JP2005038716A - 高耐久性燃料電池用電極、及びその電極を用いた燃料電池 - Google Patents

高耐久性燃料電池用電極、及びその電極を用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 燃料電池用電極の耐久性を向上させ、燃料電池の初期性能を維持させる。
【解決手段】 電解液容器7中の電解液と接触し且つカソード電極1と電気的に結合された犠牲腐食部6を有する燃料電池用電極であって、前記カソード電極1に存在する触媒物質よりも前記犠牲腐食部6を構成する元素の方がイオン化傾向が高いことを特徴とする燃料電池用電極。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐久性に優れた燃料電池用電極、及びこの電極を有する燃料電池に関する。
燃料電池は、電池反応による生成物が原理的に水であり、地球環境への悪影響がほとんどないクリーンな発電システムとして注目されている。例えば、固体高分子型燃料電池は、プロトン伝導性の固体高分子電解質膜の両面に一対の電極を設け、水素ガスを燃料ガスとして一方の電極(燃料極:アノード)へ供給し、酸素ガスあるいは空気を酸化剤として異なる電極(空気極:カソード)へ供給し、起電力を得るものである。
固体高分子型燃料電池は、(1)高いイオン導電性を有する高分子電解質膜が開発されたこと、(2)高分子電解質膜と同種或いは異種のイオン交換樹脂(高分子電解質)で被覆した触媒担持カーボンを電極触媒層の構成材料として使用し、いわゆる触媒層内の反応サイトの3次元化が図られるようになったこと等によって、電池特性が飛躍的に向上した。そして、このような高い電池特性を得られることに加え、小型軽量化が容易であることから、固体高分子型燃料電池は、電気自動車等の移動車両や、小型コジェネレーションシステムの電源等としての実用化が期待されている。
通常、固体高分子型燃料電池に使用されるガス拡散性の電極は、上記のイオン交換樹脂で被覆された触媒担持カーボンを含有する触媒層と、この触媒層に反応ガスを供給すると共に電子を集電するガス拡散層とからなる。そして、触媒層内には、構成材料となるカーボンの二次粒子間或いは三次粒子間に形成される微少な細孔からなる空隙部が存在し、当該空隙部が反応ガスの拡散流路として機能している。そして、上記の触媒としては、イオン交換樹脂中において安定な白金、白金合金等の貴金属触媒が通常使用されている。
又、通常のリン酸型燃料電池の電極と電解質層の構成は、電極は電解質層の両面に配され、電極は、多孔質カーボン基材の上に電極触媒層を付着している。このうち電極触媒層は、触媒担体の表面に貴金属微粒子を担持してなる触媒粒子をフッ素樹脂粒子によって結着して形成されている。また、電解質層は、シリコンカーバイト微粒子からなる電解質保持層に電解液を含浸させて形成されている。燃料ガスや酸化剤ガスを供給すると、これらの反応ガスは多孔質カーボン基材中を拡散して電極触媒層へと到達し、電解質層からの電解液と接触して、電極触媒層中に触媒粒子(固相)、反応ガス(気相)、電解液(液相)からなる三相界面が形成され、電気化学反応が進行する。電気化学反応を効率良く行わせるためには、この三相界面を増大させる必要があるので、触媒粒子とフッ素樹脂粒子をできるだけ細かな微粒子とするとともに、電解液に濡れやすい触媒粒子と電解液に濡れにくいフッ素樹脂粒子を均一に分散させることが必要である。
従来、高分子電解質型燃料電池およびリン酸型燃料電池の電極触媒のカソード触媒としては、白金又は白金合金等の貴金属をカーボンブラックに担持した触媒が用いられてきた。白金担持カーボンブラックは、塩化白金酸水溶液に、亜硫酸水素ナトリウムを加えた後、過酸化水素水と反応させ、生じた白金コロイドをカーボンブラックに担持させ、洗浄後、必要に応じて熱処理することにより調製するのが一般的である。高分子電解質型燃料電池の電極は、白金担持カーボンブラックを高分子電解質溶液に分散させてインクを調製し、そのインクをカーボンペーパーなどのガス拡散基材に塗布し、乾燥することにより作製される。この2枚の電極で高分子電解質膜を挟み、ホットプレスをすることにより電解質膜−電極接合体(MEA)が組立られる。
