JP2005040767A - 水質浄化材、その製造方法、その使用方法、水質浄化材混合物 - Google Patents

水質浄化材、その製造方法、その使用方法、水質浄化材混合物 Download PDF

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Abstract

【課題】微生物の活性化、増殖に貢献でき、水質浄化に貢献することができる水質浄化材、その製造方法、その使用方法、水質浄化材混合物を提供する。
【解決手段】水質浄化材は、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有する多孔質の担体と、担体に担持された骨成分またはリン酸カルシウムとを備えており、粒状をなす。気孔の径の頻度ピークは0.4〜20μmの範囲内に設定されていることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は産業廃水や生活排水等の水を浄化する水質浄化材、水質浄化材の製造方法、水質浄化材の使用方法、水質浄化材混合物に関する。
従来、骨を焼成して骨灰を25〜35重量%含むと共に残部がセラミックス粉末からなる混合物を焼成した微生物増殖用多孔質担体が知られている(特許文献1)。このものによれば、木節粘土、ドロマイト、骨灰、ノコクズ、紙繊維を原料とし、これらを混合した混合物を1100℃の温度で30分間加熱保持することにより、微生物増殖用多孔質担体を形成する。この担体は、水槽に貯留した培養液中に浸漬して使用される。この担体のサイズは水槽の底面の1/3〜1/2程度を占めるバルク形状をなしている。
特開平1−307496号公報
上記した公報によれば、上記した多孔質担体により微生物の増殖に適した環境が得られ、浄水用として下水処理に使用できると、上記公報には記載されている。上記した多孔質担体に配合されている骨灰は焼成した骨であり、骨灰に形成されている気孔サイズは一般的には0.3〜0.4μm付近に頻度ピークをもつ。微生物の付着性を高めるためには、上記した多孔質担体の気孔で形成される表面凹凸の大きさが大きな影響を与える。
ここで、多孔質担体の気孔で形成される表面凹凸が小さいと、良好なアンカー効果を期待できず、水質浄化に寄与する微生物は、多孔質担体に付着したとしても、浄化すべき水の流れによって流出してしまう頻度が高くなる。また、多孔質担体の気孔で形成される表面凹凸が大きいと、微生物は、多孔質担体に付着したとしても、同様に良好なアンカー効果を期待できず、浄化すべき水の流れによって流出してしまう頻度が高くなる。
水質浄化に有効な微生物のサイズは一般的には1μm〜10μm程度である。例えば、アンモニア酸化菌は0.5〜2μm程度、脱窒菌は1〜5μm程度である。このことから、上記した特許文献1に配合されている骨灰の気孔だけでは、微生物が付着する表面凹凸が小さすぎ、微生物が前記多孔質担体に付着したとしても、流水で流出してしまう頻度が高い。従って微生物の付着性、活性化には限界があり、微生物の増殖には必ずしも充分ではない。
更に、上記した公報技術によれば、加熱温度が1100℃とかなり高温に設定しているため、本来的には、前記多孔質担体の表面の気孔のかなりの部分が消失し、前記多孔質担体の表面の平滑化がかなり進行するはずである。この場合、骨灰における付着性ばかりか、前記多孔質担体を構成するセラミックス部分の表面における微生物の付着性も低下するはずである。そこで上記した公報技術によれば、ノコクズ及び紙繊維を原料中に気孔率形成物質として積極的に配合し、焼成によりノコクズ及び紙繊維を焼失させ、ノコクズ及び紙繊維の焼失跡を気孔とし、担体の気孔率を高めている。しかしながら配合するノコクズ及び紙繊維のサイズは、一般的には、肉眼で充分に視認できるサイズであり、水質浄化に寄与する一般的な微生物のサイズ(1〜10μm)に比較して遥かに大きい。即ち、ノコクズ及び紙繊維はミリメートル単位、数10ミリメートル単位の大きさであり、それらの焼失で生成される気孔も基本的には同程度であると推察される。このためノコクズ及び紙繊維の焼失跡で形成される気孔のサイズも、ひいては、気孔で形成される前記多孔質担体の表面の凹凸も、水質浄化に寄与する微生物のサイズ(1〜10μm)に比較して遥かに大きいものとなる。故に、微生物の付着性、活性化、増殖性の向上には必ずしも充分には適さない。このため微生物を利用して水質浄化を促進させる効果は、必ずしも充分ではない。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、微生物の付着性、活性化、増殖に貢献でき、微生物を利用した水質浄化に貢献することができる水質浄化材、その製造方法、その使用方法、水質浄化材混合物を提供することを課題とする。
(1)第1発明の水質浄化材は、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有する多孔質の担体と、前記担体に担持された骨成分またはリン酸カルシウムとを備えており、粒状をなし、且つ、前記気孔の径の頻度ピークは0.4〜20μmの範囲内に設定されていることを特徴とするものである。
