JP2005032594A - 耐食性金属板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 金メッキ部にピンホールが存在する可能性を低下させることができ、しかも、母材との密着性の高い金メッキ部を形成することができる耐食性金属板の製造方法を提供する。
【解決手段】 金属の母材10に対し、母材10を断面凹凸状にプレス加工するプレス成形工程と、母材10の表面に不働態層11を形成する不働態処理工程と、母材10の導電性の必要な部分について研削を行うことにより、不働態層11を剥離させる不働態層剥離工程と、母材10の不働態層11の剥離された部分を、少なくとも覆う状態に金メッキKを施す金メッキ工程と、母材10の金メッキKの施された部分を展延加工する展延処理工程と、を順に実施して耐食性金属板(セパレータ1)を形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、耐食性金属板の製造方法に関し、特に燃料電池のセパレータとして用いられるのに好適な耐食性金属板の製造方法に関するものである。
近年、燃料電池自動車の動力源などとして、クリーンでエネルギー効率の優れた燃料電池が注目されている。この燃料電池では、カソード側に酸素を含んだ空気を供給するとともにアノード側に水素を供給することで、これらの水素と酸素とを反応させて電気を発生させている。そして、このような燃料電池は、膜電極構造体(MEA)の両側に導電性のセパレータが積層された積層体を単セルとして、これを多数積層した構造のスタックとして構成される。
このような燃料電池に用いられるセパレータは、隣り合う単セルに相互に接触して単セル同士を電気的に接続するとともに反応ガスを分離する機能を具備する必要がある。このため、セパレータに用いられる材料としては、薄板化による軽量・コンパクト化・高強度化が可能である点で有利であるとされている金属系材料、例えば、ステンレス鋼やチタン合金等の高耐食性を備えた薄板の金属材料が広く利用されている。また、前記のように燃料電池は、単セルが多数積層されたスタックとして構成されるため、発電電圧の低下を防ぐ観点から他部材との接触抵抗がきわめて小さいことが求められる。そこで、セパレータの表面の接触部分に金メッキが施されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−228914号公報(段落0007、図2)
ところで、前記のような技術においては、セパレータの金メッキ部に形成されやすいピンホールの存在に留意する必要があるとともに、セパレータの母材と金メッキ部との密着性についても留意する必要がある。
セパレータの金メッキ部にピンホールが存在していると、この部分からさびが生じやすくなり、その結果、燃料電池としての環境が悪くなって性能が充分に発揮されなくなるおそれがあった。
このようなピンホールが形成されないようにするための封孔処理としては、金メッキ部を多層状にしてセパレータに肉厚に形成し、金メッキ部にピンホールが存在する可能性を低下させるという手法が挙げられる。しかし、燃料電池は、前記のように単セルが多層積層されたスタック状に構成されていることから、このような封孔処理を全てのセパレータに対して行うことは、高コストとなってしまう。
また、その他の封孔処理としては、有機系の材料でピンホールを埋めるということが考えられるが、この手法では、燃料電池内の環境に対応した耐食性を得にくいという問題があった。
一方、セパレータの金メッキ部は、通常の金メッキが施されることにより形成されている場合、母材との密着性がそれほど高いものとはならない。このため、燃料電池のセパレータのように断面凹凸状が連続した形状では、金メッキ部の密着性が損なわれやすく、剥離しやすいという問題があった。
そこで、本発明の課題は、金メッキ部にピンホールが存在する可能性を低下させることができ、しかも、母材との密着性の高い金メッキ部を形成することができる耐食性金属板の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決した本発明のうち請求項1に記載の発明は、金属の母材に対し、該母材を断面凹凸状にプレス加工するプレス成形工程と、前記母材の表面に不働態層を形成する不働態処理工程と、前記母材の導電性の必要な部分について研削を行うことにより、前記不働態層を剥離させる不働態層剥離工程と、前記母材の前記不働態層の剥離された部分を、少なくとも覆う状態に金メッキを施す金メッキ工程と、前記母材の前記金メッキの施された部分を展延加工する展延処理工程と、を順に実施して耐食性金属板を形成する構成とした。
請求項1に記載の発明によれば、プレス成形工程によって断面凹凸状にプレス加工された金属の母材の表面に、不働態処理工程により不働態層を形成することで、耐食性に優れた耐食性金属板が得られる。そして、不働態層剥離工程により、母材の導電性の必要な部分について研削を行うことにより、不働態層を剥離させることができる。例えば、導電性を確保したい部分が、母材の凸状部であれば、この凸状部を不働態層剥離工程において研削して不働態層を剥離することにより、母材表面を露出させることができる。
