JP2005033048A - 空胴共振器 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性に優れた銀メッキ面を有する空胴共振器、および高いQ値を得る空胴共振器を実現する。
【解決手段】アルミ製の箱体である空胴共振器本体2を含み、その内面壁に銀メッキ7が形成された空胴共振器において、銀メッキ7は、内面壁の脱脂を行う段階S1と、脱脂された内面壁にエッチング処理を行う段階S2と、エッチング処理された内面壁のスマットを除去する段階S3と、スマットが除去された内面壁にジンケート処理を行う段階S4と、ジンケート処理された内面壁に無電解ニッケルメッキを行う段階S5と、無電解ニッケルメッキされた内面壁に第1の銅ストライク処理を行う段階S6と、第1の銅ストライク処理された内面壁に銅メッキ処理を行う段階S7と、銅メッキ処理された内面壁に第2の銅ストライク処理を行う段階S8と、第2の銅ストライク処理の後に内面壁に銀メッキ処理を行う段階S9とから形成される。
【選択図】図1
【解決手段】アルミ製の箱体である空胴共振器本体2を含み、その内面壁に銀メッキ7が形成された空胴共振器において、銀メッキ7は、内面壁の脱脂を行う段階S1と、脱脂された内面壁にエッチング処理を行う段階S2と、エッチング処理された内面壁のスマットを除去する段階S3と、スマットが除去された内面壁にジンケート処理を行う段階S4と、ジンケート処理された内面壁に無電解ニッケルメッキを行う段階S5と、無電解ニッケルメッキされた内面壁に第1の銅ストライク処理を行う段階S6と、第1の銅ストライク処理された内面壁に銅メッキ処理を行う段階S7と、銅メッキ処理された内面壁に第2の銅ストライク処理を行う段階S8と、第2の銅ストライク処理の後に内面壁に銀メッキ処理を行う段階S9とから形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、耐熱性に優れた銀メッキ面を有する空胴共振器、および高いQ値を得る空胴共振器の技術に関する。
本発明を利用する例として、水素メーザ用空胴共振器について説明する。
水素メーザ周波数標準器は、その優れた周波数安定度が超長基線電波干渉計(VLBI:Very Long Base Line Interferometer)など、最先端の技術分野において利用されている。これらの技術分野では、水素メーザの周波数安定度が高いほどその測定精度が向上するため水素メーザ周波数標準器の周波数安定度の向上が要望されている。
水素メーザ周波数標準器は、その優れた周波数安定度が超長基線電波干渉計(VLBI:Very Long Base Line Interferometer)など、最先端の技術分野において利用されている。これらの技術分野では、水素メーザの周波数安定度が高いほどその測定精度が向上するため水素メーザ周波数標準器の周波数安定度の向上が要望されている。
また、これらの技術分野では、数年に亘る長期測定が必要とされ、かつ、移動観測も行われる。
したがって、水素メーザで最も重要な空胴共振器は、振動に対して堅牢であるとともに長期に亘る共振周波数の高い安定度が要求される。
したがって、水素メーザで最も重要な空胴共振器は、振動に対して堅牢であるとともに長期に亘る共振周波数の高い安定度が要求される。
従来の水素メーザ用空胴共振器の構成例が、同一出願人の発明である特許文献1に示されている。図4にそれを示す。
図4に示す水素メーザ用空胴共振器100の構成では、共振器円筒101と、この共振器円筒101の上部と下部に、共振器円筒固定ビス102で固定された共振器上端板103と共振器下端板104が設けられている。共振器円筒101、共振器上端板103、共振器下端板104のいずれもアルミ(アルミニウムおよびアルミニウム合金をここではアルミと言う。)製または銅製となり、堅牢構造となっている。共振器上端板103には、共振周波数のシフト量を調整するための共振周波数粗調可動板106が取付けられている。他に、温度制御ヒータやメーザ出力ループなどが設けられるが、それらは図示しない。
