JP2005032613A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料電池に供給される反応ガス量の低下を回避して、発電効率の低下や性能低下を防止することを課題とする。
【解決手段】 燃料電池1から排出されたオフガスに含まれる水分を抽出し、抽出した水分を反応ガスに与えて反応ガスを加湿する中空糸型加湿器2の中空糸膜21に折れが発生したか否かを制御ユニット10で推定し、中空糸型加湿器2の中空糸膜21に折れが発生したと推定された場合には、燃料電池1に供給される反応ガスの供給量を増量するように構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池のオフガスに含まれる水分を、燃料電池に供給される供給ガスに与えて加湿する中空糸型加湿器を備えた燃料電池システムに関する。
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す文献に記載されものが知られている(特許文献1参照)。この文献に記載された燃料電池には、燃料電池から排出された湿潤気体であるオフガス中の水分を回収し、回収した水分を乾燥気体であるスイープガスに供給して加湿する中空糸膜を用いた加湿器が用いられている。
複数のチューブ状で多孔質の中空糸膜を束ねて密集させた構造の加湿器では、中空糸膜の内側(または外側)に流れる燃料電池から排出された湿潤したオフガスから、中空糸膜の外側(または内側)に流れる燃料電池に供給される乾燥したスイープガスに水分が移動することで、燃料電池に供給されるガスが加湿されていた。
特開2001−216982号公報 特開2002−66263号公報
従来の燃料電池システムに備えられた、中空糸膜を用いた加湿器では、スイープガスが直接オフガスに流入するのを防止するために、スイープガスとオフガスとを仕切って遮断するためのポッティング部が、加湿器の両端に固定されて設けられていた。このようにポッティング部が設けられた加湿器の中空糸膜は、固定端であるポッティング部における応力集中や経時劣化によって折れるおそれがあった。
中空糸膜が折れると、スイープガスが燃料電池をバイパスしてオフガス側へ内部リークするという問題があった。スイープガスがオフガス側へ内部リークした場合には、燃料電池へのガス供給量が減少し、これにより燃料電池の発電効率の低下や性能低下が引き起こされるといった不具合を招くことになる。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃料電池に供給される反応ガス量の低下を回避して、発電効率の低下や性能低下を防止した燃料電池システムを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の課題を解決する手段は、燃料電池に反応ガスを供給するガス供給手段と、前記ガス供給手段により前記燃料電池に反応ガスを供給するガス供給路の少なくとも1つに設けられ、中空糸膜の水分透過性作用により前記燃料電池から排出されたオフガスに含まれる水分を抽出し、抽出した水分を前記反応ガスに与えて前記反応ガスを加湿する中空糸型加湿器とを有する燃料電池システムにおいて、前記中空糸型加湿器の中空糸膜に折れが発生したか否かを推定し、前記中空糸型加湿器の中空糸膜に折れが発生したと推定した場合には、前記燃料電池に供給される反応ガスの供給量を増量する制御手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、中空糸型加湿器の中空糸膜が折れ、中空糸型加湿器のスイープガス側からオフガス側へガスが漏れることで、燃料電池へ供給される反応ガスの流量が減少した場合でも、燃料電池に供給される反応ガスを増量して補うことができる。これにより、燃料電池に供給される反応ガスの供給量不足による発電効率の低下や性能低下を回避することができる。
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の実施例を説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係る燃料電池システムの構成を示す図である。図1に示す第1の実施例の燃料電池システムは、燃料電池の空気極側に加湿器を設けた実施例を示したものであり、燃料極側の構成は省略してあるが、燃料極側も以下に説明する第1の実施例、あるいは第2の実施例の空気極側と同様にして実施することができる。第1の実施例の燃料電池システムは、燃料電池1、中空糸型加湿器2、エアフローメータ3、コンプレッサ4、上流圧力センサ5、上流温度センサ6、下流圧力センサ7、下流温度センサ8、調圧弁9ならびに制御ユニット10を備えて構成されている。
