JP2005028798A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガイド軸の上に載せられた状態で動作するキャリッジを備えた画像形成装置において、キャリッジに発生するがたつきを抑制すること。
【解決手段】 多機能装置1において、キャリッジ10とタイミングベルト14との連結箇所は、その上下方向の位置が、キャリッジ10の重心Gとの関係で、タイミングベルト14でキャリッジ10を引っ張ったときに、キャリッジ10がガイド軸11から20μm以上浮き上がらないような位置とされている。このような連結箇所の位置は、その上下方向の位置が、キャリッジ10の重心Gと略同一となる位置であり、より具体的には、上下方向について、キャリッジ10の重心Gの位置をGv、前記連結箇所の位置をPvとして、Gv−8[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置、より望ましくは、Gv−2[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置である。
【選択図】 図3


Description

本発明は、プリンタ、ファクシミリ装置、複写機等、紙状記録媒体の記録面に画像を形成する画像形成装置に関する。
従来、ガイド軸に沿って往復移動するキャリッジを備えた画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置は、一般に、モーターによって駆動されるタイミングベルトでキャリッジを引っ張って往復移動させるように構成されている。
また、この種の画像形成装置において、キャリッジの重心と他の部材との位置関係を最適化することによってキャリッジの振動を低減する技術は、既に提案されている。
より具体的には、例えば、下記特許文献1には、キャリッジを少なくとも2本の案内部材で支持するとともに、これらの案内部材とキャリッジとの重心との間の水平方向距離L1を、キャリッジと各案内部材との接触部間の垂直方向距離L2より大きくすることによって、キャリッジの振動を低減できる旨の記載がある。
また、例えば、下記特許文献2には、キャリッジとタイミングベルトとの連結箇所を2箇所にし、各連結箇所を主走査方向についてキャリッジの重心から最も距離が長くなる箇所とすることによって、キャリッジの振動を低減できる旨の記載がある。
特開2002−337415号公報 特開2002−144659号公報
ところで、上記特許文献1、2に記載されているキャリッジの支持構造は、貫通穴を有する軸受がキャリッジ側に設けられて、この軸受にガイド軸を通すことにより、キャリッジがガイド軸に沿って移動する構造になっている。そのため、キャリッジをガイド軸に取り付ける際には、ガイド軸を端部から軸受に通さざるを得ず、その組み立て作業に手間がかかる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、貫通穴を有する軸受にガイド軸を通す作業を行うことなく、より簡単にキャリッジをガイド軸に対して組み付け可能な画像形成装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、貫通穴を有する軸受にガイド軸を通していないにもかかわらず、貫通穴を有する軸受にガイド軸を通した場合と同等以下まで、キャリッジに発生するがたつきを抑制することにある。
まず、上記第1の目的を達成するため、本発明においては、キャリッジが、ガイド軸の上に載せられて、上方へ持ち上げられるとガイド軸から離間し得る状態のまま、自重でガイド軸との当接を維持する構造になっているものを検討している。このような支持構造の場合、ガイド軸を端部から軸受に通さなくても、ガイド軸の長手方向の任意の位置において、ガイド軸上にキャリッジを載せることができるため、上記特許文献1、2に記載の支持構造に比べ、組み立て作業が楽になる。
しかし、キャリッジをガイド軸上に載せる構造とした場合、タイミングベルトによってキャリッジが引っ張られた時に、その引っ張り力によってキャリッジが上方へ僅かに浮き上がってしまうことがあり、これがキャリッジの振動要因となることが判明した。このような問題に対し、上記特許文献1、2に記載の構成を採用して、キャリッジの重心と他の部材との位置関係を最適化することも試みたが、これだけでは、キャリッジの浮き上がりを十分に解消することはできず、キャリッジに発生するがたつきを、貫通穴を有する軸受にガイド軸を通した構造とした場合と同等以下まで抑制することは容易ではなかった。
そこで、本発明においては、さらに上記第2の目的をも達成すべく、次のような特徴的構成を採用した。
まず、上記請求項1に記載の画像形成装置は、
タイミングベルトでキャリッジを引っ張って、該キャリッジをガイド軸に沿って往復移動させるとともに、該キャリッジに装着された記録ヘッドを作動させて記録媒体の記録面上に画像を形成する画像形成装置において、
前記キャリッジは、
前記ガイド軸と当接可能であり、下方が開放されているガイド部と、
前記タイミングベルトと連結される連結箇所とを備え、
前記キャリッジが、前記ガイド軸上に載置されて、上方に持ち上げられると前記ガイド軸から離間し得る状態のまま、自重で前記ガイド軸との当接を維持する構造になっており、しかも、前記連結箇所は、その上下方向の位置が、前記キャリッジの重心との関係で、前記タイミングベルトで前記キャリッジを前記ガイド軸方向に引っ張ったときに、前記キャリッジが前記ガイド軸から20μm以上浮き上がらないような位置とされている
ことを特徴とする
この画像形成装置において、上下方向とは、重力が作用する方向を下方、その反対方向を上方とする方向であり、キャリッジとタイミングベルトの連結箇所とキャリッジの重心との位置関係を上下方向に調節することにより、この位置関係をキャリッジが20μm以上浮き上がらないように最適化してある。上記連結箇所とキャリッジの重心との位置関係を最適化することにより、キャリッジが20μm以上浮き上がらないようにできることは、本件発明者が、キャリッジの重心の位置を基準に、上記連結箇所の位置を相対的に変更して試験を繰り返した結果、見いだされた事項である。
