JP2005042031A - 塗料用水性プライマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材および種々の極性上塗り塗料の両者に対する密着性が良好で、かつ高い塗膜強度を有する塗料用水性プライマー組成物を提供する。
【解決手段】 ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する塗料用水性プライマー組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、主に、ポリオレフィン系樹脂からなる基材に塗装を行う際に、塗料の下地として用いられる塗料用水性プライマー組成物に関する。
オレフィン系単量体の重合体であるポリオレフィン樹脂は、機械的性質、耐薬品性に優れる上に、低コストで成形加工が容易であることから、多種の用途に幅広く利用されている。さらに、ポリオレフィン樹脂はリサイクル性にも優れることから、近年の地球環境問題を背景としてその用途はさらに拡大しつつある。
しかしながら、ポリオレフィン系樹脂は非極性であることから、ポリオレフィン樹脂成形物等の基材表面への塗装や接着が困難であることが知られている。
よって、ポリオレフィン系樹脂成形物の表面に塗装や接着を行う場合には、該樹脂成形物の表面にプラズマ処理、火炎処理、紫外線照射処理、クロム酸処理などの表面処理を施して、ポリオレフィン系樹脂成形物の表面を活性化させて、その付着性を改良する方法が一般に採用されている。
しかしながら、このような表面処理を行うことは、その付加的な処理のため、塗装工程が複雑で多大な設備費や時間的なロスを伴い、また、成形物の形や大きさ、樹脂中に含まれる顔料や添加物の影響により、表面処理効果にバラつきが生じやすいという欠点を有していた。
無処理のポリオレフィン系樹脂に塗装する方法としては、ポリオレフィン系樹脂に対して強い密着性を有する塩素化ポリオレフィンをプライマー(塗装の下側の層)として用い、トップコート(塗装の上側の層)としてアクリル系樹脂などを使用する方法も知られている。例えば、塩素化ポリオレフィンに(メタ)アクリル酸エステルおよび不飽和カルボン酸をグラフト重合させたグラフト重合体を含む塗料用樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、含塩素化合物は、環境問題への関心の高まりから、その使用が回避される傾向にある。そのため、近年では、塩素を含まないプライマーに対する要求が急速に高まっている。
塩素を含まないプライマー組成物としては、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂をはじめとする種々の酸変性ポリオレフィン樹脂からなるプライマー組成物が提案されている。例えば、ポリオレフィン樹脂にアクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸をグラフト共重合させた後、さらにポリエステルまたはアルコールなどを反応させた変性共重合体を含むプライマー組成物が開示されている(例えば、特許文献2)。また、ポリオレフィン樹脂が不飽和カルボン酸および特定の(メタ)アクリレートでグラフト変性された変性ポリオレフィン樹脂を含むプライマー組成物が開示されている(特許文献3)。
しかしながら、これらプライマー組成物には、有機溶剤が使用されており、近年の環境負荷の問題や残留溶剤臭の問題から水性でかつ非塩素系の塗料組成物が要望されている。
水性組成物としては、カルボキシル基含有塩素化ポリオレフィン樹脂に水酸基含有アクリルモノマーを重合させた水性分散液に、アクリルモノマーを加え、重合させた水分散液が開示されている(例えば、特許文献4)。また、ポリオレフィン樹脂を強制乳化により水に分散させた後、スチレンおよびアクリル酸2−エチルヘキシルなどの単量体をグラフト重合させた塗料組成物が開示されている(例えば、特許文献5)。
しかしながら、これら水性組成物は、塗膜を形成した際に、グラフト重合時に副生するホモ(メタ)アクリル系ポリマーの相分離による塗膜強度の低下が見られ、プライマーとして用いた場合、上塗り塗料種によっては密着性が不十分でない問題点を有していた。
特公昭63−24628号公報(第1−5頁) 特開平11−217537号公報(第2−8頁) 特開2002−173514号公報(第2−12頁) 特開2002−308921号公報 特開2000−281960号公報
よって、本発明の目的は、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材および種々の極性上塗り塗料の両者に対する密着性が良好で、かつ高い塗膜強度を有する塗料用水性プライマー組成物を提供することにある。
すなわち、本発明の塗料用水性プライマー組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有することを特徴とするものである。
ここで、前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)は、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルであることが望ましい。
本発明の塗料用水性プライマー組成物は、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材および種々の極性上塗り塗料の両者に対する密着性が良好であり、かつ高い塗膜強度を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
<ポリオレフィン樹脂(A)>
本発明におけるポリオレフィン樹脂(A)とは、オレフィン系単量体のラジカル重合、イオン重合等で得られるオレフィン系単独重合体または共重合体;優位量のオレフィン系単量体と劣化量のビニル系単量体との共重合体;オレフィン系単量体とジエン系単量体との共重合体等を主成分とするものである。