第1発明の水質浄化材によれば、担体は多孔質であり、適度なサイズの気孔を有するため、表面の凹凸が適度なサイズとなり、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物の付着に適する。一般的なサイズとして、アンモニア酸化菌は0.5〜2μm程度、脱窒菌は1〜5μm程度である。アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物は、アンモニア→硝酸→窒素といったアンモニア分解工程に寄与することができる。
また、担体に担持された骨成分(リン酸カルシウムを主要成分とする)またはリン酸カルシウムは、微生物との親和性が高いため、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物を活性化でき、微生物を利用したアンモニア性窒素の低減、硝酸性窒素の低減に貢献できる。更に第1発明の水質浄化材は粒状であるため、バルクの場合よりも、重量あたりの比表面積を増加させることができ、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物の担持に適する。
(2)第2発明の水質浄化材の製造方法は、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とする粉状または粒状の原料と、生物の骨成分及びリン酸カルシウム系添加材のうちの少なくとも一種と、水とを混合して混合材料を形成する混合工程と、前記混合材料を粒子の形状に成形して粒状の成形体とする造粒工程と、前記成形体を加熱雰囲気で加熱することにより焼成して多数の気孔を有する多孔質の担体を形成し、前記骨成分及び前記リン酸カルシウム系添加材のうちの少なくとも一種を前記担体に担持させて粒状の水質浄化材を形成する加熱工程と、を順に実施することを特徴とするものである。
第2発明の水質浄化材の製造方法によれば、担体は多孔質であり、適切なサイズの気孔を有するため、表面の凹凸が適度なサイズとなり、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物の担持に適する。また、担体に担持された骨成分から供給された骨成分(リン酸カルシウムを主要成分とする)またはリン酸カルシウム系添加材は、微生物との親和性が高いため微生物を活性化でき、微生物を利用したアンモニア性窒素の低減、硝酸性窒素の低減に貢献できる。
(3)第3発明に係る水質浄化材の使用方法は、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に係る水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有し且つ骨成分及びリン酸カルシウムを含まない多孔質の焼成体とを混合して用いることを特徴とするものである。前記した水質浄化材には骨成分またはリン酸カルシウムが配合されているため、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物の活性化、増殖に貢献できる。これに対して焼成体は多孔質であり、微生物の活性化、増殖性を有するものの、骨成分またはリン酸カルシウムを含まないため、微生物の活性化や増殖の能力は、骨成分またはリン酸カルシウムを含む水質浄化材ほどではない。
(4)第4発明の水質浄化材混合物は、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に係る水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有し且つ骨成分及びリン酸カルシウムを含まない多孔質の焼成体とが混合されていることを特徴とするものである。
前記した水質浄化材には生物の骨成分またはリン酸カルシウムが配合されているため、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物の活性化、増殖に貢献できる。これに対して焼成体は多孔質であり、微生物の活性化、増殖性を有するものの、生物の骨成分またはリン酸カルシウムを含まないため、活性化や増殖の能力は、骨成分またはリン酸カルシウムを含む水質浄化材ほどではない。
第1発明〜第4発明の水質浄化材は多孔質であり、適切なサイズの気孔を有しており、表面の凹凸が適度なサイズとなり、アンモニアの吸着、分解に寄与するアンモニア酸化菌、脱窒菌等の微生物の付着性、担持性が向上する。更に第1発明〜第4発明の水質浄化材は、アンモニア酸化菌、脱窒菌等の微生物の親和性が高い骨成分(リン酸カルシウムを主要成分とする)またはリン酸カルシウム(リン酸カルシウム系添加材)を含むため、アンモニア性窒素の低減、硝酸性窒素の低減に貢献でき、水質浄化を図り得る。また本発明の水質浄化材は粒状であるため、焼成の際に均一加熱性を高めることができ、微生物の活性化、増殖に適する良好なサイズをもつ気孔を形成するのに貢献できる。
上記したように本発明に係る水質浄化材は、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物の活性度、増殖性を増加させることができ、水質浄化を図り得る。その反面、微生物の活性度、増殖性が高すぎるときには、使用環境条件によっては、微生物の死骸で当該水質浄化材の気孔や水質浄化材間の隙間が詰まり、水質浄化材をフィルタとして使用する場合には、透水効果、フィルタ効果が低減されるおそれがある。
