JP2005030909A - におい分布測定方法並びに装置、及びにおい発生源特定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のにおいの混じった空間におけるにおい分布を容易に測定する。
【解決手段】におい成分に対して応答特性の異なる複数のにおいセンサを備えるセンサユニット2を枠体3の所定位置に取り付けた測定ユニット1を測定対象空間内に設置する。3次元状に配置された各センサユニット2では同時に測定が行われ、各においセンサで得られたデータに基づいてセンサユニット2の設置位置におけるにおいの強度とにおいの質(種類)との情報が求められ、これを集約して、においの質の空間内分布やにおい強度の空間分布などを示す表示が表示画面上になされる。
【選択図】 図1
【解決手段】におい成分に対して応答特性の異なる複数のにおいセンサを備えるセンサユニット2を枠体3の所定位置に取り付けた測定ユニット1を測定対象空間内に設置する。3次元状に配置された各センサユニット2では同時に測定が行われ、各においセンサで得られたデータに基づいてセンサユニット2の設置位置におけるにおいの強度とにおいの質(種類)との情報が求められ、これを集約して、においの質の空間内分布やにおい強度の空間分布などを示す表示が表示画面上になされる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサの一種であるにおいセンサを使用して空間(閉鎖空間及び開放空間)内のにおいの分布を測定するにおい分布方法とその装置、さらには空間内でのにおいの発生場所を特定するためのにおい発生源特定装置に関する。なお、ここで言う「におい」とは通常、人間が感知する臭気、香気などを含むのは当然であるが、人間の嗅覚では通常感知し得ない物質であっても、においセンサが検知可能であるような物質(ガス)全般を含むこととする。
【0002】
【従来の技術】
従来、においの識別や評価は、実際に人間の嗅覚を用いて行われるのが一般的であった。しかしながら、実際に臭いを嗅ぐ人(パネル)の個人差やその日の体調によって嗅覚が変動することを想定する必要があるため、客観的な結果を精度良く得るためには、パネルを一定人数以上確保し、試験場所の環境等にも十分な配慮を必要とする。そのため、手間と時間が膨大なものとなる。また、このような配慮を行っても、人間の嗅覚はにおいに順応するという特性を有しているため、常に一定基準で確定的な判断を下すことは困難であった。
【0003】
これに対し、近年、におい物質に対して応答するにおいセンサを利用したにおい測定装置が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1など参照)。このようなにおい測定装置では、複数のにおいセンサにより取得された検出信号を基に、クラスタ分析、主成分分析等の各種多変量解析処理、或いはニューラルネットワークを用いた非線形解析処理などを行って、複数の試料のにおいの離間距離(近い範疇のにおいであるかどうか)を求めることができる。
【0004】
こうした従来知られているにおい測定装置を使用したにおい測定では、測定対象地点でサンプルバッグ等に空気(ガス)を捕集し、そのサンプルバッグをにおい測定装置にセットして解析を行う必要がある。そのため、多数の測定対象地点におけるにおいを同時に測定することは手間が掛かり、非常に困難である。また、ガス捕集から測定までに或る程度の時間が経過するため、ガス成分がサンプルバッグへ吸着し易いものであったり分解し易いものであったりした場合には、ガス捕集時と測定時とで組成や濃度が若干変化し、測定精度の劣化の一因となる可能性もある。
【0005】
近年、生活環境におけるにおいの重要性が増す中で、こうしたにおい分布の測定の必要性が増大している。従来、限られた空間内でのにおい強度の分布を測定する装置は、例えば特許文献3などにより知られている。この特許文献3に記載の装置では、トイレ室内の複数の箇所に臭気センサを取り付け、各臭気センサで臭気濃度を検出し、その臭気濃度とセンサ位置との関係とに基づいてその室内の臭気濃度分布を表示するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−352088号公報
【特許文献2】
特開2002−22692号公報
【特許文献3】
特開平7−91985号公報
【非特許文献1】
喜多純一、青山佳弘、ほか7名著、「におい識別装置の開発」、島津評論、Vol. 59 No.1・2 2002年11月、p.77−p.85、株式会社島津製作所
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のにおい分布測定装置では必ずしも充分な測定が行えないことが多い。具体的には例えば、トイレ室内に置かれる消臭・芳香製品などの効果を調べる場合、小便器や大便器などから漂う臭気と、消臭・芳香製品から発せられる香気とがトイレ室内では混合する。上記装置では、こうした複数のにおいがいずれも臭気濃度として検出されるため、目的とする消臭・芳香製品の作用を調べることができない。
【0008】
また、こうしたにおい測定の応用として、各種のにおいが存在している状態で、特定のにおいの発生源を特定したい場合がある。具体的には、例えば火災現場などで焦げ臭いにおいが充満している状況下で、火災の一因であるガソリン、灯油などの付着している場所の特定を行いたいような場合である。上記におい分布測定装置では特定のにおいの強度を選択的に測定することはできないため、こうした測定に対しても対応ができなかった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みて成されたものであり、その第1の目的とするところは、複雑に混合したにおいの空間的な広がり状況、更にはその時間的な変動状況などを的確に把握することができるにおい分布測定方法及び装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、こうしたにおいの発生源を正確に特定することができるにおい発生源特定装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段、及び効果】
上記第1の目的を達成するために成された第1発明に係るにおい分布測定方法は、それぞれ異なる応答特性を有する複数のセンサを1組としたセンサユニットを測定対象である空間内にn(n=1〜3の整数)次元的に複数組、配置し、各センサユニットの複数のセンサからそれぞれ得られる検出信号に基づいてそのセンサユニットの設置位置におけるにおいの強度及び/又は質に関連した情報を算出し、前記各センサユニットでそれぞれ算出された前記情報に基づいて、前記センサユニットが配置された空間におけるにおいの強度及び/又は質のn次元分布を表現する情報を求めることを特徴としている。