そして、金メッキ工程により、前記不働態層剥離工程によって不働態層の剥離された部分を少なくとも覆う状態に金メッキが施される。これにより、不働態層が剥離されて母材表面が露出された部分が金メッキで覆われるようになる。
その後、展延処理工程により、金メッキの施された部分が展延加工されることによって、母材に対して金メッキが延ばされた状態となるとともに、母材に対して金メッキが押圧された状態となる。
これにより、金メッキを施した段階で、金メッキの施された部分に仮にピンホールが形成されていたとしても、これが塞がれるようになり、したがって、ピンホールの存在する可能性の低い金メッキ部が得られるようになる。しかも、金メッキ部は、展延加工によって、母材に対して押圧された状態となるので、母材との密着性が高められるようになる。これにより、高耐食性でかつ非剥離性を備えた金メッキ部を有する金属板が得られるようになる。
なお、展延加工は、例えば、球形ビーズ状の粉末等のショットにより行うことができる。
また、請求項2に記載の発明は、金属の母材に対し、該母材の表面に不働態層を形成する不働態処理工程と、前記母材の導電性の必要な部分について、前記導電性の必要な部分全体を研削することなく、部分的に研削を行うことにより前記不働態層を部分的に剥離させる不働態層剥離工程と、前記母材の前記不働態層が部分的に剥離された部分を少なくとも覆う状態に金メッキを施す金メッキ工程と、前記母材の前記金メッキの施された部分を展延加工する展延処理工程と、前記母材を断面凹凸状にプレス加工するプレス成形工程と、を順に実施して耐食性金属板を形成する構成とした。
請求項2に記載の発明によれば、不働態処理工程により、金属の母材の表面に不働態層が形成される。これにより、耐食性に優れた金属板が得られる。そして、不働態層剥離工程により、母材の導電性の必要な部分が研削されて不働態層が剥離される。この場合、導電性の必要な部分全体が研削されるということはなく、部分的な研削が行われる。これにより、不働態層は部分的に剥離された状態となる。例えば、導電性を確保したい部分が、母材の凸状部であれば、この凸状部を不働態層剥離工程において部分的に研削して不働態層を部分的に剥離する。これにより、母材表面が部分的に露出されることとなる。
そして、金メッキ工程により、母材の不働態層が部分的に剥離された部分を少なくとも覆う状態に金メッキを施すことによって、不働態層が剥離されて母材表面が部分的に露出された部分が金メッキで覆われるようになる。
その後、展延処理工程により、金メッキの施された部分が展延加工されることによって、母材に対して金メッキが延ばされた状態で押圧されるようになる。
これにより、金メッキを施した段階で、金メッキの施された部分に仮にピンホールが形成されていたとしても、これが塞がれるようになり、したがって、ピンホールの存在する可能性の低い金メッキ部が得られるようになる。しかも、金メッキ部は、展延加工によって、母材との密着性が高められるようにされるので、その結果、高耐食性を備えた金属板が得られるようになる。
さらに、金メッキ部は、母材の導電性の必要な部分について、部分的に形成されているので、母材の導電性の必要な部分全体に金メッキ部が形成されたものに比べて、形成面積が小さくなり、その分、ピンホールの存在する可能性がさらに低いものとなる。また、形成面積が小さくなった分、コストを低減させることができる。
なお、展延加工は、例えば、球形ビーズ状の粉末等のショットにより行うことができる。
請求項3に記載の発明は、金属の母材に対し、該母材の表面に不働態処理を行うに先立ち、前記不働態処理を必要としない部分をマスクで覆うマスク処理工程と、前記マスクで覆われた前記母材の表面に不働態層を形成する不働態処理工程と、前記母材から前記マスクを剥離するマスク剥離工程と、前記母材の前記マスクが剥離された部分を少なくとも覆う状態に金メッキを施す金メッキ工程と、前記母材の前記金メッキの施された部分を展延加工する展延処理工程と、前記母材を断面凹凸状にプレス加工するプレス成形工程と、を順に実施して耐食性金属板を形成する構成とした。
請求項3に記載の発明によれば、マスク処理工程により、金属の母材に対する不働態処理を行うに先立ち、不働態処理を必要としない部分、すなわち、導電性の必要な部分がマスクで覆われるようになる。
そして、不働態処理工程により、マスクで覆われた母材の表面に不働態層が形成される。そして、マスク剥離工程により、母材からマスクが剥離されることにより、母材の導電性の必要な部分が自動的に露出されるようになる。したがって、母材の導電性の必要な部分を研削して形成する手間が必要とならない。例えば、導電性を確保したい部分が、母材の凸状部であれば、この凸状部がマスクで覆われるようにマスク処理を行うことにより、母材の凸状部が導電可能に露出されることとなる。
そして、金メッキ工程により、母材のマスクが剥離された部分を少なくとも覆う状態に金メッキを施すことによって、母材表面が露出された部分が金メッキで覆われるようになる。
