JP2005035120A - 断熱材及びそれを用いた断熱性容器 - Google Patents
断熱材及びそれを用いた断熱性容器 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ボトルやカップなど平面以外の立体的形態の容器などに対して、容器を覆って熱収縮処理するだけで容器に固着させることができる断熱材を提供し、さらには、該断熱材を複合利用することにより、簡単に結露防止性保冷容器や断熱性容器を提供する。
【解決手段】フィルムの一方向とそれに直交する方向との95℃熱水収縮率の差が5%以上である収縮異方性を有する厚さが5〜50μmのフィルムと繊維径が0.5〜20μmの不織布とが積層されてなることを特徴とする断熱材及び該断熱材を固着した結露防止性保冷容器や断熱性容器。
【選択図】 なし
【解決手段】フィルムの一方向とそれに直交する方向との95℃熱水収縮率の差が5%以上である収縮異方性を有する厚さが5〜50μmのフィルムと繊維径が0.5〜20μmの不織布とが積層されてなることを特徴とする断熱材及び該断熱材を固着した結露防止性保冷容器や断熱性容器。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は断熱材及びそれを用いた断熱性容器に関するものであり、詳しくは、ボトルやカップなど平面以外の形態の容器などにも熱収縮により密着可能な断熱材に関する。また、ペットボトル、金属容器、紙やプラスチック製コップ、即席麺容器、アルコール飲料容器など温度が約40℃以上の液体あるいは固体を保持する容器の一部に本発明の断熱材を貼り合わせて保温や火傷防止が可能な断熱性容器に関する。また、ペットボトル、金属容器、紙やプラスチック製コップ、アルコール飲料容器など、内容物の温度が各種容器に外部の温度より5℃以上低い液体あるいは固体を保持する容器の一部に密着させることにより、保冷性と結露防止性を発揮する断熱性容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペットボトルやアルミ缶などのラベルとして収縮性フィルムが用いられてきた。しかしながらこれらのフィルムは、商品名や内容物の表示の観点からは鮮明な印刷を提供するという機能はあるものの断熱性はほとんど無く、内容物が高温の場合には、すぐ温度が下がってしまったり、手で持った際にやけどするなどの問題があった。また、内容物が雰囲気温度より低温である場合は、すぐに雰囲気温度に近づいてしまったり、雰囲気中の水分が結露してしまう問題があった。
【0003】
収縮性を持つ材料としてはポリエステルの収縮フィルムはあるものの断熱性を有するものはなく、容器自信を発泡体などにするなどの工夫がなされてきたが、コストの安いポリスチレン発泡体などはリサイクル性などの問題があった。一方、不織布は、適度な空間を有するために断熱性があるが収縮性がないため、平面や円柱などの単純な表面に貼りあわせるなどの使用しかできなかった。また、不織布は表面が平滑でないために印刷の鮮明度が良くない問題があった。また、不織布表面の穴から空気の流入があり、保温性を高くするためにはかなり細い繊維を使う必要があった。
上記の問題を解決する方法として、不織布をフィルムと貼りあわせる試みが行われている。例えば、特許文献1では、不織布とフィルムを複合化して後、円筒容器などに巻きつけて接着剤で貼りつける断熱材が開示されている。しかしながら、ボトルのネック部分など曲率の異なる曲面を有する容器への追随性や貼り付けに手間がかかるという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−126663号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ボトルやカップなど平面以外の立体的形態の容器などに対して、容器を覆って熱収縮処理するだけで容器に固着させることができる断熱材を提供し、さらには、該断熱材を複合利用することにより、簡単に結露防止性保冷容器や断熱性容器を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、以下の手段をとるものである。すなわち、第1の発明は、フィルムの一方向とそれに直交する方向との95℃熱水収縮率の差が5%以上である収縮異方性を有する厚さが5〜50μmのフィルムと繊維径が0.5〜20μmの不織布とが積層されてなることを特徴とする断熱材である。
【0007】
第2の発明は、不織布が、フィルムが3%以上収縮する温度において少なくとも一方向に2〜60%収縮することを特徴とする第1の発明に記載の断熱材である。
【0008】
さらに第3の発明は、フィルム及び不織布が、ポリエステルからなることを特徴とする第1又は2の発明に記載の断熱材である。
【0009】
また、第4の発明は、ポリエステルが生分解性ポリエステルであることを特徴とする第3の発明に記載の断熱材である。
【0010】
また、第5の発明は、フィルムと不織布との積層が、押出ラミネート法によりなされていることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載の断熱材である。
【0011】
さらに、第6の発明は、ペットボトルあるいは金属製の容器の少なくとも一部に第1〜5の発明に記載の断熱材が複合されてなることを特徴とする結露防止性保冷容器である。
【0012】
第7の発明は、ペットボトル、金属容器、紙やプラスチック製コップ、即席麺容器、アルコール飲料容器などの容器で、温度が約40℃以上の液体あるいは固体を保持する容器の少なくとも一部に第1〜5の発明に記載の断熱材が複合されてなることを特徴とする断熱性容器である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる不織布および該不織布に積層されるフィルムの素材は、断熱性の高い素材であり、収縮性を有する素材であれば特に限定されないが、収縮性の制御や断熱性の観点から高分子材料であることが好ましい。本発明に適用可能な高分子材料としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレンスルフィドなどがあげられる。環境問題が重視される昨今ではリサイクルの容易なポリエステルであることがより好ましい。