ポリオレフィン樹脂(A)の具体例としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超々低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレンと炭素数5〜12のα−オレフィンとからなる共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルトリメトキシシラン共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびその水素添加物等を挙げることができる。これらは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも水分散性を考慮した場合、ポリオレフィン(A)として低結晶性、もしくは非晶性ポリオレフィンを用いることが好ましい。低結晶性もしくは非晶性ポリオレフィンの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびその水素添加物が挙げられる。
また、ポリオレフィン樹脂(A)は、環境への影響を考慮した場合、塩素原子を含むポリオレフィン樹脂、すなわち塩素化されたポリオレフィンを含有しないことが好ましい。
<ビニル系単量体(B)>
本発明におけるビニル系単量体(B)は、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むことを特徴とするものである。
ここで、2級炭素原子または3級炭素原子とは、アクリロイルオキシ基(CH2 =CHCOO−)またはメタクリロイルオキシ基(CH2 =C(CH3 )COO−)を除く、水素原子以外の任意の基を2つまたは3つ有する炭素原子であり、これら任意の基は互いに結合して環を形成していてもよいものである。また、(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを意味する。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)の具体例としては、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロオクチル、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロデカニル、メタクリル酸シクロペンタジエニル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アダマンチル等の脂環式炭化水素基を有するメタクリル酸エステル単量体;メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸t−アミル、メタクリル酸ジプロピルメチル、メタクリル酸トリプロピルメチル、メタクリル酸ジイソプロピルメチル、メタクリル酸トリイソプロピルメチル、メタクリル酸ジブチルメチル、メタクリル酸トリブチルメチル、メタクリル酸ジイソブチルメチル、メタクリル酸トリイソブチルメチル、メタクリル酸ジt−ブチルメチル、メタクリル酸トリt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有するメタクリル酸エステル単量体;アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸シクロオクチル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸シクロペンタジエニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチル等の脂環式炭化水素基を有するアクリル酸エステル単量体;アクリル酸イソプロピル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸t−アミル、アクリル酸ジプロピルメチル、アクリル酸トリプロピルメチル、アクリル酸ジイソプロピルメチル、アクリル酸トリイソプロピルメチル、アクリル酸ジブチルメチル、アクリル酸トリブチルメチル、アクリル酸ジイソブチルメチル、アクリル酸トリイソブチルメチル、アクリル酸ジt−ブチルメチル、アクリル酸トリt−ブチルメチル等の分岐状炭化水素基を有するアクリル酸エステル単量体等が挙げられる。
これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でもポリオレフィン基材への密着性、塗膜とした場合の塗膜強度を考慮した場合、メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルを用いることが好ましい。
本発明におけるビニル系単量体(B)はアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)以外にその他の単量体を含んでいてもよい。
その他の単量体はアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)とラジカル共重合できるものであれば特に限定されない。
