JP2005035218A - リング状部品の製造方法及び該製造方法で使用される金型 - Google Patents

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俊英 田中
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Abstract

【課題】 ウエルドの発生を防止し、突起が形成されずしかも強度的に優れたリング状部品の製造方法、及び、該製造方法で使用される金型を提供する。
【解決手段】 リング状部品1を象った部分20a,30aが対向するよう上下の金型20,30を重ねると、リング状の成型空間10が形成される。また上方の金型30には、射出孔40aが、成型空間10に沿ってリング状に形成されている。そのためこの金型3を用いれば、成型空間10が形成するリングに沿った円形状の射出孔40aから樹脂が射出される。そのため、従来のように、成型空間10に一端射出された冷えた射出材同士がぶつかることがなくなる。従って、このようにリング状部品1を射出成型により製造すれば、ウエルドが生じないので、突起が形成されずしかも強度的に優れたリング状部品1を製造することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、リング状部品の製造方法、及び、該製造方法で使用される金型に関する。
従来より、レーザープリンタ100は、図5に示すように、記録紙130にトナー131で形成された画像を転写する転写部110と、その転写された画像を記録紙130に定着させる定着部120とを備え、このうち転写部110は、トナータンク111、供給ローラ112、現像ローラ113、転写ローラ114とを備えている。
転写部110では、現像ローラ113に正電圧が印加され、供給ローラ112がトナー131をトナータンク111から現像ローラ113に供給すると、トナー131は、現像ローラ113に印加された正電圧によって帯電し、鏡像力によって現像ローラ113に貼り付き、現像ローラ113の下方側を通って転写ローラ114に搬送される。
一方、転写ローラ114の表面には静電潜像が形成されている。この静電潜像は、帯電器115及びレーザー光照射装置116を用い、現像ローラ113に印加された電圧よりも電圧が高い部分と低い部分とを転写ローラ114の表面に設けることにより形成されている。そのため、現像ローラ113によりトナー131が転写ローラ114に搬送されると、トナー131は、その電位差により静電潜像の電圧が低い部分にのみ転写され、その結果、転写ローラ114上にトナー131による画像が現像される。そしてこの画像が記録紙130に転写され、定着部120においてトナー131が溶融され、記録紙130に定着される。
ところで、上述したレーザープリンタ100では、図6に示すように、現像ローラ113と転写ローラ114との間隔を、トナー131を転写可能な所定間隔(図6中の符合α)に保つため、現像ローラ113よりも所定間隔α分だけ半径の大きなリング状部品200を現像ローラ113の軸部113aの両端に取り付け、このリング状部品200を転写ローラ114に接触させている。この間隔αは、一般には、公差±0.015mmの範囲内で約0.3mm程度に保たれねばならず、そのため、リング状部材200は精密に製造される。
このリング状部品200は、樹脂で形成され、図7に示すように、中央に軸部113a(図6参照)を嵌挿可能な軸孔210を有するリング状に形成されている。そして、このリング状部品200の軸方向から見た面であるリング面201には、リング状部品202と同軸状に肉抜部202が形成されている。
このように形成されたリング状部品200は、図8及び図9に示すような、金型300を用いて射出成型により製造される。この金型300は、上下一対の金型320,330からなり、このうち下方の金型320の上面320aには、リング状部品200の一方のリング面201及び外周面203及び内周面204が象られ、上方の金型330の下面330aには、リング状部品200の他方のリング面201が象られている。
また、上方の金型330内には、射出材である樹脂を外部から成型空間310に導くゲート340が形成されている。このゲート340は、1つの取入口342から樹脂が注入され、リングの軸の周りに等間隔に配置された6つの射出孔344(図9参照)から成型空間310に射出されるよう形成されている。
そして、このように形成された金型300のリング状部品200を象った部分を対向させて上下の金型320,330を重ねて成型空間310を形成し、その成型空間310に複数の射出孔344から一斉に樹脂を射出してリング状部品200を成型する。
尚、図7に示したリング状部品200の肉抜部210に残っている複数の円状の跡は、ゲート340に残った樹脂と、リング状部品200を形成する樹脂とを切り離したときに生じた切離跡220(いわゆるバリ)である。
尚、上述した背景技術は、一般によく知られた技術なので、先行技術文献について特に調べていない。
