JP2005038885A - 積層セラミック電子部品の選別方法及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空孔が形成された、あるいは該空孔に樹脂又はガラスが充填されたセラミック基体を備えた電子部品の適切な良品/不良品の選別方法及び製造方法を得る。
【解決手段】樹脂によって空孔が適正な割合で充填されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求め、この変化率のデータから、樹脂によって空孔が適正な割合で充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求める。次に、選別対象である電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求め、前記選別対象である電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断する選別方法。
【選択図】 図4
【解決手段】樹脂によって空孔が適正な割合で充填されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求め、この変化率のデータから、樹脂によって空孔が適正な割合で充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求める。次に、選別対象である電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求め、前記選別対象である電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断する選別方法。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミック電子部品の選別方法及び製造方法、詳しくは、高周波帯域で使用されるインダクタ、LC複合電子部品、LR複合電子部品、LCR複合電子部品などの選別方法及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開昭55−52300号公報
【特許文献2】
特開平11−67575号公報
【0003】
近年、電子機器の高周波化が進み、インダクタやLC複合部品、LR複合部品、LCR複合部品などは、GHz帯域の高周波に対応可能なものが求められるようになっている。
【0004】
しかし、高周波帯域用のインダクタにおいては、コイルとパラレルに発生する浮遊容量がそのインピーダンスに大きく影響し、特に、GHz帯では、1/100pF〜1/10pF程度の微小な浮遊容量がインピーダンスに大きな影響を与える。従って、浮遊容量を小さくして所望の特性を確保しようとすると、磁性体として用いられているフェライトなどの誘電率εを下げることが必要になる。しかし、フェライトの構造的な理由から、フェライト自体の誘電率εを例えば13〜14以下にまで下げることは事実上困難である。
【0005】
そのような状況のもとで誘電率を下げようとすると、磁性体に樹脂やガラスなどの誘電率の低い材料を配合する方法が考えられる。しかし、磁性体に非磁性体である樹脂やガラスなどを配合したコンポジット磁性材料においては、磁性体粒子が樹脂やガラスなどの非磁性体材料によって覆われ、磁路が分断されてしまうため、透磁率が極端に低くなってしまうという問題点を有している。
【0006】
そこで、近年、電磁波吸収体などに用いられる誘電率の低いフェライト材料として、空孔率を20〜70vol%とした発泡フェライト焼結体が知られている(特許文献1参照)。また、空孔を含有させたセラミックを用いた電子部品として、セラミックと、セラミックの内部に形成された内部電極を備え、セラミックに直径1〜3μmの空孔を3〜30vol%の割合で含有させたセラミック電子部品が提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
この種のフェライト焼結体は、空孔を高い割合で含んでいることに起因して誘電率が低く、高周波帯域でのインピーダンス特性を向上させることが可能である。また、磁路が連続していることから電磁気特性が不連続に大きく変動することがないという利点を有している。
【0008】
さらに、本出願人は、未公開であるが特願2003−91063として、セラミック焼結体に形成した空孔に樹脂又はガラスを充填したセラミック電子部品及びその製造方法を提案した。これは、空孔を形成することによるセラミック焼結体の強度劣化を防止(抗折強度の確保)しようとするものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のごとく、セラミック電子部品においては、セラミック焼結体の誘電率を低くして高周波帯域での特性の向上を図る種々の試みがなされている。しかし、製造の最終段階において良品か不良品かの選別を行う適切な方法が確立されていないのが現状である。
【0010】
即ち、空孔を形成した電子部品においては正しい割合の空孔率に形成されているか否か、空孔が形成されていない電子部品が混入していないか否か、また、空孔に樹脂又はガラスを充填した電子部品においては正しい割合で充填されているか否かが外観からでは判別できない。空孔に樹脂又はガラスを充填したセラミック焼結体は折れにくいので曲げストレスを加えて選別することが考えられるが、出荷前の製品に機械的なストレスを加えることは好ましい方法ではない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、空孔が形成された、あるいは該空孔に樹脂又はガラスが充填されたセラミック基体を備えたセラミック電子部品の適切な良品/不良品の選別方法及び製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】
以上の目的を達成するため、第1の発明は、空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品の選別方法であって、空孔が適正な割合で形成されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、前記変化率のデータから、空孔が適正な割合で形成されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップとからなることを特徴とする。この選別方法を製造工程に付加して製造工程の最終段階で1品ずつ選別するようにしてもよい。
【0013】
