JP2005030677A - 樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属管4の外周に樹脂被膜5を設けるか又は金属管4の外周に樹脂管を配設する事により管本体2を形成する。この管本体2の外周に、複数のスリット7を間隔を設けて形成した樹脂材製フィン部材3を環状又は螺旋状に密着配設して伝熱管1を形成する。
【選択図】 図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、各種配管による吸放熱、一般産業用、暖房用、給湯用EGRガス冷却装置等の多管式熱交換器にて、冷却水、冷却風、カーエアコン用冷媒、その他の冷媒液等の低温熱媒体流体と、EGRガス、煤を含有する燃焼排気ガス等の被冷却高温熱媒体流体との熱交換を行うために用いる等、各種伝熱管に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−108578号公報
【特許文献2】特開平9−42573号公報
【特許文献3】特開平9−136111号公報
【特許文献4】特開平11−325778号公報
【0003】
従来、自動車のエンジン等では、排気ガスの一部を排気ガス系から取り出して、再びエンジンの吸気系に戻し、混合気や吸入空気に加えるEGRシステムが、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンともに用いられていた。EGRシステム、特にディーゼルエンジンの高EGR率のクールドEGRシステムでは、排気ガス中のNOxを低減し、燃費の悪化を防止するとともに、過剰な温度上昇によるEGRバルブの機能低下や耐久性の低下を防止するため、高温化したEGRガスを冷却水、冷却風、カーエアコン用冷媒、その他の冷媒液等の低温熱媒体流体で冷却するEGRガス冷却装置を設けている。
【0004】
そして、このEGRガス冷却装置として、特許文献1の従来発明に示す如く、内部をEGRガスが流通可能な複数の細径の伝熱管を配置し、この伝熱管の外側に冷却水や冷却風、冷媒等の低温熱媒体流体を流通させる事により、伝熱管を介してEGRガスと低温熱媒体流体との熱交換を行うものが存在した。
【0005】
上述の如きEGRガス冷却装置で使用する伝熱管として、特許文献2〜特許文献3に記載の従来発明の如く、長尺な平板状の金属製フィン部材を金属管の外周に螺旋状に巻回して形成した伝熱管が存在する。この金属製フィン部材の外装により、伝熱管の伝熱面積を多くして伝熱特性を高め、放熱の場合は放熱性を向上させ、吸熱の場合は熱吸収性を向上させる事で、伝熱管の内部を流動する流体と外部を流動する流体との熱交換効率を向上させようとするものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、金属は樹脂に比べて高価であるし、加工性に乏しいため、従来の金属製のフィン部材では形状が制限され、表面積が多く放熱性に優れた複雑な形状とするのは困難であった。また、金属フィン部材は可撓性に乏しく、円弧状等の管本体の外周に螺旋状に配設するのは容易ではないし、螺旋の内径側と外径側とで径差を生じるので、フィン部材の内径側にギャザーを寄せて、内径を縮めながら、管本体の外周に巻き回す必要があり、内径側が幅方向に肉厚となって、伝熱管の重量が増大する等の不具合を生じていた。
【0007】
上記可撓性や肉厚差による不具合を解消するため、特許文献4では、フィン部材の長さ方向の一側に所定間隔でスリットを形成している。このスリットを設けた金属製フィン部材では、管本体の外周に螺旋状に巻き回す際に、スリットの形成側が拡開する事で可撓性が向上し、内径側にギャザーを寄せなくても容易な配設が可能となり、内径側の肉厚化を解消する事ができる。しかしながら、この従来技術でも、伝熱管を金属材のみで形成しているから、伝熱管の軽量化や低コスト化には限界があるし、螺旋状に巻き回す際に管本体の外周でフィン部材が滑り易く、不安定で配設作業が容易ではなかった。
【0008】
また、配設後は管本体の外周面にフィン部材をろう付けする手間等があり、高度な製作技術を必要とする。更に、管本体やフィン部材に、犠牲腐食性めっき処理や樹脂被膜等の耐食対策を施している場合には、これらの耐食対策がろう付けにより破損される事があり、伝熱管の耐食性が低下する虞もあった。
【0009】
そこで、本発明者は、軽量で加工性に優れた樹脂に注目し、金属製の伝熱面と樹脂材製の伝熱面の熱交換性能の比較実験を行ったところ、金属製伝熱面に比べて樹脂材製伝熱面は、条件にもよるが熱交換性能が4〜15%程度しか劣化しない事を見出した。この4〜15%程度の熱交換性能を補うためには、樹脂材製伝熱面の表面積を15%以上増加させれば、金属製の伝熱面と同等若しくはそれ以上の熱交換性能を得る事が可能となると言う結論を得た。
【0010】