【0011】
第2発明は第1発明に係るにおい分布測定方法を具現化したにおい分布測定装置であって、
a)それぞれ異なる応答特性を有する複数のセンサを1組として、測定対象である空間内にn(n=1〜3の整数)次元的に複数組、配置されたセンサユニットと、
b)各センサユニットの複数のセンサからそれぞれ得られる検出信号に基づいて、そのセンサユニットの設置位置におけるにおいの強度及び/又は質に関連した情報を算出する演算処理手段と、
c)前記演算処理手段により各センサユニット毎にそれぞれ算出された前記情報に基づいて、前記複数組のセンサユニットが配置された空間におけるにおいの強度及び/又は質のn次元分布を表現する情報を求める表示処理手段と、を備えることを特徴としている。
【0012】
第1発明に係るにおい分布測定方法及び第2発明に係るにおい分布測定装置において、1、2又は3次元的に分散して配置された各センサユニットでは、複数のセンサが周囲の空気(ガス)に接触し、そのガス成分に応じてそれぞれ異なる検出信号を出力する。演算処理手段は所定のアルゴリズムに従って、各センサユニット毎に上記複数の検出信号を処理することにより、そのガスに含まれるにおいの強度と質のいずれか一方又は両方を算出する。
【0013】
演算処理手段におけるアルゴリズムとして、周知のように主成分分析、クラスタ分析等の各種多変量解析処理を行うもののほか、本出願人が特願2002−254975号等で提案しているように、m個のセンサから得られる検出信号をm次元空間内の1個の測定点で表し、予め標準ガスを測定することでm次元空間内に作成したベクトルや校正曲線と上記測定点との距離や位置関係などに基づいて、においの強度や質を求めるようにしてもよい。このような処理により、各センサユニットの設置位置におけるにおいの強度やにおいの質が求まる。こうした情報に基づいて、表示処理手段は、センサユニットが配置された空間におけるにおいの強度及び/は質の1、2又は3次元分布を表現する情報を算出する。
【0014】
なお、ここで例えば細い管路内でのにおいの分布を求めたい場合にはn=1とすればよい。また、高さが殆ど無視できる程度の平坦な空間内でのにおいの分布を求めたい場合にはn=2とすればよく、一般の、高さ及び水平方向への広がりを考慮する必要があるような空間内でのにおいの分布を求めたい場合にはn=3とすればよい。
【0015】
このように第1及び第2発明によれば、多地点でのにおい測定を同時に行うことができ、しかも、各地点においてにおいの質を識別しているので、空間内での異なるにおいの分布状況を的確に把握することができる。また、多地点で連続的に又は任意の時間間隔毎に繰り返し測定を行うことによって、においの強度や質の分布の時間経過状況を得ることもできる。これによって、例えば悪臭が充満した部屋内に芳香剤を置いたときに、その芳香剤による香気の拡散状況と悪臭の減衰状況とを時間的に観察する、といった様々なにおい分布とその変動の測定が可能となる。
【0016】
また、上記第2の目的を達成するために成された第3発明に係るにおい発生源特定装置は、
a)それぞれ異なる応答特性を有する複数のセンサを1組として、測定対象である空間内にn(n=1〜3の整数)次元的に複数組、配置されたセンサユニットと、
b)各センサユニットの複数のセンサからそれぞれ得られる検出信号に基づいて、そのセンサユニットの設置位置におけるにおいの強度及び/又は質に関連した情報を算出する演算処理手段と、
c)前記第1演算処理手段により各センサユニット毎にそれぞれ算出された前記情報及び各センサユニットの設置位置情報を利用して、前記複数組のセンサユニットが配置された空間におけるにおいの発生源の位置を推定する位置推定処理手段と、を備えることを特徴としている。
【0017】
この第3発明に係るにおい発生源特定装置では、位置推定処理手段は、上記第2発明によって得られるn次元の空間内のにおい強度やにおいの質の空間的分布と各センサユニットの設置位置情報とに基づいて、複数組のセンサユニットが配置された空間におけるにおいの発生源の位置を推定する。具体的には、においの質の相違する複数のにおいが空間内に存在する場合、同質のにおい又は同一成分であると推測されるにおいについてのにおい強度の分布に基づき、そのにおいの強度が最も強くなる位置を推定し、その位置をにおい発生源であると看做して特定する。
【0018】
この第3発明に係るにおい発生源特定装置によれば、においの質を識別した上でそのにおいの質毎のにおい強度の分布からにおいの発生源が推定されるので、においの発生源を正確に特定することができる。特に異なるにおい発生源から発するにおいが混合している場合であっても、各においの発生源をそれぞれ正確に特定することができる。
【0019】
【実施例】
まず、本発明に係るにおい分布測定装置の一実施例について、図面を参照して説明する。図1、図2はそれぞれ本実施例のにおい分布測定装置に使用される測定ユニット1の概略斜視図、図3は本実施例のにおい分布測定装置の全体構成図である。
【0020】
図1に示す測定ユニット1では、外形が直方体形状の枠体3の1つの垂直面及び水平面内に9組のセンサユニット2、合計で27組のセンサユニット2を備える(ここでは27個のセンサユニットの符号を201〜227と付す)。各センサユニット201〜227は基本的には枠体3に固定されているが、枠体3に沿って任意の位置に移動可能としてもよい。但し、後述するようにセンサユニット201〜227の設置位置を表す情報が必要となるため、センサユニット201〜227を移動可能な構成とする場合にはその位置情報を取得できる構成としておくものとする。図1に示す測定ユニット1では、測定対象である空間内に載置するだけで各センサユニット201〜227の位置が決まるので、測定者にとっては作業が容易である。
【0021】
一方、図2に示す構成では、台座部5から略垂直に延伸するポール4の所定位置に3個のセンサユニット2が取り付けられており、これを図2に示すように所定間隔離した位置に設置することで、図1の測定ユニット1と同様のセンサユニット配置を実現している。ポール4に対するセンサユニット2の取付位置は基本的には固定であるが、図1の場合と同様に上下に移動自在としてもよい。
【0022】
なお、図1、図2ではセンサユニットを3次元的に27個分散して配置しているが、その個数は任意に定めることができ、当然のことながら、個数を増やすほど緻密な測定が可能となる。また、ここでは3次元空間内のにおいの分布を測定することを前提としているが、例えば細い管路の内部空間のにおいの分布を測定する場合には、その管路の延伸方向に沿って1次元的に(つまり一直線状に)2個以上のセンサユニットを配置する構成とすればよい。また、殆ど高さがないがような平板状に広がる空間内のにおいの分布を測定する場合、或いは空間自体は広くてもその中の或る面上でのにおいの分布のみを問題とする場合には、2次元的に2個以上のセンサユニットを配置する構成とすればよい。