また、水素メーザ用空胴共振器100内には、水素蓄積球105が設置されている。この水素蓄積球105は石英製のフラスコ形状でなり、その内面をテフロンコーティングしている。(テフロン:デュポン株式会社登録商標)
図4に示す水素メーザ用空胴共振器100の構成では、共振器円筒101と、この共振器円筒101の上部と下部に、共振器円筒固定ビス102で固定された共振器上端板103と共振器下端板104が設けられている。共振器円筒101、共振器上端板103、共振器下端板104のいずれもアルミ(アルミニウムおよびアルミニウム合金をここではアルミと言う。)製または銅製となり、堅牢構造となっている。共振器上端板103には、共振周波数のシフト量を調整するための共振周波数粗調可動板106が取付けられている。他に、温度制御ヒータやメーザ出力ループなどが設けられるが、それらは図示しない。
また、水素メーザ用空胴共振器100内には、水素蓄積球105が設置されている。この水素蓄積球105は石英製のフラスコ形状でなり、その内面をテフロンコーティングしている。(テフロン:デュポン株式会社登録商標)
前記水素蓄積球105内に蓄積された高エネルギーの水素原子は低エネルギーに遷移し、このとき微弱なマイクロ波(水素メーザのスペクトル)を発生する。このマイクロ波が空胴共振器100の共鳴で増幅され、水素メーザの出力信号として取り出される。
空胴共振器はその共振周波数を水素メーザのスペクトルと正確に一致させるために、高い寸法精度が要求される。また、高レベルに増幅させるために、高いQ値が必要である。
空胴共振器はその共振周波数を水素メーザのスペクトルと正確に一致させるために、高い寸法精度が要求される。また、高レベルに増幅させるために、高いQ値が必要である。
因みに、水素メーザ用空胴共振器の発振電力は10-13Wと微弱であり、空胴共振器のQ値が低いとメーザ発振も起こらない。水素メーザの正常な発振には最低でも約3×104のQ値が必要とされる。しかし、実用的には4×104〜5×104以上のQ値が必要で、前述のようにその値が大きいほど水素メーザの性能が向上する。
従来の全アルミ製の水素メーザ用空胴共振器では、空胴共振器内で発生した水素メーザのマイクロ波1.42GHzは空胴共振器の内表面層3μmくらいに集中して流れる。アルミは表面層での電気抵抗が大きく、Q値を上げるために、その内側表面を鏡面研磨したとしても、Q値は3.5×104程度までしかとることができない。
Q値を高くするには、空胴共振器を導電率の大きい材料で造るか、内側表面を導電率の大きい材料でメッキすればよく、メッキの厚さは材料の表皮厚さ(後述)の数倍以上とし表面を円滑にするためバフ仕上げしさらに電解研磨する、導電率は銀が最大で、銅、金がこれに次ぐ、等のことが知られている。アルミは金よりも導電率が小さい。
Q値を高くするには、空胴共振器を導電率の大きい材料で造るか、内側表面を導電率の大きい材料でメッキすればよく、メッキの厚さは材料の表皮厚さ(後述)の数倍以上とし表面を円滑にするためバフ仕上げしさらに電解研磨する、導電率は銀が最大で、銅、金がこれに次ぐ、等のことが知られている。アルミは金よりも導電率が小さい。
これらのことから、軽量化と価格の点からアルミを材料として使用した空胴共振器の場合、その内側表面に例えば銀メッキを施せばよいことが分かる。
抵抗のある導体中の電流は表面から内部に行くに従いe-x/δの形で減少する。表面からの深さδの点での電流が表面の1/eになるが、このδは表皮厚さ(skin depth)または浸透の深さとよばれ、δ=√(1/πfμσ)、ただし、f、μ、σはそれぞれ周波数、導体の透磁率、導電率である。図5に表皮厚さの一例を示す(非特許文献1からの引用)。
水素メーザの場合、共振周波数が約1420MHzで波長約21cmとなる。図5より、純銀の表皮厚さは約2μmとなる。
