JP2005031192A - シート型表示装置とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の構造が簡単で、表示用原料組成物の漏洩の危険性がなく、高コントラスト、高白色度の大型装置を作製し易い、シート型表示装置技術を提供する。
【解決手段】酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(1)に示すアクリル系化合物とを含む表示用原料組成物を、透明作用電極と対極との間に配し、その後、このアクリル系化合物を重合せしめ、透明作用電極と対極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うことができるようにする。
【化10】
(式(1)において、R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X1は1〜6の価数を有する結合基である。mは1〜6の整数を表す。)
【選択図】 なし
【解決手段】酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(1)に示すアクリル系化合物とを含む表示用原料組成物を、透明作用電極と対極との間に配し、その後、このアクリル系化合物を重合せしめ、透明作用電極と対極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うことができるようにする。
【化10】
(式(1)において、R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X1は1〜6の価数を有する結合基である。mは1〜6の整数を表す。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば銀のように、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を使用するエレクトロデポジション型ディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子ペーパ、ペーパーライクディスプレイ、デジタルペーパなどと呼ばれ、電界により光学的吸収や光学的反射を変化させて、像表示を行う表示装置が提案されている。
【0003】
電界により光学的吸収や光学的反射が変化する素子としては、色と電気的特性の双方が異なる半球を合わせた回転粒子を絶縁性液体とともに内包したマイクロカプセル、電気泳動粒子を分散させた溶媒を着色し、この溶媒を内包したマイクロカプセル(たとえば特許文献1参照。)、2色性色素とスメクチック液晶を含む液晶/高分子複合膜などがある。これらの技術を使用した表示装置は、メモリ性を有し、電源が無くても像情報を保持でき、反射型表示装置であるため、紙の代替として期待されている。電極のある基板として、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等を使用できるので、薄くて、軽く、曲げることが可能なシート型表示装置である。
【0004】
また、近年、紙なみのコントラスト、白色度を実現できるエレクトロデポジション型ディスプレイ(以下、EDDと呼称する場合がある。)も提案されている。このEDDは、たとえば、二枚の基板のそれぞれに接して設けられた透明作用電極と対極との間に、ハロゲン化銀とハロゲンを含む支持電解質とを含む固体電解質を配し、電位変化により透明電極に銀を析出することで発色させる(たとえば特許文献2,3参照。)。また、逆の電位によって透明電極上の銀が再溶解することで消色させる。
【0005】
さらに、この電解液とともに、白色の多孔質の背景板を用いる方法(たとえば特許文献4参照。)や、白色の無機顔料を分散した固体電解質を用いる方法(たとえば特許文献5参照。)では、背景部の反射率、白色度を高めることで、高コントラスト、高白色度が実現している。さらに、架橋重合化若しくは重合化された高分子電解物質の使用も提案されている(たとえば特許文献6参照。)。
【0006】
しかしながら、高コントラストを実現できる特許文献4の方法では、隔壁構造や背景板を必要とするため構造が複雑で、かつ電解液の漏洩の危険性があった。また、特許文献5に記載のポリエチレンオキサイドなどでは、電解液の比率を高めると固体電解質の十分な硬度が得られず、また、分散した二酸化チタンの凝集によるコントラストの低下といった問題があった。
【0007】
さらに、特許文献6に記載の架橋重合化若しくは重合化された高分子からなる固体電解質は具体性に乏しく、固体電解質の硬度の向上や分散した二酸化チタンの沈殿や凝集によるコントラストの低下の防止の点でどのような効果が得られるかは判然としていない。
【0008】
さらに大型のEDDを作製するには、基板間に電解質等の薬剤を塗布や注入等により配する方法や、作製した固体電解質を電極で担持する方法があるが、従来の組成では、前者の場合には、塗布・注入の作業中やその後に固体粒子が凝集や沈殿を起こす問題があり、後者の場合には、固体電解質が、単にゲル状体である等、機械的強度をほとんど有していないため、電極で担持するための固体電解質の移動が困難であり、いずれの方法も使用できなかった。
【0009】
なお、分散した二酸化チタン(顔料)の沈殿や凝集によるコントラストの低下は、具体的には、比重の大きな二酸化チタンが沈殿して、透明な層が一番表面にでき、また凝集により透明に抜けた部分ができるため、白表示における反射率の低下や黒表示における反射濃度の低下が起こることによるものと考えられる。
【0010】
【特許文献1】
特開平01−086116号公報(特許請求の範囲)
【0011】
【特許文献2】
米国特許4,240,716号(クレーム)
【0012】
【特許文献3】
米国特許4,240,717号(クレーム)
【0013】
【特許文献4】
特開平11−101994号公報(特許請求の範囲)
【0014】
【特許文献5】
特開2002−258327号公報(特許請求の範囲)
【0015】
【特許文献6】
特開2003−5224号公報(特許請求の範囲)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、装置の構造が簡単で、電解液の漏洩の危険性がなく、高コントラスト、高白色度の大型装置を作製し易い、新規なシート型表示装置技術を提供することを目的とする。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(1)に示すアクリル系化合物とを含む表示用原料組成物を、透明作用電極と対極との間に配し、
【0018】
【化3】
【0019】
(式(1)において、R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X1は1〜6の価数を有する結合基である。mは1〜6の整数を表す。)
その後、アクリル系化合物を重合せしめ、透明作用電極と対極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うことができるようにする、シート型表示装置の製造方法が提供される。
【0020】
透明作用電極と対極との間に配する際の表示用原料組成物の粘度が5〜50000mPa・sの範囲にあること、発色性物質がハロゲン化銀であること、特にヨウ化銀であること、0.2μmより厚い銀の表面を有する対極を使用すること、加熱によりアクリル系化合物を重合せしめること、その加熱により架橋を生ぜしめること、アクリル系化合物が、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アリルアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートおよびアリルメタクリレートからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であること、非プロトン系極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、ジオキソラン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれた、少なくとも一つの溶媒を含むこと、表示用原料組成物が、さらに、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含むこと、表示用原料組成物が、さらに、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含むこと、表示用原料組成物が、さらに二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの無機白色顔料粒子を含むこと、表示用原料組成物が、更に、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、エチルセルロース、シアノレジン、ポリスチレンよりなる群から選ばれた少なくとも一つの物質を含むこと、表示用原料組成物中の発色性物質の濃度をA重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB重量%、アクリル系化合物の濃度をC重量%とした場合、
2≦A≦20、
60≦B≦83、
5≦C≦20、
A+B+C≦100
であること、表示用原料組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD重量%とした場合、
5≦D≦50、
A+B+C+D≦100
であることが好ましい。
【0021】
本発明の他の一態様によれば、透明作用電極と対極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(2)に記載の構造単位を有する架橋物とを含む表示用組成物を配し、
【0022】
【化4】
【0023】
(式(2)において、R2は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(2)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X2は2〜6の価数を有する結合基である。nは2〜6の整数を表す。)
透明作用電極と対極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うシート型表示装置が提供される。
【0024】
発色性物質がハロゲン化銀であること、特にヨウ化銀であること、対極が0.2μmより厚い銀の表面を有すること、式(2)におけるX2がエチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、グリセリン残基、ポリエチレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、トリメチロールプロパン残基、テトラメチロールメタン残基、ペンタエリスリトール残基、エトキシ化ペンタエリスリトール残基、ジペンタエリスリトール残基、およびアリルアルコール残基からなる群から選ばれた少なくとも一つの残基であること、非プロトン系極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、ジオキソラン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれた、少なくとも一つの溶媒を含むこと、表示用組成物が、さらに、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含むこと、表示用組成物が、さらに、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含むこと、表示用組成物が、さらに二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの無機白色顔料粒子を含むこと、表示用組成物中の発色性物質の濃度をA’重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB’重量%、架橋物の濃度をC’重量%とした場合、
2≦A’≦20、
60≦B’≦83、
5≦C’≦20、
A’+B’+C’≦100
であること、表示用組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD’重量%とした場合、
5≦D’≦50、
A’+B’+C’+D’≦100
であることが好ましい。
【0025】
上記の本発明の諸態様により、装置の構造が簡単で、電解液(表示用原料組成物や表示用料組成物)の漏洩の危険性がなく、高コントラスト、高白色度の大型装置を作製し易い、シート型表示装置技術を実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0027】
本発明に係るシート型表示装置は、透明作用電極と対極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と非プロトン系極性溶媒とを含む表示用組成物を配してなり、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、1分子中に式(1)の括弧内の構造単位を1〜6個の範囲で有する、式(1)に記載のアクリル系化合物とを含む表示用原料組成物を、透明作用電極と対極との間に配し、
【0028】
【化5】
【0029】
その後、当該アクリル系化合物を重合せしめ、当該透明作用電極と当該対極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うことができるようにすることで作製できる。なお、式(1)において、R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X1は1〜6の価数を有する結合基である。mは1〜6の整数を表す。アクリル系化合物を重合した場合に架橋構造を生ぜしめるためには、X1が2〜6の価数を有する結合基であり、mが2〜6の整数であることが好ましい。
【0030】