上記連結箇所の位置を上述のごとく最適化すると、キャリッジの移動時にキャリッジが浮き上がる量は、最大でも20μm未満とすることが可能であり、これは、ガイド軸を貫通穴に通してあるキャリッジと同程度の振動要因にしかならない。そのため、キャリッジがガイド軸の上に載せられた構造になっているにもかかわらず、キャリッジの振動(がたつき)を実用上十分に抑制することができる。
なお、実験的に確認したところ、上記連結箇所の位置とキャリッジの重心の位置との関係を厳密に調節すると、キャリッジの浮き上がり量を最小1μm程度まで抑制できることが判明した。したがって、キャリッジの振動(がたつき)を抑制したい程度に応じて、上記連結箇所の位置とキャリッジの重心の位置との関係を適宜調節することにより、キャリッジの浮き上がり量を1〜20μmの範囲内で所望の程度に制御することが可能である。
また、本件発明者が、キャリッジが20μm以上浮き上がらなくなることを条件に、キャリッジとタイミングベルトの連結箇所の位置とキャリッジの重心の位置との関係を検証した結果、これらの位置関係が上下方向について略同一であると良いことを見いだした。
したがって、本発明は、上記請求項2に記載のごとく構成された画像形成装置であると望ましいとも言える。
すなわち、請求項2に記載の画像形成装置は、
タイミングベルトでキャリッジを引っ張って、該キャリッジをガイド軸に沿って往復移動させるとともに、該キャリッジに装着された記録ヘッドを作動させて記録媒体の記録面上に画像を形成する画像形成装置において、
前記キャリッジは、
前記ガイド軸と当接可能であり、下方が開放されているガイド部と、
前記タイミングベルトと連結される連結箇所とを備え、
前記キャリッジが、前記ガイド軸上に載置されて、上方に持ち上げられると前記ガイド軸から離間し得る状態のまま、自重で前記ガイド軸との当接を維持する構造になっており、しかも、前記連結箇所は、その上下方向の位置が、前記キャリッジの重心と略同一位置とされている
ことを特徴とする。
このような画像形成装置によれば、上記連結箇所の上下位置が、キャリッジの重心と略同一位置とされているので、キャリッジがガイド軸の上に載せられた構造になっているにもかかわらず、キャリッジが浮き上がらず、キャリッジのがたつきを抑制できる。
さらに、キャリッジの浮き上がり量が20μm以下となることを条件に、上記連結箇所の位置とキャリッジの重心の位置関係を解析したところ、上下方向の位置について、キャリッジの重心の位置をGv、連結箇所の位置をPvとして、Gv−8[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置にするとよいことが判明した。
したがって、本発明は、上記請求項3に記載のごとく構成された画像形成装置であるとよいとも言える。
すなわち、請求項3に記載の画像形成装置は、
タイミングベルトでキャリッジを引っ張って、該キャリッジをガイド軸に沿って往復移動させるとともに、該キャリッジに装着された記録ヘッドを作動させて記録媒体の記録面上に画像を形成する画像形成装置において、
前記キャリッジは、
前記ガイド軸と当接可能であり、下方が開放されているガイド部と、
前記タイミングベルトと連結される連結箇所とを備え、
前記キャリッジが、前記ガイド軸上に載置されて、上方に持ち上げられると前記ガイド軸から離間し得る状態のまま、自重で前記ガイド軸との当接を維持する構造になっており、しかも、前記連結箇所は、その上下方向の位置が、前記キャリッジの重心の位置をGv、前記連結箇所の位置をPvとして、Gv−8[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置とされている
ことを特徴とする。
このような画像形成装置によれば、上記連結箇所の上下位置が、Gv−8[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置とされているので、キャリッジがガイド軸の上に載せられた構造になっているにもかかわらず、キャリッジが浮き上がらず、キャリッジのがたつきを抑制できる。
なお、この画像形成装置においては、連結箇所の上下位置が、Gv−2[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置とされていると、キャリッジの浮き上がり量を1μm以下に抑制できるので、キャリッジのがたつきを抑制する効果がきわめて高くなる。
次に、本発明の実施形態について説明する。以下に、本発明の実施形態として例示する画像形成装置は、ファクシミリ機能、スキャナ機能、プリンタ機能、複写機能等を備えた多機能装置である。図1は多機能装置1の概略右側断面図、図2(a)は記録部の正面図、図3はフレームと記録ヘッドを搭載したキャリッジの左側側断面図、図5は軸受体を取り付けた状態のキャリッジ等の背面側斜視図、図6は軸受体の取り付け前のキャリッジ等の右側側面図、図7は同じく下面図、図8は軸受体の取り付け前の支持部等の要部斜視図、図9(a)〜同図(d)は軸受体を示す図、図11(a)は軸受体を装着した状態のキャリッジの背面図、同図(b)は同じく右側面図、図12(a)および同図(b)は支持部に対する軸受体の装着状態を示す拡大断面図である。
多機能装置1の本体ケースは、図1および図2に示すように、インクジェット式の記録部2を収納し、且つ画像を形成するための用紙Pを供給するための給紙トレイ3を後側の上方に傾斜状に備えた合成樹脂製のメイン下ケース1aと、該メイン下ケース1aの上側を覆う合成樹脂製の上ケース1bとからなる。
上ケース1bの上面の後寄り部位には原稿載置部4が配置され、その前寄り部位には、原稿読取部としての原稿読取ユニット5が装着され、該原稿読取ユニット5の上側を操作パネル部6にて覆っている。操作パネル部6の表面には、各種ファンクションキーやテンキー等の操作キー部6aと、この操作キー部6aによる入力値や、各種の操作用の文字や数字が表示できる液晶パネル等の表示部6bとを備えている。原稿載置部4には、搬送される原稿の左右両側縁を案内するため、原稿の幅に合わせて左右にスライドする左右一対の原稿ガイド板8が装着されている。