【0014】
本発明の断熱材はペットボトルに適用されることも多いが、ペットボトルは、ポリエステルが原料として用いられている事から同時にリサイクル可能であり特に好ましい。また、ポリエステルは、半結晶性素材であり、不織布やフィルムは加工条件を制御する事で収縮性が制御しやすいため特に好ましい。容器曲率の不均一な容器に断熱材を収縮させて使用する際には高い収縮性が要求される。この場合にはハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルを用いる事も好ましい態様の一つである。該ブロック共重合ポリエステルよりなるフィルムは無孔でありながら透湿性を有するので結露防止機能が重要である場合は特に有効である。また、該素材は伸縮性を有するために容器への貼りあわせや脱着が容易で、かつ貼りあわせ時の密着性が良い効果もある。
さらには、断熱材および容器の素材を生分解性とすることで、インスタントラーメンや飲み物などの食品で汚れた容器をそのまま埋め立て処理する事も可能であり特に好ましい。
【0015】
本発明におけるフィルムや不織布の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルやこれらの成分以外にイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの酸成分やネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール成分を共重合した共重合ポリエステル、ポリテトラメチレングリコールやポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールをソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体を挙げることができる。共重合成分はポリエステルの酸成分又はアルコール成分に対して2〜50モル%が好ましく、より好ましくは、4〜40モル%である。これらのポリマーは、所望の収縮特性や物性を得るために適宜ブレンドして使用することができる。
【0016】
不織布の場合、例えば、エチレンテレフタレートユニットが主成分でネオペンチルグリコールが第3成分として共重合された共重合ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートなどのホモポリエステルにブレンドすることによって、不織布の収縮特性と物性を所望の範囲にコントロールすることができる。この場合、共重合ポリエステルのブレンド率は、25〜80%が好ましく、より好ましくは30〜60%である。
【0017】
本発明で用いられる不織布は、繊維径が0.5〜20μm、目付が5〜200g/m2のポリエステル系長繊維を主体とする不織布であることが好ましい。繊維径が0.5μmより細いと不織布が磨耗などにより毛羽立ちやすく、不織布の強度が小さくなるためあまり好ましくない。繊維径が20μmより太くなると、本発明が目的とする断熱性を良くする効果が低下するので好ましくない。本発明者の検討の範囲では、繊維径が3〜17μmの間にある事が特に好ましかった。
【0018】
また、不織布の目付が5g/m2より小さいと断熱性や不織布強度が低くなり、フィルムとの積層がしにくくなる問題が発生しやすくなる。目付が200g/m2を超えると容器などに使用時の重量が重くなる上に、積層したフィルムが収縮した際に皺を生じる問題が発生しやすくなる。不織布は強力を高くするためにエンボス加工やカレンダー加工などにより部分的に繊維が接着されていても良い。不織布の形態としては、湿式不織布でも乾式不織布でも良いが、不織布の変形性に優れ、厚みを大きくして断熱性を上げやすい乾式不織布がより好ましい。特に長繊維不織布は、強伸度特性に優れ、表面が平滑であるためフィルムとの密着性が良いためにより好ましい。また、必要により縦方向と横方向の収縮率を変更することが容易な点でも乾式不織布が好ましい。
【0019】
本発明におけるフィルムは収縮異方性を有するフィルムであり、一方向とそれに直交する方向の95℃熱水収縮率の差が5%以上異なるフィルムである。かかる熱水収縮率の差は、120〜180℃の間での乾熱収縮率の差にほぼ対応するものであり、実際の製造工程での収縮率を予測できる代用メジャーである。この収縮異方性により、断熱材として容器に複合させる際に、容器の長手方向への収縮よりも、それに直交する方向への収縮を大きくすることができ、容器への複合化の作業性が良くなる。また、断熱材をチューブ上にロールなどで連続的に提供する場合にも、長手方向の収縮を小さくすることで工程の制御が容易になる。
【0020】
収縮異方性は、95℃熱水収縮率の差が5%以上であれば本発明の目的を達成可能であるが、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。また、取扱い性、工程制御性などから、収縮の小さい方向の収縮率は、30%以下が好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下であり、収縮の大きい方向の収縮率は、80%以下が好ましく、より好ましくは70%以下である。
【0021】
フィルムの厚さは5〜50μmであり、10〜50μmが好ましい。5μmより厚みが薄いと工程途中でシートが破れたり、皺になる問題を生じやすい。一方、50μmより厚いとごわごわした風合いになったり、収縮の際に皺を生じやすくなる傾向がある。
【0022】