本発明に係る表示用組成物はゲル状から完全な固体状までに渡る形態を有し、一般的には電解質である。本発明に係る表示用原料組成物はこの表示用組成物を作製するための原料であり、透明作用電極と対極との間に配する作業を塗布や注入で行うためには液状で取り扱うことが好ましい。
【0031】
透明作用電極と対極とは、通常基板の上に配される。透明作用電極を支持する基板の材質としては透明であることが必要であり、石英ガラス板、白板ガラス板等の透明ガラス基板を用いることが可能であるが、これに限定されず、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のエステル類、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル類、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素ポリマー類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン類、及びポリイミドアミドやポリエーテルイミド等のポリイミド類等を例として挙げることができる。
【0032】
対極を支持する基板の材質は、必ずしも透明である必要はなく、石英ガラス板、白板ガラス板等のガラス基板、セラミック基板、紙基板、木材基板等を用いることが可能であるが、これに限定されず、合成樹脂基板を使用可能であり、これには、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のエステル類、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル類、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素ポリマー類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン類、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミド等のポリイミド類を挙げることができる。
【0033】
上記の基板は、いずれの場合も、容易に曲がらないような剛性基板状にすることも、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
【0034】
作用電極は、表示を行うため透明であり、基板表面に、たとえばITO(インジウム錫酸化物)、SnO2といった導電性材料を蒸着、または塗布することで作製される。像の表示は、上記電極間の通電により、作用電極の近傍の発色性物質が電気化学的な酸化または還元反応により発色することで行われる。
【0035】
対極に使用する材料としては、導電性のある物質であれば特に制限はない。導電性の高い金属、たとえば、銀、金、白金、アルミニウム、銅の薄膜、または、蒸着膜、または塗布膜により導電層を形成してあるものが好ましい。
【0036】
特に、銀の析出、溶解により表示を行うシート型表示装置では、対極の電極表面に銀の導電層が形成されるようになっていると、対極側からも銀イオンが溶出するため、常に銀イオンが補充される状態となることから、表示速度が速く、高いコントラストが得られるため有利である。より具体的には、0.2μmより厚い銀の表面を有する対極を使用することが好ましい。この銀の膜厚は、シート型表示装置を作製する前の段階〜作製後のいずれの段階かで0.2μmより厚くなっていることを確認すれば十分である。このことにより、表示用組成物中の銀イオンの濃度を高く保て、高コントラスト、高白色度の装置を作製し易い。
【0037】
この透明作用電極と対極の間にスペーサを挟み、表示用原料組成物の投入口を除いてシールすることにより、シート型表示装置のセルやパネルを形成できる。このとき使用するスペーサには、作用電極と対極とが互いに接触することなく、十分な電極間距離が得られるのであれば特に制限なく、ポリプロピレン、ポリエステルなどの不織布、メッシュの類、粒子などを使用できる。粒子は、粒径分布のシャープなものが好ましく、架橋性高分子(ポリスチレン、アクリル等)、ワックス状物質、無機粒子(ジルコニア、ガラス等)の公知の材料で、表示用原料組成物や表示用組成物に溶解しないものを使用できる。ワックス状物質においては、ワックスの融点がアクリル系化合物の重合温度等、シート型表示装置の製造時の温度より高いことが必要である。
【0038】
また、シール材として使用できる材料としては、中に塗布、注入等する表示用原料組成物や表示用組成物が漏れさえしなければ特に制限なく、一般に使用される熱融着テープ、または2液性のエポキシ接着剤を使用してもよい。ただし、表示用原料組成物や表示用組成物に使用する溶媒に対し、耐久性の高いポリオレフィン系スペーサ、シール材がより好ましい。
【0039】
このようにして作製したセルやパネルに表示用原料組成物を塗布、注入等する。
塗布や注入等には公知の方法を適用することができる。注入は重量落下方式でも、真空吸引方式でもよい。
【0040】
本発明に係る表示用原料組成物は、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と非プロトン系極性溶媒と式(1)に示すアクリル系化合物とを含んでなり、支持電解質が含まれる場合が多い。本発明の趣旨に反しない限り、その他の材料を含んでいてもよい。
【0041】
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質としては、ビスマス、銅、銀、リチウム、鉄、クロム、ニッケル、カドミウム等の電析可能なイオンを含有する物質を挙げることができるが、銀化合物、特にハロゲン化銀を含んでいることが好ましい。ハロゲン化銀としては、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)、ヨウ化銀(AgI)を用いることができる。なお、溶解性の観点からヨウ化銀を用いるのが好ましい。また、ハロゲン化銀の濃度は、0.05〜8.0moL/Lが好ましい。
【0042】
ハロゲン化銀を溶解するための、ハロゲンを含む支持電解質としては、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムなどの公知の材料を用いることができる。なお、EDDの表示速度やハロゲン化銀の溶解性の観点からアンモニウム塩を用いるのが好ましい。また、この支持電解質はハロゲン化銀の濃度に対して、0.5〜2モル倍の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、ハロゲン化銀の濃度に対して0.5〜1モル倍の範囲である。
【0043】
また、他の支持電解質としては、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムなどの、過塩素酸塩、チオシアン酸塩、硫酸塩などの公知の材料が挙げられる。
【0044】
これらハロゲン化銀や支持電解質を溶解する非プロトン系極性溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAA)、N−メチルプロピオン酸アミド(MPA)、N−メチルピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、アセトニトリル(AN)、2−エトキシエタノール(EEOH)、2−メトキシエタノール(MEOH)、ジオキソラン(DOL)、エチルアセテート(EA)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(GBL)等を用いることができ、これらを混合してもよい。なお、導電率や溶解性の観点から、DMSO、DMF、DEF、DMAAを用いることが好ましい。
【0045】
また、銀の溶解を促進するため、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、サリチル酸等を適宜添加してもよい。
【0046】
本発明に係る表示用原料組成物は、さらに、式(1)に示すアクリル系化合物を含有する。
【0047】
式(1)中X1とその他の構造部分とはエステル結合で結合されており、X1が1価のアルコールの残基であればmが1となり、2価のアルコールの残基であればmが2となり、3価のアルコールの残基であればnが3となるといった具合にm=6までの範囲を含む。
【0048】
エチレングリコールジアクリレートの場合を例示すれば、(CH2=CHCOO)2(CH2CH2)(OCOCH=CH2)である。−(CH2CH2)−がエチレングリコール残基に該当する。
【0049】
なお、上記X1の価数は、式(1)のmの価に対応するものである。たとえばメトキシジエチレングリコールアクリレートの場合には、グリコール残基の価数ではなく、メトキシジエチレングリコール残基であるCH3OCH2CH2OCH2CH2−の価数である1である。また、たとえば4価のアルコールの内の三つのヒドロキシ基がアクリレートとなっている場合には、フリーのヒドロキシ基は数えない。テトラメチロールメタントリアクリレートがその例である。
【0050】
R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表すが、重合性や入手の容易さから、水素または炭素数1が好ましい。すなわち、アクリレートまたはメタクリレートが好ましい。なお、m=2以上では、一分子中にR1が複数存在することになるが、これらは互いに同一でも相異なっていてもよい。すなわち、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。
【0051】
具体的なアクリル系化合物としては、(1)単官能モノマーとして、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど、(2)2官能モノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(3)3官能モノマーとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートなど、(4)4官能モノマーとして、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど、(5)6官能モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの公知の材料が挙げられる。その他としてアリルアルコールのエステルを含めることができる。上記において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの両方を意味する慣用表現である。なお、上記は例であり、本発明はこれら材料に限定されるものではない。
【0052】
上記のごときアクリル系化合物を重合させることで、本発明に係る表示用組成物が得られ、この表示用組成物を透明作用電極と対極との間に配することにより、透明作用電極と対極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させて表示を行うシート型表示装置を実現できる。具体的には、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(3)に記載の構造単位を有する物質とを含む表示用組成物を得ることができる。
【0053】
【化6】
【0054】
なお、式(3)において、R3は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(3)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X3は1〜6の価数を有する結合基である。n’は1〜6の整数である。式(3)を式(1)と比べるときには、R3がR1に、X3がX1に、n’がmに対応する。
【0055】
式(3)の構造は、架橋を有していることが好ましい。表示用組成物がゲル状体〜完全な固体状態となり易く、扱いが容易になるからである。
【0056】
具体的には、式(3)に記載の構造単位を有する物質が、式(2)に記載の構造単位を有する架橋物であることが好ましい。式(2)を式(1)と比べるときには、R2がR1に対応し、X2が、2〜6の価数を有する結合基である場合のX1に、nが、2〜6の整数である場合のmに対応する。
【0057】
【化7】
【0058】
(式(2)において、R2は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(2)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X2は2〜6の価数を有する結合基である。nは2〜6の整数を表す。)
R2やR3は、上記のR1に対応して、重合性や入手の容易さから、水素または炭素数1が好ましい。すなわち、アクリレートまたはメタクリレートが好ましい。
【0059】
式(2)におけるX2や式(3)におけるX3としては、上記のX1についての説明に対応して、エチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、グリセリン残基、ポリエチレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、トリメチロールプロパン残基、テトラメチロールメタン残基、ペンタエリスリトール残基、エトキシ化ペンタエリスリトール残基、ジペンタエリスリトール残基、およびアリルアルコール残基からなる群から選ばれた少なくとも一つの残基を挙げることができる。式(3)におけるX3としては、さらに、メトキシジエチレングリコール残基、メトキシトリエチレングリコール残基、フェノキシエチル残基を挙げることができる。
【0060】
この表示用組成物はアクリル系化合物の使用により透明性が高く、良好なゲル状態〜固体状態を有しており、電解液の漏洩の危険性のない固体電解質として十分な硬度を有する。また、二酸化チタン等の白色顔料を表示用組成物中に良好に分散して、その凝集や沈殿を抑制でき、従って適切な白色面を作製しやすく、高コントラスト、高白色度の装置を作製し易い。また、表示用原料組成物の段階では液状であり、塗布や注入が容易にできるように粘度を調整することができることから、装置構造を簡略化でき、大型装置を作製し易い。