抵抗のある導体中の電流は表面から内部に行くに従いe-x/δの形で減少する。表面からの深さδの点での電流が表面の1/eになるが、このδは表皮厚さ(skin depth)または浸透の深さとよばれ、δ=√(1/πfμσ)、ただし、f、μ、σはそれぞれ周波数、導体の透磁率、導電率である。図5に表皮厚さの一例を示す(非特許文献1からの引用)。
水素メーザの場合、共振周波数が約1420MHzで波長約21cmとなる。図5より、純銀の表皮厚さは約2μmとなる。
ここで、従来のメッキ工程について説明する。
従来のメッキ工程は、(1)脱脂、(2)エッチング、(3)スマット除去、(4)ジンケート、(5)無電解ニッケルメッキ、(6)銅ストライク、(7)銀メッキの処理工程を有しており、各処理工程に付随して洗浄や使用薬剤の回収等の工程がある。
従来のメッキ工程は、(1)脱脂、(2)エッチング、(3)スマット除去、(4)ジンケート、(5)無電解ニッケルメッキ、(6)銅ストライク、(7)銀メッキの処理工程を有しており、各処理工程に付随して洗浄や使用薬剤の回収等の工程がある。
次に、各処理工程について、少し詳細に説明する。
(1)脱脂:水溶性脱脂液を用いて脱脂する。水溶性脱脂液としては、アルカリ性脱脂液を用いることが多い。溶剤脱脂もある。脱脂は被メッキ面の脂分を取り除くために行われる。脱脂処理の後には、用いた洗浄液を洗い流すために水洗する。
(1)脱脂:水溶性脱脂液を用いて脱脂する。水溶性脱脂液としては、アルカリ性脱脂液を用いることが多い。溶剤脱脂もある。脱脂は被メッキ面の脂分を取り除くために行われる。脱脂処理の後には、用いた洗浄液を洗い流すために水洗する。
(2)エッチング:エッチング液には、酸性、アルカリ性のエッチング液があり、アルミにはどちらも使用できる。酸性エッチング液には、強タイプ、弱タイプのものがあり、その主成分としては、硝酸+フッ化水素酸の水溶液や、硫酸+界面活性剤のエッチング液などがある。アルカリ性タイプのエッチング液には、水酸化ナトリウムを主成分としたエッチング液などがある。エッチングは、酸化膜の除去および、素材表面を化学的に凸凹に荒し、メッキ時の密着性を向上させるために行うものである。アルミニウム合金上に含まれるシリコン(Si)、銅(Cu)が5000系のアルミニウム合金よりも多い場合は、エッチング処理は抜かなければならない。エッチング処理の後には、使用した液を洗い流すために水洗を行う。
(3)スマット除去:酸洗浄、中和とも言う。一般的には、硝酸を希釈して使用するが、スマット除去剤として市販されてもいる。前工程のエッチング処理を行うと、アルミおよびアルミニウム合金上の表面に黒いすすのような酸化膜が発生する。その膜をスマットと呼び、これを除去しないとメッキ処理後のメッキ密着性,耐食性が低下するためにこの工程を入れる。エッチング工程を抜かなければならないアルミ合金も同様に水溶性脱脂液で脱脂した場合は、同じくスマットが発生する可能性があるので、この工程は必ず行ったほうがよい。スマット除去の後には、使用した液を洗い流すために水洗を行う。
(4)ジンケート:第1ジンケート、酸洗、第2ジンケートの各処理工程からなるダブルジンケート法と呼ばれる方法が一般的である。
第1ジンケートの工程では、イオン化傾向の力によって、アルミの上に亜鉛が付着する。酸洗の工程は、第1ジンケート処理で付着した亜鉛とアルミの酸化膜を落とし、酸化膜の少ないアルミ表面を作るために行う。そして、第2ジンケートの処理を行うが、2回ジンケートを行うことによって、アルミ表面に付着する亜鉛の粒子が1回のジンケートのときよりも細かくなり、アルミ表面に密に付着する。ジンケートは、無電解ニッケルメッキの接着剤代わりとして使用されている。
次の処理工程の無電解ニッケルメッキでは、亜鉛の上にニッケルメッキが付着する状態になるので、亜鉛がない箇所ができると、ニッケルメッキのピンホールが発生する。ピンホールが発生すると、そこから外部の水分や腐食生成物が浸入し、メッキの耐食性を低下させる原因となる。この工程は、アルミ上メッキの中でも最も重要な工程である。