本発明においてフィルムに積層される不織布は、フィルムが3%以上収縮する条件下において、少なくとも一方向に2〜60%収縮することが好ましく、より好ましくは2〜50%である。フィルムの一方向とそれに直交する方向(縦方向と横方向)の収縮率に対して、不織布の方のそれぞれの収縮率が−3〜10%程度小さいことが収縮時の皺発生防止の観点から好ましい。フィルムや不織布の収縮率は、成型時の延伸倍率やポリマー組成を調整することによりコントロール可能であるが、それぞれ別々に延伸などにより収縮率をコントロールした物を貼り合わせても良いし、積層後に延伸処理を行って収縮率の調整を行っても良い。不織布の延伸方法としては、一般的なフィルムの延伸のようにテンターなどで延伸を行うのが一般的であるが、表面に凹凸があり互いに凹凸面が噛み合った対ロールにより巾方向に局所的な延伸をかけることも好ましい態様の一つである。なお、この凹凸ロールは、図1に模式図で示したように、円盤状の板などを一定周期でロール軸に串刺した形態のものを用いることができ、対向する円盤位置を互いがかみ合うように位置を調整する事で延伸を行う事ができる。噛み合う深さを深くする事により延伸倍率を上げることができる。必要に応じて円盤や加工する不織布などを加熱しても良い。加熱温度は、ポリエステル不織布を加工する場合は、50〜250℃程度が一般的であり、好ましくは80〜180℃である。
【0023】
本発明において、不織布とフィルムを積層一体化させる方法としては、通常の接着剤による方法や加熱熱接着法、押し出しラミネート法などいかなる方法を用いても良いが、特にフィルムがハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルなどのように後工程で延伸操作を行わなくても収縮率のコントロールが可能なポリマーを用いる場合には、フィルム厚みが5〜50μmになるように押し出しラミネートする方法が工程が簡略化されるため好ましい形態の一つである。場合により、積層した物を延伸したり、逆に熱処理により巾方向に収縮させたりすることにより収縮率をコントロールすることが可能である。
【0024】
本発明においてフィルムと不織布とが積層された断熱材は、容器の少なくとも一部を覆うように容器に取付けられる(複合される)。断熱材を容器などに複合する際には、接着剤で貼り合わせることも可能であるが、使用後に断熱材を除去しにくくなったり、接着剤という異物を含むことによってリサイクル性が低下する問題を生じやすい。本発明では、断熱材で容器を覆い、かつ断熱材を収縮させる事により容器との密着性を高めて主に摩擦力により複合することが好ましい。
【0025】
断熱材を容器に複合させるための断熱材の収縮処理温度は、製造工程により適宜選択されるが、120℃近傍など比較的低い温度で予備収縮をさせておいて複合する容器などとの位置決めを行ってから、次いで密着させるための本収縮処理を行う事が好ましい。この方法により印刷面のズレ防止や印刷歪などを防止する事が可能である。断熱材の予備収縮温度での長手方向の収縮は、1%未満である事が好ましい。収縮率のコントロールのためには、ポリマーの選定と延伸条件、熱処理条件の選定が重要であるが、延伸条件は、断熱材中のポリマーのアモルファス鎖の緊張を高めるように低温で延伸することが好ましい。また、予備収縮温度以下では収縮が起こらないように、該温度より低い温度で熱セットしておくことも好ましい態様の一つである。
【0026】
本発明の断熱材において、フィルムとして、ブロック共重合ポリエステルやポリウレタンなどの樹脂で500〜10000g/m2・24時間の透湿度を有する無孔のフィルムを用いた場合、ペットボトルあるいは金属製の容器の少なくとも一部に、主に収縮処理により固定すると結露防止性保冷容器となる。また、ペットボトル、金属容器、紙やプラスチック製コップ、即席麺容器、アルコール飲料容器などの約40℃以上の液体あるいは固体を保持する容器の一部に複合して用いると保温性、火傷防止性のある断熱性容器とすることができる。
【0027】
【実施例】
次に本発明を具体的に実施例によって説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
本発明で使用される測定法は以下のとおりである。
(熱水収縮率)
サンプルを20cm各の正方形に切り出して、温度95℃に制御された恒温水槽に10秒間放置して後、縦方向及び横方向の収縮率を測定した。
(厚み)
圧力が20g/cm2の加重下での厚みをピーコック厚み計により測定した。
【0028】
(断熱性評価)
・結露試験:350cc容量の空のアルミ製ボトルに、5℃の水を350cc入れてキャップを締めて封をした。温度30℃、湿度70%の雰囲気に30分間放置して後にボトル表面および下部に結露の有無を調べた。ボトル内部の温度を温度計により測定した。
・断熱試験:結露試験と同様に空のアルミ製ボトルに90℃の熱湯を350cc入れたのち、10秒後にボトル胴部を手で触わってその熱さの程度を評価した。
・繊維径:走査型電子顕微鏡により適当な倍率で写真撮影を行い、ランダムに繊維を20〜200程度選んで各繊維の側面間の距離を測定した。撮影倍率より換算して円断面を仮定して繊維径を測定した。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
東洋紡績株式会社製の厚み30μmの熱収縮フィルム(スペースクリーン、SC−L S5630、縦横収縮率:縦1%、横71%)に5mmの格子柄を印刷したものとスパンボンド法により得られた直径14μm、目付40g/m2のポリエチレンテレフタレート不織布(縦横収縮率:縦2%、横6%)とを市販のポリエステル系接着剤(東洋紡績株式会社製バイロン)で貼り付けた。得られた積層体を、不織布側が内側になるようにして、市販の350cc容量の空アルミ製ボトル胴部の周長より約5%長い筒状の断熱材を作った。長さ12cmに筒状体を切り出して、前記アルミ製ボトルの胴部に取付けて120℃で15秒間予備収縮させてのち、140℃で20秒間収縮させて本発明の断熱材の効果を調べたところ、不織布はアルミ製ボトルの胴部に密着しており、皺や浮きなど問題は無かった。格子の印刷も線はほぼ直交しており、あらかじめ収縮率を考慮して印刷を行えば、印刷歪みの問題がほとんど起こらない状態であることが分かった。結露試験で30分後に断熱材周りの濡れ状況を確認したところ、断熱材のあるところは殆ど結露がなかった。ボトル内の水の温度は約8℃で保冷効果が認められた。
