JP2005030032A - 建築用ガラスレンガおよびガラスレンガ壁 - Google Patents
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Abstract
【構成】本発明の建築用ガラスレンガは、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、側面に凹条部を有し、前記凹条部の表面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmであることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、側面に凹条部を有する建築用ガラスレンガおよびガラスレンガ壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
耐火性容器内に複数個のガラス粒を充填し、熱処理して融着一体化する、いわゆる集積法によって作製された建築用ガラスレンガは、耐火性容器と接触する面が粗面となり、また、建築用ガラスレンガの中に多くの気泡を含有し、透光不透視となるため、焼成クレーレンガやガラスブロックとは異なった意匠性を有する。そのため、この建築用ガラスレンガは、その透光性を利用して床や壁の躯体に固定し、建築用ガラスレンガと躯体との間に光源(照明)を設置して誘導灯、歩道灯、足元灯の面材として使用されてきた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−33002号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の建築用ガラスレンガを壁の構成材として使用する場合、採光性を有するが、建築用ガラスレンガ間の目地部に鉄筋等の補強筋を配設しても、建築用ガラスレンガが略直方体であるため、建築用ガラスレンガ同士の結合を充分に高めることができず、強度の点で問題があった。
【0005】
本発明の目的は、充分な採光性を有するとともに充分な強度を有するガラスレンガ壁を構築することができる建築用ガラスレンガおよびガラスレンガ壁を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、透光性を有する建築用ガラスレンガの側面に凹条部を設け、その隣り合う建築用ガラスレンガによって形成される挿通部に補強筋を挿通することで、建築用ガラスレンガを縦横方向に配列した透光性を有するとともに充分な強度を有するガラスレンガ壁を構築することができることを見いだし、本発明を提案するものである。
【0007】
すなわち、本発明の建築用ガラスレンガは、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、側面に凹条部を有し、前記凹条部の表面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmであることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のガラスレンガ壁は、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、側面に凹条部を有し、前記凹条部の表面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである複数個の建築用ガラスレンガと、補強筋と、充填材とからなり、建築用ガラスレンガの凹条部と、隣り合う建築用ガラスレンガによって形成される挿通部に補強筋が挿通され、建築用ガラスレンガの凹条部の表面と補強筋との隙間に未硬化の充填材が充填され、硬化してなることを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明の建築用ガラスレンガは、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、側面に凹条部を有し、前記凹条部の表面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmであるため、充分な採光性を有するとともに充分な強度を有するガラスレンガ壁を構築することができる。すなわち、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなるため、その建築用ガラスレンガを用いて構築したガラスブロック壁は充分な採光性を有し、また、建築用ガラスレンガの側面に位置する凹条部と隣り合う建築用ガラスレンガによって形成される挿通部に補強筋を挿通し、表面粗さがRaで1.0〜50.0μmの凹条部の表面と補強筋との間に充填剤を充填することによって、化学的に凹条部の表面と接着していなくても、凹条部の表面の粗さが大きく、凹条部の表面と充填剤との摩擦が大きくなり建築用ガラスレンガ同士の結合を高めることができるため、ガラスレンガ壁の強度を高くできるからである。
【0010】
波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15%よりも低いガラスからなると、採光性を得ることができず、85%よりも高いガラスからなると、施工した際に補強筋や充填材が完全に透けて見えるため意匠性が損なわれる。
【0011】
凹条部の表面の表面粗さがRaで1.0μmよりも小さいと、補強筋と凹条部の表面との隙間に充填される充填剤と凹条部の表面との摩擦力が弱くなり、ガラスレンガ壁としての強度が充分に高くならず、また、Raで50.0μmよりも大きいと、衝撃を受けた際にクラックが発生しやすく、クラックが伸展して破損するおそれがある。なお、凹条部の表面の表面粗さの好ましい範囲は、Raで2.0〜30.0μmである。
【0012】
本発明の建築用ガラスレンガは、凹条部が側面の複数ヶ所に、好ましくは向い合う面に平行に配設されてなると、1つの建築用ガラスレンガを複数本の補強筋で支えることができるため、ガラスレンガ壁の強度をさらに高くすることができ好ましい。