本発明者は、所定周波数の信号印加時に対して、小さな直流電流(例えば、100mA以下、好ましくは10mA)を重畳して印加したときには、自己共振周波数より低周波側のインピーダンス値が所定の比率で低下することを見出した。そして、空孔率によってインピーダンス低下率が異なることを見出した。従って、空孔が適切な割合で形成されている電子部品のインピーダンス値の変化率から割り出された変化率の適正範囲と選別対象である電子部品の実測変化率とを比較することで良品/不良品の選別が可能である。
【0014】
第1の発明においては、空孔が適正な割合で形成されている積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率をAとし、さらに、空孔が適正な割合で形成されていない積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Bを求めるステップを付加してもよい。
【0015】
この場合、前記変化率A及びBのデータを比較して空孔が適正な割合で形成されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求め、選別対象である電子部品の実測変化率と前記適正範囲とを比較することで、より確実に良品/不良品の選別が可能である。
【0016】
第2の発明は、樹脂又はガラスが充填された空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品の選別方法であって、樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、前記変化率のデータから、樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップとからなることを特徴とする。この選別方法を製造工程に付加して製造工程の最終段階で1品ずつ選別するようにしてもよい。
【0017】
本発明者は、前述の空孔が形成されているセラミック基体を備えた電子部品と同様に、空孔に樹脂又はガラスが充填されているセラミック基体を備えた電子部品にあっても、所定周波数の信号印加時に対して、小さな直流電流(例えば、100mA以下、好ましくは10mA)を重畳して印加したときには自己共振周波数より低周波側のインピーダンス値が所定の比率で低下することを見出した。そして、樹脂又はガラスの充填率によってインピーダンス低下率が異なることを見出した。従って、樹脂又はガラスが空孔に適切な割合で充填されている電子部品のインピーダンス値の変化率から割り出された変化率の適正範囲と選別対象である電子部品の実測変化率とを比較することで良品/不良品の選別が可能である。
【0018】
第2の発明においては、空孔が適正な割合で樹脂又はガラスにて充填されている積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率をAとし、さらに、空孔が適正な割合で樹脂又はガラスにて充填されていない積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Bを求めるステップを付加してもよい。
【0019】
この場合、前記変化率A及びBのデータを比較して空孔が適正な割合で樹脂又はガラスで充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求め、選別対象である電子部品の実測変化率と前記適正範囲とを比較することで、より確実に良品/不良品の選別が可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る積層セラミック電子部品の選別方法及び製造方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0021】
(セラミック焼結体の構造、図1参照)
本発明に係る選別方法の一実施形態で選別の対象となるセラミック電子部品は、セラミック基体に多数の空孔を形成し、該空孔に樹脂を充填したチップインダクタである。そこで、まず、樹脂が充填された空孔を有するセラミック焼結体について、図1を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、セラミック焼結体1の内部には複数の空孔2が形成されており、該空孔2には樹脂3が充填されている。空孔2は、その平均径が5〜20μmであり、セラミック焼結体1において30vol%を超えて80vol%以下の割合で形成されており、開空孔及び閉空孔を含む。本発明に係る積層セラミック電子部品では、この空孔2のうち、40vol%以上が樹脂3で充填されている。
【0023】
本発明者は、35vol%の割合で空孔が形成され、かつ、該空孔の57vol%に樹脂を充填したセラミック焼結体(試料1)、35vol%の空孔が形成されているが樹脂の充填されていないセラミック焼結体(試料2)を以下の工程にて製作し、図2に示すチップインダクタとし、それぞれのインピーダンス特性を測定した。その結果は後に詳述する。
【0024】
ここで、セラミック焼結体に形成された空孔率(vol%)とは、以下の式(1)によって求める。
空孔率=1−{(X/Y)/Z} …(1)
X:セラミック焼結体の重量
Y:セラミック焼結体の体積
Z:セラミック焼結体の理論密度
【0025】
なお、前記式(1)によって求めた空孔率は、焼失材を添加することによって意図的に形成された空孔に加えて、意図せざる空孔(焼結によって不可避的に発生する気泡など)をも含む。
【0026】
また、空孔に対する樹脂の充填率(vol%)は、まず、樹脂含浸前のセラミック焼結体の空孔率を前記式(1)から求める。次に、樹脂含浸後の焼結体の重量増加分と焼結体の体積、樹脂の比重から、焼結体の体積に対する樹脂含浸の体積を求め、これを空孔率で割って求める。
【0027】
(セラミック焼結体の製造方法)
ここで、セラミック焼結体の製造方法の具体例について説明する。
【0028】
まず、フェライト材料を得るため、所定量の酸化物原料(ニッケル、亜鉛、銅などの酸化物)を混合して800℃で1時間仮焼した。その後、ボールミルにより粉砕し、乾燥することにより、平均粒径約2μmの酸化物混合粉末を得た。
【0029】
得られた前記酸化物混合粉末に、バインダー、分散剤、溶剤を添加し、さらに、市販の球状ポリマー(焼失材)を所定の空孔率(35vol%)となるように添加して混合し、ドクターブレード法により、厚さ40μmのセラミックグリーンシートを作製した。
【0030】
空孔を形成するための焼失材として、表面積や保形性が大きく、バインダーに対する接着性に優れた球状ポリマーを採用することにより、歩留まりを低下させることなく、バインダーの割合を減らして焼失材の割合を増やすことが可能になり、空孔率を高めることができる。
【0031】
次に、前記セラミックグリーンシート上に所定形状の内部電極やビアホールを導電ペーストにて形成し、これらのシートを積層し、圧着して所定サイズにカットした。
【0032】
