JP2005042165A - 包装容器蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Cuを0.05乃至0.3質量%、Mnを0.2乃至0.6質量%、Mgを2.0乃至5.5質量%含有し、さらに、Siを0.05乃至0.3質量%、Feを0.05乃至0.4質量%に規制し、残部がAlと不可避的不純物からなる組成を有し、かつ、250℃の温度条件下で20秒間ベーキングした後の平行曲げ引張試験における破断限界伸び率が2%以上であることを特徴とする包装容器蓋用アルミニウム合金板として構成する。
【選択図】 なし
Description
(1)従来のキャンと同様に、缶胴部と缶底部が成形性に優れた3000系アルミニウム合金板の一体物からなり、これに3000系或いは5000系アルミニウム合金板からなるキャップ部が設けられたアルミニウム合金製のボトル缶(以下、「2ピースタイプのボトル缶」という。なお、特許文献1には1ピースタイプのボトル缶として記載されている。)が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
<包装容器蓋(缶蓋部)>
(1)前処理工程
包装容器蓋用アルミニウム合金板に、耐食性を確保するためクロメート処理を施す。
(2)塗装・焼付工程
クロメート処理後の表面に塗装・焼付を行う。
(3)シェル成形工程
塗装・焼付、若しくはラミネートされたアルミニウム合金板から所定の形状にブランキングした後、シェル成形を行う。
(4)カーリング成形工程
缶胴部と巻締めするための巻締め部(カール部)を成形する。
(5)コンパウンドライニング工程
巻締め部にラバーを注入する。
(6)コンバージョン成形工程(以下を同一プレスにて成形する)
(i)リベット成形(バブル成形およびボタン成形)
(ii)スコア成形(飲み口部の溝/スコア加工)
(iii)ビード・エンボス成形(凹凸、文字等の加工)
(iv)ステイク成形(タブ付け)
<包装容器>
(7)内容物充填工程(缶胴部)
(8)缶胴部と缶蓋部の巻締め工程
(9)洗浄/殺菌処理工程
という各工程を経て包装容器蓋および包装容器が製造されている。
しかし、ハンドリングで包装容器が変形しない、あるいは中味が漏れない等の包装容器としての信頼性を確保する必要があるので、当該塗装・焼付工程による過剰な強度低下は許されない。
すなわち、請求項1記載の発明は、Cuを0.05乃至0.3質量%、Mnを0.2乃至0.6質量%、Mgを2.0乃至5.5質量%含有し、さらに、Siを0.05乃至0.3質量%、Feを0.05乃至0.4質量%に規制し、残部がAlと不可避的不純物からなり、かつ、250℃の温度条件下で20秒間ベーキングした後の平行曲げ引張試験における破断限界伸び率が2%以上であることを特徴とする包装容器蓋用アルミニウム合金板にある。
その結果、成形性、耐割れ性および応力緩和性は、アルミニウム合金の成分や冷間圧延後の焼鈍条件等と密接な関係があることを見出した。
[Cuを0.05乃至0.3質量%とした理由]
本発明に係る包装容器蓋用アルミニウム合金板に含まれるCuは、Mgと共存して時効析出によるべークハード効果を発現する。このため、塗装・焼付或いはラミネート工程で析出硬化性が付与され、包装容器蓋としての剛性を維持する。また、応力緩和性を高める。
Cuが0.05質量%未満では、十分なべークハードの効果および応力緩和性が得られず、また、0.3質量%を超える含有量では、鋳塊割れ、熱間圧延時の割れを引き起こし易くなるばかりか、得られたアルミニウム合金板の耐食性が著しく劣化する。
従って、Cuは、0.05乃至0.3質量%とする。
本発明に係る包装容器蓋用アルミニウム合金板に含まれるMnは、強度向上により包装容器蓋の剛性維持に効果がある。また、アルミニウム合金結晶粒の微細化により成形性向上にも効果がある。
Mnは、0.2質量%未満では、前記効果が少なく、0.6質量%を超えると粗大なAl−Fe−Mn系金属間化合物を生成し、成形時やバックリング時の割れの起点となるため好ましくない。
従って、Mnは、0.2乃至0.6質量%、さらに望ましくは、0.3乃至0.5質量%とする。
本発明に係る包装容器蓋用アルミニウム合金板に含まれるMgは、前記のCuと同じく材料強度に寄与する元素である。