本発明は上述の如き課題を解決しようとするものであって、各種配管による吸放熱、金属製伝熱管を使用したプリクーラーにて樹脂材の耐え得る温度まで予め冷却されたEGRガスを冷却するEGRガス冷却装置等に於いて、金属管の外周に樹脂被膜又は樹脂管を配設した管本体に、樹脂材製フィン部材を外装して伝熱管を形成し、金属製フィン部材を外装した従来品に比べて伝熱管の軽量化と低コスト化を可能とする。更に、樹脂の優れた加工性や取り扱いの容易さを利用して、伝熱管の製造作業を容易とするとともに、樹脂材製フィン部材の表面積を広く形成して、金属製フィン部材と同等若しくはそれ以上の熱伝導性を得る事を可能とする。この優れた熱伝導性により、被冷却流体や冷媒液等、伝熱管内を流動する流体と伝熱管の外面を流動する流体との熱交換効率を向上させる。また、この熱交換性能の向上により、伝熱管並びに伝熱管を使用した多管式熱交換器の軽量化と小型化を可能とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の如き課題を解決するため、金属管の外周に樹脂被膜を設けるか又は金属管の外周に樹脂管を配設する事により管本体を形成し、この管本体の外周に、管本体への非密着側に複数のスリットを間隔を設けて形成した樹脂材製フィン部材を、環状又は螺旋状に密着配設して成るものである。
【0012】
また、樹脂材製フィン部材は、帯状部材の一側に、複数のスリットを間隔を設けて形成し、このスリットを形成していない他側の端面を管本体の外周に密着させて、管本体に螺旋状又は環状に配設しても良い。
【0013】
また、樹脂材製フィン部材は、管本体を挿通する挿通口を中央部に開口した環状部材の外周に、放射状に複数のスリットを間隔を設けて形成し、環状部材の挿通口の内面を管本体の外周に密着させて一個又は複数個、管本体の外周に配設しても良い。
【0014】
また、樹脂材製フィン部材は、スリットから軸方向に切断した端面形状を円形、楕円形、長円形又は多角形としても良い。
【0015】
また、樹脂材製フィン部材は、径方向の全体の肉厚を0.5〜2.0mmとし、スリットを設けていない管本体への密着側の肉厚を0.2〜1.0mmとしても良い。
【0016】
また、樹脂被膜は、一層又は2層以上の複数層としても良い。
【0017】
また、樹脂被膜及び/又は樹脂管及び/又は樹脂材製フィン部材は、カーボンナノファイバーを含有させても良い。
【0018】
また、カーボンナノファイバーは、5wt%より多く30wt%より少ない含有量で含有させても良い。
【0019】
【作用】
本発明の伝熱管は上述の如く、スリットを設ける事で表面積を多くした樹脂材製フィン部材を、管本体の外周に配設して伝熱管を形成しているので、従来技術の金属製フィン部材を外装した伝熱管と同等若しくはそれ以上の熱交換性能を得る事ができる。また、螺旋状又は環状の樹脂材製フィン部材の外装により、伝熱管の外周を流動する低温熱媒体流体の乱流化が生じるが、スリットの形成によりエッヂ部が多くなるので、前記低温熱媒体流体の乱流化が促進され、境界層の剥離により、伝熱管を介した内外流体相互の熱交換を促進する事ができる。また、樹脂材製フィン部材の使用により、全体を金属で形成した従来品と比べて、特に軽量で廉価な伝熱管を得る事ができる。
【0020】
また、樹脂材は、金属材に比べて加工性に優れ取り扱いも容易であるので、樹脂材製フィン部材にスリットを容易に設ける事ができる。また、このスリットの形成により、樹脂材製フィン部材の可撓性が向上し、従来の如きギャザーを寄せなくても、管本体の外周に螺旋状又は環状に容易に配設する事が可能となる。また、樹脂材の持つ弾力性により、多少の衝撃を受けても破損を生じにくく、運搬時や保管が容易となる。
【0021】
また、外周に樹脂被膜又は樹脂管を配設した管本体の外周に樹脂材製フィン部材を配設するので、樹脂材の粘弾性により樹脂材製フィン部材が管本体の表面を滑るような事がなく、配設作業を円滑に行う事ができる。また、粘弾性を利用して、樹脂材製フィン部材にて管本体の外周を強く締め付けて配設する事ができ、配設後は樹脂材製フィン部材を管本体の外周に強く密着固定させる事ができる。そのため、樹脂材製フィン部材の耐久性が向上し、伝熱管の外周を流動する流体の流動力を受けても、位置ズレや破損等を生じにくいものとなる。
【0022】
また、樹脂材製フィン部材と管本体とは、互いの密着面を熱溶着や接着剤の塗布により接続する事で、樹脂材製フィン部材の固定性が更に向上し、伝熱管の耐久性が高まり、良好な使用を持続可能とする事ができる。また、熱溶着や接着剤による接着は、従来の金属製の管本体とフィン部材とのろう付けに比べて作業が容易であるし、犠牲腐食性めっきや樹脂被膜等の耐食対策が破損される事がなく、樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管の製造作業を容易とする事ができる。
【0023】
また、上述の如く、熱交換性能に優れ軽量で廉価な伝熱管を使用する事により、各種配管による吸放熱、一般産業用、暖房用、給湯用、EGRガス冷却装置、その他の多管式熱交換器の熱交換性能を向上させる事ができ、これらの装置の軽量化や小型化も可能となる。そのため、狭い場所への設置も容易に行う事ができ、多管式熱交換器等のレイアウトの自由度が高まるものとなる。
【0024】
また、管本体に使用する金属管は、鋼管、銅管、ステンレス鋼管、アルミ管等を使用する事ができる。また、この金属管は、外周に樹脂被膜又は樹脂管を配設しているので、金属管に厳密な耐食対策を施さなくても、耐食性に優れた伝熱管を得る事ができる。更に好ましくは、犠牲腐食性の亜鉛、亜鉛−アルミ合金、亜鉛−錫合金、又は亜鉛−ニッケル合金等をめっき処理を施した金属管を使用すれば、耐食性に対するより高い信頼性を得る事ができる。
【0025】
