JP2005028657A - 合成樹脂製容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前成形体成形工程及び延伸ブロー工程に続いて遂行される加熱収縮工程において、延伸ブローせしめられた成形部(30、38)内にコアー金型(40)を位置せしめた状態で成形部をコアー金型によって規定される形状に賦形する。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂から容器を製造する方法、更に詳しくはブロー成形部を有する合成樹脂製前成形体を成形し、次いでこの前成形体の成形部に延伸ブロー成形を加え、しかる後に延伸ブロー成形した成形部を加熱収縮せしめることを含む容器の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲料、食品用の容器として、上端部に口頸部を有するボトル形状或いは上端にフランジを有するカップ形状の、合成樹脂から成形された容器が広く実用に供されている。かような容器の製造方法として、下記特許文献1乃至3には、開口を規定する非ブロー成形部と有底ブロー成形部とを有する前成形体を射出或いは圧縮成形によって成形する前成形体成形工程と、前成形体のブロー成形部を延伸ブローする一次ブロー工程と、延伸ブロー成形した成形部を加熱収縮する加熱収縮工程と、加熱収縮工程の後に成形部を更に延伸ブローする二次ブロー成形工程とを含む二段ブロー成形による容器の製造方法が開示されている。加熱収縮工程は成形部をヒートセットしてその耐熱性を向上せしめ、また、成形に起因する応力歪を除去するために遂行される。
【0003】
【特許文献1】
特許第2876992号公報
【特許文献2】
特許第3036412号公報
【特許文献3】
特許第3047732号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、上述した従来の製造方法には次のとおりの解決すべき問題が存在する。加熱収縮工程の際には一次ブロー成形工程において延伸ブローせしめた成形部を特に拘束することなく自由状態で成形部を加熱する故に、加熱収縮された形状が安定せず、所望形状から幾分異なったものになってしまう傾向がある。そして、これに起因して、二次ブロー成形工程において、二次ブロー成形型を閉じた時に成形型の所謂パーティングラインに成形部が挟み込まれてしまう等のトラブルが発生する虞があり、そしてまた二次ブロー成形工程において延伸ブローした後の容器の最終形状に若干の歪が生成される傾向もある。更に、二次ブロー成形工程においては、加熱収縮してヒートセットした、従って相当変形し難くなった成形部を延伸ブローすることが必要である。それ故に、所謂賦形性が低く、容器の最終形状を充分に安定して所要形状にせしめることが困難である。また、加熱収縮の後に更に延伸ブローすることによって再び幾分かの応力歪が生成され、これによっても容器の例えば角部に望ましくない変形が生成される傾向がある。更に、二次ブロー成形においては例えば3乃至4Mpa程度の高ブロー成形圧が必要である故に、二次ブロー成形工程に関する設備コスト及び運転コストが高価になる。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、製造工程におけるトラブルの発生を充分確実に回避して、充分な耐熱性を有する所要形状の容器を、従来の製造設備と比べて設備コスト及び運転コストが低い製造設備で充分に安定して製造することを可能にする、新規且つ改良された熱可塑性合成樹脂製容器の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、加熱収縮工程において、延伸ブローせしめられた成形部内にコアー金型を位置せしめた状態で成形部をコアー金型によって規定される形状に賦形することによって、二次ブロー成形工程の遂行を回避し、従って従来の製造方法に存在する上述した問題の発生を回避することができ、更に、驚くべきことに耐熱性が一層向上せしめられた容器を製造することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する合成樹脂製容器の製造方法として、開口を規定する非ブロー成形部と有底ブロー成形部を有する合成樹脂製前成形体を成形する前成形体成形工程と、該前成形体の該成形部を延伸ブロー成形するブロー成形工程と、延伸ブロー成形した該成形部を加熱収縮する加熱収縮工程とを含む、合成樹脂製容器の製造方法において、
該加熱収縮工程においては、該成形部内にコアー金型を位置せしめて、該成形部を該コアー金型によって規定される形状に賦形する、ことを特徴とする製造方法が提供される。
