JP4100277B2 - 建築用ガラスレンガ、その製造方法およびガラスレンガ壁 - Google Patents
建築用ガラスレンガ、その製造方法およびガラスレンガ壁 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、貫通孔を有する建築用ガラスレンガ、その製造方法およびガラスレンガ壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
耐火性容器内に複数個のガラス粒を充填し、熱処理して融着一体化する、いわゆる集積法によって作製された建築用ガラスレンガは、耐火性容器と接触する面が粗面となり、また、建築用ガラスレンガの中に多くの気泡を含有し、透光不透視となるため、焼成クレーレンガやガラスブロックとは異なった意匠性を有する。そのため、この建築用ガラスレンガは、その透光性を利用して床や壁の躯体に固定し、建築用ガラスレンガと躯体との間に光源(照明)を設置して誘導灯、歩道灯、足元灯の面材として使用されてきた(例えば、特許文献1参照。)。また、特許文献2には、破砕ガラスを焼結し、連結用の鉄筋を入れることができる孔を設けた建築用ガラスレンガの開示がある。さらに、特許文献3には、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%の建築用ガラス物品について開示がある。特許文献4には、耐熱性鋳型、二酸化珪素粉、再使用可能な棒状体、ヒーターからなるガラス体の製造方法の開示がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−33002号公報
【特許文献2】
登録実用新案第3066558号公報
【特許文献3】
特開2001−180953号公報
【特許文献4】
特開2002−114530号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の建築用ガラスレンガを壁の構成材として使用する場合、採光性を有するが、建築用ガラスレンガ間の目地部に鉄筋等の補強筋を配設しても、建築用ガラスレンガが略直方体であるため、建築用ガラスレンガ同士の結合を充分に高めることができず、強度の点で問題があった。
【0005】
本発明の目的は、充分な採光性を有するとともに充分な強度を有するガラスレンガ壁を構築することができる建築用ガラスレンガ、その製造方法およびガラスレンガ壁を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、透光性を有する建築用ガラスレンガに内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を設け、その貫通孔に補強筋を挿通することで、複数個の建築用ガラスレンガを縦横方向に配列すると、採光性を有するとともに充分な強度を有するガラスレンガ壁を構築することができることを見いだし、本発明を提案するものである。
【0007】
すなわち、本発明の建築用ガラスレンガは、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の建築用ガラスレンガの製造方法は、耐火性容器内に複数個のガラス粒を充填し、熱処理することによって融着一体化する建築用ガラスレンガの製造方法において、耐火性容器の底面上に耐火性の柱状物を立設した後に複数個のガラス粒を充填し、内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を設けることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のガラスレンガ壁は、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を有する複数個の建築用ガラスレンガと補強筋からなり、建築用ガラスレンガの貫通孔に補強筋が挿通されてなることを特徴とする。
【0010】
【作用】
本発明の建築用ガラスレンガは、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を有するため、充分な採光性を有するとともに充分な強度を有するガラスレンガ壁を構築することができる。すなわち、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなるため、その建築用ガラスレンガを用いて構築したガラスレンガ壁は充分な採光性を有し、また、貫通孔に補強筋を挿通して建築用ガラスレンガ同士の結合を高めることができるようになるため、ガラスレンガ壁の強度を高くすることができるからである。
【0011】
波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15%よりも低いガラスからなると、採光性を得ることができず、85%よりも高いガラスからなると、施工した際に補強筋が完全に透けて見えるため意匠性が損なわれる。
【0012】
