JP2005039920A - モータ制御装置 - Google Patents

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Masayasu Azuma
真康 東
Masaya Segawa
雅也 瀬川
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眞之 植野
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Abstract

【課題】電動モータの出力の発振を防止することができ、また、必要時には電動モータから大きなトルクを出力させることができるモータ制御装置を提供する。
【解決手段】転舵用ECU8は、メインECU7から与えられる操舵アクチュエータM1(3相ブラシレスモータ)の目標回転角と回転角センサ3によって検出される操舵アクチュエータM1の実回転角との偏差を求め、その偏差を入力信号としてPI制御演算を行い、このPI制御演算の結果に基づいて操舵アクチュエータM1の制御を行う。目標回転角と実回転角との偏差が予め定める閾値αよりも大きい場合には、PI制御演算のゲインが相対的に大きな値に設定され、目標回転角と実回転角との偏差が閾値α以下である場合には、PI制御ゲインが相対的に小さな値に設定される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、車両用操舵装置の駆動源として用いられる電動モータを駆動制御するためのモータ制御装置に関する。車両用操舵装置は、ステアリングホイールなどの操作部材の操作に基づいて、この操作部材に対して機械的な結合を持たない舵取り機構を駆動して舵取り車輪を転舵させる構成(いわゆるステア・バイ・ワイヤ・システム)を有していてもよいし、操作部材と舵取り機構とが機械的に連結され、舵取り機構に対して操作部材による操舵力を補助するための操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置としての構成を有していてもよい。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、ステアリングホイールと舵取り用の車輪を転舵するための舵取り機構とを機械的に切り離した構成の車両用操舵装置(いわゆるステア・バイ・ワイヤ・システム)では、舵取り機構に与えるべき駆動力の発生源として電動モータが用いられている。
電動モータは、マイクロコンピュータを含む構成の制御装置によって、ステアリングホイールの操作角と舵取り用の車輪の転舵角とに基づいて制御されるようになっている(たとえば、特許文献1参照)。より具体的には、操作角を検出する操作角センサおよび転舵角を検出する転舵角センサの各検出信号が制御装置に入力されていて、制御装置は、それらの検出信号に基づいて操作角と転舵角との偏差を求め、その偏差に応じた電動モータの目標回転角を設定する。また、電動モータの実回転角を検出するレゾルバなどのモータ回転角センサの検出信号が入力されていて、制御装置は、電動モータの目標回転角と実回転角との偏差を入力信号として所定の制御演算を行うことにより、電動モータの制御電圧値を求め、その制御電圧値に基づいて電動モータを制御する。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−46639号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような電動モータの制御では、制御ゲインを可能な限り大きく設定することが望ましい。制御ゲインが小さいと、電動モータの出力トルクが小さくなり、ステアリングホイールの操作に対して高い応答性で舵取り用車輪の転舵を達成できないからである。ところが、制御ゲインを大きくすると、舵角中点(車両直進時の転舵角)付近で電動モータの出力が発振し、車両が左右にふらつくことがあった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、電動モータの出力の発振を防止することができ、また、必要時には電動モータから大きなトルクを出力させることができるモータ制御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、電動モータ(M1)の目標回転位置を設定する目標回転位置設定手段(7)と、電動モータの実回転位置を検出する実回転位置検出手段(3)と、上記目標回転位置設定手段によって設定される目標回転位置と上記実回転位置検出手段によって検出される実回転位置との偏差を入力として制御演算を行い、その演算結果に基づいて電動モータを制御するモータ制御手段(81)と、上記目標回転位置設定手段によって設定される目標回転位置と上記実回転位置検出手段によって検出される実回転位置との偏差に基づいて、上記モータ制御手段による制御ゲインを設定するゲイン設定手段(82)とを含むことを特徴とするモータ制御装置である。
【0007】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
上記の構成によれば、電動モータの目標回転位置(目標回転角)と実回転位置(実回転角)との偏差に応じた制御ゲインを設定することにより、電動モータの出力の発振を防止することができ、また、必要時には電動モータから大きなトルクを出力させることができる。
【0008】