得られた積層体を400℃で3時間熱処理して脱バインダーを行った後、925℃で2時間焼成することにより、35vol%の空孔率を有するセラミック焼結体を得た。空孔の割合は、混合する有機材料(特に、焼失材)の量を変化させることにより、調整することができる。
【0033】
次に、誘電率3.4のエポキシ系樹脂を、所定の粘度になるように有機溶剤で希釈した溶剤中に、前記積層体を浸漬し、空孔にエポキシ系樹脂を含浸(充填)させた後、積層体の表面に付着した樹脂を除去し、150〜180℃で2時間加熱し、エポキシ系樹脂を硬化させた。ここでは、樹脂の充填率を57vol%とした。
【0034】
(チップインダクタの構成、図2及び図3参照)
前述の工程によって製作されたチップインダクタの構成を図2に示す。このチップインダクタ10は、セラミック焼結体11の内部にコイル12が配設され、セラミック焼結体11の両端部に外部電極13,14が配設された構造を有する。コイル12のターン数は30ターンとされている。サイズは、長さ1.6mm、幅及び高さが0.8mmである。
【0035】
コイル12は、図3にその一部を示すように、セラミックグリーンシート15上に形成した所定の形状の導電体パターン17の端部をビアホール18にて電気的に接続した周知の構成からなる。コイル12の端部はセラミックグリーンシート15’に形成したビアホール18’を介して外部電極13又は14に電気的に接続されている。
【0036】
このような構造のチップインダクタ10の試料1(空孔に樹脂充填)、試料2(空孔のみ)について、100MHzの高周波信号を印加したときのインピーダンス特性及び10mAの直流電流を重畳した100MHzの高周波信号を印加したときのインピーダンス特性を測定し、その変化率を求めた。図4にインピーダンス値の変化率を示す。また、チップインダクタ10の自己共振周波数に関しては、空孔の形成及び該空孔への樹脂の充填によってその変化はほとんどなくなる。
【0037】
図4では、前記チップインダクタ10に100MHzの高周波信号を印加したときのインピーダンス値に対する10mAの直流電流を重畳した100MHzの高周波信号を印加したときのインピーダンス値を変化率(%)として示している。適正な樹脂充填率であると判断できるチップインダクタ(試料1)の変化率の範囲はXである。また、空孔が形成されていても樹脂が充填されていないチップインダクタ(試料2)の変化率の範囲はX’である。
【0038】
(インピーダンス値の変化)
以上の如く、空孔の形成及び該空孔へ樹脂を充填したチップインダクタにおいて、直流電流を重畳させても自己共振周波数の変動がほとんどなく、しかも、空孔を形成しないチップインダクタよりも自己共振周波数より低周波側のインピーダンス低下率が小さいことは、以下の理由によるものと推定される。
【0039】
フェライトは電流により磁界が付与されると、磁界の方向に磁化している磁区の体積が増大するように磁壁が移動し、さらには磁壁が消滅して単磁区となり、回転磁化が引き続き生じて磁気飽和に達する。磁気飽和に達すると透磁率が下がるためにインダクタンスLが低下する。
【0040】
一方、共振周波数fは、f=1/{2π√(LC)}で表され、Lが小さくなると共振周波数が高周波側に移動する。本発明の如く、フェライト粒子中に空隙が存在すると磁性体が断続的に存在する状態となっている。磁性体が断続的に存在している不均一な状態であると、直流電流重畳時に磁壁の移動が妨げられ、磁気飽和が生じ難くなる。それゆえ、直流電流重畳時のLの低下がなく、自己共振周波数の変動がなくなると考えられる。
【0041】
また、空孔に樹脂を充填することによってさらにインピーダンス低下率が小さくなるのは以下の理由によると推定される。空孔に樹脂を充填して硬化させたときに生じる残留応力による歪みの方向が磁化方向を固定しているので、直流電流重畳時の回転磁化の発生が生じ難いために飽和磁化に達し難くなり、Lの低下が抑制されてインピーダンスの低下が抑制されると考えられる。
【0042】
(選別方法の第1実施形態、図5参照)
本発明に係る選別方法は、準備段階と選別段階とに分けられる。準備段階にあっては、まず、重量測定によって樹脂充填率が適正であることが予め確認されているチップインダクタ(試料1)と、空孔のみ形成し樹脂が充填されていないチップインダクタ(試料2)とを用意する。
【0043】
それぞれのチップインダクタに対して100MHzの信号印加時におけるインピーダンス値をインピーダンスアナライザなどで測定する。さらに、それぞれのチップインダクタに対して10mAの直流電流を重畳した100MHzの信号印加時のインピーダンス値をインピーダンスアナライザなどで測定する。
【0044】
以上の測定結果から、樹脂充填率が適正なチップインダクタのインピーダンス変化率A及び樹脂が充填されていないチップインダクタのインピーダンス変化率Bが求められる。それぞれのインピーダンス変化率は図4に示すようになり、両者の変化率A,Bを比較し、図4のXを樹脂充填率が適正なチップインダクタのインピーダンス値の変化率の適正範囲であると設定する。
【0045】
次に、選別段階においては、図5に示す選別装置20を使用する。この選別装置は、チップインダクタ10を保持して円環状に搬送するターンテーブル21に供給ステーション22、第1測定ステーション23、第2測定ステーション24及び選別ステーション25を設けたものである。
【0046】
供給ステーション22では供給装置30によってチップインダクタ10を1個ずつターンテーブル21上に送り込む。第1測定ステーション23ではインピーダンスアナライザ31にて100MHzの信号印加時におけるチップインダクタ10のインピーダンス値を測定する。第2測定ステーション24ではインピーダンスアナライザ32にて10mAの直流電流を重畳した100MHzの信号印加時のチップインダクタ10のインピーダンス値を測定する。
【0047】
アナライザ31,32の測定信号はコンピュータ33に送信される。コンピュータ33は、それぞれのチップインダクタ10についてインピーダンス値の変化率を演算し、その変化率が適正範囲Xに含まれるか否かを判別する。
【0048】
選別ステーション25には選別器34が設置されている。この選別器34は前記コンピュータ33からの指令によって、変化率が適正範囲に含まれるチップインダクタと変化率が適正範囲外のチップインダクタとを選別し、適正品を出荷工程へと導く。
【0049】
なお、この選別工程をチップインダクタ10の製造工程に付加して製造工程の最終段階で1品ずつ選別するようにしてもよい。
【0050】
(選別方法の第2実施形態)
なお、前述した選別方法の第1実施形態では、準備段階において、空孔のみを形成し樹脂の充填されていないチップインダクタの変化率Bをも測定している。しかし、必ずしも、この変化率Bを測定する必要はなく、樹脂充填率の適正なチップインダクタのみの変化率Aのみで適正範囲Xを求めてもよい。