【0061】
なお、上記において、表示用原料組成物中のアクリル系化合物が単官能モノマーすなわちm=1の場合、このアクリル系化合物から得られる重合体は、架橋を有しないものとすることができる。ただし、この場合であっても、表示用原料組成物中に別の架橋性モノマーやオリゴマーを共存させ、その結果、表示用組成物が架橋性重合体を含むようにすることも可能である。
【0062】
アクリル系化合物の重合は、熱重合、光重合等どのような形式によるものでもよいが、均一な重合を短時間で実現できる点で熱重合が好ましい。この重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物などの公知の材料が挙げられる。重合開始剤はアクリル系化合物に対し、0.5〜30重量%添加するのが好ましい。
【0063】
本発明に係る表示用原料組成物には、コントラスト向上のために白色顔料を添加することが好ましい。白色顔料としては二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムが挙げられるが、隠蔽率の観点から二酸化チタンを用いるのが好ましい。
【0064】
表示用原料組成物中で白色顔料を均一かつ安定に分散し、沈殿、凝集を防止する目的からは、透明作用電極と対極との間に配する際の表示用原料組成物の粘度を5〜50000mPa・s(ミリパスカル・秒)の範囲に保つことが有用である。5mPa・s未満では、顔料の沈殿、凝集防止効果が小さいことが多く、50000mPa・sを超えると、塗布、注入の操作が困難になる場合が多い。より好ましい範囲は、10〜20000mPa・sである。本発明に係る表示用原料組成物の粘度はたとえばB型粘度計等で測定することができる。
【0065】
粘度には、表示用原料組成物の温度が影響する。従って、上記の範囲は、透明作用電極と対極との間に表示用原料組成物を配する際の範囲である。実際には、室温で塗布、注入等の作業を行うことが多いので、室温における表示用原料組成物の粘度を上記の範囲に保つことが好ましい。
【0066】
なお、表示用原料組成物はチキソトロピー性を有することも好ましい。チキソトロピー性を有していれば、塗布、注入等の作業時は粘度が比較的低いため作業が容易になり、作業後は増粘により、沈殿凝集の防止が容易になるからである。
【0067】
表示用原料組成物の粘度は、その組成や上記のように温度を調節して適当に変更調節することができるが、粘度調節や粒子分散の目的からは、表示用原料組成物に溶解可能なものの中から、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、エチルセルロース、シアノレジン、ポリスチレンなどの高分子材料を用いることが好ましい。その添加量は、表示用原料組成物中1〜5重量%が目安となる。
【0068】
表示用原料組成物中における、上記発色性物質、非プロトン系極性溶媒、アクリル系化合物の割合は、発色性物質の濃度をA重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB重量%、アクリル系化合物の濃度をC重量%とした場合、
2≦A≦20、
60≦B≦83、
5≦C≦20、
A+B+C≦100
であることが好ましい。
【0069】
さらに、前記表示用原料組成物中に無機白色顔料粒子を含有させる場合には、その濃度をD重量%とした場合、
5≦D≦50、
A+B+C+D≦100
であることが好ましい。
【0070】
なお、上記を表示用組成物中の割合の観点から見れば、表示用組成物中の発色性物質の濃度をA’重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB’重量%、架橋物の濃度をC’重量%とした場合、
2≦A’≦20、
60≦B’≦83、
5≦C’≦20、
A’+B’+C’≦100
であることや、
表示用組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD’重量%とした場合、
5≦D’≦50、
A’+B’+C’+D’≦100
であることが好ましい。
【0071】
上記の組成により、電解液の漏洩の危険性がない固体電解質として十分な硬度を有し、二酸化チタン等の固体粒子の凝集や沈殿を抑制でき、かつ、発色と消色とによる表示も十分であり、高コントラスト、高白色度のシート型表示装置が得られる。
【0072】
これらの材料を混合して作製した表示用原料組成物を、セル等に塗布、注入等し、その後封止することによりシート型表示装置を作製できる。なお、表示用原料組成物注入後、セル等の内部の空気を除くため真空に引いてから封止を行った方がよい場合がある。アクリル系化合物の重合は、セル等への塗布、注入後であれば、適宜定めることができる。
【0073】
上記の技術により、透明作用電極と対極との間に表示用組成物が充填され、これらの電極間の通電により、透明作用電極近傍で、電気化学的な酸化もしくは還元反応により、発色性物質を発色または消色させることで表示を行うシート型表示装置を得ることができる。
【0074】
このシート型表示装置は、低電圧で駆動でき、高解像度、高表示応答性、良好な表示を実現でき、低エネルギー、低コストが実現でき、紙のように薄く、フレキシブルでかつ画像の書き込み、表示、消去が容易なペーパライクディスプレイへの応用が期待できる。
【0075】
【実施例】
次に本発明の実施例を詳述する。なお、以下において、粘度は、室温下、東京計器社製DVM−Eを用いて測定した。
【0076】
[実施例1]
DMFとDMSOの混合溶媒(体積比率7:3)に、ヨウ化銀(0.15moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.15moL/L)、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.5moL/L)、シュウ酸(0.18moL/L)を溶解した。
【0077】
この液3.4gに対し、モノマー(新中村化学社製トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP))0.6gを溶解した。さらに、DMFとDMSOの混合溶媒(体積比率7:3)に重合開始剤(2,2−アゾビス−イソブチロニトリル)を2.5重量%溶解した液400μLを混合し、二酸化チタン(石原産業社製CR−95)を15重量%分散した。この分散液が本発明に係る表示用原料組成物に該当する。なお、分散液の粘度は5.39mPa・sであった。
【0078】
ITOガラス基板(10Ω/□、ガラス板厚1.1mm、ガラスサイズ150mm×150mm)と銀蒸着ガラス基板(銀膜厚1.0μm、ガラス板厚1.1mm、ガラスサイズ150mm×150mm)の間に、熱融着フィルム(クラボウ社製、クランベターA−1510:75μm厚を4枚積層)をスペーサ(ギャップ150μm)として挟んで生じた空間に、この分散液を室温下で液の自由落下により注入し、温度110℃、窒素雰囲気下で10分加熱した結果、モノマーが架橋重合し、表示用原料組成物は表示用組成物になった。この結果、図1の断面構造を有するシート型表示装置が得られた。図1中、表示用組成物1は、作用電極2を配したガラス基板3と対極4を配したガラス基板5との間に挟持され、その両端でシール材6でシールされている。スペーサは図示されていない。矢印は表示を見る視線の方向を示す。このシート型表示装置のITO電極に電圧−1.2Vを10秒間印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率52%、コントラスト200が実現できた。
【0079】
このシート型表示装置を、表示面を上にして置き24時間放置後、再度同様の表示を行ったところ、最大反射率、コントラストとも変化なく、二酸化チタン等の固体粒子の凝集や沈殿が防止されているものと認められた。
【0080】
また、このシート型表示装置を破壊して、表示用組成物を観察したところ、十分ゲル化しており、電解液(表示用組成物)の漏洩の危険性が全くないことが判明した。
【0081】
[実施例2]
銀蒸着ガラスの銀膜厚を0.2μmとした以外は、実施例と同様に作製した。実施例1と同様にして電圧を印加したところ、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定した結果、最大反射率52%、コントラスト8であり、実施例1に比べ、コントラストが低下した。
【0082】
[実施例3]
DMAAとDMSOの混合溶媒(体積比率5:5)に、ヨウ化銀(0.15moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.15moL/L)、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.5moL/L)、シュウ酸(0.18moL/L)を溶解した。この時、粘度は2.6mPa・sであった。
【0083】
この組成物3.2gに対し、モノマー(新中村化学社製トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)(A−DCP))0.6gを溶解した。さらに、DMAAとDMSOの混合溶媒(体積比率5:5)に和光純薬社製重合開始剤V−65を2.5重量%溶解した液400μLを混合し、二酸化チタンCR−95を5重量%分散した。この時の粘度は3.0mPa・sであり、この状態で放置すると、数分で二酸化チタンの沈降が目視で確認できた。
【0084】
次に、粘度調節剤兼二酸化チタン分散剤として、和光純薬社製ポリビニルピロリドン(K−90)を0.2g溶解し、撹拌機で3分間混合した。この時の粘度は46.9mPa・sで、10分間の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを目視で確認できた。さらに、スペーサとして、平均粒径50μmの積水化学社製ミクロパール(SP−250)0.006gを混合し、表示用原料組成物を作製した。
【0085】
厚さ188μmの王子トービ社製ITOフィルム(OTEC−130)の周囲に、東洋紡社製熱融着フィルム(バイロンGM−920、厚さ50μm)の接着層を設けたのち、表示用原料組成物を室温下塗布した。
【0086】
次に、銀の膜厚が0.3μmの銀蒸着PETフィルムをシーラーで圧着し、温度80℃で30分間加熱してA−DCPを重合させ、シート型表示装置(表示パネル)を作製した。
【0087】
このシート型表示装置のITO電極に電圧−1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色に表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率70%、コントラスト25が実現できていることが判明した。
【0088】
このシート型表示装置を、表示面を上にして置き24時間放置後、再度同様の表示を行ったところ、最大反射率、コントラストとも変化なく、二酸化チタン等の固体粒子の凝集や沈殿が防止されているものと認められた。なお、実施例4〜7についても同様であった。
【0089】
[実施例4]
PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に、ヨウ化銀(0.4moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.2moL/L)を溶解した。
【0090】
この液4.4gに対し、モノマー(新中村化学製ポリエチレングリコールジアクリレート(A−200))0.5g、およびシアノレジン(CR−S:信越化学製)0.1gを溶解した。さらに、PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に重合開始剤V−65(和光純薬製)を2.5重量%溶解した液500μLを混合し、二酸化チタンCR−58(石原産業製)を5重量%分散した。このときの粘度は13.9mPa・sであり、10分間の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを確認できた。
【0091】
つぎに、熱融着フィルムA−1510(厚さ75μm)を用い、ギャップを50μmにした以外は実施例1と同様の電極間にこの液体を注入し、温度80℃で15分加熱することで、シート型表示装置を作製した。
【0092】
このシート型表示装置のITO電極に電圧1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率54%、コントラスト15を実現した。
【0093】
[実施例5]
PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に、ヨウ化銀(0.4moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.2moL/L)を溶解した。
【0094】
この液4.4gに対し、モノマー(新中村化学製ポリプロピレングリコールジアクリレート(APG−700))0.5g、およびシアノレジン(CR−S:信越化学製)0.1gを溶解した。さらに、PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に重合開始剤V−65(和光純薬製)を2.5重量%溶解した液500μLを混合し、二酸化チタン:CR−58(石原産業製)を5重量%分散した。このときの粘度は12.7mPa・sで、10分間の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを確認できた。
【0095】
熱融着フィルムA−1510(厚さ:75μm)を用い、ギャップを50μmにした以外は実施例1と同様の電極問にこの液体を注入し、温度80℃で15分加熱することで、シート型表示装置を作製した。
【0096】
このシート型表示装置のITO電極に電圧1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率50%、コントラスト16を実現した。
