JP2005033934A - インバータのコンデンサ接続構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 導電部材30は、一端側でインバータ2の正極側または負極側の電極端子26とネジ固定で接続し、他端側でコンデンサ1の電極端子25の一つとネジ固定で接続する。導電部材20は、導電部材30と間隙距離dをとって平板の面同士を対向させて配置され、コンデンサ1側の端部で接続部材22によって導電部材30と接続している。導電部材20の他端は接続部21を備え、接続部でバッテリ3の電極端子と電源線10によって接続している。導電部材20、30、接続部材22は、電源線10に比較して、導体の断面積が大きく十分抵抗が小さい構成である。導電部材20と30は相互インダクタンス成分を生じ、コンデンサの共振周波数を変えることができる。
【選択図】 図1
Description
インバータには、インバータの入力電圧の変動を吸収する平滑コンデンサが接続される。この平滑コンデンサは、バッテリとインバータを接続する電源線に接続される。
このような問題を解決する方法として特許文献1に記載の方法が知られている。その方法では、複数のコンデンサの正極端子同士を接続する第1の導電部材と負極端子同士を接続する第2の導電部材があり、第1の導電部材の一端を折り返し第2の導電部材に対向させる第3の導電部材を有する構成である。この3つの導電部材を流れる電流の方向が互いに逆方向に流れるようにしてコンデンサの接続部材のインダクタンス成分を低減することを可能としている。
電気自動車の平滑コンデンサとして使用されるフィルムコンデンサや電解コンデンサの自己共振周波数は100kHz程度である。
一方、電気自動車用インバータは内部の半導体スイッチを用いて直流を三相交流に変換しモータへ電力を供給している。そのため、キャリア周波数の奇数倍の周波数を持つ高調波電流がノイズ電流として現れ、低次の高調波電流の振幅が大きい。なお、電気自動車のインバータのキャリア周波数はほぼ数kHz〜十数kHzである。
インバータから上記のノイズ電流が発生した場合、そのノイズ電流の周波数においてコンデンサ側のインピーダンスがバッテリ側のインピーダンスに比べ十分低ければ、電源線の作るループに流れ込むノイズ電流の量は少なくなるが、電気自動車においては、コンデンサのインピーダンスが極小値となる共振周波数とインバータのキャリア周波数がずれていたために、電源線のループに流れ込むノイズ電流を効果的に抑制できていなかった。
つまり、コンデンサ側のインピーダンスをキャリア周波数付近で低下させることができ、電源線の作るループから放射性ノイズが低減できる。
図1は実施の形態の電気自動車のパワーエレクトロニクスシステムのインバータのコンデンサ接続構造を示す図である。図2は、インバータ、コンデンサおよびバッテリからなるインバータシステム全体を示す斜視図である。なお、インバータからモータへ三相交流を供給する出力線は省略してある。
コンデンサ1とインバータ2の各正極側の電極端子25、26は、それぞれのケースから突出し、ネジで接続可能なように電極端子25、26の上面には雌ネジが設けられている。
平板状の導電体からなる導電部材20は、導電部材30と間隙距離dをとって平板の面同士を対向させて平行に配置され、一端側(コンデンサ1側)で平板状の導電体からなる接続部材22によって導電部材30と接続している。
導電部材20の他端(インバータ2側の端)は接続部21を備え、接続部21でバッテリ3の電極端子と電源線10によって接続している。
導電部材20、30、接続部材22は、電源線10に比較して、導体の断面積が大きく十分抵抗が小さい構成とする。
導電部材30には電極端子25に対応させてネジ穴51が設けられ、このネジ穴に差し込まれたネジ31が電極端子25にねじ込まれる。
導電部材20と絶縁部材40には、電極端子25に対応させ、通しでネジ31組付け用の作業穴53が形成されている。作業穴53の径はネジ31の頭部が通過する大きさであり、ネジ穴51の径はネジ31のネジ部が通過する大きさである。
導電部材30、絶縁部材40および導電部材20の電極端子26に対応する位置に、同様にネジ穴51、作業穴53を開け、ネジ31が電極端子26にねじ込まれる。
導電部材20、30、接続部材22、絶縁部材40は、コンデンサ1とインバータ2の各負極側の電極端子間にも同様に取り付けられている。
インバータ2の筐体内にはパワー半導体素子からなるスイッチ群が入っている。インバータのキャリア周波数fcは数kHz〜十数kHzである。
