JP2005036375A - 妊婦の下半身用衣服 - Google Patents
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Abstract
【課題】 羊水を温め過ぎないようし、かつ妊婦の腰椎への負荷を軽減できる妊婦の下半身用衣服を提供する。
【解決手段】 妊婦の下半身用衣服の一例としてのスカート1は、前帯部10と、後帯部20と、1対の側帯部30と、垂布40とを備える。前帯部10は、妊婦の膨出した腹部を露出させた状態で、この膨出した腹部の下腹部をその形状に沿って下から持ち上げる。後帯部20は、妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部21を含む。1対の側帯部30は、前帯部10と、後帯部20とを接続する。
【選択図】 図2
【解決手段】 妊婦の下半身用衣服の一例としてのスカート1は、前帯部10と、後帯部20と、1対の側帯部30と、垂布40とを備える。前帯部10は、妊婦の膨出した腹部を露出させた状態で、この膨出した腹部の下腹部をその形状に沿って下から持ち上げる。後帯部20は、妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部21を含む。1対の側帯部30は、前帯部10と、後帯部20とを接続する。
【選択図】 図2
Description
この発明は、お腹の大きい妊婦が着用するのに適した下半身用衣服に関するものである。
なお、本明細書において使用する用語としての「下半身用衣服」は、スカート、ズボン、ショーツ、ガードル、腰バンド等を含むものである。
従来より、お腹の大きい妊婦の下半身用衣服として、子宮や胎児を正常位置に保持すると共に、突出した腹部の下垂を防止しかつ保護するために、腹部を下方から持ち上げるようにしたものが提案されている。
例えば、実開平7−6216号公報(特許文献1)は、妊婦用ガードルと腹帯とを組み合わせ自在とした妊婦の下半身用下着を開示している。ガードルは、ガードル本体布の前部側に両脇部近傍から恥骨位置近傍まで略U形状のカット部を形成し、該カット部に腹部帯を縫着している。
また、特開平9−3702号公報は、ショーツ本体の伸縮性を異ならしめることで、妊婦の体型、膨出状態にかかわらず使用できる妊婦用ショーツを開示している。具体的には、妊婦用ショーツは、縦方向および横方向の伸縮性を有する両方向伸縮性編成部20と、縦方向の伸縮を抑え横方向の伸縮を大ならしめるように編成した横方向伸縮性編成部とを備え、腹部中央部を両方向伸縮性編成部で構成している。
実開平7−6216号公報
特開平9−3702号公報
上記の特許文献1および特許文献2に開示された妊婦の下半身用衣服では、いずれも、膨出した妊婦の腹部を柔らかくて伸縮性のある素材で覆うことにより、腹部への圧迫を避けている。
母親のお腹の中にいる胎児は、羊水によって保護されている。羊水の温度は母親の体温より1〜1.5℃程度高く、母親の体表面温度が上がると羊水の温度も上がる。胎児の健全な成長のためには羊水の温度を適切な範囲に維持するのが望ましい。特許文献1および特許文献2に開示されたような妊婦の下半身用衣服の場合、妊婦の腹部を柔らかくて伸縮性のある素材で覆っているため、羊水の温度が過剰に高くなることがある。羊水の温めすぎは、胎児の健全な成長に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、大きなお腹を抱えている妊婦は、胎児の重みに耐えかつ胎児を適正な位置に保持するために、腰を後方に反った状態で歩くことが多い。そのため、妊婦の腰椎部分に過大な負荷がかかり、妊婦の疲労を増大させる。
この発明の目的は、羊水を温め過ぎないようにし、かつ妊婦の腰椎への負荷を軽減できる妊婦の下半身用衣服を提供することである。
この発明の他の目的は、特に妊婦の腰椎への負荷を軽減できる妊婦の下半身用衣服を提供することである。
この発明に従った妊婦の下半身用衣服は、妊婦の膨出した腹部を露出させた状態で、この膨出した腹部の下腹部をその形状に沿って下から持ち上げる前帯部と、妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部を含む後帯部と、前帯部と後帯部とを接続する1対の側帯部とを備える。
上記の構成を備える下半身用衣服によれば、前帯部が妊婦の膨出した腹部を露出させる位置で下腹部をその形状に沿って下から持ち上げているので、腹部がむれにくく羊水が過度に温められることはない。また、膨出した腹部を圧迫するようなものが存在していないので、身体が楽である。さらに、腰パッド部が、後方に反って歩く妊婦の腰椎部分をサポートして腰椎にかかる負荷を軽減する。
好ましくは、腰パッド部は、少なくとも胸椎の下端部から腰椎の上端部までの領域に背後から当てられる。また、好ましくは、側帯部は、妊婦の腸骨の上部を通過する。