この点について第3発明に係る水質浄化材の使用方法によれば、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に係る水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有する多孔質の焼成体とが混合されて形成されている。この焼成体は生物の骨成分及びリン酸カルシウムを積極的には含まないので、微生物繁殖条件における使用期間が長期にわたったとしても、この焼成体の気孔や焼成体及び水質浄化材間の隙間が微生物の死骸で詰まることが抑制され、透水効果、フィルタ効果が長期にわたり良好に確保される。
また、第4発明に係る水質浄化材混合物によれば、請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に係り骨成分及びリン酸カルシウム(リン酸カルシウム系添加材)を含む水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有し且つ骨成分及びリン酸カルシウム(リン酸カルシウム系添加材)を含まない多孔質の焼成体とを混合して用いる。この焼成体は、生物の骨成分またはリン酸カルシウム(リン酸カルシウム系添加材)を積極的には含まないので、水質浄化材をフィルタとして使用する場合、微生物繁殖条件における繁殖使用期間が長期にわたったとしても、この焼成体の気孔や焼成体及び水質浄化材間の隙間が微生物の死骸で詰まることが抑制され、透水効果、フィルタ効果が長期にわたり良好に確保される。
本発明に係る水質浄化材によれば、担体はシリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とする。従って担体はシリカ及びアルミナの一種のみを主要成分としてもよいし、あるいは、双方を主要成分としても良い。さらに担体はマグネシウム酸化物、鉄酸化物、マンガン酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物等の少なくとも一種を含むことができる。なお、水質浄化材を100%とすると、質量%で、100%のうちシリカは15〜80%、アルミナは5〜70%の範囲内とすることができる。
本発明に係る担体は球形状または疑似球形状、あるいは、楕円球形状または楕円疑似球形状、あるいは、立方体形状または疑似立方体形状、あるいは、直方体形状または疑似直方体形状をなすことができる。担体は気孔をもち多孔質である。担体の気孔率、気孔の分布形態、平均気孔径は微生物の繁殖性に影響を与えるが、横軸を気孔の径、縦軸を頻度とするとき、気孔の径の頻度ピークは0.4〜20μmの範囲内設定されている。これにより担体の表面凹凸の大きさが水質浄化用の微生物に対して適切となり、微生物の付着性、繁殖性、活性化に寄与することができる。ここで、気孔の径の頻度ピークとしては0.4〜10μmの範囲内、あるいは、0.5〜8μmの範囲内に設定されていることが好ましい。なお、前述したように、気孔のサイズが小さ過ぎるとき、大き過ぎるときには、上記した微生物の付着性、繁殖性、活性化には充分ではない。
本発明に係る水質浄化材の平均サイズとしては、0.5〜30ミリメートルの範囲内、1〜20ミリメートルの範囲内、あるいは、1〜10ミリメートルの範囲内に設定されていることが好ましい。このような粒状のサイズであれば、焼成するとき、担体の内部と表層との均一加熱性を高めることができ、しかも加熱時間を抑えることができる。従って、水質浄化材の表面凹凸が平滑化されることを抑制でき、適切なサイズをもつ気孔を水質浄化材に形成するのに貢献できる。
水質浄化材の気孔率の上限値は体積比で例えば80%、70%、60%、50%、40%、30%のいずれかにすることができ、下限値としては例えば5%、10%、15%、20%、30%、40%のいずれかにすることができるが、これらに限定されるものではない。よって水質浄化材の気孔率は体積比で例えば5〜80%または10〜70%にすることができる。なお一般的には気孔率が増加すれば、水質浄化材は破損しやすくなるが、保水性、通水性、通気性が向上する。
製造方法に係る混合工程では、粉状または粒状の原料は炭素質粉末粒子を含むことが好ましい。炭素質粉末粒子としては黒鉛や不定形炭素等の粉末粒子を例示できる。加熱工程では、炭素質粉末粒子がガス化して焼失し、気孔を形成する。従って炭素質粉末粒子は気孔形成物質として機能することができる。炭素質粉末粒子のサイズは微細であるため、気孔のサイズの微細化に有利である。気孔は、孤立孔よりも、気孔同士が連通する連続孔が好ましい。原料を100%としたとき、質量比で、100%のうち炭素質粉末粒子は1〜30%含むことができる。原料が鋳造工場からのダスト廃棄物や汚泥廃棄物等の廃棄物であるときには、炭素質粉末粒子の割合が多くなり易い。
本発明の水質浄化材の製造方法は、骨成分やリン酸カルシウムを担持する水質浄化材を製造するのに適する方法である。即ち、混合工程では、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とする粉状または粒状の原料と、生物の骨成分及びリン酸カルシウム系添加材の少なくとも一種と、水とを混合して混合材料を形成する。混合材料における原料と、骨成分またはリン酸カルシウム系添加材との配合割合は、要請される骨成分やリン酸カルシウムの担持量、増殖させる微生物の種類等に応じて適宜選択される。ここで、骨成分やリン酸カルシウムの配合割合が増加すれば、水質浄化材の強度が低下し易くなる。また骨成分やリン酸カルシウムの配合割合が減少すれば、水質浄化材の浄化能が低下し易くなる。上記した事情を考慮し、例えば、原料と骨成分との合計を100%としたとき、骨成分は100%のうち体積比で10〜60%とすることができる。殊に、10〜45%とすることができる。リン酸カルシウム系添加材の割合についても同様である。