インバータ2は内部の半導体スイッチにより直流を三相交流に変換して、図示しないモータへ電力を供給している。インバータ2のパワー半導体素子からなるスイッチ群を開閉すると、スイッチングによるノイズ電流が発生する。このノイズ電流は、キャリア周波数fcの奇数倍の周波数の高調波電流である。
図3はスイッチングによるノイズパルスの周波数スペクトルを表しており、横軸はノイズ電流の周波数を、縦軸はノイズ電流の強度(スペクトラム強度)を示す。キャリア周波数fcの高調波強度は、20dB/decで減衰するので、強度の最も大きいキャリア周波数fcになるように、前述のコンデンサによる共振周波数をあわせると、ノイズ電流の抑制効果が大きいことが分かる。
導電部材20と30はそれぞれ対向しており、電流は互いに逆方向に流れる。そのため導電部材20と30間では電磁結合し、相互インダクタンスMが発生する。
コンデンサ1は寄生インダクタンス成分Lcを有する。導電部材20、30はそれぞれインダクタンス成分L−M(自己インダクタンスLと、導電部材20と30間の相互インダクタンスMとの差)を有する。
コンデンサ1は、寄生インダクタンスLcに直列に相互インダクタンスMだけインダクタンスが増す。
また、電源線10は抵抗Rpを有し、抵抗Rpは回路の他の部分の抵抗に比べ十分大きな値を持っている。
インダクタンス成分LcとMと、コンデンサ1の容量成分Cで共振特性を構成する。
図5は幅W、厚さH、長さDの2枚の導電部材が距離dで対向している状態を表している。図6は横軸が長さDと幅Wの比D/W、縦軸が単位長さ当たりの相互インダクタンス(nH)であり、図5に示した導電部材の厚さHと幅Wの比H/Wが0.25のとき、距離dと幅Wの比d/Wをパラメータに、相互インダクタンスの特性を表している。
この図より、導電部材の幅Wに対して長さDが長いほど、また導電部材の幅Wに対して2つの導電部材の距離dが狭いほど、単位長さ当たりの相互インダクタンス成分(結合力)が大きいことが分かる。
故に、上記導電部材のサイズであれば、2枚の導電部材の距離を変えることで容易に約60kHz〜約100kHzの周波数領域に共振周波数を持ってくることが可能となる。
横軸は周波数(10k〜50kHz)、縦軸は接続部21(図4の等価回路ではP1で示す)の電流IP1と端子26(図4の等価回路ではP2で示す)での電流IP2の比IP1/IP2(1μ〜10m(ミリ))を、両対数グラフで示している。
(1)のケースは導電部材20、接続部材22を省いて導電部材30のコンデンサ1側の端部をバッテリ3と接続した場合を、(2)、(3)のケースは図1で示される本実施の形態における接続の場合を示す。ここで、(2)と(3)のケースの差は導電部材間の距離dが、(2)のケースは(3)のケースより大きい点である。
本実施の形態の導電部材30は本発明の第1の導電部材を、導電部材20は第2の導電部材を構成する。
そのため、距離dの設定によりコンデンサ1の自己共振特性を低周波数のキャリア周波数fc側へ変化させることができる。
図8は第1の変形例を示す図である。(a)は全体斜視図であり、(b)はコンデンサ端子側の側面の拡大図である。
本変形例では、一枚の平板状の導電体をコの字型に曲げた導電部材4を用いる。導電部材4の下側横長部分の一端側(コの字型の曲げ部側)をコンデンサ1の電極端子側に配置し、(a)で示すように曲げ部端でコンデンサ1の電極端子にネジ固定し、他端側をインバータ2の電極端子にネジ固定で接続する。
導電部材4のコの字型の上側横長部分はインバータ2側へ折り返し、その端部に接続部21を有する。
距離dを調整することで導電部材4の上下の横長部分間の相互インダクタンスMを調整できる。
なお、曲げ部分を所定の半径Rで曲げて導電部材4を形成してもよい。
実施の形態と異なるところは、接続部材22により導電部材20と30とをコの字型に接続する代わりに、両端部にヒンジ27を有する平板状の導電体からなる接続部材22’を2枚用いて、導電部材20、30とヒンジ接続して、全体をコの字型に構成した点である。
ヒンジ27は、接続部材22’同士の間、接続部材22’と導電部材20との間、接続部材22’と導電部材30との間に配置され、接続部材22’同士または接続部材22’と導電部材20、30とを電気的に接続し、取り付け角が可変な構造である。
この構成はパワーエレクトロニクスシステム各機器の特性に、例えばコンデンサ容量成分Cや寄生インダクタンスLcにばらつきがある場合に、システムが組み上がった後でも相互インダクタンス成分Mを適切に調整することが可能である。