ところで、上述したリング状部品200を作製する場合、図10に示すテストピース200a(樹脂を成型空間310に途中まで射出して取り出したもの)を見ると分かるように、ある射出孔344から射出された樹脂が、成型空間310内を広がっていく間に冷えてやや固まり、他の射出孔344から射出された樹脂とぶつかっていることが分かる。
この樹脂がぶつかる部分を一般にウエルドと呼び、このウエルドγでは、6つの射出孔344から射出された樹脂が互いに強い圧力で押されるので、他の部分より密度が高くなり、リング状部品200が冷えて固まると、図11の符号βに示すように、その部分の外周面が他の部分よりも突出してしまうことがあった。そのため、リング状部品200の外周の形状が、前述した公差の範囲内に収まらないことがあり、成型後、この突出部分β(以下の説明においてこの部分を突起と呼ぶ)を精密に削らねばならないという問題があった。また、このウエルドγでは、冷えた樹脂同士が混ざらず、亀裂が生じ易いので、強度的に弱いという問題もあった。
そこで本発明では、突起が生じず、しかも強度的にも優れたリング状部品を製造する製造方法、及び、該製造方法で使用される金型を提供することを目的とする。
上記目的を達するためになされた請求項1記載の発明は、リングを軸方向から見た面であるリング面に形成され、前記リングの軸の周りを一周する形状である周形状に形成された肉抜部を有するリング状部品を射出成型するため、該リング状部品が象られた成型空間内に射出材を射出して、前記リング状部品を成型するリング状部品の製造方法において、前記成型空間のうち前記肉抜部が形成される部分に対し開口し、かつ、前記周形状に形成された射出孔から、前記成型空間内に前記射出材を射出して前記リング状部品を成型することを特徴とする。
この製造方法によれば、リングの軸の周りを一周する形状である周形状に形成された射出孔から射出材が射出され、従来の製造方法のように、リングの軸の周りに等間隔に配置された射出孔から射出材を射出する場合に比べ、成型空間に一端射出された射出材同士がぶつかることがないので、いわゆるウエルドが生じない。そのため、冷却されてもリング状部品の外周面に前述した突起が生じない。しかも、この製造方法によれば、ウエルドが生じないので、亀裂が生じ難い等、局所的に強度が弱い部分が生じず、強度的に優れている。
従って、この製造方法を用いれば、突起が生じず、しかも強度的にも優れたリング状部品を製造することができる。また、突起が生じないことにより、突起を削る作業工程を省くことができるので、リング状部品を製造するスピードを速めることができる。さらに、この製造方法では、肉抜部を介して射出材を射出しており、そのため金型に残った射出材と、リング状部品を形成する射出材とを分離するときに生じるいわゆるバリが肉抜部で形成されるので、バリを削り取る作業を行わなくてもよく、リング状部品の製造スピードが向上する。
尚、肉抜部及び射出孔の形状は、互いに類似する形状でなくともよい。また、その形状は、リング状でなくてもよく、楕円形状等でもよい。またその形状は、ウエルドが発生しないのであれば、蛇行する曲線がリングの軸の周りを1周する形状等でもよい。
ただし、請求項2に記載したように、肉抜部をリングに同軸状かつリング状に形成し、射出孔もリングに同軸状かつリング状に形成し、このように形成された射出孔から、成型空間内に射出材を射出してリング状部品を成型するのが好ましい。このようにすると、射出材がより均等に成型空間内に射出されるので、ウエルドの発生を、射出孔等が他の形状に形成されている場合よりも確実に防止でき、その結果、精度のよいリング状部品を形成することができるからである。
次に、請求項3に記載したように、請求項1,2いずれか記載の前記リング状部品の製造方法で使用される金型は、 前記成型空間のうち前記肉抜部が形成される部分に対し開口し、かつ、前記肉抜空間に沿って連続して開口するリング状の射出孔を備えるものを用いるとよい。この金型を用いれば、上記製造方法により、少ない製造工程で精密にリング状部品を製造でき、しかも強度的に優れたリング状部品を製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
尚、以下の説明で利用する図面のうち、図1はリング状部品の一部断面図を含む斜視図、図2はリング状部品を製造する金型の断面図、図3は図2のA−A’断面図、図4は射出材を成型空間に途中まで入れたリング状部品のテストピースの一部断面図を含む斜視図である。
本実施形態で製造されるリング状部品1は、樹脂で形成され、図1に示すように、中央に軸部113a(図6参照)を嵌挿可能な軸孔10を有するリング状に形成されている。そして、このリング状部品1の軸方向から見た面であるリング面12には、リング状部品1に対し同軸状に肉抜部14が形成されている。
次に、このリング状部品1を製造する金型3は、図2に示すように、上下一対の金型20,30で構成されており、下方の金型20の上面20aには、リング状部品1の一方のリング面12及び外周面16及び内周面18が象られ、上方の金型30の下面30aには、リング状部品1の他方のリング面12が象られている。