本発明の建築用ガラスレンガは、貫通孔の内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmであると、補強筋と貫通孔の内面との隙間に充填する充填剤が化学的に貫通孔の内面と接着していなくても、貫通孔の内面の粗さが大きいため、貫通孔の内面と充填剤との摩擦が大きくなりガラスレンガ壁の強度が高くなりやすい。貫通孔の内面の表面粗さがRaで1.0μmよりも小さいと、貫通孔の内面の粗さが小さいため、補強筋と貫通孔との隙間に充填する充填剤と貫通孔の内面との摩擦力が弱くなり、ガラスレンガ壁の強度が高くなりにくい。また、Raで50.0μmよりも大きいと、衝撃を受けた際にクラックが発生しやすく、クラックが伸展して破損するおそれがあるため好ましくない。なお、貫通孔の内面の表面粗さの好ましい範囲は、Raで2.0〜30.0μmである。
【0013】
また、本発明の建築用ガラスレンガは、略直方体だけでなく、底面が台形、平行四辺形、菱形等の略四角柱、または略三角柱であっても良く、直方体を一方向に湾曲させたような柱状体であっても良い。
【0014】
本発明の建築用ガラスレンガは、複数の貫通孔を有している、または、貫通孔のほかに側面の少なくとも一箇所に貫通孔と略平行にくぼみを有していると、1つの建築用ガラスレンガを複数本の補強筋で支えることができるため、壁の強度をさらに高くすることが可能である。
【0015】
また、本発明の建築用ガラスレンガは、貫通孔の断面形状が円形、楕円形、三角形、四角形等であってもよい。
【0016】
本発明の建築用ガラスレンガは、貫通孔の内面にシランカップリング剤が塗布されてなると、微細な傷が修復されてクラックが発生しにくく、また、貫通孔内に充填剤として充填する熱硬化性樹脂等との接着力が高くなるため好ましい。シランカップリング剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシラン、メタクリルシラン、ビニルシラン、スチリルシラン等が使用可能である。
【0017】
本発明の建築用ガラスレンガは、1kgあたり100〜1012個の気泡を含有するガラスから作製されてなると透光不透視となるため、採光性を有しながら人物や物体を明瞭に視認することができないという、いわゆるプライバシー性が得られやすく好ましい。気泡の数が1kgあたり100個よりも少ないガラスからなると上記した効果が得られにくく、1kgあたり1012個よりも多いガラスからなると、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15%よりも低くなりやすいとともに機械的強度が損なわれやすい。なお、気泡とは0.01mm以上の直径を有するものを指す。
【0018】
本発明の建築用ガラスレンガは、30〜380℃における平均熱膨張係数が70×10-7/℃以下のガラスからなると、熱処理工程後の冷却時や、激しい気温変化による熱衝撃によって破損しにくい。具体的には、質量%で、SiO2 65〜75%、Al2O3 3〜7%、B2O3 10〜15%、CaO 0〜3%、Na2O 4〜8%、K2O 0〜4%を含有するホウケイ酸ガラスや、SiO250〜65%、Al2O3 15〜25%、B2O3 2〜5%、MgO 8〜15%、CaO 3〜7%、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜2%を含有するアルミノケイ酸ガラスや、SiO2 50〜65%、Al2O310〜20%、B2O3 7〜12%、MgO 0〜5%、CaO 0〜7%、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜3%を含有するアルミノホウケイ酸ガラスが使用可能である。
【0019】
本発明の建築用ガラスレンガの製造方法は、耐火性容器内に複数個のガラス粒を充填し、熱処理することによって融着一体化する建築用ガラスレンガの製造方法において、耐火性容器の底面上に耐火性の柱状物を立設した後に複数個のガラス粒を充填し、内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を設けるため、熱処理工程において貫通孔を設けることができ、ダイヤモンドドリルや超音波ドリル等の工具を用いて後加工する必要なく作業時間や作業量がずっと少なく済む上に、貫通孔の内面に傷がつきにくく破損しにくい。また、耐火性の柱状物として断面形状が円形、正方形、長方形、楕円形等の耐火性の柱状物を使用することが可能であり、補強筋の断面形状に対応した貫通孔を設けることができる。特に、耐火性の柱状物として断面形状が正方形、長方形、楕円形等の耐火性の柱状物を使用するとダイヤモンドドリルを用いて作製できない貫通孔の断面形状が正方形、長方形、楕円形等の建築用ガラスレンガを作製することができる。
【0020】