【0023】
この例では、1組のセンサユニット2は、それぞれ6個のにおいセンサ2a、2b、2c、2d、2e、2fを備える。においセンサ2a〜2fはにおい成分に応じて抵抗値が変化する金属酸化物半導体センサが一般的であるが、それ以外に、導電性高分子センサや、水晶振動子又はSAWデバイスの表面にガス吸着膜を形成したセンサなど、他の検出メカニズムによるセンサでもよい。
【0024】
図3に示すように、各センサユニット201〜227にはそれぞれ近接してA/D変換部10が設けられ、このA/D変換部10により、各においセンサ2a〜2fの検出信号は所定周期でサンプリングされてデジタルデータに変換される。同時点でサンプリングして得られた6個のデジタルデータは、例えば直列的なデータに変換されて演算処理部11に送られる。各センサユニット201〜227のA/D変換部10は同期してサンプリングを行うため、27個のセンサユニット201〜227で同時にそれぞれ6個のデータが得られ、合計では162個のデータが演算処理部11に送られることになる。
【0025】
なお、図3では、A/D変換部10で得られたデジタルデータがオンラインで演算処理部11に収集される構成としているが、例えばA/D変換部10により得られたデジタルデータをメモリに格納しておき、計測後にそのデータを収集して演算処理部11へ読み込むようにしてもよい。
【0026】
演算処理部11では各センサユニット201〜227毎に、6個のデータからにおいの強度及びにおいの質を算出する。この算出方法は各種の方法を採用することができるが、その一例を挙げて以下に説明する。
【0027】
まず、未知のガスにおけるにおい強度(ここでは臭気濃度又は臭気指数)とにおいの質とを推定する基準として、複数種類の既知のにおい成分をそれぞれ含む複数の標準ガスを予め測定しておく。ここで、測定対象である未知のガスの種類が或る程度、推測し得る場合には、こうしたガスの種類に応じて標準ガスを選択することが好ましい。
【0028】
センサユニット2の各においセンサ2a〜2fが標準ガスに晒されると、においセンサ2a〜2fからはそれぞれ異なる検出信号が並列に出力される。したがって、演算処理部11では、1個の標準ガスに対して全部で6個の測定データDS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6が得られる。6個のにおいセンサ2a〜2fの検出出力をそれぞれ異なる方向の軸として形成される6次元空間(これを「におい空間」と呼ぶ)を考えると、上記6個の測定データはにおい空間内の或る1個の点P(DS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6)で表すことができる。
【0029】
6次元空間を図示するのは難しいので、ここでは理解を容易にするために、図4に示すような、第1、第2なる2個のにおいセンサの検出信号DS1,DS2により形成される2次元のにおい空間で考える。この2次元空間内において、或る1つの標準ガスに対する第1、第2においセンサによる2個の測定データは、或る1点(DS1,DS2)で表される。
【0030】
いま、同一の標準ガスの濃度を変化させてそれぞれ測定を行うと、上記6次元におい空間内では、におい成分の種類に応じて特有の方向に点Pがずれてゆくから、これを同空間内での1本のベクトルとして捉えることができる。したがって、2次元空間においても同様に1本のベクトル(以下「においベクトル」と呼ぶ)S1を引くことができる。においベクトルの方向はにおいの種類に依存しており、異なる標準ガスに対する2本のにおいベクトルは、図4の2次元空間において互いに異なる方向を向く。
【0031】
一方、測定対象である未知ガスについても同様の測定を行うと、図4に示す2次元空間内で1本のにおいベクトルSxを描くことができる。このときのにおいベクトルSxが標準においベクトルS1と近い方向を向いていれば、未知ガスのにおいはその標準ガスのにおいと近い種類のにおい、つまり同質のにおいであると考えることができ、逆にベクトルの向きが大きく異なっていれば、遠い種類のにおい、つまり異質のにおいであると考えることができる。
【0032】
そこで、S1及びSxなる2本のベクトルの向きの近さ又は遠さの度合を判断する指標として、両においベクトルS1、Sxが成す角度θを用い、この角度θに基づいて類似率を定めることとする。S1とSxとが重なる(同じ向きである)とき、両者は完全に同一種類のにおいであるとし、このとき類似率を100%と定める。また、全く類似性が無いと看做せる場合に類似率を0%と定める。これにより、その標準ガスが有するにおいに対する未知ガスのにおいの近さ又は遠さを0〜100%の類似率で表すものとする。
【0033】
ここで、角度θから類似率を定める際に、においセンサの応答感度と人間の鼻(嗅覚)の感度との相違を補正するような処理を行ってもよい。その補正方法としては、基本的に、各標準ガスのにおいに対し、人の鼻の閾値感度が低いものほど類似性を強調するものとする。
【0034】
例えば図5に示すように、或る未知ガスのにおいによるベクトルSxが第1の標準においベクトルS1及び第2の標準においのベクトルS2の2本に対して全く同一の角度θ1であったとする。この場合、においセンサによる測定としては、上記未知のにおいは第1及び第2の標準においに対して同等の類似性を持っていると判断したことになる。一方、人間の鼻による官能試験の結果では、第1の標準においの閾値濃度は第2の標準においの閾値濃度の1/2であったとする。これは、第1の標準においに対する人間の鼻の感度が第2の標準においに対する感度に比べて2倍高いことを意味している。そこで、においセンサの感度と人間の鼻の感度との相違を補正するには、図5に示すような結果である場合に、第1の標準においに対する類似率を第2の標準においに対する類似率の2倍となるように設定する。こうした補正処理を行うことによって、最終的に、においの種類に依らず、人の鼻の感度に近いような識別結果を得ることができる。
【0035】
なお、においセンサの感度と人間の鼻の感度との相違の程度は、においの範疇などに大きく依存するから、選定される標準においの種類などに応じて上記補正の程度は予め適宜決められるものとする。
【0036】