【0008】
該コアー金型は該開口を挿通することができる縮小状態と該開口を挿通することができない拡張状態とに選択的に設定され得るものであり、該成形部を加熱収縮して賦形する際には該拡張状態に設定されるのが好適である。好適形態においては、該コアー金型は、該縮小状態と該拡張状態が自在であり、該拡張状態において中空多角筒形状の各角部に沿って延びる複数個の形状規定手段を含み、該成形部は中空多角筒形状(本明細書において使用する語句「中空多角筒形状」は中空多角錐筒形状及び逆中空多角錐筒形状を含む)に賦形される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う合成樹脂製容器の製造方法の好適実施形態について、更に詳細に説明する。
【0010】
本発明に従って構成された製造方法の好適実施形態においては、最初に前成形体成形工程が遂行され、図1に図示するとおりの前成形体2が成形される。図示の前成形体2は非ブロー成形部4と有底ブロー成形部6とから構成されている。非ブロー成形部4は略円筒形状であり、その上端には円形開口8が規定されている。非ブロー成形部4の外周面には雌螺条10、雌螺条10の下方に位置する係止突条12、及び係止突条12の下方に位置するサポートリング14が形成されている。有底ブロー成形部6は円筒形状の主部16と略半球状上の底部18と有する。かような前成形体2は適宜の合成樹脂から射出或いは圧縮成形することによって好都合に成形することができる。熱可塑性合成樹脂としては、熱可塑性ポリエステル、特にエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステル、を好適に使用することができる。所望ならば、ポリカーボネート及びアリレートの如き他の適宜の熱可塑性合成樹脂を使用することもできる。
【0011】
上記前成形体成形工程に続いてブロー成形工程が遂行される。このブロー成形工程においては、前成形体2の有底ブロー成形部6が延伸ブローせしめられる。図2は、成形型を使用することなく有底ブロー成形部6を延伸ブローするフリーブロー成形工程を図示している。このフリーブロー成形工程においては、前成形体2の非ブロー成形部4が固定手段20によって把持される。図示の固定手段20は内側部材22と外側部材24a及び24bとを含み、内側部材22にはその中央を軸線方向に貫通する貫通孔26が形成されており、外側部材24a及び24bは図示の閉位置とかかる閉位置から半径方向外方に変位せしめられた開位置との間を移動自在である。図2に図示する如く、前成形体2の非ブロー成形部4は内側部材22と閉位置に位置せしめられている外側部材24a及び24bとの間に把持される。内側部材22の貫通孔26を通して挿入される延伸ロッド28が有底ブロー成形部6の底部18に作用してブロー成形部6を延伸せしめ、そしてまた内側部材22の貫通孔6を通してブロー成形部6内に加圧空気等のブロー成形流体が導入され、かくして有底ブロー成形部6が図2に示す形状の延伸ブロー成形体30に延伸ブロー成形せしめられる。
【0012】
図2に図示するフリーブロー成形に代えて、図3に図示する如く、前成形体2の有低ブロー成形部6を成形型32内に位置せしめて延伸ブロー成形することもできる。成形型32は図3に図示する閉位置とかかる閉位置から半径方向外方に変位せしめられた開位置との間を移動自在である型部材34a及び34bから構成されており、型部材34a及び34bは閉位置に位置せしめられると協働して成形空洞36を規定する。図2に図示するフリーブロー成形の場合と同様に、固定手段20の内側部材22の貫通孔26を通して挿入される延伸ロッド28が有底ブロー成形部6の底部18に作用してブロー成形部6を延伸せしめ、そしてまた内側部材22の貫通孔6を通してブロー成形部6内に加圧空気等のブロー成形流体が導入され、前成形体2のブロー成形部6が成形空洞36に対応した形状の延伸ブロー成形部38に延伸ブロー成形せしめられる。成形型30内で延伸ブローせしめられた延伸ブロー成形部38は、型部材34a及び34bを開位置に移動せしめて成形型30から取り出される。
【0013】
上記ブロー成形工程に次いで、加熱収縮工程が遂行される。図4を参照して説明を続けると、本発明の製造方法においては、かかる加熱収縮工程に際には、延伸ブロー成形された延伸ブロー成形部30(又は38)内にコアー金型40が位置せしめられていることが重要である。
【0014】
