JP2005035806A - 導通木竹炭及び導通木竹炭の製造方法 - Google Patents

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行一郎 吉川
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KYOGYO KUMIAI HACHIMAN KAWARA
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Abstract

【課題】工業的規模で安価に高品位な導通木竹炭及び導通木竹炭の製造方法を提供する。
【解決手段】予め炭化調整された木竹炭材料を一定の条件で安定した不活性ガス或いは還元性ガスの雰囲気下で且つ1000℃以上の再加熱処理を施すことにより連続的に電気抵抗値が10Ω−cmよりも小さい高品位な導通木竹炭を得る。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】本発明は工業、医療、建築、水産、農業その他一般用として使用される高温度加熱処理により炭化された塊状或は粉末状の導通木竹炭の製造技術に関する。
【0002】
【従来の技術】通常市販されているところの木竹炭は有機原料である木材や竹材を自生している場所から切り出し、予め一定期間の乾燥を施して土窯や耐火物窯又は耐熱鋼による炭焼き窯に原材料を仕込み火入れ後、約2乃至7日を費やして製造し、用途に応じて粉砕分級されている。 土窯によると備長炭の如く精錬工程を経て1000℃に焼き上げることも可能であるが窯の設置場所、作業性及び労働条件などに問題があり、その木竹炭の品質においても経験と勘に頼る生産体系であるが故に一定の電気抵抗値が保証されるものが得られ難い。 一方耐熱鋼を主体とする金属や耐火物で構成された炭焼き窯によれば生産性や作業性に大きな改善は成されているものの安定した品質を得るには程遠く、高品位な電気抵抗値を示すような製品を得ようとするならば精錬工程により酸化し、燃焼灰化するための歩留まり低下を考慮しなければならない不都合が生じるとともに金属や耐火物の耐久性が著しく損なわれる問題が生じている。また一般的に炭焼き窯では製造規模が小さいが故に、その製造全般に亙り発生する煙の色と薫臭、供給する空気量など経験的な手法やノウハウがあるため標準化された技術が蓄積されずその品位を示す電気的特性の代表的なもの即ち電気抵抗値は芳しくない。従って電気抵抗値の小さく且つ安定した木竹炭は産業のあらゆる分野で今日その均質性、安定供給、低コスト化が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、旧来の炭焼き窯においては成しうることが極めて困難であり、標準化を達成出来ないという問題点を解決し、工業的規模で安価に高品位な導通木竹炭及び導通木竹炭の製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】発明者は鋭意研究を重ねた結果予め炭化調整された完全不良導体であるところの木竹炭材料を用いて一定の条件で安定した不活性ガス或は還元性ガスの雰囲気下で且つ1000℃以上の再加熱処理を施すことにより連続的に電気抵抗値が10Ω−cmよりも小さい高品位な導通木竹炭を得ることが可能である事実を見出し本発明として提案するものである。
【0005】第2発明は前記再加熱処理が不活性ガスである窒素ガスN2或は水素ガス、炭酸ガス、硫酸ガス、アンモニアガスを含む還元性ガスの何れかの雰囲気下で焼成されたことを特徴とする導通竹炭の製造方法である。
【0006】第3発明は前記炭化及び再加熱処理が燻し瓦を製造する燃焼行程を用いて成されることを特徴とする導通木竹炭の製造方法である。
【0007】
