JP2005031358A - 光ファイバグレーティングの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、所望の透過特性及び反射特性を有する光ファイバグレーティングを安価に作製でき、特に、偏波依存性の低い光ファイバグレーティングを作製できる光ファイバグレーティングの製造方法を提供することにある。
【解決手段】特定波長の光2を光ファイバ3の円周方向について均等に、かつ、長手方向について連続的に変化する照射量として照射して連続的な屈折率勾配を形成する第1の工程と、周期的な間隔で照射量が変化する光2を照射してグレーティング部を形成する第2の工程とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】特定波長の光2を光ファイバ3の円周方向について均等に、かつ、長手方向について連続的に変化する照射量として照射して連続的な屈折率勾配を形成する第1の工程と、周期的な間隔で照射量が変化する光2を照射してグレーティング部を形成する第2の工程とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野や光ファイバセンサなどに用いられる光ファイバグレーティングの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信分野や光ファイバセンサなどに用いられる光ファイバグレーティングは、水素浸漬処理を行った光ファイバに対し、干渉露光法、位相マスク法、強度マスク法、ステップバイステップ法などの方法を用いて、この光ファイバの側面より、光ファイバの長さ方向に沿って所定の周期的な間隔で紫外光を照射することによって作製されている。
【0003】
光ファイバに紫外光を照射すると、ゲルマニウムを添加した石英ガラスのうち、露光された部分の屈折率が上昇する。そのため、光ファイバの長さ方向に沿って所定の周期的な間隔で紫外光を照射することで、この光ファイバの長さ方向に沿って所定の周期的な間隔で屈折率が変化されたグレーティング部が形成される。
【0004】
このようにして作製される光ファイバグレーティングは、形成する屈折率変化位置の周期的間隔により、大きく二つに分けられる。一つは長周期ファイバグレーティングと呼ばれるもので、光ファイバ中を導波してきた導波モードを同方向に伝搬するクラッドモードに結合させるデバイスである。もう一つは、短周期ファイバグレーティング(ファイバブラッググレーティング)と呼ばれるもので、導波モードを逆方向に進行する導波モードに結合させるデバイスである。
【0005】
マスク法によって光ファイバグレーティングを作製する場合、長周期ファイバグレーティングを作製する場合には、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、強度マスクを用い、短周期ファイバグレーティングを作製する場合には、位相マスクを用いる。作製されたファイバグレーティングにおける屈折率変化の周期は、使用するマスクの周期によって決定される。したがって、屈折率変化が所望の周期を有するファイバグレーティングを作製するためには、これに対応した周期変化を有するマスクを用意する必要がある。また、屈折率変化の周期が線形に変化するチャープトファイバグレーティングを作製するには、周期が線形に変化するマスク(以下、チャープマスクという。)を用いる必要がある。
【0006】
ところが、特に、短周期ファイバグレーティングの作製に用いられる位相マスクは高価であるため、数多くの位相マスクを用意するには、多額の費用が必要であり、光ファイバグレーティングの製造が困難となっている。また、チャープマスクや、周期の変化率(以下、チャープ率という。)が一定ではない特殊な周期をもつマスクは、一定周期のマスク(以下、ユニフォームマスクという。)に比べて、マスクとしての精度が悪い。
【0007】
したがって、ユニフォームマスクを用いて短周期のチャープトファイバグレーティングを作製することができれば、コスト面で優れているのみならず、作製した光ファイバグレーティングの特性向上を実現することができる。このような光ファイバグレーティングとしては、特許文献3に、屈折率変化を生じさせる波長の光を光ファイバの一部に照射して光ファイバの長手方向に屈折率勾配を形成した後に、ユニフォームマスクを用いてグレーティング部を作製した光ファイバグレーティングが記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−228856公報
【0009】
【特許文献2】
特開2003−139974公報
【0010】
【特許文献3】
特開平9−311238号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、予め光ファイバに屈折率勾配を形成した後に、ユニフォームマスクを用いてグレーティング部を作製し、チャープトファイバグレーティングを作製する場合には、この光ファイバに対し、非常に大きな量の屈折率変化を生じさせる必要がある。
【0012】
具体的には、数十nmの波長帯域幅をもつ光ファイバグレーティングを作製するためには、予め与える光ファイバにおける屈折率勾配による両端での実効屈折率の差は、10−2のオーダである必要がある。また、数nmの波長帯域幅をもつ光ファイバグレーティングを作製する場合でも、光ファイバにおける屈折率勾配による両端での実効屈折率の差は、10−3のオーダである必要がある。これは、チャープマスクを用いて作製される従来の光ファイバグレーティングにおける屈折率変化量に比して、1桁乃至2桁は大きい値である。
【0013】
そのため、ユニフォームマスクを用いてチャープトファイバグレーティングを作製した場合、屈折率変化に不均一性が生じてしまい、透過特性について、大きな偏波依存性(以下、PDL(Polarization Dependent Loss)という。)が生じてしまうという問題がある。
【0014】
図8は、ユニフォームマスクを用いて作製したチャープトファイバグレーティングにおける各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)の測定結果を示すグラフである。