その後、展延処理工程により、金メッキの施された部分が展延加工されることによって、母材に対して金メッキが延ばされた状態で押圧されるようになる。
これにより、金メッキを施した段階で、金メッキの施された部分に仮にピンホールが形成されていたとしても、これが塞がれるようになり、したがって、ピンホールの存在する可能性の低い金メッキ部が得られるようになる。しかも、金メッキ部は、展延加工によって、母材との密着性が高められるようにされるので、その結果、高耐食性を備えた金属板が得られるようになる。
さらに、母材の導電性の必要な部分は、マスクで覆うことにより形成されるので、所望のパターンのマスクを複数種用意しておくことにより、所望のパターンの金メッキ部が形成された金属板を容易に得ることができる。
なお、展延加工は、例えば、球形ビーズ状の粉末等のショットにより行うことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の発明において、前記金メッキは、断面凹凸状に形成された前記母材の、凸状部の頂部およびこの頂部の両側方の肩部分にわたって形成されることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、金メッキが、断面凹凸状に形成された母材の、凸状部の頂部およびこの頂部の両側方の肩部分にわたって形成されるので、導電性を有する部分(範囲)を大きくすることができる。これにより、例えば、被導電体に凸状部を接触させた状態で凸状部に歪みが生じ、凸状部の頂部が被導電体にうまく接触されないような事態が生じたとしても、この耐食性金属板によれば、凸状部の頂部の両側方の肩部分にわって金メッキが形成されているので、この肩部分で導電性を維持することが可能となり、したがって、確実性の高い接触を確保することができるようになる。
請求項1に記載の発明によれば、プレス成形工程によって断面凹凸状にプレス加工された金属の母材の表面に、不働態処理工程により不働態層を形成することで、耐食性に優れた金属板が得られる。そして、展延処理工程により、金メッキの施された部分が展延加工されることによって、母材に対して金メッキが延ばされた状態となるとともに、母材に対して金メッキが押圧された状態となる。
これにより、金メッキを施した段階で、金メッキの施された部分に仮にピンホールが形成されていたとしても、これが塞がれるようになり、したがって、ピンホールの存在する可能性の低い金メッキ部が得られるようになる。しかも、金メッキ部は、展延加工によって、母材に対して押圧された状態となるので、母材との密着性が高められるようになる。これにより、高耐食性でかつ非剥離性を備えた金メッキ部を有する耐食性金属板が得られるようになる。
請求項2に記載の発明によれば、不働態処理工程により、金属の母材の表面に不働態層が形成される。これにより、耐食性に優れた金属板が得られる。そして、不働態層剥離工程により、母材の導電性の必要な部分が研削されて不働態層が剥離され、金メッキ工程により、金メッキが部分的に施された後に、展延処理により金メッキの展延が行われるので、母材に対して金メッキが延ばされた状態となるとともに、母材に対して金メッキが押圧された状態となる。
これにより、金メッキを施した段階で、金メッキの施された部分に仮にピンホールが形成されていたとしても、これが塞がれるようになり、したがって、ピンホールの存在する可能性の低い金メッキ部が得られるようになる。しかも、金メッキ部は、展延加工によって、母材に対して押圧された状態となるので、母材との密着性が高められるようになる。これにより、高耐食性でかつ非剥離性を備えた金メッキ部を有する耐食性金属板が得られるようになる。
さらに、金メッキ部は、母材の導電性の必要な部分について、部分的に形成されているので、母材の導電性の必要な部分の全体に金メッキ部が形成されたものに比べて、形成面積が小さくなり、その分、ピンホールの存在する可能性がさらに低いものとなる。また、形成面積が小さくなり、コストを低減することができる。
請求項3に記載の発明によれば、導電性の必要な部分をマスクで覆っておいて、不働態層を形成した後に、マスクを剥離することにより、金メッキを施す部分を簡単に形成することができる。したがって、不働態層を研削する手間が必要とならない。
そして、展延処理工程により、金メッキの施された部分が展延加工されることによって、母材に対して金メッキが延ばされた状態で押圧されるようになる。
これにより、金メッキを施した段階で、金メッキの施された部分に仮にピンホールが形成されていたとしても、これが塞がれるようになり、したがって、ピンホールの存在する可能性の低い金メッキ部が得られるようになる。しかも、金メッキ部は、展延加工によって、母材との密着性が高められるようにされるので、その結果、高耐食性を備えた金属板が得られるようになる。
