JP2005042422A - 防水工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水分を含んだ下地に対しても強固に接着可能であると共に、水密性や防水シートとの接着性に優れた防水構造を提供する。
【解決手段】下地1に予めプライマー6を塗って接着剤2を塗布し、その上に防水シート3を敷設する防水工法において、前記接着剤2をセメントペーストに樹脂エマルジョンを配合したポリマーセメントペースト接着剤とし、かつ、樹脂エマルジョンのセメントペーストへの配合量とセメント/樹脂エマルジョンの固形分比で100/20〜100/200の範囲として水密性,接着性を向上せしめ、その上から更に押え層としてコンクリート5を打設する。
【選択図】 図1
Description
本発明は下地、特に水分を含んだ湿潤下地に対して強固に接着,防水が可能である防水工法に関するものである。
防水工法、特に湿式防水工法は、建築物の屋上などに用いられる防水工法で、コンクリート下地上にセメントペーストを接着剤として塗布し、その上に樹脂やゴムなどのエラストマー材からなる防水シートを敷設して下地と接着し、更に上からコンクリートを打つことによって防水構造に作られている。
かかる防水工法の例として、、従来、コンクリート構造物の表面にセメントペースト層を施し、その上をセメントの粉体付着面がセメントペースト層に接するようにして防水シートで被覆する工法(例えば特許文献1,2参照)や表面をバフ処理や植毛処理したEVA防水シートをポリマーセメントにより下地に貼り付ける工法などが知られている。
一方、、本出願人はさきに湿潤下地に対してでも強固に接着することができる湿式断熱防水工法として、水分を含んだ下地にセメントペーストを塗布し、その上に繊維シートと断熱層を敷設し、更に断熱層の上に防水シートを敷設することを提案した。(例えば特許文献3参照)
しかし、上記従来の工法では接着剤として使用するセメントペーストは、セメントと水だけからなるセメントペーストや、セメントと水の他に少量の、通常、固形分比で100/4〜5程度の樹脂エマルジョンを配合したセメントペーストが用いられており、実質的な防水の役目を果たすのは防水シートであって、セメントペーストは防水シートを下地に接着する役目のみで、セメントに少量の樹脂エマルジョンを配合するとしても耐衝撃性の緩和やセメント特有の脆さを解消して下地への追従性をもたせるためにすぎなかった。
しかも、上記樹脂エマルジョンを少量配合したセメントペーストの透水量は5ml/24hrと大きいことから、水が浸透し漏水することがある外、これを阻止し防水性能を発揮させるにはシート端部からのペーストのはみ出し,エアー抜きなどに留意しなければならなかった。
ところが、驚いたことにセメントに配合する樹脂エマルジョンの比率を順次、上げてゆくとき、セメントペースト自身に水を通さない性能が付与されることを知見した。
即ち、本発明が解決しようとする課題は、かかる知見にもとづいてセメントペーストへの樹脂エマルジョンの配合量を高めることによって防水シートでの防水と、接着剤層による防水との2重防水構造を形成し、より防水の安全性を高めることを目的とするものである。
上記目的に適合する本発明の請求項1に係る発明は、下地上にセメントペーストを接着剤として塗布し、その上に防水シートを敷設する防水工法において、前記セメントペースト接着剤をセメントペーストに樹脂エマルジョンを配合したポリマーセメントペースト接着剤とし、かつ該ペースト中の樹脂エマルジョンのセメントペースト中への配合量をセメント/樹脂エマルジョンの固形分比で100/20〜100/200の範囲として水密性,接着性を向上せしめる防水工法にある。
請求項2に係る発明は、上記防水工法で敷設された防水シートの上に更に押え層を配設する方法である。
また、請求項3に係る発明は、より具体的な工法として、コンクリート下地上にセメントペーストを接着剤として塗布し、その上に防水シートを敷設して下地と接着し、更に上からコンクリート押え層を打設する防水工法において、前記セメントペースト接着剤をセメントペーストに樹脂エマルジョンを配合したポリマーセメントペースト接着剤とし、かつ該ペースト中の樹脂エマルジョンのセメントペーストへの配合量をセメント/樹脂エマルジョンの固形分比で100/20〜100/200の範囲として水密性,接着性を向上せしめる工法である。
更に請求項4に係る発明は、前記工法の下地にポリマーセメントペーストを塗布する前にプライマーを塗布することを特徴とし、請求項5に係る発明は、上記のプライマーがポリマーセメントペースト中に含まれる樹脂分のみを水に加えたポリマー固形分比7〜45%のエマルジョンであることを特徴とする。
本発明はセメントペーストに配合する樹脂エマルジョンの配合量を従来よりも高く、セメント/樹脂エマルジョンの固形分比で100/20〜100/200の範囲としたことによってセメントペースト自身に水を通さない性能を付与することができ、防水シートによる防水と、該接着剤層によるジョイント部分からの漏水阻止との2重防水効果が得られ、より防水の安全性を高めることができる。