混合工程では混練機を用いることができる。混合の際には、混練性を高めるべく、水も添加する。原料としては、鋳物工場等の工場や廃棄処理場で廃棄された廃棄物を用いることができる。廃棄物としてはダスト廃棄物、汚泥廃棄物を採用することができる。ダスト廃棄物は、集塵機で採取したものを採用できる。ダスト廃棄物の平均粒径は1〜200μm程度、3〜50μm程度にすることができる。汚泥廃棄物は、鋳物工場等の工場や一般家庭における下水道の汚泥、廃液等を貯留する貯留槽において沈殿した汚泥を採用することができる。一般に汚泥粒子はダスト粒子よりも平均粒径が小さい。鋳物工場等の工場から排出されるダスト廃棄物、汚泥廃棄物には炭素質粉末粒子を含むことが多い。前記したリン酸カルシウム系添加材は、リン酸カルシウム自体の人工生成物、リン酸カルシウムを主要成分とする人工生成物を意味する。
製造方法で用いる生物の骨成分としては、生のものでも良く、蒸製されたものでも良く、焼成されたものでも良い。骨成分としては獣類、魚類等の骨成分がある。獣類は、牛、馬、羊、鶏等があげられる。骨成分は一般にリン酸カルシウムを主成分としているが、蛋白質を含むこともある。骨成分としては、水質浄化材の用途等に応じて破砕し、粉末状、粒状、破片状としたものを採用することができる。原料、骨成分、リン酸カルシウム系添加材のサイズ、サイズの分布形態は、水質浄化材を構成する担体の気孔のサイズ、気孔のサイズの分布形態に影響を与える。一般的には、原料粉末、骨成分粉末、リン酸カルシウム系添加材のサイズが大きいと、担体の気孔のサイズも大きくなり、原料粉末、骨成分粉末、リン酸カルシウム系添加材のサイズが小さいと担体の気孔のサイズも小さくなる。
造粒工程では、混合材料を所定の形状に成形して粒状の成形体とする。粒状の成形体はペレット状も含む。造粒工程では、攪拌羽根の攪拌による摩擦力を利用して粒状の成形体を形成してもよいし、あるいは、成形型により圧縮成形して粒状の成形体を形成してもよいし、あるいは、押し出し成形により形成した連続棒を長さ方向において直列に切断し、円柱状または疑似円柱状をなす粒状の成形体を形成することにしてもよい。
加熱工程では、成形体を加熱雰囲気で加熱することにより焼成して多孔質の担体を形成し、これにより水質浄化材を形成する。加熱温度は、成形体のサイズ、成形体の組成、焼成助剤の配合の有無、水質浄化材として要請される強度等に応じて適宜変更できる。一般的には、加熱温度が高すぎると、水質浄化材の表面の気孔が小さくなり、水質浄化材の表面凹凸が小さくなり、微生物が付着されにくくなる不具合がある。上記した点を考慮し、加熱温度の下限値としては例えば600℃、650℃、700,750℃等を採用でき、加熱温度の上限値としては例えば950℃,900℃、850℃等を採用できる。従って加熱温度は例えば600〜950℃、700〜900℃を採用することができる。但しこれらに限定されるものではない。
成形体が焼成されて担体となると、硬くなり、破損しにくくなる。加熱時間は、加熱温度、成形体のサイズ、水質浄化材に要請される硬度等に応じて選択されるが、例えば10分間〜10時間、20分間〜5時間または1〜2時間にすることができるが、これに限定されるものではない。骨成分に蛋白質等が含まれている場合には、加熱工程における加熱により蛋白質等の一部または全部は焼失すると推察される。
本発明に係る水質浄化材の平均サイズは、水質浄化材の用途等に応じて適宜変更されるが、平均サイズの下限値としては例えば0.5ミリメートル、1ミリメートル、2ミリメートルのいずれかとすることができ、平均サイズの上限値としては例えば30ミリメートル、20ミリメートル、15ミリメートル、10ミリメートル、3ミリメートル、1ミリメートルのいずれかとすることができるが、これらに限定されるものではない。従って水質浄化材の平均サイズは、例えば0.5〜30ミリメートル、0.5〜20ミリメートル、または1〜15ミリメートルにすることができる。
本発明に係る水質浄化材の使用方法は、骨成分及びリン酸カルシウム(リン酸カルシウム系添加材)を含む水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有し且つ骨成分及びリン酸カルシウム(リン酸カルシウム系添加材)を含まない多孔質の焼成体とを混合して用いる。この焼成体は骨成分及びリン酸カルシウム(リン酸カルシウム系添加材)を含まないものの、焼成体のサイズ、気孔率、気孔径の分布等は、骨成分またはリン酸カルシウム(リン酸カルシウム系添加材)を含む上記した水質浄化材と同様とすることができる。
以下、本発明に係る実施例1を図面を参照して説明する。本実施例に係る混合工程では、粉状または粒状の原料を用いる。原料は、鋳物工場の集塵機で採取されたダスト廃棄物である鋳物廃砂である。鋳物廃砂はシリカ及びアルミナを主要成分とし、更にマグネシア、酸化鉄を含み、更に炭素質粉末粒子等の有機物質等も含む。この原料と、生物である獣類(牛)の骨成分の粉末と、水とを適宜配合し、これらを混合して流動性をもつスラリ−状の混合材料を形成する。