【0015】
ここで作製した光ファイバグレーティングは、ユニフォームマスクを用いて露光を行った後に、光ファイバの長手方向の位置と屈折率変化量の関係が線形になるように、紫外光の照射量を光ファイバの長手方向について変えながら、ファイバグレーティング全体に紫外光を照射して作製したものである。短波長側が1.0nm、長波長側が3.0nm波長が変化することにより、波長帯域幅が2.0nmになるように条件出しを行ったものである。
【0016】
図8に示す測定結果から、2.5nmを越える程度の比較的小さな波長変化量においても、大きな偏波依存性が生じてしまっていることがわかる。また、このグラフより、透過特性自体も崩れてしまっていることがわかる。つまり、2.5nmを越えるような帯域幅をもつチャープトファイバグレーティングをユニフォームマスクを用いて作製した場合には、大きな偏波依存性をもってしまうのみならず、透過特性自体も崩れてしまうということがわかる。
【0017】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、その目的としては、所望の透過特性及び反射特性を有する光ファイバグレーティングを安価に作製することができ、特に、偏波依存性の低い光ファイバグレーティングを作製することができる光ファイバグレーティングの製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、前記目的を達成するため、石英系材料からなり特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位を備えた光ファイバの当該部位に対し前記光ファイバの側面より、前記特定波長の光をこの光ファイバの円周方向について均等な照射量であるとともに前記光ファイバの長手方向について連続的に変化する照射量として照射することにより前記光ファイバの長手方向について連続的に屈折率勾配を形成する第1の工程と、前記光ファイバの特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位に対して該光ファイバの長手方向について周期的な間隔で照射量が変化する光を照射してグレーティング部を形成する第2の工程とを有することを要旨とする。
【0019】
請求項2記載の発明は、前記目的を達成するため、前記第1の工程において、前記光ファイバ及びこの光ファイバに照射される光の一方または両方を該光ファイバの軸に沿って回転させることを要旨とする。
【0020】
請求項3記載の発明は、前記目的を達成するため、前記第1の工程を実行した後に前記第2の工程を実行することを要旨とする。
【0021】
請求項4記載の発明は、前記目的を達成するため、前記第2の工程を実行した後に前記第1の工程を実行することを要旨とする。
【0022】
請求項5記載の発明は、前記目的を達成するため、前記光ファイバに水素又は重水素を拡散させることにより特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位を形成することを要旨とする。
【0023】
請求項6記載の発明は、前記目的を達成するため、前記第1の工程において、前記光ファイバに前記特定波長の光を照射するための光源としてエキシマランプを使用することを要旨とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
光ファイバの屈折率を変化させるには、この光ファイバとして石英系材料からなるものを用い、この光ファイバに対し、紫外光領域で単色発光する光源から発光された紫外光を照射する。紫外光の照射により、光感受性をもつ領域の屈折率が変化するので、その特性を光ファイバの屈折率を変化させることができるのである。
【0026】
以下の実施の形態においては、中心周期1071.0nmのユニフォームマスクを用いて、光ファイバの長さ100mmの範囲に対して露光を行った場合について説明する。まず、このユニフォームマスクを用いて、第2の工程である「マスク露光工程」として露光を行い、その後、光ファイバを軸回りに連続的に回転させながら、光ファイバの長手方向の位置と屈折率変化量との関係が線形となる屈折率勾配が形成されるように、第1の工程である「DC露光工程」として紫外光を照射した。
【0027】
図1は、本発明において、光ファイバへの紫外光の照射を行う照射装置の構成を示す側面図である。
【0028】
この実施の形態においては、図1に示すように、集光レンズ1を用いて光束径を絞った紫外光2を光ファイバ3に照射する。紫外光2は、図示しない光源から発せられる。
【0029】
なお、紫外光領域で単色発光する光源としては、エキシマランプを使用することができる。エキシマとは、基底状態では安定で分子を作らない閉核原子または分子が励起されることにより、他の基底状態の原子または分子と強い結合力を示し分子化したもののことである。このエキシマ状態から基底状態に遷移する際に、そのエネルギー差に相当する光が発せられる。この光をランプとして発光するものがエキシマランプである。使用するガスの種類を変更することにより、様々な波長で発光するエキシマランプを作製することができる。このエキシマランプが発する光は、非干渉性光(インコヒーレント光)である。
【0030】
これらエキシマランプのなかでも、キセノン(Xe)を用い波長172nmで発光するものや、塩化クリプトン(KrCl)を用い波長222nmで発光するものなどは、すでに広く実用化され、液晶用パネルなどの洗浄用に利用されており、特性の安定したランプを安価に入手することが容易である。
【0031】
エキシマランプは、単色発光、すなわち、発光波長帯域が数nmから数十nmと細いスペクトル線幅での発光をするため、光エネルギーが熱エネルギーなどに変化することが抑えられ、効率よく光ファイバの屈折率変化を生じさせることができる。なお、エネルギー効率を良好とするためには、紫外光領域において単色発光するエキシマランプを使用することが望ましい。
【0032】