なお、メイン下ケース1aの下面は金属板等からなる底カバー板7にて塞がれ、メイン下ケース1aの内部空間には、図示しないが、制御基板、電源基板、電話回線を介して他の電話装置やファクシミリ装置との間で会話やファクシミリデータの送受信を可能にするためのNCU(ネットワークコントロールユニット)基板等の制御部9が配置されている。さらに、図示しないがメイン下ケース1aの側部から外向きに突設した受け台上に、他の電話装置との会話を行うための送受話器(ハンドセット)が載置されている。また、発呼用およびモニタ用のスピーカが、メイン下ケース1a内の右側面の後部側等に固定されている。
図3に示すように、記録部2には、左右長手の縦長のフレーム12の下部の表面(前面)側に丸軸状のガイド軸11が装架されている。一方、キャリッジ10の背面側の下部の左右両端側に一体的に形成された支持部51に、後に詳述する4つの軸受体70が側面視逆V字型に取り付けられ、これら軸受体70を前記ガイド軸11の円周面に当接させて、キャリッジ10が、主走査方向に摺動可能且つガイド軸11を中心に回動可能に載置されている。
このキャリッジ10には、図2〜図5に示すカラーインクジェット式のカートリッジタイプの記録ヘッド15が下向きに着脱可能に装着されている。カラー記録を実行するための記録ヘッド15は、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラックの各色のインクを吐出するための4つのノズル部15aを下面側に有し、この各記録ヘッド15に対して供給するインクが収納された各色毎のインクカートリッジ16は、図2に示すように、記録ヘッド15の上面側に着脱可能に装着できる。そして、キャリッジ10の上端側にて前向きに上下回動可能な押えレバー17にて、各インクカートリッジ16を下向きに押え固定できる構成である。
また、図2に示すように、前記ガイド軸11と平行に延びるタイミングベルト14は、フレーム12の一側寄りに配置された従動プーリ18aと正逆回転可能なステッピングモータ等の駆動モータ(図示せず)の出力軸に固定された駆動プーリ18bとに巻掛けられ、タイミングベルト14の一箇所を前記キャリッジ10に連結することにより、当該キャリッジ10はガイド軸11の長手方向(主走査方向)に往復移動可能となっている。タイミングベルト14は、図4(a)〜同図(c)に示すように、内周側および外周側のそれぞれに突起14aを有する形状で、これらの突起14aを設けた部分がベルトダンパ19によって挟み込まれて、図3および図4(c)に示すように、キャリッジ10に形成されたベルト連結部10aに嵌め込まれている。ベルトダンパ19は、側面視略コの字形の部材で、そのコの字の開放側から内側にタイミングベルト14が導入されている。このベルトダンパ19の内側には凹部19aが形成されており、タイミングベルト14の突起14aが上記凹部19aにぴったりと嵌ることにより、タイミングベルト14に張力が作用した場合に、タイミングベルト14がベルトダンパ19に対してスリップすることなく、キャリッジ10に動力を伝達できるようになっている。
なお、前記給紙トレイ3に積層された用紙Pは、メイン下ケース1aの後部内に配置された従来から周知の構造の給紙機構としての給紙ローラ21(図1参照)と分離パッドあるいは摩擦分離板等からなる分離手段とによって1枚ずつ分離され、分離された用紙Pは、用紙Pの先端タイミング合わせを行うレジストローラ22にて一旦用紙Pの先端の位置を整えて後、記録ヘッド15の下方とプラテン25との間に給送され、搬送下流側の上下対の搬送ローラ23、24にて副走査方向に搬送される途次、印字指令に応じてインク滴を用紙Pの上面に吐出して画像を記録し、その後、排紙トレイ26に排出されるように構成されている(図1および図7参照)。
次に図2(a)を参照してキャリッジ10による印字動作について説明する。記録領域から外れてキャリッジ10の移動端近傍、例えばプラテン25の右側には、メンテナンス機構を有するメンテナンス部27が配置されている。このメンテナンス部27には、記録ヘッド15のノズル部15aの表面(フェイス面)に付着したインク滴を払拭するためのノズル払拭装置(ワイパ装置)と、該記録ヘッド15のインクの不吐出もしくは吐出不良を回復させたりするためのパージ装置(ノズル吸引装置)28とが配置され、このパージ装置28では、記録ヘッド15のノズル部を吸引キャップ28aにて覆い、図示しないポンプが発生させる負圧により記録ヘッド15内の不良インクを吸引して記録不良から回復させたりするものである。なお、前記メンテナンス部27におけるパージ装置28は、キャリッジ10の移動端部のホームポジション位置(図2の右端位置)にあって、キャリッジ10の記録ヘッド15の全てのノズル部15aを覆ってインクの乾燥を防止するためのキャップ機構(保護装置)を兼ねており、吸引キャップ28aが保護キャップの機能をも果たす。
なお、公知の技術であるので、ここでは詳細に図示しないが、メンテナンス部27の各吸引キャップ28aは記録ヘッド15の全てのノズル部15aを覆うために、図2において、上下方向に移動可能に構成されている。吸引キャップ28aが上方向に移動してノズル部15aを覆うときには、ある程度の力で吸引キャップ28aがノズル部15aの設けられている面に押しつけられるので、キャリッジ10の支持部51に配置されている軸受体70はガイド軸11から浮き上がることとなる。以下、パージ装置を示す28をホームポジションを示す番号としても使用して説明する。また、プラテン25の左端には、記録ヘッド15の各ノズル部15aからインクを試験的に吐出させてインク詰まりを無くするようにするフラッシング部29を備えている。
