JP2005030812A - 鋼板表面の検査方法、システム、画像処理装置、及びコンピュータプログラム - Google Patents

鋼板表面の検査方法、システム、画像処理装置、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】鋼板表面にある凹凸形状の疵やスケール疵のような模様状の疵を同時に検出可能とする。
【解決手段】鋼板表面の検査システムは、周期的に変調された線状レーザ光を長手方向に搬送される鋼板2の表面に照射するレーザ装置10と、鋼板2の表面からの反射光を光電変換して鋼板2の表面の光切断像を出力する遅延積分型撮像カメラ30と、遅延積分型カメラ30により出力される各光切断像が入力される画像処理装置50とを備える。画像処理装置50では、各光切断像から構成される縞画像を取得し、その縞画像の縞のずれに基づいて鋼板2の表面の凹凸状態を表す形状画像を生成するとともに、縞画像から鋼板2の表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板表面にある凹凸形状の疵やスケール疵のような模様状の疵を検出するのに好適な鋼板表面の検査方法、システム、画像処理装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、搬送される鋼板表面をカメラで撮像することにより、鋼板表面の疵等の欠陥を検出することが実施されている。例えば特許文献1には、鋼板表面に扇状に広げられた板状光線を照射し、その反射光を遅延積分型カメラにて光電変換することにより光切断像を取得する技術が開示されている。かかる光切断像方式形状測定手法によれば、オンライン形状寸法計測において高密度な全面全長計測が可能となり、鋼板表面にある微小な凹凸の検出が可能になる。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−348211号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、鋼板表面には、生産過程で生成される酸化鉄が圧延中に剥離されずに圧着或いは噛み込んでできるスケール疵のように模様状の疵が存在する。しかしながら、上述した光切断像方式形状測定手法では、凹凸形状の疵を検出することはできるが、スケール疵のような模様状の疵を検出することは想定されていない。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、鋼板表面にある凹凸形状の疵やスケール疵のような模様状の疵を同時に検出可能とすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の鋼板表面の検査方法は、変調された線状レーザ光を、照射位置を連続的にずらしながら鋼板表面に照射し、上記鋼板表面からの反射光を遅延積分型撮像装置により光電変換して鋼板表面の光切断像を取得して、上記各光切断像から構成される縞画像を取得する縞画像取得ステップと、上記縞画像の縞のずれに基づいて鋼板表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する形状画像生成ステップと、上記縞画像から鋼板表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する濃淡画像生成ステップとを有する点に特徴を有する。
【0007】
本発明の鋼板表面の検査システムは、変調された線状レーザ光を鋼板表面に照射するレーザ装置と、照射位置を連続的にずらしながら線状レーザ光が鋼板表面に照射されたときに、上記鋼板表面からの反射光を光電変換して鋼板表面の光切断像を出力する遅延積分型撮像装置と、上記遅延積分型撮像装置により出力される各光切断像が入力される画像処理装置とを備えた鋼板表面の検査システムであって、上記画像処理装置は、各光切断像から構成される縞画像を取得する縞画像取得手段と、上記縞画像の縞のずれに基づいて鋼板表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する形状画像生成手段と、上記縞画像から鋼板表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する濃淡画像生成手段とを備える点に特徴を有する。
【0008】
本発明の画像処理装置は、変調された線状レーザ光を鋼板表面に照射するレーザ装置と、照射位置を連続的にずらしながら線状レーザ光が鋼板表面に照射されたときに、上記鋼板表面からの反射光を光電変換して鋼板表面の光切断像を出力する遅延積分型撮像装置とを備えた鋼板表面の検査システムに用いられる画像処理装置であって、上記遅延積分型撮像装置により出力される各光切断像から構成される縞画像を取得する縞画像取得手段と、上記縞画像の縞のずれに基づいて鋼板表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する形状画像生成手段と、上記縞画像から鋼板表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する濃淡画像生成手段とを備える点に特徴を有する。
【0009】
本発明のコンピュータプログラムは、変調された線状レーザ光を鋼板表面に照射するレーザ装置と、照射位置を連続的にずらしながら線状レーザ光が鋼板表面に照射されたときに、上記鋼板表面からの反射光を光電変換して鋼板表面の光切断像を出力する遅延積分型撮像装置とを備えた鋼板表面の検査システムにおいて画像処理を行うためのコンピュータプログラムであって、上記遅延積分型撮像装置により出力される各光切断像から構成される縞画像を取得する縞画像取得処理と、上記縞画像の縞のずれに基づいて鋼板表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する形状画像生成処理と、上記縞画像から鋼板表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する濃淡画像生成処理とをコンピュータに実行させる点に特徴を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施形態における鋼板表面の検査システムの概略構成図である。同図に示すように、レーザ装置10と、ロッドレンズ20と、遅延積分型カメラ(TDIカメラ)30と、タイミング信号発生部40と、画像処理装置50と、表示装置60とを備える。かかる鋼板表面の検査システムは、長手方向(図1の左右方向)に一定の速度で搬送される鋼板2の表面を光学的に測定するものであり、詳細は後述するが、画像処理装置50にて鋼板2の表面の凹凸状態を表す形状画像と、鋼板2の表面での粗度の相違を表す濃淡画像という2種類の画像を生成することにより、凹凸形状の疵やスケール疵のような模様状の疵を検出する。
【0011】
レーザ装置10は、連続発振のレーザ光を発生するものである。ロッドレンズ20は、レーザ装置10から発せられたレーザ光を鋼板2の幅方向(図1の紙面に垂直な方向)に沿って扇状に広げるものである。これにより、レーザ装置10が発したレーザ光は線状レーザ光として鋼板2の表面に照射される。このとき、線状レーザ光は鋼板2の表面に対して斜めに入射する。このようにして線状レーザ光が照射された鋼板2の表面には、その幅方向に沿って線状の明るい部位が形成される。また、鋼板2は長手方向に移動しているので、鋼板2からみると、線状の明るい部位が鋼板2の長手方向に連続的にずれていくことになる。
【0012】
タイミング信号発生部40は、所定の周波数ωをもつ正弦波形の信号を発生し、その正弦波形の信号をレーザ装置10に送出するものである。レーザ装置10は、外部信号によりその発振強度を連続的に変化させられるものであり、タイミング信号発生部40から送出される正弦波形の信号を受けると、正弦波形で出力が変化するレーザ光を発生する。すなわち、レーザ装置10が発するレーザ光を周期的に変調させている。また、タイミング信号発生部40は、上記周波数ωのM倍の周波数をもつカメラシフトパルス信号を発生し、そのカメラシフトパルス信号をTDIカメラ30に送出する。
【0013】
TDIカメラ30は、鋼板2の表面の線状の明るい部分からの反射光(線状反射像)を光電変換するものである。図2はTDIカメラの構造と動作を説明するための図である。TDIカメラ30では、図2(a)に示すように、多数の光電変換素子35がマトリクス状に配置されている。ここでは、例えば行方向に1024個、列方向に96個の光電変換素子35を配置したものとする。そして、各行については、最上行を第1行として、上から順に番号付けをし、各列については、最左列を第1列として、左から順に番号付けをしている。
【0014】
光電変換素子35は、受光した光の強度に対応する電荷を蓄積する。第1の実施形態では、線状反射像が、TDIカメラ30のレンズ31を介して、1列分の幅で光電変換素子35に入射するものとする。各光電変換素子35は、その蓄積した電荷を、当該光電変換素子35と同じ行に位置し且つ一つ後の列に位置する光電変換素子35に転送する。この転送のタイミングはすべての光電変換素子35で同一であり、タイミング信号発生部40から送出されるカメラシフトパルス信号によって制御される。すなわち、カメラシフトパルス信号が入力する度に、各光電変換素子35は電荷を転送する。第1の実施形態では、カメラシフトパルス信号の周波数(カメラシフト周波数)はMωである。そして、第96列に位置する光電変換素子35は、カメラシフトパルス信号が入力すると、その蓄積している電荷を読出してレジスタに送る。これにより、線状反射像に対応する1024bitの光切断像が出力される。なお、一般に、TDIカメラ30では、図2(b)に示すように、電荷が転送される途中で、各光電変換素子35に光が入射すると、その入射した光の強度に対応する電荷が上乗せされる。しかし、上述したように、光電変換素子35に1列分の幅の線状反射像が入射するように構成しているので、電荷の転送途中で各光電変換素子35に電荷が上乗せされることはほとんどない。