そして、金属管の外周に樹脂被膜を配設する場合、この樹脂被膜は、金属管の表面や、金属管の外周に施した犠牲腐食性めっき層の表面を、例えばポリアミドやポリプロピレン、又はフッ素系樹脂等の一層の樹脂でコートするものであっても良いし、ポリアミドとポリプロピレンの2層の樹脂でコートする等、複数層の樹脂でコートするものであっても良い。この樹脂被膜の配設により、管本体は外部を流動する流体に対する良好な耐食性が得られるし、金属管の内周面にも樹脂被膜を配設すれば、伝熱管の内部を流動する流体への耐食性も得られるものとなる。また、樹脂被膜を配設済みの量産品の管本体を使用しても良く、伝熱管を低コストに形成できるとともに、製造工程で金属管に樹脂被膜を配設する必要がないものとなる。
【0026】
また、金属管の外周に樹脂管を配設する場合は、肉薄化させた金属管を使用する事ができ、金属材のみで形成した管本体と比較し、より軽量で廉価な伝熱管を得る事ができる。また、この場合も管本体の樹脂材製の外表面に、樹脂材製フィン部材を接着剤による接着又は溶着により、容易に接続する事ができるが、先に樹脂材製フィン部材を螺旋状又は環状に一体に接続形成した樹脂管を、金属管の外周に配設して伝熱管を形成する事もできる。
【0027】
また、樹脂材製フィン部材は、帯状部材で形成し、その一側に複数のスリットを間隔を設けて形成し、このスリットを形成していない他側の端面を管本体の外周面に密着させて、管本体に螺旋状又は環状に配設しても良い。そして、螺旋状に配設する場合は、長尺な帯状部材を管本体の一端から他端まで連続的に巻き回しても良いし、短尺な帯状部材又は長尺な帯状部材を適宜切断したものを、管本体の外周に断続的に螺旋状に配設しても良い。一方、環状に配置する場合は、帯状部材の長さを管本体の外径の円周長と略同一長さに形成した短尺な帯状部材又は長尺な帯状部材を管本体の外径の円周長と略同一長さに切断したものを、管本体の外周に環状に複数個配設しても良い。このように帯状部材で形成する事により、管本体の外周に配設する樹脂材製フィン部材を、螺旋状、環状等の配設形態、配設距離等に対応して所望の長さで形成する事ができる。また、スリットを設けた事により、一側を自在に拡開する事ができ、可撓性が向上して、管本体の外径寸法が何れであっても、その外径寸法に対応した形状で、螺旋状又は環状に配設する事が可能となり、樹脂材製フィン部材の経済的で汎用的な使用が可能となる。
【0028】
また、樹脂材製フィン部材を環状に配設する場合、管本体を挿通する挿通口を中央部に開口し、外周に放射状に複数のスリットを間隔を設けて形成した環状部材製のものを使用すれば、配設の際に環状とする手間がない。このような環状部材を、一個又は複数個、管本体に挿通口を介して挿通させた後、配設位置まで移動させると、樹脂材の粘弾性により各環状部材の挿通口の内周面が管本体の外周に密着固定される。また、環状部材の挿通口の内径を、管本体の外径よりも僅かに小径に形成すれば、挿通口の内周面が管本体の外周面に弾性的に強く密着するものとなり、樹脂材製フィン部材の固定性を向上させる事ができる。逆に、挿通口の内径を管本体の外径よりも小径としても良く、樹脂材製であるから、挿通口の内径を拡開させながら、管本体への挿通及び配設位置までの移動を容易に行う事ができる。
【0029】
また、樹脂材製フィン部材は、使用目的や製造技術等に応じて、スリットから軸方向に切断した端面形状を、円形、楕円形、長円形、三角形、四角形、五角形等の多角形等、適宜の形状とする事ができる。例えば、帯状部材で樹脂材製フィン部材を形成する場合は、端面形状が円形、楕円形、長円形等の帯状部材は成形が容易で、樹脂材製フィン部材の製造が容易となる。また、帯状部材製及び環状部材製の何れの樹脂材製フィン部材でも、端面形状を三角形、四角形、五角形等の多角形とした場合には、何れかの辺を管本体への密着面として環状又は螺旋状に配設する事により、管本体と樹脂材製フィン部材との接触面積を多くする事ができ、管本体と樹脂材製フィン部材との熱伝導性を高める事ができる。
【0030】
また、樹脂材製フィン部材は、径方向の全体の肉厚を0.5〜2.0mmとし、スリットを設けていない管本体への密着側の肉厚を0.2〜1.0mmとすれば、樹脂材製フィン部材の表面積を多くして、金属製品と同等若しくはそれ以上の熱交換性能を得る事が可能となる。更に、スリットの形成側の外径を自在に拡開可能となって、優れた可撓性が得られ、管本体への樹脂材製フィン部材の螺旋状又は環状の配設を行い易く、管本体への密着面のヨレやシワ等も発生しにくいものとなる。また、管本体に強く巻き付けても、スリットを設けていない密着側が破断されたり、弾力性が失われる等がなく、耐久性が向上し、適度な締付力で管本体の外周に密着固定させる事ができる。
【0031】
そして、樹脂材製フィン部材の全体の肉厚が0.5mmよりも薄いと、伝熱管の熱交換性能を向上させるだけの伝熱面積が得られない。また、全体の肉厚を2.0mmよりも厚くしても、熱交換性能の向上が望めず、樹脂材の無駄を生じるとともに、伝熱管が大径となって嵩張りや伝熱管を使用した熱交換器が大きくなる。
【0032】
また、管本体への密着側の肉厚を0.2mmよりも薄くした場合も、樹脂材製フィン部材が脆弱なものとなり、破損や弾力性の低下を生じて管本体への密着固定ができなくなる。また、管本体への密着側の肉厚を1.0mmよりも厚くすると、必然的にスリットの形成長さが短くなり、樹脂材製フィン部材の可撓性が低下して、管本体への螺旋状又は環状の配設が困難になるとともに、表面積が少なくなって熱交換性能を向上させる事ができない。
【0033】