以上のような多機能装置1は、操作パネル部6における各種キー操作に応じて入力されるオペレータからの各種指令に応じて、各種処理動作の設定、原稿読取ユニット5による原稿画像の読み取り、原稿画像の送信データ化、送信データの符号化、電話回線等の通信回線を介して他のファクシミリ装置に送信するファクシミリデータの送受信、受信データの復号化、復号化したファクシミリデータの記録ユニットでの用紙Pへの記録を実行するという通常のファクシミリ機能の他、原稿読取ユニット5のCIS(密着型イメージセンサ)による原稿読取りと記録部の各ユニットによる用紙Pへカラー画像形成するというコピー(複写)処理機能、図示しないパーソナルコンピュータ(ホストコンピュータ)等の外部装置からプリンタケーブルまたは赤外線等の無線を介して伝送されたプリントデータを受けて、そのデータに応じて用紙Pにカラー画像を形成するプリンタ処理機能、前記原稿読取ユニット5を使って読み取った画像データを前記外部装置へ送信するというスキャナ処理機能をも備えている。
なお、キャリッジ10の上面後端部には、印字品質に影響を及ぼす記録ヘッド15のフェイス面と用紙Pとのギャップの形成およびそのギャップを調節するための切替え機構30が設けられている。
ギャップの切替え機構30は、キャリッジ10の上面後端部には、一対の枢軸43(図3で一方のみ示す)が上向きに立設されており、この各枢軸43に被嵌して回動可能なガイド体(図示せず)とキャリッジ10の移動方向に長い切替えリンク体40とは、図示しない枢支部を介して相対的に水平回動可能に連結されている。キャリッジ10の上面後端部のほぼ中心部に合成樹脂製のブロック状の第1当接部(図示せず)が突設され、ガイド体41の一側部に第2当接部45が設けられている。第2当接部45は後述する垂直レール部12e方向への高さが高く、第1当接部はその垂直レール部12e方向への高さが低く設定されている。
他方、図3に示すように、前記フレーム12には、前記キャリッジ10の背面板31と略平行に立設する縦板部12aと、該縦板部12aの上端を後向き(前記キャリッジ10の配置部と反対側)に屈曲させて水平支持部12bと、この水平支持部12bの上面に載ってネジ13にて連結される屈曲摺接部片としてのレール部12cとを備える。レール部12cは、前向きに延びた水平部12dとその前端を下向きに屈曲させた垂直レール部12eとを備えた断面L字状に形成されている。前記レール部12cにおける垂直レール部12eがキャリッジ10の上面後端部に臨んでいる。フレーム12の水平支持部12bに対して水平部12dの取り付け位置を調節することで、縦板部12aと垂直レール部12eとの隙間の間隔を微調節可能に構成されており、これにより、前記第1当接部または第2当接部45が垂直レール部12eの内面に選択的に当接して記録ヘッド15のノズル部15aの下面とプラテン25との隙間(ギャップG1)を大小に切り換えることができるものである。
次に、前記ガイド軸11に対してその軸線方向にキャリッジ10を摺動自在に支持し、且つ軸線回りに回動可能に支持するための、キャリッジ10における軸受手段やガイド軸11を抜け不能にするための手段等について説明する。
図5〜図15は第1実施形態を示す。まず第1実施形態におけるキャリッジ10の構成について説明すると、キャリッジ10は、ガラス短繊維またはガラス中空ビーズを含有させた合成樹脂製(例えば、エポキシ樹脂等)の射出成形品であって、その背面板31の左右両側から前向きに左右両側板32が突出され、各側板32の下端部には記録ヘッド15の底板のうち左右両側を支持する一対の支持部33が内向きに突設しており、前記両支持部33の間にて記録ヘッド15のノズル部15aが下向きに露出されるように配置されている(図3、図6および図7参照)。前記左右両側板32の間に配置した記録ヘッド15の左右両側から外向きに突出させた係合ピン34(図5では一方のみ示す)を、左右両側板32に凹み形成した凹所35に配置する。左右両側板32の外側の上端側の取付け孔38に回動可能に取付けられた弾性を有する金属製等の線バネ36(但し、図5では一方側のみ示す)の長手方向中途部にて前記各係合ピン34の箇所を斜め下向きに押圧する一方、該各線バネ36の下端側(自由端側)が前記側板32の外側に突出形成された斜め下向きフック状の係止部37にて上向き移動不能に係止され、且つ各線バネ36の自由端側が側板32の外側に不用意に外れないようにすることで、記録ヘッド15がキャリッジ10に対して強固に且つがたつかないように装着されている。
キャリッジ10の背面板31の下部寄り部位のうち左右両側には、前記主走査方向に適宜距離(実施形態で距離L1、図8および図11(a)参照)だけ離隔させて、一直線をなす関係で設置されるように、下向きに開放された側面視略円弧状の支持部51が一体的に形成されている(図5〜図8、図10〜図15参照)。また、前記左右の支持部51、51の間(キャリッジの幅方向の略中央部には、背面板31から後向きに突出するように、ガイド軸11の下方への抜け止め部としての第1抜け止め部61が一体的に形成されている(図5〜図8参照)。さらに、キャリッジ10の左右両側板32に近い側には、前記左右の支持部51、51の側端に第2抜け止め部62が一体的に形成されている。なお、前記第1抜け止め部61は前記距離L1と同じ長さだけガイド軸11の軸線方向に長く連続的に形成され、且つ第1抜け止め部61の上面はガイド軸11の円周の下部側に接近できるように凹湾曲面に形成されているものである(図5、図8、図12(a)および図13等参照)。
前記各支持部51の内面には、背面板31に近い側と遠い側とに平板状の軸受部71を備えた2つの軸受体70が、前記各軸受部71の平板面71aが側面視逆V字状に配置され、円柱状のガイド軸11の円周面のうち上部側に前記一対の軸受部71の平板面71a、71aが当接するように構成されている。
また、前記各支持部51の内面に2つの軸受体70が配置されるので、両支持部51では合計4つの軸受体70が取り付けられることになる。
軸受体70は摩擦係数の小さい、且つ耐摩耗性を有する合成樹脂材(例えば、ポリアセタール樹脂等)にて一体的に成形される。各軸受体70の形態は、図9(a)〜図9(d)に示すごとく、平面視矩形等の平板状の軸受部71と、その左右両側から裏面側に略直角方向に突出形成された取り付け脚72と、この一対の取り付け脚72が突出される側辺と直交する側辺から裏面側に斜めに突出された位置決め用脚73とを有する。また、この位置決め用脚73が突出される側辺と対峙する側辺には、略矩形の案内片74が裏面方向に突設されている。前記各取り付け脚72の自由端部(下端)には、係止爪72aが外向きに形成されている。