【0097】
[実施例6]
PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に、ヨウ化銀(0.4moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.2moL/L)を溶解した。
【0098】
この液4.4gに対し、モノマー(新中村化学製エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−8E))0.5g、およびシアノレジン(CR−S:信越化学製)0.1gを溶解した。さらに、PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に重合開始剤V−65(和光純薬製)を2.5重量%溶解した液500μLを混合し、二酸化チタン:CR−58(石原産業製)を5重量%分散した。このときの粘度は14.0mPa・sで、10分間の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを確認できた。
【0099】
熱融着フィルムA−1510(厚さ:75μm)を用い、ギャップを50μmにした以外は実施例1と同様の電極間にこの液体を注入し、温度80℃で15分加熱することで、シート型表示装置を作製した。
【0100】
このシート型表示装置のITO電極に電圧1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率53%、コントラスト17を実現した。
【0101】
[実施例7]
PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に、ヨウ化銀(0.4moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.2mL/L)、チオシアン酸ナトリウム(0.05moL/L)を溶解した。
【0102】
この液4.4gに対し、モノマー(新中村化学製グリセリンジメタクリレート701)0.5g、およびシアノレジン(CR−S:信越化学製)0.1gを溶解した。さらに、PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に重合開始剤V−65(和光純薬製)を2.5重量%溶解した液500μLを混合し、二酸化チタン:CR−58(石原産業製)を5重量%とミクロパールSP−250(積水化学製)0.008gを分散した。このときの粘度は22.0mPa・sで、10分問の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを確認できた。
【0103】
ITOフィルムOTEC−110B−N125N(厚さ125μm、王子トービ製)の周囲に熱融着フィルム:GA6400(厚さ50μm)の接着層を設けたのち、液を塗布した。次に、銀蒸着PETフィルム(銀の厚さ:0.25μm)をシーラーで圧着し、温度80度で30分加熱し、シート型表示装置を作製した。
【0104】
このシート型表示装置のITO電極に電圧1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye
938(XTite社製)で測定すると、最大反射率71%、コントラスト23を実現した。
【0105】
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0106】
(付記1) 酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(1)に示すアクリル系化合物とを含む表示用原料組成物を、透明作用電極と対極との間に配し、
【0107】
【化8】
【0108】
(式(1)において、R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X1は1〜6の価数を有する結合基である。mは1〜6の整数を表す。)
その後、当該アクリル系化合物を重合せしめ、
当該透明作用電極と当該対極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うことができるようにする、シート型表示装置の製造方法。
【0109】
(付記2) 透明作用電極と対極との間に配する際の前記表示用原料組成物の粘度が5〜50000mPa・sの範囲にある、付記1に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0110】
(付記3) 前記発色性物質がハロゲン化銀である、付記1または2に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0111】
(付記4) 前記ハロゲン化銀がヨウ化銀である、付記3に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0112】
(付記5) 0.2μmより厚い銀の表面を有する対極を使用する、付記3または4に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0113】
(付記6) 加熱により前記アクリル系化合物を重合せしめる、付記1〜5のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0114】
(付記7) 前記加熱により架橋を生ぜしめる、付記6に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0115】
(付記8) 前記アクリル系化合物が、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アリルアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートおよびアリルメタクリレートからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、付記1〜7のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0116】
(付記9) 前記非プロトン系極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、ジオキソラン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれた、少なくとも一つの溶媒を含む、付記1〜8のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0117】
(付記10) 前記表示用原料組成物が、さらに、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含む、付記1〜9のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0118】
(付記11) 前記表示用原料組成物が、さらに、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含む、付記1〜10のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0119】
(付記12) 前記表示用原料組成物が、さらに二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの無機白色顔料粒子を含む、付記1〜11のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0120】
(付記13) 前記表示用原料組成物が、更に、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、エチルセルロース、シアノレジン、ポリスチレンよりなる群から選ばれた少なくとも一つの物質を含む、付記1〜12のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0121】
(付記14) 前記表示用原料組成物中の発色性物質の濃度をA重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB重量%、アクリル系化合物の濃度をC重量%とした場合、
2≦A≦20、
60≦B≦83、
5≦C≦20、
A+B+C≦100
である、付記1〜13のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0122】
(付記15) 前記表示用原料組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD重量%とした場合、
5≦D≦50、
A+B+C+D≦100
である、付記14に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0123】
(付記16) 透明作用電極と対極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(2)に記載の構造単位を有する架橋物とを含む表示用組成物を配し、
【0124】
【化9】
【0125】
(式(2)において、R2は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(2)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X2は2〜6の価数を有する結合基である。nは2〜6の整数を表す。)
当該透明作用電極と当該対極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うシート型表示装置。
【0126】
(付記17) 前記発色性物質がハロゲン化銀である、付記16に記載のシート型表示装置。
【0127】
(付記18) 前記ハロゲン化銀がヨウ化銀である、付記17に記載のシート型表示装置。
【0128】
(付記19) 前記対極が0.2μmより厚い銀の表面を有する、付記17または18に記載のシート型表示装置。
【0129】
(付記20) 前記式(2)におけるX2がエチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、グリセリン残基、ポリエチレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、トリメチロールプロパン残基、テトラメチロールメタン残基、ペンタエリスリトール残基、エトキシ化ペンタエリスリトール残基、ジペンタエリスリトール残基、およびアリルアルコール残基からなる群から選ばれた少なくとも一つの残基である、付記16〜19のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0130】
(付記21) 前記非プロトン系極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、ジオキソラン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれた、少なくとも一つの溶媒を含む、付記16〜20のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0131】
(付記22) 前記表示用組成物が、さらに、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含む、付記16〜21のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0132】
(付記23) 前記表示用組成物が、さらに、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含む、付記16〜22のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0133】
(付記24) 前記表示用組成物が、さらに二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの無機白色顔料粒子を含む、付記16〜23のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0134】
(付記25) 前記表示用組成物中の発色性物質の濃度をA’重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB’重量%、架橋物の濃度をC’重量%とした場合、
2≦A’≦20、
60≦B’≦83、
5≦C’≦20、
A’+B’+C’≦100
である、付記16〜24のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0135】
(付記26) 前記表示用組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD’重量%とした場合、
5≦D’≦50、
A’+B’+C’+D’≦100
である、付記25に記載のシート型表示装置。
【0136】
【発明の効果】
本発明により、装置の構造が簡単で、表示用原料組成物の漏洩の危険性がなく、高コントラスト、高白色度の装置を作製し易い、シート型表示装置技術が提供される。大型化も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート型表示装置の模式的断面図である。
【符号の説明】
1 表示用組成物
2 作用電極
3 ガラス基板
4 対極
5 ガラス基板
6 シール材
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば銀のように、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質を使用するエレクトロデポジション型ディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子ペーパ、ペーパーライクディスプレイ、デジタルペーパなどと呼ばれ、電界により光学的吸収や光学的反射を変化させて、像表示を行う表示装置が提案されている。