【0051】
(選別方法の第3実施形態)
前記第1及び第2実施形態では、空孔に樹脂を充填したチップインダクタ10に関する選別について説明した。セラミック基体の誘電率を低くして、かつ、抗折強度を高めるには、空孔に樹脂に代えてガラスを充填してもよく、この場合にも、適正なガラス充填率のチップインダクタの変化率Aは所定の比較的小さな値を示し、空孔のみを形成しガラスの充填されていないチップインダクタの比較的大きな変化率Bとは異なる。変化率の傾向は図4と同様である。
【0052】
従って、空孔にガラスを充填したチップインダクタにあっても、前記第1及び第2実施形態と同様の工程にて良品/不良品を選別することができる。
【0053】
(選別方法の第4実施形態)
空孔のみを形成したチップインダクタにおいても、誘電率を低くして高周波帯域での特性の向上を図ることができ、実用上の利点を有している。従って、空孔が適切な割合で形成されているチップインダクタと、空孔が形成されていないチップインダクタとを選別する必要も生じる。この場合にも、適正な空孔率のチップインダクタの変化率Aは所定の比較的小さな値を示し、空孔が形成されていないチップインダクタの比較的大きな変化率とは異なる。変化率の傾向は図4と同じである。
【0054】
従って、空孔のみを形成したチップインダクタにあっても、前記第1及び第2実施形態と同様の工程にて良品/不良品を選別することができる。
【0055】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る積層セラミック電子部品の選別方法及び製造方法は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0056】
特に、セラミック基体の製造において、原料の成分やその組成比は任意である。また、空孔に充填される樹脂も前記エポキシ系樹脂以外に種々の樹脂を用いることができる。
【0057】
また、インピーダンス特性の測定に使用する高周波は100MHz以外であってもよく、重畳する直流電流は10mA以外であってもよいことはも勿論である。重畳直流電流に関しては、小さな電流であるほど、空孔率の差や樹脂又はガラスの充填率の差によるインピーダンス低下率の差がよく現れる。
【0058】
さらに、本発明は、前記実施形態に示したチップインダクタのみならず、LC複合電子部品、LR複合電子部品、LCR複合電子部品などに幅広く適用することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、空孔率あるいは樹脂又はガラスの充填率の適正なセラミック電子部品の直流電流重畳インピーダンス特性に着目し、予めその適正な変化率範囲を設定しておくことにより、インピーダンス特性を測定してその変化率が適正範囲内か否かを判別し、良品/不良品を確実かつ容易に選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において選別の対象となる電子部品のセラミック焼結体の内部構造を模式的に示す断面図である。
【図2】前記セラミック焼結体を用いて製作したチップインダクタを示す断面図である。
【図3】前記チップインダクタの一部を示す分解斜視図である。
【図4】試料1(適正品)及び試料2(比較品)の直流電流重畳インピーダンスの変化率を示すグラフである。
【図5】本発明に係る選別方法に使用する選別装置を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1…セラミック焼結体
2…空孔
3…樹脂
10…チップインダクタ
11…セラミック焼結体
12…コイル(内部電極)
20…選別装置
21…ターンテーブル
31,32…インピーダンスアナライザ
33…コンピュータ
34…選別器
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層セラミック電子部品の選別方法及び製造方法、詳しくは、高周波帯域で使用されるインダクタ、LC複合電子部品、LR複合電子部品、LCR複合電子部品などの選別方法及び製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開昭55−52300号公報
【特許文献2】
特開平11−67575号公報
【0003】
近年、電子機器の高周波化が進み、インダクタやLC複合部品、LR複合部品、LCR複合部品などは、GHz帯域の高周波に対応可能なものが求められるようになっている。
【0004】
しかし、高周波帯域用のインダクタにおいては、コイルとパラレルに発生する浮遊容量がそのインピーダンスに大きく影響し、特に、GHz帯では、1/100pF〜1/10pF程度の微小な浮遊容量がインピーダンスに大きな影響を与える。従って、浮遊容量を小さくして所望の特性を確保しようとすると、磁性体として用いられているフェライトなどの誘電率εを下げることが必要になる。しかし、フェライトの構造的な理由から、フェライト自体の誘電率εを例えば13〜14以下にまで下げることは事実上困難である。
【0005】
そのような状況のもとで誘電率を下げようとすると、磁性体に樹脂やガラスなどの誘電率の低い材料を配合する方法が考えられる。しかし、磁性体に非磁性体である樹脂やガラスなどを配合したコンポジット磁性材料においては、磁性体粒子が樹脂やガラスなどの非磁性体材料によって覆われ、磁路が分断されてしまうため、透磁率が極端に低くなってしまうという問題点を有している。
【0006】
そこで、近年、電磁波吸収体などに用いられる誘電率の低いフェライト材料として、空孔率を20〜70vol%とした発泡フェライト焼結体が知られている(特許文献1参照)。また、空孔を含有させたセラミックを用いた電子部品として、セラミックと、セラミックの内部に形成された内部電極を備え、セラミックに直径1〜3μmの空孔を3〜30vol%の割合で含有させたセラミック電子部品が提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
この種のフェライト焼結体は、空孔を高い割合で含んでいることに起因して誘電率が低く、高周波帯域でのインピーダンス特性を向上させることが可能である。また、磁路が連続していることから電磁気特性が不連続に大きく変動することがないという利点を有している。
【0008】
さらに、本出願人は、未公開であるが特願2003−91063として、セラミック焼結体に形成した空孔に樹脂又はガラスを充填したセラミック電子部品及びその製造方法を提案した。これは、空孔を形成することによるセラミック焼結体の強度劣化を防止(抗折強度の確保)しようとするものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上のごとく、セラミック電子部品においては、セラミック焼結体の誘電率を低くして高周波帯域での特性の向上を図る種々の試みがなされている。しかし、製造の最終段階において良品か不良品かの選別を行う適切な方法が確立されていないのが現状である。