前記ガイド軸11の周面上の2点で前記平板面71aが当接するように、支持部51の内面に配置される一対の軸受体70における一対の軸受部71は、その夾角θが鋭角状に規定されて配置されている。そのために、前記各支持部51の内面には、前記軸受部71の平板の裏面を支持するための一対の支持面52が、所定の夾角θとなるように上下逆V字状に形成される(図14参照)。実施形態では、図14に示すように、前記夾角θは90度より小さい鋭角であり、35度〜40度程度に設定されている。
本実施形態のキャリッジ10および記録ヘッド15を用いて、夾角θを各種代えて実験をした結果、夾角θが40度より大きいと、キャリッジ10が加速移動時にガイド軸11から浮き上がる現象が生じることがわかった。また夾角θが35度より小さいと、キャリッジ10が移動時にがたつき、安定した移動ができないことがわかった。従って、本実施形態では夾角θは35度〜40度程度に設定されており、キャリッジ10の構成や重さ、移動速度が異なる場合には適宜夾角θを設定すれば良い。なお、キャリッジ10が加速移動時にガイド軸11から浮き上がる現象については、キャリッジ10とタイミングベルト14との連結箇所の位置を最適化することによって、さらに抑制することができるが、この点については後から詳述する。
各支持面52は凹溝53を挟んで2筋の平行状で、且つ支持部51の下方への開放部(下端)まで延びている(図8、図10および図12(b)参照)。各支持面52の上端には、軸受部71の側辺のうち前記案内片74を有する側辺の縁が当接する位置決め用のストッパー突起54が設けられている。そして、前記軸受部71の裏面を支持面52に沿って滑らせるときに、前記案内片74が前記凹溝53に嵌まって傾かないようにして案内されるものである(図12(b)参照)。
前記支持部51には、前記2筋の支持面52の両外側に沿って長い一対の長溝状の第1嵌合部55が支持部51の板厚さを貫通するように穿設されており、この一対の第1嵌合部55に前記一対の取り付け脚72が嵌まって長手方向に移動可能に構成されている。また、その第1嵌合部55の一部には、前記取り付け脚72における係止爪72aが係合できる係合突部55aが設けられている(図8、図10および図12(a)参照)。
また、前記各凹溝53には、軸受体70における位置決め用脚73の先端が嵌まって移動不能にするための第2嵌合部56が穿設されている(図8、図10および図12(b)参照)。
上記の構成において、各支持部51に軸受体70を装着するには、図10に示すように、キャリッジ10を上下逆向きにした状態(支持部51の開放側を上向きにした状態)で、軸受体70における位置決め用脚73の部分を作業者が指で摘んで支持部51の内面に近づけ、前記凹溝53内に案内片74を挿入し、前記2筋の支持面52に軸受部71の平板部の裏面を当接させ、且つ一対の取り付け脚72を前記一対の第1嵌合部55に挿入する(図10の矢印A方向参照)。
次いで、前記軸受部71を指で押して支持面52に沿って滑らせ下方に移動させると、前記一対の取り付け脚72における係止爪72aが係合突部55aに係合する。そして、軸受部71の案内片74を有する側の側辺が前記ストッパー突起54に当接してそれ以上奥に進まない位置で、位置決め用脚73の先端部(自由端部)が第2嵌合部56に嵌まって、軸受体70が抜け不能となるのである(図12(a)および図12(b)参照)。
この状態では、図14に示すように、前記一対の軸受部71の平板面71a、71aの夾角θは、前記支持面52の夾角θ(実施形態では35度〜40度程度)と一致するのである。
なお、軸受体70を取り外すには、支持部51の外面側から第2嵌合部56に治具等を挿入して、位置決め用脚73の先端部を押すと共に、第1嵌合部55の箇所に治具等を挿入して、前記係止爪72aを係合突部55aから外せば良いから、不良または磨耗した軸受体70の交換に際しての着脱作業も治具等を用いることで至極簡単にできるのである。しかしながら、治具等を使用しない場合には、位置決め用脚73や係止爪72aをそれぞれ小さな第2嵌合部56や係合突部55aから外すことはかなり困難となる。従って、通常では、軸受体70は支持部51から容易に外れないのである。
キャリッジ10の一側(前記一方の支持部51の外側)からガイド軸11を軸線方向に挿入すると、当該ガイド軸11の円周面のうちの上部領域の2点に前記V状に配置した一対の軸受体70の軸受部71の平板面71aが線接触する。そして、前記キャリッジ10の左右方向に離隔配置した2対の平板状の軸受部71によるV字状の平板面71a、71aにて、ガイド軸11を4点支持するから、キャリッジ10がガイド軸11に対してがたつきなく、摺動移動できる。
前記支持部51におけるキャリッジ10の側面視において、V状に形成された支持面52はキャリッジ10の本体の射出成形と同時に成形できるから、このV状の夾角θも設計通りに正確に、且つ精度良く形成できると共に、ガイド軸11の軸線方向に離隔した対の支持面52も同一面上に形成できる。他方、軸受体70の成形においても、軸受部71の平板部の板厚さや平面度は管理し易く、且つ成形時の誤差の発生は非常に低くなる。従って、ガイド軸11に対するキャリッジ10の装着姿勢や高さ位置がずれることがないのである。
図16(a)および図16(b)は、軸受体70の第2実施形態を示す。この実施形態では、ガイド軸11の周面に対してV字型に配置すべき一対の軸受部71、71の一側辺(支持部51の内面の奥側に位置すべき側辺)どうしを、可撓性を有する連結片75にて連結したものであり、その他の構成は第1実施形態と同じであるので、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