【作用】本発明の導通木竹炭及び導通木竹炭の製造方法は予め炭化調整された完全不良導体であるところの木竹炭材料を用いて不活性ガスである窒素ガスN2或は水素ガス、炭酸ガス、硫酸ガス、アンモニアガスを含む還元性ガスの何れかの雰囲気下で連続的に1000℃以上の高温再加熱焼成を施して10Ω−cmよりも小さい電気抵抗値を示すように物性変化を生じさせることに特徴がある。 一般的に高温度で焼成される備長炭は炭化が完了した最終段階でねらしと呼ばれる精錬作業があり、この工程を通過した場合にのみ1100℃以上の熱履歴が与えられる。すなわち炭化がほぼ完了した炭が持つ一酸化炭素燃焼ガスに空気を送り込むことにより急速に精錬温度まで到達させ、炭の組織をより緻密にして炭素結晶化を促進させるものである。本発明が構成する温度領域は1000℃以上、好ましくは1100℃以上に再加熱焼成を施しながら炭化材料が燃焼し、灰化して消滅するのを防止するために室温から最高温度に到達し、再び室温まで降下する間において炭化物材料を窒素ガス等の不活性ガス或は水素ガス、炭酸ガス、硫酸ガス、アンモニアガスを含む還元性ガスの何れかの雰囲気に曝してやり、炭化物の有する極めて微細なる孔の表面全体に炭素結晶が析出、成長する現象を効果的に促進させ得ることを発見した。
【0008】第3発明は前記再過熱処理が効率良く行なわしめるために、燻し瓦を製造する燃焼行程を用いて成る導通木竹炭の製造方法に関する。前記の再加熱処理を効率良く行なうについては通常、燻し瓦の製造に用いる粘土瓦焼成キルンを用いて不活性ガス或は水素ガス、炭酸ガス、硫酸ガス、アンモニアガス等の何れかを単独、又は混合させて高温度の燃焼雰囲気から室温まで降下する間炭化材料の雰囲気を強還元性に導き、且つ瓦を燻化処理のと同様に木竹炭材料表面及び微細孔全体に燻化帯を一定時間通過させる。
【0009】本発明のなかで燻化帯を通過させるについては連続生産が可能なトンネルキルンが有望で低酸素燃焼又は不完全燃焼条件が安定して得られる燻し粘土瓦製造キルンが理想的である。一般的には安価に低酸素燃焼条件又は不完全燃焼条件を得るために灯油やA重油等の化石燃料に水を混合させたり石炭屑やコークス等を搬送台車に積載する場合もあるが、本発明においては炭化物として木竹炭の屑や市販の使用済み再生粉炭を用いることが出来るため、これらを還元剤として利用することも可能である。通常炭化物材料は耐熱鋼(SUS−310又はSUS−304)の容器に充たされ間接加熱や耐火物からの輻射熱、遠赤外線放射により内部まで最高温度が1000℃以上、好ましくは1100℃以上に1時間保持されながら燻化帯を通過する間に高品位の電気良導体として10Ω−cmより小さい電気特性を具備するのであり、金属皮膜の混入を望まない用途においては、耐熱鋼製容器の代用としてセラミックス容器が採用される場合もあり、異物混入などを防ぐために又、燻し効果を活用するために着脱自在の蓋を用いても良い。
【0010】尚、本発明により製造された導通木竹炭は均質で完全な炭化物の特性を有しており高性能な通電特性が付与されたものになっている。すなわちその証明は市販のテスターや四端子法による導通試験を行なうことにより1cm間隔の端子間の抵抗を読み取り、100Ω−cmよりも小さい値、より好ましくは10Ω−cmよりも小さい抵抗値のものを高品位な導通木竹炭としている。
【0011】
【発明の実施形態】本発明の一実施例について以下図面を用いて説明する。図1は本発明実施例の導通木竹炭製造設備の断面を示す側面図である。図2は本発明の更に安価に製造するための実施例の導通木竹炭製造設備の断面を示す側面図である。
【0012】本発明実施例1の導通木竹炭の製造設備においては外套部がステンレススチール鋼材(SUS−304或はSUS−310)の円筒状に形成され内部にイソライト耐火物が内貼りされ図示しない真空装置及び不活性ガス置換装置、還元性ガス供給装置によって炭化物材料が燃焼灰化するのを防止する手段を講じている。その装置内部には図示しないプログラム制御式電気炉により毎時間400℃の温度上昇が成され、3時間で最高1200℃に到達した後、高真空条件下で1時間保持し、室温まで放冷した。更に炭化物材料(平均5ミクロン粒度)5kgの粉砕物はセラミック製の蓋付き容器に充填した後、燃焼するのを防止する目的で5%濃度の水素ガスを混合した窒素ガスを毎分当り100CCずつ流入させた。このようにして得られた検体を用いて電気抵抗値を市販のテスターにより測定した。テスターは1Kgの荷重を掛けて1平方cmあたりの抵抗値で示したが熱処理前の炭化物材料が全く指針が動作しない抵抗値およそ2000Ω−cm以上であるのに対し、本発明の実施例1によるものにおいては0.5Ω−cmよりも小さい値を示した。