なお、熱処理前の耐火性容器の内表面には離型剤として主成分がアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナまたはジルコニアからなるセラミックスファイバーシートを載置する、または、珪砂、アルミナ粉末、ジルコニア粉末、もしくは、石膏粉末を含む耐火性セラミックススラリーをエアスプレーもしくは刷毛塗りして付着させておくと好ましいが、特にセラミックスファイバシートを使用すると建築用ガラスレンガの離型面(側面および底面)の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmとなり目地材との接着力が向上するため好ましい。
【0021】
また、熱処理前に、耐火性の柱状物の側面にセラミックスファイバシートを巻き付けると、建築用ガラスレンガの貫通孔の内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmになりやすいため好ましい。なお、耐火性の柱状物にセラミックスファイバシートを巻き付ける際に、セラミックスファイバシートの表面にセラミック粉末を含むスラリーを塗布しておくと、このスラリーが接着剤として働くためセラミックスファイバシートが耐火性の柱状物からはがれにくくなる。また、セラミックスファイバシートを耐火性の柱状物に巻き付ける前に耐火性の柱状物の表面にセラミック粉末を含むスラリーを塗布しておくと、万一セラミックスファイバシートが破損しても熱処理工程でガラスが耐火性の柱状物に融着することがないため好ましい。
【0022】
また、耐火性の柱状物の底面にセラミック粉末を含むスラリーを塗布すると、ガラス粒を充填する際に耐火性の柱状物が移動したり転倒したりしにくいため好ましい。
【0023】
耐火性容器または耐火性の柱状物は、高温において軟化変形しにくい材質であると好ましく、具体的には、ムライト、コージェライト、アルミナセラミック等が使用可能である。
【0024】
また、耐火性容器の底面上に配設するセラミックスファイバシートの表面に耐火性の柱状物を立設する位置が記されていると位置決めが容易であるため好ましい。
【0025】
ガラス粒は、平均粒径が、0.1〜50mm、好ましくは0.3〜30mm、さらに好ましくは0.5〜10mmである。平均粒径が50mmよりも大きいと、ガラス物品中に大きな気泡を包含しやすいため、機械的強度が損なわれやすい。また、平均粒径が0.1mmよりも小さいと、建築用ガラスレンガを構成するガラスが1kgあたり1012個以上の気泡を含有しやすく、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15%よりも低くなりやすいとともに機械的強度が損なわれやすい。
【0026】
ガラス粒としては、質量%で、SiO2 65〜75%、Al2O3 3〜7%、B2O3 10〜15%、CaO 0〜3%、Na2O 4〜8%、K2O 0〜4%を含有するホウケイ酸ガラスからなるガラス粒や、SiO2 50〜65%、Al2O3 15〜25%、B2O3 2〜5%、MgO 8〜15%、CaO 3〜7%、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜2%を含有するアルミノケイ酸ガラスからなるガラス粒や、SiO2 50〜65%、Al2O3 10〜20%、B2O3 7〜12%、MgO 0〜5%、CaO 0〜7%、SrO 0〜7%、BaO 0〜4%、Na2O 0〜3%を含有するアルミノホウケイ酸ガラスからなるガラス粒が使用可能である。なお、ガラス粒としては、板状、棒状、粒状等のものが使用可能である。
【0027】
熱処理温度は700〜1200℃が好ましい。熱処理温度が700℃よりも低いと、ガラス粒同士の融着が不完全となるため機械的強度が低くなりやすく、1200℃よりも高いと、耐火性容器が変形しやすくなるとともに、建築用ガラスレンガと耐火性容器との反応性が高まるため、建築用ガラスレンガと耐火性容器とが融着しやすく、離型しにくくなる。
【0028】
本発明のガラスレンガの製造方法は、耐火性容器の縁に複数本の支持棒を載置し、これらの支持棒を用いて耐火性の柱状物を挟持すると、ガラス粒の充填の際や、熱処理する際に耐火性の柱状物が移動したり転倒したりしにくいため好ましい。支持棒の材質は、ムライト、コージェライト、アルミナセラミック製の耐火物が好ましい。
【0029】
支持棒は、転がりにくい角材を用いたり、耐火性容器に嵌合できる略コの字型の支持棒を用いたりすると、より耐火性の柱状物の移動や転倒を抑制できるため好ましい。
【0030】
また、耐火性容器の縁に支持棒を固定するための溝によって固定されている、または、複数本の支持棒が耐火性の柱状物を挟持した状態で線状物によって緊縛固定されていると、さらに耐火性の柱状物の移動や転倒を抑制できるため好ましい。
【0031】
線状物が、カンタル線、アルミナファイバーまたはセラミックスファイバであると、熱処理の際に溶解したり、断線したりしにくいため好ましい。
【0032】