また、上方の金型20内には、射出材である樹脂を外部から成型空間1’に導くゲート40が形成されている。このゲート40は、図2及び図3に示すように、射出孔40aに向かって先細りの円筒形状に形成されており、その上方には、射出材である樹脂を外部からゲート40に注入する取入口42が形成され、またその下方には、成型空間1’の肉抜部14が形成する部分に開口し、リング状部品1に対し同軸なリング状に形成された射出孔40a(図3参照)が形成されている。
そして、このように形成された金型3のリング状部品1を象った部分を対向させて上下の金型20,30を重ねて成型空間1’を形成し、その成型空間1’に射出孔40aから一斉に樹脂を射出してリング状部品1を成型する。
このように形成された金型3を用いてリング状部品1を製造すると、射出孔40aがリング状に形成されているので、図4に示すリング状部品の試験ピース1aを見ると分かるように、射出孔40aからリング状の成型空間1’に沿って連続した樹脂が射出され、従来のように、成型空間1’に射出された樹脂同士がぶつかることがなくなり、いわゆるウエルドが発生しない。そのため、冷却されてもリング状部品1の外周面に前述した突起が生じない。しかも、この製造方法によれば、ウエルドが生じないので、亀裂が生じ難い等、局所的に強度が弱い部分が生じず、強度的に優れている。尚、本実施形態では、射出孔40aが、上側の肉抜部16が形成される部分で開口しているので、図1に示すように、肉抜部16の底面には、こ金型3内に残った樹脂とリング状部品1とを切り離した時に生じるバリ溝18が形成される。
従って、以上説明した製造方法を用いれば、突起が生じず、しかも強度的にも優れたリング状部品1を製造することができる。また、突起が生じないことにより、突起を削る作業工程を省くことができるので、リング状部品1を製造するスピードを速めることができる。さらに、この製造方法では、肉抜部14を介して射出材を射出しており、そのため金型3に残った射出材と、リング状部品1を形成する射出材とを分離するとき生じるいわゆるバリが肉抜部14で形成されるので、バリを削り取る作業を行わなくてもよく、リング状部品1の製造スピードが向上する。
以上、本実施形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
例えば、射出孔40aは、連続した無端状に形成されていればよく、完全な輪の形状でなくともよい。
また、本実施形態のリング状部品1の肉抜部14は、リング面12に、リングの軸の周りを一周する形状である周形状に形成されていればよく、楕円形状でもよく、あるいは、ウエルドが発生しないのであれば、蛇行する曲線がリングの軸の周りを1周する形状等でもよい。
さらに、本実施形態の金型3は、射出孔40aが、成型空間のうち肉抜部14が形成される部分に対し開口し、かつ、周形状に形成されていればよく、その形状は、リング状部品1や肉抜部14に同軸状に形成されていなくともよい。具体的には、円形状でもよく、あるいは、ウエルドが発生しないのであれば、蛇行する曲線がリングの軸の周りを1周する形状等でもよい。
本実施形態のリング状部品の一部断面図を含む斜視図である。 本実施形態のリング状部品を製造する金型の断面図である。 図1のA−A’断面図である。 本実施形態のリング状部品のテストピースの斜視図である。 レーザープリンタの概略構成図である。 現像ローラと転写ローラとの間に形成される隙間αを説明するための説明図である。 従来のリング状部品の斜視図である。 従来リング状部品を製造する金型の断面図である。 図8のB−B’断面図である。 従来のリング状部品のテストピースの斜視図である。 リング状部品で形成される突起の説明図である。
符号の説明
1…リング状部材、1’…成型空間、3…金型、10…軸孔、12…リング面、14…肉抜部、16…外周面、18…内周面、19…バリ溝、20…下方の金型、30…上方の金型、40…ゲート、40a…射出孔、42…導入孔

Claims (3)

  1. リングを軸方向から見た面であるリング面に形成され、前記リングの軸の周りを一周する形状である周形状に形成された肉抜部を有するリング状部品を射出成型するため、該リング状部品が象られた成型空間内に射出材を射出して、前記リング状部品を成型するリング状部品の製造方法において、
    前記成型空間のうち前記肉抜部が形成される部分に対し開口し、かつ、前記周形状に形成された射出孔から、前記成型空間内に前記射出材を射出して前記リング状部品を成型することを特徴とするリング状部品の製造方法。
  2. 前記肉抜部は前記リングに同軸状かつリング状に形成され、前記射出孔も前記リングに同軸状かつリング状に形成され、該射出孔から、前記成型空間内に前記射出材を射出して前記リング状部品を成型することを特徴とするリング状部品の製造方法。
  3. 請求項1,2いずれか記載の前記リング状部品の製造方法で使用される金型であって、
    前記成型空間のうち前記肉抜部が形成される部分に対し開口し、かつ、前記周形状に形成された射出孔を備えることを特徴とする金型。


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