第1ジンケートの工程と酸洗の工程の間には、使用した薬剤の回収と水洗が行われる。また、酸洗の工程と第2ジンケートの工程の間には、使用した液を洗い流すために水洗が行われる。そして、第2ジンケートの工程の後には、使用した薬剤の回収と、使用した液を洗い流すための水洗が行われる。
第1ジンケートの工程では、イオン化傾向の力によって、アルミの上に亜鉛が付着する。酸洗の工程は、第1ジンケート処理で付着した亜鉛とアルミの酸化膜を落とし、酸化膜の少ないアルミ表面を作るために行う。そして、第2ジンケートの処理を行うが、2回ジンケートを行うことによって、アルミ表面に付着する亜鉛の粒子が1回のジンケートのときよりも細かくなり、アルミ表面に密に付着する。ジンケートは、無電解ニッケルメッキの接着剤代わりとして使用されている。
次の処理工程の無電解ニッケルメッキでは、亜鉛の上にニッケルメッキが付着する状態になるので、亜鉛がない箇所ができると、ニッケルメッキのピンホールが発生する。ピンホールが発生すると、そこから外部の水分や腐食生成物が浸入し、メッキの耐食性を低下させる原因となる。この工程は、アルミ上メッキの中でも最も重要な工程である。
第1ジンケートの工程と酸洗の工程の間には、使用した薬剤の回収と水洗が行われる。また、酸洗の工程と第2ジンケートの工程の間には、使用した液を洗い流すために水洗が行われる。そして、第2ジンケートの工程の後には、使用した薬剤の回収と、使用した液を洗い流すための水洗が行われる。
(5)無電解ニッケルメッキ:メッキ液には、ニッケル−リン(Ni−P)、ニッケル−リン−ホウ素(Ni−P−B)、ニッケル−ホウ素(Ni−B)、等がある。また、ニッケル−リンのメッキ液には、高Pタイプ、中Pタイプ、低Pタイプがある。同種類のメッキ液でもめっき液の成分が異なる(還元剤、安定剤が違う)場合もあるため、基本的には、前工程のジンケート膜(亜鉛膜)と相性の合うメッキ液を採用するのが望ましい。相性の合う合わないは、耐食性や密着性に影響を及ぼすが、メッキはどのメーカのでも使用することができる。無電解ニッケルメッキの工程の後には、使用した液を洗い流すための水洗が行われる。
(6)銅ストライク:この処理は、無電解ニッケルメッキ上に密着性の良いメッキを付着させるために行う。銅ストライクメッキ液には、アルカリ性浴や酸性浴がある。銅ストライクの工程の後には、使用した薬剤の回収と、使用した液を洗い流すための水洗が行われる。
(7)銀メッキ:光沢銀メッキ、半光沢銀メッキ、無光沢銀メッキがある。銀メッキの工程の後には、使用した薬剤の回収と、使用した液を洗い流すための水洗が行われる。
このような処理工程を経たメッキの耐熱性は、例えばJISに試験方法が規定されている。アルミへの銀メッキについて、JIS H 8504の加熱試験方法では、
(a)室温状態の加熱炉内に試料を入れ、
(b)炉内の温度を250℃に上げ、250℃に達したなら、試料を直ちに取り出し、常温まで放冷する。
そして判定は、試験箇所を目視によって観察し、メッキの剥離または膨れが明らかなときは、密着不良とする。目視によって密着性の良否が判定し難いときは、試験箇所を4倍もしくは適宜な倍率の拡大鏡を用いて観察し、メッキの密着性の良否を判定する。
(a)室温状態の加熱炉内に試料を入れ、
(b)炉内の温度を250℃に上げ、250℃に達したなら、試料を直ちに取り出し、常温まで放冷する。
そして判定は、試験箇所を目視によって観察し、メッキの剥離または膨れが明らかなときは、密着不良とする。目視によって密着性の良否が判定し難いときは、試験箇所を4倍もしくは適宜な倍率の拡大鏡を用いて観察し、メッキの密着性の良否を判定する。
しかしながら、背景技術の欄で述べたように、空胴共振器の材質として、軽量化と価格の点から、アルミを使用した場合、Q値が35,000くらいまでしかとれなかった。しかし、例えば水素メーザの空胴共振器としては、実用的には40,000〜50,000以上のQ値が必要である。Q値を上げるためには、空胴共振器の内側表面に銀メッキを施せばよいのであるが、空胴共振器の製作過程において、例えば、約250°Cで長時間のベーキングを行う必要があった。