また、断熱試験では、全くやけどの心配がなくボトルを手で触ることができた。
【0030】
(実施例2)
東洋紡績株式会社製のポリエステルブロック共重合体であるペルプレン樹脂GP550(230℃でのMFR34g/10分、融点174℃)を230℃でTダイにより押し出し、15cmのオフセットをおいて実施例1のスパンボンド法により得られた不織布と接触させて平均25μmの厚みになるようにして貼り合わせた。さらにフィルム面に5mmの格子柄を印刷した。得られた積層体の透湿度は4700g/m2・24時間であり、耐水圧は2800mmAqであった。得られた積層体を、不織布側が内側になるようにして、市販の350cc容量の空のアルミ製ボトルの胴部の周長より約5%長い筒状の断熱材を作った。長さ12cmに筒状体を切り出して、前記アルミ製ボトルの胴部に取付けて120℃で15秒間予備収縮させてのち、140℃で20秒間収縮させて本発明の断熱材の効果を調べたところ、不織布はアルミ製ボトルの胴部に密着しており、皺や浮きなど問題は無かった。格子の印刷も線はほぼ直交しており、あらかじめ収縮率を考慮して印刷を行えば、印刷歪みの問題がほとんど起こらない状態であることが分かった。結露試験で30分後に断熱材周りの濡れ状況を確認したところ、断熱材のあるところは殆ど結露がなかった。ボトル内の水の温度は約8.5℃で保冷効果が認められた。また、断熱試験では、ほとんど問題なくボトルを手で触ることができた。
【0031】
(実施例3)
実施例1のスパンボンド不織布をリングロール加工により巾方向に1.2倍延伸を行った。縦横収縮率は、それぞれ縦3%、横15%であった。東洋紡績株式会社製の厚み25μmの熱収縮フィルム(スペースクリーン、SC−UB E1547、縦横収縮率:縦18%、横50%)に5mmの格子柄を印刷したものと不織布を貼り合わせた。得られた積層体を、不織布側が内側になるようにして、市販の350cc容量の空のアルミ製ボトルの胴部の周長より約5%長い筒状の断熱材を作った。長さ12cmに筒状体を切り出して、前記アルミ製ボトルの胴部に取付けて120℃で15秒間予備収縮させてのち、140℃で20秒間収縮させて本発明の断熱材の効果を調べたところ、不織布はアルミ製ボトルの胴部に密着しており、皺や浮きなど問題は無かった。格子の印刷も線はほぼ直交しており、あらかじめ収縮率を考慮して印刷を行えば、印刷歪みの問題がほとんど起こらない状態であることが分かった。結露試験で30分後に断熱材周りの濡れ状況を確認したところ断熱材のあるところは殆ど結露がなかった。ボトル内の水の温度は約8℃で保冷効果が認められた。また、断熱試験では、ほとんど問題なくボトルを手で触ることができた。
【0032】
(比較例1)
市販の350cc容量の空のアルミ製ボトルに断熱材を貼らずに結露試験と断熱試験を実施した。結露試験で30分後に結露が発生しており、ボトルを置いた台に水がたまっていた。また、ボトルの水の温度は室温に近い23℃前後であった。断熱試験では、ボトルを手で触ることができ無かった。
【0033】
(比較例2)
実施例1において不織布の繊維径が25μmである以外は同様の条件で断熱材を得て、同様にボトルに取付けて評価した。結露試験で30分後に結露が発生していたが比較例1ほどでは無かった。ボトルを置いた台にも少し水がたまっていた。ボトル内の水の温度は約17℃で保冷効果が不十分であった。また、断熱試験では、ボトルを手で触ることができ無かった。
【0034】
(比較例3)
実施例1の不織布に、厚み30μmの縦横の収縮率がそれぞれ、縦23%、横20%である熱収縮フィルムに5mmの格子柄を印刷したものを貼り合わせた。実施例1と同様に長さ16cmに筒状体を切り出して、前記アルミ製ボトルの胴部に取付けて120℃で15秒間予備収縮させてのち140℃で20秒間収縮させてこの断熱材の効果を調べたところ、不織布はアルミ製ボトルの胴部の数カ所に皺が発生し、皺と皺の間で浮きが発生していた。格子の印刷は線の直交性がくずれており、柄印刷を行えば歪みは大きいと推定された。結露試験で30分後に断熱材周りの濡れ状況を確認したところ、浮きのある部分で結露が発生していた。ボトル内の水の温度は約15℃で保温効果が不十分であった。また、断熱試験では、問題なくボトルを手で触ることができたが、外観上問題であるだけでなくボトルが持ちにくく感じられた。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、ボトルやカップなど平面以外の立体的で複雑な形態の容器などに対して、容器を覆って熱収縮処理するだけで容器に固着させることができる断熱材を提供することができ、該断熱材を複合利用することにより、ペットボトル、金属製容器、紙やプラスチック製コップ、即席麺容器、アルコール飲料容器などの容器を簡単に結露防止性保冷容器や断熱性容器にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における不織布の延伸用凹凸ロールの例を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・凹凸ロール用円盤体
2・・・駆動シャフト
3・・・不織布
【発明の属する技術分野】