燃料電池1は、加湿された燃料ガスならびに酸化剤ガスの反応ガスを受けて、反応ガスを反応させることで電気エネルギーを取り出して発電する。
中空糸型加湿器2は、中空糸膜を用いた加湿器であり、コンプレッサ4から酸化剤ガスとなる供給空気を受けて燃料電池1に供給し、燃料電池1から排出されたオフガスの排出空気を受けて調圧弁9に排出する。中空糸型加湿器2は、燃料電池1から排出されて湿潤したオフガスに含まれる水分を抽出し、抽出した水分をコンプレッサ4から与えられて乾燥した供給空気に与えて加湿し、加湿した供給空気を燃料電池1に供給する。中空糸型加湿器2は、例えば上記特許文献2に記載されて、図2に示すように構成されている。図2(a)は中空糸型加湿器2の斜視図、同図(b)は同図(a)の側断面図である。
図2において、中空糸型加湿器2は、ハウジング20に中空糸膜21が束ねられて束状の中空糸膜21が収納され、束状の中空糸膜21の一端側ならびに他端側はポッティングされてポッティング部22,23が形成されている。中空糸型加湿器2では、燃料電池1から排出されたオフガスが排出空気入口24から中空糸型加湿器2に流入して束状の中空糸膜21を通過し排出空気出口25から排出され、オフガスに含まれる水分が中空糸膜21を透過し、ハウジング20の一端側に形成された供給空気入口26から流入された供給空気に中空糸膜21を透過した水分が与えられ、湿潤した供給空気がハウジング20の他方端に形成された供給空気出口27から排出される。このようにして、燃料電池1から排出されたオフガスに含まれる水分が供給空気に与えられて湿潤した供給空気として燃料電池1に与えられる。
図1に戻って、エアフローメータ3は、外部からコンプレッサ4に与えられる空気の量を計測する。計測された空気量は、制御ユニット10に与えられる。
コンプレッサ4は、外部から与えられる空気を加圧して、中空糸型加湿器2に供給空気(スイープガス)として与える。コンプレッサ4は、中空糸型加湿器2に供給する空気の量を制御ユニット10よって制御されている。
上流圧力センサ5は、中空糸型加湿器2から排出されて燃料電池1に与えられる供給空気の圧力を計測する。計測された圧力は、制御ユニット10に与えられる。上流温度センサ6は、中空糸型加湿器2から排出されて燃料電池1に与えられる供給空気の温度を計測する。計測された温度は、制御ユニット10に与えられる。
下流圧力センサ7は、燃料電池1から排出されて中空糸型加湿器2に与えられるオフガスの圧力を計測する。計測された圧力は、制御ユニット10に与えられる。下流温度センサ8は、燃料電池1から排出されて中空糸型加湿器2に与えられるオフガスの温度を計測する。計測された温度は、制御ユニット10に与えられる。
調圧弁9は、中空糸型加湿器2から排出されたオフガスを減圧し、減圧したオフガスをシステム外に排気する。
制御ユニット10は、この燃料電池システムの動作処理を制御する制御中枢として機能し、上記燃料電池1、中空糸型加湿器2、エアフローメータ3、コンプレッサ4、上流圧力センサ5、上流温度センサ6、下流圧力センサ7、下流温度センサ8ならびに調圧弁9の動作を制御する。
制御ユニット10は、燃料電池1に供給される供給空気量と、燃料電池1を通過する供給空気量とを比較して、燃料電池1を通過する供給空気量が供給空気量を下回った場合には、中空糸型加湿器2の中空糸膜21に折れが発生したものと推定し、中空糸型加湿器2でスイープガス側からオフガス側に内部漏れが発生していると判断する。
ここで、一般的に、圧力損失と体積流量は相関関係があるため、予め実験的に、燃料電池1を通過する空気量と、燃料電池1の上流と下流の圧力差を求め、これらの相関関係を表すマップを作成する。制御ユニット10は、このマップを備えている。供給空気の圧力ならびに温度が変化した場合には、体積流量も変化するため、上記マップは燃料電池1の上流、下流の圧力、温度の平均値毎に作成し、制御ユニット10に備えられる。燃料電池システムにおける実際の運転において、制御ユニット10は、燃料電池1の上流圧力センサ5、下流圧力センサ7、上流温度センサ6ならびに下流温度センサ8で計測された、燃料電池1の供給空気の上下流圧力差、上、下流圧力ならびに上下流温度に基づいて、燃料電池1を通過する空気量を推定する。
制御ユニット10は、中空糸膜折れが発生したものと推定された場合には、燃料電池1が必要としている空気量と、燃料電池1を通過している空気量の差を求め、この差だけ燃料電池1に供給される供給空気量を増加させる。燃料電池1が必要としている空気量は、燃料電池1の発電負荷によって決まっているので、制御ユニット10は、燃料電池1の発電負荷に基づいて燃料電池1が必要としている空気量を求める。
