JP2005041074A - インクジェットヘッド駆動回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電体の充放電に伴うピーク電流を低減しながら、駆動していないチャネルへの干渉を抑えることのできるインクジェットヘッド駆動回路を提供する。
【解決手段】連続する複数のチャネルを1ブロックとして、インクジェットヘッドを3つのブロックに分割する。同一のブロック内では、相ごとの駆動において、インクの吸入および吐出の期間に対応した電位Vおよび0レベルを表す基準電位を各チャネルの電極に与えるタイミングを同一とする。また、ブロックB1とブロックB2との境界にある、電位V21および電位V22が与えられる圧電体と、ブロックB2とブロックB3との境界にある、電位V42および電位V43が与えられる圧電体とを除いて、圧電体の充放電期間が、異なるブロック間で各々少なくとも一部が重ならないように上記タイミングを、電位Vの立ち上がり期間および立ち下がり期間に等しい時間Tdだけ異ならせる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタのインクジェットヘッド駆動回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタには、特許文献1に記載されているように、インクジェットヘッドを剪断歪みを用いて駆動するものがある。このようなインクジェットヘッドは高速応答性に優れる。その高速応答性を活かして紙面上の1ドットを複数のインク滴で構成するマルチドロップ階調制御を行うことにより、非常に高画質な印字が得られる。上記インクジェットプリンタのインクジェットヘッド駆動回路の一例を図4に示す。
【0003】
同図において、インクジェットヘッド101は、インク室壁をセラミックなどの圧電材料で構成し、インク室壁のそれぞれに電極を形成したものである。インクジェットヘッド駆動回路102は、同じインク室内で対向するインク室壁に形成された2つの電極に同じ電位を与える。そして、インクジェットヘッド101は、このようなインク室を1チャネルとし、ch1、ch2、ch3、…、chnというように、隣接するチャネルどうしが共通のインク室壁を挟んでつながり、複数のチャネルが全体として一列に接続される。以後、この接続を直列状の接続と呼ぶ。
【0004】
インクジェットヘッド駆動回路102は、各チャネルの電極に所定電位を与えることによって、隣接するチャネルの共通のインク室壁に形成された各チャネルの一方の電極間に電圧が印加され、これによりインク室壁に電界に応じた剪断歪みを発生させて、インク室をインク吸入の状態やインク吐出の状態に変形させて印字を行う。なお、図4においてチャネル列の両端にあるch0、ch(n+1)で表されるチャネルは、それぞれダミーチャネルとなっており、1番目のチャネルch1と最終のチャネルchnとをそれぞれ他のチャネルと同様に駆動することができるよう、チャネルch1およびチャネルchnのチャネル列端部側のインク室壁に設けられた電極に所定電位を与えるようになっている。インクジェットヘッド駆動回路102は、チャネルごとに上記所定電位を与えるドライブ回路を備えており、チャネルch0にドライブ回路d0、チャネルch1にドライブ回路d1、…、チャネルch(n+1)にドライブ回路d(n+1)が、対応している。また、インクジェットヘッド駆動回路102の各ドライブ回路は、共通電源ラインLを介して電源供給を受けるようになっている。
【0005】
図4は3相駆動を行うときの説明図であり、直列状に接続されたチャネル列の左端からダミーチャネルch0を除いて数えて、3m+1(mは0以上の整数)番目のチャネルをA相、3m+2番目のチャネルをB相、3m+3番目のチャネルをC相としている。A相、B相、C相は、順に印字データに応じて駆動され、1回の駆動につきインク室の吸入および吐出を行うための変形を行うか、変形を行わないかが選択される。
【0006】
図5に、このようなインク吸入およびインク吐出を行うときの、各チャネルの電極に与える電位と各インク室の圧力との関係を示す。同図はA相を駆動するときに、m=j、従って3j+1番目のチャネルにおいてインクの吸入および吐出を行う状態を示している。
【0007】
まず、3j+1番目のチャネルch(3j+1)をインク吸入状態とするために、チャネルch(3j+1)の電極に与える電位V(3j+1)を電位Vとし、その隣接チャネルである、3i+3(i=j−1)番目のチャネルch(3i+3)の電極に与える電位V(3i+3)と、3j+2番目のチャネルch(3j+2)の電極に与える電位V(3j+2)とを、0レベルを示す基準電位とする。これにより、チャネルch(3j+1)の2つのインク室壁がインクを吸入する方向に変形する。なお、電位Vには立ち上がり期間と立ち下がり期間とがあり、図5では両方ともTrとしている。このときのチャネルch(3j+1)のインク室で起る圧力変化を、同図のP(3j+1)に上向きの変化として示してある。このときの0レベルからの圧力差をP1とする。
【0008】
次に、チャネルch(3j+1)をインク吐出状態とするために、電位V(3j+1)を基準電位とし、電位V(3i+3)と電位V(3j+2)とを電位Vとする。これにより、チャネルch(3j+1)の2つのインク室壁がインクを吐出する方向に変形する。このときのチャネルch(3j+1)のインク室で起る圧力変化を、P(3j+1)に下向きの変化として示してある。このときの0レベルからの圧力差をP3とする。吸入レベルからの圧力差はP2=P1+P3となる。また、チャネルch(3j+1)からのインク吐出を終了させるときは、電位V(3i+3)、電位V(3j+1)、電位V(3j+2)を全て基準電位とする。これにより、チャネルch(3j+1)においてP(3j+1)は吐出レベルから吸入方向に圧力差P3だけ変化して0レベルの待機状態に戻る。なお、このようなインク室の圧力変化はP(3j+1)に示したように、ある傾斜を伴って起るが、この傾斜の大きさは、圧電体の静電容量と、ドライバ回路の駆動能力(あるいは出力段のオン抵抗)とによって決まる。