エキシマランプからの光エネルギーを効率よく光ファイバの屈折率変化に結びつけるためには、光ファイバにおいて、エキシマランプからの光の波長帯域における吸収を大きくするための増感物質が添加されている必要がある。石英系材料からなる光ファイバに添加されてこの光ファイバの光感受性を増大させる増感物質としては、例えば、ゲルマニュウム(Ge)、リン(P)、ボロン(B)などが挙げられる。また、紫外光帯域における光感受性を大きくするためには、石英系材料からなる光ファイバ中に水素または重水素を拡散する方法も有効である。エキシマランプにより紫外光を照射する場合においても、光ファイバ中に水素または重水素を拡散させてから行った方が、短時間でより大きな屈折率変化が得られる。
【0033】
この照射装置において、光源からの紫外光2は、ミラー8に反射され、絞り9を介して、集光レンズ1に入射される。また、この照射装置において、光ファイバ3は、紫外光2が照射される位置の両端側において一対の保持部4,5によって保持される。
【0034】
ミラー8は、図1中矢印Sで示すように、光ファイバ3の長手方向に移動操作されることにより、紫外光2を、光ファイバ3の長手方向に走査(スキャン)することができる。このとき、絞り9及び集光レンズ1は、ミラー8と一体となって移動する。
【0035】
また、保持部4,5は、保持した光ファイバ3を、図1中矢印Rで示すように、軸回りに所定の速度で回転操作することができる。なお、保持部4,5は、光ファイバ3を長手方向に所定の速度で移動操作することができるように構成してもよい。この場合には、ミラー8及び絞り9を移動操作する必要はない。
【0036】
これら保持部4,5、ミラー8及び絞り9は、制御部7によって制御されて移動操作される。
【0037】
「マスク露光工程」においては、ミラー8を移動操作して、紫外光2を所定の速度でファイバ3の長手方向にスキャンさせることで、光ファイバ3に、ユニフォームマスク6に対応した周期的な間隔の屈折率変化量を生じさせる。
【0038】
図2は、本発明の説明において使用する屈折率変化の定義を示すグラフである。
【0039】
以下の説明においては、図2に示すように、AC成分(△n(AC))とは、光ファイバグレーティングにおけるグレーティング部の変調成分(ユニフォームマスク6に対応した周期的な間隔の屈折率変化)の半分、平均(△n(平均))とは、AC成分の半分までの変化量、DC成分(△n(DC))とは、変調成分の下限を示している。
【0040】
図3は、本発明における「DC露光工程」での光ファイバの長手方向の位置と紫外光の走査速度との関係を示すグラフである。
【0041】
そして、「DC露光工程」においては、ユニフォームマスク6を外し、ミラー8を移動操作して、紫外光2を所定の速度で光ファイバ3の長手方向にスキャンさせる。紫外光2が光ファイバ3に対してスキャンする速度は、図3に示すように、この光ファイバ3において紫外光が照射されている長手方向の位置に応じて変化される。すなわち、紫外光2の照射量は、光ファイバ3における長手方向に沿って変化することとなる。このように、光ファイバ3の長手方向の位置に応じて、紫外光2がスキャンする速度を異ならせることにより、光ファイバ3の長手方向の位置と屈折率のDC成分(△n(DC))の変化量との関係が線形の屈折率勾配になるように制御する。
【0042】
図4は、本発明における「DC露光工程」が完了したときの光ファイバの長手方向の位置と屈折率のDC成分(△n(DC))との関係を示すグラフである。
【0043】
この「DC露光工程」が完了したときの光ファイバ3における屈折率のDC成分)は、図4に示すように、光ファイバ3の長手方向の位置に対して、線形に変化する屈折率勾配を形成している。
【0044】
このように、紫外光の照射量を光ファイバ3における長手方向に沿って変化させることで、屈折率のDC成分(△n(DC))が長手方向について連続的に変化した光ファイバ3を作製することができる。このように光ファイバ3の屈折率を変化させるのに好適な紫外光の波長は、添加する増感物質にも依るが、280nm以下である。波長が280nm以上の光を照射しても、光感受性が非常に小さいので、所望の屈折率変化を得ることは困難である。一方、波長が150nm以下の光を照射した場合には、増感物質を添加していない純粋な石英での吸収が非常に大きく、照射光が光ファイバを透過しない。したがって、照射する紫外光の波長は、150nm以上である必要がある。したがって、屈折率を変化させるために用いるエキシマランプとしては、例えば、発光波長が150nm乃至280nmの範囲であるものを使用することができる。
【0045】
そして、前述したように、発光波長が222nm及び172nmのエキシマランプは、液晶用パネルなどの洗浄用に利用されているため、特性の安定したランプを容易に入手することができる。特に、発光波長が172nmのエキシマランプを用いることで、発光波長が222nmのエキシマランプを用いる場合に比較して、効率よく光ファイバの屈折率を変化させることができるため、発光波長が172nmのエキシマランプを使用することが望ましい。
【0046】
この実施の形態においては、短波長側で+1.0nm、長波長側で+3.0nm波長が変化するように、すなわち、波長帯域幅が2.0nmになるように、条件出しを行っている。これは、光ファイバ3の屈折率の変化量として示すと、短波長側が9.3×10−4、長波長側が2.8×10−3であり、光ファイバグレーティングの両側での変調成分以外の屈折率変化量の差は、1.9×10−3である。
【0047】
図5は、本発明により作製した光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布を示す断面図である。
【0048】
前述のようにして本発明により作製された光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布をRNF法(Refracted Near Field Pattern法)で測定すると、図5に示すように、ほぼ同心円状の分布をしており、光ファイバ3の円周方向について屈折率が均等に上昇していることがわかる。これは、「DC露光工程」において、光ファイバ3を軸回りに回転させたための効果と考えられる。
【0049】