【0015】
鋼板2はその長手方向に移動しているので、レーザ装置10から線状レーザ光を鋼板2の表面に照射し、TDIカメラ30を用いて線状反射像を一定時間撮像することにより、鋼板2の長手方向の各位置における光切断像を順次得ることができる。このようにして得られた各位置における光切断像を順に配列することにより、鋼板2の全体を表す画像が得られる。
【0016】
また、線状レーザ光を周期的に変調させており、その線状レーザ光の強度が時間的に変化するので、各行において列方向の各光電変換素子35に蓄積される電荷量(受光強度)の分布も周期的に変化する。したがって、TDIカメラ30から出力される各光切断像を順に配列することにより得られる画像は、各光切断像の濃度(強度)が周期的に変化する縞画像となる。図3に縞画像の一例を示す。ここで、濃度変化の一周期分に相当する光切断像のことを「縞」と称することにする。かかる縞画像では、縦方向、すなわち縞に平行な方向が鋼板2の幅方向に対応し、横方向、すなわち縞に直交する方向が鋼板2の長手方向に対応する。TDIカメラ30のカメラシフト周波数とレーザ光の変調周波数との比をM:1とすると、M個の光切断像、すなわち横方向のM画素分が一本の縞を構成する。図3の例では、カメラシフト周波数とレーザ光の変調周波数との比は16:1であり、縞は横方向の16画素毎に一本となる。
【0017】
(鋼板2の表面の凹凸状態を表す形状画像の生成)
ところで、線状レーザ光は鋼板2の表面に斜めから入射するので、例えば鋼板2の表面に凹んでいる部分があると、図1においてレーザ光の反射点は右側にずれる。したがって、光電変換素子35上での光切断像の位置も右側、すなわち図2(a)において列方向にずれることになる。そのため、縞画像において、凹んでいる部分で反射したレーザ光に対応する光切断像は、凹んでいない部分で反射したレーザ光に対応する光切断像よりも時間的に早く出力されることになる。したがって、TDIカメラ30から出力される各光切断像を順に配列することにより得られる画像において、凹んでいる部分は縞のずれとして明白に認識することができる。例えば、図3において、縞の曲がっている部分は、凹みにより縞のずれが生じていることを示している。
【0018】
この縞のずれについてもう少し詳しく説明する。図4(a)はある縞画像の概略拡大図である。図4(a)では、各縞毎に最大濃度を与える位置を実線で結んで示している。例えば、この縞画像では、縦方向の位置Aにおいて最大濃度位置を横方向に沿って調べると、最大濃度位置は等間隔に位置しており、縞のずれは生じていない。すなわち、鋼板2の表面は、縦方向の位置Aでは横方向に沿って平坦な形状をしている。この場合、縦方向の位置Aにおいて横方向に沿っての縞画像の濃度分布(スライス縞画像データ)は、図4(b)に示すように、きれいな正弦波形状をしている。
【0019】
一方、図4(a)に示す縦方向の位置Bにおいて最大濃度位置を横方向に沿って調べると、最大濃度位置の間隔は左から右に向かって徐々に広がっており、縞のずれが生じている。すなわち、鋼板2の表面には、縦方向の位置Bで横方向に沿って凹みが生じている。この場合、縦方向の位置Bにおいて横方向に沿っての縞画像の濃度分布(スライス縞画像データ)は、図4(c)に示すように、図4(b)に示す正弦波と比べて位相がずれている。
【0020】
このように、鋼板2の表面の凹みによる縞のずれは、スライス縞画像データにおける位相のずれとして現れてくる。実際、後述するように、かかる位相のずれと鋼板2の表面の凹み(深さ)とは比例関係にあり、深さが深くなるほど、スライス縞画像データにおける位相のずれが大きくなる。第1の実施形態では、縞画像に基づいて位相のずれに関する情報を算出し、その位相のずれに関する情報に基づいて鋼板2の表面形状を測定することにしている。
【0021】
ここで、スライス縞画像データにおける位相のずれと鋼板2の表面の凹み(深さ)との関係について説明する。図5はスライス縞画像データにおける位相のずれと鋼板2の表面の凹み(深さ)との関係を説明するための図である。いま、図5に示すように、線状レーザ光が鋼板2の表面に入射する入射角度をθとする。また、鋼板2の表面に凹みがあり、線状レーザ光はその凹みに入ったときに鋼板2の表面から深さdのところで反射して、TDIカメラ30に入射したとする。このとき、深さdで反射した線状レーザ光は、鋼板2の平坦な表面で反射した線状レーザ光に比べて、鋼板2の長手方向(右方向)に距離hだけ反射点がずれる。ここで、h=d・tanθである。かかる線状レーザ光の反射点が長手方向に距離hだけずれた結果として、スライス縞画像データにおける位相のずれが生ずるが、この位相のずれをφとする。
【0022】
TDIカメラ30における光電変換素子35の列方向の撮影分解能をs(mm/画素)とすると、線状レーザ光の反射点が長手方向にずれた距離hは、縞画像においてh/s画素に相当する。また、TDIカメラ30のカメラシフト周波数とレーザ光の変調周波数との比がM:1のとき、縞画像において横方向のM画素分が一本の縞を構成する。すなわち、縞がM画素分だけずれたときに、位相のずれは2πとなる。したがって、線状レーザ光の反射点が長手方向に距離hずれたときのスライス縞画像データにおける位相のずれφは、
M/2π=(h/s)/φ
より、
d={M・s/(2π・tanθ)}φ
となる。これより、スライス縞画像データにおける位相のずれφと鋼板2の表面の凹み(深さd)とは比例関係にあることが分かる。
【0023】
厳密には、通常のレンズを用いた場合、撮影分解能sは深さdに応じて変化するため補正する必要があるが、鋼板2の表面の凹みを測定する場合のように、レンズ作動距離に対して深さ変化が微小な場合は、かかる撮影分解能Sの変化を実用上無視することができる。また、テレセントリックレンズを使えば、撮影分解能sを深さdによらず一定とすることができる。
【0024】
画像処理装置50では、各光切断像から構成される縞画像の縞のずれに基づいて鋼板2の表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する処理を行う。図6に画像処理装置50の概略ブロック図を示す。第1の実施形態では、プレフィルタ部502、直交正弦波発生部503、ローパスフィルタ部504a,504b、位相算出部505、振幅算出部506、縞欠損判定部507、位相連続化処理部508により本発明でいう形状画像生成手段の機能が実現されるものである。画像処理装置50の各部で処理された結果は、表示装置60の画面上に表示される。
【0025】
A/D変換部501は、TDIカメラ30から出力された各光切断像をA/D変換し、ディジタル多値画像データとして出力するものである。かかるディジタル多値画像データは、図示しない画像メモリに記憶される。これらのディジタル多値画像データを順に配置することにより縞画像が形成される。
【0026】
かかる縞画像(又はディジタル多値画像データ)からは、縦方向の各位置において横方向に沿っての縞画像の濃度分布を表すデータが生成される。これら横方向に沿っての縞画像の濃度分布を表すデータが「スライス縞画像データ」である。縦方向の各位置におけるスライス縞画像データは画像メモリから順次出力される。
【0027】
プレフィルタ部502は、各スライス縞画像データに所定のフィルタ処理を施すことにより、ノイズを除去し、縞の状態を鮮明にするものである。なお、プレフィルタ部502によるフィルタ処理は必ずしも行わなくてもよく、例えば縞画像に細かいノイズが多数生じているような場合にのみ行うようにすればよい。
【0028】
プレフィルタ部502からは、縦方向の各位置j(j=0,1,2,・・・)におけるスライス縞画像データI(k)が二つ出力される。k(k=0,1,2,・・・)は横方向の位置である。このとき、縦方向の位置jにおけるスライス縞画像データI(k)は正弦波的に変化すると仮定する。すなわち、
(k)=A(j,k){cos((2πk/M)+φ(j,k))+1}
である。ここで、A(j,k)は画素位置(j,k)におけるスライス縞画像データの振幅、φ(j,k)は画素位置(j,k)におけるスライス縞画像データの位相のずれである。鋼板2の表面の凹みによって縞画像に発生する縞のずれの影響は、位相のずれφとして現れる。また、線状レーザ光の振幅は一定であるが、鋼板2の表面が汚れていたり、スケール疵のような模様状の疵があったりする場合には、その位置に対応する画素位置において振幅は変動することがある。このため、上式では、振幅Aを画素位置(j,k)に依存する形で書いている。なお、cosの項の次に「1」を加えているのは、スライス縞画像データ(濃度値)I(k)はマイナスにならないので、このことを保証するためである。したがって、スライス縞画像データI(k)は0から2Aの間で変化する。
【0029】
直交正弦波発生部503は、ROM等のメモリ上に予め作成しておいた、直交する二つの基準正弦波データsin(2πk/M),cos(2πk/M)を発生するものである。特に、前者を基準sinデータ、後者を基準cosデータとも称する。これらの二つの基準正弦波データはそれぞれ、プレフィルタ部502から出力されたスライス縞画像データI(k)と乗算される。この乗算処理により、二つの出力Ia(k),Ib(k)が得られる。すなわち、
Figure 2005030812
である。
【0030】
ローパスフィルタ部504a,504bはそれぞれ、上記の乗算処理で得られた出力Ia(k),Ib(k)について、所定のフィルタ処理を施すことにより、縞周波数成分及びその高調波成分を除去する、すなわち位相のずれφのみを含む成分を抽出するものである。ローパスフィルタ部504aからの出力をLPF(Ia(k))、ローパスフィルタ部504bからの出力をLPF(Ib(k))とすると、
LPF(Ia(k))=(Acosφ)/2
LPF(Ib(k))=−(Asinφ)/2