【0009】
また、A相を駆動するときにはB相およびC相の駆動は行わないので、例えば同図に示す3j+2番目のチャネルch(3j+2)と3j+3番目のチャネルch(3j+3)とについてはインク室を吸入および吐出用に変形させることは行わない。従って、チャネルch(3j+3)については、電位V(3j+2)、チャネルch(3j+3)の電極に与える電位V(3j+3)、3k+1(k=j+1)番目のチャネルch(3k+1)の電極に与える電位V(3k+1)を、A相の駆動期間に互いに同じ電位となるようにしてインク室の変形を防ぎ、P(3j+3)で示すように圧力変化が起らないようにしている。ただし、このとき、A相であるチャネルch(3k+1)は印字しないのでインク室の変形は行っていない。
【0010】
一方、チャネルch(3j+2)についてはチャネルch(3j+1)を駆動するために、電位V(3j+1)と電位V(3j+2)とが互いに同じにはならず、当該チャネル間のインク室壁は変形し、P(3j+2)に示すように、若干、吸入方向および吐出方向に圧力変化が起る。しかし、この圧力変化は、まず吐出方向へ起ってから吸入方向へ移行するというように、印字のときとは変形の順序が逆であり、かつ、0レベルからの吐出方向への圧力差はP1’≒P2/2、0レベルからの吸入方向への圧力差およびその逆の変化の圧力差はP3’≒P2/2であるので、インクの誤吐出、およびヘッドのノズル先端の濡れによる吐出不良を防止することができる。また、吐出方向のレベルから吸入方向のレベルへの圧力差はP2’≒P1/2(≒P1またはP3)であり、ノズル先端から空気を吸い込む虞がないように設定されている。
【0011】
また、図5において、圧力変化が起るときの傾斜部分は、インク室壁を構成する圧電体の充放電期間に相当する。
【0012】
【特許文献1】
特開昭63−247051号公報
(公開日:1988年10月13日)
【0013】
【特許文献2】
特公昭62−013191号公報
(公開日:1979年11月26日)
【0014】
【特許文献3】
特開平8−305319号公報
(公開日:1996年11月22日)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来のインクジェットヘッドにおいては、各チャネルで圧力変化が起るときの上記充放電期間は、圧力変化が起るチャネルの電極に与える電位の変化期間と、そのチャネルに隣接するチャネルの電極に与える電位の変化期間との重なり長さに依存している。図5では例えば電位V(3j+1)が電位Vから基準電位に立ち下がる期間Trに電位V(3j+2)が基準電位から電位Vに立ち上がっており、電位の変化期間は全て重なっている。従って、インク室壁の圧電体に印加される電圧の変化が速く、充放電が短い期間で行われることとなり、充放電電流が大きくなる。インクジェットヘッド駆動回路102の全体で見ると、共通電源ラインLには、圧電体の充放電が行われる期間に上記充放電電流の和に応じた、スパイク状の大きな瞬時電流であるピーク電流Iが現れる。
【0016】
インクジェットヘッドの駆動の高速化に伴い、圧電体の充放電サイクルが短くなって消費電力が増加する。このとき、ノズル数が増加されて、同時に駆動されるノズル数が増加していると上記ピーク電流Iが増大する。ピーク電流Iが増大すれば、図4に示した共通電源ラインLのような配線の抵抗分Rでの電圧降下が大きくなるとともに、該抵抗分Rでの発熱量が増大し、また電磁障害も増大する。個々のチャネルによる発熱量、電磁障害はノズル数に正比例するが、共通電源ラインLによる発熱量、電磁障害はノズル数の2乗に比例する。
【0017】
共通電源ラインLによる発熱量については、例えば、n個のチャネルを電流I1で時間T1だけかけて電圧Vまで充電する場合と、n個のチャネルを電流I2で時間T2だけかけて電圧Vまで充電する場合とを考える。このときチャネル全体をコンデンサCと見なしたときにこのコンデンサCに蓄えられる電荷Qは、
Q=V×C=I1×T1=I2×T2
であるので、
I1/I2=T2/T1 …(1)
となる。充電に伴って抵抗分Rを流れる電流による消費電力量は、I1の場合をPR1、I2個の場合をPR2とすると、
R1=I1×R×T1
R2=I2×R×T2
であるので、式(1)より、
Figure 2005041074
となる。
【0018】
式(3)および(4)から、コンデンサCを同じ電圧Vまで充電する場合でも、大電流(短時間)で充電する方が、充電経路での発熱量(消費電力量)は大きくなることが分かる。
【0019】
また、式(2)でT1=T2の場合は、同時に充電するチャネル数がn個とn×I2/I1個との場合の消費電力量を比較した式となり、
R1/PR2=I1/I2=(n/(n×I2/I1))
となって、共通電源ラインLの抵抗分Rでの発熱量がノズル数の2乗に比例していることが分かる。
【0020】
また、電磁障害については、交流成分I’が流れる配線から距離rだけ離れた点Aにおける放射電界Eは、交流成分I’の波長をλとすると、
E∝I’/(λ×r)
であるので、点Aにおける放射電力Pは、
=(ε/μ1/2×E
∝(I’/(λ×r))
となる。
【0021】
m個のチャネルを同時に充電するときに共通電源ラインLに流れる電流をI、そのときの充電時間をTとし、m個のチャネルをM回に分けて充電するときに共通電源ラインLに流れる電流をI、そのときの充電時間をTとすると、