本実施例に係る造粒工程では、前記した混合材料を成形して粒状の成形体とする。具体的には、図1に示すように容器と容器内で攪拌する回転可能な攪拌羽根10とをもつ混練機1を用い、容器に混合材料を装入した状態で、攪拌羽根10を容器の底壁20に接近させた状態で回転させる。混合材料と攪拌羽根10との間の摩擦力、混合材料と底壁20との間の摩擦力等により、混合材料が転がり、球形状または疑似球形状をなす粒状の成形体(W)が次第に造粒される。このような混合材料の転がりを利用した造粒工程によれば、プレス型による加圧で成形体を成形する場合に比較して、粒状の成形体(W)の内部と表層との硬さムラを低減させつつ、粒状の成形体(W)の表面凹凸を良好に形成することができる。更に粒状の成形体(W)のサイズについても、プレス型による加圧で成形体を成形する場合と異なり、攪拌時間つまり転がり時間を調整することで任意に調整することができる。なお、成形体(W)の平均サイズは3〜4ミリメートルとする。その後、造粒された多数個の成形体を乾燥させる。乾燥後に加熱工程を実施する。
本実施例に係る加熱工程では、焼成炉に粒状の成形体の集合体を装入し、大気中において成形体の集合体を加熱し焼成する。加熱工程の温度は800℃とし、800℃における加熱時間は4時間とする。これにより多孔質の担体(平均サイズ:3ミリメートル)の集合体が形成される。加熱温度が比較的に低温であるため、担体の表面の気孔の消失が抑制され、担体の表面凹凸の消失が抑制され、微生物が担体の表面に担持され易くなる効果が得られる。成形体が加熱された際に、成形体に含まれている炭素質粉末粒子等の有機物質が焼失するため、焼失跡が気孔となる。このような製造過程を経るため、気孔は孤立孔(閉気孔)よりも、気孔同士が連通する連通孔の割合が多く、担体の表面で開気している開気孔の割合が多くなる。このように本実施例で製造された水質浄化材は多数の開気孔状の気孔を備えており、多孔質である。一般的には、水質浄化材の気孔率は、水銀圧入法で測定すると、30〜65体積%である。
以上の製造方法により、本実施例に係る粒状の水質浄化材の集合体が製造される。一般的には、水質浄化材のサイズは、焼成収縮の影響で、成形体のサイズよりも小さくなる。本実施例に係る水質浄化材は、シリカ及びアルミナを主要成分とする粒形状をなす多孔質の担体と、担体に担持された骨成分つまりリン酸カルシウムとを備えている。水質浄化材の1粒子の形態を電子顕微鏡で観察したところ、ほぼ球形粒子状の水質浄化材には気孔が多数分散しており、表面凹凸が形成されていると共に、骨成分の粉末粒子が多数分散していた。図2は1粒の水質浄化材を顕微鏡で観察した状態を模式化したものである。図3はその部分拡大図である。図2及び図3に基づけば、多数の気孔をもつ多孔質の水質浄化材に微細な島状の骨成分が分散していることがわかる。気孔よりも骨成分の粒子が大きいことがわかる。更に、開気孔状の気孔に表出している島状の骨成分も観察される。水質浄化材の気孔に水が進入するため、水質浄化材の内部に埋設されている骨成分も溶出できると推察される。
この水質浄化材は、水槽内に浸漬させた状態、あるいは、パイプの通水路内に配置した状態で使用することができる。この水質浄化材は多孔質であり、適度なサイズの気孔を有するため、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物の担持に適する。また、水質浄化材に担持された骨成分から供給された骨成分(リン酸カルシウムを主要成分とする)は、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物との親和性が高いため、これらの微生物を活性化でき、これらの微生物を利用したアンモニア性窒素の低減、硝酸性窒素の低減に貢献できる。
上記したように骨成分を含む水質浄化材は、アンモニア酸化菌や脱窒菌等の微生物の活性度、増殖性を増加させることができる。その反面、使用環境条件によっては、微生物の活性度、増殖性が高すぎることもある。この場合、使用期間が長期にわたると、微生物の活性度、増殖性が高すぎ、微生物の死骸で当該水質浄化材の気孔や水質浄化材間の隙間が詰まるおそれがある。この場合、水質浄化材を浄水用フィルタとして使用するときには、透水効果、フィルタ効果が低減されるおそれがある。この点について本実施例に係る水質浄化材混合物は、骨成分またはリン酸カルシウムを含む水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有する多孔質の焼成体とが混合されて形成されている。この焼成体には、骨成分及びリン酸カルシウム系添加材が配合されていない。この焼成体の製造は、実施例1において水質浄化材を製造した場合と同様な方法で製造することができる。但し、骨成分を配合させていない点が異なる。この焼成体の気孔率、気孔径は水質浄化材と同様とすることができ、気孔径の頻度ピークは0.4〜20μmの範囲内に設定されている。