図6は、本発明を適用せずに作製した比較例における光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布を示す断面図である。
【0050】
「DC露光工程」において、光ファイバ3を軸回りに回転させずに、他の条件は前述した実施の形態と同様とした比較例においては、図6に示すように、光ファイバ3の片側のみの屈折率が高くなっており、屈折率が光ファイバ3の円周方向について不均一に上昇していることが確認できる。
【0051】
図7は、本発明により作製した光ファイバグレーティングにおける各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)の測定結果を示すグラフである。
【0052】
本発明により作製した光ファイバグレーティングにおいては、図7に示すように、各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)が、前記図8に示した従来の光ファイバグレーティングにおける偏波依存性に比較して、大幅に低減されていることがわかる。
【0053】
なお、本発明においては、「DC露光工程」を先に実行し、その後に、「マスク露光工程」を実行してもよい。
【0054】
また、本発明の「DC露光工程」において、紫外光の照射量を光ファイバ3の長手方向に沿って変化させるには、前述した実施の形態のように、光ファイバ3の長手方向に所定の速度で紫外光をスキャンさせる方法に限定されず、光ファイバ3において露光を行う範囲の全範囲に亘って一様に同時に紫外光を照射しておき、この光ファイバ3と紫外光の光源側との間において遮光マスクを所定の速度で光ファイバ3の長手方向に移動操作する方法や、この光ファイバ3と紫外光の光源側との間に光ファイバ3の長手方向に透過率が連続的に変化された減光フィルタを設置する方法などを使用することもできる。
【0055】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、特定波長の光を光ファイバの円周方向について均等に、かつ、長手方向について連続的に変化する照射量として照射して連続的な屈折率勾配を形成する第1の工程と、周期的な間隔で照射量が変化する光を照射してグレーティング部を形成する第2の工程とを有するので、所望の透過特性及び反射特性を有する光ファイバグレーティングを安価に作製することができ、特に、偏波依存性の低い光ファイバグレーティングを作製することができる。
【0056】
請求項2記載の本発明によれば、前記第1の工程において、前記光ファイバ及びこの光ファイバに照射される光の一方または両方を該光ファイバの軸に沿って回転させるので、照射光が光ファイバの円周方向について均等に照射される。
【0057】
請求項3記載の本発明によれば、前記第1の工程を実行した後に前記第2の工程を実行することができる。
【0058】
請求項4記載の本発明によれば、前記第2の工程を実行した後に前記第1の工程を実行することができる。
【0059】
請求項5記載の本発明によれば、前記光ファイバに水素又は重水素を拡散させることにより特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位を形成することができる。
【0060】
請求項6記載の本発明によれば、前記第1の工程において、前記光ファイバに前記特定波長の光を照射するための光源としてエキシマランプを使用するので、光源の入手及び管理が容易であり、また、消費電力が小さくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、光ファイバへの紫外光の照射を行う照射装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の説明において使用する屈折率変化の定義を示すグラフである。
【図3】本発明における「DC露光工程」での光ファイバの長手方向の位置と紫外光の走査速度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明における「DC露光工程」が完了したときの光ファイバの長手方向の位置と屈折率のDC成分(△n(DC))との関係を示すグラフである。
【図5】本発明により作製した光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布を示す断面図である。
【図6】本発明を適用せずに作製した比較例における光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布を示す断面図である。
【図7】本発明により作製した光ファイバグレーティングにおける各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)の測定結果を示すグラフである。
【図8】ユニフォームマスクを用いて作製した従来のチャープトファイバグレーティングにおける各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 集光レンズ
2 紫外光
3 光ファイバ
4,5 保持部
6 ユニフォームマスク
7 制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野や光ファイバセンサなどに用いられる光ファイバグレーティングの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光通信分野や光ファイバセンサなどに用いられる光ファイバグレーティングは、水素浸漬処理を行った光ファイバに対し、干渉露光法、位相マスク法、強度マスク法、ステップバイステップ法などの方法を用いて、この光ファイバの側面より、光ファイバの長さ方向に沿って所定の周期的な間隔で紫外光を照射することによって作製されている。
【0003】
光ファイバに紫外光を照射すると、ゲルマニウムを添加した石英ガラスのうち、露光された部分の屈折率が上昇する。そのため、光ファイバの長さ方向に沿って所定の周期的な間隔で紫外光を照射することで、この光ファイバの長さ方向に沿って所定の周期的な間隔で屈折率が変化されたグレーティング部が形成される。
【0004】