=I/M, T=M×T
である。共通電源ラインLでの抵抗分Rによる消費電力量は、m個の同時充電の場合をP、m個をM回に分ける充電の場合をPRMとすると、
RM/P=I/I=1/M
となる。また、共通電源ラインLからの放射電力(電磁障害)は、m個の同時充電の場合をP、m個をM回に分ける充電の場合をPEMとすると、
EM/P∝I /I∝(1/M) …(5)
となる。電磁障害はスパイク状のノイズでも支障が生じる程度に発生するので、上記の説明においては瞬時電力で検討した結果を示してある。
【0022】
式(5)から、m個を同時に充電するよりも、M回に分けて充電した方が電磁障害が減少することが分かる。
【0023】
また、式(5)は、同時に充電するチャネルがm個とm/M個との場合で、電磁障害の大きさを比較した式ともなり、共通電源ラインLによる電磁障害がノズル数の2乗に比例していることが分かる。
【0024】
上述の説明から分かるように、総数が同じチャネルを充電する場合、複数回に分けて行う時分割駆動を行えば、共通電源ラインLにおける充放電ごとのピーク電流Iの大きさが減少し、抵抗分Rでの電圧降下を抑制することに加えて、発熱量および電磁障害を低減することができる。
【0025】
図6に、上記時分割駆動による駆動例を示す。同図では、A相、B相、C相のそれぞれに駆動のための電位を与えるタイミングを、順に時間Tdずつ遅らせている。これはすなわち、圧電体の充放電期間を長くしてピーク電流Iを低減していることに等しい。例えばA相を駆動する図6の状態で、電位V(3j+1)が電位Vから基準電位に立ち下がった後、時間Tdが経過した時点で、電位V(3j+2)を基準電位から電位Vに立ち上げる。そして、電位V(3j+2)が電位Vに立ち上がった後、時間Tdが経過した時点で、電位V(3j+3)を基準電位から電位Vに立ち上げる。ここで、説明を簡略化するためにTd=Trとしている。
【0026】
同図では3j+1番目のチャネルを駆動するので、インク吸入からインク吐出へ移行する際には、当該チャネルの2つのインク室壁のうち一方は、電位V(3j+1)の立ち下がり開始から電位V(3i+3)の立ち上がり終了までの3Tdという期間に応じた充放電期間となり、他方は電位V(3j+1)の立ち下がり開始から電位V(3j+2)の立ち上がり終了までの2Tdという期間に応じた充放電期間となる。従って、当該チャネルの圧力変化はP(3j+1)に示す傾斜部分のように、電位V(3j+1)の立ち下がり開始から電位V(3i+3)の立ち上がり終了までの3Tdという期間に応じた期間となる。
【0027】
これにより、圧電体を同じ電圧に充放電するための期間が前述の従来例よりも長くなるために充放電電流は減少し、共通電源ラインLに流れるピーク電流Iは減少する。
【0028】
しかしながら、このような時分割駆動を行うと、以下の問題が生じる。すなわち、A相、B相、C相のそれぞれに駆動のための電位を与えるタイミングを時間Tdずつずらした結果、ある相を駆動する期間に、他の相のチャネルへの干渉が起ってしまう。図6の例では、B相のP(3j+2)が干渉を受けている状態が示されている。
【0029】
ここでは、電位(3j+2)が基準電位から電位Vへの立ち上がりを開始してから時間Tdの後に電位V(3j+3)が基準電位から電位Vへの立ち上がりを開始するので、チャネルch(3j+1)がインクの吸入から吐出へ移行する期間には、図5とは異なって、チャネルch(3i+3)とチャネルch(3j+1)との間のインク室壁のみならず、チャネルch(3j+2)とチャネルch(3j+3)との間のインク室壁も変形する。この結果、P(3j+2)は、斜線を施した領域R1のように、吸入方向へ大きく変化する。このときの吐出方向から吸入方向への圧力変化はP4≒1.5×P1、また、P4≒2×P2’となる。このように吸入方向への圧力差が大きくなると、ノズル先端から空気を吸い込みやすくなる。
【0030】
また、電位V(3j+2)が電位Vから基準電位への立ち下がりを開始してから時間Tdの後に電位V(3j+3)が電位Vから基準電位への立ち下がりを開始するので、チャネルch(3j+1)がインクの吐出から待機状態へ移行する期間には、図5とは異なって、チャネルch(3i+3)とチャネルch(3j+1)との間のインク室壁のみならず、チャネルch(3j+2)とチャネルch(3j+3)との間のインク室壁も変形する。この結果、P(3j+2)は、斜線を施した領域R2のように、吐出方向へ大きく変化する。このときの吸入方向から吐出方向への圧力変化はP5≒0.75×P1、また、P5≒3×P3’となる。このように吐出方向への圧力差が大きくなると、インクの誤吐出もしくは、ノズル先端が濡れ状態となることによるインクの吐出不良を起こしやすくなる。
【0031】
また、図7は、C相、B相、A相の順に時間Tdだけ遅らせた時分割駆動の例を示しており、干渉はP(3j+2)の斜線を施した領域R3・R4で発生し、この場合もインクの誤吐出もしくは、ノズル先端が濡れ状態となることによるインクの吐出不良を起こしやすくなる。