である。
【0031】
位相算出部505は、二つのローパスフィルタ部504a,504bから出力された結果に基づいて、各画素位置(j,k)における位相のずれφ(j,k)を算出するものである。位相のずれφ(j,k)は、
Figure 2005030812
より求めることができる。上式では、arctanの値域を−π/2〜+π/2とすると共に、LPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))の符号についての情報を利用して、位相のずれφを−π〜+πの範囲で求めている。ここで、この範囲で求めた位相のずれを改めてφ´と記すことにする。この場合、上式で求めた位相のずれφ´は、図7(a)に示すように、鋼板2の表面の凹み(深さ)と周期的な関係があり、位相のずれφ´のある値をとるような深さは複数ある。したがって、かかる位相のずれφ´を用いたのでは、鋼板2の表面形状について正確な情報は得られない。このため、この位相のずれφ´から、図7(b)に示すように鋼板2の表面の凹み(深さ)と比例関係にあるような位相のずれφを求める必要がある。深さと比例関係にある位相のずれφを得る処理は、位相連続化処理部508によって行われる。
【0032】
また、振幅算出部506は、二つのローパスフィルタ部504a,504bから出力された結果に基づいて、各画素位置(j、k)における振幅A(j,k)を算出するものである。振幅A(j,k)は、
Figure 2005030812
より求めることができる。
【0033】
図8に、鋼板の先端を切り取って作製したサンプルについての画像の例を示す。図8(a)は位相のずれφ´に基づいて作成した位相画像であり、例えば位相のずれφ´が+πのときに画像が白くなり、−πのときに画像が黒くなるような濃淡画像で表現している。図8(b)は振幅Aに基づいて作成した振幅画像であり、例えば振幅が小さいほど画像が黒くなるような濃淡画像で表現している。
【0034】
ところで、鋼板2の表面が油で汚れているような場合には、その汚れている領域に対応する縞画像の領域は黒くつぶれてしまうことがある。このような領域では振幅Aが小さく、隣り合う画素位置間で位相のずれφ´が急激に変化するため、そこで求めた位相のずれφ´は信頼できるものではない。例えば、図8(a)の位相画像では、その中心付近領域が汚れている領域である。この汚れている領域では多数のノイズが発生し、画像がザラついている。したがって、このような位相画像の信頼できない領域については、検出対象から外しておくことが望ましい。また、かかる領域では、後述する位相飛び補正をうまく行うこともできない。
【0035】
このような位相画像の信頼できない領域は、振幅画像から求めることができる。すなわち、振幅が極端に小さい領域を特定することにより、信頼できない位相領域を求めることができる。例えば、図8(b)に示すように、振幅画像では、位相画像の信頼できない領域に対応する領域は、他の領域に比べて黒くなっており、振幅画像を、形状を測定対象から外すべき領域を特定するために使用することにしている。この意味では、形状画像を生成する場合には、振幅画像は補助的なものである。
【0036】
縞欠損判定部507は、振幅画像に基づいて、位相画像の信頼できない領域を判定するものである。具体的には、縞欠損判定部507は、所定のしきい値を用いて振幅画像を二値化する。このしきい値としては、表面の汚れに応じた小さな値が設定される。また、必要に応じて、二値画像に対して収縮処理等が行われる。そして、縞欠損判定部507は、こうして得られた二値画像に基づいて当該しきい値よりも小さな領域を判定し、その領域を位相画像の信頼できない領域(欠損領域)として抽出する。図8(c)は縞欠損判定部507で作成された二値画像の例である。この図では、黒い領域が欠損領域である。
【0037】
位相連続化処理部508は、位相算出部505で得られた位相画像に基づいて、位相のずれφ´の不連続点を検出し、位相のずれφ´が滑らかに繋がるように位相のずれφ´を補正するものである。上述したように、位相算出部505で算出した位相のずれφ´の値域は−π〜+πであるので、位相のずれφ´は−π及び+πで不連続となる。例えば、図8(a)に示す位相画像において、白(又は黒)から黒(又は白)に変化している部分が位相のずれφ´の不連続点に対応する。かかる位相画像をそのまま用いたのでは、鋼板2の表面形状を認識することは困難である。したがって、位相のずれφ´の不連続点において位相のずれφ´が滑らかに繋がるように位相のずれφ´を補正する必要がある。かかる補正(位相飛び補正)は、2πの範囲で定義された位相のずれφ´から鋼板2の表面の凹み(深さ)に比例する一義的な位相のずれφを求める処理である。
【0038】
具体的には、位相連続化処理部508は、まず、位相算出部505で得られた位相画像において、縞欠損判定部507で得られた欠損領域に対応する領域をマスクする。これにより、このマスクした領域以外が位相飛び補正の対象となる。
【0039】
次に、位相連続化処理部508は、位相のずれφ´の不連続点を検出すると共に、その不連続点において位相のずれφ´を補正する。位相のずれφ´が不連続であるかどうかは、一つの画素だけを見ても分からない。隣り合う画素同士を見て判断する必要がある。まず、位相連続化処理部508は、位相画像の縦方向の各位置において位相画像を横方向に沿って調べ、隣り合う画素での位相のずれφ´を比較する。その隣り合う画素において位相のずれφ´が大きく異なる場合には、当該画素間で位相のずれφ´が不連続であると判断し、これらの位相のずれφ´を補正する。実際、鋼板2の表面における深さは、急激に変化しない。このため、位相のずれφ´が大きく異なるのは、位相のずれφ´が±2πだけ変化しているために生じたと考えられる。したがって、位相のずれφ´がその隣接する画素での位相のずれφ´と大きく異なっている画素を調べて、それらの位相のずれφ´を滑らかに繋げていくようにすればよい。
【0040】
例えば、ある画素位置では、位相のずれφ´が+πに近い値であり、その右隣りの画素位置では、位相のずれφ´が−πに近い値である場合には、当該右隣りの画素位置では位相のずれφ´が+2πだけ変化していると認識する。そして、当該右隣りの画素位置における位相のずれφ´に+2πを加算することにより、位相のずれφ´を補正する。また、ある画素位置では、位相のずれφ´が−πに近い値であり、その右隣りの画素位置では、位相のずれφ´が+πに近い値である場合には、当該右隣りの画素位置では位相のずれφ´が−2πだけ変化していると認識する。そして、当該右隣りの画素位置における位相のずれφ´に−2πを加算することにより、位相のずれφ´を補正する。
【0041】
こうして、縦方向の各位置において横方向に沿って隣り合う画素を調べて、位相のずれφ´を補正した後、位相連続化処理部508は、今度は、横方向の各位置において縦方向に沿って隣り合う画素を調べ、同様にして、位相のずれφ´を補正する。かかる補正後の各画素位置における位相のずれは、鋼板2の表面の凹み(深さ)に比例する一義的な位相のずれφである。
【0042】
次に、位相連続化処理部508は、かかる補正後の位相のずれφに基づいて新たに位相画像を作成する。この新たな位相画像は鋼板2の表面形状を正確に表している。この新たな位相画像のことを形状画像と称することにする。図8(d)は位相連続化処理部508で作成された形状画像の例である。かかる形状画像を見れば、鋼板2の表面形状を正確且つ容易に理解することができる。
【0043】
このように、形状画像から鋼板2の表面全体の凹凸状態を容易に知ることができるが、例えば、鋼板2の傾きを無視して凹凸形状の疵だけを知りたいという場合もある。欠陥検出処理部509は、位相連続化処理部508で得られた形状画像に基づいて、鋼板2の表面に生じた凹凸形状の疵を検出するものである。具体的には、欠陥検出処理部509は、まず、図9(a)に示すように、位相画像から、横方向の各位置において縦方向に沿った位相のずれφの分布を抽出する。そして、その位相のずれφの分布に対して例えば最小二乗近似を行い、当該縦方向に沿った位相のずれφの分布に対する近似曲線を求める。その後、図9(b)に示すように、当該縦方向に沿った位相のずれφの分布曲線から、当該近似曲線を減算する。この減算した結果には欠陥に関する情報だけが含まれる。かかる処理は、横方向のすべての位置において行われる。こうして得られた結果を画像として表すことにより、凹凸形状の疵だけが抽出された欠陥画像を得ることができる。その後、欠陥検出処理部509は、かかる欠陥画像に対して二値化やラベリング等の手段を講じて、欠陥を検出する。なお、ここでは、欠陥検出処理部509による欠陥画像を得る際に、横方向の各位置において縦方向に沿った位相のずれφの分布に対して減算処理を行う場合について説明したが、その代わりに、縦方向の各位置において横方向に沿った位相のずれφに対して減算処理を行うようにしてもよい。
【0044】
次に、鋼板2の表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する処理手順について説明する。図10は図3に示す縞画像のうち凹部を含む領域についての処理を説明するための図、図11は図3に示す縞画像のうち汚れ部を含む領域についての処理を説明するための図である。
【0045】
前段階として、オペレータは、レーザ装置10の方向を調整して、線状レーザ光が鋼板2の表面に入射する入射角度θを設定する。線状レーザ光の入射角度θを大きくすると、鋼板2の表面の同じ深さ変化に対して線状レーザ光の反射点変化量は大きくなるので、測定の感度が向上するが、測定レンジは狭くなってしまう。このため、測定の感度とレンジとを考慮して、線状レーザ光の入射角度θを決定する必要がある。
【0046】