このようにして作製される光ファイバグレーティングは、形成する屈折率変化位置の周期的間隔により、大きく二つに分けられる。一つは長周期ファイバグレーティングと呼ばれるもので、光ファイバ中を導波してきた導波モードを同方向に伝搬するクラッドモードに結合させるデバイスである。もう一つは、短周期ファイバグレーティング(ファイバブラッググレーティング)と呼ばれるもので、導波モードを逆方向に進行する導波モードに結合させるデバイスである。
【0005】
マスク法によって光ファイバグレーティングを作製する場合、長周期ファイバグレーティングを作製する場合には、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、強度マスクを用い、短周期ファイバグレーティングを作製する場合には、位相マスクを用いる。作製されたファイバグレーティングにおける屈折率変化の周期は、使用するマスクの周期によって決定される。したがって、屈折率変化が所望の周期を有するファイバグレーティングを作製するためには、これに対応した周期変化を有するマスクを用意する必要がある。また、屈折率変化の周期が線形に変化するチャープトファイバグレーティングを作製するには、周期が線形に変化するマスク(以下、チャープマスクという。)を用いる必要がある。
【0006】
ところが、特に、短周期ファイバグレーティングの作製に用いられる位相マスクは高価であるため、数多くの位相マスクを用意するには、多額の費用が必要であり、光ファイバグレーティングの製造が困難となっている。また、チャープマスクや、周期の変化率(以下、チャープ率という。)が一定ではない特殊な周期をもつマスクは、一定周期のマスク(以下、ユニフォームマスクという。)に比べて、マスクとしての精度が悪い。
【0007】
したがって、ユニフォームマスクを用いて短周期のチャープトファイバグレーティングを作製することができれば、コスト面で優れているのみならず、作製した光ファイバグレーティングの特性向上を実現することができる。このような光ファイバグレーティングとしては、特許文献3に、屈折率変化を生じさせる波長の光を光ファイバの一部に照射して光ファイバの長手方向に屈折率勾配を形成した後に、ユニフォームマスクを用いてグレーティング部を作製した光ファイバグレーティングが記載されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−228856公報
【0009】
【特許文献2】
特開2003−139974公報
【0010】
【特許文献3】
特開平9−311238号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、予め光ファイバに屈折率勾配を形成した後に、ユニフォームマスクを用いてグレーティング部を作製し、チャープトファイバグレーティングを作製する場合には、この光ファイバに対し、非常に大きな量の屈折率変化を生じさせる必要がある。
【0012】
具体的には、数十nmの波長帯域幅をもつ光ファイバグレーティングを作製するためには、予め与える光ファイバにおける屈折率勾配による両端での実効屈折率の差は、10−2のオーダである必要がある。また、数nmの波長帯域幅をもつ光ファイバグレーティングを作製する場合でも、光ファイバにおける屈折率勾配による両端での実効屈折率の差は、10−3のオーダである必要がある。これは、チャープマスクを用いて作製される従来の光ファイバグレーティングにおける屈折率変化量に比して、1桁乃至2桁は大きい値である。
【0013】
そのため、ユニフォームマスクを用いてチャープトファイバグレーティングを作製した場合、屈折率変化に不均一性が生じてしまい、透過特性について、大きな偏波依存性(以下、PDL(Polarization Dependent Loss)という。)が生じてしまうという問題がある。
【0014】
図8は、ユニフォームマスクを用いて作製したチャープトファイバグレーティングにおける各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)の測定結果を示すグラフである。
【0015】
ここで作製した光ファイバグレーティングは、ユニフォームマスクを用いて露光を行った後に、光ファイバの長手方向の位置と屈折率変化量の関係が線形になるように、紫外光の照射量を光ファイバの長手方向について変えながら、ファイバグレーティング全体に紫外光を照射して作製したものである。短波長側が1.0nm、長波長側が3.0nm波長が変化することにより、波長帯域幅が2.0nmになるように条件出しを行ったものである。
【0016】
図8に示す測定結果から、2.5nmを越える程度の比較的小さな波長変化量においても、大きな偏波依存性が生じてしまっていることがわかる。また、このグラフより、透過特性自体も崩れてしまっていることがわかる。つまり、2.5nmを越えるような帯域幅をもつチャープトファイバグレーティングをユニフォームマスクを用いて作製した場合には、大きな偏波依存性をもってしまうのみならず、透過特性自体も崩れてしまうということがわかる。
【0017】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、その目的としては、所望の透過特性及び反射特性を有する光ファイバグレーティングを安価に作製することができ、特に、偏波依存性の低い光ファイバグレーティングを作製することができる光ファイバグレーティングの製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、前記目的を達成するため、石英系材料からなり特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位を備えた光ファイバの当該部位に対し前記光ファイバの側面より、前記特定波長の光をこの光ファイバの円周方向について均等な照射量であるとともに前記光ファイバの長手方向について連続的に変化する照射量として照射することにより前記光ファイバの長手方向について連続的に屈折率勾配を形成する第1の工程と、前記光ファイバの特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位に対して該光ファイバの長手方向について周期的な間隔で照射量が変化する光を照射してグレーティング部を形成する第2の工程とを有することを要旨とする。