白金は高価であり、少ない担持量で十分な性能を発揮させることが望まれている。このため、白金を微粒子にし、露出表面積をあげることが行われている。しかし、露出白金一個あたりの酸素還元活性は、白金粒子が2.5nm以下になると大きく低下する。これは、このように小さい白金粒子では、エッジ、ステップなど配位不飽和な白金原子の割合が相対的に多くなっており、これらの白金原子の活性が低いためであると考えられている。このため、通常3nm程度の白金を担持させる場合が多い。しかし、実際には高分子電解質型燃料電池の運転条件で使用すると、使用中に若干の白金の粒子成長が観察される。この粒子成長の原因は、未だ不明である。リン酸型燃料電池のカソード側触媒でも同様の現象が観測されている。この場合、白金の溶解析出機構による粒子成長、白金と炭素材料との接合部がはがれることにより引き起こされる白金粒子同士の融着などが原因すると推察されている。高分子電解質型燃料電池の作動温度は、リン酸型燃料電池の作動温度(190℃)に比べて低く、70℃から80℃程度であり、粒子成長は起こりにくい条件である。しかし、酸性条件下でかつ電位が同じようにかかっていることを考えると、同様の機構が推測される。白金触媒の粒子成長は、白金担持量が十分な電極では、見かけ上特性に大きな変化は及ぼさないが、白金量が少ない場合特性の低下となって現れてくる。以上のように、白金量の低減という点からも、運転中の白金粒子の成長を抑える必要がある。
そこで、下記特許文献1には、運転中の白金粒子の成長が抑制され、高い耐久性能を有する燃料電池用電極触媒を提供することを目的として、導電性炭素材料、前記導電性炭素材料に担持された、酸性条件下で白金より酸化されにくい金属粒子、および前記金属粒子の外表面を覆う白金からなる電極触媒が開示されている。具体的には、金属粒子として、金、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、バナジウム、銅、およびマンガンより選ばれた少なくとも一種の金属と白金とからなる合金が例示されている。
ところで、燃料電池において、燃料極および空気極に用いられる電極触媒としては、白金黒やカーボン担体に活性金属として白金(Pt)を担体した白金触媒が主に用いられているが、稀少であるが故に高コストとなってしまうという問題がある。そこで、安価な卑金属との合金化による高活性化が試みられている。下記特許文献2には、燃料電池用電極触媒として白金−鉄合金触媒が知られているのをはじめ、貴金属−卑金属合金系は各種検討されている。
一方、固体高分子型燃料電池には、例えばメタノールや天然ガスといった炭化水素系原燃料を水蒸気改質して生成される水素含有ガス(燃料ガス)がアノード反応ガスとして用いられ、例えば空気等の酸素含有ガスがカソード反応ガスとして用いられる。この場合、アノードにおいては、以下の(1)式に、カソードにおいては以下の(2)式に、それぞれ示す電極反応が進行し、全体として(3)式に示す全電池反応が進行して起電力が発生する。
2→2H++2e- (1)
(1/2)O2+2H++2e-→H2O (2)
2+(1/2)O2→H2O (3)
しかしながら、従来の固体高分子型燃料電池においては、上記(1)式で示される水素酸化反応の活性化過電圧に比較して(2)式で示される酸素還元反応の活性化過電圧が非常に大きいため、高い電池出力を得ることができないという問題があった。
そこで、下記特許文献3には、優れたカソード分極特性を有し、高い電池出力を得ることを目的として、カソードの触媒層に白金及び白金合金からなる群から選ばれる金属触媒に加えて所定量の鉄又はクロムを有する金属錯体を含有させることによりカソードにおける分極特性を向上させている。具体的には、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配置された高分子電解質膜とを備えた固体高分子型燃料電池であって、カソードが、ガス拡散層と、当該ガス拡散層と高分子電解質膜との間に配置される触媒層とを備えており、白金及び白金合金からなる群から選ばれる貴金属触媒と、鉄又はクロムを含む金属錯体とが前記触媒層に含有されており、かつ、金属錯体は、当該金属錯体と貴金属触媒との合量の1〜40モル%含まれることを特徴とする固体高分子型燃料電池である。このようにカソードの触媒層に含有されている鉄又はクロムを有する金属錯体が、(2)式で示されるカソードの酸素還元反応の活性化過電圧を効果的に低減させることができ、その結果、カソードの分極特性が向上し高い電池出力を得ることが可能となるとしている。
特開2002−289208号公報 特開平3−68452号公報 特開2002−15744号公報