本発明は断熱材及びそれを用いた断熱性容器に関するものであり、詳しくは、ボトルやカップなど平面以外の形態の容器などにも熱収縮により密着可能な断熱材に関する。また、ペットボトル、金属容器、紙やプラスチック製コップ、即席麺容器、アルコール飲料容器など温度が約40℃以上の液体あるいは固体を保持する容器の一部に本発明の断熱材を貼り合わせて保温や火傷防止が可能な断熱性容器に関する。また、ペットボトル、金属容器、紙やプラスチック製コップ、アルコール飲料容器など、内容物の温度が各種容器に外部の温度より5℃以上低い液体あるいは固体を保持する容器の一部に密着させることにより、保冷性と結露防止性を発揮する断熱性容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペットボトルやアルミ缶などのラベルとして収縮性フィルムが用いられてきた。しかしながらこれらのフィルムは、商品名や内容物の表示の観点からは鮮明な印刷を提供するという機能はあるものの断熱性はほとんど無く、内容物が高温の場合には、すぐ温度が下がってしまったり、手で持った際にやけどするなどの問題があった。また、内容物が雰囲気温度より低温である場合は、すぐに雰囲気温度に近づいてしまったり、雰囲気中の水分が結露してしまう問題があった。
【0003】
収縮性を持つ材料としてはポリエステルの収縮フィルムはあるものの断熱性を有するものはなく、容器自信を発泡体などにするなどの工夫がなされてきたが、コストの安いポリスチレン発泡体などはリサイクル性などの問題があった。一方、不織布は、適度な空間を有するために断熱性があるが収縮性がないため、平面や円柱などの単純な表面に貼りあわせるなどの使用しかできなかった。また、不織布は表面が平滑でないために印刷の鮮明度が良くない問題があった。また、不織布表面の穴から空気の流入があり、保温性を高くするためにはかなり細い繊維を使う必要があった。
上記の問題を解決する方法として、不織布をフィルムと貼りあわせる試みが行われている。例えば、特許文献1では、不織布とフィルムを複合化して後、円筒容器などに巻きつけて接着剤で貼りつける断熱材が開示されている。しかしながら、ボトルのネック部分など曲率の異なる曲面を有する容器への追随性や貼り付けに手間がかかるという問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−126663号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ボトルやカップなど平面以外の立体的形態の容器などに対して、容器を覆って熱収縮処理するだけで容器に固着させることができる断熱材を提供し、さらには、該断熱材を複合利用することにより、簡単に結露防止性保冷容器や断熱性容器を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、以下の手段をとるものである。すなわち、第1の発明は、フィルムの一方向とそれに直交する方向との95℃熱水収縮率の差が5%以上である収縮異方性を有する厚さが5〜50μmのフィルムと繊維径が0.5〜20μmの不織布とが積層されてなることを特徴とする断熱材である。
【0007】
第2の発明は、不織布が、フィルムが3%以上収縮する温度において少なくとも一方向に2〜60%収縮することを特徴とする第1の発明に記載の断熱材である。
【0008】
さらに第3の発明は、フィルム及び不織布が、ポリエステルからなることを特徴とする第1又は2の発明に記載の断熱材である。
【0009】
また、第4の発明は、ポリエステルが生分解性ポリエステルであることを特徴とする第3の発明に記載の断熱材である。
【0010】
また、第5の発明は、フィルムと不織布との積層が、押出ラミネート法によりなされていることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載の断熱材である。
【0011】
さらに、第6の発明は、ペットボトルあるいは金属製の容器の少なくとも一部に第1〜5の発明に記載の断熱材が複合されてなることを特徴とする結露防止性保冷容器である。
【0012】
第7の発明は、ペットボトル、金属容器、紙やプラスチック製コップ、即席麺容器、アルコール飲料容器などの容器で、温度が約40℃以上の液体あるいは固体を保持する容器の少なくとも一部に第1〜5の発明に記載の断熱材が複合されてなることを特徴とする断熱性容器である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる不織布および該不織布に積層されるフィルムの素材は、断熱性の高い素材であり、収縮性を有する素材であれば特に限定されないが、収縮性の制御や断熱性の観点から高分子材料であることが好ましい。本発明に適用可能な高分子材料としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアリレンスルフィドなどがあげられる。環境問題が重視される昨今ではリサイクルの容易なポリエステルであることがより好ましい。
【0014】
本発明の断熱材はペットボトルに適用されることも多いが、ペットボトルは、ポリエステルが原料として用いられている事から同時にリサイクル可能であり特に好ましい。また、ポリエステルは、半結晶性素材であり、不織布やフィルムは加工条件を制御する事で収縮性が制御しやすいため特に好ましい。容器曲率の不均一な容器に断熱材を収縮させて使用する際には高い収縮性が要求される。この場合にはハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルを用いる事も好ましい態様の一つである。該ブロック共重合ポリエステルよりなるフィルムは無孔でありながら透湿性を有するので結露防止機能が重要である場合は特に有効である。また、該素材は伸縮性を有するために容器への貼りあわせや脱着が容易で、かつ貼りあわせ時の密着性が良い効果もある。
さらには、断熱材および容器の素材を生分解性とすることで、インスタントラーメンや飲み物などの食品で汚れた容器をそのまま埋め立て処理する事も可能であり特に好ましい。
【0015】