制御ユニット10は、燃料電池1に供給される空気の増加分が、所定値Qcaution を超えた場合には、外部、例えばシステムの操作者やシステムが搭載された車両の運転者に報知して警告を発生する。ここで、所定値Qcaution はコンプレッサ4が供給できる空気量の最大値に設定される。
次に、この第1の実施例の動作を、図3に示す制御フローチャートを参照して説明する。
図3において、燃料電池システムへ与えられた空気は、コンプレッサ4により加圧されて中空糸型加湿器2のスイープガス側に供給され、中空糸型加湿器2の中空糸膜21を介して燃料電池1から排出されたオフガスから抽出された水分で湿潤される。湿潤された供給空気は、酸化剤ガスとして燃料電池1に供給されて燃料ガスと反応して発電が行われる。したがって、システムに供給された空気量と、燃料電池1を通過する空気量は一致する構成となっている。
しかし、中空糸型加湿器2で中空糸膜21の折れが発生して、中空糸型加湿器2のスイープガス側からオフガス側に供給空気の漏れが発生し、供給空気の全量が燃料電池1へと供給されないことがある。中空糸型加湿器2の内部にある中空糸膜21は、図2に示す固定端であるポッティング部22、23における応力集中や経時劣化などによって折れが発生しやすくなる。中空糸膜21に折れが発生すると、コンプレッサ4から中空糸型加湿器2へ供給された空気は、この折れが発生した箇所を通り、スイープガス側からオフガス側へと流れて燃料電池1をバイパスし、中空糸型加湿器2で内部漏れが生じる。これにより、燃料電池1へ供給される空気量が減少してしまう。
そこで、燃料電池1を通過する空気量が、エアフローメータ3で計測されたシステムに供給される空気量を下回ったか否かを制御ユニット10で判別する。これにより、制御ユニット10は、中空糸型加湿器2の中空糸膜21に折れが発生し、中空糸型加湿器2でスイープガス側からオフガス側への内部漏れが発生しているか否かを判断する(ステップS31)。
次に、判断結果において、中空糸膜21に折れが発生していると判断した場合には、燃料電池1に供給される空気量を増量する。すなわち、それまでシステムに供給されていた供給空気量Q1に所定量Δq(ガス補正量)を加えた供給空気量Q2(=Q1+Δq)を燃料電池1に供給する制御を実施する(ステップS32)。
燃料電池1が必要とする空気量は、燃料電池1の発電負荷に応じて決まるため、中空糸膜21が折れたと判別された場合には、燃料電池1の発電負荷に応じた必要空気量と燃料電池1を通過する空気量との差分だけ供給空気量を増加する。すなわち、上記所定量のΔqを燃料電池1の発電負荷に応じた必要空気量と燃料電池1を通過する空気量との差分とし、供給空気量Q2が中空糸型加湿器2に供給されるように、コンプレッサ4が制御ユニット10により制御される。
次に、上記ガス補正量Δqが所定値Qcaution を超えたか否かを判別する(ステップS33)。判別結果において、上記ガス補正量Δqが所定値Qcaution を超えた場合には、その旨システムの操作者やシステムを搭載した車両の運転者等に報知して警告を与え、中空糸型加湿器2の交換を促す(ステップS34)。
このように上記第1の実施例においては、中空糸型加湿器2の中空糸膜21が折れ、中空糸型加湿器2のスイープガス側からオフガス側に供給空気が内部漏れすることで、燃料電池1に供給される供給空気量が減少した場合には、供給空気量を増加して補うようにしているので、燃料電池1に供給される空気量は減ることはなく、空気不足による発電効率の低下や、性能低下を回避することができる。
また、システムの供給空気量と燃料電池1を通過する供給空気量とを比較することにより、中空糸膜21の折れが発生していることを推定するようにしているので、検知が困難な中空糸膜21の折れによる中空糸型加湿器2の内部漏れを容易に推定することができる。さらに、燃料電池1の通過空気量を、燃料電池1の上流ならびに下流の圧力と温度を用いて推定するようにしているので、高温湿潤状態の空気流量を直接計測する必要がなくなる。
また、燃料電池1が必要としている空気量と、燃料電池1を通過している空気量の差分だけ、システムの供給空気量を増加させるようにしているので、余分な空気量を増加させる必要がなく、コンプレッサ4の消費電力の増加を必要最小限に抑えることができる。さらに、ガス補正量が所定量を超えた場合にはその旨報知するようにしているので、供給能力以上のガス補正量が要求された場合には、燃料電池システムの操作者やシステムを搭載した車両の運転者等に警告を与えることができ、速やかな中空糸型加湿器2の交換を実施することができる。