実施の形態と異なるところは、接続部材22による導電部材20、30との接続の代わりに、(b)に示すように、ネジ型接続部材28によって、導電部材20、30とを電気的に接続すると同時に、コンデンサ1の電極端子25とも接続する構成とした点である。
ネジ型接続部材28を電極端子25にねじ込み、導電部材20、絶縁部材40、導電部材30を締め付ける。
導電部材20はネジ型接続部材28の頭部との間で電気的導通がとられ、ネジ型接続部材28を介して電極端子25に導通する。導電部材30は電極端子25に締め付けられて接触することにより電極端子25と導通する。その結果、ネジ型接続部材28は、実施の形態における接続部材22と固定ネジ31の両方の機能を果たすことになる。
絶縁部材40の厚さを変えて、ネジ型接続部材28により距離dを調整することにより、電磁結合による相互インダクタンス成分Mを調整することできる。
この構成はパワーエレクトロニクスシステム各機器の特性にばらつきがある場合に、システムが組み上がった後でも相互インダクタンス成分を適切に調整することが可能である。
絶縁体42一枚あたりの厚さをtとし枚数をn枚とするとその積が絶縁部材40’の厚さTとなる。この結果絶縁部材40’は導電部材20と30との距離を所望の値にすることができる。
実施の形態と異なるところは、導電部材20、30と接続部材22で形成したコの字型の導電体2つを、平板部を上下方向に立て、図中(+)で示した正極側および(−)で示した負極側それぞれのコの字型の導電体の導電部材30でコンデンサ1とインバータ2の正極側の電極端子25、26間、負極側の電極端子25’、26’間をそれぞれ接続し、導電部材20同士は間隙をおいて対向配置させる。
2つのコの字型の導電体それぞれの導電部材30は、ネジ穴を有した接続片35を介して、コンデンサ1およびインバータ2の正極側、負極側のそれぞれの電極端子にネジ固定される。
接続片35は、導電部材30のコンデンサ1側とインバータ2側の両方の端部の下端にL字型に、外側に設けられている。
なお、絶縁部材40が導電部材20と30との間に、絶縁部材40Aが導電部材20同士の間に設置される。
また、導電部材20を流れる電流の方向と導電部材30を流れる電流の方向は互いに逆方向であり電磁結合しているだけでなく、2つの導電部材20同士の間でも互いに逆方向に電流が流れ電磁結合している。
従って、同一の相互インダクタンスMを得る場合、図1の実施の形態の場合よりも導電部材の占める空間をより小さくして効率的にコンデンサ1の共振周波数をインバータ2のキャリア周波数に近づけることができる。
特に図13の(b)に示されるように、それぞれ導電部材20、30および接続部材22からなり、コンデンサ1およびインバータ2の正極側の電極端子間、負極側の電極端子間に接続される2組の導電体は、いずれも正極側の電極端子25と負極側の電極端子25’とにまたがる広幅とされている。
正極側および負極側の各導電体における導電部材20、30間にそれぞれ絶縁部材40が、負極側の導電部材20とコンデンサ1およびインバータ2との間にもそれぞれ絶縁部材40Bが挟まれている。
正極側の導電部材20と絶縁部材40には通しで各ネジ型接続部材28a組付け用の作業穴53が形成されるとともに、負極側の導電部材30、20、絶縁部材40および40Bを通してネジ型接続部材28aおよび電極端子25、26との接触を避けるため作業穴とほぼ同径の絶縁穴52が形成されている。
正極側の導電部材20から絶縁部材40Aには通しで各ネジ型接続部材28b組付け用の作業穴53が形成されるとともに、負極側の導電部材20および絶縁部材40Bを通してネジ型接続部材28bおよび電極端子25’、26’との接触を避けるため絶縁穴52が形成されている。
導電部材20と30間だけでなく導電部材30と30の電磁結合をも用いるので、導電部材20、30、および距離dの寸法が図1の実施の形態と同じ場合はコンデンサ1側のインダクタンス成分の増加、導電部材20、30側のインダクタンス成分の減少の度合いが図1の実施の形態よりさらに増す。
従って、同一の相互インダクタンスMを得る場合、図1の実施の形態の場合よりも導電部材の占める空間をより小さくして効率的にコンデンサ1の共振周波数をインバータ2のキャリア周波数に近づけることができる。