また、樹脂被膜及び/又は樹脂管及び/又は樹脂材製フィン部材は、カーボンナノファイバーを含有させれば、樹脂材の熱伝導性を向上させる事ができ、伝熱管の放熱特性或いは吸熱特性の高い向上が可能となる。また、カーボンナノファイバーは、5wt%より多く30wt%より少ない含有量で含有させれば、最良の放熱特性或いは吸熱特性を得る事ができる。この含有量を5wt%以下とすると、伝熱効果の向上作用に乏しく、30wt%以上を樹脂材に含有させるのは困難で、生産性が低下するとともに高価で、伝熱効果に大きな差を生じない。尚、本明細書で言うカーボンナノファイバーとは、ナノテクノロジー分野に於いて、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、その他ナノ単位のカーボン材料を全て含んだ総称を示すものである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の伝熱管を多管円筒式熱交換器に使用した実施例を図面に於て詳細に説明する。図1は第1実施例で、帯状部材で形成した樹脂材製フィン部材を、管本体の外周に螺旋状に配設して形成した伝熱管の斜視図である。また、図2は第2実施例で、環状部材で形成した樹脂材製フィン部材を、管本体の外周に複数個配設して形成した伝熱管の斜視図である。また、図3は図1の樹脂材製フィン部材のスリット位置での拡大断面図で、樹脂材製フィン部材をスリットから軸方向に切断した端面形状を四角形としたものである。
【0035】
また、図4は第3実施例の伝熱管の主要部分の拡大断面図で、樹脂材製フィン部材のスリットから軸方向に切断した端面形状を円形としたものである。図5は第4実施例の伝熱管の主要部分の拡大断面図で、樹脂材製フィン部材のスリットから軸方向に切断した端面形状を径方向に長尺な楕円形としたものである。
【0036】
また、図6は本発明の伝熱管を用いた多管円筒式熱交換器の概略図である。また、図7は鋼管の外表面をPA樹脂でコートした配管、鋼管の外表面をPA樹脂とPP樹脂でコートした配管、鋼管のみで形成した配管の各々に於いて行った熱交換性能の比較実験の概念図で、図8はその比較実験結果をグラフ化したものである。
【0037】
まず、本発明をするにあたり、表面材質を樹脂とした伝熱面の熱交換性能の比較実験を行った。この実験装置は、図7に示す如く、風洞部(31)内に直径8mm、長さ1900mmとした配管(32)を配置し、この配管(32)に、温度計(33)を設けた温水タンク(34)及びポンプ(35)、流量計(36)を接続し、前記配管(32)に0.9L/mの流量で温度約60℃の温水を流通させている。そして、前記風洞部(31)内にファン(37)を用いて冷却風を送風し、配管(32)を介して冷却風にて温水を冷却している。
【0038】
そして、冷却風と配管(32)内の温水との熱交換性能を、温水の入口温度と出口温度を計測して、その温度差を算出する事により測定する。その温度差及び風速との関係を下記表1及び図8のグラフに示した。実験には、肉厚0.7mmとする鋼管の外表面に13μmの亜鉛めっきとクロメート処理を施し、更に肉厚50μmのPA樹脂でコートした配管(32)、肉厚0.7mmとする鋼管の外表面に13μmの亜鉛めっきとクロメート処理を施し、更に肉厚50μmのPA樹脂及び肉厚1.0mmのPP樹脂でコートした配管(32)を使用した。また、比較実験として鋼管のみで形成した配管(32)の熱交換性能も測定した。この鋼管は、肉厚0.7mmとし、外表面に何等の表面処理も施していない。
【0039】
尚、下記表1中で、風速(m/s)がPAコート配管、PA+PPコート配管、鋼管のみの配管で完全に一致していないのは、完全に一致する風速を得るのが技術的に困難である事による。そのため、近似した風速を生じさせ、これを計測して得たものが表1に示す風速である。
【0040】
【表1】
【0041】
以上の実験により、従来の鋼管のみに比べて、PAコート配管及びPA+PPコート配管では、約6m/sの風速時に於いて熱交換性能が4〜15%程度しか劣化せず、優れた熱交換性能を示した。この実験結果より、樹脂材製の伝熱面の表面積を15%以上増加させれば、金属製の伝熱面と同等若しくはそれ以上の熱交換性能を得る事ができる。この表面積を増加させる手段として、図1〜図5に示す第1〜第4実施例の如き樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管を形成した。
【0042】
尚、本発明を実施する際は、下記表2に示す如き樹脂材等を管本体の樹脂被膜や樹脂管或いは樹脂材製フィン部材に使用する事により、熱交換性能が優れるだけでなく、耐食性や耐熱性にも優れる伝熱管を得る事ができる。また、この伝熱管を使用する事で、各種配管による吸放熱、一般産業用、暖房用、給湯用、EGRガス冷却装置、その他の多管式熱交換器の熱交換性能、耐食性、耐熱性、耐久性、及びレイアウト性を向上させる事ができる。
【0043】
また、樹脂材に、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等のカーボンナノファイバーを混入させる事により、樹脂被膜、樹脂管、樹脂材製フィン部材の熱伝導性を高く向上させる事ができる。また、これらカーボンナノファイバーを、5wt%より多く30wt%より少ない含有量で含有させるのが好ましく、より良好な伝熱効果が得られるとともに伝熱管の生産も容易となる。
【0044】
【表2】
【0045】