図4と共に図5及び図6を参照して説明すると、図示の実施形態におけるコアー金型40は基台42及び支持部材44を含んでいる。基台42は略円筒形状であり、その中心部には軸線方向に延びる貫通孔46が形成され、その外周面の軸線方向中間部には張り出しフランジ48が形成されている。基台42の、フランジ48よりも上方に位置する支持部の外径は非ブロー成形部4の内径に対応せしめられている。支持部材44も略円筒形状であり、その中心部には軸線方向に延びる貫通孔50が形成され、その下部外周面及び上部外周面には、夫々、張り出しフランジ52及び54が形成されている。支持部材44はフランジ52よりも下方の部分を基台42の貫通孔46内に挿入し、フランジ52の下面を基台42の上端面に当接せしめて、螺合或いは溶接の如き適宜の手段によって基台42に固定されている。支持部材44には等角度間隔をおいて複数個、図示の場合は6個、の形状規定手段56が装着されている。これらの形状規定手段56は必ずしも等角度間隔に支持部材44に装着しなくてもよく、得ようとする容器に応じて適宜に装着すればよい。形状規定手段56の各々は第一の規定部材58と第二の規定部材60とから構成されている。第一の規定部材58の片端は支持部材44のフランジ52の上面側に旋回自在に連結され、第一の規定部材58の他端は第二の規定部材60の片端に旋回自在に連結されている。第二の規定部材60の上部にはリンク62の片端が旋回自在に連結されており、リンク62の他端は支持部材44のフランジ54の上面側に旋回自在に連結されている。コアー金型40は、更に、基台42の貫通孔46及び支持部材44の貫通孔50を通って延びる作動ロッド64を含んでいる。作動ロッド64の上端には張り出しフランジ66が形成されている。そして、上記リンク62の中間部にはリンク68の片端が旋回自在に連結され、リンク68の他端は作動ロッド64のフランジ66の下面側に旋回自在に連結されている。かようなコアー金型40においては、基台42及び支持部材44に対して作動ロッド64を下降せしめると、形状規定手段56が図4に図示する縮小状態から図5及び図6に図示する拡張状態に移動せしめられ、基台42及び支持部材44に対して作動ロッド64を上昇せしめると、形状規定手段56が図5及び図6に図示する拡張状態から図4に図示する縮小状態に移動せしめられる。形状規定手段56が縮小状態に設定されると、複数個の形状規定手段56は非ブロー成形部4の開口8を通過することができる。形状規定手段56が拡張状態に設定されると、形状規定手段56の各々の第二の規定部材60は実質上軸線方向に平行に拡張して延び、第一の規定部材58は下方に向かって半径方向内方に傾斜して延びる。
【0015】
図4に図示する如く、加熱収縮工程の遂行に先立って、縮小状態にあるコアー金型40の形状規定手段56を非ブロー成形部4の開口8を通して延伸ブロー成形部30(又は38)内に挿入し、非ブロー成形部4を基台42のフランジ48よりも上方の支持部に被嵌せしめる。次いで、図5に図示する如く、コアー金型40の形状規定手段56を拡張状態に設定する。しかる後に、延伸ブロー成形部30(又は38)を、熱可塑性合成樹脂の変形開始温度より高温であるが融点よりも低い温度加熱する。かかる加熱は、例えば電気抵抗加熱手段の如き適宜の加熱手段70a、70b及び70cを備えた加熱オーブン内に導入することによって好都合に遂行することができる。図7に明確に図示するとおり、延伸ブロー成形部30(又は38)を所要とおりに加熱すると、延伸ブロー成形部30(又は38)は収縮されて形状規定手段56によって規定される形状、即ち中空六角筒形状の容器主部72に賦形せしめられる。更に詳述すると、形状規定手段56の各々は中空多角筒形状の各角部に沿って延び、第二の規定部材60によって規定される部分は略直立六角筒形状に、第一の規定部材58によって規定される部分は下方に向かって断面積が漸次低減する略逆六角錐筒形状にせしめられる。そして、かかる加熱収縮によって賦形された容器主部72には加熱収縮に起因して所謂ヒートセットが加えられ、延伸ブロー成形に起因する成形歪が除去され、耐熱性が向上せしめられる。
【0016】
加熱収縮せしめられた容器主部72が所要温度に冷却されると、コアー金型40の形状規定手段56を縮小状態にせしめて容器主部72から引き出し、かくして成形された容器74からコアー金型40を分離する。図8は上述したとおりにして製造された容器74を正立状態で図示している(図7においては容器74は倒立状態で図示されている)。
【0017】