前記した実施例1に係る水質浄化材には、骨成分またはリン酸カルシウム系添加材が配合されている。しかしこの焼成体は気孔を有し多孔質体であるため、微生物の活性度、増殖性に寄与できるものの、骨成分またはリン酸カルシウム系添加材が配合されていないため、微生物の活性度、増殖性に寄与する能力は、実施例1に係る水質浄化材の場合よりも小さい。故に、この焼成体の気孔や焼成体及び水質浄化材間の隙間が微生物の死骸で詰まることが抑制される。従って水質浄化材と焼成体とを混合した水質浄化材混合物を長期にわたり使用したときであっても、透水効果、フィルタ効果が長期にわたり良好に確保される。なお、配合割合としては、体積比で、骨成分またはリン酸カルシウム系添加材が配合されていない焼成体の体積をV1とし、水質浄化材の体積をV2とすると、V1/V2の値は0.1〜3.0の範囲内で適宜設定することができる。
(試験例)
次に試験例について説明する。試験例で用いるサンプル1〜サンプル9は基本的には上記した実施例1に基づいて混合工程、造粒工程、加熱工程を経て製造された。原料として鋳物工場から排出された廃棄物である集塵ダストを用いた。
・サンプル1では、集塵ダストと骨粉とを体積比で8:2の割合で混合した混合材料を用いた。骨粉は骨破砕片を焼成した粉末状のものである。
・サンプル2では、集塵ダストと粒状の骨リン酸とを体積比で17:3の割合で混合した混合材料を用いた。骨リン酸とは、牛骨から蛋白質を除去し、リン酸分だけ抽出凝縮させた材料を粒状加工したものをいう。
・サンプル3では、集塵ダストのみ混合した混合材料を用いた。この場合、骨成分は配合されていないので、比較例に相当する。
・サンプル4では、集塵ダストに対してリン酸カルシウムの添加材を体積比で5%配合した混合材料を用いた。この場合、全体を100%とすると、体積比で95%は集塵ダストである。
・サンプル5では、集塵ダストに対してリン酸カルシウムの添加材を体積比で10%配合した混合材料を用いた。この場合、全体を100%とすると、体積比で90%は集塵ダストである。
・サンプル6では、集塵ダストに対してリン酸カルシウムの添加材を体積比で20%配合した混合材料を用いた。この場合、全体を100%とすると、体積比で80%は集塵ダストである。
・サンプル7では、集塵ダストに対してリン酸カルシウムの添加材を体積比で30%配合した混合材料を用いた。この場合、全体を100%とすると、体積比で70%は集塵ダストである。
・サンプル8では、集塵ダストに対してリン酸カルシウムの添加材を体積比で40%配合した混合材料を用いた。この場合、全体を100%とすると、体積比で60%は集塵ダストである。
・サンプル9では、集塵ダストに対してリン酸カルシウムの添加材を体積比で50%配合した混合材料を用いた。この場合、全体を100%とすると、体積比で50%は集塵ダストである。
(集塵ダストの基本組成)
上記した集塵ダストの基本組成を調べた。基本組成は次のようである。集塵ダストは、シリカ及びアルミナを主要成分とすると共に、カルシウム酸化物、マグネシウム酸化物、鉄酸化物、マンガン酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物等を含む。具体的には、質量%で、SiO2が52.9%、Al23が15.5%、CaOが2.05%、MgOが2.77%、、Fe23が5.17%、MnOが0.076%、Na2Oが1.70%、K2Oが0.478%、Sが0.228%、Pが0.029%、IL(Ignition Loss)が18.5%等である。IL(Ignition Loss)は強熱減量分であり、その大部分は炭素質粉末粒子等であり、焼成時に気孔生成物質として機能できる。
(気孔分布)
本発明者は、集塵ダストと骨粉とを配合したサンプル1の気孔サイズについて測定した。測定結果を図4に示す。図4において特性線X1は気孔サイズの分布を示し、特性線X2は積算値を示す。図4に示すように、サンプル1の気孔サイズは1〜2μm付近でピークをもつが、この気孔サイズは微生物の活性化、増殖に適する。更に、リン酸カルシウムの添加材及び骨成分が配合されていないサンプル3の気孔サイズについても測定した。測定結果を図5に示す。図5において特性線Y1は気孔サイズの分布を示し、特性線Y2は積算値を示す。図5に示すように、サンプル3の気孔サイズは1〜2μm付近でピークをもつ。更に、焼成骨灰の気孔サイズについても測定した。測定結果を図6に示す。図6において特性線W1は気孔サイズの分布を示し、特性線W2は積算値を示す。図6に示すように、焼成骨灰の気孔サイズは0.4μm付近にピークをもつ。一般的な微生物のサイズは1μm〜10μm程度であることから、このような焼成骨灰の気孔サイズは微生物の活性化、増殖には充分ではない。
(試験例1)
試験例1では、サンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル6、サンプル7の5種の水質浄化材を30ミリリットルづつサンプルビンにそれぞれ個別に入れた。サンプルビンは約150ミリリットル用であり、蓋で閉鎖可能とされている。硝酸性窒素とアンモニア性窒素の合計窒素濃度が170ミリグラム/リットルの硝酸アンモニウム溶液100ミリリットルを、このサンプルビンにそれぞれ個別に加えた。更に、水素供与体として酢酸ナトリウムを164ミリグラムサンプルビンに添加した。そしてサンプルビンに蓋をし、水浴中(30℃)で100rpmでサンプルビンを振動し、サンプルビン内の各溶液の硝酸性窒素とアンモニア性窒素の濃度変化を経時的に測定した。アンモニア性窒素についての測定結果を図7に示す。図7においては、10日経過後には、発明品であるサンプル1,サンプル2、サンプル7,サンプル6についてはアンモニア性窒素の濃度が0または0に近くなるため、各マークが重なっている。硝酸性窒素についての測定結果を図8に示す。図8においては、10日経過後には、サンプル1,サンプル2、サンプル7,サンプル6については硝酸性窒素の濃度が0または0に近くなるため、各マークが重なっている。図7及び図8に示すように、発明品であるサンプル1、サンプル2、サンプル6、サンプル7では、アンモニアの吸着分解と硝酸の分解効果とが良好であることを確認した。リン酸カルシウムの添加材または骨成分が配合されていない比較例であるサンプル3では、アンモニアの吸着分解効果及び硝酸の分解効果は共に充分ではなかった。