Mg含有量が2.0質量%未満では、包装容器蓋用アルミニウム合金板として十分な強度が得られず、また、Mg含有量が5.5質量%を超えると鋳塊割れ、熱間圧延時の割れを引き起こし易くなる。
従って、本発明では、Mgの含有量を2.0乃至5.5質量%とする。
本発明に係る包装容器蓋用アルミニウム合金板に含まれるSiは、開缶性を向上させるMg−Si系金属間化合物の生成および組織の安定化に効果を示す元素である。
Si含有量が0.05質量%未満では、Mg−Si系金属間化合物の生成量が少なく開缶性への効果が低いばかりか、Al地金の純度を高める必要があり、コストアップ要因となることから不適である。
また、Si含有量が0.3質量%を超えると、Mg−Si系金属間化合物の過剰生成による成形性の低下し、また、固溶Mgの減少による材料強度やベークハード性が必要以上に低下するため不適である。
従って、Siは、0.05乃至0.3質量%とする。
本発明に係る包装容器蓋用アルミニウム合金板に含まれるFeは、アルミニウム合金の結晶粒サイズに影響する。Fe含有量が0.05質量%未満では、結晶粒が粗大化し、また、Al地金の純度を上げる必要がありコストアップ要因となる。
また、Fe含有量が0.4質量%を超えると、最大長が20μmを超えるような巨大なAl−Fe−Mn系金属間化合物を生成し、成形性を低下させる。
このため、本発明では、Feの含有量を0.05乃至0.4質量%とする。
本発明に係る包装容器蓋用アルミニウム合金板に含まれる不可避的不純物として、Zn:0.2質量%以下、Ti:0.1質量%以下、Zr:0.1質量%以下、B:0.1質量%以下の含有は本発明の効果を妨げるものではなく、このような不可避的不純物の含有は許容される。
250℃の温度条件下で20秒間ベーキングした後の平行曲げ引張試験における破断限界伸び率は、アルミニウム合金板の展性や延性などの物性、特に本発明では応力緩和性の評価にも用いることができる。
ベーキング後の平行曲げ引張試験における破断限界伸び率が2%以下であると、エンド成形後の巻き締め工程で巻き締め加工部に厳しい曲げ変形が加わったとき延性が低下して破断したり、充填・巻き締め後耐圧強度を超えて内圧がかかりバックリングが発生してエンドカウンターシンク部(曲げ加工部)が曲げ戻される形態で急速に反転したとき、カウンターシンク部近傍で破断する等の不具合が生じるため不適である。
従って、本発明では、ベーキング後の平行曲げ引張試験における破断限界伸び率は2%以上とする。
なお、この特性は曲げ成形部の成形性や割れ感受性を示す指標であり、成分・圧延巻取温度をはじめとする製造工程を規定、適正化することにより達成される。
次に、本発明の包装容器蓋用アルミニウム合金板の製造方法について図1に示すフローチャートを参照して説明する。
本発明の包装容器蓋用アルミニウム合金板の製造方法は、まず、本発明の請求項1に規定する組成成分を含有するアルミニウム合金鋳塊(スラブ)の均質化熱処理工程(S1)を行った後、熱間圧延処理工程(S2)および冷間圧延処理工程(S3)を行い、かかる冷間圧延後の圧延板を100℃/分以上の加熱速度で加熱処理する工程と、この工程により400乃至550℃まで加熱し、加熱直後に100℃/分以上の冷却速度で200℃以下に冷却する工程とを有する焼鈍処理工程(S4)か、もしくは、前記400乃至550℃の温度まで加熱した後、10分間以内加熱・保持する工程と、かかる工程により高温で保持された圧延板を100℃/分以上の冷却速度で200℃以下に冷却する工程とを有する焼鈍処理工程(S4)を行い、当該工程による焼鈍処理が終了した圧延板の圧延率が50乃至80%となるよう冷間圧延処理工程(S5)を行い、さらに、冷間圧延されたアルミニウム合金板を120乃至150℃の巻取り温度でコイルに巻き取る巻取り工程(S6)を行う。以上説明した製造方法とすることで、本発明が目的とするところの成形性および応力緩和性に優れた包装容器蓋用アルミニウム合金板を得ることができる。
なお、前記各工程のうち、均質化熱処理工程(S1)、熱間圧延処理工程(S2)および冷間圧延処理工程(S3)については、従来公知の方法で行うことができる。
以下に、前記本発明の製造方法において製造条件を限定した理由について説明する。
[冷間圧延後の焼鈍処理工程(S4)]
包装容器蓋用アルミニウム合金板としての成形性および応力緩和性を高めるためには、冷間圧延後に焼鈍が必要である。