【0003】
電界により光学的吸収や光学的反射が変化する素子としては、色と電気的特性の双方が異なる半球を合わせた回転粒子を絶縁性液体とともに内包したマイクロカプセル、電気泳動粒子を分散させた溶媒を着色し、この溶媒を内包したマイクロカプセル(たとえば特許文献1参照。)、2色性色素とスメクチック液晶を含む液晶/高分子複合膜などがある。これらの技術を使用した表示装置は、メモリ性を有し、電源が無くても像情報を保持でき、反射型表示装置であるため、紙の代替として期待されている。電極のある基板として、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等を使用できるので、薄くて、軽く、曲げることが可能なシート型表示装置である。
【0004】
また、近年、紙なみのコントラスト、白色度を実現できるエレクトロデポジション型ディスプレイ(以下、EDDと呼称する場合がある。)も提案されている。このEDDは、たとえば、二枚の基板のそれぞれに接して設けられた透明作用電極と対極との間に、ハロゲン化銀とハロゲンを含む支持電解質とを含む固体電解質を配し、電位変化により透明電極に銀を析出することで発色させる(たとえば特許文献2,3参照。)。また、逆の電位によって透明電極上の銀が再溶解することで消色させる。
【0005】
さらに、この電解液とともに、白色の多孔質の背景板を用いる方法(たとえば特許文献4参照。)や、白色の無機顔料を分散した固体電解質を用いる方法(たとえば特許文献5参照。)では、背景部の反射率、白色度を高めることで、高コントラスト、高白色度が実現している。さらに、架橋重合化若しくは重合化された高分子電解物質の使用も提案されている(たとえば特許文献6参照。)。
【0006】
しかしながら、高コントラストを実現できる特許文献4の方法では、隔壁構造や背景板を必要とするため構造が複雑で、かつ電解液の漏洩の危険性があった。また、特許文献5に記載のポリエチレンオキサイドなどでは、電解液の比率を高めると固体電解質の十分な硬度が得られず、また、分散した二酸化チタンの凝集によるコントラストの低下といった問題があった。
【0007】
さらに、特許文献6に記載の架橋重合化若しくは重合化された高分子からなる固体電解質は具体性に乏しく、固体電解質の硬度の向上や分散した二酸化チタンの沈殿や凝集によるコントラストの低下の防止の点でどのような効果が得られるかは判然としていない。
【0008】
さらに大型のEDDを作製するには、基板間に電解質等の薬剤を塗布や注入等により配する方法や、作製した固体電解質を電極で担持する方法があるが、従来の組成では、前者の場合には、塗布・注入の作業中やその後に固体粒子が凝集や沈殿を起こす問題があり、後者の場合には、固体電解質が、単にゲル状体である等、機械的強度をほとんど有していないため、電極で担持するための固体電解質の移動が困難であり、いずれの方法も使用できなかった。
【0009】
なお、分散した二酸化チタン(顔料)の沈殿や凝集によるコントラストの低下は、具体的には、比重の大きな二酸化チタンが沈殿して、透明な層が一番表面にでき、また凝集により透明に抜けた部分ができるため、白表示における反射率の低下や黒表示における反射濃度の低下が起こることによるものと考えられる。
【0010】
【特許文献1】
特開平01−086116号公報(特許請求の範囲)
【0011】
【特許文献2】
米国特許4,240,716号(クレーム)
【0012】
【特許文献3】
米国特許4,240,717号(クレーム)
【0013】
【特許文献4】
特開平11−101994号公報(特許請求の範囲)
【0014】
【特許文献5】
特開2002−258327号公報(特許請求の範囲)
【0015】
【特許文献6】
特開2003−5224号公報(特許請求の範囲)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、装置の構造が簡単で、電解液の漏洩の危険性がなく、高コントラスト、高白色度の大型装置を作製し易い、新規なシート型表示装置技術を提供することを目的とする。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになるであろう。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(1)に示すアクリル系化合物とを含む表示用原料組成物を、透明作用電極と対極との間に配し、
【0018】
【化3】
【0019】
(式(1)において、R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X1は1〜6の価数を有する結合基である。mは1〜6の整数を表す。)
その後、アクリル系化合物を重合せしめ、透明作用電極と対極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うことができるようにする、シート型表示装置の製造方法が提供される。
【0020】
透明作用電極と対極との間に配する際の表示用原料組成物の粘度が5〜50000mPa・sの範囲にあること、発色性物質がハロゲン化銀であること、特にヨウ化銀であること、0.2μmより厚い銀の表面を有する対極を使用すること、加熱によりアクリル系化合物を重合せしめること、その加熱により架橋を生ぜしめること、アクリル系化合物が、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アリルアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートおよびアリルメタクリレートからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であること、非プロトン系極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、ジオキソラン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれた、少なくとも一つの溶媒を含むこと、表示用原料組成物が、さらに、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含むこと、表示用原料組成物が、さらに、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含むこと、表示用原料組成物が、さらに二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの無機白色顔料粒子を含むこと、表示用原料組成物が、更に、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、エチルセルロース、シアノレジン、ポリスチレンよりなる群から選ばれた少なくとも一つの物質を含むこと、表示用原料組成物中の発色性物質の濃度をA重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB重量%、アクリル系化合物の濃度をC重量%とした場合、
2≦A≦20、
60≦B≦83、
5≦C≦20、
A+B+C≦100
であること、表示用原料組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD重量%とした場合、
5≦D≦50、
A+B+C+D≦100
であることが好ましい。
【0021】
本発明の他の一態様によれば、透明作用電極と対極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(2)に記載の構造単位を有する架橋物とを含む表示用組成物を配し、
【0022】
【化4】
【0023】
(式(2)において、R2は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(2)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X2は2〜6の価数を有する結合基である。nは2〜6の整数を表す。)
透明作用電極と対極との間の通電により、発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うシート型表示装置が提供される。
【0024】
発色性物質がハロゲン化銀であること、特にヨウ化銀であること、対極が0.2μmより厚い銀の表面を有すること、式(2)におけるX2がエチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、グリセリン残基、ポリエチレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、トリメチロールプロパン残基、テトラメチロールメタン残基、ペンタエリスリトール残基、エトキシ化ペンタエリスリトール残基、ジペンタエリスリトール残基、およびアリルアルコール残基からなる群から選ばれた少なくとも一つの残基であること、非プロトン系極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、ジオキソラン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれた、少なくとも一つの溶媒を含むこと、表示用組成物が、さらに、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含むこと、表示用組成物が、さらに、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含むこと、表示用組成物が、さらに二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの無機白色顔料粒子を含むこと、表示用組成物中の発色性物質の濃度をA’重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB’重量%、架橋物の濃度をC’重量%とした場合、
2≦A’≦20、
60≦B’≦83、
5≦C’≦20、
A’+B’+C’≦100
であること、表示用組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD’重量%とした場合、
5≦D’≦50、
A’+B’+C’+D’≦100
であることが好ましい。
【0025】
上記の本発明の諸態様により、装置の構造が簡単で、電解液(表示用原料組成物や表示用料組成物)の漏洩の危険性がなく、高コントラスト、高白色度の大型装置を作製し易い、シート型表示装置技術を実現できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図、実施例等を使用して説明する。なお、これらの図、実施例等および説明は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明の趣旨に合致する限り他の実施の形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。
【0027】
本発明に係るシート型表示装置は、透明作用電極と対極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と非プロトン系極性溶媒とを含む表示用組成物を配してなり、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、1分子中に式(1)の括弧内の構造単位を1〜6個の範囲で有する、式(1)に記載のアクリル系化合物とを含む表示用原料組成物を、透明作用電極と対極との間に配し、
【0028】
【化5】
【0029】
その後、当該アクリル系化合物を重合せしめ、当該透明作用電極と当該対極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うことができるようにすることで作製できる。なお、式(1)において、R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X1は1〜6の価数を有する結合基である。mは1〜6の整数を表す。アクリル系化合物を重合した場合に架橋構造を生ぜしめるためには、X1が2〜6の価数を有する結合基であり、mが2〜6の整数であることが好ましい。
【0030】
本発明に係る表示用組成物はゲル状から完全な固体状までに渡る形態を有し、一般的には電解質である。本発明に係る表示用原料組成物はこの表示用組成物を作製するための原料であり、透明作用電極と対極との間に配する作業を塗布や注入で行うためには液状で取り扱うことが好ましい。
【0031】
透明作用電極と対極とは、通常基板の上に配される。透明作用電極を支持する基板の材質としては透明であることが必要であり、石英ガラス板、白板ガラス板等の透明ガラス基板を用いることが可能であるが、これに限定されず、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のエステル類、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル類、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のフッ素ポリマー類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン類、及びポリイミドアミドやポリエーテルイミド等のポリイミド類等を例として挙げることができる。
【0032】
対極を支持する基板の材質は、必ずしも透明である必要はなく、石英ガラス板、白板ガラス板等のガラス基板、セラミック基板、紙基板、木材基板等を用いることが可能であるが、これに限定されず、合成樹脂基板を使用可能であり、これには、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等のエステル類、ポリアミド、ポリカーボネート、酢酸セルロース等のセルロースエステル類、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフッ素ポリマー類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メチルペンテンポリマー等のポリオレフィン類、及びポリイミド−アミドやポリエーテルイミド等のポリイミド類を挙げることができる。