たとえば、請求項2に記載のように、上記ゲイン設定手段は、上記目標回転位置設定手段によって設定される目標回転位置と上記実回転位置検出手段によって検出される実回転位置との偏差の大きさに応じて制御ゲインを設定するものであってもよく、その場合に、偏差が予め定める値(α)よりも大きいときには、制御ゲインを大きな値(β)に設定し、偏差が予め定める値(α)よりも小さいときには、制御ゲインを小さな値(γ)に設定するようにすれば、電動モータの実回転位置が目標回転位置にほぼ等しい状況下では、電動モータの出力が発振することを防止でき、また、電動モータの実回転位置が目標回転位置から大きく離れているときには、電動モータから大きなトルクを出力させることができ、電動モータの実回転位置を目標回転位置に速やかに近づけることができる。
【0009】
請求項1または2記載のモータ制御装置は、操作部材(2)と舵取り用車輪(W)を転舵するための舵取り機構(1)との機械的な結合をなくし、操作部材の操作に基づいて、舵取り機構に電動モータ(M1)からの駆動力を与えるようにした車両用操舵装置にモータ制御手段として適用されると、より顕著な効果を発揮する。すなわち、操作部材が中立位置(直進操舵位置)から離れる方向に操作される時など、電動モータの目標回転角が大きな値に設定されるような状況下では、目標回転角と実回転角との偏差が大きくなり、制御ゲインが大きな値に設定されるから、電動モータから大きなトルクを出力させることができ、操作部材の操作に対して高い応答性で舵取り用車輪の転舵を達成することができる。一方、操作部材が中立位置付近で操作されていて、電動モータの目標回転角が小さな値に設定されるような状況下では、目標回転角と実回転角との偏差が小さく、制御ゲインが小さな値に設定されるから、舵角中点(車両直進時の転舵角)付近で電動モータの出力が発振することを防止できる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された車両用操舵装置の構成を説明するための概念図である。この車両用操舵装置は、いわゆるステア・バイ・ワイヤ・システムの構成であり、一対の舵取り用車輪W,Wに舵取り動作を行わせるための舵取り機構1と、この舵取り機構1に対して機械的な結合のない状態で設けられたステアリングホイール2とを備えている。
【0011】
舵取り機構1は、車体の左右方向に延びて配置された転舵軸11と、この転舵軸11の両端部にタイロッド12,12を介して結合され、舵取り用車輪W,Wを支持するナックルアーム13,13とを有している。転舵軸11は、ハウジング14に支承されて軸方向に摺動可能にされており、その途中部に、3相ブラシレスモータで構成される操舵アクチュエータM1が同軸的に組み込まれている。操舵アクチュエータM1には、その回転角を検出するためのレゾルバなどの回転角センサ3が付設されている。
【0012】
操舵アクチュエータM1が駆動されると、操舵アクチュエータM1の回転が、ボールねじなどからなる運動変換機構によって転舵軸11の摺動に変換され、この転舵軸11の摺動がタイロッド12,12を介してナックルアーム13,13の回動を引き起こすことにより、舵取り用車輪W,Wの転舵が達成される。
ステアリングホイール2には、このステアリングホイール2に対して路面反力に相当する反力を付与するための反力アクチュエータM2が結合されている。反力アクチュエータM2は、ステアリングホイール2に結合されたシャフト21を回転軸とする電動モータ(たとえば、3相ブラシレスモータ)で構成されており、そのケーシングが車体の適所に固定されている。反力アクチュエータM2には、ステアリングホイール2の操作角を検出するための操作角センサ6が付設されている。
【0013】
操作角センサ6の検出信号は、メインECU(電子制御ユニット)7に入力されるようになっている。メインECU7には、操舵アクチュエータM1を駆動制御するための転舵用ECU8と、反力アクチュエータM2を制御するための反力用ECU9とが接続されている。
メインECU7、転舵用ECU8および反力用ECU9は、いずれもマイクロコンピュータを備えている。
【0014】
メインECU7は、操作角センサ6によって検出される操作角と回転角センサ3によって検出される転舵軸11の軸方向位置に応じた舵取り用車輪W,Wの転舵角との偏差を演算し、その偏差に応じた操舵アクチュエータM1の目標回転角を設定して、この設定した目標回転角を転舵用ECU8に与える。転舵用ECU8には、回転角センサ3の検出信号が入力されており、転舵用ECU8は、メインECU7から与えられる目標回転角に基づいて操舵アクチュエータM1をフィードバック制御する。これにより、ステアリングホイール2の操作に応じた舵取り用車輪W,Wの転舵が達成される。
【0015】
また、メインECU7は、操作角センサ6によって検出される操作角に基づいて、反力アクチュエータM2の制御目標値を設定し、その設定した制御目標値を反力用ECU9に与える。反力用ECU9は、メインECU7から与えられる制御目標値に基づいて反力アクチュエータM2を制御する。これにより、反力アクチュエータM2からステアリングホイール2に操舵反力が付与され、運転者は、ステアリングホイールと舵取り機構とが機械的に連結された従来からの車両用操舵装置の場合と同様な路面反力を感じながら、良好なフィーリングで操舵を行うことができる。
【0016】