上記樹脂を用いた図1に示す第1実施例を詳細に説明すると、(1)は伝熱管で、比較的細径の管本体(2)とその外周に螺旋状に配設した樹脂材製フィン部材(3)とで構成される。前記管本体(2)は、ステンレス鋼管、銅管、アルミ管、鋼管等の金属管(4)の外表面に、樹脂被膜(5)を配設して形成している。
【0046】
上記金属管(4)には、亜鉛、亜鉛−アルミ合金、亜鉛−錫合金、又は亜鉛−ニッケル合金等の犠牲腐食性のめっき処理を施し、この犠牲腐食性めっき層の表面に、樹脂被膜(5)を設けても良い。また、この樹脂被膜(5)は、表2に示す如き樹脂等を用いて、一層又は複数層で形成する事で、耐食性及び高温のEGRガスに対する耐熱性に優れる管本体(2)を得る事ができる。尚、高度の耐熱性を必要としない場合等は、樹脂被膜(5)は、ポリアミド、ポリプロピレン、フッ素系樹脂等の何れかを用いて一層で形成しても良いし、ポリアミド+ポリプロピレン等から成る2層以上で形成しても良く、優れた耐食性が得られるとともに管本体(2)を廉価に得る事が可能となる。尚、樹脂被膜(5)は、肉厚を100μm〜1mmとする2層で形成するのが好ましく、耐食性が高く、且つ熱伝導性を損なう事のないものとなる。
【0047】
また、耐食性金属材の使用や犠牲腐食性めっき処理等により、管本体(2)の内部を流動するEGRガス中の水蒸気や未燃焼ガス、硫酸水、炭化水素等の凝縮液に対する耐食性に優れるものとなるが、金属管(4)の内周面にも前記樹脂被膜(5)を配設する事で、耐食性を更に高める事ができる。
【0048】
同様に、樹脂材製フィン部材(3)に於いても、前記表2に示す樹脂材等で形成した長尺な帯状部材(6)を使用する事により、耐食性及び耐熱性を高めている。この樹脂材製フィン部材(3)は、帯状部材(6)の長尺側の一側に、軸方向直角に複数の切込みを入れてスリット(7)を設ける事で、スリット(7)間に複数のフィンブレード(10)を形成している。また、スリット(7)を設けていない他側を管本体(2)への固定部(11)とし、この固定部(11)の端面を、管本体(2)の外周に密着させる密着面(8)としている。このようにスリット(7)を設ける事により、樹脂材製フィン部材(3)は、スリット(7)を形成した一側を拡開して、密着面(8)を内側に任意の内径で円弧状に変形させる事が可能となり、可撓性が向上して後述の樹脂材製フィン部材(3)の管本体(2)への螺旋状又は環状の巻き付けを容易に行う事が可能となる。
【0049】
また、樹脂材製フィン部材(3)は、図3に示す如く、スリット(7)から軸方向に切断した端面形状を四角形とし、全体の肉厚aを2.0mm、スリット(7)の形成長さbを1.6mm、このスリット(7)を設けていない固定部(11)の肉厚cを0.4mmとしている。このような寸法とする事で、螺旋状又は環状に容易に成形可能な可撓性を持つだけでなく、固定部(11)の耐久性も保持でき、管本体(2)に強く巻き付けた際に、固定部(11)が破断したり、弾力性を失うような事がなく、管本体(2)の外周に強く密着固定させる事ができる。
【0050】
また、上記樹脂材製フィン部材(3)は、全体の肉厚aを0.5〜2.0mmとし、固定部(11)の肉厚cを0.2〜1.0mmとするのが好ましい。そして、固定部(11)の肉厚cが全体の肉厚aより小さく樹脂材製フィン部材(3)が破断する事のない限りでは、全体の肉厚aに対する固定部(11)の肉厚cの割合は、任意に調整する事ができる。
【0051】
また、スリット(7)の形成により、樹脂材製フィン部材(3)の接触面積を増大させる事ができ、伝熱管(1)の外部を流動する低温熱媒体流体との熱交換性能を高める事ができる。更に、樹脂材製フィン部材(3)の端部形状を四角形とする事により、管本体(2)への密着面(8)の面積も広くなり、管本体(2)と樹脂材製フィン部材(3)との互いの熱伝導性が高まるものとなる。
【0052】
上述の如くスリット(7)を設けた樹脂材製フィン部材(3)を、管本体(2)の外周に螺旋状に配設して図1に示す第1実施例の伝熱管(1)を得るには、固定部(11)の密着面(8)を管本体(2)に接触させ、樹脂材の弾力性を利用して該密着面(8)にて管本体(2)の外周面を締め付けながら、管本体(2)の一端付近から他端付近まで連続した螺旋状に巻き回す。この巻き回しの際は、樹脂材製フィン部材(3)のスリット(7)を設けた一側が拡開する事で、密着面(8)を内側に管本体(2)の外径寸法や形状に対応して、樹脂材製フィン部材(3)を円弧状に撓み変形させる事ができる。そのため、樹脂材製フィン部材(3)を管本体(2)の外周に螺旋状に容易に巻き回す事ができる。
【0053】
また、従来の如く金属管の外周に金属製フィン部材を配設する場合と異なり、粘弾性を有する樹脂同士を接触させるので、樹脂材製フィン部材(3)を管本体(2)の外周に、位置ズレ等を生じる事なく、安定して密着させながら円滑に巻き回す事ができる。また、螺旋状の配設後は、樹脂材製フィン部材(3)が管本体(2)の外周面を弾性的に挟持して、管本体(2)の外周面に密着面(8)が強く密着固定されるものとなる。
【0054】
また、樹脂材製フィン部材(3)は、管本体(2)への密着面(8)を、樹脂材の溶着により一体に接続したり、接着剤の塗布によって接着固定する事で、上記管本体(2)への樹脂材製フィン部材(3)の固定性を更に高める事ができる。そのため、伝熱管(1)の外周での低温熱媒体流体の流動や伝熱管(1)の振動等による、樹脂材製フィン部材(3)のブレや変形等を生じにくく、伝熱管(1)の耐久性を高める事ができる。また、従来の金属製フィン部材と金属管との接続の如きろう付けや溶接等の手間がなく、伝熱管(1)の容易な製造が可能となるとともに、犠牲腐食性めっき層や樹脂被膜(5)が破損されにくく、耐食性を維持する事が可能となる。