次に、本発明の第2の実施例を説明する。
この第2の実施例の燃料電池システムでは、発電負荷に応じて運転圧力、必要空気量が決められていることを利用して、予め実験的に、エアフローメータ3で計測される供給空気量と、コンプレッサ4の回転数と、調圧弁9の開度との関係を求め、これらの関係を表したマップを作成し、作成したマップを制御ユニット10に備えるようにしている。
中空糸膜21の折れが発生した場合には、燃料電池1をバイパスして中空糸型加湿器2のスイープガス側からオフガス側に空気が内部漏れして流れるため、コンプレッサ4から調圧弁9までの圧力損失は小さくなる。このとき、燃料電池1の発電負荷に応じて決められた運転圧力を一定に保つように供給空気を制御するので、調圧弁9の開度は、上記作成したマップに示される開度の値よりも開き側になる。これにより、中空糸膜21の折れの発生を推定するようにしている。
このように、上記第2の実施例では、上記第1の実施例で得られる効果に加えて、エアフローメータ3で計測される供給空気量と、コンプレッサ4の回転数と、調圧弁9の開度と、燃料電池1の発電負荷とに基づいて、中空糸膜21の折れが発生していることを推定するようにしているので、検知が困難な中空糸膜21の折れによる中空糸型加湿器2の内部漏れを容易に推定することができる。
本発明の第1の実施例に係る燃料電池システムの構成を示す図である。 中空糸型加湿器2の構成を示す図である。 第1の実施例の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1…燃料電池
2…中空糸型加湿器
3…エアフローメータ
4…コンプレッサ
5…上流圧力センサ
6…上流温度センサ
7…下流圧力センサ
8…下流温度センサ
9…調圧弁
10…制御ユニット
20…ハウジング
21…中空糸膜
22,23…ポッティング部
24…排出空気入口
25…排出空気出口
26…供給空気入口
27…供給空気出口

Claims (6)

  1. 燃料電池に反応ガスを供給するガス供給手段と、
    前記ガス供給手段により前記燃料電池に反応ガスを供給するガス供給路の少なくとも1つに設けられ、中空糸膜の水分透過性作用により前記燃料電池から排出されたオフガスに含まれる水分を抽出し、抽出した水分を前記反応ガスに与えて前記反応ガスを加湿する中空糸型加湿器と
    を有する燃料電池システムにおいて、
    前記中空糸型加湿器の中空糸膜に折れが発生したか否かを推定し、前記中空糸型加湿器の中空糸膜に折れが発生したと推定した場合には、前記燃料電池に供給される反応ガスの供給量を増量する制御手段
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池を通過する前記反応ガスの流量が、前記ガス供給手段から供給される前記反応ガスの流量を下回った場合に、前記中空糸型加湿器の中空糸膜に折れが発生したと推定する
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記反応ガスの増量は、前記燃料電池の発電負荷に応じて前記燃料電池の発電に必要な反応ガス量と、前記燃料電池を通過する前記反応ガスの流量との差分に設定する
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池を通過する前記反応ガスの流量は、前記燃料電池に供給される上流側の前記反応ガスの圧力ならびに温度と、前記燃料電池から排出される下流側の前記反応ガスの圧力ならびに温度とに基づいて推定する
    ことを特徴とする請求項2又は3記載の燃料電池システム。
  5. 前記反応ガスの増量が所定値を超えた場合には、その旨報知する
    ことを特徴とする請求項1,2,3及び4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記ガス供給手段は、前記反応ガスを加圧して供給するコンプレッサと、
    前記反応ガスの圧力を調整する調圧弁とを備えて構成され、
    前記燃料電池に供給される前記反応ガスの流量と、前記コンプレッサの回転数と、前記調圧弁の開度と、前記燃料電池の発電負荷とに基づいて、前記中空糸型加湿器の中空糸膜に折れが発生したか否かを推定する
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
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