【0010】
即ち、空孔を形成した電子部品においては正しい割合の空孔率に形成されているか否か、空孔が形成されていない電子部品が混入していないか否か、また、空孔に樹脂又はガラスを充填した電子部品においては正しい割合で充填されているか否かが外観からでは判別できない。空孔に樹脂又はガラスを充填したセラミック焼結体は折れにくいので曲げストレスを加えて選別することが考えられるが、出荷前の製品に機械的なストレスを加えることは好ましい方法ではない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、空孔が形成された、あるいは該空孔に樹脂又はガラスが充填されたセラミック基体を備えたセラミック電子部品の適切な良品/不良品の選別方法及び製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段及び作用】
以上の目的を達成するため、第1の発明は、空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品の選別方法であって、空孔が適正な割合で形成されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、前記変化率のデータから、空孔が適正な割合で形成されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップとからなることを特徴とする。この選別方法を製造工程に付加して製造工程の最終段階で1品ずつ選別するようにしてもよい。
【0013】
本発明者は、所定周波数の信号印加時に対して、小さな直流電流(例えば、100mA以下、好ましくは10mA)を重畳して印加したときには、自己共振周波数より低周波側のインピーダンス値が所定の比率で低下することを見出した。そして、空孔率によってインピーダンス低下率が異なることを見出した。従って、空孔が適切な割合で形成されている電子部品のインピーダンス値の変化率から割り出された変化率の適正範囲と選別対象である電子部品の実測変化率とを比較することで良品/不良品の選別が可能である。
【0014】
第1の発明においては、空孔が適正な割合で形成されている積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率をAとし、さらに、空孔が適正な割合で形成されていない積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Bを求めるステップを付加してもよい。
【0015】
この場合、前記変化率A及びBのデータを比較して空孔が適正な割合で形成されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求め、選別対象である電子部品の実測変化率と前記適正範囲とを比較することで、より確実に良品/不良品の選別が可能である。
【0016】
第2の発明は、樹脂又はガラスが充填された空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品の選別方法であって、樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、前記変化率のデータから、樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップとからなることを特徴とする。この選別方法を製造工程に付加して製造工程の最終段階で1品ずつ選別するようにしてもよい。
【0017】
本発明者は、前述の空孔が形成されているセラミック基体を備えた電子部品と同様に、空孔に樹脂又はガラスが充填されているセラミック基体を備えた電子部品にあっても、所定周波数の信号印加時に対して、小さな直流電流(例えば、100mA以下、好ましくは10mA)を重畳して印加したときには自己共振周波数より低周波側のインピーダンス値が所定の比率で低下することを見出した。そして、樹脂又はガラスの充填率によってインピーダンス低下率が異なることを見出した。従って、樹脂又はガラスが空孔に適切な割合で充填されている電子部品のインピーダンス値の変化率から割り出された変化率の適正範囲と選別対象である電子部品の実測変化率とを比較することで良品/不良品の選別が可能である。
【0018】
第2の発明においては、空孔が適正な割合で樹脂又はガラスにて充填されている積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率をAとし、さらに、空孔が適正な割合で樹脂又はガラスにて充填されていない積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Bを求めるステップを付加してもよい。
【0019】
この場合、前記変化率A及びBのデータを比較して空孔が適正な割合で樹脂又はガラスで充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求め、選別対象である電子部品の実測変化率と前記適正範囲とを比較することで、より確実に良品/不良品の選別が可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る積層セラミック電子部品の選別方法及び製造方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0021】
(セラミック焼結体の構造、図1参照)
本発明に係る選別方法の一実施形態で選別の対象となるセラミック電子部品は、セラミック基体に多数の空孔を形成し、該空孔に樹脂を充填したチップインダクタである。そこで、まず、樹脂が充填された空孔を有するセラミック焼結体について、図1を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、セラミック焼結体1の内部には複数の空孔2が形成されており、該空孔2には樹脂3が充填されている。空孔2は、その平均径が5〜20μmであり、セラミック焼結体1において30vol%を超えて80vol%以下の割合で形成されており、開空孔及び閉空孔を含む。本発明に係る積層セラミック電子部品では、この空孔2のうち、40vol%以上が樹脂3で充填されている。
【0023】
本発明者は、35vol%の割合で空孔が形成され、かつ、該空孔の57vol%に樹脂を充填したセラミック焼結体(試料1)、35vol%の空孔が形成されているが樹脂の充填されていないセラミック焼結体(試料2)を以下の工程にて製作し、図2に示すチップインダクタとし、それぞれのインピーダンス特性を測定した。その結果は後に詳述する。