本発明におけるフィルムや不織布の素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルやこれらの成分以外にイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの酸成分やネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール成分を共重合した共重合ポリエステル、ポリテトラメチレングリコールやポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコールをソフトセグメントとするポリエステルブロック共重合体を挙げることができる。共重合成分はポリエステルの酸成分又はアルコール成分に対して2〜50モル%が好ましく、より好ましくは、4〜40モル%である。これらのポリマーは、所望の収縮特性や物性を得るために適宜ブレンドして使用することができる。
【0016】
不織布の場合、例えば、エチレンテレフタレートユニットが主成分でネオペンチルグリコールが第3成分として共重合された共重合ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートなどのホモポリエステルにブレンドすることによって、不織布の収縮特性と物性を所望の範囲にコントロールすることができる。この場合、共重合ポリエステルのブレンド率は、25〜80%が好ましく、より好ましくは30〜60%である。
【0017】
本発明で用いられる不織布は、繊維径が0.5〜20μm、目付が5〜200g/m2のポリエステル系長繊維を主体とする不織布であることが好ましい。繊維径が0.5μmより細いと不織布が磨耗などにより毛羽立ちやすく、不織布の強度が小さくなるためあまり好ましくない。繊維径が20μmより太くなると、本発明が目的とする断熱性を良くする効果が低下するので好ましくない。本発明者の検討の範囲では、繊維径が3〜17μmの間にある事が特に好ましかった。
【0018】
また、不織布の目付が5g/m2より小さいと断熱性や不織布強度が低くなり、フィルムとの積層がしにくくなる問題が発生しやすくなる。目付が200g/m2を超えると容器などに使用時の重量が重くなる上に、積層したフィルムが収縮した際に皺を生じる問題が発生しやすくなる。不織布は強力を高くするためにエンボス加工やカレンダー加工などにより部分的に繊維が接着されていても良い。不織布の形態としては、湿式不織布でも乾式不織布でも良いが、不織布の変形性に優れ、厚みを大きくして断熱性を上げやすい乾式不織布がより好ましい。特に長繊維不織布は、強伸度特性に優れ、表面が平滑であるためフィルムとの密着性が良いためにより好ましい。また、必要により縦方向と横方向の収縮率を変更することが容易な点でも乾式不織布が好ましい。
【0019】
本発明におけるフィルムは収縮異方性を有するフィルムであり、一方向とそれに直交する方向の95℃熱水収縮率の差が5%以上異なるフィルムである。かかる熱水収縮率の差は、120〜180℃の間での乾熱収縮率の差にほぼ対応するものであり、実際の製造工程での収縮率を予測できる代用メジャーである。この収縮異方性により、断熱材として容器に複合させる際に、容器の長手方向への収縮よりも、それに直交する方向への収縮を大きくすることができ、容器への複合化の作業性が良くなる。また、断熱材をチューブ上にロールなどで連続的に提供する場合にも、長手方向の収縮を小さくすることで工程の制御が容易になる。
【0020】
収縮異方性は、95℃熱水収縮率の差が5%以上であれば本発明の目的を達成可能であるが、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。また、取扱い性、工程制御性などから、収縮の小さい方向の収縮率は、30%以下が好ましく、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下であり、収縮の大きい方向の収縮率は、80%以下が好ましく、より好ましくは70%以下である。
【0021】
フィルムの厚さは5〜50μmであり、10〜50μmが好ましい。5μmより厚みが薄いと工程途中でシートが破れたり、皺になる問題を生じやすい。一方、50μmより厚いとごわごわした風合いになったり、収縮の際に皺を生じやすくなる傾向がある。
【0022】
本発明においてフィルムに積層される不織布は、フィルムが3%以上収縮する条件下において、少なくとも一方向に2〜60%収縮することが好ましく、より好ましくは2〜50%である。フィルムの一方向とそれに直交する方向(縦方向と横方向)の収縮率に対して、不織布の方のそれぞれの収縮率が−3〜10%程度小さいことが収縮時の皺発生防止の観点から好ましい。フィルムや不織布の収縮率は、成型時の延伸倍率やポリマー組成を調整することによりコントロール可能であるが、それぞれ別々に延伸などにより収縮率をコントロールした物を貼り合わせても良いし、積層後に延伸処理を行って収縮率の調整を行っても良い。不織布の延伸方法としては、一般的なフィルムの延伸のようにテンターなどで延伸を行うのが一般的であるが、表面に凹凸があり互いに凹凸面が噛み合った対ロールにより巾方向に局所的な延伸をかけることも好ましい態様の一つである。なお、この凹凸ロールは、図1に模式図で示したように、円盤状の板などを一定周期でロール軸に串刺した形態のものを用いることができ、対向する円盤位置を互いがかみ合うように位置を調整する事で延伸を行う事ができる。噛み合う深さを深くする事により延伸倍率を上げることができる。必要に応じて円盤や加工する不織布などを加熱しても良い。加熱温度は、ポリエステル不織布を加工する場合は、50〜250℃程度が一般的であり、好ましくは80〜180℃である。
【0023】
本発明において、不織布とフィルムを積層一体化させる方法としては、通常の接着剤による方法や加熱熱接着法、押し出しラミネート法などいかなる方法を用いても良いが、特にフィルムがハードセグメントとソフトセグメントよりなるブロック共重合ポリエステルなどのように後工程で延伸操作を行わなくても収縮率のコントロールが可能なポリマーを用いる場合には、フィルム厚みが5〜50μmになるように押し出しラミネートする方法が工程が簡略化されるため好ましい形態の一つである。場合により、積層した物を延伸したり、逆に熱処理により巾方向に収縮させたりすることにより収縮率をコントロールすることが可能である。
