JP2005027735A - 電動ベッド装置 - Google Patents

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Shigeki Ueda
茂樹 植田
Hiroyuki Ogino
弘之 荻野
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】ベッドの昇降の際の不要な挟み込みを防止する電動ベッド装置を実現する。
【解決手段】背上げ床部13および膝上げ床部14の昇降駆動ができ、傍らに側柵18を備えた電動ベッド装置10にて、前記背上げ床部13および膝上げ床部14は表面端部の全周囲または一部に感圧センサ16、16aを付加して、前記感圧センサ16、16aへの就床者12の接触を判定する判定手段17を備え、その判定結果により前記背上げ床部13および膝上げ床部14の昇降駆動を停止するまたは元の位置に戻すように制御する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動ベッド装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の電動ベッド装置を図15に基づいて説明する。図中、1は電動ベッド装置、2は背上げ床部、3は床部調節手段、4はパイプ部材で形成される柵部4で、柵部4は外枠パイプ4aと内枠パイプ4bを円弧状に湾曲して平行に形成したもので、円弧は背上げ床部2が昇降してゆく軌跡に合致させている。これにより、外枠パイプ4aと内枠パイプ4bの間に手5を差し込んだまま背上げ床部2が起上しても、背上げ床部2の昇降軌跡に合致して手5が外枠パイプ4aまたは内枠パイプ4b上を滑って移動するので挟まれることがない。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−052765号公報(図1参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電動ベッド装置は、外枠パイプ4aと内枠パイプ4bの間に身体の一部が差し込まれたまま背上げ床部2を起上した場合、体勢や体格、及び、身体や衣服表面の摩擦特性等により、身体の一部が外枠パイプ4aまたは内枠パイプ4b上を滑りにくくなり不要に挟み込まれるといった課題があった。
【0005】
本発明は上記課題を解決するもので、ベッドの昇降の際の不要な挟み込みを防止する電動ベッド装置を実現することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、背上げ床部と膝上げ床部の少なくとも一方の表面端部の全周囲または一部に配設された感圧センサと、前記感圧センサからの出力信号に基づき前記感圧センサへの就床者の接触を判定する判定手段と、前記判定手段からの判定信号により前記背上げ床部と前記膝上げ床部の昇降駆動を行う駆動手段を制御するものである。これにより、背上げ床部や膝上げ床部を昇降中に、前記感圧センサへの就床者の接触を判定すると前記背上げ床部や前記膝上げ床部の昇降駆動を停止したり駆動方向を反転する等の制御が可能となるので、ベッドの昇降の際の不要な挟み込みを防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、背上げ床部と膝上げ床部の少なくとも一方の表面端部の全周囲または一部に配設された感圧センサと、前記感圧センサからの出力信号に基づき前記感圧センサへの就床者の接触を判定する判定手段と、前記判定手段からの判定信号により前記背上げ床部と前記膝上げ床部の昇降駆動を行う駆動手段を制御するものである。これにより、背上げ床部や膝上げ床部を昇降中に、前記感圧センサへの就床者の接触を判定すると前記背上げ床部や前記膝上げ床部の昇降駆動を停止したり駆動方向を反転する等の制御が可能となるので、ベッドの昇降の際の不要な挟み込みを防止することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、特に請求項1に記載の感圧センサを荷重に対する変位量が非線型な非線形たわみ部材と、前記非線形たわみ部材の変位により変形する可撓性を有した圧電センサにて形成することにより、就床者の感圧センサへの接触の感度を高めることができる。これは、就床者による感圧センサへの押圧荷重が所定値以上となると、非線形たわみ部材が急に変形し、非線形たわみ部材の変位により圧電センサも急な変形を受けるので、就床者の動きによる接触を検出するのに十分な大きさの出力信号が感圧センサから得ることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、特に請求項2に記載の非線形たわみ部材が帯状に成形され凸部を有する薄型弾性体からなるもので、シンプルで実用性が高い。
【0010】
請求項4に記載の発明は、特に請求項2乃至3のいずれか1項に記載の非線形たわみ部材と圧電センサが荷重により変形可能な変形手段に配設されたもので、荷重が印加された場合に非線形たわみ部材と圧電センサがさらに変形しやすくなるので、感圧センサの感度をさらに向上させることができる。
【0011】