【0024】
ここで、セラミック焼結体に形成された空孔率(vol%)とは、以下の式(1)によって求める。
空孔率=1−{(X/Y)/Z} …(1)
X:セラミック焼結体の重量
Y:セラミック焼結体の体積
Z:セラミック焼結体の理論密度
【0025】
なお、前記式(1)によって求めた空孔率は、焼失材を添加することによって意図的に形成された空孔に加えて、意図せざる空孔(焼結によって不可避的に発生する気泡など)をも含む。
【0026】
また、空孔に対する樹脂の充填率(vol%)は、まず、樹脂含浸前のセラミック焼結体の空孔率を前記式(1)から求める。次に、樹脂含浸後の焼結体の重量増加分と焼結体の体積、樹脂の比重から、焼結体の体積に対する樹脂含浸の体積を求め、これを空孔率で割って求める。
【0027】
(セラミック焼結体の製造方法)
ここで、セラミック焼結体の製造方法の具体例について説明する。
【0028】
まず、フェライト材料を得るため、所定量の酸化物原料(ニッケル、亜鉛、銅などの酸化物)を混合して800℃で1時間仮焼した。その後、ボールミルにより粉砕し、乾燥することにより、平均粒径約2μmの酸化物混合粉末を得た。
【0029】
得られた前記酸化物混合粉末に、バインダー、分散剤、溶剤を添加し、さらに、市販の球状ポリマー(焼失材)を所定の空孔率(35vol%)となるように添加して混合し、ドクターブレード法により、厚さ40μmのセラミックグリーンシートを作製した。
【0030】
空孔を形成するための焼失材として、表面積や保形性が大きく、バインダーに対する接着性に優れた球状ポリマーを採用することにより、歩留まりを低下させることなく、バインダーの割合を減らして焼失材の割合を増やすことが可能になり、空孔率を高めることができる。
【0031】
次に、前記セラミックグリーンシート上に所定形状の内部電極やビアホールを導電ペーストにて形成し、これらのシートを積層し、圧着して所定サイズにカットした。
【0032】
得られた積層体を400℃で3時間熱処理して脱バインダーを行った後、925℃で2時間焼成することにより、35vol%の空孔率を有するセラミック焼結体を得た。空孔の割合は、混合する有機材料(特に、焼失材)の量を変化させることにより、調整することができる。
【0033】
次に、誘電率3.4のエポキシ系樹脂を、所定の粘度になるように有機溶剤で希釈した溶剤中に、前記積層体を浸漬し、空孔にエポキシ系樹脂を含浸(充填)させた後、積層体の表面に付着した樹脂を除去し、150〜180℃で2時間加熱し、エポキシ系樹脂を硬化させた。ここでは、樹脂の充填率を57vol%とした。
【0034】
(チップインダクタの構成、図2及び図3参照)
前述の工程によって製作されたチップインダクタの構成を図2に示す。このチップインダクタ10は、セラミック焼結体11の内部にコイル12が配設され、セラミック焼結体11の両端部に外部電極13,14が配設された構造を有する。コイル12のターン数は30ターンとされている。サイズは、長さ1.6mm、幅及び高さが0.8mmである。
【0035】
コイル12は、図3にその一部を示すように、セラミックグリーンシート15上に形成した所定の形状の導電体パターン17の端部をビアホール18にて電気的に接続した周知の構成からなる。コイル12の端部はセラミックグリーンシート15’に形成したビアホール18’を介して外部電極13又は14に電気的に接続されている。
【0036】
このような構造のチップインダクタ10の試料1(空孔に樹脂充填)、試料2(空孔のみ)について、100MHzの高周波信号を印加したときのインピーダンス特性及び10mAの直流電流を重畳した100MHzの高周波信号を印加したときのインピーダンス特性を測定し、その変化率を求めた。図4にインピーダンス値の変化率を示す。また、チップインダクタ10の自己共振周波数に関しては、空孔の形成及び該空孔への樹脂の充填によってその変化はほとんどなくなる。
【0037】
図4では、前記チップインダクタ10に100MHzの高周波信号を印加したときのインピーダンス値に対する10mAの直流電流を重畳した100MHzの高周波信号を印加したときのインピーダンス値を変化率(%)として示している。適正な樹脂充填率であると判断できるチップインダクタ(試料1)の変化率の範囲はXである。また、空孔が形成されていても樹脂が充填されていないチップインダクタ(試料2)の変化率の範囲はX’である。
【0038】
(インピーダンス値の変化)
以上の如く、空孔の形成及び該空孔へ樹脂を充填したチップインダクタにおいて、直流電流を重畳させても自己共振周波数の変動がほとんどなく、しかも、空孔を形成しないチップインダクタよりも自己共振周波数より低周波側のインピーダンス低下率が小さいことは、以下の理由によるものと推定される。
【0039】
フェライトは電流により磁界が付与されると、磁界の方向に磁化している磁区の体積が増大するように磁壁が移動し、さらには磁壁が消滅して単磁区となり、回転磁化が引き続き生じて磁気飽和に達する。磁気飽和に達すると透磁率が下がるためにインダクタンスLが低下する。
【0040】
一方、共振周波数fは、f=1/{2π√(LC)}で表され、Lが小さくなると共振周波数が高周波側に移動する。本発明の如く、フェライト粒子中に空隙が存在すると磁性体が断続的に存在する状態となっている。磁性体が断続的に存在している不均一な状態であると、直流電流重畳時に磁壁の移動が妨げられ、磁気飽和が生じ難くなる。それゆえ、直流電流重畳時のLの低下がなく、自己共振周波数の変動がなくなると考えられる。
【0041】
また、空孔に樹脂を充填することによってさらにインピーダンス低下率が小さくなるのは以下の理由によると推定される。空孔に樹脂を充填して硬化させたときに生じる残留応力による歪みの方向が磁化方向を固定しているので、直流電流重畳時の回転磁化の発生が生じ難いために飽和磁化に達し難くなり、Lの低下が抑制されてインピーダンスの低下が抑制されると考えられる。
【0042】
(選別方法の第1実施形態、図5参照)
本発明に係る選別方法は、準備段階と選別段階とに分けられる。準備段階にあっては、まず、重量測定によって樹脂充填率が適正であることが予め確認されているチップインダクタ(試料1)と、空孔のみ形成し樹脂が充填されていないチップインダクタ(試料2)とを用意する。
【0043】
それぞれのチップインダクタに対して100MHzの信号印加時におけるインピーダンス値をインピーダンスアナライザなどで測定する。さらに、それぞれのチップインダクタに対して10mAの直流電流を重畳した100MHzの信号印加時のインピーダンス値をインピーダンスアナライザなどで測定する。
【0044】