【0033】
上記の基板は、いずれの場合も、容易に曲がらないような剛性基板状にすることも、可撓性を持ったフィルム状の構造体とすることも可能である。
【0034】
作用電極は、表示を行うため透明であり、基板表面に、たとえばITO(インジウム錫酸化物)、SnO2といった導電性材料を蒸着、または塗布することで作製される。像の表示は、上記電極間の通電により、作用電極の近傍の発色性物質が電気化学的な酸化または還元反応により発色することで行われる。
【0035】
対極に使用する材料としては、導電性のある物質であれば特に制限はない。導電性の高い金属、たとえば、銀、金、白金、アルミニウム、銅の薄膜、または、蒸着膜、または塗布膜により導電層を形成してあるものが好ましい。
【0036】
特に、銀の析出、溶解により表示を行うシート型表示装置では、対極の電極表面に銀の導電層が形成されるようになっていると、対極側からも銀イオンが溶出するため、常に銀イオンが補充される状態となることから、表示速度が速く、高いコントラストが得られるため有利である。より具体的には、0.2μmより厚い銀の表面を有する対極を使用することが好ましい。この銀の膜厚は、シート型表示装置を作製する前の段階〜作製後のいずれの段階かで0.2μmより厚くなっていることを確認すれば十分である。このことにより、表示用組成物中の銀イオンの濃度を高く保て、高コントラスト、高白色度の装置を作製し易い。
【0037】
この透明作用電極と対極の間にスペーサを挟み、表示用原料組成物の投入口を除いてシールすることにより、シート型表示装置のセルやパネルを形成できる。このとき使用するスペーサには、作用電極と対極とが互いに接触することなく、十分な電極間距離が得られるのであれば特に制限なく、ポリプロピレン、ポリエステルなどの不織布、メッシュの類、粒子などを使用できる。粒子は、粒径分布のシャープなものが好ましく、架橋性高分子(ポリスチレン、アクリル等)、ワックス状物質、無機粒子(ジルコニア、ガラス等)の公知の材料で、表示用原料組成物や表示用組成物に溶解しないものを使用できる。ワックス状物質においては、ワックスの融点がアクリル系化合物の重合温度等、シート型表示装置の製造時の温度より高いことが必要である。
【0038】
また、シール材として使用できる材料としては、中に塗布、注入等する表示用原料組成物や表示用組成物が漏れさえしなければ特に制限なく、一般に使用される熱融着テープ、または2液性のエポキシ接着剤を使用してもよい。ただし、表示用原料組成物や表示用組成物に使用する溶媒に対し、耐久性の高いポリオレフィン系スペーサ、シール材がより好ましい。
【0039】
このようにして作製したセルやパネルに表示用原料組成物を塗布、注入等する。
塗布や注入等には公知の方法を適用することができる。注入は重量落下方式でも、真空吸引方式でもよい。
【0040】
本発明に係る表示用原料組成物は、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と非プロトン系極性溶媒と式(1)に示すアクリル系化合物とを含んでなり、支持電解質が含まれる場合が多い。本発明の趣旨に反しない限り、その他の材料を含んでいてもよい。
【0041】
酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質としては、ビスマス、銅、銀、リチウム、鉄、クロム、ニッケル、カドミウム等の電析可能なイオンを含有する物質を挙げることができるが、銀化合物、特にハロゲン化銀を含んでいることが好ましい。ハロゲン化銀としては、フッ化銀(AgF)、塩化銀(AgCl)、臭化銀(AgBr)、ヨウ化銀(AgI)を用いることができる。なお、溶解性の観点からヨウ化銀を用いるのが好ましい。また、ハロゲン化銀の濃度は、0.05〜8.0moL/Lが好ましい。
【0042】
ハロゲン化銀を溶解するための、ハロゲンを含む支持電解質としては、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムなどの公知の材料を用いることができる。なお、EDDの表示速度やハロゲン化銀の溶解性の観点からアンモニウム塩を用いるのが好ましい。また、この支持電解質はハロゲン化銀の濃度に対して、0.5〜2モル倍の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、ハロゲン化銀の濃度に対して0.5〜1モル倍の範囲である。
【0043】
また、他の支持電解質としては、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムなどの、過塩素酸塩、チオシアン酸塩、硫酸塩などの公知の材料が挙げられる。
【0044】
これらハロゲン化銀や支持電解質を溶解する非プロトン系極性溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジエチルホルムアミド(DEF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAA)、N−メチルプロピオン酸アミド(MPA)、N−メチルピロリドン(NMP)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、アセトニトリル(AN)、2−エトキシエタノール(EEOH)、2−メトキシエタノール(MEOH)、ジオキソラン(DOL)、エチルアセテート(EA)、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン(MeTHF)、ジメトキシエタン(DME)、γ−ブチロラクトン(GBL)等を用いることができ、これらを混合してもよい。なお、導電率や溶解性の観点から、DMSO、DMF、DEF、DMAAを用いることが好ましい。
【0045】
また、銀の溶解を促進するため、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、サリチル酸等を適宜添加してもよい。
【0046】
本発明に係る表示用原料組成物は、さらに、式(1)に示すアクリル系化合物を含有する。
【0047】
式(1)中X1とその他の構造部分とはエステル結合で結合されており、X1が1価のアルコールの残基であればmが1となり、2価のアルコールの残基であればmが2となり、3価のアルコールの残基であればnが3となるといった具合にm=6までの範囲を含む。
【0048】
エチレングリコールジアクリレートの場合を例示すれば、(CH2=CHCOO)2(CH2CH2)(OCOCH=CH2)である。−(CH2CH2)−がエチレングリコール残基に該当する。
【0049】
なお、上記X1の価数は、式(1)のmの価に対応するものである。たとえばメトキシジエチレングリコールアクリレートの場合には、グリコール残基の価数ではなく、メトキシジエチレングリコール残基であるCH3OCH2CH2OCH2CH2−の価数である1である。また、たとえば4価のアルコールの内の三つのヒドロキシ基がアクリレートとなっている場合には、フリーのヒドロキシ基は数えない。テトラメチロールメタントリアクリレートがその例である。
【0050】
R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表すが、重合性や入手の容易さから、水素または炭素数1が好ましい。すなわち、アクリレートまたはメタクリレートが好ましい。なお、m=2以上では、一分子中にR1が複数存在することになるが、これらは互いに同一でも相異なっていてもよい。すなわち、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。
【0051】
具体的なアクリル系化合物としては、(1)単官能モノマーとして、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートなど、(2)2官能モノマーとして、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(3)3官能モノマーとして、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレートなど、(4)4官能モノマーとして、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど、(5)6官能モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの公知の材料が挙げられる。その他としてアリルアルコールのエステルを含めることができる。上記において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートとメタクリレートの両方を意味する慣用表現である。なお、上記は例であり、本発明はこれら材料に限定されるものではない。
【0052】
上記のごときアクリル系化合物を重合させることで、本発明に係る表示用組成物が得られ、この表示用組成物を透明作用電極と対極との間に配することにより、透明作用電極と対極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させて表示を行うシート型表示装置を実現できる。具体的には、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(3)に記載の構造単位を有する物質とを含む表示用組成物を得ることができる。
【0053】
【化6】
【0054】
なお、式(3)において、R3は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(3)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X3は1〜6の価数を有する結合基である。n’は1〜6の整数である。式(3)を式(1)と比べるときには、R3がR1に、X3がX1に、n’がmに対応する。
【0055】
式(3)の構造は、架橋を有していることが好ましい。表示用組成物がゲル状体〜完全な固体状態となり易く、扱いが容易になるからである。
【0056】
具体的には、式(3)に記載の構造単位を有する物質が、式(2)に記載の構造単位を有する架橋物であることが好ましい。式(2)を式(1)と比べるときには、R2がR1に対応し、X2が、2〜6の価数を有する結合基である場合のX1に、nが、2〜6の整数である場合のmに対応する。
【0057】
【化7】
【0058】
(式(2)において、R2は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(2)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X2は2〜6の価数を有する結合基である。nは2〜6の整数を表す。)
R2やR3は、上記のR1に対応して、重合性や入手の容易さから、水素または炭素数1が好ましい。すなわち、アクリレートまたはメタクリレートが好ましい。
【0059】
式(2)におけるX2や式(3)におけるX3としては、上記のX1についての説明に対応して、エチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、グリセリン残基、ポリエチレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、トリメチロールプロパン残基、テトラメチロールメタン残基、ペンタエリスリトール残基、エトキシ化ペンタエリスリトール残基、ジペンタエリスリトール残基、およびアリルアルコール残基からなる群から選ばれた少なくとも一つの残基を挙げることができる。式(3)におけるX3としては、さらに、メトキシジエチレングリコール残基、メトキシトリエチレングリコール残基、フェノキシエチル残基を挙げることができる。
【0060】
この表示用組成物はアクリル系化合物の使用により透明性が高く、良好なゲル状態〜固体状態を有しており、電解液の漏洩の危険性のない固体電解質として十分な硬度を有する。また、二酸化チタン等の白色顔料を表示用組成物中に良好に分散して、その凝集や沈殿を抑制でき、従って適切な白色面を作製しやすく、高コントラスト、高白色度の装置を作製し易い。また、表示用原料組成物の段階では液状であり、塗布や注入が容易にできるように粘度を調整することができることから、装置構造を簡略化でき、大型装置を作製し易い。
【0061】
なお、上記において、表示用原料組成物中のアクリル系化合物が単官能モノマーすなわちm=1の場合、このアクリル系化合物から得られる重合体は、架橋を有しないものとすることができる。ただし、この場合であっても、表示用原料組成物中に別の架橋性モノマーやオリゴマーを共存させ、その結果、表示用組成物が架橋性重合体を含むようにすることも可能である。
【0062】
アクリル系化合物の重合は、熱重合、光重合等どのような形式によるものでもよいが、均一な重合を短時間で実現できる点で熱重合が好ましい。この重合開始剤としては、アゾ系重合開始剤、過酸化物などの公知の材料が挙げられる。重合開始剤はアクリル系化合物に対し、0.5〜30重量%添加するのが好ましい。
【0063】
本発明に係る表示用原料組成物には、コントラスト向上のために白色顔料を添加することが好ましい。白色顔料としては二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムが挙げられるが、隠蔽率の観点から二酸化チタンを用いるのが好ましい。
【0064】