また、未知ガスのにおいの強度については次のように定める。図4に示すように、未知ガスによるにおいベクトルSxから標準においベクトルS1に対する正射影を求め、その正射影ベクトルT1の長さに相当する標準においの濃度を、その未知試料における標準におい成分の濃度として定義する。標準におい成分の濃度と臭気指数や臭気強度との関係は予めわかっているから、濃度のみならず、その濃度を臭気指数や臭気強度に換算することができる。なお、未知ガスのにおいの総合臭気の強度として最大値モデルを用いる場合には、各標準におい成分のうちの最大のものを選択すればよく、一方、総加モデルを用いる場合には、各標準におい成分の臭気指数を一旦臭気濃度に換算し、それら全てを加え合わせた後に臭気指数を算出するようにすればよい。
【0037】
ここでは、或るセンサユニット201〜227において複数の標準ガスに対する類似度が求まった場合には、最も類似度が高い標準ガスのにおいがそのセンサユニットの設置位置におけるにおいの質であるものと定めることとする。
【0038】
演算処理部11では、上記のような処理を各センサユニット201〜227毎に行うことにより、そのセンサユニットの設置位置におけるにおいの質とにおい強度とをそれぞれ求める。その演算結果は表示処理部12に入力され、表示処理部12は、その演算結果とセンサユニット位置情報取得部14により得られる各センサユニット201〜227の位置情報とに基づいて、においの強度分布やにおいの質の分布を視覚的に理解容易な形式で作成し、これを表示部13の画面上に表示させる。なお、上述したようにセンサユニット201〜227の位置が固定されている場合には、センサユニット位置情報取得部14は実質的には不要である。
【0039】
表示処理部12で作成されるグラフィック画像やグラフなどの形式は特に問わないが、例えば図6に示すように、各センサユニットの設置位置におけるにおいの質の状態を異なる表示記号で表すものとすることができる。また、色分け表示、濃淡の表示などでにおいの強度とにおいの質とを同時に表示することもできる。また、一般に入手可能な各種の3次元グラフィック表示ソフトウエアを利用すれば、マウスやキーボードなどからの入力操作に応じて、図6のような表示を3次元的に適宜回転させ、所望の部分のにおい強度分布やにおいの質の分布を容易に確認することができる。また、所定の位置で2次元的又は1次元的に分布を切り出して表示できるようにしてもよい。
【0040】
また、各センサユニット201〜227で所定時間間隔毎に測定したデータに基づいてそれぞれにおい強度分布やにおいの質の分布を求めれば、それら分布の時間的な変動を求めることができる。
【0041】
次に、上記構成のにおい分布測定装置を利用したにおい発生源特定装置について説明する。こうした装置は、例えば火災現場でのガソリン、灯油などの付着している場所の特定、微量なガス(都市ガス、プロパンガス等)漏れ部位の特定、床下或いは天井裏などからの小動物の腐敗臭などの臭気発生箇所の特定、など様々なケースで利用することができる。また、人間には無臭であるが毒性を有するガスの発生箇所などを特定する際にも有用である。
【0042】
図7はこのにおい発生源特定装置の全体構成図であり、図3と同一又は相当する構成要素には同一符号を付している。演算処理部11に含まれるにおい強度/質算出処理部15において上述したように各センサユニット2毎ににおい強度やにおいの質を算出した後に、におい発生源推定演算部16では、においの質毎のにおい強度に着目し、次のようにしてにおいの発生源を推定する。
【0043】
いまi(i=1〜27)番目のセンサユニット201〜227の設置位置をXi、Yi、Ziとし、そのセンサユニットにより検出されたにおい強度をUiとする。設置位置(Xi,Yi,Zi)はセンサユニット位置情報取得部14により取得される。においの発生源の位置Oの座標を(Ox,Oy,Oz)とし、そのときに、例えばUiが略同一になるようなセンサユニットを4個以上探し、そのセンサユニットの設置位置(Xi,Yi,Zi)を得る。そして、これを次式に適用し、4個の未知の値Ox、Oy、Oz 、Rを求める。
(XiーOx)2 +(YiーOy)2+(ZiーOz)2 =R2
【0044】
このとき、においの発生源の位置は(Ox,Oy,Oz)と推定できる。複数のにおいの質が存在する場合には、こうしたにおい発生源の特定を各におい質毎に行えばよい。こうして求められたにおい発生源を、表示部13の画面上には例えば図8に示すようにして表示することができる。もちろん、各におい発生源の位置を位置座標として数値表示できるようにしてもよい。また、例えば室内においてにおい発生源を特定する場合、その室内の撮影画像に図8に示すような表示を重畳させることにより、具体的に室内のどのような部位又は物体がにおい発生源になっているのかを、容易に認識することができる。
【0045】
もちろん、上述したように、3次元空間内でなくとも2次元的又は1次元的に配置されたセンサユニットからの検出信号に基づいて、その2次元的な面内又は1次元的な線上でのにおい発生源の特定が可能であることは容易に想到し得る。また、或る1つの時点におけるにおい強度分布のみならず、におい強度分布の時間的な変動を利用すれば、においの拡散状況を把握してにおい発生源の推定精度を一層高めることができる。
【0046】
また、上記実施例はいずれも一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるにおい分布測定装置に使用される測定ユニット1の概略斜視図。
【図2】図1の測定ユニットの他の構成を示す概略斜視図。
【図3】本実施例のにおい分布測定装置の全体構成図。
【図4】本実施例のにおい分布測定装置におけるにおい強度とにおいの質とを算出する方法の一例の原理説明図。
【図5】本実施例のにおい分布測定装置におけるにおい強度とにおいの質とを算出する方法の一例の原理説明図。
【図6】本実施例のにおい分布測定装置におけるにおいの質の分布の表示画面を示す図。
【図7】本発明の一実施例であるにおい発生源特定装置の全体構成図。
【図8】本実施例のにおい発生源特定装置における表示画面を示す図。
【符号の説明】
1…測定ユニット
2、201〜227…センサユニット
2a〜2f…においセンサ
3…枠体
4…ポール
5…台座部
10…A/D変換部
11…演算処理部
12…表示処理部
13…表示部
14…センサユニット位置情報取得部
15…強度/質算出処理部
16…発生源推定演算部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサの一種であるにおいセンサを使用して空間(閉鎖空間及び開放空間)内のにおいの分布を測定するにおい分布方法とその装置、さらには空間内でのにおいの発生場所を特定するためのにおい発生源特定装置に関する。なお、ここで言う「におい」とは通常、人間が感知する臭気、香気などを含むのは当然であるが、人間の嗅覚では通常感知し得ない物質であっても、においセンサが検知可能であるような物質(ガス)全般を含むこととする。