さらに、母材の導電性の必要な部分は、マスクで覆うことにより形成されるので、所望のパターンのマスクを複数種用意しておくことにより、所望のパターンの金メッキ部が形成された金属板を容易に得ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、金メッキが、断面凹凸状に形成された母材の、凸状部の頂部およびこの頂部の両側方の肩部分にわたって形成されるので、導電性を有する部分(範囲)を大きくすることができる。これにより、例えば、被導電体に凸状部を接触させた状態で凸状部に歪みが生じ、凸状部の頂部が被導電体にうまく接触されないような事態が生じたとしても、この耐食性金属板によれば、凸状部の頂部の両側方の肩部分にわって金メッキが形成されているので、この肩部分で導電性を維持することが可能となり、したがって、確実性の高い接触を確保することができるようになる。
金属板の母材としては、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、銅等を採用することができる。好ましくは、耐食性、加工性が良好なステンレス鋼を採用する。母材は、断面凹凸状にプレス加工されることにより、凸状部を備えたものとされるが、導電性を高める観点から凸状部は、頂部が平らに形成されていることが望ましい。母材の表面に形成される不働態層は、厚さ1〜10nmとされ、耐食性と研削性とを考慮して1.5〜3.5nmとされることが望ましい。母材の導電性の必要な部分について行う研削手法は、ショット系、グリッド系、カットワイヤー系、ビーズ系等のブラストを採用することができ、好ましくはビーズ系を採用する。母材に施す金メッキの厚さは、特に制限されることはないが、金使用量を減らして経済性を考慮した場合には、20〜100nm程度に形成されることが望ましい。母材の金メッキの施された部分の展延加工は、ショットブラスト等を採用することができる。
本発明の耐食性金属板の製造方法により製造される耐食性金属板は、主として固体高分子型燃料電池、その他、燐酸型、溶融炭酸塩型等の燃料電池のセパレータとして採用することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る耐食性金属板の製造方法について説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。なお、各実施例において、耐食性金属板を固体高分子電解質型燃料電池に用いられる燃料電池用セパレータとして採用した場合について説明する。
(第1実施例)
図1は、第1実施例に係る耐食性金属板の製造方法を説明するための耐食性金属板が用いられた燃料電池の要部を示す模式断面図である。
図1に示すように、耐食性金属板としてのセパレータ1は、母材となる薄板状のステンレス鋼を、断面凹凸状(断面波形状)にプレス加工することによって成形されており、この断面凹凸状にされることにより溝2,3を形成して、アノード電極4とカソード電極5との間(後記するMEAとMEAとの間)に反応ガスの流路2a,3aを形成するようになっている。ステンレス鋼としては、例えば、耐食性に強いオーステナイト系のSUS304やSUS316等を用いることができる。
セパレータ1は、表面に薄膜状の不働態層11が形成されており、耐食性が高められた構成となっている。なお、セパレータ1の母材としては、ステンレス鋼の他にアルミニウム系、チタン系、あるいは銅系の金属板を使用することができる。
セパレータ1の各凸状部7の頂部7aには、20〜100nm程度の厚さを有する金メッキ部8が形成されている。各金メッキ部8は、隣接するアノード電極4とカソード電極5とにそれぞれ密着した状態で当接され、前記流路2a,3aを形成している。
一方、固体高分子電解質膜9とこの固体高分子電解質膜9を挟んで配置されたアノード電極4およびカソード電極5とから、反応ガスである燃料ガスおよび酸化剤ガスの電気化学的反応により電気的出力を発生する膜電極構造体(MEA;Membrane Electrode Assembly)が構成され、さらにこのMEAを前記セパレータ1を介して挟み込むことにより形成された単セルが、複数個(200〜400)積層されることにより電池スタックが構成される。なお、アノード電極4およびカソード電極5は、カーボン等の多孔質体を支持体とし、白金等の金属を活性物質とする薄い触媒層が塗布された構成となっている。
前記セパレータ1は、以下に説明するプレス成形工程と、不働態処理工程と、不働態層剥離工程と、金メッキ工程と、展延処理工程とを順に実施することにより形成可能である。図2(a)〜(f)は、セパレータの製造方法を説明するための説明図である。なお、下記工程では、説明の便宜上、セパレータ1の片側について金メッキを施す場合について説明する。
1.プレス成形工程
プレス成形工程は、母材をプレス加工により断面凹凸状(断面波形状)に形成するための作業工程であり、図2(a)に示すように、母材10としては、所望の長さに切断された薄板状のステンレス鋼(SUS304)が用いられる(同図においては、一部を図示。以下同様)。
図2(b)に示すように、プレス加工後は、母材10が断面凹凸状に形成され、膨出された凸状部7を有したものとなる。この凸状部7は、頂部7aが平らに形成されており、図1に示すように、燃料電池にセパレータ1として組み込まれた際に、隣接するアノード電極4とカソード電極5とにそれぞれ交互に密着した状態で当接されるようになっている。なお、凸状部7の両肩部分7b,7bのアールは、緩やかな曲面となるように大きく形成されている。