第2実施形態の構成によれば、2つの軸受部71、71を前記V字型の支持面52、52に略同時に配置して取り付ければ良い。なお、連結片75により2つの軸受部71、71が離れないから、位置決め用脚73を省略しても、ガイド軸11の周面と支持面52との間に平板状の軸受部71が挟まれている限り、軸受体70が外れるおそれはない。また、各軸受部71の裏面が支持面52に当接したまま当該軸受部71が支持面52の長手方向に沿って多少ずれ移動しても、ガイド軸11に対するキャリッジ10の装着姿勢や高さ位置は変動しない。これらに変動が生じるのは、軸受部71の平板部の板厚さが部分的または全体として変わるときだけであるからである。
なお、2つの軸受部71、71の夾角θが保証されれば、当該2つの軸受部71、71が一体的に形成されたV字型の軸受体70を製作しても良い。
上記の各実施形態を適用したキャリッジ10をメンテナンス部27に停止させた状態で、パージ装置28の吸引キャップ28aにてキャリッジ10に搭載した記録ヘッド15のノズル部15aを覆うように、吸引キャップ28aを上昇させた場合にも、前記第1抜け止め部61および2つの第2抜け止め部62によりガイド軸11の下方領域を対向するように囲んでいるから、前記吸引キャップ28aの突き上げによってキャリッジ10がガイド軸11から外れることを確実に防止でき、また、一対の軸受体70の左右両側を挟むように、前記第1抜け止め部61および2つの第2抜け止め部62が配置されているので、前記キャッピング時およびパージ動作時もキャリッジ10の姿勢が安定する。
また、多機能装置1の本体を傾けた場合も、前記第1抜け止め部61および2つの第2抜け止め部62によりキャリッジ10がガイド軸11から不用意に外れるのを防止できる。
多機能装置1の落下等の不慮の事態に際して、キャリッジ10がガイド軸11から抜ける方向への大きな外力に耐えるためには、少なくとも第1抜け止め部61の長さ(ガイド軸11の軸線方向に沿う長さ)を長くして強度を持たせることが好ましい。その場合、第1抜け止め部61をガイド軸11の長手方向に連続状に形成しても良いし、断続的に形成しても良い。また、第1抜け止め部61と第2抜け止め部62との配置位置をガイド軸11の軸線方向に離間するように設定することで、ガイド軸11からのキャリッジ10の抜け止め作用を一層強化できるのである。
そして、一対の支持部51がガイド軸11の軸方向に離間して配置され、且つ第1抜け止め部61および2つの第2抜け止め部62も前記一対の支持部51を挟んでガイド軸11の軸方向に離間して配置されているので、キャリッジ10のガイド軸11に対する受け部が安定し、且つ射出成形の場合の金型の作成も容易となる。
さらに、各支持部51の開放部の断面が略半円状で且つ開放側が大きく形成されているから、前記金型による支持部51、特に一対の支持面52の成形精度がを向上させることができ、且つ支持部の成形も容易にできる。
上記のように構成することにより、ガイド軸11に沿って主走査方向に往復移動させて印刷する場合にも、記録ヘッド15のノズル部15aのフェイス面とプラテン25の上面(表面であり、被記録媒体としての用紙Pの通過経路)とのギャップG1に変動が生じない。前記切替え機構30により、前記ギャップG1を変更させるように、キャリッジ10がガイド軸11を中心に回動変位する場合にも、キャリッジ10の姿勢が不明確にならない。
軸受体70をキャリッジ10の支持部51に後付けするように構成すれば軸受体70とキャリッジ10との材質と無関係にでき、軸受体70のうち少なくとも軸受部71を摩擦係数の小さい、且つ耐摩耗性を有する合成樹脂材にて形成すれば、ガイド軸11が磨耗して軸受部71との摺接面が変動するという不都合を回避し、また、多機能装置1の耐久性を向上させることができる。
また、メンテナンス時等に吸引キャップ28aが上昇すると、キャリッジ10が押圧されることで上昇する。このとき、軸受部71がガイド軸11から浮き上がり、第1抜け止め部61の上面と第2抜け止め部62の上面とがガイド軸11の下側の周面に当接するので、この場合にもキャリッジ10は安定して位置決めされる。従って、メンテナンスも安定して行われる。
なお、ガイド軸11の回りにキャリッジ10を回動変位させる必要がない場合には、ガイド軸11の断面を円形にする必要はなく、四角断面、多角形断面、楕円形等の非円形断面を有する中実もしくはパイプ状のガイド軸であっても良い。
次に、キャリッジ10とタイミングベルト14との連結箇所の位置について説明する。
この多機能装置1においては、上述の通り、一対の軸受部71、71のなす夾角θを35度〜40度程度に設定することで、キャリッジ10が加速移動時にガイド軸11から浮き上がる現象を抑制しているが、この現象については、さらに、キャリッジ10とタイミングベルト14との連結箇所と、キャリッジ10の重心との位置関係を最適化することによって抑制が可能である。
具体的には、本実施形態において、キャリッジ10とタイミングベルト14との連結箇所は、その上下方向の位置が、キャリッジ10の重心との関係で、タイミングベルト14でキャリッジ10を引っ張ったときに、キャリッジ10がガイド軸11から20μm以上浮き上がらないような位置とされている。このような連結箇所の位置は、その上下方向の位置が、キャリッジ10の重心と略同一となる位置であり、より具体的には、上下方向について、キャリッジ10の重心Gの位置をGv、前記連結箇所の位置をPvとして、Gv−8[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置、より望ましくは、Gv−2[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置である。
発明者の実験によれば、連結箇所の上下方向の位置がキャリッジ10の重心から離れるほど、キャリッジ10の浮き上がり量は大きくなる傾向があることが判明している。したがって、キャリッジ10の重心との関係で、連結箇所の上下方向の位置を調節すれば、連結箇所の位置を、キャリッジ10がガイド軸11から20μm以上浮き上がらないような位置に設定できるのである。