さらに、小型化(およびさらなる軽量化)を図るためには、前述の水素蓄積球の機能を空胴共振器に兼ねさせることが考えられるが、その場合、銀メッキの上にテフロンをコーティングする必要があり、その処理は空気中で約380°Cの温度で行われることとなる。
よって空胴共振器の内側表面に施された銀メッキは前述の高温に耐えなければならないが、従来のメッキ方法による銀メッキでは剥離してしまうことが分かった。
よって空胴共振器の内側表面に施された銀メッキは前述の高温に耐えなければならないが、従来のメッキ方法による銀メッキでは剥離してしまうことが分かった。
この発明の目的は、前述の問題点を解決し、耐熱性の有る銀メッキがその内面に形成された空胴共振器、および前記銀メッキ上にさらにテフロンコーティングが成された空胴共振器を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の空胴共振器は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の箱体である空胴共振器本体(2)を含み、前記空胴共振器本体の内面壁に銀メッキ(7)が形成された空胴共振器において、
前記銀メッキは、
前記内面壁の脱脂を行う段階(S1)と、
前記脱脂された前記内面壁にエッチング処理を行う段階(S2)と、
前記エッチング処理された前記内面壁のスマットを除去する段階(S3)と、
前記スマットが除去された前記内面壁にジンケート処理を行う段階(S4)と、
前記ジンケート処理された前記内面壁に無電解ニッケルメッキを行う段階(S5)と、
前記無電解ニッケルメッキされた前記内面壁に第1の銅ストライク処理を行う段階(S6)と、
前記第1の銅ストライク処理された前記内面壁に銅メッキ処理を行う段階(S7)と、
前記銅メッキ処理された前記内面壁に第2の銅ストライク処理を行う段階(S8)と、
前記第2の銅ストライク処理の後に前記内面壁に銀メッキ処理を行う段階(S9)とから形成されている。
前記銀メッキは、
前記内面壁の脱脂を行う段階(S1)と、
前記脱脂された前記内面壁にエッチング処理を行う段階(S2)と、
前記エッチング処理された前記内面壁のスマットを除去する段階(S3)と、
前記スマットが除去された前記内面壁にジンケート処理を行う段階(S4)と、
前記ジンケート処理された前記内面壁に無電解ニッケルメッキを行う段階(S5)と、
前記無電解ニッケルメッキされた前記内面壁に第1の銅ストライク処理を行う段階(S6)と、
前記第1の銅ストライク処理された前記内面壁に銅メッキ処理を行う段階(S7)と、
前記銅メッキ処理された前記内面壁に第2の銅ストライク処理を行う段階(S8)と、
前記第2の銅ストライク処理の後に前記内面壁に銀メッキ処理を行う段階(S9)とから形成されている。
また、本発明の請求項2の空胴共振器は、請求項1記載の空胴共振器において、前記銀メッキのメッキ厚が18μm以上となっている。
また、本発明の請求項3の空胴共振器は、請求項1乃至2記載の空胴共振器において、前記銀メッキの上面に、さらにテフロンコーティング(10)が成されている。
本発明の空胴共振器は、アルミ製の空胴共振器本体の内壁面に、「銅メッキ」,「銅ストライク」の工程を追加した工程で得られた銀メッキを備えている。従って、耐熱性に優れており、また高いQ値を得ることができる。
また、銀メッキの上面にさらにテフロンコーティングが施すことにより、水素蓄積球が不要で小型軽量である空胴共振器を得ることができる。
また、銀メッキの上面にさらにテフロンコーティングが施すことにより、水素蓄積球が不要で小型軽量である空胴共振器を得ることができる。
以下に実施例を示す。
本発明の実施例1の空胴共振器を図1に示す。