2.不働態処理工程
不働態処理工程は、図2(c)に示すように、母材10の表面10aに不働態層11(不働態皮膜)を形成するために行う作業工程であり、不働態層11は、薄い酸化物皮膜によって生成され、その厚みは、1〜10nmとされている。本実施例では、耐食性と研削性とを考慮して不働態層11が1.5〜3.5nmとされている。
不働態層11の生成は、例えば、水酸化ナトリウム(pH9〜11)や硝酸等の溶液中に母材10を所定時間浸漬することにより行う。溶液として硝酸等を用いた場合には、濃度を30%程度にする。また、浸漬時間は、いずれの溶液を用いた場合にも、約10分とする。なお、硝酸の濃度は、浸漬時間を長くすることや処理温度を高くすることによって低くすることができる。さらに、不働態処理に先立って、母材10に電解研磨処理を行っておくことにより、より強固な不動態皮膜を生成することも可能である。
また、マスキングやフォトレジスト(感光性樹脂)を用いて、後記する金メッキKを施す部分に不働態層11が形成されないようにするという選択的な処理を行うことも可能である。
なお、その他の不働態処理法として、コーティング剤を用い、これを塗布した後に加熱により酸化皮膜を形成させる方法を用いることもできる。
3.不働態層剥離工程
不働態層剥離工程は、母材10の導電性の必要な部分について研削を行うことにより、前記不働態処理工程により形成された不働態層11を剥離するために行う作業工程である。不働態層11が剥離されると、その部分には、母材10の表面10aが露出される。本実施例では、図2(d)に示すように、母材10の凸状部7の平らな頂部7aに形成された不働態層11を研削により剥離している。
研削手法としては、例えば、研削ブラシを用いた研削処理やブラスト処理を採用することができる。ここで、ブラスト処理としては、サンドブラストをはじめ、ショット系、グリッド系、カットワイヤー系、ビーズ系等のブラストを採用することができる。なお、ブラスト処理においては、用いられるショット材のグレード、吐出量、ノズルの選定、吐出空気圧の高低などを調整することによりその威力を加減することができるので、母材10を傷めずに不働態層11を剥離することが可能である。
また、ビーズを吐出させるためのノズルは、母材10の一つの凸状部7の頂部7a全体を覆う大きさに形成されたものを用いている。この場合、ノズルの移動操作なしに、凸状部7の頂部7aの不働態層11の剥離が可能となる。なお、これよりも小さいノズルを用いた場合には、凸状部7の頂部7aに沿ってノズルを移動させることにより、頂部7aの不働態層11の剥離が可能となる。
4.金メッキ工程
金メッキ工程は、図2(e)に示すように、前記不働態層剥離工程によって、母材10の凸状部7の不働態層11の剥離された部分を、少なくとも覆う状態に金メッキKを施す作業工程である。使用される金としては、燃料電池の運転環境(高温,低pH)を考慮して基本的に純金が用いられる。本第1実施例では、金メッキKが、ニッケルメッキ等による下地メッキを施すことなく、一般的に行われている、脱脂処理、洗浄処理、表面活性化処理、洗浄処理(酸中和処理)、金メッキ処理、洗浄処理および乾燥処理を行うことにより形成される。
脱脂処理では、例えば、強アルカリ系脱脂剤が用いられて母材10の表面(不働態層11および頂部7a)に付着した油脂が除去される。洗浄処理では、脱脂された母材10の水洗が行われる。表面活性化処理では、無機混合酸と有機系インヒビタとが処理剤として用いられ、母材10の表面を活性化および平滑化する。洗浄処理では、母材10の水洗が行われる。また、必要に応じて、前記表面活性化処理で用いられた酸を中和する。
金メッキ処理では、母材10に対して電圧を印加したノズルから凸状部7にメッキ処理液を噴出し、凸状部7に金メッキ部8を形成する。メッキ処理液としては、例えば、シアン金カリウム溶液が用いられる。洗浄処理では、母材10の水洗が行われ、他の部分に付着したメッキ処理液を洗い流す。そして、最後に、乾燥処理では、温風等により水洗された母材10の乾燥が行われる。
以上で一連の金メッキ工程を終了する。
ここで、母材10に施す金メッキKの厚さは、特に制限されることはないが、金使用量を減らして経済性を考慮した場合には、20〜100nm程度に形成される。このように、金メッキKを薄く形成した場合には、ピンホールを生じる可能性があるため、全体的あるいは局部的(金メッキ部8)にピーニング処理、例えば、微粒子を用いたピーニングによる表面改質処理を施す。なお、このような微粒子を用いたピーニングに代えて、微小領域に対応することが可能なパルス状レーザーを用いたレーザーピーニングを施しても良い。さらに、ピーニング処理の一例として、金メッキKの表面をミクロで見た不安定要素のクリーニングを行い、次いで、その金メッキKの表面を緻密化するように処理するイエプコ処理を行っても良い。
5.展延処理工程