その他の単量体の具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸3−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール、プラクセルFM(ダイセル化学(株);カプロラクトン付加単量体)、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸ノルマルブトキシエチル、メタクリル酸イソブトキシエチル、メタクリル酸tーブトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸ノニルフェノキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチル、ブレンマーPME−100、ブレンマーPME−200(日本油脂(株))、ブレンマー50POEP−800B(日本油脂(株))、ブレンマー20ANEP−600(日本油脂(株))等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アタクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコール、プラクセルFA(ダイセル化学(株);カプロラクトン付加単量体)、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸ノルマルブトキシエチル、アクリル酸イソブトキシエチル、アクリル酸tーブトキシエチル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸ノニルフェノキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、ブレンマーAME−100、200(日本油脂(株))、ブレンマー50AOEP−800B(日本油脂(株))等のアクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物等のα,β−不飽和カルボン酸類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド等のマレイミド類;カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等のビニルエステル類;ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン等のジエン類;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン等のモノもしくはポリアルキルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ブトキシメタクリルアミド、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ブトキシアクリルアミド等重合性アミド類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート類、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の不飽和有機シラン化合物等が挙げられる。
これらの中でも、入手のし易さ、密着性の面から、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、α,β−不飽和カルボン酸類が好ましい。さらに、これらの中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸がより好ましい。
これら、その他の単量体は1種を単独でもしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ビニル系単量体(B)は、環境への影響を考慮した場合、分子内に塩素原子を含有しないものであることが好ましい。
ビニル系単量体(B)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)の含有量は特に制限されないが、塗膜とした場合のポリオレフィン基材への密着性、極性樹脂などへの密着性、塗膜強度を考慮すれば、ビニル系単量体100質量%に対して5〜99.5質量%であることが好ましい。さらに好ましくは10〜95質量%である。
<変性ポリオレフィン樹脂>
本発明における変性ポリオレフィン樹脂は、ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)でグラフト変性したものである。
ここで、「グラフト変性」とは、変性対象樹脂(本発明におけるポリオレフィン樹脂(A))の存在下で、ビニル系単量体(B)をラジカル重合してグラフト共重合体を生成させることをいう。ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)でグラフト変性して得られる変性ポリオレフィン樹脂には、通常、グラフト共重合体とともに、未変性のポリオレフィン樹脂(A)、およびビニル系単量体(B)の単独重合体またはランダム共重合体が含まれるが、本発明においては、発明の趣旨を損なわない限り、これらを含めて変性ポリオレフィン樹脂という。
本発明の塗料用水性プライマー組成物が、ポリオレフィン基材および極性樹脂に良好な密着性を示し、かつ高い塗膜強度を有するためには、変性ポリオレフィン樹脂はポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性する必要がある。
グラフト変性は、ポリオレフィン樹脂(A)とビニル系単量体(B)との質量比(A/B)が1/95〜99/5の範囲で行われることが好ましい。ポリオレフィン樹脂(A)が少なすぎると、ポリプロピレンなどの難密着性を示す低極性樹脂からなる基材への密着性が低下する場合がある。また、ビニル系単量体(B)が少なすぎると、極性樹脂への密着性が低下する場合がある。さらに好ましくは、質量比(A/B)=5/95〜95/10の範囲である。
また、変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、強度、形態保持性の観点から10000〜300000が好ましく、20000〜200000がより好ましい。ここで、重量平均分子量は、クロロホルムを溶媒として用い、35℃の条件下でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(Waters製、GPC150−C、ポリメチルメタクリレート換算)を用いて測定される。