【0013】本発明実施例2の導通木竹炭の製造設備においては同様にした炭化物材料平均粒径5ミクロンの中国竹炭を用いた。炭化材料はセラミック製の蓋付き容器及び耐熱鋼(SUS−304)300mm角、300mm深さの容器に炭化材料を充たし燻し瓦製造の工程を通過させ最高温度域1070℃1時間及び燻化帯970℃1時間に設定し全工程が28時間の再加熱焼成を施した。このようにして得られた検体を同様にして市販のテスターを用いて抵抗値を測定したところ熱処理前の測定値が2000Ω−cm以上の値であるのに対し、本発明の実施例2によるものにおいては1.0Ω−cmよりも小さい値を示した。
【0014】これらの熱処理品はそれぞれの仕込み重量に対して80%程度の収量になっているが、この理由は粉砕してからの炭化物材料の吸湿性が著しいため、加熱時点で水分が失われたことによるものであり熱処理の過程で燃焼灰化したための減量を示すものではない。
【0015】上述した如く製造された木竹炭と同様にして従来の炭焼き窯により製造された木竹炭を検査して次の結果を得られた。
【0016】本発明によるところの製造方法により2回に分けて製造した木竹炭(それぞれ50Kg)導通試験結果を表1に示す。
Figure 2005035806
【0017】前述の備長炭は比較例として示すものであり、本発明の検体と同様にして平均粒度分布が5ミクロンとなるように粉砕分級したものである。
【0018】上記の検査結果から本発明の導通木竹炭の製造方法によれば従来の市販されている備長炭をはじめ、輸入竹炭、国内の低品位不良導通木竹炭を工業規模で安定した電気特性、すなわち高品位の電気抵抗値を示す導通木竹炭に安価なコストで改良することが可能になる。
【0019】
【発明の効果】本発明の導通木竹炭の製造方法によれば不活性ガス或は還元性ガスの雰囲気下で1000℃以上の再加熱処理を施すことにより、完全不良導通体である木竹炭を容易に高品位な導通性能を有する木竹炭に改良することが可能である。また本発明によれば、いかなる炭化不足の低級品位な木竹炭であっても精錬を施したものより格段に優れた品位の導通性能を有する炭に安価に工業的な規模で改良することが出来る。このことから工業製品として新たに高額の設備投資をすることなく潤沢に市場に導通木竹炭の製造方法を提供出来るから極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明実施例の還元炉を示した斜視図である。
【符号の説明】
予熱・焼成帯
冷却帯
燻化室
シールドドア―
バーナー
台車
レール

Claims (3)

  1. 通常、600℃以下の低温度で焼成された完全不良導通体である木竹炭を粉砕して適当な粒度分布に調整し、且つ不活性ガス或は還元性ガス雰囲気下において1000℃以上の再加熱処理を施すことにより得られる電気抵抗値が10Ω−cmより小さいことを特徴とする導通木竹炭。
  2. 再加熱処理が不活性ガスである窒素ガスN2或は水素ガス、炭酸ガス、硫酸ガス、アンモニアガスを含む還元性ガスの何れかの雰囲気下により焼成されたことを特徴とする導通木竹炭の製造方法。
  3. 炭化及び熱処理が燻し瓦を製造する燃焼行程を用いて成されることを特徴とする導通木竹炭の製造方法。
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WO2006082632A1 (ja) * 2005-02-02 2006-08-10 Norio Yamagishi 竹炭、竹炭粒粉末、炭化物、及び、それらの製造方法
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