【0055】
上述の如く、樹脂材製フィン部材(3)にスリット(7)を設けて伝熱面積を増大させているとともに、必要に応じカーボンナノファイバーを含有させているので、金属材のみで形成した製品と同等若しくはそれ以上の熱伝導性に優れた伝熱管(1)を得る事ができる。そして、伝熱管(1)内を流動する高温熱媒体流体等と、伝熱管(1)の外周を流動する低温熱媒体流体との効率的な熱交換が可能となる。更に、第1実施例では樹脂材製フィン部材(3)を螺旋状に配設しているので、外部を流動する低温熱媒体流体の乱流化が生じ、境界層の剥離等により、熱交換を促進させる事ができる。また、樹脂材製フィン部材(3)に複数のスリット(7)を設ける事でエッヂ部が増加し、伝熱管(1)の外周を流動する低温熱媒体流体の乱流化を促進する事が可能となり、熱交換性能を更に高める事ができる。また、樹脂材の使用により、特に軽量で廉価な伝熱管(1)を得る事ができる。
【0056】
そして、上述の如き伝熱管(1)を使用した多管円筒式熱交換器(20)は、図6に示す如く、円筒状の胴管(21)の両端付近にチューブシート(22)を一対接続して内部を密閉可能としている。このチューブシート(22)で仕切られた気密空間内を、高温熱媒体流体と低温熱媒体流体との熱交換を行うための熱交換部(23)としている。そして、一対のチューブシート(22)間に、前記伝熱管(1)を複数本、チューブシート(22)を貫通して接続配置している。また、胴管(21)の両端には、高温熱媒体流体の流入口(24)と流出口(25)とを設けたボンネット(26)を各々接続している。
【0057】
また、胴管(21)には、低温熱媒体流体を熱交換部(23)に供給する導入路(27)と熱交換後の低温熱媒体流体を排出する導出路(28)を設け、熱交換部(23)内を低温熱媒体流体が流動可能としている。また、前記熱交換部(23)は、内部に複数の支持板(29)を接合配置し、該支持板(29)に設けた挿通孔(30)に伝熱管(1)を挿通する事により、バッフルプレートとして伝熱管(1)を安定的に支持するとともに、熱交換部(23)内を流動する低温熱媒体流体の流れを蛇行化し、伝熱管(1)の外表面に対する相対速度を速めている。
【0058】
上記の多管円筒式熱交換器(20)では、伝熱管(1)の熱伝導性に優れた伝熱面を介して、高温熱媒体流体と低温熱媒体流体との熱交換が効率的に行われ、伝熱効果を高める事ができる。また、この優れた伝熱効果により、多管円筒式熱交換器(20)の小型化が可能となるし、軽量で廉価な本発明の伝熱管(1)を用いる事により、多管円筒式熱交換器(20)の軽量化と低コスト化も可能となる。また、この小型で軽量な多管円筒式熱交換器(20)では、狭い場所への設置も可能で、レイアウトの自由度が増すものとなる。
【0059】
また、上記第1実施例では、長尺な帯状部材(6)で形成した樹脂材製フィン部材(3)を、管本体(2)の一端付近から他端付近まで、途切れる事なく連続的な螺旋状に巻き回しているが、他の異なる実施例として、図示はしないが短尺な帯状部材(6)で樹脂材製フィン部材(3)を形成し、複数の樹脂材製フィン部材(3)を各々管本体(2)の外周に螺旋状に配設して、断続的な螺旋としても良い。また、長尺な帯状部材(6)で形成した樹脂材製フィン部材(3)を短尺に切断して、断続的な螺旋状に管本体(2)に配設しても良い。
【0060】
また、上記第1実施例では帯状部材(6)で形成した樹脂材製フィン部材(3)を、連続的な螺旋状又は断続的な螺旋状に管本体(2)の外周に配設しているが、他の異なる実施例として、帯状部材(6)で形成した樹脂材製フィン部材(3)を、管本体(2)の外周に環状に配設しても良い。この場合、短尺な帯状部材(6)を形成するか又は長尺な帯状部材(6)を適宜切断して、管本体(2)の外径の円周長と略同一若しくは僅かに短い長さで樹脂材製フィン部材(3)を形成し、この樹脂材製フィン部材(3)のスリット(7)を設けていない固定部(11)の密着面(8)を、管本体(2)の外周面に強く密着させながら環状に配設する。そして、樹脂材製フィン部材(3)の密着面(8)と管本体(2)の外周面とを溶着又は接着により接続する事で、樹脂材製フィン部材(3)の管本体(2)とを弾性的に密着固定させる事が可能となる。また、環状に成形した樹脂材製フィン部材(3)の、円周方向の互いの端面を溶着や接着等で接続する事で、樹脂材製フィン部材(3)の管本体(2)への固定性をより向上させる事ができる。
【0061】
また、上記では一側にスリット(7)を設けた帯状部材(6)で樹脂材製フィン部材(3)を形成し、スリット(7)を設けていない固定部(11)の端面を管本体(2)への密着面(8)として、螺旋状又は環状に管本体(2)の外周に配設しているが、図2に示す他の異なる第2実施例では、中央部に管本体(2)の挿通口(12)を設けた環状部材(13)で樹脂材製フィン部材(3)を形成している。本実施例の場合も、環状部材(13)は、端面形状を四角形とし、径方向の外周に複数のスリット(7)を放射状に設け、挿通口(12)の内周面を管本体(2)の外周に密着配置させる密着面(8)としている。
【0062】