こうして測定準備が整い、オペレータにより本システムのスイッチがオンになると、タイミング信号発生器40は、所定の周波数ωをもつ正弦波形状の信号をレーザ装置10に送出すると共に、周波数Mωのカメラシフトパルス信号をTDIカメラ30に送出する。レーザ装置10は、かかる正弦波形の信号を受けると、同じく正弦波形で強度変調されたレーザ光を発生する。そのレーザ光はロッドレンズ20で扇状に広げられ、線状レーザ光として移動している鋼板2の表面に照射される。そして、鋼板2の表面で反射された線状反射像がTDIカメラ30により撮像される。TDIカメラ30の各光電変換素子35は線状反射像に対応する電荷を蓄積し、タイミング信号発生器40からのカメラシフトパルス信号を受ける度にその電荷を隣りの光電変換素子35に転送する。かかる転送動作を繰り返すことにより、各線状反射像に対応する光切断像がTDIカメラ30から順次出力される。
【0047】
TDIカメラ30から出力された光切断像は、画像処理装置50のA/D変換部501に入力する。各光切断像は、A/D変換部501でディジタル多値画像データに変換され、かかるディジタル多値画像データは画像メモリに記憶される。これらのディジタル多値画像データから縞画像が得られる。
【0048】
例えば、図3に示す縞画像では、その左側に縞の曲がっている部分がある。この縞の曲がった部分は、鋼板2の表面の凹部に対応している。図10(a)に、この凹部を含む小部分だけを切り抜いた縞画像を示す。また、図3に示す縞画像の中央やや右下には縞が欠けて黒くなった部分がある。この黒くなった部分は、鋼板2の表面の汚れ部に対応している。図11(a)に、この汚れ部を含む小部分だけを切り抜いた縞画像を示す。
【0049】
画像メモリからは、縦方向の各位置におけるスライス縞画像データが順次出力される。図10(b)に、同図(a)において凹部に対応する一の縦方向の位置でのスライス縞画像データを示す。また、図11(b)に、同図(a)において汚れ部に対応する一の縦方向の位置でのスライス縞甲像データを示す。ここで、図10(b)、図11(b)の各グラフにおいて、縦軸は当該縞画像の濃度値I(k)であり、横軸は横方向の画素位置kである。なお、図10(b)〜(h)、図11(b)〜(h)の各グラフにおいても、横軸は横方向の画素位置である。
【0050】
図10(b)、図11(b)のスライス縞画像データでは、ピークを示す位置がそれぞれ、図10(a)、図11(a)における白い部分の位置に対応する。特に、図10(b)のスライス縞画像データにおいては、凹部に対応する範囲で各ピーク間の間隔が変化している。一方、図11(b)のスライス縞画像データにおいては、汚れ部に対応する範囲で濃度値が極端に低くなっている。
【0051】
縦方向の各位置におけるスライス縞画像データは、プレフィルタ部502でノイズを除去された後、二つの出力とされる。そして、これら二つのスライス縞画像データはそれぞれ、直交正弦波発生部503で発生された基準正弦波データである基準cosデータ、基準sinデータと乗算される。図10(c)及び図11(c)に基準cosデータを示し、図10(d)及び図11(d)に基準sinデータを示す。また、図10(e)に、図10(b)のスライス縞画像データと図10(c)の基準cosデータとを乗算した結果Ia(k)を示す。そして、図10(f)に、図10(b)のスライス縞画像データと図10(d)の基準sinデータとを乗算した結果Ib(k)を示す。同様に、図11(e)には図11(b)のスライス縞画像データと図11(c)の基準cosデータとを乗算した結果Ia(k)を、図11(f)には図11(b)のスライス縞画像データと図11(d)の基準sinデータとを乗算した結果Ib(k)を示す。図10(e),(f)及び図11(e),(f)から分かるように、縞の曲がっている部分や縞の欠けた部分に対応する位置では、当該乗算された結果のデータIa(k)、Ib(k)は大きく変化している。
【0052】
こうして乗算された結果のデータIa(k),Ib(k)には、ローパスフィルタ部504a,504bで所定のフィルタ処理が施され、位相のずれφ´のみを含むデータLPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))が抽出される。図10(e),(f)及び図11(e),(f)において、破線で描いたのが、ローパスフィルタ部504a,504bから出力される、位相のずれφ´のみを含むデータLPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))である。
【0053】
次に、位相算出部505は、二つのローパスフィルタ部504a,504bから出力されるデータLPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))に基づいて、各画素位置での位相のずれφ´を算出する。図10(g)には図10(e),(f)の各データに基づいて算出された位相のずれφ´を示し、図11(g)には図11(e),(f)の各データに基づいて算出された位相のずれφ´を示す。図10(g)の例では、位相のずれφ´は画素位置「95」、「160」において不連続になっている。また、図11(g)の例では、縞の欠けた部分に対応する範囲で位相のずれφ´が異常な変化をしている。その後、位相算出部505は、その算出した位相のずれφ´に基づいて位相画像を生成する。
【0054】
一方、振幅算出部506は、二つのローパスフィルタ部504a,504bから出力されるデータLPF(Ia(k)),LPF(Ib(k))に基づいて、各画素位置での振幅Aを算出する。図10(h)には図10(g),(f)の各データに基づいて算出された振幅Aを示し、図11(h)には図11(g),(h)の各データに基づいて算出された振幅Aを示す。図10(h)の例では、振幅Aはどこでも略一定値の0.5となっている。また、図11(h)の例では、振幅Aは縞の欠けた部分に対応する範囲で極端に低下している。その後、振幅算出部506は、その算出した振幅Aに基づいて振幅画像を生成する。なお、通常、位相のずれφ´、振幅Aは隣り合う画素において滑らかに変化する。このため、すべての画素位置において位相のずれφ´、振幅Aを計算する代わりに、各縞毎に、一の画素位置において、すなわちM画素おきに位相のずれφ´、振幅Aを計算するようにしてもよい。これにより、処理を迅速に行うことができる。
【0055】
その後、縞欠損判定部507は、振幅画像を所定のしきい値を用いて二値化することにより、当該しきい値よりも小さい振幅をもつ領域を、欠損領域として抽出する。例えば、図10(h)の振幅Aを示すグラフには欠損領域は存在しない。これに対して、図11(h)の振幅Aを示すグラフには、矢印で示すように、振幅Aが極端に低下している範囲があり、この矢印で示した範囲が欠損領域と判定される。
【0056】
次に、位相連続化処理部508は、位相画像において、縞欠損判定部507で抽出された欠損領域に対応する領域をマスクし、そのマスクした領域以外に対して位相飛び補正を行う。例えば、図11(g)において、その矢印で示す範囲は、図11(h)の欠損領域に対応する範囲である。この図11(g)の矢印で示す範囲では位相のずれφ´が異常な変化をしているが、当該範囲は位相飛び補正の対象外となる。また、図10(g)の例において、位相飛び補正を行うと、位相のずれφ´の値が+π付近の値を取る中央領域においては、その位相のずれφ´の値が−2πだけ減算される。これにより、同図(g)の中央下側に示すように、位相のずれが連続的に繋がる。
【0057】
こうして位相飛び補正が終了すると、位相連続化処理部508は、その補正後の位相のずれφに基づいて形状画像を作成する。かかる形状画像は表示装置60の画面上に表示される。その後、欠陥検出処理部509は、かかる形状画像に基づいて、鋼板2の表面に生じた凹凸形状の疵を検出する。かかる検出結果も表示装置60の画面上に表示される。
【0058】
このように、TDIカメラ30を用いて得られた縞画像に基づいて、各スライス縞画像データについて位相のずれと振幅を算出することにより、位相画像及び振幅画像を作成する。次に、振幅画像に基づいて欠損領域を特定し、位相画像においてその欠損領域に対応する領域をマスクした後、そのマスクした位相画像に基づいて位相のずれを連続化する処理を行う。そして、その連続化された後の位相のずれを表す形状画像を画面上に表示する。したがって、例えば縞画像を二値化し、その二値画像に基づいて鋼板二の表面形状を測定する手法等に比べて、鋼板2の表面の凹凸形状の疵を高精度かつ高速に検出することができる。
【0059】
(鋼板2の表面での粗度の相違を表す濃淡画像の生成)
ところで、例えば鋼板2の表面がスケール疵のような模様状の疵があると、鋼板2の表面での反射特性に差異が生じる。鋼板2の表面がスケール疵がある場合には、そのスケール疵領域の粗度が鋼板2の表面自体の粗度に比べて高くなるために散乱しやすくなり、TDIカメラ30に入射するレーザ光量が多くなって縞画像に白く現れる。
【0060】
このように、鋼板2の表面での粗度の相違は、縞画像での濃淡となって現れてくる。本実施形態では、縞画像に基づいて鋼板2の表面での粗度の相違を測定することにしている。
【0061】
画像処理装置50では、各光切断像から構成される縞画像から鋼板2の表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する処理を行う。図6に画像処理装置50の概略ブロック図を示す。第1の実施形態では、平均化処理部510により本発明でいう濃淡画像生成手段の機能が実現されるものである。画像処理装置50の各部で処理された結果は、表示装置60の画面上に表示される。
【0062】
A/D変換部501は、既述したように、TDIカメラ30から出力された各光切断像をA/D変換し、ディジタル多値画像データとして出力するものである。かかるディジタル多値画像データは、図示しない画像メモリに記憶される。これらのディジタル多値画像データを順に配置することにより縞画像が形成される。図12に縞画像の一例を示す。
【0063】