当該焼鈍処理工程における加熱速度および冷却速度は、アルミニウム合金再結晶粒の結晶粒サイズ、固溶元素(Mg、Cu)の固溶量に影響を及ぼす。
加熱速度が100℃/分未満では、再結晶粒サイズが大きくなり、成形性が低下する。更に、冷却速度が100℃/分未満では、固溶成分の固溶状態を保つことができなくなりべークハードの効果および応力緩和性が得られなくなる。
また、保持温度が400℃未満では、十分な再結晶粒組織を得ることができず、550℃を超えるとアルミニウム合金板表面のバーニング発生等品質的な異常を引き起こす。
また、加熱処理後の保持時間が10分間を超えることは、生産性が著しく低下するため不適である。
従って、加熱速度は100℃/分以上、冷却速度は100℃/分以上、さらに、加熱時の保持温度は400乃至550℃とし、加熱処理後の保持時間は10分間以内であることが必要であるが、保持時間を設けずに加熱処理直後(すなわち、保持時間としては0秒間となる)に冷却処理する工程を行うことがより望ましい。
また、焼鈍処理工程としては、連続焼鈍処理が好ましいが、バッチ式としてもよい。
焼鈍処理工程後の冷間圧延は、包装容器蓋用アルミニウム合金板の強度を高めるために必要である。この際、圧延率が50%未満では、十分な強度が得られず、また、80%を超える圧延率では、べークハードの効果より圧延歪みの熱軟化の程度が上回り、結果として包装容器蓋の応力緩和性が低下してしまう。
従って、冷間圧延率は、50乃至80%とする。
冷間圧延後に120℃未満の温度でコイルに巻き取ると、冷間圧延による加工組織の回復(サブグレイン化)が不十分で不均一変形が生じ易くなり、ベーキング後の平行曲げ引張試験における破断限界伸び率が2%未満となるため、包装容器の巻き締め加工時に巻き締め部が破断する、また内圧変化により包装容器蓋のカウンターシンク部が破断する等の恐れがある。
また、150℃を超える温度でコイルに巻き取ると、結晶粒界にβ相が析出し粒界脆化が起こるため、特に、圧延方向に沿った加工部で割れが発生し易くなる。
従って、冷間圧延後の巻取り温度は、120℃乃至150℃とする必要がある。
なお、当該コイルの温度は、巻き取り直後のコイル側面の円周中心部分および円周外縁部分の2点をポータブル式の接触式温度計にて測定した。
表1に示す化学成分を有する各アルミニウム合金鋳塊を均質化熱処理工程(S1)後、熱間圧延処理工程(S2)および冷間圧延処理工程(S3)を施し、その後に表1に示す条件で焼鈍処理工程(S4)および冷間圧延処理工程(S5)を行い、板厚0.30mmの各アルミニウム合金板を作製した。
なお、焼鈍処理工程(S4)の焼鈍処理条件は、以下のように設定した。
<焼鈍処理条件>
加熱速度:120℃/分
保持温度:500℃×0秒
冷却速度:150℃/分
(1)平均結晶粒サイズ
各条件で作製したアルミニウム合金板の表面を鏡面とした後、表面をエッチングし、倍率が100倍の金属顕微鏡により金属組織を観察および写真撮影した。
この際、圧延方向に直角な方向に既知の長さの線分(例えば、1mm)を引き、線分により切断された結晶粒の数を求め線分の長さで除することにより、結晶粒1個当たりの結晶粒サイズを求めた(切断法)。場所を変えて同様の測定を繰返し行い(5箇所)、その平均値を平均結晶粒サイズとした。
各条件で作製したアルミニウム合金板について、引張り方向が圧延方向と平行になるようにJIS5号による引張り試験片を作製した。その後、包装容器が製造時に受ける最高温度250℃で20秒間、ソルトバスによる塗装・焼付相当処理にてベーキングを行い、JIS Z 2241(金属材料引張試験方法)に準じて引張り試験を行い、耐力を求めた。
平行曲げ引張試験における破断限界変位量の測定は、図2に示す方法によって行った。すなわち、本発明の条件にて製造されたアルミニウム合金板を250℃、20秒のソルトバスによる塗装・焼付相当ベーキング処理をした後、長さ100mm、幅20mmの試験片1を作製し、これを先端R0.1mmポンチ2にて90度V字型に折り曲げ(同図(a))、これを2つの平らな板等により平板に戻し平板3とする(同図(b))。かかるアルミニウム合金板試験片の平板3には折り目が付けられている。そして、かかる平板3を長手方向に引張ることにより、その破断限界変位量を測定する(同図(c))。前記平行曲げ引張試験では、アルミニウム合金板の圧延目に沿って曲げ試験を実施した場合の方がアルミニウム合金板試験片の平板3の伸びが小さいので、アルミニウム合金板の圧延方向と平行となる方向で平板3の曲げ部を形成するように実施した。すなわち、平板3の引張方向はアルミニウム合金板の圧延目と直角の方向となる。