【0002】
【従来の技術】
従来、においの識別や評価は、実際に人間の嗅覚を用いて行われるのが一般的であった。しかしながら、実際に臭いを嗅ぐ人(パネル)の個人差やその日の体調によって嗅覚が変動することを想定する必要があるため、客観的な結果を精度良く得るためには、パネルを一定人数以上確保し、試験場所の環境等にも十分な配慮を必要とする。そのため、手間と時間が膨大なものとなる。また、このような配慮を行っても、人間の嗅覚はにおいに順応するという特性を有しているため、常に一定基準で確定的な判断を下すことは困難であった。
【0003】
これに対し、近年、におい物質に対して応答するにおいセンサを利用したにおい測定装置が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び非特許文献1など参照)。このようなにおい測定装置では、複数のにおいセンサにより取得された検出信号を基に、クラスタ分析、主成分分析等の各種多変量解析処理、或いはニューラルネットワークを用いた非線形解析処理などを行って、複数の試料のにおいの離間距離(近い範疇のにおいであるかどうか)を求めることができる。
【0004】
こうした従来知られているにおい測定装置を使用したにおい測定では、測定対象地点でサンプルバッグ等に空気(ガス)を捕集し、そのサンプルバッグをにおい測定装置にセットして解析を行う必要がある。そのため、多数の測定対象地点におけるにおいを同時に測定することは手間が掛かり、非常に困難である。また、ガス捕集から測定までに或る程度の時間が経過するため、ガス成分がサンプルバッグへ吸着し易いものであったり分解し易いものであったりした場合には、ガス捕集時と測定時とで組成や濃度が若干変化し、測定精度の劣化の一因となる可能性もある。
【0005】
近年、生活環境におけるにおいの重要性が増す中で、こうしたにおい分布の測定の必要性が増大している。従来、限られた空間内でのにおい強度の分布を測定する装置は、例えば特許文献3などにより知られている。この特許文献3に記載の装置では、トイレ室内の複数の箇所に臭気センサを取り付け、各臭気センサで臭気濃度を検出し、その臭気濃度とセンサ位置との関係とに基づいてその室内の臭気濃度分布を表示するようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−352088号公報
【特許文献2】
特開2002−22692号公報
【特許文献3】
特開平7−91985号公報
【非特許文献1】
喜多純一、青山佳弘、ほか7名著、「におい識別装置の開発」、島津評論、Vol. 59 No.1・2 2002年11月、p.77−p.85、株式会社島津製作所
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のにおい分布測定装置では必ずしも充分な測定が行えないことが多い。具体的には例えば、トイレ室内に置かれる消臭・芳香製品などの効果を調べる場合、小便器や大便器などから漂う臭気と、消臭・芳香製品から発せられる香気とがトイレ室内では混合する。上記装置では、こうした複数のにおいがいずれも臭気濃度として検出されるため、目的とする消臭・芳香製品の作用を調べることができない。
【0008】
また、こうしたにおい測定の応用として、各種のにおいが存在している状態で、特定のにおいの発生源を特定したい場合がある。具体的には、例えば火災現場などで焦げ臭いにおいが充満している状況下で、火災の一因であるガソリン、灯油などの付着している場所の特定を行いたいような場合である。上記におい分布測定装置では特定のにおいの強度を選択的に測定することはできないため、こうした測定に対しても対応ができなかった。
【0009】
本発明はかかる点に鑑みて成されたものであり、その第1の目的とするところは、複雑に混合したにおいの空間的な広がり状況、更にはその時間的な変動状況などを的確に把握することができるにおい分布測定方法及び装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、こうしたにおいの発生源を正確に特定することができるにおい発生源特定装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段、及び効果】
上記第1の目的を達成するために成された第1発明に係るにおい分布測定方法は、それぞれ異なる応答特性を有する複数のセンサを1組としたセンサユニットを測定対象である空間内にn(n=1〜3の整数)次元的に複数組、配置し、各センサユニットの複数のセンサからそれぞれ得られる検出信号に基づいてそのセンサユニットの設置位置におけるにおいの強度及び/又は質に関連した情報を算出し、前記各センサユニットでそれぞれ算出された前記情報に基づいて、前記センサユニットが配置された空間におけるにおいの強度及び/又は質のn次元分布を表現する情報を求めることを特徴としている。
【0011】
第2発明は第1発明に係るにおい分布測定方法を具現化したにおい分布測定装置であって、
a)それぞれ異なる応答特性を有する複数のセンサを1組として、測定対象である空間内にn(n=1〜3の整数)次元的に複数組、配置されたセンサユニットと、
b)各センサユニットの複数のセンサからそれぞれ得られる検出信号に基づいて、そのセンサユニットの設置位置におけるにおいの強度及び/又は質に関連した情報を算出する演算処理手段と、
c)前記演算処理手段により各センサユニット毎にそれぞれ算出された前記情報に基づいて、前記複数組のセンサユニットが配置された空間におけるにおいの強度及び/又は質のn次元分布を表現する情報を求める表示処理手段と、を備えることを特徴としている。
【0012】
第1発明に係るにおい分布測定方法及び第2発明に係るにおい分布測定装置において、1、2又は3次元的に分散して配置された各センサユニットでは、複数のセンサが周囲の空気(ガス)に接触し、そのガス成分に応じてそれぞれ異なる検出信号を出力する。演算処理手段は所定のアルゴリズムに従って、各センサユニット毎に上記複数の検出信号を処理することにより、そのガスに含まれるにおいの強度と質のいずれか一方又は両方を算出する。
【0013】