平均化処理部510は、縞画像に対して平均化処理を施すものである。例えば、TDIカメラ30のカメラシフト周波数とレーザ光の変調周波数との比をM:1とした場合、縞に直交する方向のM画素のデータを平均化して1画素のデータとし、M画素ごとに同様の処理を行う。図12の例はM=4とした場合の縞画像であり、縞に直交する方向の4画素のデータを平均化して1画素のデータとすると、図13に示すように、縞に直交する方向に1/4に圧縮された縞模様のない画像が得られる。この画像は鋼板2の表面での粗度の相違を正確に表しており、濃淡画像と称することにする。かかる濃淡画像を見れば、鋼板2の表面での粗度の相違を正確且つ容易に理解することができ、白くなっている領域ではスケール疵があると判断することができる。
【0064】
なお、縞に直交する方向のM画素のデータを平均化して1画素のデータとする処理を、縞に直交する方向に1画素ずつずらして行うようにしてもよい(移動平均)。この場合、図14に示すように、縞画像と同じサイズの縞画像のない画像が得られる。この画像も鋼板2の表面での粗度の相違を正確に表しており、濃淡画像と称することにする。平均化処理部510は正弦波の周波数及びその高調波に対して零点をもつローパスフィルタまたはマルチレートローパスフィルタにより実現される。
【0065】
このように、濃淡画像から鋼板2の表面全体での粗度の相違を容易に知ることができる。この場合に、例えば、欠陥検出処理部509で、平均化処理部510で得られた濃淡画像にエッジ検出処理、エッジ外埋め込み処理を行い(図15(a))、スケール疵は面積が大きいために消えないように二次関数近似でシェーディング補正した後(図15(b))、二値化やラべリングの処理を施す等して、鋼板2の表面に生じたスケール疵のような模様状の疵を検出する(図15(c))。なお、図15は説明のための例であり、図12〜14に示す例とは別の鋼板から得られたものである。
【0066】
また、上記のようにスケール疵は白く現れるが、例えば鋼板2の表面が油で汚れているような場合には、その汚れている領域の粗度が鋼板2の表面自体の粗度に比べて低くなるために散乱しにくくなり、TDIカメラ30に入射するレーザ光量が少なくなって縞画像に暗く現れる。蛍光灯照明や太陽灯照明を用いて取得される画像の場合、スケース疵及び汚れはいずれも黒く現れるが、指向性に優れたレーザ光を用いることにより、スケール疵のような模様状の疵と油による汚れとを容易に識別することが可能となる。
【0067】
以上述べたように第1の実施形態によれば、縞画像から、鋼板2の表面の凹凸状態を表す形状画像と、鋼板2の表面での粗度の相違を表す濃淡画像とを生成するようにしたので、凹凸形状の疵やスケール疵のような模様状の疵を高精度かつ高速に同時に検出することができる。
【0068】
図16(a)は表面に浮いているへげ(scab)のある鋼板から得られた形状画像、(b)は濃淡画像を示す。図17(a)は表面にへげが剥がれた凹みのある鋼板から得られた形状画像、(b)は濃淡画像を示す。図18(a)は表面にスケール疵のある鋼板から得られた形状画像、(b)は濃淡画像を示す。これら画像の採取条件は、鋼板のサンプルを用いて、レーザ出力30mW、変調周波数725Hz、レーザ投光角度45°、レーザ広がり角度45°、レーザ投射幅約500mm、TDIカメラ2048bit、カメラシフト周波数2900Hz(変調周波数725の4倍)、カメラ絞りF2.8、ステージ速度(鋼板の移動速度)10mpmとしている。
【0069】
鋼板2の表面に凹凸形状の疵が生じていることは、図16(b)、17(b)に示すように濃淡画像からは検出することができないが、図16(a)、17(a)に示すように形状画像から容易に検出することができる。逆に、鋼板2の表面にスケール疵が生じていることは、図18(a)に示すように形状画像からは検出することができないが、図18(b)に示すように濃淡画像(白くなっている領域)から容易に検出することができる。
【0070】
(第2の実施の形態)
第2の実施形態は、濃淡画像の生成を他の方法により行うようにしたものである。すなわち、鋼板2の表面が汚れていたり、スケール疵のような模様状の疵があったりする場合には、その位置に対応する画素位置において振幅が変動するので、振幅算出部506において得られた振幅を表す振幅画像(図8(b)を参照)を濃淡画像としてもよい。第2の実施形態では、図19に示すように、振幅算出部506により本発明でいう濃淡画像生成手段の機能が実現されるものである。
【0071】
(第3の実施の形態)
第3の実施形態は、形状画像の生成を他の方法により行うようにしたものである。すなわち、上記第1の実施形態では、鋼板2の表面形状を測定し、その表面の凹凸形状の疵を検出する場合を考えた。このとき、鋼板2の表面における深さは急激に変化せず、位相のずれφ´が大きく異なるときには位相のずれφ´が±2πだけ変化していると仮定していた。このため、第1の実施形態では、正弦波の1波長以上の不連続な段差が鋼板2の表面にある場合、その段差において位相のずれφ´をうまく補正することができず、したがって、不連続な深い段差を有する鋼板2の表面形状を測定することは困難である。第3の実施形態では、不連続な深い段差を有する鋼板2の表面形状をも測定できるように、第1の実施形態の鋼板表面の検査システムを改良したものである。なお、第1の実施形態で説明した構成要素と同一の機能を有するものには、同一の符号を付すとともに、その詳細な説明を省略する。
【0072】
図20は第3の実施形態における鋼板表面の検査システムの概略構成図である。同図に示すように、レーザ装置10と、ロッドレンズ20と、遅延積分型カメラ(TDIカメラ)30と、タイミング信号発生部140と、変調器(重畳信号生成手段)170と、画像処理装置150と、表示装置60とを備える。
【0073】
タイミング信号発生部140は、所定周波数ωのM倍の周波数をもつパルス信号を発生し、そのパルス信号をTDIカメラ30と変調器170とに送出するものである。TDIカメラ30では、鋼板2の表面の線状反射像が1列分の幅で光電変換素子35に入射する。そして、各光電変換素子35が電荷を転送するタイミングは、タイミング信号発生部140から送出されるパルス信号によって制御される。
【0074】
変調器170は、図21に示すように、正弦波形の信号と長い周期をもつ擬似ランダム信号とを発生し、それらの信号を重畳した重畳信号を出力するものである。具体的には、変調器170は、タイミング信号発生部140からパルス信号を受ける度に、正弦波形の信号の位相を一定量2π/Mだけ進める。この正弦波形の信号は、パルス信号がM回入力すると波形が元の状態に戻るので、その周波数はωである。また、変調器170は、タイミング信号発生部140からパルス信号を受ける度に、擬似ランダム信号を1チップだけ発生する。この擬似ランダム信号としては、その周期が上記の正弦波形の信号の周期よりも長く、且つその振幅が上記の正弦波形の信号の振幅の10%〜20%であるものが用いられる。そして、変調器170は、タイミング信号発生部140からパルス信号を受けたときに、位相を一定量2π/Mだけ進めた正弦波形の信号と1チップ分の擬似ランダム信号とを重畳し、その重畳信号をレーザ装置10に送出する。
【0075】
レーザ装置10は、外部信号によりその発振強度を連続的に変化させられるものであり、変調器170から送出される重畳信号を受けると、その重畳信号の波形で出力が変化するレーザ光を発生する。すなわち、第3の実施形態では、レーザ装置10が発するレーザ光を重畳信号により変調させている。
【0076】
ここで、擬似ランダム信号について説明する。第3の実施形態では、擬似ランダム信号として、例えばM系列信号を用いる。このM系列信号は、二値の信号であり、複数のシフトレジスタを有する回路により生成される。M系列信号の周期は、タイミング信号発生器140から送出されるパルス信号の周期Tを単位として2−1で与えられる。nはシフトレジスタの数である。ここでは、擬似ランダム信号の周期を、例えば255Tとする。この周期255Tは、正弦波形の信号の周期MTよりも大きいと仮定する。また、擬似ランダム信号には、擬似ランダム信号の波形が一致するときにのみ自己相関値が大きなピークをとり、擬似ランダム信号の波形が一致しないときには自己相関値がほとんどゼロになるという性質がある。
【0077】
画像処理装置150では、各光切断像から構成される縞画像の縞のずれに基づいて鋼板2の表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する処理を行う。図22に画像処理装置150の概略ブロック図、図23に画像処理装置150における相関算出部151の構成を説明するための図、図24に相関算出部151で求められる相関ピーク位置のずれ量を説明するための図、図25に画像処理装置150において形状算出部152が行う処理を説明するための図を示す。画像処理装置150は、図22に示すように、A/D変換部501と、プレフィルタ部502と、直交正弦波発生部503と、ローパスフィルタ部504a,504bと、位相算出部505と、振幅算出部506と、縞欠損判定部507と、位相連続化処理部508と、相関算出部151と、形状算出部152とを備える。なお、図22では、形状画像を生成するための構成のみを示し、濃淡画像を生成するための構成については上記第1、2の実施形態で説明した通りなので省略している。画像処理装置150の各部で処理された結果は、表示装置60の画面上に表示される。
【0078】
TDIカメラ30から出力された各光切断像は、第1の実施形態と同様に、A/D変換部51でA/D変換され、ディジタル多値画像データとして画像メモリ(不図示)に記憶される。これらのディジタル多値画像データを順に配置することにより縞画像が形成される。第3の実施形態では、縞画像を、横方向に沿って所定の長さで複数の単位縞画像に分割する。そして、画像処理装置150の各部は、単位縞画像毎に所定の処理を施すことにする。ここでは、図23に示すように、各単位縞画像の横方向の長さを、例えば擬似ランダム信号の1周期に相当する長さ(255画素)とする。また、各単位縞画像の縦方向の長さは1024画素である。