本発明のガラスレンガ壁は、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を有する複数個の建築用ガラスレンガと、両端を躯体に固定した補強筋とからなり、建築用ガラスレンガの貫通孔に補強筋を挿通してなるため、充分な採光性を有するとともに充分な強度を有する。すなわち、建築用ガラスレンガが波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなるため充分な透光性を有し、また、貫通孔に補強筋を挿通して建築用ガラスレンガ同士の結合を高めることができるようになるため、ガラスレンガ壁の強度を高くすることができるからである。したがって、本発明のガラスレンガ壁は、例えば、間仕切り壁や照明からの散乱光を取り出せる化粧壁として使用できる。
【0033】
補強筋としては、鉄筋、ステンレス筋、FRPロッド、接ぎパイプ等が使用可能であり、特に、FRPロッドであると透明であるため目立ちにくい。
【0034】
建築用ガラスレンガの貫通孔の内面と補強筋の隙間に光ファイバー、発光ダイオード、蛍光灯等が挿通されてなる、または筒状でFRPロッドのような透明な補強筋の中空部に光ファイバー、発光ダイオード、蛍光灯等が挿通されてなるとガラスレンガ壁の内部から発光させることができるため好ましい。
【0035】
また、本発明のガラスレンガ壁は、建築用ガラスレンガの貫通孔の内面と補強筋との隙間に未硬化の充填材を充填し、硬化してなると、建築用ガラスレンガと補強筋が強固に固定され、強度が高くなりやすい。
【0036】
充填材としては硬化性樹脂、具体的にはエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の透明性が高い樹脂が好適であり、特に、シリコーン樹脂であると弾力性を有し耐候性に優れるため好ましい。
【0037】
本発明のガラスレンガ壁は、躯体の内表面にシーリング層が形成されてなると、躯体と建築用ガラスレンガとが直接接触しないとともに気密性に優れるため好ましい。
【0038】
また、本発明のガラスレンガ壁は、建築用ガラスレンガの間には弾性体からなる緩衝材が配設されてなると、建築用ガラスレンガ同士が接触しないため好ましい。
【0039】
弾性体からなる緩衝材は、シリコーンゴム、EPDMゴム、クロロプレンゴムが耐候性に優れるため好ましい。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明の建築用ガラスレンガ、その製造方法およびガラスレンガ壁について詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明の建築用ガラスレンガを示す斜視図であり、図2は、本発明の他の実施形態の建築用ガラスレンガを示す斜視図である。また、図3は、建築用ガラスレンガの製造方法を示す説明図であり、(a)は、平面図であり、(b)はA−A´線の断面図である。また、図4は、ガラスレンガ壁を示す一部破断の斜視図である。
【0042】
図1に示すように、建築用ガラスレンガ1は、波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで70%のガラスからなり197×97×60mmの大きさを有し、厚さ方向に断面形状が円形の直径が35mmの貫通孔1aが設けられてある。なお、建築用ガラスレンガ1は、質量%でSiO2 70%、Al2O3 5%、B2O3 14%、CaO 0.5%、BaO 1.5%、Na2O 7%、K2O 2%の組成を含有するホウケイ酸ガラスからなり、このガラスは30〜380℃における平均熱膨張係数が32×10-7/℃であり、1kgあたり4×104個の気泡を含有する。また、建築用ガラスレンガ1の貫通孔1aの内面1aaの表面粗さはRaで4.0μmである。
【0043】
また、図2に示す他の実施形態の建築用ガラスレンガ2は、くぼみ2aを有してなる以外は建築用ガラスレンガ1と同様に構成されている。
【0044】
建築用ガラスレンガ1は、次のようにして作製する。
【0045】
図3に示すように、まず、外寸が242×141×165mm、内寸が200×100×148mmであるコージェライト製の耐火性容器3を用意する。
【0046】
次に、コージェライト製で直径が35mm、長さが160mmである耐火性を有する断面形状が円形の柱状物4の表面にアルミナ粉末(図示せず)を塗布し、アルミナシート5にアルミナ粉末溶液を塗布しながら柱状物4の側面に2周にわたって巻きつける。
【0047】
続いて、耐火性容器3の内面3aにアルミナシート6を配設した後、耐火性容器3の中央部3bに柱状物4を立設し、耐火性容器3の側壁3cに設けられた溝3caに載置した10mm角の2本のコージェライト製の支持棒7、7で柱状物4を挟持し、さらに支持棒7、7と垂直に交わるように耐火性容器3の側壁3cに載置した10mm角の2本のコージェライト製の支持棒8、8で柱状物4を挟持する。
【0048】
次に、2本の支持棒7、7の両端部7a、7aおよび2本の支持棒8、8をそれぞれの両端部8a、8aを線径0.8mmのカンタル線9を用いて緊縛固定する。
【0049】
最後に、耐火性容器3に平均粒径が5mmのガラス粒10を複数個充填し、900℃で180分間熱処理して融着一体化した後、冷却し、脱型して図1に示す直径35mmの貫通孔1aを有する建築用ガラスレンガ1を作製する。