演算処理手段におけるアルゴリズムとして、周知のように主成分分析、クラスタ分析等の各種多変量解析処理を行うもののほか、本出願人が特願2002−254975号等で提案しているように、m個のセンサから得られる検出信号をm次元空間内の1個の測定点で表し、予め標準ガスを測定することでm次元空間内に作成したベクトルや校正曲線と上記測定点との距離や位置関係などに基づいて、においの強度や質を求めるようにしてもよい。このような処理により、各センサユニットの設置位置におけるにおいの強度やにおいの質が求まる。こうした情報に基づいて、表示処理手段は、センサユニットが配置された空間におけるにおいの強度及び/は質の1、2又は3次元分布を表現する情報を算出する。
【0014】
なお、ここで例えば細い管路内でのにおいの分布を求めたい場合にはn=1とすればよい。また、高さが殆ど無視できる程度の平坦な空間内でのにおいの分布を求めたい場合にはn=2とすればよく、一般の、高さ及び水平方向への広がりを考慮する必要があるような空間内でのにおいの分布を求めたい場合にはn=3とすればよい。
【0015】
このように第1及び第2発明によれば、多地点でのにおい測定を同時に行うことができ、しかも、各地点においてにおいの質を識別しているので、空間内での異なるにおいの分布状況を的確に把握することができる。また、多地点で連続的に又は任意の時間間隔毎に繰り返し測定を行うことによって、においの強度や質の分布の時間経過状況を得ることもできる。これによって、例えば悪臭が充満した部屋内に芳香剤を置いたときに、その芳香剤による香気の拡散状況と悪臭の減衰状況とを時間的に観察する、といった様々なにおい分布とその変動の測定が可能となる。
【0016】
また、上記第2の目的を達成するために成された第3発明に係るにおい発生源特定装置は、
a)それぞれ異なる応答特性を有する複数のセンサを1組として、測定対象である空間内にn(n=1〜3の整数)次元的に複数組、配置されたセンサユニットと、
b)各センサユニットの複数のセンサからそれぞれ得られる検出信号に基づいて、そのセンサユニットの設置位置におけるにおいの強度及び/又は質に関連した情報を算出する演算処理手段と、
c)前記第1演算処理手段により各センサユニット毎にそれぞれ算出された前記情報及び各センサユニットの設置位置情報を利用して、前記複数組のセンサユニットが配置された空間におけるにおいの発生源の位置を推定する位置推定処理手段と、を備えることを特徴としている。
【0017】
この第3発明に係るにおい発生源特定装置では、位置推定処理手段は、上記第2発明によって得られるn次元の空間内のにおい強度やにおいの質の空間的分布と各センサユニットの設置位置情報とに基づいて、複数組のセンサユニットが配置された空間におけるにおいの発生源の位置を推定する。具体的には、においの質の相違する複数のにおいが空間内に存在する場合、同質のにおい又は同一成分であると推測されるにおいについてのにおい強度の分布に基づき、そのにおいの強度が最も強くなる位置を推定し、その位置をにおい発生源であると看做して特定する。
【0018】
この第3発明に係るにおい発生源特定装置によれば、においの質を識別した上でそのにおいの質毎のにおい強度の分布からにおいの発生源が推定されるので、においの発生源を正確に特定することができる。特に異なるにおい発生源から発するにおいが混合している場合であっても、各においの発生源をそれぞれ正確に特定することができる。
【0019】
【実施例】
まず、本発明に係るにおい分布測定装置の一実施例について、図面を参照して説明する。図1、図2はそれぞれ本実施例のにおい分布測定装置に使用される測定ユニット1の概略斜視図、図3は本実施例のにおい分布測定装置の全体構成図である。
【0020】
図1に示す測定ユニット1では、外形が直方体形状の枠体3の1つの垂直面及び水平面内に9組のセンサユニット2、合計で27組のセンサユニット2を備える(ここでは27個のセンサユニットの符号を201〜227と付す)。各センサユニット201〜227は基本的には枠体3に固定されているが、枠体3に沿って任意の位置に移動可能としてもよい。但し、後述するようにセンサユニット201〜227の設置位置を表す情報が必要となるため、センサユニット201〜227を移動可能な構成とする場合にはその位置情報を取得できる構成としておくものとする。図1に示す測定ユニット1では、測定対象である空間内に載置するだけで各センサユニット201〜227の位置が決まるので、測定者にとっては作業が容易である。
【0021】
一方、図2に示す構成では、台座部5から略垂直に延伸するポール4の所定位置に3個のセンサユニット2が取り付けられており、これを図2に示すように所定間隔離した位置に設置することで、図1の測定ユニット1と同様のセンサユニット配置を実現している。ポール4に対するセンサユニット2の取付位置は基本的には固定であるが、図1の場合と同様に上下に移動自在としてもよい。
【0022】
なお、図1、図2ではセンサユニットを3次元的に27個分散して配置しているが、その個数は任意に定めることができ、当然のことながら、個数を増やすほど緻密な測定が可能となる。また、ここでは3次元空間内のにおいの分布を測定することを前提としているが、例えば細い管路の内部空間のにおいの分布を測定する場合には、その管路の延伸方向に沿って1次元的に(つまり一直線状に)2個以上のセンサユニットを配置する構成とすればよい。また、殆ど高さがないがような平板状に広がる空間内のにおいの分布を測定する場合、或いは空間自体は広くてもその中の或る面上でのにおいの分布のみを問題とする場合には、2次元的に2個以上のセンサユニットを配置する構成とすればよい。
【0023】
この例では、1組のセンサユニット2は、それぞれ6個のにおいセンサ2a、2b、2c、2d、2e、2fを備える。においセンサ2a〜2fはにおい成分に応じて抵抗値が変化する金属酸化物半導体センサが一般的であるが、それ以外に、導電性高分子センサや、水晶振動子又はSAWデバイスの表面にガス吸着膜を形成したセンサなど、他の検出メカニズムによるセンサでもよい。
【0024】
図3に示すように、各センサユニット201〜227にはそれぞれ近接してA/D変換部10が設けられ、このA/D変換部10により、各においセンサ2a〜2fの検出信号は所定周期でサンプリングされてデジタルデータに変換される。同時点でサンプリングして得られた6個のデジタルデータは、例えば直列的なデータに変換されて演算処理部11に送られる。各センサユニット201〜227のA/D変換部10は同期してサンプリングを行うため、27個のセンサユニット201〜227で同時にそれぞれ6個のデータが得られ、合計では162個のデータが演算処理部11に送られることになる。
【0025】
なお、図3では、A/D変換部10で得られたデジタルデータがオンラインで演算処理部11に収集される構成としているが、例えばA/D変換部10により得られたデジタルデータをメモリに格納しておき、計測後にそのデータを収集して演算処理部11へ読み込むようにしてもよい。
【0026】