【0079】
かかる各単位縞画像からは、縦方向の各位置におけるスライス縞画像データが生成され、プレフィルタ部502と相関算出部151とに出力される。プレフィルタ部502は、各スライス縞画像データに所定のフィルタ処理を施すことにより、ノイズや擬似ランダム信号を除去する。したがって、プレフィルタ部502から出力されるスライス縞画像データからは、擬似ランダム信号の影響が排除されている。なお、プレフィルタ部502によるフィルタ処理は必ずしも行わなくてもよい。擬似ランダム信号のスペクトルは広く、且つ擬似ランダム信号の振幅は正弦波形の信号の振幅よりも小さいので、プレフィルタ部502によるフィルタ処理を行わなくとも、擬似ランダム信号が位相のずれの算出処理に及ぼす影響はほとんど無視することができるからである。
【0080】
直交正弦波発生部503、ローパスフィルタ部504a,504b、位相算出部505、振幅算出部506、縞欠損判定部507、及び位相連続化処理部508ではそれぞれ、上記の第1の実施形態と同様の処理が行われる。これにより、位相連続化処理部508では、鋼板2の表面の凹み(深さ)に比例する位相のずれφに基づいて作成された位相画像が得られる。特に、第3の実施形態では、位相連続化処理部508は、その位相画像に基づいて、位相のずれφを深さに換算することにより、縦方向の各位置において横方向に沿っての深さ分布データを求める。その求めた縦方向の各位置における深さ分布データは、形状算出部152に出力される。
【0081】
相関算出部151は、図23に示すように、1024個の回路群C(m=1,2,・・・,1024)からなる。これらの回路群Cは、単位縞画像の縦方向の画素数と同じ数だけ設けられており、各回路群Cにはそれぞれ、縦方向の対応する位置におけるスライス縞画像データが入力する。各回路群Cは、図23に示すように、直流成分除去部151aと、ノッチフィルタ部151bと、相関器151cとを有する。
【0082】
直流成分除去部151aは、スライス縞画像データの平均の濃度値を算出し、スライス縞画像データからその平均の濃度値を差し引くことにより、スライス縞画像データから直流成分を除去する。TDIカメラ30から出力される光切断像には必ず直流成分が付加されている。かかる直流成分を除去することにより、平均の濃度値がゼロになるようなスライス縞画像データが得られる。
【0083】
ノッチフィルタ部151bは、直流成分除去部151aから出力されたスライス縞画像データから、正弦波形の信号成分を除去するものである。これにより、擬似ランダム信号成分だけを含む受信信号u´(i)が得られる。i(i=1,2,3,・・・,255)は横方向の画素位置である。なお、このノッチフィルタ部151bによる処理は必要な場合にのみ行えばよい。擬似ランダム信号は、その周期が正弦波の周期より十分長ければ、正弦波形の信号や縞画像に含まれる雑音との相関が低くなり、後述する相関器151cにおいて相関ピーク位置のずれ量を確実に検出できるからである。
【0084】
相関器151cは、ノッチフィルタ部151bから出力された受信信号u´(i)と基準の擬似ランダム信号u(i)との相関値を算出し、その相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量を求めるものである。ここで、基準の擬似ランダム信号u(i)は、変調器170が発生する擬似ランダム信号の複製信号であり、相関器151c内に予め記憶されている。受信信号u´(i)には、変調器170で実際に発生された擬似ランダム信号が含まれるが、その擬似ランダム信号の波形は、基準の擬似ランダム信号u(i)の波形に比べて鋼板2の表面の深さに応じた所定量だけずれている。
【0085】
基準の擬似ランダム信号u(i)と受信信号u´(i)との相関値Corr(p)は、基準の擬似ランダム信号u(i)と受信信号u´(i−p)とを乗算し、u(i)・u´(i−p)をすべてのiについて加算することにより求められる。この相関値Corr(p)は擬似ランダム信号の自己相関値であり、両信号の波形が一致するときにのみ大きなピークをとり、両信号の波形が一致しないときにはほとんどゼロである。相関器151cは、pの値を0から254まで1画素ずつずらしながら、相関値Corr(p)を算出し、相関値Corr(p)がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量p=Pを求める。すなわち、相関器151cは、横方向の1画素毎に相関値Corr(p)を算出するので、相関ピーク位置のずれ量Pを横方向の1画素単位で求めることができる。また、一の単位縞画像の各スライス縞画像データについて、相関ピーク位置のずれ量Pは一つしか出力されない。画像処理装置150では、単位縞画像毎に処理を施すと共に、単位縞画像の横方向の幅を擬似ランダム信号の1周期に相当する画素数としているからである。これにより、相関器151cでの処理はとても簡易なものとなる。
【0086】
ところで、図24に示すように、鋼板2の表面に不連続な深い段差があると、その段差の部分Bで反射したレーザ光の像は、第1の実施形態において説明した理由と同様の理由により、段差になっていない部分Aで反射したレーザ光の像よりも時間的に早くTDIカメラ30から出力される。このため、段差の部分Bにおけるスライス縞画像データに含まれる擬似ランダム信号の波形と、段差になっていない部分Aにおけるスライス縞画像データに含まれる擬似ランダム信号の波形とはずれている。これにより、段差の部分Bにおけるスライス縞画像データに基づいて得られた相関ピーク位置のずれ量Pと、段差になっていない部分Aにおけるスライス縞画像データに基づいて得られた相関ピーク位置のずれ量Pとは異なっている。このように、鋼板2の表面の凹み(深さ)は、相関ピーク位置のずれ量Pとして現れてくる。実際、相関ピーク位置のずれ量Pと鋼板2の表面の凹み(深さ)とは比例関係にあり、深さが深くなるほど、相関ピーク位置のずれ量Pが大きくなる。
【0087】
この相関ピーク位置のずれ量Pと鋼板2の深さとの関係について説明する。図5に示すように、線状レーザ光が鋼板2の表面に入射する入射角度をθとすると、深さdで反射した線状レーザ光は、鋼板2の平坦な表面で反射した線状レーザ光に比べて、鋼板2の長手方向に距離h=d・tanθだけ反射点がずれる。TDIカメラ30における光電変換素子35の列方向の撮影分解能をS(mm/画素)とすると、線状レーザ光の反射点が長手方向にずれた距離hは、縞画像においてh/s画素に相当する。そして、このh/sが相関ピーク位置のずれ量P(画素)となる。すなわち、P=h/sである。したがって、鋼板2の表面の深さdと、その深さdにより生じた相関ピーク位置のずれ量Pとの間には、
d=(s/tanθ)P
という比例関係がある。
【0088】
相関器151cは、上記の比例関係を用いて、相関ピーク位置のずれ量Pを鋼板2の表面の深さdに換算する。こうして得られる深さdは、縦方向の当該位置において、横方向に沿って擬似ランダム信号の1周期に相当する画素数分の長さにおける平均の深さ(第一の平均の深さ)である。このように、各相関器151cは縦方向の各位置における第一の平均の深さdを算出し、各第一の平均の深さdは形状算出部152に出力される。図25(a)に相関算出部151で得られた縦方向の各位置における第一の平均の深さの一例を示す。ここで、図25(a)において、縦軸は縦方向の位置、横軸は各相関器151cからの出力(第一の平均の深さ)である。第3の実施形態では、擬似ランダム信号として正弦波形の信号に比べて長い周期をもつものを用いているので、正弦波形の信号の1波長以上の不連続な段差が鋼板2の表面にある場合、その段差については平均の深さを正確に求めることができる。
【0089】
形状算出部152は、位相連続化処理部508で得られた縦方向の各位置における深さ分布データと相関算出部151で得られた縦方向の各位置における第一の平均の深さとに基づいて、鋼板2の表面の形状を表す深さ画像を作成するものである。具体的には、形状算出部152は、まず、位相連続化処理部508で得られた縦方向の各位置における深さ分布データに基づいて、縦方向の各位置における平均の深さ(第二の平均の深さ)を求める。次に、形状算出部152は、縦方向の各位置毎に、第二の平均の深さが相関算出部151で得られた第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求める。このオフセット値は、第一の平均の深さから第二の平均の深さを減算することこによって得ることができる。そして、図25(b)に示すように、位相連続化処理部508で得られた縦方向の各位置における深さ分布データに、当該位置におけるオフセット値を加算する。その後、形状算出部152は、かかる加算処理が行われた後の縦方向の各位置における深さ分布データに基づいて深さ画像を作成する。この深さ画像は、鋼板2の表面に不連続な深い段差がある場合でも、鋼板2の表面形状を正確に表している。したがって、かかる形状画像を見れば、鋼板2の表面形状を正確且つ容易に理解することができる。
【0090】
一般に、長い周期をもつ信号を利用すれば深い段差を検出することが可能である。例えば、長い周期をもつ正弦波形の信号を利用することにより、その周期に対応した深い段差を検出することができる。しかし、長い周期をもつ正弦波形の信号だけを用いたのでは、同じ凹み量に対する位相のずれ量が小さくなるため、位相測定のSN比が低下し、微小な凹みを精度よく検出できなくなってしまう。一方、擬似ランダム信号だけを用いても、鋼板2の表面の凹みを測定することができる。しかし、この場合、擬似ランダム信号の1周期に相当する長さにおける平均の深さしか求めることができないので、鋼板2の表面の、長さが擬似ランダム信号の一周期以下の小さな凹みについてはその深さを正確に検出することは困難である。これらの点を考慮して、第3の実施形態では、正弦波形の信号とその周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号とを重畳した重畳信号を用いてレーザ光を変調することにより、鋼板2の表面の、長さが擬似ランダム信号の周期以下の凹凸については正弦波形の信号を利用して検出し、鋼板2の表面の不連続な長く深い段差については擬似ランダム信号を利用して検出することにしている。