【0050】
なお、ガラス粒10は、質量%でSiO2 70%、Al2O3 5%、B2O314%、CaO 0.5%、BaO 1.5%、Na2O 7%、K2O 2%の組成を含有するホウケイ酸ガラスからなるものである。
【0051】
また、ガラスレンガ壁20は、次のように形成されている。
【0052】
図4に示すように、躯体21の内周面21aに厚さ1cmでシリコーンシーリング材からなるシーリング層22が形成されており、躯体21の内周底面21aaに対して垂直に所定間隔でステンレス製の補強筋(直径10mm)23が固定されてある。また、複数個の建築用ガラスレンガ1、1…が縦横方向に積層配列されており、複数個の建築用ガラスレンガ1、1…の各貫通孔1a、1a…に補強筋23が挿通されている。また、建築用ガラスレンガ1の貫通孔1aの内面1aaと補強筋23との隙間には、シリコーン樹脂が硬化した樹脂充填物24が充填されている。
【0053】
同じ補強筋23が挿通されている建築用ガラスレンガ1、1の間にはEPDMゴムからなる10×10×2mmの緩衝ゴム25が配設されており、建築用ガラスレンガ1、1の間にはシリコーンシーリング材を充填されてできたシリコーン目地26が形成されている。
【0054】
なお、本発明における波長400〜700nmの範囲における平均透過率は、肉厚7mmで光学研磨された20×20×7mmの試料を作製し、分光光度計(株式会社島津製作所製 UV2500PC)を用いて測定した。
【0055】
貫通孔の内面の表面粗さは表面粗さ形状測定機(東京精密製)を用いて測定した。
【0056】
30〜380℃における平均熱膨張係数は、ディラトメーター(理学製)を用いて測定した。
【0057】
また、気泡の数は、光学研磨された30×30×10mmの試料を作製し、実体顕微鏡を用いて0.01mm以上の直径を有する気泡の数を測定し、1kgあたりに換算した。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明の建築用ガラスレンガは、充分な採光性を有するとともに充分な強度有するガラスレンガ壁を構築することができる。
【0059】
また、本発明の建築用ガラスレンガの製造方法は、熱処理することによって融着一体化する間に内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を設けることができ、ダイヤモンドドリルや超音波ドリル等の工具を用いて後加工によって貫通孔を設ける場合と比較して、後加工工程が必要なく作業時間も作業量もずっと少なく済む上に、貫通孔の内面に傷がつきにくく破損しにくい。
【0060】
また、本発明のガラスレンガ壁は、充分な採光性を有するとともに充分な強度を有し、間仕切り壁や化粧壁などに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の建築用ガラスレンガを示す斜視図である。
【図2】本発明の他の実施形態の建築用ガラスレンガを示す斜視図である。
【図3】建築用ガラスレンガの製造方法を示す説明図であり、(a)は、平面図であり、(b)はA−A´線の断面図である。
【図4】ガラスレンガ壁を示す一部破断の斜視図である。
【符号の説明】
1、2 建築用ガラスレンガ
1a 貫通孔
1aa 内面
2a くぼみ
3 耐火性容器
3a 内面
3b 中央部
3c 側壁
3ca 溝
4 柱状物
5、6 アルミナシート
7、8 支持棒
7a、8a 両端部
9 カンタル線
10 ガラス粒
20 ガラスレンガ壁
21 躯体
21a 内周面
21aa 内周底面
22 シーリング層
23 補強筋
24 樹脂充填物
25 緩衝ゴム
26 シリコーン目地
Claims (5)
- 波長400〜700nmの範囲における平均透過率が、肉厚7mmで15〜85%のガラスからなり、内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を有することを特徴とする建築用ガラスレンガ。
- 耐火性容器内に複数個のガラス粒を充填し、熱処理することによって融着一体化する建築用ガラスレンガの製造方法において、耐火性容器の底面上に耐火性の柱状物を立設した後に複数個のガラス粒を充填し、内面の表面粗さがRaで1.0〜50.0μmである貫通孔を設けることを特徴とする建築用ガラスレンガの製造方法。
- 耐火性容器の縁に複数本の支持棒を載置し、これらの支持棒で耐火性の柱状物を挟持することを特徴とする請求項2に記載の建築用ガラスレンガの製造方法。
- 請求項1に記載の複数個の建築用ガラスレンガと補強筋からなり、建築用ガラスレンガの貫通孔に補強筋が挿通されてなることを特徴とするガラスレンガ壁。
- 建築用ガラスレンガの貫通孔の内面と補強筋との隙間に未硬化の充填材が充填され、硬化してなることを特徴とする請求項4に記載のガラスレンガ壁。
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