表示用原料組成物中で白色顔料を均一かつ安定に分散し、沈殿、凝集を防止する目的からは、透明作用電極と対極との間に配する際の表示用原料組成物の粘度を5〜50000mPa・s(ミリパスカル・秒)の範囲に保つことが有用である。5mPa・s未満では、顔料の沈殿、凝集防止効果が小さいことが多く、50000mPa・sを超えると、塗布、注入の操作が困難になる場合が多い。より好ましい範囲は、10〜20000mPa・sである。本発明に係る表示用原料組成物の粘度はたとえばB型粘度計等で測定することができる。
【0065】
粘度には、表示用原料組成物の温度が影響する。従って、上記の範囲は、透明作用電極と対極との間に表示用原料組成物を配する際の範囲である。実際には、室温で塗布、注入等の作業を行うことが多いので、室温における表示用原料組成物の粘度を上記の範囲に保つことが好ましい。
【0066】
なお、表示用原料組成物はチキソトロピー性を有することも好ましい。チキソトロピー性を有していれば、塗布、注入等の作業時は粘度が比較的低いため作業が容易になり、作業後は増粘により、沈殿凝集の防止が容易になるからである。
【0067】
表示用原料組成物の粘度は、その組成や上記のように温度を調節して適当に変更調節することができるが、粘度調節や粒子分散の目的からは、表示用原料組成物に溶解可能なものの中から、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、エチルセルロース、シアノレジン、ポリスチレンなどの高分子材料を用いることが好ましい。その添加量は、表示用原料組成物中1〜5重量%が目安となる。
【0068】
表示用原料組成物中における、上記発色性物質、非プロトン系極性溶媒、アクリル系化合物の割合は、発色性物質の濃度をA重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB重量%、アクリル系化合物の濃度をC重量%とした場合、
2≦A≦20、
60≦B≦83、
5≦C≦20、
A+B+C≦100
であることが好ましい。
【0069】
さらに、前記表示用原料組成物中に無機白色顔料粒子を含有させる場合には、その濃度をD重量%とした場合、
5≦D≦50、
A+B+C+D≦100
であることが好ましい。
【0070】
なお、上記を表示用組成物中の割合の観点から見れば、表示用組成物中の発色性物質の濃度をA’重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB’重量%、架橋物の濃度をC’重量%とした場合、
2≦A’≦20、
60≦B’≦83、
5≦C’≦20、
A’+B’+C’≦100
であることや、
表示用組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD’重量%とした場合、
5≦D’≦50、
A’+B’+C’+D’≦100
であることが好ましい。
【0071】
上記の組成により、電解液の漏洩の危険性がない固体電解質として十分な硬度を有し、二酸化チタン等の固体粒子の凝集や沈殿を抑制でき、かつ、発色と消色とによる表示も十分であり、高コントラスト、高白色度のシート型表示装置が得られる。
【0072】
これらの材料を混合して作製した表示用原料組成物を、セル等に塗布、注入等し、その後封止することによりシート型表示装置を作製できる。なお、表示用原料組成物注入後、セル等の内部の空気を除くため真空に引いてから封止を行った方がよい場合がある。アクリル系化合物の重合は、セル等への塗布、注入後であれば、適宜定めることができる。
【0073】
上記の技術により、透明作用電極と対極との間に表示用組成物が充填され、これらの電極間の通電により、透明作用電極近傍で、電気化学的な酸化もしくは還元反応により、発色性物質を発色または消色させることで表示を行うシート型表示装置を得ることができる。
【0074】
このシート型表示装置は、低電圧で駆動でき、高解像度、高表示応答性、良好な表示を実現でき、低エネルギー、低コストが実現でき、紙のように薄く、フレキシブルでかつ画像の書き込み、表示、消去が容易なペーパライクディスプレイへの応用が期待できる。
【0075】
【実施例】
次に本発明の実施例を詳述する。なお、以下において、粘度は、室温下、東京計器社製DVM−Eを用いて測定した。
【0076】
[実施例1]
DMFとDMSOの混合溶媒(体積比率7:3)に、ヨウ化銀(0.15moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.15moL/L)、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.5moL/L)、シュウ酸(0.18moL/L)を溶解した。
【0077】
この液3.4gに対し、モノマー(新中村化学社製トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP))0.6gを溶解した。さらに、DMFとDMSOの混合溶媒(体積比率7:3)に重合開始剤(2,2−アゾビス−イソブチロニトリル)を2.5重量%溶解した液400μLを混合し、二酸化チタン(石原産業社製CR−95)を15重量%分散した。この分散液が本発明に係る表示用原料組成物に該当する。なお、分散液の粘度は5.39mPa・sであった。
【0078】
ITOガラス基板(10Ω/□、ガラス板厚1.1mm、ガラスサイズ150mm×150mm)と銀蒸着ガラス基板(銀膜厚1.0μm、ガラス板厚1.1mm、ガラスサイズ150mm×150mm)の間に、熱融着フィルム(クラボウ社製、クランベターA−1510:75μm厚を4枚積層)をスペーサ(ギャップ150μm)として挟んで生じた空間に、この分散液を室温下で液の自由落下により注入し、温度110℃、窒素雰囲気下で10分加熱した結果、モノマーが架橋重合し、表示用原料組成物は表示用組成物になった。この結果、図1の断面構造を有するシート型表示装置が得られた。図1中、表示用組成物1は、作用電極2を配したガラス基板3と対極4を配したガラス基板5との間に挟持され、その両端でシール材6でシールされている。スペーサは図示されていない。矢印は表示を見る視線の方向を示す。このシート型表示装置のITO電極に電圧−1.2Vを10秒間印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率52%、コントラスト200が実現できた。
【0079】
このシート型表示装置を、表示面を上にして置き24時間放置後、再度同様の表示を行ったところ、最大反射率、コントラストとも変化なく、二酸化チタン等の固体粒子の凝集や沈殿が防止されているものと認められた。
【0080】
また、このシート型表示装置を破壊して、表示用組成物を観察したところ、十分ゲル化しており、電解液(表示用組成物)の漏洩の危険性が全くないことが判明した。
【0081】
[実施例2]
銀蒸着ガラスの銀膜厚を0.2μmとした以外は、実施例と同様に作製した。実施例1と同様にして電圧を印加したところ、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定した結果、最大反射率52%、コントラスト8であり、実施例1に比べ、コントラストが低下した。
【0082】
[実施例3]
DMAAとDMSOの混合溶媒(体積比率5:5)に、ヨウ化銀(0.15moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.15moL/L)、過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.5moL/L)、シュウ酸(0.18moL/L)を溶解した。この時、粘度は2.6mPa・sであった。
【0083】
この組成物3.2gに対し、モノマー(新中村化学社製トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)(A−DCP))0.6gを溶解した。さらに、DMAAとDMSOの混合溶媒(体積比率5:5)に和光純薬社製重合開始剤V−65を2.5重量%溶解した液400μLを混合し、二酸化チタンCR−95を5重量%分散した。この時の粘度は3.0mPa・sであり、この状態で放置すると、数分で二酸化チタンの沈降が目視で確認できた。
【0084】
次に、粘度調節剤兼二酸化チタン分散剤として、和光純薬社製ポリビニルピロリドン(K−90)を0.2g溶解し、撹拌機で3分間混合した。この時の粘度は46.9mPa・sで、10分間の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを目視で確認できた。さらに、スペーサとして、平均粒径50μmの積水化学社製ミクロパール(SP−250)0.006gを混合し、表示用原料組成物を作製した。
【0085】
厚さ188μmの王子トービ社製ITOフィルム(OTEC−130)の周囲に、東洋紡社製熱融着フィルム(バイロンGM−920、厚さ50μm)の接着層を設けたのち、表示用原料組成物を室温下塗布した。
【0086】
次に、銀の膜厚が0.3μmの銀蒸着PETフィルムをシーラーで圧着し、温度80℃で30分間加熱してA−DCPを重合させ、シート型表示装置(表示パネル)を作製した。
【0087】
このシート型表示装置のITO電極に電圧−1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色に表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率70%、コントラスト25が実現できていることが判明した。
【0088】
このシート型表示装置を、表示面を上にして置き24時間放置後、再度同様の表示を行ったところ、最大反射率、コントラストとも変化なく、二酸化チタン等の固体粒子の凝集や沈殿が防止されているものと認められた。なお、実施例4〜7についても同様であった。
【0089】
[実施例4]
PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に、ヨウ化銀(0.4moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.2moL/L)を溶解した。
【0090】
この液4.4gに対し、モノマー(新中村化学製ポリエチレングリコールジアクリレート(A−200))0.5g、およびシアノレジン(CR−S:信越化学製)0.1gを溶解した。さらに、PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に重合開始剤V−65(和光純薬製)を2.5重量%溶解した液500μLを混合し、二酸化チタンCR−58(石原産業製)を5重量%分散した。このときの粘度は13.9mPa・sであり、10分間の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを確認できた。
【0091】
つぎに、熱融着フィルムA−1510(厚さ75μm)を用い、ギャップを50μmにした以外は実施例1と同様の電極間にこの液体を注入し、温度80℃で15分加熱することで、シート型表示装置を作製した。
【0092】
このシート型表示装置のITO電極に電圧1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率54%、コントラスト15を実現した。
【0093】
[実施例5]
PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に、ヨウ化銀(0.4moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.2moL/L)を溶解した。
【0094】
この液4.4gに対し、モノマー(新中村化学製ポリプロピレングリコールジアクリレート(APG−700))0.5g、およびシアノレジン(CR−S:信越化学製)0.1gを溶解した。さらに、PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に重合開始剤V−65(和光純薬製)を2.5重量%溶解した液500μLを混合し、二酸化チタン:CR−58(石原産業製)を5重量%分散した。このときの粘度は12.7mPa・sで、10分間の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを確認できた。
【0095】
熱融着フィルムA−1510(厚さ:75μm)を用い、ギャップを50μmにした以外は実施例1と同様の電極問にこの液体を注入し、温度80℃で15分加熱することで、シート型表示装置を作製した。
【0096】
このシート型表示装置のITO電極に電圧1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率50%、コントラスト16を実現した。
【0097】
[実施例6]
PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に、ヨウ化銀(0.4moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.2moL/L)を溶解した。
【0098】
この液4.4gに対し、モノマー(新中村化学製エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ATM−8E))0.5g、およびシアノレジン(CR−S:信越化学製)0.1gを溶解した。さらに、PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に重合開始剤V−65(和光純薬製)を2.5重量%溶解した液500μLを混合し、二酸化チタン:CR−58(石原産業製)を5重量%分散した。このときの粘度は14.0mPa・sで、10分間の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを確認できた。
【0099】
熱融着フィルムA−1510(厚さ:75μm)を用い、ギャップを50μmにした以外は実施例1と同様の電極間にこの液体を注入し、温度80℃で15分加熱することで、シート型表示装置を作製した。
【0100】
このシート型表示装置のITO電極に電圧1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye938(X−rite社製)で測定すると、最大反射率53%、コントラスト17を実現した。