特許文献1や特許文献2に記載の発明のように、貴金属−卑金属合金系触媒を用いると燃料電池使用中に白金等の貴金属の相手材である鉄等の卑金属が溶出し、電解質に対する不純物(コンタミネーション)となって、燃料電池の耐久性能を悪化させるという問題があった。
同様に、特許文献3に記載の発明のように、鉄又はクロムを有する金属錯体を助触媒として用いると、初期においては高い電池出力を得ることが出来るが、燃料電池使用中に鉄又はクロムが溶出し、電解質に対する不純物(コンタミネーション)となって、燃料電池の耐久性能を悪化させるという問題があった。
上記問題に鑑み、本発明は、耐久性と触媒活性に優れ、固体高分子型燃料電池およびリン酸型燃料電池の発電性能を高く維持することに適した電極触媒を提供するとともに、この電極触媒を備えた固体高分子型燃料電池およびリン酸型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、上記特許文献1〜3に開示された電極においては,燃料電池使用時に電極触媒材料に含まれる鉄、クロム等が溶出し、電解質に対する不純物(コンタミネーション)となって、燃料電池性能に影響を与え、性能が低下する原因であることを見出し、これら不純物の溶出を防止する触媒構成を案出して本発明に到達した。
即ち、第1に、本発明は、燃料電池用電極の発明であり、電解液容器中の電解液と接触し且つカソード電極と電気的に結合された犠牲腐食部を有する燃料電池用電極であって、前記カソード電極に存在する触媒元素よりも前記犠牲腐食部を構成する元素の方がイオン化傾向が高いことを特徴とする。
本発明の構成によれば、カソード電極に存在する触媒元素よりも犠牲腐食部を構成する元素の方がイオン化傾向が高いため、燃料電池の反応時に、犠牲腐食部を構成する元素が優先的に電解液容器中の電解液へ溶出する。この結果、カソード電極より、貴金属以外の触媒構成元素や貴金属中に少量成分として含まれていた元素が、電極中の電解質や電解質膜へ不純物(コンタミネーション)となって溶出することが無い。これにより、燃料電池用電極の耐久性が向上し、燃料電池の初期性能が維持される。
又、カソード電極と犠牲腐食部位が電気的に結合されているため、カソードの電位が高い場合には、上記のように犠牲腐食部が優先的に溶出され、その際、腐食反応が水素発生反応の場合には、発生した水素を燃料電池用燃料ガスとすることも可能である。
更に、従来は、電極の耐久性を考慮して、電極材料(電極合金の相手金属や助触媒元素)の選択に制約があったが、犠牲腐食部位を設けることで、これら電極材料の選択の自由度が増す。これにより、より触媒活性の高い触媒系の開発が行えるようになった。
ここで、イオン化傾向が高いとは、ある金属が水と接するとき陽イオンになる傾向がある金属のそれよりも高いことである。イオン化傾向は、金属の標準電極電位で定量的に評価される。水に対するイオン化傾向を大きさの順に並べた金属元素の序列をイオン化列といい、Li,K,Ca,Na,Mg,Al,Zn,Cr,Fe2+,Cd,Co,Ni,Sn,Pb,Fe3+,(H),Cu,Hg,Ag,Pd,Pt,Auである。
電解液容器中の電解液は、犠牲腐食部を構成し水に対するイオン化傾向の高い元素を電池反応中に溶解するものであり、各種塩を水又は有機溶媒に溶解させたものから選ばれる。
カソード電極としては、白金等の貴金属又は貴金属合金や、貴金属−卑金属合金系触媒からなることが好ましい。具体的には、貴金属が白金であり、卑金属が、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、バナジウム、銅、及びマンガンからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属とからなる貴金属−卑金属合金系触媒が好ましく例示される。
より具体的には、貴金属−卑金属合金系触媒が白金−鉄合金系触媒であり、該白金−鉄合金系触媒がカーボン担体に担持されたものであり、犠牲腐食部を構成する元素が亜鉛であるものが好ましく例示される。