以上の測定結果から、樹脂充填率が適正なチップインダクタのインピーダンス変化率A及び樹脂が充填されていないチップインダクタのインピーダンス変化率Bが求められる。それぞれのインピーダンス変化率は図4に示すようになり、両者の変化率A,Bを比較し、図4のXを樹脂充填率が適正なチップインダクタのインピーダンス値の変化率の適正範囲であると設定する。
【0045】
次に、選別段階においては、図5に示す選別装置20を使用する。この選別装置は、チップインダクタ10を保持して円環状に搬送するターンテーブル21に供給ステーション22、第1測定ステーション23、第2測定ステーション24及び選別ステーション25を設けたものである。
【0046】
供給ステーション22では供給装置30によってチップインダクタ10を1個ずつターンテーブル21上に送り込む。第1測定ステーション23ではインピーダンスアナライザ31にて100MHzの信号印加時におけるチップインダクタ10のインピーダンス値を測定する。第2測定ステーション24ではインピーダンスアナライザ32にて10mAの直流電流を重畳した100MHzの信号印加時のチップインダクタ10のインピーダンス値を測定する。
【0047】
アナライザ31,32の測定信号はコンピュータ33に送信される。コンピュータ33は、それぞれのチップインダクタ10についてインピーダンス値の変化率を演算し、その変化率が適正範囲Xに含まれるか否かを判別する。
【0048】
選別ステーション25には選別器34が設置されている。この選別器34は前記コンピュータ33からの指令によって、変化率が適正範囲に含まれるチップインダクタと変化率が適正範囲外のチップインダクタとを選別し、適正品を出荷工程へと導く。
【0049】
なお、この選別工程をチップインダクタ10の製造工程に付加して製造工程の最終段階で1品ずつ選別するようにしてもよい。
【0050】
(選別方法の第2実施形態)
なお、前述した選別方法の第1実施形態では、準備段階において、空孔のみを形成し樹脂の充填されていないチップインダクタの変化率Bをも測定している。しかし、必ずしも、この変化率Bを測定する必要はなく、樹脂充填率の適正なチップインダクタのみの変化率Aのみで適正範囲Xを求めてもよい。
【0051】
(選別方法の第3実施形態)
前記第1及び第2実施形態では、空孔に樹脂を充填したチップインダクタ10に関する選別について説明した。セラミック基体の誘電率を低くして、かつ、抗折強度を高めるには、空孔に樹脂に代えてガラスを充填してもよく、この場合にも、適正なガラス充填率のチップインダクタの変化率Aは所定の比較的小さな値を示し、空孔のみを形成しガラスの充填されていないチップインダクタの比較的大きな変化率Bとは異なる。変化率の傾向は図4と同様である。
【0052】
従って、空孔にガラスを充填したチップインダクタにあっても、前記第1及び第2実施形態と同様の工程にて良品/不良品を選別することができる。
【0053】
(選別方法の第4実施形態)
空孔のみを形成したチップインダクタにおいても、誘電率を低くして高周波帯域での特性の向上を図ることができ、実用上の利点を有している。従って、空孔が適切な割合で形成されているチップインダクタと、空孔が形成されていないチップインダクタとを選別する必要も生じる。この場合にも、適正な空孔率のチップインダクタの変化率Aは所定の比較的小さな値を示し、空孔が形成されていないチップインダクタの比較的大きな変化率とは異なる。変化率の傾向は図4と同じである。
【0054】
従って、空孔のみを形成したチップインダクタにあっても、前記第1及び第2実施形態と同様の工程にて良品/不良品を選別することができる。
【0055】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る積層セラミック電子部品の選別方法及び製造方法は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0056】
特に、セラミック基体の製造において、原料の成分やその組成比は任意である。また、空孔に充填される樹脂も前記エポキシ系樹脂以外に種々の樹脂を用いることができる。
【0057】
また、インピーダンス特性の測定に使用する高周波は100MHz以外であってもよく、重畳する直流電流は10mA以外であってもよいことはも勿論である。重畳直流電流に関しては、小さな電流であるほど、空孔率の差や樹脂又はガラスの充填率の差によるインピーダンス低下率の差がよく現れる。
【0058】
さらに、本発明は、前記実施形態に示したチップインダクタのみならず、LC複合電子部品、LR複合電子部品、LCR複合電子部品などに幅広く適用することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、空孔率あるいは樹脂又はガラスの充填率の適正なセラミック電子部品の直流電流重畳インピーダンス特性に着目し、予めその適正な変化率範囲を設定しておくことにより、インピーダンス特性を測定してその変化率が適正範囲内か否かを判別し、良品/不良品を確実かつ容易に選別することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において選別の対象となる電子部品のセラミック焼結体の内部構造を模式的に示す断面図である。
【図2】前記セラミック焼結体を用いて製作したチップインダクタを示す断面図である。
【図3】前記チップインダクタの一部を示す分解斜視図である。
【図4】試料1(適正品)及び試料2(比較品)の直流電流重畳インピーダンスの変化率を示すグラフである。
【図5】本発明に係る選別方法に使用する選別装置を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1…セラミック焼結体
2…空孔
3…樹脂
10…チップインダクタ
11…セラミック焼結体
12…コイル(内部電極)
20…選別装置
21…ターンテーブル
31,32…インピーダンスアナライザ
33…コンピュータ
34…選別器
Claims (9)
- 空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品の選別方法であって、
空孔が適正な割合で形成されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記変化率のデータから、空孔が適正な割合で形成されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、
選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップと、
からなることを特徴とする積層セラミック電子部品の選別方法。 - 空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品の選別方法であって、