【0091】
次に、鋼板2の表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する処理手順について説明する。タイミング信号発生器140は、所定の周波数Mωをもつパルス信号を変調器170とTDIカメラ30とに送出する。変調器170は、かかるパルス信号を受ける度に、正弦波形の信号の位相を2π/Mだけ進めるとともに、擬似ランダム信号を1チップだけ発生する。そして、正弦波形の信号と擬似ランダム信号とを重畳した重畳信号をレーザ装置10に送出する。レーザ装置10は、かかる重畳信号を受けると、その重畳信号の波形で強度変調されたレーザ光を発生する。そのレーザ光はロッドレンズ20で扇状に広げられ、線状レーザ光として移動している鋼板2の表面に照射される。そして、鋼板2の表面で反射された線状反射像がTDIカメラ30により撮像される。TDIカメラ30の各光電変換素子35は線状反射像に対応する電荷を蓄積し、タイミング信号発生器140からのパルス信号を受ける度にその電荷を隣りの光電変換素子35に転送する。かかる転送動作を繰り返すことにより、各線状反射像に対応する光切断像がTDIカメラ30から順次出力される。
【0092】
TDIカメラ30から出力された光切断像は、画像処理装置150のA/D変換部501に入力する。各光切断像は、A/D変換部051でディジタル多値画像データに変換され、かかるディジタル多値画像データは画像メモリに記憶される。これらのディジタル多値画像データから縞画像が得られる。
【0093】
画像メモリからは、単位縞画像毎に、縦方向の各位置におけるスライス縞画像データがプレフィルタ部52及び相関算出部151に出力される。プレフィルタ部52に出力されたスライス縞画像データには、直交正弦波発生部503、ローパスフィルタ部504a,504b、位相算出部505、振幅算出部506、縞欠損判定部507、及び位相連続化処理部508において上記第1の実施形態と同様の処理が施される。そして、位相連続化処理部503からは、縦方向の各位置における深さ分布データが形状算出部152に出力される。
【0094】
一方、相関算出部151に出力された縦方向の各位置におけるスライス縞画像データはそれぞれ、所定の回路群C(m=1,2,・・・,1024)における直流成分除去部151aに入力する。直流成分除去部151aはスライス縞画像データの直流成分を除去し、その後、ノッチフィルタ部151bがそのスライス縞画像データにおける正弦波形の信号成分を除去する。これにより、擬似ランダム信号成分だけを含む受信信号が得られる。次に、相関器151cは、その受信信号と基準の擬似ランダム信号との相関値を算出し、その相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量を求める。そして、その求めた相関ピーク位置のずれ量に基づいて第一の平均の深さを算出する。各相関器151cで得られた縦方向の各位置における第一の平均の深さは、形状算出部152に出力される。
【0095】
次に、形状算出部152は、位相連続化処理部508で得られた縦方向の各位置における深さ分布データに基づいて、縦方向の各位置における第二の平均の深さを求める。そして、縦方向の各位置毎に第二の平均の深さ変動量が第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、位相連続化処理部58で得られた縦方向の各位置における深さ分布データに当該位置におけるオフセット値を加算する。その後、形状算出部152は、かかるオフセット値が加算された後の縦方向の各位置における深さ分布データを用いて鋼板2の形状を表す深さ画像を作成する。この深さ画像は表示装置60の画面上に表示される。
【0096】
このように、正弦波形の信号とその周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号とを重畳した重畳信号により変調されたレーザ光を鋼板2の表面に照射し、TDIカメラ30を用いて縞画像を取得する。次に、その縞画像に上記の第1の実施形態と同様の処理を施すことにより、縦方向の各位置における深さ分布データを求める。一方、各スライス縞画像データと擬似ランダム信号との相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量に基づいて縦方向の各位置における第一の平均の深さを算出する。そして、縦方向の各位置毎に、深さ分布データに基づいて求めた第二の平均の深さが第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、縦方向の各位置における深さ分布データに当該位置におけるオフセット値を加算する。その後、その加算処理が施された後の各深さ分布データを用いて深さ画像を作成し、表示装置の画面上に表示する。したがって、鋼板2の表面に不連続な深い段差がある場合でも、微小且つ短い凹凸については正弦波の信号を利用して検出し、鋼板の長く深い段差については擬似ランダム信号を利用して検出することができるので、鋼板2の表面の凹凸形状の疵を正確に測定することができる。
【0097】
(他の実施の形態)
以上説明した鋼板表面の検査システムに用いられる画像処理装置は、コンピュータのCPU或いはMPU、RAM、ROM、RAM等で構成されるものであり、上述のようにRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0098】
したがって、プログラム自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、本発明を構成する。プログラムの伝送媒体としては、プログラム情報を搬送波として伝搬させて供給するためのコンピュータネットワーク(LAN、インターネット等のWAN、無線通信ネットワーク等)システムにおける通信媒体(光ファイバ等の有線回線や無線回線等)を用いることができる。
【0099】
さらに、上記プログラムをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムを格納した記憶媒体は本発明を構成する。かかる記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0100】
なお、上記実施の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化のほんの一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0101】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、変調された線状レーザ光を、照射位置を連続的にずらしながら鋼板表面に照射し、上記鋼板表面からの反射光を遅延積分型撮像装置により光電変換して鋼板表面の光切断像を取得して、各光切断像から構成される縞画像から、鋼板表面の凹凸状態を表す形状画像と、鋼板表面での粗度の相違を表す濃淡画像とを生成するようにしたので、凹凸形状の疵やスケール疵のような模様状の疵を高精度かつ高速に同時に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態における鋼板表面の検査システムの概略構成図である。
【図2】TDIカメラの構造と動作を説明するための図である。
【図3】縞画像の一例を示す図である。
【図4】縞画像における縞のずれを説明するための図である。
【図5】スライス縞画像データにおける位相のずれと鋼板2の表面の凹み(深さ)との関係を説明するための図である。
【図6】第1の実施形態における画像処理装置の概略ブロック図である。
【図7】画像処理装置の位相算出部で算出される位相のずれを説明するための図である。
【図8】鋼板の先端を切り取って作製したサンプルについての画像の例を示す図である。
【図9】欠陥検出処理部の処理内容を説明するための図である。
【図10】図3に示す縞画像のうち凹部を含む領域についての処理を説明するための図である。
【図11】図3に示す縞画像のうち汚れ部を含む領域についての処理を説明するための図である。
【図12】縞画像の一例の写真を示す図である。
【図13】縞画像を平均化処理して生成された濃淡画像の写真を示す図である。
【図14】縞画像を平均化処理して生成された濃淡画像の写真を示す図である。
【図15】濃淡画像に処理を行っていく過程を説明するための画像の写真を示す図である。
【図16】表面に浮いているへげ(scab)のある鋼板から得られた形状画像及び濃淡画像の写真を示す図である。
【図17】表面にへげが剥がれた凹みのある鋼板から得られた形状画像及び濃淡画像の写真を示す図である。
【図18】表面にスケール疵のある鋼板から得られた形状画像及び濃淡画像の写真を示す図である。
【図19】第2の実施形態における画像処理装置の概略ブロック図である。
【図20】第3の実施形態における鋼板表面の検査システムの概略構成図である。
【図21】重畳信号を説明するための図である。
【図22】第3の実施形態における画像処理装置の一部概略ブロック図である。
【図23】相関算出部の構成を説明するための図である。
【図24】相関算出部で求められる相関ピーク位置のずれ量を説明するための図である。
【図25】形状算出部が行う処理を説明するための図である。
【符号の説明】
2 鋼板
10 レーザ装置
30 遅延積分型カメラ
35 光電変換素子