図1に示す空胴共振器1の構成は、共振器円筒2と、この共振器円筒2の上部と下部に、共振器円筒固定ビス3で固定された共振器上端板4と共振器下端板5が設けられている。共振器円筒2、共振器上端板4、共振器下端板5のいずれもアルミ(アルミニウムおよびアルミニウム合金をここではアルミと言う。)製であり、堅牢構造となっている。共振器上端板4には、共振周波数のシフト量を調整するための共振周波数粗調可動板6が取付けられている。そして、共振器円筒2、共振器上端板4、および共振器下端板5の内面壁に銀メッキ7が施されている。
図1に示す空胴共振器1の構成は、共振器円筒2と、この共振器円筒2の上部と下部に、共振器円筒固定ビス3で固定された共振器上端板4と共振器下端板5が設けられている。共振器円筒2、共振器上端板4、共振器下端板5のいずれもアルミ(アルミニウムおよびアルミニウム合金をここではアルミと言う。)製であり、堅牢構造となっている。共振器上端板4には、共振周波数のシフト量を調整するための共振周波数粗調可動板6が取付けられている。そして、共振器円筒2、共振器上端板4、および共振器下端板5の内面壁に銀メッキ7が施されている。
銀メッキ7の工程について、図2に基づいて説明する。
前述のように、従来のメッキ工程は、(1)脱脂、(2)エッチング、(3)スマット除去、(4)ジンケート、(5)無電解ニッケルメッキ、(6)銅ストライク、(7)銀メッキの処理工程を有しており、各処理工程に付随して洗浄や使用薬剤の回収等の工程がある。これに対して、本発明の空胴共振器の銀メッキ工程は、(6)銅ストライクと(7)銀メッキの処理工程との間に、「銅メッキ」、「第2の銅ストライク」の処理工程を加えている。
前述のように、従来のメッキ工程は、(1)脱脂、(2)エッチング、(3)スマット除去、(4)ジンケート、(5)無電解ニッケルメッキ、(6)銅ストライク、(7)銀メッキの処理工程を有しており、各処理工程に付随して洗浄や使用薬剤の回収等の工程がある。これに対して、本発明の空胴共振器の銀メッキ工程は、(6)銅ストライクと(7)銀メッキの処理工程との間に、「銅メッキ」、「第2の銅ストライク」の処理工程を加えている。
まず、従来のメッキ工程(1)〜(6)と同様に、脱脂(S1)、エッチング(S2)、スマット除去(S3)、ジンケート(S4)、無電解ニッケルメッキ(S5)、第1の銅ストライク(S6)を行う。処理の内容は、従来の技術とほぼ同一である。詳細説明は省略し、留意点のみ説明する。まず、エッチング(S2)、スマット除去(S3)、第1の銅ストライク(S6)について説明する。
エッチング(S2):本件では、エッチング処理後に行うジンケート処理と相性(密着性が良い)の良い硫酸+界面活性剤を主成分とするエッチング液を使用した。
スマット除去(S3):本件で使用したスマット除去液は、硝酸9%(5〜15%)であるが、これ以上濃い硝酸水溶液でも使用できる。
第1の銅ストライク(S6):今回アルカリ浴(シアン浴)を使用した理由は、めっきする製品形状が筒上であるため、筒内面の中央部と外面のめっき厚の差が大きくなる可能性があるため、めっき付きまわりの比較的良好と言われているシアン浴を選択した。
スマット除去(S3):本件で使用したスマット除去液は、硝酸9%(5〜15%)であるが、これ以上濃い硝酸水溶液でも使用できる。
第1の銅ストライク(S6):今回アルカリ浴(シアン浴)を使用した理由は、めっきする製品形状が筒上であるため、筒内面の中央部と外面のめっき厚の差が大きくなる可能性があるため、めっき付きまわりの比較的良好と言われているシアン浴を選択した。
次に、加えた工程である銅メッキ(S7)、第2の銅ストライク(S8)、および最終工程の銀メッキ(S9)について説明する。
銅メッキ(S7):例えば、水素メーザ用の空胴共振器では製造上の問題として、銀メッキの耐熱性が必要である。銅の厚さを増やすことで耐熱性が改善できることが判明したために、この工程を追加した。