空孔が適正な割合で形成されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Aを求めるステップと、
空孔が適正な割合で形成されていない積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Bを求めるステップと、
前記変化率A及びBのデータを比較して空孔が適正な割合で形成されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、
選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップと、
からなることを特徴とする積層セラミック電子部品の選別方法。 - 空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品を製作するステップと、
空孔が適正な割合で形成されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記変化率のデータから、空孔が適正な割合で形成されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、
選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップと、
からなることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品を製作するステップと、
空孔が適正な割合で形成されている積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Aを求めるステップと、
空孔が適正な割合で形成されていない積層セラミック電子部品に対して前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Bを求めるステップと、
前記変化率A及びBのデータを比較して空孔が適正な割合で形成されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、
選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップと、
からなることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 樹脂又はガラスが充填された空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品の選別方法であって、
樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記変化率のデータから、樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、
選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップと、
からなることを特徴とする積層セラミック電子部品の選別方法。 - 樹脂又はガラスが充填された空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品の選別方法であって、
樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Aを求めるステップと、
樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されていない積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Bを求めるステップと、
前記変化率A及びBのデータを比較して樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、
選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップと、
からなることを特徴とする積層セラミック電子部品の選別方法。 - 樹脂又はガラスが充填された空孔が形成されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品を製作するステップと、
樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記変化率のデータから、樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、
選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップと、
からなることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 樹脂又はガラスによって空孔が充填されているセラミック基体と該セラミック基体内に形成された内部電極とを備えた積層セラミック電子部品を製作するステップと、
樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されている積層セラミック電子部品に対して、所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Aを求めるステップと、
樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されていない積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率Bを求めるステップと、
前記変化率A及びBのデータを比較して樹脂又はガラスによって空孔が適正な割合で充填されていると判断できるインピーダンス変化率の適正範囲を求めるステップと、
選別対象である積層セラミック電子部品に対して、前記所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値と、直流電流を重畳した該所定周波数の信号印加時におけるインピーダンス値とを測定し、その変化率を求めるステップと、
前記選別対象である積層セラミック電子部品のインピーダンス値の変化率が前記適正範囲内か否かを判断するステップと、
からなることを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 前記所定周波数の信号に重畳される直流電流は約10mAであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の積層セラミック電子部品の選別方法又は製造方法。
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