40、140 タイミング信号発生部
50、150 画像処理装置
501 A/D変換部
502 プレフィルタ部
503 直交正弦波発生部
504a,504b ローパスフィルタ
505 位相算出部
506 振幅算出部
507 縞欠損判定部
508 位相連続化処理部
509 欠陥検出処理部
510 平均化処理部
151 相関算出部
151a 直流成分除去部
151b ノッチフィルタ部
151c 相関器
152 形状算出部
170 変調器

Claims (13)

  1. 変調された線状レーザ光を、照射位置を連続的にずらしながら鋼板表面に照射し、上記鋼板表面からの反射光を遅延積分型撮像装置により光電変換して鋼板表面の光切断像を取得して、上記各光切断像から構成される縞画像を取得する縞画像取得ステップと、
    上記縞画像の縞のずれに基づいて鋼板表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する形状画像生成ステップと、
    上記縞画像から鋼板表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する濃淡画像生成ステップとを有することを特徴とする鋼板表面の検査方法。
  2. 上記濃淡画像生成ステップでは、上記縞画像に対して縞に直交する方向の複数画素のデータを平均化して1画素のデータとする平均化処理を施した画像を上記濃淡画像とすることを特徴とする請求項1に記載の鋼板表面の検査方法。
  3. 上記線状レーザ光は周期的に変調されることを特徴とする請求項1に記載の鋼板表面の検査方法。
  4. 上記形状画像生成ステップでは、
    互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、上記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての上記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する第1ステップと、
    上記第1ステップで得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する第2ステップと、
    上記第2ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて上記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する位相のずれを算出する第3ステップと、
    上記第3ステップで得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化する第4ステップと、
    上記第4ステップで連続化された後の位相のずれを表す画像を上記形状画像とする第5ステップとを有することを特徴とする請求項3に記載の鋼板表面の検査方法。
  5. 上記第2ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて上記各スライス縞画像データについて各位置における振幅を算出する第6ステップと、
    上記第6ステップで得られた振幅を表す振幅画像に基づいて振幅が所定のしきい値以下である領域を欠損領域として特定する第7ステップとを更に有し、
    上記第4ステップでは、上記第3ステップで得られた位相のずれを表す位相画像において上記欠損領域に対応する領域をマスクした後、上記位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、位相のずれを連続化することを特徴とする請求項4に記載の鋼板表面の検査方法。
  6. 上記濃淡画像生成ステップでは、上記第6ステップで得られた振幅を表す振幅画像を上記濃淡画像とすることを特徴とする請求項5に記載の鋼板表面の検査方法。
  7. 上記線状レーザ光は、周期的な信号に当該周期よりも長い周期をもつ擬似ランダム信号を重畳した重畳信号により変調されることを特徴とする請求項1に記載の鋼板表面の検査方法。
  8. 上記形状画像生成ステップでは、
    互いに直交する二つの基準正弦波データを発生し、上記各基準正弦波データを、縞に平行な方向の各位置において縞に直交する方向に沿っての上記縞画像の濃度分布を表すスライス縞画像データに乗算する第1ステップと、
    上記第1ステップで得られた二つの乗算結果データの各々から、縞に直交する方向に沿っての縞周波数成分及びその高調波成分を除去する第2ステップと、
    上記第2ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて上記各スライス縞画像データについて各位置における基準正弦波に対する位相のずれを算出する第3ステップと、
    上記第3ステップで得られた位相のずれを表す位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、その検出した位置における位相のずれを滑らかに繋ぐことにより位相のずれを連続化し、その連続化された後の位相のずれに基づいて、縞に平行な方向の各位置において縞に直行する方向に沿っての深さ分布データを求める第4ステップと、
    縞に平行な方向の各位置における上記スライス縞画像データと上記擬似ランダム信号との相関値を算出して、その相関値がピークをとるときの相関ピーク位置のずれ量を求め、その求めた相関ピーク位置のずれ量に基づいて縞に平行な方向の各位置における第一の平均の深さを算出する第5ステップと、
    上記第4ステップで得られた縞に平行な方向の各位置における上記深さ分布データに基づいて、縞に平行な方向の各位置における第二平均の深さを求め、縞に平行な方向の各位置毎に上記第二平均の深さが上記第5ステップで得られた上記第一の平均の深さに一致するようなオフセット値を求め、上記第4ステップで得られた縞に平行な方向の各位置における上記深さ分布データに当該位置における上記オフセット値を加算する第6ステップと、
    上記第6ステップで加算処理が施された後の縞に平行な方向の各位置における上記深さ分布データを用いて深さ画像を作成して上記形状画像とする第7ステップとを有することを特徴とする請求項7に記載の鋼板表面の検査方法。
  9. 上記第2ステップで得られた二つの除去結果データに基づいて上記各スライス縞画像データについて各位置における振幅を算出する第8ステップと、
    上記第8ステップで得られた振幅を表す振幅画像に基づいて振幅が所定のしきい値以下である領域を欠損領域として特定する第9ステップとを更に有し、
    上記第4ステップでは、上記第3ステップで得られた位相のずれを表す位相画像において上記欠損領域に対応する領域をマスクした後、上記位相画像に基づいて位相のずれが不連続になっている位置を検出し、位相のずれを連続化することを特徴とする請求項8に記載の鋼板表面の検査方法。
  10. 上記濃淡画像生成ステップでは、上記第8ステップで得られた振幅を表す振幅画像を上記濃淡画像とすることを特徴とする請求項9に記載の鋼板表面の検査方法。
  11. 変調された線状レーザ光を鋼板表面に照射するレーザ装置と、
    照射位置を連続的にずらしながら線状レーザ光が鋼板表面に照射されたときに、上記鋼板表面からの反射光を光電変換して鋼板表面の光切断像を出力する遅延積分型撮像装置と、
    上記遅延積分型撮像装置により出力される各光切断像が入力される画像処理装置とを備えた鋼板表面の検査システムであって、
    上記画像処理装置は、
    各光切断像から構成される縞画像を取得する縞画像取得手段と、
    上記縞画像の縞のずれに基づいて鋼板表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する形状画像生成手段と、
    上記縞画像から鋼板表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する濃淡画像生成手段とを備えることを特徴とする鋼板表面の検査システム。
  12. 変調された線状レーザ光を鋼板表面に照射するレーザ装置と、照射位置を連続的にずらしながら線状レーザ光が鋼板表面に照射されたときに、上記鋼板表面からの反射光を光電変換して鋼板表面の光切断像を出力する遅延積分型撮像装置とを備えた鋼板表面の検査システムに用いられる画像処理装置であって、
    上記遅延積分型撮像装置により出力される各光切断像から構成される縞画像を取得する縞画像取得手段と、
    上記縞画像の縞のずれに基づいて鋼板表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する形状画像生成手段と、
    上記縞画像から鋼板表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する濃淡画像生成手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
  13. 変調された線状レーザ光を鋼板表面に照射するレーザ装置と、照射位置を連続的にずらしながら線状レーザ光が鋼板表面に照射されたときに、上記鋼板表面からの反射光を光電変換して鋼板表面の光切断像を出力する遅延積分型撮像装置とを備えた鋼板表面の検査システムにおいて画像処理を行うためのコンピュータプログラムであって、
    上記遅延積分型撮像装置により出力される各光切断像から構成される縞画像を取得する縞画像取得処理と、
    上記縞画像の縞のずれに基づいて鋼板表面の凹凸状態を表す形状画像を生成する形状画像生成処理と、
    上記縞画像から鋼板表面での粗度の相違を表す濃淡画像を生成する濃淡画像生成処理とをコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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