【0032】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、圧電体の充放電に伴うピーク電流を低減しながら、駆動していないチャネルへの干渉を抑えることのできるインクジェットヘッド駆動回路を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、上記課題を解決するために、圧電体の剪断歪みを用いてインクの吸入および吐出を行うチャネルが複数直列状に接続されたインクジェットヘッドを多相駆動する、インクジェットヘッド駆動回路において、連続して隣接する複数の上記チャネルを、上記インクジェットヘッドの相ごとの駆動に対応して上記チャネルに上記吸入および上記吐出の期間のそれぞれに応じた所定電位を与えるタイミングを各上記チャネルで同一とする1つのブロックとして、上記インクジェットヘッドを複数の上記ブロックに分割し、上記ブロックどうしの境界の上記圧電体を除いた各上記ブロックの上記圧電体の充放電期間が、異なる上記ブロック間で各々少なくとも一部が重ならないように、上記タイミングを上記相ごとの駆動につき異なるブロック間で異ならせ、上記相ごとの駆動につき、上記吸入および上記吐出の期間のそれぞれについて少なくとも一部を、異なる上記ブロック間で重ねることを特徴としている。
【0034】
上記の発明によれば、複数のチャネルが直列状に接続されたインクジェットヘッドが分割されてできた複数のブロックのそれぞれは、連続して隣接する複数のチャネルからなる。インクジェットヘッドを相ごとに駆動するときに、駆動相に対応するチャネルのインクの吸入および吐出、あるいはインクの非吐出という圧電体の剪断歪みを用いる駆動を行うために、インクの吸入および吐出の期間のそれぞれに応じた所定電位が各チャネルに与えられるが、同一のブロック内ではこの所定電位をチャネルに与えるタイミングを各チャネルで同一とする。
【0035】
そして、このタイミングを、相ごとの駆動につき異なるブロック間では異ならせる。このとき、ブロックどうしの境界の圧電体を除いては、各ブロックの圧電体の充放電期間は、異なるブロック間で各々少なくとも一部が重ならないようにする。しかも、相ごとの駆動につき、インクの吸入および吐出の期間のそれぞれについて少なくとも一部が、異なるブロック間で重なっている。すなわち、ブロックどうしの境界の圧電体は両ブロックのチャネルに属していて、いずれのブロックのいずれの相を駆動するときにも剪断歪みを用いる駆動に対応した所定電位が与えられることになるが、それぞれのブロックに属するチャネルのチャネル全体としての充放電期間は、上記境界の圧電体の充放電期間とこれに対向する圧電体の充放電期間との重なり具合で決まる。両ブロックのそれぞれのチャネルに所定電位を与えるタイミングは異なっており、対向する2つの圧電体の充放電期間は各々少なくとも一部が重なっていないために、チャネル全体としての充放電期間は、両方の充放電期間が全て重なってしまうような最短の充放電期間よりも長くなる。
【0036】
しかし、境界の圧電体以外の上記タイミングは同一のブロック内では同一であるので、境界の圧電体を含むチャネルが駆動相であっても、駆動していない相に与える干渉を抑えることができる。そして、異なるブロック間で、駆動している相に対応するチャネルの充放電期間が上記のように少なくとも一部は重なっていないために、圧電体の充放電に対応してインクジェットヘッド駆動回路の共通電源ラインに流れるピーク電流のタイミングがブロック間でずれて、その分、ピーク電流の大きさを低減することができる。
【0037】
この結果、圧電体の充放電に伴うピーク電流を低減しながら、駆動していないチャネルへの干渉を抑えることのできるインクジェットヘッド駆動回路を提供することができる。
【0038】
また、充放電期間が長くなるチャネルでは、インク吐出の際にインク室の圧力変化の勾配が小さくなって、インク吐出の際のインク滴速が他のチャネルよりも小さくなる。全てのチャネルの充放電期間を長くする時分割駆動では、全てのチャネルにおいてインク滴速が小さくなるために、画質の劣化につながることがあるが、本発明によれば、インク滴速が小さくなるチャネルを、ブロックどうしの境界の圧電体が属するチャネルだけとし、しかも全てのチャネルの充放電期間を長くする時分割駆動よりもインク滴速の低下を小さく抑えることができるので、画質の劣化を防止することができる。
【0039】
また、本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、上記課題を解決するために、上記相ごとの駆動につき、上記チャネルに上記所定電位を与えるときの電位変化期間が、異なる上記ブロック間で重ならないことを特徴としている。
【0040】
上記の発明によれば、相ごとの駆動につき、チャネルに所定電位を与えるときに、電位変化期間、すなわち所定電位の立ち上がり期間および立ち下がり期間がブロック間で重ならないようにする。これにより、異なるブロック間で圧電体の充放電期間を、容易に各々少なくとも一部が重ならないようにすることができるとともに、駆動制御が容易になる。
【0041】
また、本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、上記課題を解決するために、各上記チャネルについてチャネル全体としての充放電期間を500nsec以下とすることを特徴としている。
【0042】
上記の発明によれば、各チャネルについて、チャネル全体としての充放電期間はそのチャネルに属する2つの圧電体の充放電期間を合成したものとなるが、このチャネル全体の充放電期間が長いとインク室の圧力変化の勾配が小さくなるので、これを500nsec以下とすることにより、最短の充放電期間の場合からのインク滴速の低下を50%以下に抑えることができる。
【0043】
また、本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、上記課題を解決するために、上記ブロックの分割位置を、上記インクジェットヘッドの駆動中に切り替え可能であることを特徴としている。
【0044】
上記の発明によれば、ブロックの分割位置がインクジェットヘッドの駆動中に切り替え可能であるので、そのときの駆動相に合わせて干渉が小さくなるようにブロックの分割位置を切り替えて、駆動期間を通して干渉を最小に抑えることができる。