<塗料用水性プライマー組成物>
本発明の塗料用水性プライマー組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)を、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含有するビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含んでなるものである。具体的には、この変性ポリオレフィン樹脂の粒子が水に分散した水分散液である。
以下に塗料用水性プライマー組成物の製造方法を説明する。
本発明の塗料用水性プライマー組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)および(メタ)アクリル酸エステル(b)を含む単量体(B)を、界面活性剤などを使用して水媒体中に乳化分散させた後、重合開始剤を用いて加熱重合することで得られる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、その他反応性界面活性剤などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
界面活性剤の使用量は、変性ポリオレフィン樹脂に対して、固形分換算で1〜30質量%が好ましく、2〜25質量%であることがさらに好ましい。
重合は、ポリオレフィン樹脂(A)の乳化分散液に重合開始剤を含有したビニル系単量体(B)の乳化分散液を一括、または滴下により加え行う。また、ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)中に溶解させ、これを水中に乳化分散させた後、重合を行うこともできる。
ポリオレフィン樹脂(A)を乳化分散せしめる方法としては、ポリオレフィン樹脂(A)を溶融下、または、ポリオレフィン樹脂(A)をビニル系単量体(B)に溶解した溶液下に、界面活性剤を含有した水を一括、もしくは滴下して加える方法;さらに、これをニーダー、ホモミキサー、ホモジナイザー等で強制乳化させる方法等が挙げられる。変性ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径を制御しやすい点からは、強制乳化させることが好ましい。
変性ポリオレフィン樹脂粒子の平均粒子径は、塗装化時の塗装固形分向上、塗膜の外観向上の観点から20〜1000nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは50〜500nmの範囲である。
また、変性ポリオレフィン樹脂粒子は、乳化液の安定性、塗装効率の点から全質量(変性ポリオレフィン樹脂と水の合計)に対して、3〜60質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
重合時に使用される重合開始剤は、特に限定されるものではなく、通常の乳化重合等に使用されるものを使用できる。重合開始剤の具体例としては、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウリルパーオキサイド等の有機化酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;あるいはこれらと鉄イオン等の金属イオンおよびナトリウムスルホキシレート、ホルムアルデヒド、ピロ亜硫酸ソーダ、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸、ロンガリット等の還元剤との組み合わせによるレドックス開始剤等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
重合開始剤は、ビニル系単量体(B)100質量部に対し、0.001〜20質量部の範囲で使用されることが好ましい。重合開始剤が少なすぎると、重合反応が円滑に進まない場合があり、多すぎると、ポリオレフィン樹脂(A)の分子開裂が生じやすくなる場合がある。ラジカル重合開始剤の使用量は、ビニル系単量体(B)100質量部に対し、より好ましくは0.01〜10質量部であり、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
ビニル系単量体(B)を重合させる温度は、使用したラジカル重合開始剤が分解する範囲であれば特に制限ないが、通常50〜150℃である。
また、必要に応じてt−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;アリルスルフォン酸、メタアリルスルフォン酸およびこれらのソーダ類等のアリル化合物などを分子量調整剤として使用することも可能である。
また、本発明の塗料用水性プライマー組成物は、溶液の安定性の観点からpHを6.5〜10.0の範囲とすることが好ましい。pHは、例えばグラフト重合後に塩基性化合物を添加することによって調整することができる。ここで使用できる塩基性化合物の具体例としては、アンモニア、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジブチルアミン、アミルアミン、1−アミノオクタン、2−ジメチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノール、2−プロピルアミノエタノール、エトキシプロピルアミン、アミノベンジルアルコール、モルホリン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
また、本発明の塗料用水性プライマー組成物には、各種添加剤、例えば、硬化剤、架橋剤、造膜助剤、消泡剤、ハジキ防止剤、レベリング剤、粘着付与剤、硬度付与剤、防腐剤、増粘剤、凍結防止剤、分散剤など、また無機顔料、有機顔料を添加することができる。