展延処理工程は、前記金メッキ工程により、母材10の金メッキKの施された部分を展延加工するために行う作業工程である。本第1実施例では、展延加工として、ショットブラストを採用しており、図2(f)にその時の様子を模式的に示すように、丸ビーズ状の粉末が4〜6気圧の圧縮空気で金メッキKの施された部分を含む母材10の全面に不図示のノズルにより吹き付けられる(同図においては、見易さを考慮して頂部7aに吹き付けられる様子を表した)。これにより、金メッキKが展延される。このショットブラストに用いられる丸ビーズ状の粉末は、その粒径が例えば1mm以下のものを用いている。なお、展延加工により、金メッキKは、凸状部7の両肩部分7b,7bに広がり、その端部が不働態層11に被さった状態で密着される。
丸ビーズ状の粉末は、アルミナ、ステンレス、ガラス、有機物(樹脂材)、セラミック(ジルコニア)、その他の金属を用いることができる。
以上説明した各工程を順に実施することにより、固体高分子型燃料電池のセパレータ1用の耐食性金属板が形成される。
本第1実施例によれば、プレス成形工程によって断面凹凸状にプレス加工された金属の母材10の表面に、不働態処理工程により不働態層11が形成されるので、耐食性に優れたセパレータ1とすることができる。そして、不働態層剥離工程により、母材10の導電性の必要な部分である凸状部7の頂部7aについて研削を行うことにより、この部分にある不働態層11を剥離させることができ、母材10の表面10aを露出させることができる。
そして、金メッキ工程により、不働態層11の剥離された部分を少なくとも覆う状態に金メッキKを施すことにより、凸状部7の頂部7aが金メッキKで覆われるようになる。
その後、展延処理工程により、金メッキKの施された部分が展延加工されることによって、金メッキKが延ばされた状態となるとともに、母材10に対して金メッキKが押圧された状態となる。
これにより、金メッキKを施した段階で、金メッキKに仮にピンホールが形成されていたとしても、これが塞がれるようになり、したがって、ピンホールの存在する可能性の低い金メッキ部8が得られるようになる。しかも、金メッキ部8は、展延加工によって、母材10に対して押圧された状態となるので、母材10との密着性が高められるようになる。これにより、高耐食性でかつ非剥離性を備えた金メッキ部8を有するセパレータ1が得られるようになる。
(第2実施例)
図3(a)〜(f)は、第2実施例に係る耐食性金属板としてのセパレータの製造方法を説明するための説明図である。
図3(f)に示すように、本第2実施例のセパレータ20は、金メッキKが凸状部7の頂部7aに部分的に形成されている点、また、製造工程については、プレス成形工程が最後の工程とされている点が前記第1実施例と異なる。
セパレータ20の凸状部7の頂部7aには、金メッキ部8が間隔を隔てて部分的に形成されており、また、頂部7aの両肩部分7b,7bにも金メッキ部8が施されている。
このようなセパレータ20は、以下に説明する不働態処理工程と、不働態層剥離工程と、金メッキ工程と、展延処理工程と、プレス成形工程と、を順に実施することにより形成可能である。なお、各工程で使用される部材や手法は、特に説明しない限り、第1実施例と同様である。また、母材10としては、図3(a)に示すように、所望の長さに切断された薄板状のステンレス鋼(同図においては、一部を図示。以下同様)が用いられる。
1.不働態処理工程
図3(b)に示すように、はじめに、不働態処理工程により、母材10の表面10aに不働態層11(不働態皮膜)を形成する。
2.不働態層剥離工程
不働態層剥離工程は、図3(c)に示すように、母材10の導電性の必要な部分Aについて部分的に研削を行うことにより、前記不働態処理工程により形成された不働態層11を部分的に剥離するために行う作業工程である。不働態層11を部分的に剥離する手法としては、例えば、前記第1実施例と同様の研削ブラシを用いた研削処理やブラスト処理を採用することができる。本第2実施例では、研削ブラシを用いた研削手法を採用しており、研削による略くさび形の切込み10bが、母材10内に至るようにしてある。
このような不働態層剥離工程により、頂部7aの不働態層11の部分的な剥離が可能となる。なお、不働態層11の除去間隔は、任意に設定可能である。
3.金メッキ工程
金メッキ工程は、図3(d)に示すように、前記不働態層剥離工程によって不働態層11の削られた切込み10b(図3(c)参照)を、少なくとも覆う状態に金メッキKを施す作業工程である。母材10の切込み10bに施す金メッキKの厚さは、特に制限されることはないが、経済性を考慮して、前記第1実施例と同様に、20〜100nm程度としても良い。
4.展延処理工程
展延処理工程は、図3(e)に示すように、前記金メッキ工程により、母材10の切込み10bに施された金メッキKを展延加工するために行う作業工程である。本第2実施例においても、展延加工法として、ショットブラストを採用しており、図3(e)にその時の様子を模式的に示すように、丸ビーズ状の粉末が4〜6気圧の圧縮空気で金メッキKの施された部分を含む母材10の全面に、不図示のノズルにより吹き付けられる(同図においては、見易さを考慮して頂部7aに吹き付けられる様子を表した)。これにより、金メッキKが、図3(e)の紙面上左右方向に展延される。なお、前記金メッキ工程において使用された金メッキKの量が比較的多く、さらに、切込み10bの間隔が狭くされているような場合には、このショットブラストによる展延加工により、導電性の必要な部分Aの全体にわたって金メッキKが展延されて金メッキ部8が形成されるようにすることもできる。なお、ショットブラストには、不働態層11への影響の少ないメディア、例えば、アルミナ、セラミック(ジルコニア)、ガラス、樹脂等が用いられる。