(試験例2)
試験例2では、サンプル1を30ミリリットル用いた。サンプル1は、前述したように、集塵ダストと骨粉とを体積比で8:2の割合で混合しているため、骨粉の割合は6ミリリットルである(30ミリリットル×20%=6ミリリットル)。更に別のサンプルとして焼成骨灰のみを6ミリリットル用いた。この焼成骨粉は800℃で4時間加熱保持して形成したものである。
試験例2では試験例1の場合と同様な条件で、アンモニア性窒素及び硝酸性窒素について評価した。アンモニア性窒素についての測定結果を図9に示す。硝酸性窒素についての測定結果を図10に示す。図9及び図10に示すように、焼成骨粉のみからなるときには、脱窒効果がほとんど認められなかった。これに対して骨粉を体積比で20%配合している発明品であるサンプル1では、アンモニア窒素の低減、硝酸性窒素の低減が確認され、脱窒効果が得られることが確認された。この測定結果に基づけば、微生物の繁殖に貢献できるとされる焼成骨粉のみでは脱窒効果の向上には不充分であり、焼成骨灰とセラミックス(アルミナ、シリカ)との双方による複合化が脱窒効果の向上に有効であると推察される。
(試験例3)
試験例3では、サンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル4、サンプル5の5種の水質浄化材を30ミリリットルづつサンプルビンにそれぞれ個別に入れた。サンプルビンは約150ミリリットル用であり、蓋で閉鎖可能とされている。硝酸性窒素とアンモニア性窒素の合計窒素濃度が15000ミリグラム/リットルの硝酸アンモニウム溶液100ミリリットルを、各サンプルビンにそれぞれ個別に加えた。更に、水素供与体として酢酸ナトリウム600ミリグラムをサンプルビンにそれぞれ個別に添加した。そしてサンプルビンに蓋をし、水浴中(30℃)で100rpmでサンプルビンを振動した。1日経過後、各溶液中の硝酸性窒素とアンモニア性窒素の濃度を測定し、1日当たりの窒素除去量を求めた。そして、毎日、溶液を交換し、繰り返しの効果を確認した。測定結果を図11に示す。図11に示すように、リン酸カルシウムの添加材及び骨成分が配合されていない比較例であるサンプル3では、窒素除去量は少なかった。これに対して発明品であるサンプル1(骨粉:体積比で20%)、サンプル2(骨リン酸:体積比で15%)、サンプル4(リン酸カルシウムの添加材:体積比で5%)、サンプル5(リン酸カルシウムの添加材:体積比で10%)では脱窒効果が確認された。殊に、サンプル1、サンプル2、サンプル5では、安定した高い脱窒効果が確認された。図11に示す測定結果によれば、リン酸カルシウムの添加材または骨成分を体積比で10%以上含有することが望ましいことがわかる。殊に、リン酸カルシウムの添加材または骨成分を体積比で15%以上含有することが望ましいことがわかる。
(試験例4)
試験例4では、サンプル1、サンプル2、サンプル3の3種の水質浄化材について、アンモニア酸化菌と脱窒菌の保持数を比較した。上記したサンプル1、サンプル2、サンプル3の3種の水質浄化材を20ミリリットルづつサンプルビンにそれぞれ個別に入れた。人工下水を用意した。人工下水は、硝酸アンモニウム143ミリグラム/1リットル、グルコース240ミリグラム/1リットル、リン酸二水素カリウム16ミリグラム/1リットルを含む。そして人工下水を100ミリリットルずつ各サンプルビンにそれぞれ個別に添加した。そして各サンプルビンに蓋をし、水浴(30℃)中で100rpmでサンプルビンを振動した。4週間後に各水質浄化材に保持されている脱窒菌数、アンモニア酸化菌数を測定した。脱窒菌数はMPN法で測定し、アンモニア酸化菌数はイムノラテックス法にて測定した。アンモニア酸化菌数の測定結果を図12に示す。アンモニア酸化菌数は1000×104以上が好ましい。脱窒菌数の測定結果を図13に示す。図12及び図13に示すように、リン酸カルシウムの添加材及び骨成分が配合されていないサンプル3に比較して、骨粉が配合されているサンプル1,骨リン酸が配合されているサンプル2では、脱窒菌数やアンモニア酸化菌数が多く、このことが高い脱窒能力に関与していると推察される。
MPN(Most Probable Number)法では、培地をいれた多数の試験管に数段階の土壌希釈液を一定量ずつ接種して充分な期間培養した後に、菌の生育の有無を判定し、統計処理により測定する方法であり、微生物の計数として周知方法である。イムノラテックス法は、抗原と抗体との間で生じる結合反応を利用したものであり、抗体をラテックス樹脂に固定し、微生物の表面に存在する蛋白質(抗原)と特異的に反応させ、検出・定量する方法であり、微生物の計数として周知方法である。
(試験例5)