第2の銅ストライク(S8):前工程の銅メッキの上に銀メッキをそのまま載せると、銀メッキと銅メッキの間の密着性が低下することから、この工程を加えた。銀メッキ前に銅メッキの酸化が発生した場合、銀の密着性が低下するので、銀メッキ前の銅の表面を活性化させる(綺麗な銅の表面を作る)のが目的である。
銅メッキ(S7):例えば、水素メーザ用の空胴共振器では製造上の問題として、銀メッキの耐熱性が必要である。銅の厚さを増やすことで耐熱性が改善できることが判明したために、この工程を追加した。
第2の銅ストライク(S8):前工程の銅メッキの上に銀メッキをそのまま載せると、銀メッキと銅メッキの間の密着性が低下することから、この工程を加えた。銀メッキ前に銅メッキの酸化が発生した場合、銀の密着性が低下するので、銀メッキ前の銅の表面を活性化させる(綺麗な銅の表面を作る)のが目的である。
銀メッキ(S9):光沢銀メッキした場合は、380℃(前述のテフロンコーティングに必要な温度)に熱すると、銀メッキ表面に黒い煤状のものが付着する。また、光沢剤が少ない半光沢銀メッキでメッキ処理したものに同試験を行うと黒い煤状のものは発生しないことが判明した。
試験結果から、この黒い煤状のものは、光沢剤が浮き出ているものと考えられるので、ここでのメッキ処理は、半光沢銀メッキで処理することとした。380℃という高温に上げなければ、光沢銀メッキでも問題ないと考えられる。
試験結果から、この黒い煤状のものは、光沢剤が浮き出ているものと考えられるので、ここでのメッキ処理は、半光沢銀メッキで処理することとした。380℃という高温に上げなければ、光沢銀メッキでも問題ないと考えられる。
さて、本工程にて空胴共振器1の内壁面に施された銀メッキ7は、380℃に熱してもメッキ表面に異常が認められない耐熱性と、60℃湿度90%の雰囲気中に168時間放置してもメッキ表面に異常が認められない耐食性とが確認できた。
また、本工程の処理による銀メッキ7をその共振器円筒2の内面のみに施し、共振器上端板4および共振器下端板5の内側表面はアルミ地のまま(つまり未処理)での空胴共振器において、42,000のQ値が得られた。
さらに、本工程の処理による銀メッキをその共振器円筒2、共振器上端板4および共振器下端板5の内面に施した空胴共振器において、Q値は56,000に達した。なお、このときの銀メッキの厚さは18μm以上である。
また、本工程の処理による銀メッキ7をその共振器円筒2の内面のみに施し、共振器上端板4および共振器下端板5の内側表面はアルミ地のまま(つまり未処理)での空胴共振器において、42,000のQ値が得られた。
さらに、本工程の処理による銀メッキをその共振器円筒2、共振器上端板4および共振器下端板5の内面に施した空胴共振器において、Q値は56,000に達した。なお、このときの銀メッキの厚さは18μm以上である。
本発明の実施例2の空胴共振器を図3に示す。
図3に示す空胴共振器8の構成は、共振器円筒2と、この共振器円筒2の上部と下部に、共振器円筒固定ビス3で固定された共振器上端板4と共振器下端板5が設けられている。共振器円筒2、共振器上端板4、共振器下端板5いずれもアルミ(アルミニウムおよびアルミニウム合金をここではアルミと言う。)製であり、堅牢構造となっている。そして、共振器円筒2の軸方向中央に石英ガラス製の隔壁9が設けられている。
図3に示す空胴共振器8の構成は、共振器円筒2と、この共振器円筒2の上部と下部に、共振器円筒固定ビス3で固定された共振器上端板4と共振器下端板5が設けられている。共振器円筒2、共振器上端板4、共振器下端板5いずれもアルミ(アルミニウムおよびアルミニウム合金をここではアルミと言う。)製であり、堅牢構造となっている。そして、共振器円筒2の軸方向中央に石英ガラス製の隔壁9が設けられている。
共振器円筒2、共振器上端板4、および共振器下端板5の内面壁には銀メッキ7が施され、さらにその銀メッキ7の上面にはテフロンコーティング10が施されている。また、石英ガラス製の隔壁9の表出面にもテフロンコーティング10が施されている。