本発明の塗料用水性プライマー組成物は、従来公知の種種の塗装方法で難塗装性樹脂等の基材に塗布することができる。例えば、基材への塗布後、60℃〜90℃程度での温度条件で、10分〜30分間加熱することによって、密着性に優れた塗膜を形成することができる。プライマーの塗膜厚みは1〜80μmの範囲内であることが好ましい。
以上説明した塗料用水性プライマー組成物は、ポリオレフィン樹脂(A)を(メタ)アクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有するので、プライマーとして使用した場合に、良好な塗膜強度、かつ難密着性樹脂および上塗り塗料への良好な密着性を有するものである。また、グラフト重合時に副生するビニル系単量体(B)の単独重合体またはランダム共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)単位を含んでいるので、従来の水性組成物で見られたホモ(メタ)アクリル系ポリマーの相分離による塗膜強度の低下が起こらず、プライマーとして用いた場合、密着性が低下することもない。
本発明を実施例により詳細に説明する。各記載中「部」および「%」はすべて「質量部」および「質量%」を示す。実施例および比較例における性能の評価は、以下に示す方法を用いて行った。
(1)塗料密着性試験
表1の実施例1〜5、比較例1により得られた乳化分散液100部(固形分10.2部)に2−ジメチルアミノエタノールを添加して、そのpHを8.0に調整した。さらに造膜助剤としてN−メチルピロリドン9.9gを添加した後、ディスパーで撹拌し、塗料用水性プライマー組成物を製造した。この塗料用水性プライマー組成物を日本ポリケム(株)製ポリプロピレン(TX−1810A)から成形した厚さ3mmの板に乾燥膜厚10μmとなるようにスプレー塗装し、80℃の雰囲気中で30分乾燥させて塗膜を形成させた後、さらにアクリル系塗料を乾燥膜厚30μmとなるようにスプレー塗装した。15分間室温乾燥させ、次いで90℃で30分乾燥してアクリル塗料塗装板を得た。
また、アクリル系塗料の代わりにウレタン系塗料を用いた以外は、同様にしてウレタン塗料塗装板を得た。
基材上の塗膜を碁盤目(1mm間隔、100マス)にカットし、塗膜のセロハン粘着テープによる剥離テストを行い、塗料密着性を下記の評価基準で評価した。
○:碁盤目の剥れがない
△:碁盤目の一部が剥がれている
×:全ての碁盤目が剥がれている
(2)平均粒子径
動的光散乱粒子径DLS−600(大塚電子(株)製)にて表1の実施例1〜5、比較例1により得られた乳化分散液の重合体粒子径(重量平均粒子径)を測定した。
(実施例1)
スチレン−エチレン−ブテン−スチレン共重合体(旭化成工業(株)製、タフテックH1221)50部とメチルメタクリレート30部とアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル15部とアクリル酸4−ヒドロキシブチル5部を90℃の温度条件にて混合し、均一溶液とした。ついで、ドデシル硫酸ナトリウム20部を溶解させた90℃温水900gを加え、ホモミキサー(10000rpm)で5分処理した後、ホモジナイザー(20MPa)で2回処理し、乳化分散液を得た。
次いで、温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器を備えた反応器に前記で得られた乳化分散液100部とベンゾイルパーオキサイドサスペンション(化薬アクゾ(株)カドックスB−40E、純分40%)0.63部を加え、窒素雰囲気下、85℃で6時間保持して重合を行った後、40℃まで冷却し、300メッシュのナイロンクロスでろ過し、平均粒子径200nm、数平均分子量120000の重合体粒子を含む乳化分散液を得た。これを含有する塗料用水性プライマー組成物の評価結果を表1に示す。
(実施例2〜5、比較例1)
ポリオレフィン樹脂(A)およびビニル形単量体(B)の種類や仕込量を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして重合体粒子を含む乳化分散液を得た。これらを含有する塗料用水性プライマー組成物の評価結果を表1に示す。
Figure 2005042031
実施例から明らかなように、本発明の塗料用水性プライマー組成物は、ポリプロピレン基材および上塗り塗料の両者への密着性に優れていた。
本発明の塗料用水性プライマー組成物は、含塩素化合物を含まずとも、ポリオレフィン系樹脂などの難密着性の基材および種々の上塗り塗料の両者に対する密着性が良好であり、また、有機溶剤も含んでいないので、環境への配慮がなされたプライマーとして大変有用である。

Claims (2)

  1. ポリオレフィン樹脂(A)を、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が2級炭素原子または3級炭素原子に結合した(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)を含むビニル系単量体(B)でグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を含有する塗料用水性プライマー組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル酸エステル単量体(b)が、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルである請求項1記載の塗料用水性プライマー組成物。
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JPWO2017213192A1 (ja) * 2016-06-08 2019-03-28 三菱ケミカル株式会社 水性樹脂分散体

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