【0045】
また、本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、上記課題を解決するために、上記相は3つ以上であり、上記ブロックの分割位置を、駆動していない隣接する2つの相に対応する上記チャネルの間とすることを特徴としている。
【0046】
上記の発明によれば、3相以上の駆動を行うときに、ブロックの分割位置を、駆動していない隣接する2つの相に対応するチャネルの間とするので、そのときどきで干渉を確実かつ容易に小さく抑えることができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0048】
図2に、本実施の形態に係るインクジェットヘッド1と、それを駆動するインクジェットヘッド駆動回路2との構成を示す。
【0049】
インクジェットヘッド1は、図4のインクジェットヘッド101においてn=64としたものである。チャネルch1〜ch64が駆動するチャネルであり、チャネルch0・ch65がダミーチャネルである。インクジェットヘッド駆動回路2は、図4と同様にチャネルごとのドライバ回路d0・d1・…・d65を備えている。駆動は一般に多相駆動でよいが、ここでは3相駆動で行い、直列状に接続されたチャネル列の左端からダミーチャネルch0を除いて数えて、3m+1(mは0〜21の整数)番目のチャネルをA相、3m+2(mは0〜20の整数)番目のチャネルをB相、3m+3(mは0〜20の整数)番目のチャネルをC相としている。
【0050】
ただし、インクジェットヘッド駆動回路2は、連続して隣接する複数のチャネルを1つのブロックとして、インクジェットヘッド1を複数のブロックに分割して駆動する。同図では、チャネルch0〜ch21をブロックB1、チャネルch22〜ch42をブロックB2、チャネルch43〜ch65をブロックB3として駆動を行う。
【0051】
また、図1(a)には、ブロックB1とブロックB2との境界付近のチャネルについての、所定電位とインク室の圧力変化との関係を表すタイミングチャートを示した。図1(b)には、ブロックB2とブロックB3との境界付近のチャネルについての、所定電位とインク室の圧力変化との関係を表すタイミングチャートを示した。図1(a)には、駆動相であるC相のチャネルch21にインクの吸入および吐出を行わせる状態が示されており、図1(b)には駆動相がC相であるときにチャネルch42をインクの吸入および吐出を行わない非吐出とする状態が示されている。
【0052】
インクジェットヘッド駆動回路2は、インクジェットヘッド1を相ごとに駆動するときに、駆動相に対応するチャネルのインクの吸入および吐出、あるいはインクの非吐出という圧電体の剪断歪みを用いる駆動を行うために、インクの吸入および吐出の期間のそれぞれに応じた所定電位を各チャネルに与えるが、同一のブロック内では、このタイミングを各チャネルで同一とする。例えば、図1(a)のタイミングチャートで言えば、A相を駆動するときにチャネルch21によるインクの吸入に際してはチャネルch21の電極に電位V21(以下、チャネル番号と電位番号とは対応しているものとする)として電位Vを与えているが、この電位Vの波形を与えるタイミングを、ブロックB1内の他のチャネルの電極に与える場合にも同一とする。また、チャネルch21によるインクの吐出に際しては電位V21として電位Vを解除して0レベルを表す基準電位を与えているが、この基準電位の波形を与える場合にも同様である。所定電位の波形の立ち上がり期間および立ち下がり期間も全てのチャネルで全く重なる。
【0053】
そして、インクジェットヘッド駆動回路2は、異なるブロック間では、ブロックどうしの境界の圧電体を除いた各ブロックの圧電体の充放電期間が、異なるブロック間で各々少なくとも一部が重ならないように、所定電位を与えるタイミングを相ごとの駆動につき異ならせる。さらに、インクジェットヘッド駆動回路2は、相ごとの駆動につき、インクの吸入および吐出の期間のそれぞれについて少なくとも一部を、異なるブロック間で重ねる。
【0054】
例えば、ブロックB1とブロックB2との境界の圧電体を除いて、ブロックB2の圧電体の充放電期間を、ブロックB1の圧電体の充放電期間よりも、図1(a)で示す時間Tdだけ遅れたタイミングとなるようにする。図1(a)に破線で示すように、C相を駆動するときにブロックB1におけるチャネルch21の他に、ブロックB2におけるチャネルch24にインク吸入および吐出を行わせるとすると、電位V24として電位V21よりも時間Tdだけ遅れた波形の電位Vをチャネル24の電極に与える。ここでは便宜上、Td=Trとしているので、この電位V24の電位Vからの立ち下がり期間は、図1(a)に実線で示す電位V22・V23・V24の電位Vの立ち上がり期間と全く重なっている。
【0055】
従って、駆動されるチャネルの圧電体の充放電について、所定電位を与えられてからの応答遅れを無視することができるとすると、ブロックB1とブロックB2との境界の圧電体を除いては、充放電期間は所定電位の立ち上がり期間および立ち下がり期間(=Td)に等しくなり、両ブロック間で圧電体の充放電期間は全く重ならない。また、上記応答遅れを考慮しても、これは小さいので、圧電体の充放電期間は所定電位の立ち上がり期間および立ち下がり期間(=Td)にほとんど等しくなる。このように、電位V20・V21が与えられるブロックB1の圧電体の充放電期間と、電位V24・V25(V25は不図示だがこの場合V23と同じ波形)が与えられるブロックB2の圧電体の充放電期間とはほとんどあるいは全く重ならない。
【0056】