破断伸び率(%)=(破断変位量(mm)/50(mm))×100 (1)
本発明においては2%以上の伸び率を要することから、この場合の破断変位量は1mm以上有していることが必要となる。
表1に示す各条件にて作製したアルミニウム合金板に所定の前処理を施した後、膜厚が5μmのエポキシ系樹脂塗膜を両面に塗装し、加熱温度250℃、加熱時間20秒の加熱条件にて焼き付けた。
その後、図3に示すように、前記試験片1に、球頭ポンチ4により張り出し成形加工を施して張り出し成形加工性を確認する球頭張出試験(球頭直径:6mmφ、張出量:1.5mm)を実施し、以下の規準にて性能を評価した。張出部に、割れや肌荒れが見られないものを、問題なしとして「○」、張出部5に肌荒れが見られたものを「△」、張出部に割れが見られたものを「×」とした。なお、前記球頭張出試験にあたっては、球頭ポンチ4が被加工材であるアルミニウム合金板の試験片1に接する前に、当該試験片1を工具6で押さえながら行った。
この評価方法は、日本電子材料工業会で規格化されている手法(応力緩和試験;EMAS−3003)により行った。図4に応力緩和性を評価する手法の概要を示す。試験方法としては、塗装・焼付工程に相当するベーキング処理(温度条件250℃で20秒間加熱処理)を実施後、板厚0.3mm、幅10mm、長さ100mmの試験片1’を作製し、蓋材の変形状態を模擬するため、日本電子材料工業会標準規格EMAS−3003に記載の片持ち梁式によって、缶蓋溝部(カウンターシンク部)加工工程に相当する予歪2.5%(たわみ距離(L):30mm、たわみ高さ(H):10mm(たわみ距離および高さの関係から、負荷応力350MPaに相当))を与え、試験温度120℃、保持時間3時間の所定雰囲気中で弾性的なたわみ変形状態で保持し、応力除去後のたわみ高さ(h)を測定した。なお、試験片のたわみ高さ(h)が大きいほど応力緩和性に劣ることとなる。
本発明においては、たわみ高さ(h)が7mm以下のものは、応力緩和性に優れるとして「○」とし、これを超えるたわみ高さとなる場合には、応力緩和性に劣るとして「×」とした。
表1の各条件で作製したアルミニウム合金板に所定の前処理を施した後、膜厚5μmのエポキシ系樹脂塗膜を両面に塗装し、250℃の温度条件下で20秒間焼き付けた。
その後、前記塗装板材を前記した包装容器蓋および包装容器についての一般的な製造工程で説明した(3)シェル成形、および、(6)コンバージョン成形し、厚さ0.35mm、スコア残厚110μmとなるように成形した。このように成形した包装容器蓋8にSOT(Stay On Tab)式のタブ9を取り付け、開缶性についての試験を行った(図5参照)。
開缶動作は、図5(a)に示すリード測器製開缶試験機7を用いて行った。開缶試験機7にタブ9を取り付けた包装容器蓋8を取着し、このタブ9の掛止部Pに開缶試験機7の掛止具71を掛止し、掛止具71を水平方向に引張り、タブ9に荷重が掛ったと同時に包装容器蓋8を同図(b)の矢印X方向に90度回転させ元の位置に戻すことによりスコア亀裂を発生させた。
同図(c)に示すタブ長手方向延長Eを越えてスコア亀裂が伝播したものを、問題なく開缶したとして「○」とし、タブ長手方向延長Eまでスコア亀裂が伝播しなかったもの(半開缶)を問題ありとして「×」とした。
表2に前記各評価の結果を示す。
すなわち、比較例No.1はCuの含有量が本発明で規定する必要条件の下限値から外れているために、十分なべークハードの効果および応力緩和性を得ることができないので、応力緩和性評価が劣る結果となった(×)。
比較例No.2はCuの含有量が本発明で規定する必要条件の上限値から外れているために、得られたアルミニウム合金板は鋳塊割れや熱間圧延時の割れが生じ易く、また耐食性が著しく劣化する。すなわち、得られたアルミニウム合金板は機械的強度が脆弱な合金板として製造されたものであり、平行曲げ引張試験の伸び率が低く、球頭張出成形性について張出部に割れが発生した(×)。