【0101】
[実施例7]
PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に、ヨウ化銀(0.4moL/L)、ヨウ化アンモニウム(0.2mL/L)、チオシアン酸ナトリウム(0.05moL/L)を溶解した。
【0102】
この液4.4gに対し、モノマー(新中村化学製グリセリンジメタクリレート701)0.5g、およびシアノレジン(CR−S:信越化学製)0.1gを溶解した。さらに、PCとECの混合溶媒(体積比率4:6)に重合開始剤V−65(和光純薬製)を2.5重量%溶解した液500μLを混合し、二酸化チタン:CR−58(石原産業製)を5重量%とミクロパールSP−250(積水化学製)0.008gを分散した。このときの粘度は22.0mPa・sで、10分問の放置でも二酸化チタンの沈降、凝集がないことを確認できた。
【0103】
ITOフィルムOTEC−110B−N125N(厚さ125μm、王子トービ製)の周囲に熱融着フィルム:GA6400(厚さ50μm)の接着層を設けたのち、液を塗布した。次に、銀蒸着PETフィルム(銀の厚さ:0.25μm)をシーラーで圧着し、温度80度で30分加熱し、シート型表示装置を作製した。
【0104】
このシート型表示装置のITO電極に電圧1.2Vを印加することで、銀が析出し、黒色を表示できた。この時、測色計Spectroeye
938(XTite社製)で測定すると、最大反射率71%、コントラスト23を実現した。
【0105】
なお、上記に開示した内容から、下記の付記に示した発明が導き出せる。
【0106】
(付記1) 酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(1)に示すアクリル系化合物とを含む表示用原料組成物を、透明作用電極と対極との間に配し、
【0107】
【化8】
【0108】
(式(1)において、R1は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(1)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X1は1〜6の価数を有する結合基である。mは1〜6の整数を表す。)
その後、当該アクリル系化合物を重合せしめ、
当該透明作用電極と当該対極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うことができるようにする、シート型表示装置の製造方法。
【0109】
(付記2) 透明作用電極と対極との間に配する際の前記表示用原料組成物の粘度が5〜50000mPa・sの範囲にある、付記1に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0110】
(付記3) 前記発色性物質がハロゲン化銀である、付記1または2に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0111】
(付記4) 前記ハロゲン化銀がヨウ化銀である、付記3に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0112】
(付記5) 0.2μmより厚い銀の表面を有する対極を使用する、付記3または4に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0113】
(付記6) 加熱により前記アクリル系化合物を重合せしめる、付記1〜5のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0114】
(付記7) 前記加熱により架橋を生ぜしめる、付記6に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0115】
(付記8) 前記アクリル系化合物が、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アリルアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートおよびアリルメタクリレートからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である、付記1〜7のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0116】
(付記9) 前記非プロトン系極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、ジオキソラン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれた、少なくとも一つの溶媒を含む、付記1〜8のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0117】
(付記10) 前記表示用原料組成物が、さらに、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含む、付記1〜9のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0118】
(付記11) 前記表示用原料組成物が、さらに、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含む、付記1〜10のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0119】
(付記12) 前記表示用原料組成物が、さらに二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの無機白色顔料粒子を含む、付記1〜11のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0120】
(付記13) 前記表示用原料組成物が、更に、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、エチルセルロース、シアノレジン、ポリスチレンよりなる群から選ばれた少なくとも一つの物質を含む、付記1〜12のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0121】
(付記14) 前記表示用原料組成物中の発色性物質の濃度をA重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB重量%、アクリル系化合物の濃度をC重量%とした場合、
2≦A≦20、
60≦B≦83、
5≦C≦20、
A+B+C≦100
である、付記1〜13のいずれかに記載のシート型表示装置の製造方法。
【0122】
(付記15) 前記表示用原料組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD重量%とした場合、
5≦D≦50、
A+B+C+D≦100
である、付記14に記載のシート型表示装置の製造方法。
【0123】
(付記16) 透明作用電極と対極との間に、酸化と還元とにより発色と消色とを繰り返し行うことのできる発色性物質と、非プロトン系極性溶媒と、式(2)に記載の構造単位を有する架橋物とを含む表示用組成物を配し、
【0124】
【化9】
【0125】
(式(2)において、R2は水素または枝分かれしていてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、式(2)の構造単位中で同一であっても異なっていてもよい。X2は2〜6の価数を有する結合基である。nは2〜6の整数を表す。)
当該透明作用電極と当該対極との間の通電により、当該発色性物質を発色または消色させることにより表示を行うシート型表示装置。
【0126】
(付記17) 前記発色性物質がハロゲン化銀である、付記16に記載のシート型表示装置。
【0127】
(付記18) 前記ハロゲン化銀がヨウ化銀である、付記17に記載のシート型表示装置。
【0128】
(付記19) 前記対極が0.2μmより厚い銀の表面を有する、付記17または18に記載のシート型表示装置。
【0129】
(付記20) 前記式(2)におけるX2がエチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、トリシクロデカンジメタノール残基、グリセリン残基、ポリエチレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、トリメチロールプロパン残基、テトラメチロールメタン残基、ペンタエリスリトール残基、エトキシ化ペンタエリスリトール残基、ジペンタエリスリトール残基、およびアリルアルコール残基からなる群から選ばれた少なくとも一つの残基である、付記16〜19のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0130】
(付記21) 前記非プロトン系極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオン酸アミド、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、アセトニトリル、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、ジオキソラン、エチルアセテート、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、γ−ブチロラクトンからなる群から選ばれた、少なくとも一つの溶媒を含む、付記16〜20のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0131】
(付記22) 前記表示用組成物が、さらに、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含む、付記16〜21のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0132】
(付記23) 前記表示用組成物が、さらに、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、チオシアン酸イソシアネート、チオシアン酸アンモニウム、硫化ナトリウムからなる群から選ばれた少なくとも一つの支持電解質を含む、付記16〜22のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0133】
(付記24) 前記表示用組成物が、さらに二酸化チタン、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一つの無機白色顔料粒子を含む、付記16〜23のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0134】
(付記25) 前記表示用組成物中の発色性物質の濃度をA’重量%、非プロトン系極性溶媒の濃度をB’重量%、架橋物の濃度をC’重量%とした場合、
2≦A’≦20、
60≦B’≦83、
5≦C’≦20、
A’+B’+C’≦100
である、付記16〜24のいずれかに記載のシート型表示装置。
【0135】
(付記26) 前記表示用組成物中の無機白色顔料粒子の濃度をD’重量%とした場合、
5≦D’≦50、
A’+B’+C’+D’≦100
である、付記25に記載のシート型表示装置。
【0136】
【発明の効果】
本発明により、装置の構造が簡単で、表示用原料組成物の漏洩の危険性がなく、高コントラスト、高白色度の装置を作製し易い、シート型表示装置技術が提供される。大型化も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシート型表示装置の模式的断面図である。
【符号の説明】
1 表示用組成物
2 作用電極
3 ガラス基板
4 対極
5 ガラス基板
6 シール材
Claims (5)
- 透明作用電極と対極との間に配する際の前記表示用原料組成物の粘度が5〜50000mPa・sの範囲にある、請求項1に記載のシート型表示装置の製造方法。
- 0.2μmより厚い銀の表面を有する対極を使用する、請求項1または2に記載のシート型表示装置の製造方法。
- 前記対極が0.2μmより厚い銀の表面を有する、請求項4に記載のシート型表示装置。
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---|---|---|---|
JP2003193648A JP2005031192A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | シート型表示装置とその製造方法 |
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---|---|---|---|---|
JP2011075895A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Taiyo Holdings Co Ltd | エレクトロクロミック組成物 |
JP2011180454A (ja) * | 2010-03-02 | 2011-09-15 | Taiyo Holdings Co Ltd | エレクトロクロミック組成物 |
CN116243528A (zh) * | 2022-12-15 | 2023-06-09 | 安徽立光电子材料股份有限公司 | 一种致色均匀的固态电致变色器件的生产方法及固态电致变色器件 |
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2003
- 2003-07-08 JP JP2003193648A patent/JP2005031192A/ja not_active Withdrawn
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