そして、電位V21の立ち上がり期間と電位V24の立ち下がり期間とを除いた間の期間は、ブロックB1とブロックB2とで、電位Vを与える期間が重なっている部分である。
【0057】
上記のチャネルch21およびチャネルch24のインクの吸入および吐出の動作では、電位V21・V24の電位Vへの立ち上がり開始から電位Vからの立ち下がり開始までがインクの吸入期間に相当し、電位V21・V24の電位Vからの立ち下がり開始から電位V22・V23の電位Vからの立ち下がり開始まで(電位Vからの立ち下がり終了までと見なしてもよい。)がインクの吐出期間に相当する。また、チャネル21を除いたブロックB1のチャネルのインクの吸入および吐出の動作では、電位V21の電位Vへの立ち上がり開始から電位Vからの立ち下がり開始(電位V20の電位Vへの立ち上がり開始)までがインクの吸入期間に相当し、電位V21の電位Vからの立ち下がり開始(電位V20の電位Vへの立ち上がり開始)から電位V20の電位Vからの立ち下がり開始まで(電位Vからの立ち下がり終了までと見なしてもよい。)がインクの吐出期間に相当する。従って、ブロックB1とブロックB2とで、インクの吸入および吐出の期間のそれぞれについて少なくとも一部は重なっている。
【0058】
チャネルch21とチャネルch22との両方に属する圧電体は、図1(a)の状態では電位V21と電位V22とによって決まる剪断歪みで変形し、その充放電期間は、連続する電位V21の立ち下がり期間と電位V22の立ち上がり期間との和(=2Td)になる。図1(a)のような駆動方法は、各チャネルに所定電位を与えるタイミングを時間Tdずつずらす図6および図7の時分割駆動と照らし合わせれば、ブロック間の境界の圧電体を含むチャネルのみを時分割駆動していることに相当する。しかし、チャネルch21のインク室の圧力変化は、P21に示すように、図6や図7の場合よりも勾配が大きく、時分割しない状態に近いものとなっている。上記例の場合、境界の圧電体の充放電期間が2Tdとなったが、時分割駆動を全く行わない場合には充放電期間はTdとなるので、境界の圧電体についてTdよりも大きくなるように所定電位を与えるタイミングをブロック間でずらせば、充放電期間を時分割しない従来のものより長くすることができる。
【0059】
境界の圧電体には、いずれのブロックのいずれの相を駆動するときにも剪断歪みを用いる駆動に対応した所定電位が与えられることになるが、チャネルch21・ch22のような、ブロック境界に存在するチャネルのチャネル全体としての充放電期間は、上記境界の圧電体の充放電期間とこれに対向する圧電体の充放電期間との重なり具合で決まる。例えば図1(a)のチャネルch21では、電位V20と電位V21とが与えられる圧電体の充放電期間はTdであり、その全てが上記境界の圧電体の充放電期間2Tdと重なっている。従って、チャネルch21の全体としては充放電期間は2Tdとなる。
【0060】
すなわち、チャネルch21・ch22においては、対向する2つの圧電体の充放電期間が各々少なくとも一部が重ならないようにすれば、チャネル全体としての充放電期間は、両方の充放電期間が全て重なってしまうような最短の充放電期間よりも長くなる。これは立ち上がり期間Trが立ち下がり期間に等しくなくても成立する。
【0061】
しかし、境界の圧電体以外の圧電体に所定電位を与えるタイミングは、1つのブロック内では同一であるので、図1(a)のP22に示すように、境界の圧電体を含むチャネルch21が駆動相であっても、駆動していない相に与える干渉を小さく抑えることができる。P22に表れているインク室壁の変形は、従来の図5に示したP(3j+2)のように、インクの誤吐出、およびヘッドのノズル先端の濡れによる吐出不良や、ノズル先端からの空気の吸い込みなどが起らないレベルである。
【0062】
図1(b)では、図1(a)と同様の関係がブロックB2とブロックB3とについて言える。ここでは電位V42および電位V43が与えられる圧電体がブロックB2とブロックB3との境界の圧電体である。ブロックB2の電極に与える電位V41・V42の電位Vへの立ち上がり開始から時間Tdだけ経過した後に、ブロックB3の電極に与える電位V43・V44・V45の電位Vへの立ち上がりが開始する。同図では駆動相のC相であるチャネルch42をインクの非吐出状態とするが、所定電位を与えるタイミングを時間Tdだけずらした結果、チャネルch42にP42で示されるように、若干、吐出方向への変形と吸入方向への変形とが起っている。しかし、この変形は、インクの誤吐出、およびヘッドのノズル先端の濡れによる吐出不良や、ノズル先端からの空気の吸い込みなどが起らないレベルである。
【0063】
また、ブロックB1とブロックB3との関係についても、所定電位を与えるタイミングが2Tdだけずれるという条件で、ブロックB1・B2間、ブロックB2・B3間の関係と同じことが言える。
【0064】
そして、上述のように干渉を小さく抑えた状態において、異なるブロック間で、駆動している相に対応するチャネルの充放電期間が上記のように少なくとも一部は重なっていないために、圧電体の充放電に対応してインクジェットヘッド駆動回路の共通電源ラインに流れるピーク電流のタイミングがブロック間でずれて、その分、ピーク電流の大きさを低減することができる。特に、上記例では所定電位を与えるタイミングを時間Tdだけずらして所定電位の立ち上がり期間および立ち下がり期間がブロック間で全く重ならないようにしているため、充放電期間はほとんどあるいは全く重ならず、ブロック間でピーク電流が時間的に十分に分離される。また、このように、相ごとの駆動につき、チャネルに所定電位を与えるときに、所定電位の立ち上がり期間および立ち下がり期間という電位変化期間がブロック間で重ならないようにしているので、異なるブロック間で圧電体の充放電期間を、容易に各々少なくとも一部が重ならないようにすることができるとともに、駆動制御が容易になる。