図2は、転舵用ECU8の機能を説明するためのブロック図である。転舵用ECU8は、マイクロコンピュータが実行するプログラム処理によって、メインECU7から与えられる操舵アクチュエータM1の目標回転角と回転角センサ3によって検出される操舵アクチュエータM1の実回転角との偏差を求め、その偏差を入力信号としてPI(Proportional−Integral:比例積分)制御演算を行うPI制御演算部81と、メインECU7から与えられる操舵アクチュエータM1の目標回転角と回転角センサ3によって検出される操舵アクチュエータM1の実回転角とに基づいて、PI制御演算部81によるPI制御演算のゲイン(PI制御ゲイン)を設定するゲイン設定部82と、PI制御演算部81によるPI制御演算の結果に応じたPWM(Pulse Width Modulation)制御信号を生成する駆動信号生成部83とを実質的に備えている。駆動信号生成部83によって生成されたPWM制御信号が駆動回路84に与えられると、その駆動回路84に含まれるスイッチング素子がオン/オフし、そのオン/オフに応じた駆動電圧が駆動回路84から操舵アクチュエータM1に供給される。
【0017】
図3は、ゲイン設定部82による処理の内容を示すフローチャートである。ゲイン設定部82は、メインECU7から操舵アクチュエータM1の目標回転角が入力され(ステップS1)、回転角センサ3によって操舵アクチュエータM1の実回転角が検出されると(ステップS2)、その目標回転角と実回転角との偏差が予め定める閾値αよりも大きいか否かを判断する(ステップS3)。
目標回転角と実回転角との偏差が閾値αよりも大きい場合には、ゲイン設定部82は、PI制御演算のゲインを大きな値β(たとえば、β=50)に設定する(ステップS4)。一方、目標回転角と実回転角との偏差が閾値α以下である場合には、ゲイン設定部82は、PI制御ゲインを上記値βよりも小さな値γ(たとえば、γ=10)に設定する(ステップS5)。
【0018】
これにより、ステアリングホイール2の切り込み操舵時(ステアリングホイール2が中立位置(直進操舵位置)から離反する方向に操作される時)など、操舵アクチュエータM1の目標回転角が大きな値に設定される状況下では、目標回転角と実回転角との偏差が大きくなって、PI制御ゲインが大きな値に設定されるから、操舵アクチュエータM1から大きなトルクを出力させることができ、ステアリングホイール2の操作に対して高い応答性で舵取り用車輪W,Wの転舵を達成することができる。一方、ステアリングホイール2が中立位置付近で操作されていて、操舵アクチュエータM1の目標回転角が小さな値に設定される状況下では、目標回転角と実回転角との偏差が小さく、PI制御ゲインが小さな値に設定されるから、舵角中点(車両直進時の転舵角)付近で操舵アクチュエータM1の出力が発振することを防止できる。
【0019】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、舵取り機構1とステアリングホイール2との間に機械的な結合のないステア・バイ・ワイヤ・システムを例にとったが、この発明は、転舵軸11上にラックを設け、このラックと噛合するピニオンにステアリングシャフト21を結合することによって、舵取り機構1とステアリングホイール2とを機械的に結合し、ステアリングホイール2に加えられる操舵力を補助するための操舵補助力を操舵アクチュエータM1によって転舵軸11に付与する構成の電動パワーステアリング装置に対しても適用可能である。
【0020】
また、上記の実施形態では、操作部材としてステアリングホイール2が用いられる例について説明したが、この他にも、レバーなどの他の操作部材が用いられてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された車両用操舵装置の構成を説明するための概念図である。
【図2】転舵用ECUの機能を説明するためのブロック図である。
【図3】ゲイン設定部による処理の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 舵取り機構
2 ステアリングホイール(操作部材)
3 回転角センサ(実回転位置検出手段)
7 メインECU(目標回転位置設定手段)
8 転舵用ECU
81 PI制御演算部(モータ制御手段)
82 ゲイン設定部(ゲイン設定手段)
83 駆動信号生成部
84 駆動回路
M1 操舵アクチュエータ(電動モータ)
W 舵取り用車輪

Claims (2)

  1. 電動モータの目標回転位置を設定する目標回転位置設定手段と、
    電動モータの実回転位置を検出する実回転位置検出手段と、
    上記目標回転位置設定手段によって設定される目標回転位置と上記実回転位置検出手段によって検出される実回転位置との偏差を入力として制御演算を行い、その演算結果に基づいて電動モータを制御するモータ制御手段と、
    上記目標回転位置設定手段によって設定される目標回転位置と上記実回転位置検出手段によって検出される実回転位置との偏差に基づいて、上記モータ制御手段による制御ゲインを設定するゲイン設定手段と
    を含むことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 上記ゲイン設定手段は、上記目標回転位置設定手段によって設定される目標回転位置と上記実回転位置検出手段によって検出される実回転位置との偏差の大きさに応じて制御ゲインを設定するものであることを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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