試験例5では、各サンプルの水質浄化材について、圧壊強度計により浄化材の圧壊強度を測定した。この場合、水平テーブルの上に水質浄化材(直径:2ミリメートル)を載せ、その水平テーブルを低速度で上昇させることにより、加圧ゲージ体に水質浄化材を押しつけ、水質浄化材が破壊したときの荷重で圧壊強度を測定した。測定結果を図14に示す。なお、図14中では、圧壊強度を(kgf)単位で表したが、この圧壊強度の数値に9.8を乗算することで圧壊強度を(N)単位で表せることはいうまでもない。図14に示すように、圧壊強度については、リン酸カルシウムの添加材及び骨成分を含まないサンプル3が最も高かった。そして、リン酸カルシウムの添加材及び添加材の配合量が増加するにつれて、圧壊強度は次第に低下していく。圧壊強度を確保するためには、リン酸カルシウムの添加材及び骨材の配合は体積比で40%以下が好ましく、殊に、30%以下、20%以下が好ましい。
(その他)
付記項1:シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有する多孔質の担体と、前記担体に担持された骨成分及びリン酸カルシウムのうちの少なくとも一方とを備えており、粒状をなすことを特徴とする水質浄化材。
付記項2:付記項1に係る水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有する多孔質の焼成体とを混合して用いることを特徴とする水質浄化材の使用方法。
付記項3:付記項1に係る水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有する多孔質の焼成体とが混合されていることを特徴とする特徴とする水質浄化材混合物。
本発明に係る人工浄化材は、産業廃水、生活廃水、河川、池水、プール等の水質浄化に利用することができる。
攪拌羽根の回転で粒状の成形体を造粒している形態を模式的に示す斜視図である。 1粒の水質浄化材を模写した図である。 1粒の水質浄化材の拡大部分を模写した図である。 骨粉を含むサンプル1の気孔径の分布を示すグラフである。 骨粉及びリン酸カルシウム添加材を含まないサンプル3の気孔径の分布を示すグラフである。 焼成骨粉の気孔径の分布を示すグラフである。 アンモニア性窒素の濃度変化を示すグラフである。 硝酸性窒素の濃度変化を示すグラフである。 サンプル1と焼成骨灰とを用いたときにおけるアンモニア性窒素の濃度変化を示すグラフである。 サンプル1と焼成骨灰とを用いたときにおける硝酸性窒素の濃度変化を示すグラフである。 窒素除去量累積を示すグラフである。 サンプル1〜3について4週間後のアンモニア酸化菌数を示すグラフである。 サンプル1〜3について4週間後の脱窒菌数を示すグラフである。 圧壊強度を示すグラフである。
符号の説明
図中、1は混練機、10は攪拌羽根を示す。

Claims (8)

  1. シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有する多孔質の担体と、前記担体に担持された骨成分またはリン酸カルシウムとを備えており、粒状をなし、且つ、前記気孔の径の頻度ピークは0.4〜20μmの範囲内に設定されていることを特徴とする水質浄化材。
  2. 請求項1において、平均サイズは0.5〜30ミリメートルの範囲内に設定されていることを特徴とする水質浄化材。
  3. シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とする粉状または粒状の原料と、生物の骨成分及びリン酸カルシウム系添加材のうちの少なくとも一種と、水とを混合して混合材料を形成する混合工程と、
    前記混合材料を粒子の形状に成形して粒状の成形体とする造粒工程と、
    前記成形体を加熱雰囲気で加熱することにより焼成して多数の気孔を有する多孔質の
    担体を形成し、前記骨成分及び前記リン酸カルシウム系添加材のうちの少なくとも一種を前記担体に担持させて粒状の水質浄化材を形成する加熱工程と、を順に実施することを特徴とする水質浄化材の製造方法。
  4. 請求項3において、前記混合工程では、前記原料は炭素質粉末粒子を含み、且つ、前記加熱工程では前記炭素質粉末粒子がガス化して焼失することを特徴とする水質浄化材の製造方法。
  5. 請求項3または請求項4において、前記原料は鋳造工場から排出された廃棄物であり、前記造粒工程は前記混合材料を攪拌羽根により攪拌して転がりを利用して行われることを特徴とする水質浄化材の製造方法。
  6. 請求項3〜請求項5のうちのいずれか一項において、前記加熱工程における加熱温度は600〜950℃であることを特徴とする水質浄化材の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に係る水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有し且つ骨成分及びリン酸カルシウムを含まない多孔質の焼成体とを混合して用いることを特徴とする水質浄化材の使用方法。
  8. 請求項1〜請求項6のうちのいずれか一項に係る水質浄化材と、シリカ及びアルミナのうちの少なくとも一種を主要成分とすると共に多数の気孔を有し且つ骨成分及びリン酸カルシウムを含まない多孔質の焼成体とが混合されていることを特徴とする水質浄化材混合物。
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