また、上記構成を採ることによって、水分を含んだ湿潤下地であっても、乾燥を待つことなく、すぐに施工することができ、防水シートを強固に下地に接着することができる。
更に、下地にポリマーセメントペーストを塗布する前にプライマーを塗布することによりポリマーセメントペーストの下地へのなじみが増し、下地が乾燥している場合にポリマーセメントペースト中の水分が下地へ吸収されてセメントなどの水和硬化性粉末の水和が阻害されるのを阻止する。
また、下地のコンクリート表面には細かな孔を有しており、直接、ポリマーセメントペーストを塗ると孔内の空気によって気泡が生じてピンホールになるが、プライマーを予め塗ることによって孔を埋めることができ、ピンホールの発生を阻止することができる。
本発明は前述の如く、下地上にセメントペーストを接着剤として塗布し、その上に防水シートを敷設する防水工法において、特に前記セメントペーストの組成をセメントペーストに樹脂エマルジョンを配合したポリマーセメントペーストへの配合量を多くし、セメント/樹脂エマルジョンの固形分比で100/20〜100/200の範囲として水密性,接着性を向上せしめたものである。
ここで上記ポリマーセメントペーストにおいて、セメントペースト分として用いられるセメントとしては、水和硬化性粉体で、一般的なポルトランドセメントの外、アルミナセメント,フライアシュセメント,シリカセメント,マグネシアセメント,急硬性セメント等が含まれる。
また、砂などの骨材が混入された一般的にセメントモルタルと呼ばれるようなものも使用可能である。そして、現場の状態に合わせて硬化速度の速さは適宜選択すればよい。
更に、ポリマーセメントペーストには樹脂エマルジョンが配合されるが、配合されるこの樹脂エマルジョンは防水効果を高めるものであり、上述の如く本発明における重要な要素である。
加える樹脂エマルジョン成分としては、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA),変性EVA,アクリル樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂,アクリルスチレン,SBR,CRなどが挙げられる。なかでも、エチレン酢酸ビニル樹脂は接着性と安価であるため最も実用的である。
配合量としてはセメント/樹脂エマルジョン比(固形分比)で100/20〜100/200が好適であり、樹脂エマルジョン量を多くすることによって水密性や防水シートとの接着性が向上する。
もし、100/20以下だと透水量が大きく、水密性が殆どなくなるので好ましくない。
一方、20/100以上だと塗布のし易さが薄れ、乾燥までの時間がかかり、作業性が悪くなる欠点がある。
従って、上記セメント/樹脂エマルジョン比は上記100/20〜100/200の範囲が好適である。
なお、ポリマーセメントペーストを塗布する際の塗布厚としては1〜5mm程度、塗布量としては2〜10kg/m2程度が好ましい。
厚みが1mm未満であればその上に敷設する防水シートの表面の凹凸によるアンカー効果が少なくなり、防水性能を十分確保することができない。
一方、5mmを超える厚みでは、硬化するのに長時間を要してしまう。
次に上記ポリマーセメントペーストを接着剤として下地上に防水シートが敷設されるが、下地上に敷設される防水シートとしては、エチレン・プロピレン・ターポリマー(EPT),ブチルゴム(IIR)あるいはこれらのブレンド物などの加硫ゴムシートやポリプロピレン,ポリエチレン,エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂,塩化ビニル樹脂ならびにその変性体などの熱可塑性樹脂防水シートが用いられる。
そして、上記下地上に敷設される防水シート上には通常、押え層として上からコンクリートを打設することが行われる。
従って、下地がコンクリート構造物であるときは、ポリマーセメントペーストにより接着された防水シートを挟んで上下にコンクリートが配設された構造を形成する。
なお、下地に前述したポリマーセメントペーストを塗布するときは、塗布する前に予めプライマーを塗布することが有利である。
これはポリマーセメントペーストの下地へのなじみを増すことと、下地が乾燥している場合、ポリマーセメントペーストの水分が下地へ吸収されて、セメント等の水和硬化性粉末の水和が阻害されないためにも好適である。
プライマーとしてはポリマーセメントペーストに含まれる樹脂分のみを水に加えたエマルジョンがあり、通常、プライマーの樹脂固形分比が7〜45%程度であることが好ましい。
7%未満ではなじみを良くする効果が十分に得られず、また45%を超えると、なじみをよくする効果の向上は期待されず、塗布性も悪くなる。
