ当面する縦壁部とを有し、前記縦壁部の少なくとも一方が上方に向かって開くように形成されていることを特徴とする請求項1記載の自動車用窓ガラスの支持構造。
- 前記キャリアプレートの切り欠き部に、前記窓ガラスホルダの突起を係合正規位置に保持する凸状部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の自動車用窓ガラスの支持構造。
- 前記窓ガラスホルダは、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はポリアミド系樹脂を主成分とし、前記窓ガラスにシランカップリング剤を含有する1液タイプのウレタン接着剤により接着固定されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動車用窓ガラスの支持構造。
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-
2003
- 2003-07-24 JP JP2003279398A patent/JP2005042472A/ja active Pending
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