【0019】
請求項2記載の発明は、前記目的を達成するため、前記第1の工程において、前記光ファイバ及びこの光ファイバに照射される光の一方または両方を該光ファイバの軸に沿って回転させることを要旨とする。
【0020】
請求項3記載の発明は、前記目的を達成するため、前記第1の工程を実行した後に前記第2の工程を実行することを要旨とする。
【0021】
請求項4記載の発明は、前記目的を達成するため、前記第2の工程を実行した後に前記第1の工程を実行することを要旨とする。
【0022】
請求項5記載の発明は、前記目的を達成するため、前記光ファイバに水素又は重水素を拡散させることにより特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位を形成することを要旨とする。
【0023】
請求項6記載の発明は、前記目的を達成するため、前記第1の工程において、前記光ファイバに前記特定波長の光を照射するための光源としてエキシマランプを使用することを要旨とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
光ファイバの屈折率を変化させるには、この光ファイバとして石英系材料からなるものを用い、この光ファイバに対し、紫外光領域で単色発光する光源から発光された紫外光を照射する。紫外光の照射により、光感受性をもつ領域の屈折率が変化するので、その特性を光ファイバの屈折率を変化させることができるのである。
【0026】
以下の実施の形態においては、中心周期1071.0nmのユニフォームマスクを用いて、光ファイバの長さ100mmの範囲に対して露光を行った場合について説明する。まず、このユニフォームマスクを用いて、第2の工程である「マスク露光工程」として露光を行い、その後、光ファイバを軸回りに連続的に回転させながら、光ファイバの長手方向の位置と屈折率変化量との関係が線形となる屈折率勾配が形成されるように、第1の工程である「DC露光工程」として紫外光を照射した。
【0027】
図1は、本発明において、光ファイバへの紫外光の照射を行う照射装置の構成を示す側面図である。
【0028】
この実施の形態においては、図1に示すように、集光レンズ1を用いて光束径を絞った紫外光2を光ファイバ3に照射する。紫外光2は、図示しない光源から発せられる。
【0029】
なお、紫外光領域で単色発光する光源としては、エキシマランプを使用することができる。エキシマとは、基底状態では安定で分子を作らない閉核原子または分子が励起されることにより、他の基底状態の原子または分子と強い結合力を示し分子化したもののことである。このエキシマ状態から基底状態に遷移する際に、そのエネルギー差に相当する光が発せられる。この光をランプとして発光するものがエキシマランプである。使用するガスの種類を変更することにより、様々な波長で発光するエキシマランプを作製することができる。このエキシマランプが発する光は、非干渉性光(インコヒーレント光)である。
【0030】
これらエキシマランプのなかでも、キセノン(Xe)を用い波長172nmで発光するものや、塩化クリプトン(KrCl)を用い波長222nmで発光するものなどは、すでに広く実用化され、液晶用パネルなどの洗浄用に利用されており、特性の安定したランプを安価に入手することが容易である。
【0031】
エキシマランプは、単色発光、すなわち、発光波長帯域が数nmから数十nmと細いスペクトル線幅での発光をするため、光エネルギーが熱エネルギーなどに変化することが抑えられ、効率よく光ファイバの屈折率変化を生じさせることができる。なお、エネルギー効率を良好とするためには、紫外光領域において単色発光するエキシマランプを使用することが望ましい。
【0032】
エキシマランプからの光エネルギーを効率よく光ファイバの屈折率変化に結びつけるためには、光ファイバにおいて、エキシマランプからの光の波長帯域における吸収を大きくするための増感物質が添加されている必要がある。石英系材料からなる光ファイバに添加されてこの光ファイバの光感受性を増大させる増感物質としては、例えば、ゲルマニュウム(Ge)、リン(P)、ボロン(B)などが挙げられる。また、紫外光帯域における光感受性を大きくするためには、石英系材料からなる光ファイバ中に水素または重水素を拡散する方法も有効である。エキシマランプにより紫外光を照射する場合においても、光ファイバ中に水素または重水素を拡散させてから行った方が、短時間でより大きな屈折率変化が得られる。
【0033】
この照射装置において、光源からの紫外光2は、ミラー8に反射され、絞り9を介して、集光レンズ1に入射される。また、この照射装置において、光ファイバ3は、紫外光2が照射される位置の両端側において一対の保持部4,5によって保持される。
【0034】
ミラー8は、図1中矢印Sで示すように、光ファイバ3の長手方向に移動操作されることにより、紫外光2を、光ファイバ3の長手方向に走査(スキャン)することができる。このとき、絞り9及び集光レンズ1は、ミラー8と一体となって移動する。
【0035】
また、保持部4,5は、保持した光ファイバ3を、図1中矢印Rで示すように、軸回りに所定の速度で回転操作することができる。なお、保持部4,5は、光ファイバ3を長手方向に所定の速度で移動操作することができるように構成してもよい。この場合には、ミラー8及び絞り9を移動操作する必要はない。
【0036】
これら保持部4,5、ミラー8及び絞り9は、制御部7によって制御されて移動操作される。
【0037】
「マスク露光工程」においては、ミラー8を移動操作して、紫外光2を所定の速度でファイバ3の長手方向にスキャンさせることで、光ファイバ3に、ユニフォームマスク6に対応した周期的な間隔の屈折率変化量を生じさせる。
【0038】
図2は、本発明の説明において使用する屈折率変化の定義を示すグラフである。
【0039】
以下の説明においては、図2に示すように、AC成分(△n(AC))とは、光ファイバグレーティングにおけるグレーティング部の変調成分(ユニフォームマスク6に対応した周期的な間隔の屈折率変化)の半分、平均(△n(平均))とは、AC成分の半分までの変化量、DC成分(△n(DC))とは、変調成分の下限を示している。