5.プレス成形工程
プレス成形工程は、金メッキKの展延加工が終了された母材10を、プレス加工により、図3(f)に示すように、断面凹凸状(断面波形状)に形成するための作業工程である。この場合、プレス加工によって膨出される凸状部7に、前記符号Aを付して示した母材10の導電性の必要な部分(図3(c)参照)が、位置するように形成される。この凸状部7は、頂部7aが平らに形成されており、また、凸状部7の両肩部分7b,7bのアールは、緩やかな曲面となるように大きく形成されている。なお、プレス成形を行うことにより凸状部7が膨出されるようになるが、このとき、金メッキ部8は、その展延性により凸状部7の膨出に追従してうまく展延されることとなる。したがって、プレス形成後も金メッキ部8の密着性や非剥離製が確保された状態となる。
以上説明した各工程を順に実施することにより、固体高分子型燃料電池のセパレータ20用の耐食性金属板が形成される。
本第2実施例によれば、金メッキ部8は、母材10の導電性の必要な部分Aについて、部分的に形成されているので、母材10の導電性の必要な部分Aの全体に金メッキ部8が形成されたものに比べて、形成面積が小さくなり、その分、ピンホールの存在する可能性がさらに低くなる。また、形成面積が小さくなるので、金の使用量も減少されるようになり、コストの低減を図ることができる。
(第3実施例)
図4(a)〜(g)は、第3実施例にかかる耐食性金属板としてのセパレータの製造方法を説明するための説明図である。
図4(g)に示すように、本第3実施例のセパレータ30は、金メッキKが凸状部7の頂部7aに部分的に形成されている点は前記第2実施例と同様であるが、製造工程において、マスク加工処理が用いられており、不働態層11を剥離するための研削加工等が必要とならない点が前記第1,第2実施例と異なる。
セパレータ30の凸状部7の頂部7aには、金メッキKが間隔を隔てて部分的に形成されており、また、頂部7aの両肩部分7b,7bにも金メッキKが施されている。
このようなセパレータ30は、以下に説明するマスク処理工程と、不働態処理工程と、マスク剥離工程と、金メッキ工程と、展延処理工程と、プレス成形工程と、を順に実施することにより形成可能である。なお、母材10としては、図4(a)に示すように、所望の長さに切断された薄板状のステンレス鋼が用いられる(同図においては、一部を図示。以下同様)。
1.マスク処理工程
図4(b)に示すように、はじめに、母材10の表面10aに不働態処理を行うに先立ち、不働態処理を必要としない部分(母材10の導電性の必要な部分A)をマスクMで覆う。マスクMとしては、一般的に用いられている樹脂マスク、フォトレジスト、カットシート、粘着テープ等を用いることができる。
2.不働態処理工程
図4(c)に示すように、母材10の表面10aに不働態層11(不働態皮膜)を形成する。これにより、マスクMで覆われた以外の部分に不働態層11が形成される。
3.マスク剥離工程
図4(d)に示すように、不働態層11の形成された母材10からマスクMを剥離する。これにより、マスクMで覆われていた部分の母材10の表面部分10cが露出する。したがって、前記第1,第2実施例で行っていたような研削手法を用いて不働態層11を剥離する必要がない。
4.金メッキ工程
金メッキ工程は、図4(e)に示すように、前記マスク剥離工程によって露出した母材10の表面部分10cを、少なくとも覆う状態に金メッキKを施す作業工程である。母材10の表面部分10cに施す金メッキKの厚さは、特に制限されることはないが、経済性を考慮して、前記第1,第2実施例と同様に、20〜100nm程度としても良い。
5.展延処理工程
図4(f)に示すように、前記金メッキ工程により、母材10の表面部分10cに施された金メッキKを展延加工する。本第3実施例においても、展延加工法として、ショットブラストを採用している。なお、展延加工は、金メッキKの施された部分を含む母材10の全面に、不図示のノズルにより吹き付けられる(同図においては、見易さを考慮して金メッキKの施された部分に吹き付けられる様子を表した)。
これにより、金メッキKが、図4(f)の紙面上左右方向に展延される。なお、前記金メッキ工程において使用された金メッキKの量が比較的多く、さらに、表面部分10cの隣り合う間隔が狭くされているような場合には、このショットブラストによる展延加工により、導電性の必要な部分A(図4(b)参照)の全体にわたって金メッキKが展延されて金メッキ部8が形成されるようにすることもできる。なお、ショットブラストには、不働態層11への影響の少ないメディア、例えば、アルミナ、セラミック(ジルコニア)、ガラス、樹脂等が用いられる。