【0013】
また、本発明の建築用ガラスレンガは、略直方体だけでなく、底面が台形、平行四辺形、菱形等の略四角柱、または略三角柱であっても良く、直方体を一方向に湾曲させた柱状体であっても良い。
【0014】
本発明の建築用ガラスレンガは、凹条部の表面にシランカップリング剤が塗布されてなると、微細な傷が修復されてクラックが発生しにくく、また、凹条部に充填剤として充填する熱硬化性樹脂等との接着力が高くなるため好ましい。シランカップリング剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシラン、メタクリルシラン、ビニルシラン、スチリルシラン等が使用可能である。
【0015】
本発明の建築用ガラスレンガは、1kgあたり100〜1012個の気泡を含有するガラスから作製されてなると透光不透視となるため、採光性を有しながら人物や物体を明瞭に視認することができないという、いわゆるプライバシー性が得られやすく好ましい。気泡の数が1kgあたり100個よりも少ないガラスからなると上記した効果が得られにくく、1kgあたり1012個よりも多いガラスからなると、波長400〜700nmの範囲における肉厚7mmの平均透過率が15%よりも低くなりやすいとともに機械的強度が損なわれやすい。なお、気泡とは0.01mm以上の直径を有するものを指す。
【0016】
本発明の建築用ガラスレンガは、30〜380℃における平均熱膨張係数が70×10−7/℃以下のガラスからなると、熱処理工程後の冷却時や、激しい気温変化による熱衝撃によって破損しにくい。具体的には、質量%で、SiO2 65〜75%、Al2O3 3〜7%、B2O3 10〜15%、CaO 0〜3%、Na2O 4〜8%、K2O 0〜4%を含有するホウケイ酸ガラスや、SiO250〜65%、Al2O3 15〜25%、B2O3 2〜5%、MgO 8〜15%、CaO 3〜7%、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜2%を含有するアルミノケイ酸ガラスや、SiO2 50〜65%、Al2O310〜20%、B2O3 7〜12%、MgO 0〜5%、CaO 0〜7%、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜3%を含有するアルミノホウケイ酸ガラスが使用可能である。
【0017】
本発明のガラスレンガ壁は、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、側面に凹条部を有し、前記凹条部の表面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである複数個の建築用ガラスレンガと、補強筋と、充填材とからなり、建築用ガラスレンガの凹条部と、隣り合う建築用ガラスレンガによって形成される挿通部に補強筋が挿通され、建築用ガラスレンガの凹条部の表面と補強筋との隙間に未硬化の充填材が充填され、硬化してなるため、充分な採光性を有するとともに充分な強度も有する。すなわち、建築用ガラスレンガが波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなるため充分な透光性を有し、また、挿通部に補強筋が挿通され、凹条部の表面と補強筋との隙間に未硬化の充填材が充填され、硬化することによって凹条部の表面がRaで1.0〜50.0μmと適度な粗さを有し、建築用ガラスレンガと充填材との間に大きな摩擦力が働き、建築用ガラスレンガ同士の結合を高めることができるため、ガラスレンガ壁の強度を高くできるからである。したがって、本発明のガラスレンガ壁は、例えば、間仕切り壁や照明からの光を散乱光として取り出せる化粧壁として使用できる。
【0018】
補強筋としては、鉄筋、ステンレス筋、FRPロッド、接ぎパイプ等が使用可能であり、特に、FRPロッドは、透明で目立ちにくいため好適である。
【0019】
建築用ガラスレンガの凹条部の表面と補強筋との隙間に光ファイバー、発光ダイオード、蛍光灯等が挿通されてなる、または筒状でFRPロッドのような透明な補強筋の中空部に光ファイバー、発光ダイオード、蛍光灯等が挿通されてなるとガラスレンガ壁の内部から発光させることができるため好ましい。
【0020】
充填材としてはモルタルや硬化性樹脂が使用可能であり、硬化性樹脂としてはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の透明性が高い樹脂であると好ましく、特に、シリコーン樹脂は弾力性を有し耐候性に優れるためさらに好ましい。
【0021】
本発明のガラスレンガ壁は、躯体の内表面にシーリング層が形成されてなると、躯体と建築用ガラスレンガとが直接接触しないとともに気密性に優れるため好ましい。
【0022】
また、本発明のガラスレンガ壁は、建築用ガラスレンガの間には弾性体からなる緩衝材が配設されてなると、建築用ガラスレンガ同士が接触しないため好ましい。
【0023】
弾性体からなる緩衝材は、シリコーンゴム、EPDMゴム、クロロプレンゴムが耐候性に優れるため好ましい。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の建築用ガラスレンガおよびガラスレンガ壁について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の建築用ガラスレンガを示す斜視図であり、図2は、本発明の他の実施形態の建築用ガラスレンガを示す斜視図である。また、図3は、建築用ガラスレンガの製造方法を示す説明図であり、(a)は、平面図であり、(b)はA−A´線の断面図である。また、図4は、ガラスレンガ壁を示す一部破断の斜視図である。
【0026】