また、上記では、スリット(7)は、帯状部材(6)に軸方向直角に切込みを設けて形成しているので、製作が容易であるとともに樹脂材の切り屑等を生じる事がない。しかし、スリット(7)は、帯状部材(6)を凹溝状に切取って設けても良く、より軽量な樹脂材製フィン部材(3)を得る事ができる。そして、第2実施例では、環状の環状部材(13)を形成する際に、凹溝形成部を設けた型枠を用いる事により、成形時に凹溝状のスリット(7)を設けた樹脂材製フィン部材(3)を得ている。このような型枠成形とする事により、樹脂材の切り屑等を生じる事はないし、スリット(7)の開口工程を省く事ができる。
【0063】
また、第2実施例の樹脂材製フィン部材(3)は、管本体(2)への挿通及び配設位置までの移動を容易に行えるように、挿通口(12)の内径を管本体(2)の外径よりもやや大径としている。そして、配設位置まで移動後は、管本体(2)の外径が挿通口(12)の内径よりも大径となるよう管本体(2)を拡開する事により、管本体(2)の外周面に樹脂材製フィン部材(3)の密着面(8)を弾性的に密着固定させる事ができる。また、管本体(2)は、金属管(4)の外周に弾力性を有する樹脂被膜(5)を配設したものだから、拡開を行っても樹脂被膜(5)が破断されにくい。
【0064】
また、樹脂材製フィン部材(3)の密着面(8)と管本体(2)の外周面とを、樹脂材の溶着や接着剤による接着にて接続する事で、互いの固定性を更に向上させる事ができる。この場合も、従来の金属製フィン部材の如き溶接やろう付け等を行わないので、金属管(4)に施した犠牲腐食性のめっき層や樹脂被膜(5)等が破損される事はない。また、端面形状が四角形であるから、樹脂材製フィン部材(3)の密着面(8)と管本体(2)の外周面とを広い面積で密着させる事ができ、管本体(2)と樹脂材製フィン部材(3)との熱伝導性を高める事ができる。
【0065】
また、第2実施例の如き環状部材(13)製の樹脂材製フィン部材(3)を、管本体(2)に配設する際の異なる手段として、樹脂材製フィン部材(3)の挿通口(12)の内径を、管本体(2)の外径よりも僅かに小径に形成する。このように小径に形成しても、樹脂材の弾力性を利用して、樹脂材製フィン部材(3)の挿通口(12)の内径を拡開させながら管本体(2)に挿通させ、配設位置まで移動させる事ができる。そして、配設位置では、管本体(2)の外径よりも内径を小径とした挿通口(12)の密着面(8)が、管本体(2)の外周面に弾性的に密着するので、固定性が高まるものとなる。この場合も、溶着や接着により密着面(8)と管本体(2)の外周面とを接続固定する事により、管本体(2)への樹脂材製フィン部材(3)の固定性を更に高める事ができる。
【0066】
また、上記第1実施例では、図3に示す如く、帯状部材(6)で形成した樹脂材製フィン部材(3)を、軸方向に切断した端面形状を四角形としているが、図4に示す他の異なる第3実施例では、端面形状を円形とし、図5に示す第4実施例では、端面形状を径方向に長尺な楕円形としている。また、図示はしないが、端面形状を径方向に長尺な長円形等としても良い。このような端面形状を円形、楕円形、又は長円形等とする樹脂材製フィン部材(3)では、帯状部材(6)の製作が容易である。更に、前記四角形のものと比べれば管本体(2)との接触面積は少なくなるが、樹脂材製であるから、管本体(2)に強く巻き付ける事により、密着面(8)が弾性変形して管本体(2)の外周面に面接触させる事ができ、金属同士を密着させる場合に比べて接触面積を多くする事ができる。また、円形、楕円形、又は長円形等とする事により、樹脂材製フィン部材(3)の加工技術が容易となる。
【0067】
また、他の異なる実施例として、樹脂材製フィン部材(3)を、端面形状が三角形、五角形等の四角形以外の多角形に形成しても良い。そして、金属製のフィン部材では、上述の如き多角形、円形、楕円形、又は長円形等の肉厚な形状とすると、伝熱管の重量が重くなるし、加工も容易ではない等の問題があるが、本発明では、樹脂材製フィン部材(3)であるから、加工が容易であるとともに、肉厚であっても軽量な伝熱管(1)を得る事ができる。また、第2実施例の如き環状部材(13)で形成した樹脂材製フィン部材(3)に於いても、スリット(7)から軸方向に切断した端面形状を、四角形以外の多角形、円形、楕円形、長円形等で形成しても良い。
【0068】
また、上記第1〜第4実施例では、金属管(4)の外周に樹脂被膜(5)を配設した管本体(2)を使用しているが、他の異なる実施例として、図示はしないが金属管(4)の外面に樹脂管(図示せず)を配設して管本体(2)を形成しても良い。このような管本体(2)の外周に、螺旋状又は環状に樹脂材製フィン部材(3)を配設して伝熱管(1)を形成する。このように、樹脂管を外面に配設する事により、肉薄化させた金属管(4)を使用する事ができ、従来の金属材のみを使用したものに比べ、軽量で廉価な伝熱管(1)を得る事ができる。また、樹脂管を使用した管本体(2)であっても、スリット(7)を設けた樹脂材製フィン部材(3)を外装する事で、伝熱管(1)の伝熱面積を増大させているから、従来の金属管のみの伝熱管又は金属管に金属製フィン部材を外装した伝熱管と同等若しくはそれ以上の熱伝導性を得る事ができる。
【0069】