膨出した腹部への食い込みを避けるために、好ましくは、前帯部は、妊婦の下腹部に面状に接して下から持ち上げている。
好ましくは、妊婦の下半身用衣服は、前帯部と1対の側帯部と後帯部とで形成されるループの長さを調節するための長さ調節部をさらに備える。
この発明の他の局面における妊婦の下半身用衣服は、下半身用衣服本体と、腹帯とを備える。下半身用衣服本体は、妊婦の膨出した腹部を覆う伸縮性素材からなる腹部覆い部と、妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部とを含む。腹帯は、腹部覆い部上に重なり妊婦の膨出した腹部の下端部をその形状に沿って下から持上げるように延び、かつ、その両端が妊婦の背面で腰パッド部に着脱可能に連結されるものである。
この発明のさらに他の局面における妊婦の下半身用衣服は、妊婦の膨出した腹部を覆う伸縮性素材からなる腹部覆い部と、妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部とを含む。
下半身用衣服本体または下半身用衣服が、伸縮性素材からなる腹部覆い部と、腰パッド部とを含む場合、腰パッド部は、好ましくは、その上端部分の幅寸法が最も大きく、その中央部分の幅寸法が最も小さい。この利点については、後述する。
図1は、この発明の一実施形態である妊婦用スカートを着用している妊婦を図示している。図2は、図1のスカートを断面で示すと共に、妊婦のお腹の中にいる胎児も図示している。
図示するように、スカート1は、前帯部10と、後帯部20と、1対の側帯部30と、上記の各帯部から下方に垂れ下がった垂布40とを備える。
前帯部10は、妊婦の膨出した腹部を露出させた状態で、この膨出した腹部の下腹部を下から持ち上げている。図2に示すように、前帯部10は、腹部への食い込みを避けるために、下腹部に対して広い幅で面状に接する。
後帯部20は、妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部21を含む。腰を後方に反らして歩く妊婦の場合、腰椎に対して大きな負荷がかかる。腰パッド部21は、後方に反って歩く妊婦の腰椎部分をサポートして腰椎にかかる負荷を軽減する。
妊婦の椎間板ヘルニアの症状例を見てみると、第4および第5腰椎が外に突き出ていることが多い。このことは、第4および第5腰椎の部分に大きな負荷がかかっていることを示すものである。そこで、好ましくは、腰パッド部21は、少なくとも胸椎の下端部から腰椎の上端部までを覆うことができるように、その大きさおよび位置が選ばれる。
腰パッド部21を形成する材料としては、種々のものが考えられる。例えば、ある程度の弾力性を有するクッション材であってもよいし、厚手の布地等であってもよい。
1対の側帯部30は、前帯部10と後帯部20とを接続するものであり、好ましくは、妊婦の腸骨上部を通過するようにされる。前帯部10と1対の側帯部30と後帯部20とで、妊婦の下腹部から背面の腰部までを取り囲むループ形状を形成する。妊婦の下腹部に面状に接する前帯部10は、お腹の丸みに沿って下腹部の前方および前方両側部を斜め上方に持ち上げる。
上述のループ形状の大きさを調節できるようにするために、側帯部30は、長さ調節部31を有する。長さ調節を可能にする長さ調節部の態様としては、例えば、面ファスナ、紐、クリップ、フック、止めボタン等、種々のものが考えられる。
前帯部10、後帯部20および1対の側帯部30は、垂布40の外面に取付けられてもよいし、内面に取付けられてもよい。
図示した実施形態では、妊婦の下半身用衣服の一例としてスカートを例示的に説明したが、この発明の適用範囲は、スカートに限定されない。例えば、ズボンにも適用可能であるし、ショーツ、ガードルのような下半身用下着にも適用可能である。また、前帯部と後帯部と1対の側帯部とからなる腰バンドにも適用可能である。
図3および図4は、この発明の他の実施形態の妊婦の下半身用衣服である妊婦用ズボン50を示している。図3は妊婦用ズボン50を正面側から見た図であり、図4は妊婦用ズボン50を背面側から見た図である。この妊婦用ズボン50は、特に妊婦の腰椎への負荷を軽減することを意図したものである。
妊婦用ズボン50は、下半身用衣服本体であるズボン本体60と、腹帯70とを備える。図5および図6はズボン本体60を単体で示し、図7は腹帯70を単体で示している。
図5および図6に示すように、ズボン本体60は、妊婦の腹部を覆う伸縮性素材からなる腹部覆い部61と、妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部62とを備える。腹部覆い部61は、例えば伸縮性を持たせたニット地であり、好ましくは良好な通気性を有する。この腹部覆い部61は、妊婦の腹部および胴側部を覆うように形成されている。