【0040】
図3は、本発明における「DC露光工程」での光ファイバの長手方向の位置と紫外光の走査速度との関係を示すグラフである。
【0041】
そして、「DC露光工程」においては、ユニフォームマスク6を外し、ミラー8を移動操作して、紫外光2を所定の速度で光ファイバ3の長手方向にスキャンさせる。紫外光2が光ファイバ3に対してスキャンする速度は、図3に示すように、この光ファイバ3において紫外光が照射されている長手方向の位置に応じて変化される。すなわち、紫外光2の照射量は、光ファイバ3における長手方向に沿って変化することとなる。このように、光ファイバ3の長手方向の位置に応じて、紫外光2がスキャンする速度を異ならせることにより、光ファイバ3の長手方向の位置と屈折率のDC成分(△n(DC))の変化量との関係が線形の屈折率勾配になるように制御する。
【0042】
図4は、本発明における「DC露光工程」が完了したときの光ファイバの長手方向の位置と屈折率のDC成分(△n(DC))との関係を示すグラフである。
【0043】
この「DC露光工程」が完了したときの光ファイバ3における屈折率のDC成分)は、図4に示すように、光ファイバ3の長手方向の位置に対して、線形に変化する屈折率勾配を形成している。
【0044】
このように、紫外光の照射量を光ファイバ3における長手方向に沿って変化させることで、屈折率のDC成分(△n(DC))が長手方向について連続的に変化した光ファイバ3を作製することができる。このように光ファイバ3の屈折率を変化させるのに好適な紫外光の波長は、添加する増感物質にも依るが、280nm以下である。波長が280nm以上の光を照射しても、光感受性が非常に小さいので、所望の屈折率変化を得ることは困難である。一方、波長が150nm以下の光を照射した場合には、増感物質を添加していない純粋な石英での吸収が非常に大きく、照射光が光ファイバを透過しない。したがって、照射する紫外光の波長は、150nm以上である必要がある。したがって、屈折率を変化させるために用いるエキシマランプとしては、例えば、発光波長が150nm乃至280nmの範囲であるものを使用することができる。
【0045】
そして、前述したように、発光波長が222nm及び172nmのエキシマランプは、液晶用パネルなどの洗浄用に利用されているため、特性の安定したランプを容易に入手することができる。特に、発光波長が172nmのエキシマランプを用いることで、発光波長が222nmのエキシマランプを用いる場合に比較して、効率よく光ファイバの屈折率を変化させることができるため、発光波長が172nmのエキシマランプを使用することが望ましい。
【0046】
この実施の形態においては、短波長側で+1.0nm、長波長側で+3.0nm波長が変化するように、すなわち、波長帯域幅が2.0nmになるように、条件出しを行っている。これは、光ファイバ3の屈折率の変化量として示すと、短波長側が9.3×10−4、長波長側が2.8×10−3であり、光ファイバグレーティングの両側での変調成分以外の屈折率変化量の差は、1.9×10−3である。
【0047】
図5は、本発明により作製した光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布を示す断面図である。
【0048】
前述のようにして本発明により作製された光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布をRNF法(Refracted Near Field Pattern法)で測定すると、図5に示すように、ほぼ同心円状の分布をしており、光ファイバ3の円周方向について屈折率が均等に上昇していることがわかる。これは、「DC露光工程」において、光ファイバ3を軸回りに回転させたための効果と考えられる。
【0049】
図6は、本発明を適用せずに作製した比較例における光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布を示す断面図である。
【0050】
「DC露光工程」において、光ファイバ3を軸回りに回転させずに、他の条件は前述した実施の形態と同様とした比較例においては、図6に示すように、光ファイバ3の片側のみの屈折率が高くなっており、屈折率が光ファイバ3の円周方向について不均一に上昇していることが確認できる。
【0051】
図7は、本発明により作製した光ファイバグレーティングにおける各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)の測定結果を示すグラフである。
【0052】
本発明により作製した光ファイバグレーティングにおいては、図7に示すように、各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)が、前記図8に示した従来の光ファイバグレーティングにおける偏波依存性に比較して、大幅に低減されていることがわかる。
【0053】
なお、本発明においては、「DC露光工程」を先に実行し、その後に、「マスク露光工程」を実行してもよい。
【0054】
また、本発明の「DC露光工程」において、紫外光の照射量を光ファイバ3の長手方向に沿って変化させるには、前述した実施の形態のように、光ファイバ3の長手方向に所定の速度で紫外光をスキャンさせる方法に限定されず、光ファイバ3において露光を行う範囲の全範囲に亘って一様に同時に紫外光を照射しておき、この光ファイバ3と紫外光の光源側との間において遮光マスクを所定の速度で光ファイバ3の長手方向に移動操作する方法や、この光ファイバ3と紫外光の光源側との間に光ファイバ3の長手方向に透過率が連続的に変化された減光フィルタを設置する方法などを使用することもできる。
【0055】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、特定波長の光を光ファイバの円周方向について均等に、かつ、長手方向について連続的に変化する照射量として照射して連続的な屈折率勾配を形成する第1の工程と、周期的な間隔で照射量が変化する光を照射してグレーティング部を形成する第2の工程とを有するので、所望の透過特性及び反射特性を有する光ファイバグレーティングを安価に作製することができ、特に、偏波依存性の低い光ファイバグレーティングを作製することができる。