【0065】
以上のように、インクジェットヘッド駆動回路2は、圧電体の充放電に伴うピーク電流を低減しながら、駆動していないチャネルへの干渉を抑えることのできるインクジェットヘッド駆動回路である。
【0066】
また、インクジェットヘッド駆動回路2は、3相以上の多相駆動でも使用することができ、逆に、3相駆動以上の多相駆動において特に適している。図6や図7の全てのチャネルを時分割駆動する駆動では、3相駆動を行うことから時分割数が3となり、相ごとにブロック化されていると見なすと、ブロック間でのタイミングのずれの総和は2・Tdとなり、nの時分割数では(n−1)・Tdとなり、時分割数n−1に比例してブロック間で大きな圧力干渉が発生する。従って、前述した誤動作を仮に許容したとしても3分割が限度である。しかし、本実施の形態では、連続する複数のチャネルごとにブロック化してブロック間で時分割しているため、時分割数nに係りなく各ブロック間のタイミングのずれはTdであって、自由に時分割数を設定でき、誤動作を回避しながらピーク電流の低減が可能である。
【0067】
また、充放電期間が長くなるチャネルでは、インク吐出の際にインク室の圧力変化の勾配が小さくなって、インク吐出の際のインク滴速が他のチャネルよりも小さくなる。図3に、各チャネルのチャネル全体としての充放電期間の長さと、インク滴速との関係を示す。チャネル全体としての充放電期間は、前述のようにそのチャネルに属する2つの圧電体の充放電期間を合成したものである。同図から、チャネル全体としての充放電期間が長くなるほどインク滴速が低下していることが分かる。
【0068】
全てのチャネルの充放電期間を長くする時分割駆動では、全てのチャネルにおいて圧力変化の勾配に時分割なしの場合の1/2となる部分が発生して特にインク滴速が小さくなるために、画質の劣化につながることがある。しかし、本実施の形態によれば、インク滴速が小さくなるチャネルを、ブロックどうしの境界の圧電体が属するチャネルch21・ch22・ch42・ch43だけにすることができ、またその勾配が全てのチャネルに対して行う時分割駆動の場合よりも大きいので、画質の劣化を防止することができる。また、図3より、このチャネル全体の充放電期間を500nsec以下とすることにより、最短の充放電期間である100nsecの場合からのインク滴速の低下を、50%以下に抑えることができる。特に、インクジェットヘッド駆動回路2では、ブロック間の境界の圧電体が属するチャネルの充放電期間を500nsec以下とすることにより、その他のチャネルの充放電期間を必然的に500nsec以下とすることができる。
【0069】
以上に説明したインクジェットヘッド駆動回路2は、ブロックの分割位置をチャネルch21とチャネルch22との間、チャネルch42とチャネルch43との間というように固定していた。しかし、この分割位置を、インクジェットヘッド1の駆動中に切り替え可能としてもよい。このようにすれば、そのときの駆動相に合わせて干渉が小さくなるようにブロックの分割位置を切り替えて、駆動期間を通して干渉を最小に抑えることができる。
【0070】
前述した3相駆動の場合について、ブロックの分割位置を駆動中に切り替える例を表1に示す。
【0071】
【表1】
Figure 2005041074
【0072】
同表では、A相を駆動するときには隣接するB相とC相との間(チャネルch23とチャネルch24との間、およびチャネルch44とチャネルch45との間)を分割位置とし、B相を駆動するときには隣接するC相とA相との間(チャネルch21とチャネルch22との間、およびチャネルch42とチャネルch43との間)を分割位置とし、C相を駆動するときには隣接するA相とB相との間(チャネルch22とチャネルch23との間、およびチャネルch43とチャネルch44との間)を分割位置としている。このように、ブロックの分割位置を、駆動していない隣接する2つの相に対応するチャネルの間となるように順次切り替えていくことにより、そのときどきで干渉を確実かつ容易に小さく抑えることができる。これは一般に3相以上の多相駆動について言える。
【0073】
なお、図2のインクジェットヘッド駆動回路2では、共通電源ラインLを全てのチャネルについて共通のラインとしたが、これに限らず、ブロックごとに共通電源ラインを設けるようにしてもよい。このときのピーク電流に対する考え方も、共通電源ラインLの場合と同様、ブロックごとの共通電源ラインを流れる瞬時電流について当てはめる。
【0074】
【発明の効果】
本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、以上のように、連続して隣接する複数の上記チャネルを、上記インクジェットヘッドの相ごとの駆動に対応して上記チャネルに上記吸入および上記吐出の期間のそれぞれに応じた所定電位を与えるタイミングを各上記チャネルで同一とする1つのブロックとして、上記インクジェットヘッドを複数の上記ブロックに分割し、上記ブロックどうしの境界の上記圧電体を除いた各上記ブロックの上記圧電体の充放電期間が、異なる上記ブロック間で各々少なくとも一部が重ならないように、上記タイミングを上記相ごとの駆動につき異なるブロック間で異ならせ、上記相ごとの駆動につき、上記吸入および上記吐出の期間のそれぞれについて少なくとも一部を、異なる上記ブロック間で重ねる構成である。
【0075】
それゆえ、圧電体の充放電に伴うピーク電流を低減しながら、駆動していないチャネルへの干渉を抑えることのできるインクジェットヘッド駆動回路を提供することができるという効果を奏する。