図1は本発明防水工法における実施形態であり、図において1はコンクリート下地、2は本発明の特徴をなすポリマーセメントペーストよりなる接着剤、3は防水シート、4は上記2と同じくポリマーセメントペーストよりなる接着剤、5はコンクリートよりなる押え層、6はプライマーであり、本発明工法として下地1に対しポリマーセメントペースト2を塗ってその上に防水シート3を敷設し、更にポリマーセメントペースト4を接着剤として上からコンクリート押え層5を打設して図に示す構造が形成されている。
そして上記工法の施工にあたり、下地1のコンクリート表面には図示していないが、通常、細かな孔が存在していることから、直接、ポリマーセメントペーストに塗ると孔内の空気によって気泡が生じ、ピンホールになり易いため下地にポリマーセメントペーストを塗る前に予め図示の如くプライマー6を塗布している。
以下、上記の防水工法にもとづき、ポリマーセメントペーストに含まれる樹脂エマルジョンの配合量を変えて実施し、得られた各防水構造について夫々、透水性,接着状態を調べた。その結果は下記表1に示す通りであった。
上記表1より本発明に係る実施例は何れも比較例に比して透水量が少なく、水密性に優れた効果を有することが確認された。
また、接着力においても従来の防水構造に比べ遙かに強力であることが実証された。
本発明防水工法は建築,土木に関しセメントペーストを用いて防水シートを張り付ける場合に適用されるものであり、特に水分を含んだ下地に対する湿式防水工法としてシートジョイント部よりの漏水阻止に有効に適用されるが、樹脂エマルジョン配合セメントペースト剤単独でも塗膜防水材として利用可能である。
1 下地
2 樹脂エマルジョン配合セメントペースト
3 繊維シート
4 断熱層
5 防水シート
6 プライマー
Claims (5)
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下地上にセメントペーストを接着剤として塗布し、その上に防水シートを敷設する防水工法において、前記セメントペースト接着剤をセメントペーストに樹脂エマルジョンを配合したポリマーセメントペースト接着剤とし、かつ該ペースト中の樹脂エマルジョンのセメントペースト中への配合量をセメント/樹脂エマルジョンの固形分比で100/20〜100/200の範囲として水密性,接着性を向上せしめることを特徴とする防水工法。
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下地上に敷設された防水シートの上に更に押え層を配設する請求項1記載の防水工法。
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コンクリート下地上にセメントペーストを接着剤として塗布し、その上に防水シートを敷設して下地と接着し、更に上からコンクリート押え層を打設する防水工法において、前記セメントペースト接着剤をセメントペーストに樹脂エマルジョンを配合したポリマーセメントペースト接着剤とし、かつ該ペースト中の樹脂エマルジョンのセメントペーストへの配合量をセメント/樹脂エマルジョンの固形分比で100/20〜100/200の範囲として水密性,接着性を向上せしめることを特徴とする防水工法。
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下地にポリマーセメントペーストを塗布する前にプライマーを塗布する請求項1,2または3記載の防水工法。
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プライマーがポリマーセメントペースト中に含まれる樹脂分のみを水に加えたポリマー固形分比7〜45%のエマルジョンである請求項4記載の防水工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003278118A JP2005042422A (ja) | 2003-07-23 | 2003-07-23 | 防水工法 |
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JP2015067491A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 太平洋マテリアル株式会社 | 防水シート接着用ポリマーセメント組成物 |
JP2017066650A (ja) * | 2015-09-29 | 2017-04-06 | 三ツ星ベルト株式会社 | コンクリート下地への防水工法及び防水構造 |
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2003
- 2003-07-23 JP JP2003278118A patent/JP2005042422A/ja active Pending
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