演算処理部11では各センサユニット201〜227毎に、6個のデータからにおいの強度及びにおいの質を算出する。この算出方法は各種の方法を採用することができるが、その一例を挙げて以下に説明する。
【0027】
まず、未知のガスにおけるにおい強度(ここでは臭気濃度又は臭気指数)とにおいの質とを推定する基準として、複数種類の既知のにおい成分をそれぞれ含む複数の標準ガスを予め測定しておく。ここで、測定対象である未知のガスの種類が或る程度、推測し得る場合には、こうしたガスの種類に応じて標準ガスを選択することが好ましい。
【0028】
センサユニット2の各においセンサ2a〜2fが標準ガスに晒されると、においセンサ2a〜2fからはそれぞれ異なる検出信号が並列に出力される。したがって、演算処理部11では、1個の標準ガスに対して全部で6個の測定データDS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6が得られる。6個のにおいセンサ2a〜2fの検出出力をそれぞれ異なる方向の軸として形成される6次元空間(これを「におい空間」と呼ぶ)を考えると、上記6個の測定データはにおい空間内の或る1個の点P(DS1,DS2,DS3,DS4,DS5,DS6)で表すことができる。
【0029】
6次元空間を図示するのは難しいので、ここでは理解を容易にするために、図4に示すような、第1、第2なる2個のにおいセンサの検出信号DS1,DS2により形成される2次元のにおい空間で考える。この2次元空間内において、或る1つの標準ガスに対する第1、第2においセンサによる2個の測定データは、或る1点(DS1,DS2)で表される。
【0030】
いま、同一の標準ガスの濃度を変化させてそれぞれ測定を行うと、上記6次元におい空間内では、におい成分の種類に応じて特有の方向に点Pがずれてゆくから、これを同空間内での1本のベクトルとして捉えることができる。したがって、2次元空間においても同様に1本のベクトル(以下「においベクトル」と呼ぶ)S1を引くことができる。においベクトルの方向はにおいの種類に依存しており、異なる標準ガスに対する2本のにおいベクトルは、図4の2次元空間において互いに異なる方向を向く。
【0031】
一方、測定対象である未知ガスについても同様の測定を行うと、図4に示す2次元空間内で1本のにおいベクトルSxを描くことができる。このときのにおいベクトルSxが標準においベクトルS1と近い方向を向いていれば、未知ガスのにおいはその標準ガスのにおいと近い種類のにおい、つまり同質のにおいであると考えることができ、逆にベクトルの向きが大きく異なっていれば、遠い種類のにおい、つまり異質のにおいであると考えることができる。
【0032】
そこで、S1及びSxなる2本のベクトルの向きの近さ又は遠さの度合を判断する指標として、両においベクトルS1、Sxが成す角度θを用い、この角度θに基づいて類似率を定めることとする。S1とSxとが重なる(同じ向きである)とき、両者は完全に同一種類のにおいであるとし、このとき類似率を100%と定める。また、全く類似性が無いと看做せる場合に類似率を0%と定める。これにより、その標準ガスが有するにおいに対する未知ガスのにおいの近さ又は遠さを0〜100%の類似率で表すものとする。
【0033】
ここで、角度θから類似率を定める際に、においセンサの応答感度と人間の鼻(嗅覚)の感度との相違を補正するような処理を行ってもよい。その補正方法としては、基本的に、各標準ガスのにおいに対し、人の鼻の閾値感度が低いものほど類似性を強調するものとする。
【0034】
例えば図5に示すように、或る未知ガスのにおいによるベクトルSxが第1の標準においベクトルS1及び第2の標準においのベクトルS2の2本に対して全く同一の角度θ1であったとする。この場合、においセンサによる測定としては、上記未知のにおいは第1及び第2の標準においに対して同等の類似性を持っていると判断したことになる。一方、人間の鼻による官能試験の結果では、第1の標準においの閾値濃度は第2の標準においの閾値濃度の1/2であったとする。これは、第1の標準においに対する人間の鼻の感度が第2の標準においに対する感度に比べて2倍高いことを意味している。そこで、においセンサの感度と人間の鼻の感度との相違を補正するには、図5に示すような結果である場合に、第1の標準においに対する類似率を第2の標準においに対する類似率の2倍となるように設定する。こうした補正処理を行うことによって、最終的に、においの種類に依らず、人の鼻の感度に近いような識別結果を得ることができる。
【0035】
なお、においセンサの感度と人間の鼻の感度との相違の程度は、においの範疇などに大きく依存するから、選定される標準においの種類などに応じて上記補正の程度は予め適宜決められるものとする。
【0036】
また、未知ガスのにおいの強度については次のように定める。図4に示すように、未知ガスによるにおいベクトルSxから標準においベクトルS1に対する正射影を求め、その正射影ベクトルT1の長さに相当する標準においの濃度を、その未知試料における標準におい成分の濃度として定義する。標準におい成分の濃度と臭気指数や臭気強度との関係は予めわかっているから、濃度のみならず、その濃度を臭気指数や臭気強度に換算することができる。なお、未知ガスのにおいの総合臭気の強度として最大値モデルを用いる場合には、各標準におい成分のうちの最大のものを選択すればよく、一方、総加モデルを用いる場合には、各標準におい成分の臭気指数を一旦臭気濃度に換算し、それら全てを加え合わせた後に臭気指数を算出するようにすればよい。
【0037】
ここでは、或るセンサユニット201〜227において複数の標準ガスに対する類似度が求まった場合には、最も類似度が高い標準ガスのにおいがそのセンサユニットの設置位置におけるにおいの質であるものと定めることとする。
【0038】
演算処理部11では、上記のような処理を各センサユニット201〜227毎に行うことにより、そのセンサユニットの設置位置におけるにおいの質とにおい強度とをそれぞれ求める。その演算結果は表示処理部12に入力され、表示処理部12は、その演算結果とセンサユニット位置情報取得部14により得られる各センサユニット201〜227の位置情報とに基づいて、においの強度分布やにおいの質の分布を視覚的に理解容易な形式で作成し、これを表示部13の画面上に表示させる。なお、上述したようにセンサユニット201〜227の位置が固定されている場合には、センサユニット位置情報取得部14は実質的には不要である。
【0039】