【0024】
本発明においてフィルムと不織布とが積層された断熱材は、容器の少なくとも一部を覆うように容器に取付けられる(複合される)。断熱材を容器などに複合する際には、接着剤で貼り合わせることも可能であるが、使用後に断熱材を除去しにくくなったり、接着剤という異物を含むことによってリサイクル性が低下する問題を生じやすい。本発明では、断熱材で容器を覆い、かつ断熱材を収縮させる事により容器との密着性を高めて主に摩擦力により複合することが好ましい。
【0025】
断熱材を容器に複合させるための断熱材の収縮処理温度は、製造工程により適宜選択されるが、120℃近傍など比較的低い温度で予備収縮をさせておいて複合する容器などとの位置決めを行ってから、次いで密着させるための本収縮処理を行う事が好ましい。この方法により印刷面のズレ防止や印刷歪などを防止する事が可能である。断熱材の予備収縮温度での長手方向の収縮は、1%未満である事が好ましい。収縮率のコントロールのためには、ポリマーの選定と延伸条件、熱処理条件の選定が重要であるが、延伸条件は、断熱材中のポリマーのアモルファス鎖の緊張を高めるように低温で延伸することが好ましい。また、予備収縮温度以下では収縮が起こらないように、該温度より低い温度で熱セットしておくことも好ましい態様の一つである。
【0026】
本発明の断熱材において、フィルムとして、ブロック共重合ポリエステルやポリウレタンなどの樹脂で500〜10000g/m2・24時間の透湿度を有する無孔のフィルムを用いた場合、ペットボトルあるいは金属製の容器の少なくとも一部に、主に収縮処理により固定すると結露防止性保冷容器となる。また、ペットボトル、金属容器、紙やプラスチック製コップ、即席麺容器、アルコール飲料容器などの約40℃以上の液体あるいは固体を保持する容器の一部に複合して用いると保温性、火傷防止性のある断熱性容器とすることができる。
【0027】
【実施例】
次に本発明を具体的に実施例によって説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
本発明で使用される測定法は以下のとおりである。
(熱水収縮率)
サンプルを20cm各の正方形に切り出して、温度95℃に制御された恒温水槽に10秒間放置して後、縦方向及び横方向の収縮率を測定した。
(厚み)
圧力が20g/cm2の加重下での厚みをピーコック厚み計により測定した。
【0028】
(断熱性評価)
・結露試験:350cc容量の空のアルミ製ボトルに、5℃の水を350cc入れてキャップを締めて封をした。温度30℃、湿度70%の雰囲気に30分間放置して後にボトル表面および下部に結露の有無を調べた。ボトル内部の温度を温度計により測定した。
・断熱試験:結露試験と同様に空のアルミ製ボトルに90℃の熱湯を350cc入れたのち、10秒後にボトル胴部を手で触わってその熱さの程度を評価した。
・繊維径:走査型電子顕微鏡により適当な倍率で写真撮影を行い、ランダムに繊維を20〜200程度選んで各繊維の側面間の距離を測定した。撮影倍率より換算して円断面を仮定して繊維径を測定した。
【0029】
【実施例】
(実施例1)
東洋紡績株式会社製の厚み30μmの熱収縮フィルム(スペースクリーン、SC−L S5630、縦横収縮率:縦1%、横71%)に5mmの格子柄を印刷したものとスパンボンド法により得られた直径14μm、目付40g/m2のポリエチレンテレフタレート不織布(縦横収縮率:縦2%、横6%)とを市販のポリエステル系接着剤(東洋紡績株式会社製バイロン)で貼り付けた。得られた積層体を、不織布側が内側になるようにして、市販の350cc容量の空アルミ製ボトル胴部の周長より約5%長い筒状の断熱材を作った。長さ12cmに筒状体を切り出して、前記アルミ製ボトルの胴部に取付けて120℃で15秒間予備収縮させてのち、140℃で20秒間収縮させて本発明の断熱材の効果を調べたところ、不織布はアルミ製ボトルの胴部に密着しており、皺や浮きなど問題は無かった。格子の印刷も線はほぼ直交しており、あらかじめ収縮率を考慮して印刷を行えば、印刷歪みの問題がほとんど起こらない状態であることが分かった。結露試験で30分後に断熱材周りの濡れ状況を確認したところ、断熱材のあるところは殆ど結露がなかった。ボトル内の水の温度は約8℃で保冷効果が認められた。
また、断熱試験では、全くやけどの心配がなくボトルを手で触ることができた。
【0030】
(実施例2)
東洋紡績株式会社製のポリエステルブロック共重合体であるペルプレン樹脂GP550(230℃でのMFR34g/10分、融点174℃)を230℃でTダイにより押し出し、15cmのオフセットをおいて実施例1のスパンボンド法により得られた不織布と接触させて平均25μmの厚みになるようにして貼り合わせた。さらにフィルム面に5mmの格子柄を印刷した。得られた積層体の透湿度は4700g/m2・24時間であり、耐水圧は2800mmAqであった。得られた積層体を、不織布側が内側になるようにして、市販の350cc容量の空のアルミ製ボトルの胴部の周長より約5%長い筒状の断熱材を作った。長さ12cmに筒状体を切り出して、前記アルミ製ボトルの胴部に取付けて120℃で15秒間予備収縮させてのち、140℃で20秒間収縮させて本発明の断熱材の効果を調べたところ、不織布はアルミ製ボトルの胴部に密着しており、皺や浮きなど問題は無かった。格子の印刷も線はほぼ直交しており、あらかじめ収縮率を考慮して印刷を行えば、印刷歪みの問題がほとんど起こらない状態であることが分かった。結露試験で30分後に断熱材周りの濡れ状況を確認したところ、断熱材のあるところは殆ど結露がなかった。ボトル内の水の温度は約8.5℃で保冷効果が認められた。また、断熱試験では、ほとんど問題なくボトルを手で触ることができた。
【0031】
(実施例3)