比較例No.4は、Mnの含有量が本発明で規定する必要条件の上限値から外れているために、粗大なAl−Fe−Mn系金属間化合物が生成し、成形時やバックリング時の割れの起点が発生するために平行曲げ引張試験の伸び率が低く、また、球頭張出成形性について張出部に割れが発生した(×)。
比較例No.6は、Mgの含有量が本発明で規定する必要条件の上限値から外れているために、鋳塊割れや熱間圧延時の割れが生じ易くなっており、これに起因して、平行曲げ引張試験の伸び率が低く、また、球頭張出成形性について張出部で割れが発生した(×)。
比較例No.8は、Siの含有量が本発明で規定する必要条件の上限値から外れているために、Mg−Si系金属間化合物の過剰生成による成形性低下および固溶Mgの減少により、材料強度やベークハード効果が必要以上に低下する結果、平行曲げ引張試験の伸び率が低く、また、球頭張出成形性について張出部に割れが発生した(×)。
比較例No.10は、Feの含有量が本発明で規定する必要条件の上限値から外れているために、最大長が20μmを超えるような巨大なAl−Fe−Mn系金属間化合物が生成し、成形性が低下したので、平行曲げ引張試験の伸び率が低く、また、球頭張出成形性について割れが発生した(×)。
比較例No.12は、冷間圧延率が本発明で規定する必要条件の上限値から外れているために、べークハードの効果より圧延歪みの熱軟化の程度が上回り、平行曲げ引張試験での伸び率が低くなったので、これに起因して応力緩和量が増大し、応力緩和性が劣る結果となった(×)。
Claims (3)
- Cuを0.05乃至0.3質量%、Mnを0.2乃至0.6質量%、Mgを2.0乃至5.5質量%含有し、さらに、Siを0.05乃至0.3質量%、Feを0.05乃至0.4質量%に規制し、残部がAlと不可避的不純物からなる組成を有し、かつ、
250℃の温度条件下で20秒間ベーキングした後の平行曲げ引張試験における破断限界伸び率が2%以上であることを特徴とする包装容器蓋用アルミニウム合金板。 - 請求項1に記載の包装容器蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、
前記組成のアルミニウム合金からなる鋳塊の均質化熱処理を行う第1工程と、
前記第1工程で均質化熱処理された鋳塊を熱間圧延処理する第2工程と、
前記第2工程で熱間圧延された圧延板を冷間圧延処理する第3工程と、
前記第3工程で冷間圧延された圧延板を焼鈍処理する第4工程と、
前記第4工程で焼鈍処理された圧延板を冷間圧延処理する第5工程と、
前記第5工程で冷間圧延されたアルミニウム合金板をコイルに巻き取る第6工程とを含み、
前記第4工程における焼鈍処理が、冷間圧延された圧延板を100℃/分以上の加熱速度で400乃至550℃に加熱処理する工程と、前記加熱処理直後に加熱された圧延板を100℃/分以上の冷却速度で200℃以下に冷却処理する工程とを有し、
前記第5工程における冷間圧延の圧延率が50乃至80%となるものであって、
さらに、前記第6工程におけるコイルへの巻取り温度が120乃至150℃であることを特徴とする包装容器蓋用アルミニウム合金板の製造方法。 - 請求項1に記載の包装容器蓋用アルミニウム合金板の製造方法であって、
前記組成のアルミニウム合金からなる鋳塊の均質化熱処理を行う第1工程と、
前記第1工程で均質化熱処理された鋳塊を熱間圧延する第2工程と、
前記第2工程で熱間圧延された圧延板を冷間圧延する第3工程と、
前記第3工程で冷間圧延された圧延板を焼鈍処理する第4工程と、
前記第4工程で焼鈍処理された圧延板を冷間圧延する第5工程と、
前記第5工程で冷間圧延されたアルミニウム合金板をコイルに巻き取る第6工程とを含み、
前記第4工程における焼鈍処理が、冷間圧延された圧延板を100℃/分以上の加熱速度で加熱処理する工程と、前記工程で加熱処理された圧延板を400乃至550℃で10分間以内加熱・保持する工程と、前記工程で加熱・保持された圧延板を100℃/分以上の冷却速度で200℃以下に冷却処理する工程とを有し、
前記第5工程における冷間圧延の圧延率が50乃至80%となるものであって、
さらに、前記第6工程におけるコイルへの巻取り温度が120乃至150℃であることを特徴とする包装容器蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
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