所望ならば、容器主部72内に位置せしめられているコアー金型40の形状規定手段56を縮小する前に、加熱収縮せしめられて賦形された容器主部72を拡張状態にあるコアー金型40の形状規定手段56と共に、所謂パネル成形金型(図示していない)内に挿入し、容器主部72における、複数個の形状規定部56間に位置する壁部に、それ自体は周知のパネル成形(即ち壁部の局部的な変形)を加えて壁部の強度を増大せしめると共に壁部の外観を魅力的なものにすることもできる。図9は容器主部72の壁部にパネル成形を加えた容器74を図示している。かようなパネル成形は、容器主部72を全体的に変形せしめるものではなくて容器主部72の壁部を局部的に加圧して成形するものであり、加熱収縮してヒートセットした後においても充分容易に遂行することができる。
【0018】
以上、添付図面を参照して本発明の製造方法の好適実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能であるこが理解されるべきである。例えば、図示の実施形態においては、延伸ブロー成形の際に使用される延伸ロッド28と加熱収縮の際に使用されるコアー金型40とを別個に構成しているが、コアー金型の形状規定手段を縮小状態にせしめた状態で延伸ロッドとしても利用することもできる。この場合、延伸ブロー成形の際に前成形体のブロー成形部内に挿入されたコアー金型の形状規定手段を、延伸ブロー工程が終了した後に延伸ブロー成形部から引き出すことなく、縮小状態から拡張状態に変形せしめて加熱収縮工程を遂行することができる。また、特定ボトル形状の容器の製造に関して本発明の製造方法を説明したが、本発明の製造方法は種々の形態のボトル形状の容器のみならず種々の形態の所謂カップ形状の容器の製造にも好都合に適用することができるものである。
【0019】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、二段ブロー成形の製造工程におけるトラブルの発生を確実に回避して、所要形状の特に耐熱性を有する容器を、従来の製造設備と比べて設備コスト及び運転コストが低い製造設備で充分に安定して製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された製造方法の好適実施形態における前成形体形成工程によって成形された前成形体を、一部を断面で示す正面図。
【図2】本発明に従って構成された製造方法における延伸ブロー工程の一例を説明するための断面図。
【図3】本発明に従って構成された製造方法の好適実施形態における延伸ブロー好適の変形例を説明するための断面図。
【図4】本発明に従って構成された製造方法の好適実施形態における加熱収縮工程の準備段階を説明するための断面図。
【図5】本発明に従って構成された製造方法の好適実施形態における加熱収縮工程に使用されるコアー金型を示す上面部。
【図6】本発明に従って構成された製造方法の好適実施形態における加熱収縮工程を説明するための説明図。
【図7】本発明に従って構成された製造方法の好適実施形態における加熱収縮工程の最終段階を説明するための断面図。
【図8】本発明に従って構成された製造方法の好適実施形態によって製造された容器を示す正面図。
【図9】本発明に従って構成された製造方法の好適実施形態によって製造され、容器主部の壁部にはパネル成形が加えられた容器を示す正面部。
【符号の説明】
2:前成形体
4:非ブロー成形部
6:有底ブロー成形部
20:固定手段
28:延伸ロッド
30:延伸ブロー成形部
32:成形型
38:延伸ブロー成形部
40:コアー金型
56:形状規定手段
70a:加熱手段
70b:加熱手段
70c:加熱手段
72:容器主部
74:容器
Claims (3)
- 開口を規定する非ブロー成形部と有底ブロー成形部を有する合成樹脂製前成形体を成形する前成形体成形工程と、該前成形体の該成形部を延伸ブロー成形するブロー成形工程と、延伸ブロー成形した該成形部を加熱収縮する加熱収縮工程とを含む、合成樹脂製容器の製造方法において、
該加熱収縮工程においては、該成形部内にコアー金型を位置せしめて、該成形部を該コアー金型によって規定される形状に賦形する、ことを特徴とする製造方法。 - 該コアー金型は該開口を挿通することができる縮小状態と該開口を挿通することができない拡張状態とに選択的に設定され得るものであり、該成形部を加熱収縮して賦形する際には該拡張状態に設定される、請求項1記載の製造方法。
- 該コアー金型は、該縮小状態と該拡張状態が自在であり、該拡張状態において中空多角筒形状の各角部に沿って延びる複数個の形状規定手段を含み、該成形部は中空多角筒形状に賦形される、請求項2記載の製造方法。
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