実施例1のスパンボンド不織布をリングロール加工により巾方向に1.2倍延伸を行った。縦横収縮率は、それぞれ縦3%、横15%であった。東洋紡績株式会社製の厚み25μmの熱収縮フィルム(スペースクリーン、SC−UB E1547、縦横収縮率:縦18%、横50%)に5mmの格子柄を印刷したものと不織布を貼り合わせた。得られた積層体を、不織布側が内側になるようにして、市販の350cc容量の空のアルミ製ボトルの胴部の周長より約5%長い筒状の断熱材を作った。長さ12cmに筒状体を切り出して、前記アルミ製ボトルの胴部に取付けて120℃で15秒間予備収縮させてのち、140℃で20秒間収縮させて本発明の断熱材の効果を調べたところ、不織布はアルミ製ボトルの胴部に密着しており、皺や浮きなど問題は無かった。格子の印刷も線はほぼ直交しており、あらかじめ収縮率を考慮して印刷を行えば、印刷歪みの問題がほとんど起こらない状態であることが分かった。結露試験で30分後に断熱材周りの濡れ状況を確認したところ断熱材のあるところは殆ど結露がなかった。ボトル内の水の温度は約8℃で保冷効果が認められた。また、断熱試験では、ほとんど問題なくボトルを手で触ることができた。
【0032】
(比較例1)
市販の350cc容量の空のアルミ製ボトルに断熱材を貼らずに結露試験と断熱試験を実施した。結露試験で30分後に結露が発生しており、ボトルを置いた台に水がたまっていた。また、ボトルの水の温度は室温に近い23℃前後であった。断熱試験では、ボトルを手で触ることができ無かった。
【0033】
(比較例2)
実施例1において不織布の繊維径が25μmである以外は同様の条件で断熱材を得て、同様にボトルに取付けて評価した。結露試験で30分後に結露が発生していたが比較例1ほどでは無かった。ボトルを置いた台にも少し水がたまっていた。ボトル内の水の温度は約17℃で保冷効果が不十分であった。また、断熱試験では、ボトルを手で触ることができ無かった。
【0034】
(比較例3)
実施例1の不織布に、厚み30μmの縦横の収縮率がそれぞれ、縦23%、横20%である熱収縮フィルムに5mmの格子柄を印刷したものを貼り合わせた。実施例1と同様に長さ16cmに筒状体を切り出して、前記アルミ製ボトルの胴部に取付けて120℃で15秒間予備収縮させてのち140℃で20秒間収縮させてこの断熱材の効果を調べたところ、不織布はアルミ製ボトルの胴部の数カ所に皺が発生し、皺と皺の間で浮きが発生していた。格子の印刷は線の直交性がくずれており、柄印刷を行えば歪みは大きいと推定された。結露試験で30分後に断熱材周りの濡れ状況を確認したところ、浮きのある部分で結露が発生していた。ボトル内の水の温度は約15℃で保温効果が不十分であった。また、断熱試験では、問題なくボトルを手で触ることができたが、外観上問題であるだけでなくボトルが持ちにくく感じられた。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、ボトルやカップなど平面以外の立体的で複雑な形態の容器などに対して、容器を覆って熱収縮処理するだけで容器に固着させることができる断熱材を提供することができ、該断熱材を複合利用することにより、ペットボトル、金属製容器、紙やプラスチック製コップ、即席麺容器、アルコール飲料容器などの容器を簡単に結露防止性保冷容器や断熱性容器にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における不織布の延伸用凹凸ロールの例を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・凹凸ロール用円盤体
2・・・駆動シャフト
3・・・不織布
Claims (7)
- フィルムの一方向とそれに直交する方向との95℃熱水収縮率の差が5%以上である収縮異方性を有する厚さが5〜50μmのフィルムと繊維径が0.5〜20μmの不織布とが積層されてなることを特徴とする断熱材。
- 不織布が、フィルムが3%以上収縮する温度において少なくとも一方向に2〜60%収縮することを特徴とする請求項1記載の断熱材。
- フィルム及び不織布がポリエステルからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の断熱材。
- ポリエステルが生分解性ポリエステルであることを特徴とする請求項3に記載の断熱材。
- フィルムと不織布との積層が、押出ラミネート法によりなされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の断熱材。
- ペットボトルあるいは金属製の容器の少なくとも一部に請求項1〜5に記載の断熱材が複合されてなることを特徴とする結露防止性保冷容器。
- 約40℃以上の液体あるいは固体を保持する容器の少なくとも一部に請求項1〜5に記載の断熱材が複合されてなることを特徴とする断熱性容器。
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---|---|---|---|
JP2003198943A JP2005035120A (ja) | 2003-07-18 | 2003-07-18 | 断熱材及びそれを用いた断熱性容器 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008137663A (ja) * | 2006-11-30 | 2008-06-19 | Fuji Seal International Inc | インモールド成形品、及びその製造方法 |
US8932706B2 (en) | 2005-10-27 | 2015-01-13 | Multi-Color Corporation | Laminate with a heat-activatable expandable layer |
-
2003
- 2003-07-18 JP JP2003198943A patent/JP2005035120A/ja not_active Withdrawn
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