図17(a)は、キャリッジ10とタイミングベルト14との連結箇所の位置を変更して、それぞれの場合のキャリッジ10の浮き上がり量を解析した結果を示すグラフ、図17(b)は、図17(a)の一部を拡大したグラフである。これらのグラフにおいて、横軸はキャリッジ10の下端から連結箇所までの垂直方向(上下方向)の距離であり、縦軸はキャリッジ10の浮き上がり量である。キャリッジ10の質量は0.35kg、キャリッジ10の重心はキャリッジ10の下端から25mmの位置、キャリッジ10の速度は762[mm/秒]として、浮き上がり量を測定した。
上記グラフからは、タイミングベルト14でキャリッジ10を引っ張ったときに、キャリッジ10がガイド軸11から20μm以上浮き上がらないような位置(キャリッジ10の下端から17〜25mmの範囲内の位置)が存在することを確認できる。このような連結箇所の位置は、その上下方向の位置が、キャリッジ10の重心(=キャリッジ10の下端から25mm)と略同一となる位置であると言える。より具体的な数値で言えば、連結箇所の高さ位置がキャリッジ10の下端から17mm、19mm、21mm、23mm、25mmの各場合、キャリッジ10の浮き上がり量は6μm、2μm、2μm、1μm、1μmとなり、各場合ともにキャリッジ10がガイド軸11から20μm以上浮き上がらない状態となる(図17(b)参照)。また、具体的な数値範囲で言えば、上下方向について、キャリッジ10の重心Gの位置をGv、連結箇所の位置をPvとすると、本実施形態においては、Gv=25mm、17mm≦Pv≦25mmなる関係があるので、Gv−8[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置であれば、キャリッジ10がガイド軸11から20μm以上浮き上がらないと考えられる。さらに、23mm≦Pv≦25mmの場合、キャリッジ10がガイド軸11から1μm以上浮き上がらないので、Gv−2[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置であると、キャリッジ10の浮き上がりを最も抑制できると考えられる。
つまり、上述のごとく連結箇所の上下位置を最適化し、キャリッジ10が20μm以上浮き上がらないようにすれば、キャリッジ10がガイド軸11の上に載せられた構造になっているにもかかわらず、ガイド軸11を貫通穴に通してあるキャリッジと同程度まで、キャリッジ10のがたつきを抑制できるようになるのである。
次に、ベルトダンパ19について説明する。
キャリッジ10とタイミングベルト14との間には、ベルトダンパ19を介在させてあるが、このベルトダンパ19は、キャリッジ10が振動するのを抑制する役割を果たしている。
より具体的には、タイミングベルト14を駆動する駆動モータは、例えばコギングに起因する振動を発生させ、この振動がキャリッジ10に伝わるとキャリッジ10が振動することになるが、このような振動系において、駆動モータの振動数f、系の固有振動数fnが、下記数式1を満足する関係にあると、この振動系の振動を減衰させることができる。
Figure 2005028798
本実施形態において、駆動モータはf=48Hzの振動を発生させる特性があるものを採用しているので、上記数式1からfn<33.94…Hzなる関係が求められ、fnを概ね33.9Hz以下にすれば振動減衰効果が得られるものと期待される。
また、この振動系において、駆動モーターとキャリッジ10との間に介在する部材(タイミングベルト14およびベルトダンパ19)のバネ定数k、キャリッジ10の質量M、系の固有振動数fnは、下記数式2を満足する関係にある。
Figure 2005028798
本実施形態においては、キャリッジ10の質量M=0.35kgであり、上記数式1からfn<33.94…Hzなる関係が求められているので、これらの値を数式2に代入することにより、k<15,917.69…N/mなる関係が求められ、kを概ね15,917.6N/m以下にすれば、この振動系の振動を減衰させることができると考えられる。
そこで、本実施形態においては、ベルトダンパ19の形成材料を変更して複数種類の試作品を作成し、各試作品とタイミングベルト14とを連結して引っ張り試験を行い、引っ張り荷重とタイミングベルト14の変位との関係からバネ定数kを算出し、その中から、バネ定数k=6,600N/mを示したブチルゴム製のものを、ベルトダンパ19として採用した。
このようなバネ定数kを示すベルトダンパ19を採用すれば、駆動モーターとキャリッジ10との間に介在する部材(主にベルトダンパ19)が駆動モータの振動に起因する系の振動を効果的に減衰させ、キャリッジ10における振動を抑制することができる。
以上説明したように、この多機能装置1においては、タイミングベルト14とベルトダンパ19とを組み合わせたものを、駆動モータとキャリッジ10との間でバネとして機能する部分と想定し、当該部分のバネ定数kを実測して、上記各数式に基づいて算出される条件を満足するようなバネ定数kを示すベルトダンパ19を選定しているので、駆動モータがコギング等による振動を発生させても、その振動を効果的に減衰させることができ、キャリッジ10において発生する振動を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述したいくつかの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の形態で実施可能である。
例えば、上記実施形態では、複数の機能を備えた多機能装置について例示したが、プリンタ、複写機、ファクシミリ、キャリッジ搭載型イメージスキャナなど、これら機能を単独で備えた機器や、いくつかを備えた機器においても、本発明の特徴的構成を採用することができる。