6.プレス成形工程
最後に、金メッキKの展延加工の終了された母材10を、プレス加工によって、図4(g)に示すような断面凹凸状(断面波形状)に形成する。
この場合、プレス加工によって膨出される凸状部7に、前記符号Aを付して示した母材10の導電性の必要な部分が、位置するようにプレス加工が行われる。この凸状部7は、頂部7aが平らに形成されており、また、凸状部7の両肩部分7b,7bのアールは、緩やかな曲面となるように大きく形成されている。
以上説明した各工程を順に実施することにより、固体高分子型燃料電池のセパレータ30用の耐食性金属板が形成される。
本第3実施例によれば、前記第1,第2実施例で説明した作用効果に加えて、予めマスクMを用いて不働態処理を行った後に、母材10からマスクMを剥離するという簡単な作業を行うことにより、母材10の導電性の必要な部分が自動的に露出されるようになるので、前記第1,第2実施例のように、母材10の導電性の必要な部分を研削して形成する手間が必要とならない。
さらに、母材10の導電性の必要な部分は、マスクMで覆うことにより形成されるので、所望のパターンのマスクMを複数種用意しておくことにより、所望のパターンの金メッキ部8が形成されたセパレータ30を容易に得ることができる。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、発明の要旨に応じた適宜の変更実施が可能であることはいうまでもない。例えば、金メッキ部8は、母材の全体に形成しても良く、また、特定の凸状部7にのみ形成されるようにしても良い。さらに、金メッキ部8は、母材10の一側面側にのみ形成されるようにしても良く、また、凸状部7以外の部分に形成されるようにしても良い。また、このような耐食性金属板は、燃料電池のセパレータとして用いられるものに限られず、例えば、導電性を要求される分野、すなわち家電機器、OA機器、自動車用等の分野において広く使用することができる。
第1実施例に係る耐食性金属板の製造方法を説明するための耐食性金属板が用いられた燃料電池の要部を示す模式断面図である。 (a)〜(f)は、耐食性金属板としてのセパレータの製造方法を説明するための説明図である。 (a)〜(f)は、第2実施例に係る耐食性金属板としてのセパレータの製造方法を説明するための説明図である。 (a)〜(g)は、第3実施例に係る耐食性金属板としてのセパレータの製造方法を説明するための説明図である。
符号の説明
1 セパレータ
2,3 溝
4 アノード電極
5 カソード電極
7 凸状部
7a 頂部
7b 両肩部分
8 金メッキ部
9 固体高分子電解質膜
10 母材
10a 表面
10c 表面部分
11 不働態層
20 セパレータ
30 セパレータ
A 導電性の必要な部分
K 金メッキ

Claims (4)

  1. 金属の母材に対し、該母材を断面凹凸状にプレス加工するプレス成形工程と、
    前記母材の表面に不働態層を形成する不働態処理工程と、
    前記母材の導電性の必要な部分について研削を行うことにより、前記不働態層を剥離させる不働態層剥離工程と、
    前記母材の前記不働態層の剥離された部分を、少なくとも覆う状態に金メッキを施す金メッキ工程と、
    前記母材の前記金メッキの施された部分を展延加工する展延処理工程と、
    を順に実施して耐食性金属板を形成する耐食性金属板の製造方法。
  2. 金属の母材に対し、該母材の表面に不働態層を形成する不働態処理工程と、
    前記母材の導電性の必要な部分について、前記導電性の必要な部分全体を研削することなく、部分的に研削を行うことにより、前記不働態層を部分的に剥離させる不働態層剥離工程と、
    前記母材の前記不働態層が部分的に剥離された部分を少なくとも覆う状態に金メッキを施す金メッキ工程と、
    前記母材の前記金メッキの施された部分を展延加工する展延処理工程と、
    前記母材を断面凹凸状にプレス加工するプレス成形工程と、
    を順に実施して耐食性金属板を形成する耐食性金属板の製造方法。
  3. 金属の母材に対し、該母材の表面に不働態処理を行うに先立ち、前記不働態処理を必要としない部分をマスクで覆うマスク処理工程と、
    前記マスクで覆われた前記母材の表面に不働態層を形成する不働態処理工程と、
    前記母材から前記マスクを剥離するマスク剥離工程と、
    前記母材の前記マスクが剥離された部分を少なくとも覆う状態に金メッキを施す金メッキ工程と、
    前記母材の前記金メッキの施された部分を展延加工する展延処理工程と、
    前記母材を断面凹凸状にプレス加工するプレス成形工程と、
    を順に実施して耐食性金属板を形成する耐食性金属板の製造方法。
  4. 前記金メッキは、断面凹凸状に形成された前記母材の、凸状部の頂部およびこの頂部の両側方の肩部分にわたって形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の耐食性金属板の製造方法。
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