【0076】
また、インク滴速が小さくなるチャネルを、ブロックどうしの境界の圧電体が属するチャネルだけとなり、しかも全てのチャネルの充放電期間を長くする時分割駆動よりもインク滴速の低下を小さく抑えることができるので、画質の劣化を防止することができるという効果を奏する。
【0077】
また、本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、以上のように、上記相ごとの駆動につき、上記チャネルに上記所定電位を与えるときの電位変化期間が、異なる上記ブロック間で重ならない構成である。
【0078】
それゆえ、異なるブロック間で圧電体の充放電期間を、容易に各々少なくとも一部が重ならないようにすることができるという効果を奏する。また、駆動制御が容易になるという効果を奏する。
【0079】
また、本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、以上のように、各上記チャネルについてチャネル全体としての充放電期間を500nsec以下とする構成である。
【0080】
それゆえ、最短の充放電期間の場合からのインク滴速の低下を50%以下に抑えることができるという効果を奏する。
【0081】
また、本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、以上のように、上記ブロックの分割位置を、上記インクジェットヘッドの駆動中に切り替え可能である構成である。
【0082】
それゆえ、そのときの駆動相に合わせて干渉が小さくなるようにブロックの分割位置を切り替えて、駆動期間を通して干渉を最小に抑えることができるという効果を奏する。
【0083】
また、本発明のインクジェットヘッド駆動回路は、以上のように、上記相は3つ以上であり、上記ブロックの分割位置を、駆動していない隣接する2つの相に対応する上記チャネルの間とする構成である。
【0084】
それゆえ、3相以上の駆動を行うときに、そのときどきで干渉を確実かつ容易に小さく抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は、本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッド駆動回路によりインクジェットヘッドを駆動するときの動作を示すタイミングチャートである。
【図2】本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッド駆動回路の構成をインクジェットヘッドとともに示すブロック図である。
【図3】インクジェットヘッド駆動回路によりインクジェットヘッドを駆動したときのチャネルの充放電期間とインク滴速との関係を示すグラフである。
【図4】従来のインクジェットヘッド駆動回路の構成をインクジェットヘッドとともに示すブロック図である。
【図5】図4のインクジェットヘッド駆動回路によりインクジェットヘッドを駆動するときの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】図4のインクジェットヘッド駆動回路により第1の時分割駆動でインクジェットヘッドを駆動するときの動作を示すタイミングチャートである。
【図7】図4のインクジェットヘッド駆動回路により第2の時分割駆動でインクジェットヘッドを駆動するときの動作を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
2 インクジェットヘッド駆動回路
V 電位(所定電位)

Claims (5)

  1. 圧電体の剪断歪みを用いてインクの吸入および吐出を行うチャネルが複数直列状に接続されたインクジェットヘッドを多相駆動する、インクジェットヘッド駆動回路において、
    連続して隣接する複数の上記チャネルを、上記インクジェットヘッドの相ごとの駆動に対応して上記チャネルに上記吸入および上記吐出の期間のそれぞれに応じた所定電位を与えるタイミングを各上記チャネルで同一とする1つのブロックとして、上記インクジェットヘッドを複数の上記ブロックに分割し、
    上記ブロックどうしの境界の上記圧電体を除いた各上記ブロックの上記圧電体の充放電期間が、異なる上記ブロック間で各々少なくとも一部が重ならないように、上記タイミングを上記相ごとの駆動につき異なるブロック間で異ならせ、
    上記相ごとの駆動につき、上記吸入および上記吐出の期間のそれぞれについて少なくとも一部を、異なる上記ブロック間で重ねることを特徴とするインクジェットヘッド駆動回路。
  2. 上記相ごとの駆動につき、上記チャネルに上記所定電位を与えるときの電位変化期間が、異なる上記ブロック間で重ならないことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド駆動回路。
  3. 各上記チャネルについてチャネル全体としての充放電期間を500nsec以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド駆動回路。
  4. 上記ブロックの分割位置を、上記インクジェットヘッドの駆動中に切り替え可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェットヘッド駆動回路。
  5. 上記相は3つ以上であり、上記ブロックの分割位置を、駆動していない隣接する2つの相に対応する上記チャネルの間とすることを特徴とする請求項4に記載のインクジェットヘッド駆動回路。
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