【0056】
請求項2記載の本発明によれば、前記第1の工程において、前記光ファイバ及びこの光ファイバに照射される光の一方または両方を該光ファイバの軸に沿って回転させるので、照射光が光ファイバの円周方向について均等に照射される。
【0057】
請求項3記載の本発明によれば、前記第1の工程を実行した後に前記第2の工程を実行することができる。
【0058】
請求項4記載の本発明によれば、前記第2の工程を実行した後に前記第1の工程を実行することができる。
【0059】
請求項5記載の本発明によれば、前記光ファイバに水素又は重水素を拡散させることにより特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位を形成することができる。
【0060】
請求項6記載の本発明によれば、前記第1の工程において、前記光ファイバに前記特定波長の光を照射するための光源としてエキシマランプを使用するので、光源の入手及び管理が容易であり、また、消費電力が小さくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、光ファイバへの紫外光の照射を行う照射装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明の説明において使用する屈折率変化の定義を示すグラフである。
【図3】本発明における「DC露光工程」での光ファイバの長手方向の位置と紫外光の走査速度との関係を示すグラフである。
【図4】本発明における「DC露光工程」が完了したときの光ファイバの長手方向の位置と屈折率のDC成分(△n(DC))との関係を示すグラフである。
【図5】本発明により作製した光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布を示す断面図である。
【図6】本発明を適用せずに作製した比較例における光ファイバグレーティングの断面における屈折率分布を示す断面図である。
【図7】本発明により作製した光ファイバグレーティングにおける各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)の測定結果を示すグラフである。
【図8】ユニフォームマスクを用いて作製した従来のチャープトファイバグレーティングにおける各偏波による透過損失及びそれらの差(すなわち、PDL)の測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 集光レンズ
2 紫外光
3 光ファイバ
4,5 保持部
6 ユニフォームマスク
7 制御部
Claims (6)
- 石英系材料からなり特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位を備えた光ファイバの当該部位に対し、前記光ファイバの側面より、前記特定波長の光を、この光ファイバの円周方向について均等な照射量であるとともに前記光ファイバの長手方向について連続的に変化する照射量として照射することにより、前記光ファイバの長手方向について連続的に屈折率勾配を形成する第1の工程と、
前記光ファイバの特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位に対して、該光ファイバの長手方向について周期的な間隔で照射量が変化する光を照射して、グレーティング部を形成する第2の工程と、を有することを特徴とする光ファイバグレーティングの製造方法。 - 前記第1の工程において、前記光ファイバ及びこの光ファイバに照射される光の一方または両方を、該光ファイバの軸に沿って回転させることを特徴とする請求項1記載の光ファイバグレーティングの製造方法。
- 前記第1の工程を実行した後に、前記第2の工程を実行することを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の光ファイバグレーティングの製造方法。
- 前記第2の工程を実行した後に、前記第1の工程を実行することを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の光ファイバグレーティングの製造方法。
- 前記光ファイバに水素又は重水素を拡散させることにより、特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する部位を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか一に記載の光ファイバグレーティングの製造方法。
- 前記第1の工程において、前記光ファイバに前記特定波長の光を照射するための光源として、エキシマランプを使用することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の光ファイバグレーティングの製造方法。
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US7593609B2 (en) | 2007-10-26 | 2009-09-22 | National Chiao Tung University | Method for modulating refractive indices of optical fiber gratings |
KR101052901B1 (ko) | 2009-12-28 | 2011-07-29 | 전남대학교산학협력단 | 광섬유 격자의 제조방법 |
-
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- 2003-07-11 JP JP2003195846A patent/JP2005031358A/ja active Pending
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