表示処理部12で作成されるグラフィック画像やグラフなどの形式は特に問わないが、例えば図6に示すように、各センサユニットの設置位置におけるにおいの質の状態を異なる表示記号で表すものとすることができる。また、色分け表示、濃淡の表示などでにおいの強度とにおいの質とを同時に表示することもできる。また、一般に入手可能な各種の3次元グラフィック表示ソフトウエアを利用すれば、マウスやキーボードなどからの入力操作に応じて、図6のような表示を3次元的に適宜回転させ、所望の部分のにおい強度分布やにおいの質の分布を容易に確認することができる。また、所定の位置で2次元的又は1次元的に分布を切り出して表示できるようにしてもよい。
【0040】
また、各センサユニット201〜227で所定時間間隔毎に測定したデータに基づいてそれぞれにおい強度分布やにおいの質の分布を求めれば、それら分布の時間的な変動を求めることができる。
【0041】
次に、上記構成のにおい分布測定装置を利用したにおい発生源特定装置について説明する。こうした装置は、例えば火災現場でのガソリン、灯油などの付着している場所の特定、微量なガス(都市ガス、プロパンガス等)漏れ部位の特定、床下或いは天井裏などからの小動物の腐敗臭などの臭気発生箇所の特定、など様々なケースで利用することができる。また、人間には無臭であるが毒性を有するガスの発生箇所などを特定する際にも有用である。
【0042】
図7はこのにおい発生源特定装置の全体構成図であり、図3と同一又は相当する構成要素には同一符号を付している。演算処理部11に含まれるにおい強度/質算出処理部15において上述したように各センサユニット2毎ににおい強度やにおいの質を算出した後に、におい発生源推定演算部16では、においの質毎のにおい強度に着目し、次のようにしてにおいの発生源を推定する。
【0043】
いまi(i=1〜27)番目のセンサユニット201〜227の設置位置をXi、Yi、Ziとし、そのセンサユニットにより検出されたにおい強度をUiとする。設置位置(Xi,Yi,Zi)はセンサユニット位置情報取得部14により取得される。においの発生源の位置Oの座標を(Ox,Oy,Oz)とし、そのときに、例えばUiが略同一になるようなセンサユニットを4個以上探し、そのセンサユニットの設置位置(Xi,Yi,Zi)を得る。そして、これを次式に適用し、4個の未知の値Ox、Oy、Oz 、Rを求める。
(XiーOx)2 +(YiーOy)2+(ZiーOz)2 =R2
【0044】
このとき、においの発生源の位置は(Ox,Oy,Oz)と推定できる。複数のにおいの質が存在する場合には、こうしたにおい発生源の特定を各におい質毎に行えばよい。こうして求められたにおい発生源を、表示部13の画面上には例えば図8に示すようにして表示することができる。もちろん、各におい発生源の位置を位置座標として数値表示できるようにしてもよい。また、例えば室内においてにおい発生源を特定する場合、その室内の撮影画像に図8に示すような表示を重畳させることにより、具体的に室内のどのような部位又は物体がにおい発生源になっているのかを、容易に認識することができる。
【0045】
もちろん、上述したように、3次元空間内でなくとも2次元的又は1次元的に配置されたセンサユニットからの検出信号に基づいて、その2次元的な面内又は1次元的な線上でのにおい発生源の特定が可能であることは容易に想到し得る。また、或る1つの時点におけるにおい強度分布のみならず、におい強度分布の時間的な変動を利用すれば、においの拡散状況を把握してにおい発生源の推定精度を一層高めることができる。
【0046】
また、上記実施例はいずれも一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正を行えることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるにおい分布測定装置に使用される測定ユニット1の概略斜視図。
【図2】図1の測定ユニットの他の構成を示す概略斜視図。
【図3】本実施例のにおい分布測定装置の全体構成図。
【図4】本実施例のにおい分布測定装置におけるにおい強度とにおいの質とを算出する方法の一例の原理説明図。
【図5】本実施例のにおい分布測定装置におけるにおい強度とにおいの質とを算出する方法の一例の原理説明図。
【図6】本実施例のにおい分布測定装置におけるにおいの質の分布の表示画面を示す図。
【図7】本発明の一実施例であるにおい発生源特定装置の全体構成図。
【図8】本実施例のにおい発生源特定装置における表示画面を示す図。
【符号の説明】
1…測定ユニット
2、201〜227…センサユニット
2a〜2f…においセンサ
3…枠体
4…ポール
5…台座部
10…A/D変換部
11…演算処理部
12…表示処理部
13…表示部
14…センサユニット位置情報取得部
15…強度/質算出処理部
16…発生源推定演算部
Claims (3)
- それぞれ異なる応答特性を有する複数のセンサを1組としたセンサユニットを測定対象である空間内にn(n=1〜3の整数)次元的に複数組、配置し、各センサユニットの複数のセンサからそれぞれ得られる検出信号に基づいてそのセンサユニットの設置位置におけるにおいの強度及び/又は質に関連した情報を算出し、前記各センサユニットでそれぞれ算出された前記情報に基づいて、前記センサユニットが配置された空間におけるにおいの強度及び/又は質のn次元分布を表現する情報を求めることを特徴とするにおい分布測定方法。
- a)それぞれ異なる応答特性を有する複数のセンサを1組として、測定対象である空間内にn(n=1〜3の整数)次元的に複数組、配置されたセンサユニットと、
b)各センサユニットの複数のセンサからそれぞれ得られる検出信号に基づいて、そのセンサユニットの設置位置におけるにおいの強度及び/又は質に関連した情報を算出する演算処理手段と、
c)前記演算処理手段により各センサユニット毎にそれぞれ算出された前記情報に基づいて、前記複数組のセンサユニットが配置された空間におけるにおいの強度及び/又は質のn次元分布を表現する情報を求める表示処理手段と、を備えることを特徴とするにおい分布測定装置。 - a)それぞれ異なる応答特性を有する複数のセンサを1組として、測定対象である空間内にn(n=1〜3の整数)次元的に複数組、配置されたセンサユニットと、
b)各センサユニットの複数のセンサからそれぞれ得られる検出信号に基づいて、そのセンサユニットの設置位置におけるにおいの強度及び/又は質に関連した情報を算出する演算処理手段と、
c)前記第1演算処理手段により各センサユニット毎にそれぞれ算出された前記情報及び各センサユニットの設置位置情報を利用して、前記複数組のセンサユニットが配置された空間におけるにおいの発生源の位置を推定する位置推定処理手段と、を備えることを特徴とするにおい発生源特定装置。
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