図1に示すように、建築用ガラスレンガ1は、波長400〜700nmの範囲における肉厚7mmの平均透過率が70%のガラスからなり、197×97×60mmの大きさを有し、側面の略中央縦方向に半径が15mmの半円形の断面形状を有する凹条部1a、1aが設けられてある。なお、建築用ガラスレンガ1は、質量%でSiO2 70%、Al2O3 5%、B2O3 14%、CaO 0.5%、BaO 1.5%、Na2O 7%、K2O 2%の組成を含有するホウケイ酸ガラスからなり、このガラスは30〜380℃における平均熱膨張係数が32×10−7/℃であり、1kgあたり4×104個の気泡を含有する。また、建築用ガラスレンガ1の凹条部1aの内面1abの表面粗さはRaで4.0μmである。
【0027】
また、図2に示す他の実施形態の建築用ガラスレンガ2は、略中央縦方向に貫通孔2aを有してなる以外は建築用ガラスレンガ1と同様に構成されている。
【0028】
建築用ガラスレンガ1は、次のようにして作製する。
【0029】
図3に示すように、外寸が242×141×165mm、内寸が200×100×148mmであるコージェライト製の耐火性容器3を用意する。
【0030】
次に、コージェライト製の半径が15mm、長さが160mmの耐火性を有する断面形状が半円形の柱状物4を2本用意し、柱状物4の表面にアルミナ粉末(図示せず)を塗布し、アルミナシート5にアルミナ粉末溶液を塗布しながら柱状物4の側面に2周にわたって巻きつける。
【0031】
続いて、耐火性容器3の内面3aにアルミナシート6を配設した後、耐火性容器3の内面3aにそれぞれ柱状物4、4の弦平面4a、4aが接するように柱状物4、4を立設し、耐火性容器3の側壁3bに設けられた溝3baに載置した10mm角の2本のコージェライト製の支持棒7、7で柱状物4、4を挟持し、さらに支持棒7、7と垂直に交わるように耐火性容器3の側壁3bに載置した10mm角の2本のコージェライト製の支持棒8、8と耐火性容器3の側壁3bでそれぞれ柱状物4、4を挟持する。
【0032】
次に、2本の支持棒7、7の両端部7a、7aおよび2本の支持棒7、7と2本の支持棒8、8が垂直に交差する交差部7b、7b、7b、7bを線径0.8mmのカンタル線9を用いて緊縛固定する。
【0033】
最後に、耐火性容器3に平均粒径が5mmのガラス粒10を複数個充填し、900℃で180分間熱処理して融着一体化した後、冷却し、脱型して図1に示す建築用ガラスレンガ1が作製される。
【0034】
また、ガラスレンガ壁20は、次のように形成されている。
【0035】
図4に示すように、躯体21の内周面21aに厚さ1cmでシリコーンシーリング材からなるシーリング層22が形成されており、躯体21の内周底面21aaに対して垂直に所定間隔でステンレス製の補強筋(直径10mm)23が固定されてある。複数個の建築用ガラスレンガ1、1…が縦横方向に積層配列されており、隣り合う建築用ガラスレンガ1、1同士の凹条部1a、1aが対向して形成された挿通部1aaに補強筋23が挿通されている。また、建築用ガラスレンガ1の凹条部1aの内面1abと補強筋23との隙間には、シリコーン樹脂が硬化した樹脂充填物24が充填されている。
【0036】
同じ補強筋23に隣接する建築用ガラスレンガ1、1同士が接触しないように建築用ガラスレンガ1、1の間にはEPDMゴムからなる10×10×2mmの緩衝ゴム25が配設されており、建築用ガラスレンガ1、1の間にはシリコーンシーリング材が充填されてシリコーン目地26が形成されている。
【0037】
なお、本発明における波長400〜700nmの範囲における肉厚7mmの平均透過率は、光学研磨された20×20×7mmの試料を作製し、分光光度計(株式会社島津製作所製 UV2500PC)を用いて測定した。
【0038】
凹条部の表面の表面粗さは表面粗さ形状測定機(東京精密製)を用いて測定した。
【0039】
30〜380℃における平均熱膨張係数は、ディラトメーター(理学製)を用いて測定した。
【0040】
また、気泡の数は、光学研磨された30×30×10mmの試料を作製し、実体顕微鏡を用いて0.01mm以上の直径を有する気泡の数を測定し、1kgあたりに換算した。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明の建築用ガラスレンガは、充分な採光性を有するとともに充分な強度を有するガラスレンガ壁を構築することができる。
【0042】
また、本発明のガラスレンガ壁は、充分な採光性を有するとともに充分な強度を有するため、間仕切り壁や化粧壁などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建築用ガラスレンガを示す斜視図である。
【図2】本発明の他の実施形態の建築用ガラスレンガを示す斜視図である。
【図3】建築用ガラスレンガの製造方法を示す説明図であり、(a)は、平面図であり、(b)はA−A´線の断面図である。
【図4】ガラスレンガ壁を示す一部破断の斜視図である。
【符号の説明】
1、2 建築用ガラスレンガ
1a 凹条部
1aa 挿通部
1ab 表面
2a 貫通孔
3 耐火性容器
3a 内面
3b 側壁
3ba 溝
4 柱状物
4a 弦平面
5、6 アルミナシート
7、8 支持棒
7a 両端部
7b 交差部
9 カンタル線
10 ガラス粒
20 ガラスレンガ壁
21 躯体
21a 内周面
21aa 内周底面
22 シーリング層
23 補強筋
24 樹脂充填物
25 緩衝ゴム
26 シリコーン目地
Claims (2)
- 波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、側面に凹条部を有し、前記凹条部の表面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmであることを特徴とする建築用ガラスレンガ。
- 請求項1に記載の複数個の建築用ガラスレンガと、補強筋と、充填材とからなり、建築用ガラスレンガの凹条部と、隣り合う建築用ガラスレンガによって形成される挿通部に補強筋が挿通され、建築用ガラスレンガの凹条部の表面と補強筋との隙間に未硬化の充填材が充填され、硬化してなることを特徴とするガラスレンガ壁。
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