第2に、本発明は、上記第1の発明の電極を用いた燃料電池である。具体的には、本発明の燃料電池は、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配置された高分子電解質膜とを備えた固体高分子型燃料電池であって、電極が、電解液容器中の電解液と接触し且つカソード電極と電気的に結合された犠牲腐食部を有し、カソード電極に存在する触媒元素よりも犠牲腐食部を構成する元素の方がイオン化傾向が高いことを特徴とする。又、本発明の燃料電池は、多孔質カーボン基材の上に電極触媒層が付着された電極が電解質層の両面に配されたリン酸型燃料電池であって、電極が、電解液容器中の電解液と接触し且つカソード電極と電気的に結合された犠牲腐食部を有し、カソード電極に存在する触媒元素よりも犠牲腐食部位を構成する元素の方がイオン化傾向が高いことを特徴とする。
本発明の燃料電池は、平板状の単位セルと、単位セルの両側に配置された2つのセパレータとから構成されている。この燃料電池は、先に述べた電極触媒を使用することにより、アノードにおいては、(1)式に、カソードにおいては(2)式にそれぞれ示す電極反応が進行し、全体として(3)式に示す全電池反応が進行して起電力が発生する。
これにより、本発明の燃料電池は、高い耐久性維持しつつ、触媒活性も向上した電極触媒を用いることから、耐久性及び発電性能に優れたものとなっている。
図1に、本発明の電極を固体高分子型燃料電池に適用した場合の模式図を示す。
図1において、燃料電池は、各高分子電解質膜3の両側に位置するアノード電極2とカソード電極1と、これらを収納するケース4から構成される。カソード電極1は、犠牲腐食部6と銅線5で電気的に結合されている。犠牲腐食部6は、収納ケース4と隣接するカートリッジケース11中の電解液容器7中の電解液中に配置されている。ここで、カソード電極1に存在する触媒元素よりも犠牲腐食部6を構成する元素の方がイオン化傾向が高いため、燃料電池の反応中に、触媒元素よりも犠牲腐食部6を構成する元素の方が優先的に電解液中へ溶出する。換言すれば、触媒元素は溶解は電極中のカソード電極1中の電解質や高分子電解質膜3へ溶出して不純物(コンタミネーション)となることはない。なお、犠牲腐食部6が電解液容器7中の電解液に溶出する時に発生する水素ガスは、ガスフィルター8や逆止弁9を有する配管10から系外へ出て行く。
上記のような構成とすることにより、カソード電極中の、貴金属以外の触媒構成元素や貴金属中に少量成分として含まれていた元素が、電極中の電解質や電解質膜へ不純物(コンタミネーション)となって溶出することが無く、これにより、燃料電池用電極の耐久性が向上し、燃料電池の初期性能が維持される。
本発明の構成によれば、カソード電極に存在する触媒元素よりも犠牲腐食部を構成する元素の方がイオン化傾向が高いため、燃料電池の反応時に、犠牲腐食部を構成する元素が優先的に電解液容器中の電解液へ溶出する。この結果、カソード電極より、貴金属以外の触媒構成元素や貴金属中に少量成分として含まれていた元素が、電極中の電解質や電解質膜へ不純物(コンタミネーション)となって溶出することが無い。これにより、燃料電池用電極の耐久性が向上し、燃料電池の初期性能が維持される。
又、カソード電極と犠牲腐食部位が電気的に結合されているため、カソードの電位が高い場合には、上記のように犠牲腐食部が優先的に腐食され、その際、腐食反応が水素発生反応の場合には、発生した水素を燃料電池用燃料ガスとすることも可能である。
更に、従来は、電極の耐久性を考慮して、電極材料(電極合金の相手金属や助触媒元素)の選択に制約があったが、犠牲腐食部を設けることで、これら電極材料の選択の自由度が増す。これにより、より触媒活性の高い触媒系の開発が行えるようになった。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の触媒成分である貴金属としては、(1)固体高分子型燃料電池の運転温度が100℃以下であることが多いことと、(2)通常触媒層に含有され触媒粒子を被覆するイオン交換樹脂が強酸性であることが多いことから、反応活性及び安定性に優れる白金又は白金と金等の合金の好ましくは微粒子が使用される。
本発明において、貴金属と遷移金属の合金を触媒として用いる場合、合金を構成する遷移金属(Me)としては、鉄、コバルト、クロム、バナジウム、マンガン、ニッケル、モリブデン、タングステン等が好ましく例示される。触媒物質の合金組成は、貴金属成分が30〜90原子%、合金化する遷移金属成分が10〜70原子%であることが好ましい。貴金属成分が30原子%未満となると酸素還元反応の活性が低下してしまう傾向が大きくなる。一方、貴金属成分が90原子%を超えると合金化する金属の割合が減少し合金化による助触媒効果を得ることができなくなることがある。貴金属−遷移金属からなる合金触媒を用いることにより、触媒活性を落とさずに白金の使用量を約1/3から1/5程度まで少なくすることができる。