また、上記各実施例では、樹脂被膜(5)、樹脂材製フィン部材(3)、或いは樹脂管を形成する樹脂材に、カーボンナノファイバーを含有させても良いと記載しているが、他の異なる実施例として、樹脂材に銅、アルミ、ステンレス等の金属製又はガラス製の粒子及び/又は繊維を含有させても良いし、黒色の樹脂材を用いても良い。これらの場合でも、管本体(2)や樹脂材製フィン部材(3)の熱伝導性を高めて、熱交換性能に優れた伝熱管(1)を得る事ができる。
【0070】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成したものであり、外周面に樹脂材を配設した管本体の外周に、樹脂材製フィン部材を螺旋状又は環状に配設するので、樹脂材の粘弾性により、配設作業を円滑に行う事ができる。そして、配設後は樹脂材製フィン部材の内周面にて管本体を弾性的に挟持する事で、管本体への樹脂材製フィン部材の密着固定性を高める事ができる。また、スリットの形成により、樹脂材製フィン部材の表面積を増大させる事ができるとともに、エッヂ部が多くなり、樹脂材を用いた伝熱管であっても、金属材のみを使用した伝熱管と同等若しくはそれ以上の熱伝導性を得る事ができる。
【0071】
従って、伝熱管の内部及び外部を流動する流体相互の効率的な熱交換が可能となる。また、樹脂材の使用により、金属製品に比べて、特に軽量で廉価であるとともに耐食性にも優れた伝熱管を得る事ができる。また、スリットを設ける事により樹脂材製フィン部材の可撓性が向上し、帯状部材等で樹脂材製フィン部材を形成した場合等は、管本体の外径寸法に関わらず、その外径寸法に対応した形状で樹脂材製フィン部材を螺旋状又は環状に容易に配設する事が可能となる。
【0072】
また、このような熱交換性能と耐食性に優れ、軽量で廉価な伝熱管を使用する事により、各種配管による吸放熱、EGRガス冷却装置、その他の多管式熱交換器の熱交換性能を向上させ、製品の品質及び耐久性を向上させる事ができる。また、優れた熱交換性能により、多管式熱交換器の小型化、軽量化が可能となり、車輌その他への設置時のレイアウトの自由度の高い製品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の伝熱管の斜視図。
【図2】本発明の第2実施例の伝熱管の斜視図。
【図3】図1の樹脂材製フィン部材付近の拡大断面図。
【図4】本発明の第3実施例の伝熱管の樹脂材製フィン部材付近の拡大断面図。
【図5】本発明の第4施例の伝熱管の樹脂材製フィン部材付近の拡大断面図。
【図6】本発明の樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管を使用した多管円筒式熱交換器の概念図。
【図7】熱交換性能実験の概念図。
【図8】熱交換性能グラフ。
【符号の説明】
1 伝熱管
2 管本体
3 樹脂材製フィン部材
4 金属管
5 樹脂被膜
6 帯状部材
7 スリット
12 挿通口
13 環状部材
Claims (8)
- 金属管の外周に樹脂被膜を設けるか又は金属管の外周に樹脂管を配設する事により管本体を形成し、この管本体の外周に、管本体への非密着側に複数のスリットを間隔を設けて形成した樹脂材製フィン部材を、環状又は螺旋状に密着配設した事を特徴とする樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管。
- 樹脂材製フィン部材は、帯状部材の一側に、複数のスリットを間隔を設けて形成し、このスリットを形成していない他側の端面を管本体の外周に密着させて、管本体に螺旋状又は環状に配設した事を特徴とする請求項1の樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管。
- 樹脂材製フィン部材は、管本体を挿通する挿通口を中央部に開口した環状部材の外周に、放射状に複数のスリットを間隔を設けて形成し、環状部材の挿通口の内面を管本体の外周に密着させて一個又は複数個、管本体の外周に配設した事を特徴とする請求項1の樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管。
- 樹脂材製フィン部材は、スリットから軸方向に切断した端面形状を円形、楕円形、長円形又は多角形とした事を特徴とする請求項1、2又は3の樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管。
- 樹脂材製フィン部材は、径方向の全体の肉厚を0.5〜2.0mmとし、スリットを設けていない管本体への密着側の肉厚を0.2〜1.0mmとした事を特徴とする請求項1、2、3又は4の樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管。
- 樹脂被膜は、一層又は2層以上の複数層とした事を特徴とする請求項1の樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管。
- 樹脂被膜及び/又は樹脂管及び/又は樹脂材製フィン部材は、カーボンナノファイバーを含有させた事を特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6の樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管。
- カーボンナノファイバーは、5wt%より多く30wt%より少ない含有量で含有させた事を特徴とする請求項7の樹脂材製フィン部材を外装した伝熱管。
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