ズボン本体60の腰パッド部62は、伸縮性を有さない例えば厚手の布地で作られており、妊婦の少なくとも胸椎の下端部から腰椎の上端部までの領域に背後から当てられるような大きさおよび形状とされている。腰パッド部62の幅方向寸法に注目すると、その上端部62aの幅寸法が最も大きく、その中央部62bの幅寸法が最も小さい。また、腰パッド部62の下端部62cの幅寸法は、上端部62aよりも小さいが、中央部62bよりも大きい。
図6から明らかなように、腰パッド部62の両側部には、上下に並んだ複数の留めボタン63が取り付けられている。この留めボタン63は、腹帯70の取付に利用されるものである。妊婦のお腹が小さいときには、図5および図6に示すズボン単体で使用することができる。
図7に示す腹帯70は、伸縮性を有さない例えば厚手の布地で作られるものであり、幅方向における中央部70aの幅寸法(上下の高さ寸法)が最も小さく、両側端部70bの幅寸法(上下の高さ寸法)が最も大きい。腹帯70bの両側端部70bの上下の高さ寸法は、腰パッド部62の上下高さ寸法とほぼ同じである。腹帯70の両側端部70bには、上下に並んだ2列のボタン穴71,72が形成されている。ボタン穴72は、ボタン穴71の内側に位置する。
腹帯70は、妊婦のお腹が大きくなってきたときに使用されるものである。使用状態では、腹帯70は、ズボン本体60の腹部覆い部61上に重なり妊婦の膨出した腹部の下端部をその形状に沿って下から持上げるように延び、かつ、その両側端部70bが妊婦の背面で腰パッド部62に着脱可能に連結される。具体的には、腹帯70の両側端部に形成されたボタン穴71,72と腰パッド部62の両側部に取り付けられた留めボタン63とを係合させる。腹部の大きさに応じて、いずれかのボタン穴を選択する。
妊婦の下腹部に面状に接する腹帯70は、お腹の丸みに沿って下腹部の前方および前方両側部を斜め上方に持上げる。腰パッド部62の上端部62aの幅寸法が大きいので、腹帯70による持上げ作用を安定させることができる。
腰パッド部62の中央部62bの幅寸法を小さくしたのは、妊婦のお腹が大きくなってきたときに伸縮性素材である腹部覆い部61を広がりやすくするためである。また、腰パッド部62の下端部62cの幅寸法を大きくしたのは、腰パッド部62を妊婦の胸椎の下端部から腰椎の上端部までの領域に安定して当てることができるようにするためである。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明は、妊婦の下半身用衣服として有利に利用され得る。
1 スカート、10 前帯部、20 後帯部、21 腰パッド部、30 側帯部、31 長さ調節部、40 垂布、50 妊婦用ズボン、60 ズボン本体、61 腹部覆い部、62 腰パッド部、62a 上端部、62b 中央部、62c 下端部、63 留めボタン、70 腹帯、70a 中央部、70b 側端部、71,72 ボタン穴。
Claims (8)
- 妊婦の膨出した腹部を露出させた状態で、この膨出した腹部の下腹部をその形状に沿って下から持ち上げる前帯部と、
妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部を含む後帯部と、
前記前帯部と前記後帯部とを接続する1対の側帯部とを備える、妊婦の下半身用衣服。 - 前記腰パッド部は、少なくとも胸椎の下端部から腰椎の上端部までの領域に背後から当てられるものである、請求項1に記載の妊婦の下半身用衣服。
- 前記側帯部は、腸骨の上部を通過するものである、請求項1または2に記載の妊婦の下半身用衣服。
- 前記前帯部は、妊婦の下腹部の形状に沿って面で下から持ち上げている、請求項1〜3のいずれかに記載の妊婦の下半身用衣服。
- 前記前帯部と前記1対の側帯部と前記後帯部とで形成されるループの長さを調節するための長さ調節部をさらに備える、請求項1〜4のいずれかに記載の妊婦の下半身用衣服。
- 下半身用衣服本体と、腹帯とを備え、
前記下半身用衣服本体は、妊婦の膨出した腹部を覆う伸縮性素材からなる腹部覆い部と、妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部とを含み、
前記腹帯は、前記腹部覆い部上に重なり妊婦の膨出した腹部の下端部をその形状に沿って下から持上げるように延び、かつ、その両端が妊婦の背面で前記腰パッド部に着脱可能に連結されるものである、妊婦の下半身用衣服。 - 妊婦の膨出した腹部を覆う伸縮性素材からなる腹部覆い部と、妊婦の背面で腰部に当てられる腰パッド部とを含む、妊婦の下半身用衣服。
- 前記腰パッド部は、その上端部分の幅寸法が最も大きく、その中央部分の幅寸法が最も小さい、請求項6または7に記載の妊婦の下半身用衣服。
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