貴金属成分と、遷移金属成分の合金を製造する際の、遷移金属を含む原料化合物としては、上記遷移金属の塩化物、臭化物などのハロゲン化物、メトキシド、エトキシドなどのアルコキシド、酸化物、硝酸塩、硫化物などがあり、幅広く使用することができる。合金化処理の方法は、上記貴金属成分及び遷移金属成分を、不活性ガス雰囲気下において600〜900℃の温度で熱処理を行い合金化を図ることが好ましい。
貴金属−遷移金属からなる合金触媒の粒子径は、高活性を得るために1〜20nmであることが好ましい。粒子径が1nm未満であると粒子が容易に凝集又は溶解・再析出を引き起こし、粒子の増大が起こる。一方、粒子径が20nmを超えると貴金属触媒の使用量に対して表面積が相対的に小さくなるので、十分な触媒活性を得ることができない。このような観点から、貴金属−遷移金属からなる合金触媒の粒子径は、1.2〜5nmであることがより好ましい。
本発明において、触媒、好ましくは貴金属−遷移金属からなる合金触媒、はカーボン担体等の導電性担持体に担持される。ここで、触媒物質の担持量は、触媒物質と導電性担持体を合わせた触媒全質量に対して、触媒物質の重量が20〜70%であることが好ましい。触媒物質重量が20%未満であると電極触媒中の触媒量が不十分となり高電流密度領域において十分な電池電圧を得ることができない。また、触媒物質重量が70%を超えると比表面積の大きな担体を使用しても触媒金属の担持量が高いので触媒金属間での凝集を起し易く活性が低下する恐れがある。
導電性担持体としてカーボン担体を用いる場合には、公知のカーボン材料を使用することができる。特に、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックや活性炭などが好ましく例示される。
本発明の電極を固体高分子型燃料電池に用いる場合には、高分子電解質としては、フッ素系電解質又は炭化水素系電解質のいずれを用いることができる。フッ素系高分子電解質とは、フッ素系高分子化合物に、スルホン酸基、カルボン酸基等の電解質基が導入されているものである。本発明の燃料電池用いられるフッ素系高分子電解質とは、フルオロカーボン骨格あるいはヒドロフルオロカーボン骨格に置換基としてスルホン酸基等の電解質基が導入されているポリマーであって、分子内にエーテル基や塩素やカルボン酸基やリン酸基や芳香環を有していてもよい。一般的にはパーフルオロカーボンを主鎖骨格とし、パーフルオロエーテルや芳香環等のスペーサーを介してスルホン酸基を有するポリマーが用いられる。具体的には、デュポン社製の「ナフィオン(Nafion;登録商標)」や旭化成工業(株)製の「アシプレックス−S(登録商標)」等が知られている。本発明の燃料電池で用いられる炭化水素系高分子電解質とは、高分子化合物を構成する分子鎖のいずれかに炭化水素部を有し、かつ電解質基が導入されたものである。ここで、電解質基として、スルホン酸基、カルボン酸基等が例示される。
以下、実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例及び比較例では白金−鉄触媒を用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。
[触媒担持カーボンの製造]
(実施例)
担持カーボンとしてKetjen ECを用い、白金−鉄触媒(Pt・Fe)を40重量%の密度で担持させた。白金の担持は塩化白金水溶液を用い、鉄の担持は塩化鉄水酸化ナトリウム中和担持法を用いた。500℃、2時間、水素ガス雰囲気下で還元した後、900℃、2時間、アルゴンガス雰囲気下で熱処理をした。得られた白金−鉄触媒担持カーボンを、600〜900℃、2時間、窒素雰囲気下で熱処理をした。
上記白金−鉄触媒を用い、図1で示される固体高分子型燃料電池を作成した。ここで、犠牲腐食部は鉄よりイオン化傾向の高い亜鉛で構成した。
(比較例)
上記白金−鉄触媒を用い固体高分子型燃料電池を作成したが、犠牲腐食部等の装置は付加しなかった。
[触媒活性評価]
電極面積12.96cm2の単セルにて下記の発電評価試験及び耐久評価試験を行った。
(発電評価試験)
「ガス流量」 アノード:H2 500cc/min
カソード:空気 1000cc/min
「圧力」 アノード: 0.2MPa
カソード: 0.2MPa
「セル温度」 80℃
(耐久評価試験)
「ガス流量」 アノード:H2 500cc/min