本変形例では、コンデンサ1とインバータ2の正極側と負極側の電極端子がそれぞれのケースの反対面から出ている場合のインバータのコンデンサ接続構造を示す図である。図中、正極側のコの字型導電体に(+)を付し、負極側のコの字型導電体に(−)を付して示す。
正極側および負極側それぞれの導電体において、導電部材30は、一端側でコンデンサ1の電極端子とネジ固定で接続し、他端側でインバータ2の電極端子とネジ固定で接続する。導電部材20は、導電部材30と間隙距離をとって平板の面同士を対向させて平行に配置され、コンデンサ1側の端部で接続部材22によって導電部材30と接続している。導電部材20の他端は接続部21を備え、接続部21でバッテリの電極端子と電源線10によって接続している。導電部材20と30の間には図示省略の絶縁部材を配する。
2 インバータ
3 バッテリ
4 導電部材
10 電源線
20、30 導電部材
21 接続部
22、22’接続部材
25、25’、26、26’ 電極端子
27 ヒンジ
28、28a、28b ネジ型接続部材
31 ネジ
35 接続片
40、40’、40A、40B 絶縁部材
42 絶縁体
51 ネジ穴
52 絶縁穴
53 作業穴
Claims (11)
- インバータ、コンデンサおよびバッテリとから構成されるインバータシステムにおいて、
一端が前記コンデンサの電極端子に接続し、他端が前記インバータの電極端子に接続する第1の導電部材と、
前記第1の導電部材に間隙をおいて平行に配置され、一端が前記第1の導電部材の前記一端に電気的に接続した第2の導電部材とから構成され、
前記第2の導電部材の他端が電源線で前記バッテリに接続されていることを特徴とするインバータのコンデンサ接続構造 - 前記第1および第2の導電部材は、平板状の導電体からなることを特徴とする請求項1に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
- 前記第1の導電部材と第2の導電部材の間隙の距離を、前記コンデンサの容量成分と、前記コンデンサの寄生インダクタンス成分に前記第1の導電部材と第2の導電部材間で生じる相互インダクタンス成分を加えたインダクタンス成分とによる共振周波数が、前記インバータのPWM制御におけるキャリア周波数の付近となるように決定することを特徴とする請求項1または2に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
- 前記第1および第2の導電部材は一体の導電部材からなり、一枚の平板状の導電体をコの字型に折り返して構成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
- 前記第1および第2の導電部材のそれぞれの前記一端同士は、ネジ型接続部材で電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
- 前記第1および第2の導電部材の前記一端同士は、互いにヒンジ結合された複数の接続部材と、それぞれヒンジ結合されて電気的に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
- 前記第1の導電部材と第2の導電部材は絶縁部材を介して対向していることを特徴とする請求項1から6のいずれか1に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
- 前記絶縁部材は、複数の薄板状絶縁体を積層して形成されることを特徴とする請求項7に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
- 前記第1の導電部材および前記第2の導電部材が、前記インバータと前記コンデンサのそれぞれの正極側の電極端子間、および負極側の電極端子間の双方に対応して設けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
- 前記正極側の電極端子間と負極側の電極端子間の両方の前記第2の導電部材同士が間隙をおいて平行に配置され、絶縁部材を介して対向していることを特徴とする請求項9に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
- 前記正極側の電極端子間と負極側の電極端子間の両方の前記第1の導電部材同士が間隙をおいて平行に配置され、絶縁部材を介して対向していることを特徴とする請求項9に記載のインバータのコンデンサ接続構造。
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