さて、本実施例の空胴共振器8は、小型化のために、共振モードTE111でマイクロ波共振するような寸法で設計されている。そのため、前述したように共振器円筒2の軸方向中央に石英ガラス製の隔壁9が設けられている。隔壁9で隔てられた2つの室は水素蓄積球の役割も果たす。
前記2つの室にそれぞれ放出されたエネルギーの高い水素原子は、該2つの室を行き来することはできず、それぞれの室で磁性が一方向になり、メーザ発振を起こす。
本実施例の空胴共振器においても、高いQ値を得ることができる。
さて、本実施例の空胴共振器8は、小型化のために、共振モードTE111でマイクロ波共振するような寸法で設計されている。そのため、前述したように共振器円筒2の軸方向中央に石英ガラス製の隔壁9が設けられている。隔壁9で隔てられた2つの室は水素蓄積球の役割も果たす。
前記2つの室にそれぞれ放出されたエネルギーの高い水素原子は、該2つの室を行き来することはできず、それぞれの室で磁性が一方向になり、メーザ発振を起こす。
本実施例の空胴共振器においても、高いQ値を得ることができる。
なお、実施例1および実施例2においては、一般的な空胴共振器を例にして説明を行ったが、水素蓄積球が共振器円筒内に配置された水素メーザ用空胴共振器にも適用できることは言うまでもない。
1、8…空胴共振器、2…共振器円筒、3…固定ビス、4…共振器上端板、5…共振器下端板、6…共振周波数粗調可動板、7…銀メッキ、9…石英ガラス製隔壁、10…テフロンコーティング
Claims (3)
- アルミニウム又はアルミニウム合金製の箱体である空胴共振器本体(2)を含み、前記空胴共振器本体の内面壁に銀メッキ(7)が形成された空胴共振器において、
前記銀メッキは、
前記内面壁の脱脂を行う段階(S1)と、
前記脱脂された前記内面壁にエッチング処理を行う段階(S2)と、
前記エッチング処理された前記内面壁のスマットを除去する段階(S3)と、
前記スマットが除去された前記内面壁にジンケート処理を行う段階(S4)と、
前記ジンケート処理された前記内面壁に無電解ニッケルメッキを行う段階(S5)と、
前記無電解ニッケルメッキされた前記内面壁に第1の銅ストライク処理を行う段階(S6)と、
前記第1の銅ストライク処理された前記内面壁に銅メッキ処理を行う段階(S7)と、
前記銅メッキ処理された前記内面壁に第2の銅ストライク処理を行う段階(S8)と、
前記第2の銅ストライク処理の後に前記内面壁に銀メッキ処理を行う段階(S9)とから形成されることを特徴とする空胴共振器(1、8)。 - 前記銀メッキのメッキ厚は18μm以上であることを特徴とする請求項1記載の空胴共振器(1、8)。
- 前記銀メッキの上面に、さらにテフロンコーティング(10)が成されたことを特徴とする請求項1乃至2記載の空胴共振器(8)。
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KR100810971B1 (ko) | 2007-03-12 | 2008-03-10 | 주식회사 에이스테크놀로지 | 알에프 장비 제조 방법 및 그 방법에 의해 제조된 알에프장비 |
JP2010144198A (ja) * | 2008-12-17 | 2010-07-01 | Purotonikusu Kenkyusho:Kk | 銀薄膜の表面処理方法及びそれを用いた精密部品並びに電気電子デバイス |
KR101077011B1 (ko) | 2009-06-09 | 2011-10-26 | 서울대학교산학협력단 | 미세가공 공동 공진기와 그 제조 방법 및 이를 이용한 대역통과 필터와 발진기 |
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2003
- 2003-07-08 JP JP2003271748A patent/JP2005033048A/ja active Pending
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