カソード:空気 500cc/min
「圧力」 アノード: 0.2MPa
カソード: 0.2MPa
「セル温度」 80℃
「保持状態」 開回路電圧 130時間保持
(評価結果)
表1に評価結果を示す。表1中、値は、発電電圧であり、単位はボルトである。
Figure 2005038716
表1の結果より、本発明の犠牲腐食部を有する電極を用いた燃料電池は、犠牲腐食部を有しない電極を用いた比較例と比べて、耐久試験後の発電性能の低下が少ないことが分る。
なお、上記実施例では、白金−鉄触媒を用い、鉄の溶出防止を課題としたが、純白金触媒であっても、カーボン担体中の鉄、ニッケル等の不純物が溶出するという問題がある。本発明は、このような純白金触媒を用いる燃料電池に対しても有効である。
又、ある合金系が触媒活性が高かった時、例えば、白金−アルミニウム合金の触媒活性が高いとの知識が得られた時でも、従来であれば、アルミニウムの溶出のために、電極触媒として利用しても性能低下が大きいという問題があった。本発明のように犠牲腐食部、例えばアルミニウムよりイオン化傾向の高いマグネシウム、を有する電極を用いることによって、アルミニウムの溶出を防止することができる。
燃料電池用電極の耐久性が向上し、燃料電池の初期性能が維持される。
又、腐食反応が水素発生反応の場合には、発生した水素を燃料電池用燃料ガスとすることも可能である。
更に、電極材料の選択の自由度が増す。これにより、より触媒活性の高い触媒系の開発が行えるようになる。
本発明の電極を用いた燃料電池の模式図を示す。
符号の説明
1:カソード電極、2:アノード電極、3:高分子電解質膜、4:収納ケース、5:銅線、6:犠牲腐食部、7:電解液容器、8:ガスフィルター、9:逆止弁、10:配管、11:カートリッジケース。

Claims (5)

  1. 電解液容器中の電解液と接触し且つカソード電極と電気的に結合された犠牲腐食部を有する燃料電池用電極であって、前記カソード電極に存在する触媒物質よりも前記犠牲腐食部を構成する元素の方がイオン化傾向が高いことを特徴とする燃料電池用電極。
  2. 前記カソード電極が、貴金属−卑金属合金系触媒からなることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極。
  3. 前記貴金属−卑金属合金系触媒が、白金と、クロム、鉄、ニッケル、コバルト、チタン、バナジウム、銅、およびマンガンからなる群より選ばれた少なくとも一種の金属とからなる合金であることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池用電極。
  4. 前記貴金属−卑金属合金系触媒が白金−鉄合金系触媒であり、該白金−鉄合金系触媒がカーボン担体に担持されたものであり、前記犠牲腐食部を構成する元素が亜鉛であることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池用電極。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の電極を用いた燃料電池。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010164446A (ja) * 2009-01-16 2010-07-29 Angle Try Kk 検査対象品の外観検査方法及びプログラム
US7818556B2 (en) 2006-08-28 2010-10-19 Toshiba Storage Device Corporation Storage apparatus, control method, and control device which can be reliably started up when power is turned on even after there is an error during firmware update
JP2016085839A (ja) * 2014-10-24 2016-05-19 トヨタ自動車株式会社 触媒電極層、膜電極接合体、および、燃料電池
CN111370717A (zh) * 2020-03-18 2020-07-03 浙江锋源氢能科技有限公司 一种阴极催化剂浆料、阴极催化剂层、膜电极及燃料电池

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