多機能装置の概略側断面図である。 フレームに対するキャリッジの左右移動状態を示す概略正面図である。 フレームと記録ヘッドを搭載したキャリッジの側断面図である。 (a)はベルト連結部、タイミングベルト、およびベルトダンパの分解斜視図、(b)はタイミングベルトを挟み込んだベルトダンパをベルトダンパの開放端側から見た図、(c)はベルト連結部、タイミングベルト、およびベルトダンパの組み立て状態の斜視図である。 記録ヘッド及びインクカートリッジを搭載したキャリッジの後側斜視図であり、支持部に軸受体を装着した部分を示す図である。 支持部に軸受体を装着しない前のキャリッジの右側面図である。 支持部に軸受体を装着しない前のキャリッジの下面図である。 軸受体を装着しない前の支持部の拡大斜視図である。 (a)は軸受体の平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図、(d)は軸受体の上方斜視図である。 支持部に軸受体を装着する手順を説明する斜視図である。 (a)は支持部に軸受体が装着されている状態のキャリッジの背面図、(b)は右側面図である。 (a)は図11(a)のXIa −XIa 線矢視拡大断面図、(b)は図11(a)のXIb −XIb 線矢視拡大断面図である。 (a)は図11(a)のXIIa−XIIa線矢視拡大断面図、(b)は図11(a)のXIIb−XIIb線矢視拡大断面図である。 図13(a)のXIII−XIII線矢視拡大断面図である。 支持部に軸受体が装着されている状態のキャリッジの下方からの斜視図である。 軸受体の第2実施形態を示し、(a)は支持部における拡大側断面図、(b)は軸受体の斜視図である。 キャリッジ−タイミングベルトの連結位置とキャリッジの浮き上がり量との関係を示したグラフである。
符号の説明
1・・・多機能装置、1a・・・メイン下ケース、1b・・・上ケース、2・・・記録部、3・・・給紙トレイ、4・・・原稿載置部、5・・・原稿読取ユニット、6・・・操作パネル部、6a・・・操作キー部、6b・・・表示部、7・・・底カバー板、8・・・原稿ガイド板、9・・・制御部、10・・・キャリッジ、10a・・・ベルト連結部、11・・・ガイド軸、12・・・フレーム、12a・・・縦板部、12b・・・水平支持部、12c・・・レール部、12d・・・水平部、12e・・・垂直レール部、13・・・ネジ、14・・・タイミングベルト、15・・・記録ヘッド、15a・・・ノズル部、16・・・インクカートリッジ、17・・・押えレバー、18a・・・従動プーリ、18b・・・駆動プーリ、19・・・ベルトダンパ、21・・・給紙ローラ、22・・・レジストローラ、23・・・搬送ローラ、25・・・プラテン、26・・・排紙トレイ、27・・・メンテナンス部、28・・・パージ装置、28a・・・吸引キャップ、29・・・フラッシング部、30・・・切替え機構、31・・・背面板、32・・・側板、33・・・支持部、34・・・係合ピン、35・・・凹所、36・・・線バネ、37・・・係止部、38・・・取付け孔、40・・・切替えリンク体、41・・・ガイド体、43・・・枢軸、45・・・第2当接部、51・・・支持部、52・・・支持面、53・・・凹溝、54・・・ストッパー突起、55・・・第1嵌合部、55a・・・係合突部、56・・・第2嵌合部、61・・・第1抜け止め部、62・・・第2抜け止め部、70・・・軸受体、71・・・軸受部、71a・・・平板面、72・・・取り付け脚、72a・・・係止爪、73・・・位置決め用脚、74・・・案内片、75・・・連結片。

Claims (4)

  1. タイミングベルトでキャリッジを引っ張って、該キャリッジをガイド軸に沿って往復移動させるとともに、該キャリッジに装着された記録ヘッドを作動させて記録媒体の記録面上に画像を形成する画像形成装置において、
    前記キャリッジは、
    前記ガイド軸と当接可能であり、下方が開放されているガイド部と、
    前記タイミングベルトと連結される連結箇所とを備え、
    前記キャリッジが、前記ガイド軸上に載置されて、上方に持ち上げられると前記ガイド軸から離間し得る状態のまま、自重で前記ガイド軸との当接を維持する構造になっており、しかも、前記連結箇所は、その上下方向の位置が、前記キャリッジの重心との関係で、前記タイミングベルトで前記キャリッジを前記ガイド軸方向に引っ張ったときに、前記キャリッジが前記ガイド軸から20μm以上浮き上がらないような位置とされている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. タイミングベルトでキャリッジを引っ張って、該キャリッジをガイド軸に沿って往復移動させるとともに、該キャリッジに装着された記録ヘッドを作動させて記録媒体の記録面上に画像を形成する画像形成装置において、
    前記キャリッジは、
    前記ガイド軸と当接可能であり、下方が開放されているガイド部と、
    前記タイミングベルトと連結される連結箇所とを備え、
    前記キャリッジが、前記ガイド軸上に載置されて、上方に持ち上げられると前記ガイド軸から離間し得る状態のまま、自重で前記ガイド軸との当接を維持する構造になっており、しかも、前記連結箇所は、その上下方向の位置が、前記キャリッジの重心と略同一位置とされている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  3. タイミングベルトでキャリッジを引っ張って、該キャリッジをガイド軸に沿って往復移動させるとともに、該キャリッジに装着された記録ヘッドを作動させて記録媒体の記録面上に画像を形成する画像形成装置において、
    前記キャリッジは、
    前記ガイド軸と当接可能であり、下方が開放されているガイド部と、
    前記タイミングベルトと連結される連結箇所とを備え、
    前記キャリッジが、前記ガイド軸上に載置されて、上方に持ち上げられると前記ガイド軸から離間し得る状態のまま、自重で前記ガイド軸との当接を維持する構造になっており、しかも、前記連結箇所は、その上下方向の位置が、前記キャリッジの重心の位置をGv、前記連結箇所の位置をPvとして、Gv−8[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置とされている
    ことを特徴とする画像形成装置。
  4. 前記キャリッジの重心の位置Gv、前記連結箇所の位置Pvが、Gv−2[mm]≦Pv≦Gvなる関係を満足する位置とされている
    ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
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