請求項5に記載の発明は、特に請求項4に記載の変形手段が非線形たわみ部材と圧電センサの少なくとも一つが容易に変形するよう形成された中空部を有したもので、変形手段の実用的な構成を実現できる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、特に請求項1乃至5のいずれか1項に記載の判定手段が、圧電センサの出力信号に基づき感圧センサに就床者が接触し続けているか否かを判定するもので、圧電型の感圧センサで静荷重検出型の感圧スイッチと同様な動作が実現でき、使い勝手が向上する。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制御手段が、駆動手段が昇降駆動を行っている場合は判定手段からの判定信号を有効とし、駆動手段が昇降駆動を行っていない場合は判定手段からの判定信号を無効とするものである。これにより、例えば背上げ床部が静止中に就床者や第3者が感圧センサに接触しても背上げ床部が不要に昇降駆動することがなく、背上げ床部が昇降駆動中のみ感圧センサへの接触の判定信号を有効としているので、誤動作のない安心感のある電動ベッド装置を提供することができる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図1〜図15を参照しながら説明する。
【0015】
(実施例1)
本発明の実施例1を図1〜図13に基づき説明する。図1は感圧センサを搭載した電動ベッド装置の外観斜視図、図2は同装置の感圧センサを背上げ床部および膝上げ床部の表面端部の一部に配設した外観斜視図、図3は同装置のベッドと側柵の位置関係を示す概略側面図、 図4は就床者が感圧センサに接触した状態を示す概略斜視図である。
【0016】
図1に示すように、本実施例1の電動ベッド装置10は、ベッドフレ−ム11に就床者12の上半身に対応する部分の床部である背上げ床部13と、下半身に対応する部分の膝上げ床部14とを載置した構成としている。ベッドフレ−ム11は背上げ床部13の上端側に立ち上げフレーム11aと、膝上げ床部14の下端側に立ち上げフレーム11bを備えている。そして、就床者12の上半身および下半身を起こすことができる駆動手段15を備えている。感圧センサ16は就床者12が接触した時の押圧荷重により変形に応じた出力信号を発生するもので、背上げ床部13および膝上げ床部14の表面端部の全周囲に背上げ床部13および膝上げ床部14の側辺に沿って配設している。この感圧センサ16からの変形に応じた出力信号に基づき、感圧センサ16への就床者12の接触を判定する判定手段17を備えている。駆動手段15の昇降駆動動作は、判定手段17からの判定信号に基づき制御手段(図示せず)により制御される。また、電動ベッド装置10には、ベッドフレ−ム11の幅方向の両側に側柵18が備えられている。
【0017】
尚、感圧センサは図2に示すように、背上げ床部および膝上げ床部の表面端部の一部に配設する構成としてもよく、全周に設ける構成よりも感圧センサの長さを短くできるので実用的である。
【0018】
図3は電動ベッド装置におけるベッドと側柵の位置関係を示すもので、ベッドフレ−ム11またはベッドとしての背上げ床部13および膝上げ床部14の側面19と側柵18の間には、側柵18を取り付けるために構造上、少しの距離が必要となる。従って、背上げ床部13が昇降時に、この隙間に物体が不要に挟まれる場合が有る。側柵18は就床者12をベッドより落下させることを防ぐものであるが、電動ベッド装置との組み合わせにおいては安全制御が必要となる。
【0019】
図5は感圧センサの外観図、図6は感圧センサを背上げ床部および膝上げ床部にミシン縫製にて固定した状態を示す要部概略図、図7は感圧センサとしての圧電センサの要部斜視図、図8は判定手段を備えた感圧センサとしての圧電センサのシステム外観図である。
【0020】
図5において、感圧センサ16(16aを含む、以下省略)は、弾性部材から成る変形手段20と、非線形たわみ部材21と、可撓性のケーブル状の圧電センサ22を備えている。非線形たわみ部材21は、例えば、コンベックスメジャーで使用されているような凸型の形状をした帯状の薄型弾性体を用いる。このような帯状の薄型弾性体は、押圧荷重を所定値以上にすると、急に凹状に変形し、荷重印加をやめると元の形状に復元する特性を有するものである。
【0021】
図6に示すものは、感圧センサ16の取り付けフランジ部23をベッドの背上げ床部13および膝上げ床部14の表面端部にてミシン縫製24にて固定一体化したものである。 尚、 感圧センサ16は、ベッドの背上げ床部13および膝上げ床部14に対して、両面テープまたは接着剤などにて固定一体化する構成としてもよい。
【0022】
図7は、本発明の実施例1の可撓性のケーブル状の圧電センサ22の一部を拡大した要部構成図を示すものである。
【0023】
圧電センサ22は信号導出用電極としての中心電極25、外側電極26と、ゴム弾性体に圧電セラミックの焼結粉体を混合した複合圧電材からなる複合圧電体層27と、被覆層28とを同心円状に積層してケーブル状に成形し分極処理して構成したもので、優れた可撓性を有し、弾性変形に応じた出力信号を発生する。圧電セラミックとしては、例えばチタン酸鉛またはチタン酸ジルコン酸鉛等の鉛系圧電体やニオブ酸ナトリウム等の非鉛系圧電体の焼結粉体を用いる。中心電極25は通常の金属単線導線を用いてもよいが、 ここでは絶縁性高分子繊維の周囲に金属コイルを巻いた電極を用いる。絶縁性高分子繊維と金属コイルとしては、電気毛布において商業的に用いられているポリエステル繊維と銀を5wt%含む銅合金がそれぞれ好ましい。また、外側電極26は高分子層の上に金属膜の接着された帯状電極を用い、これを複合圧電体層27の周囲に巻きつけた構成としている。そして、高分子層としてはポリエチレン・テレフタレート(PET)を用い、この上にアルミニウム膜を接着した電極は、120℃で高い熱的安定性を有するとともに商業的にも量産されているので、外側電極26として好ましい。
【0024】
尚、感圧センサ16としての圧電センサ22は、外部環境の電気的雑音からシールドするために、外側電極26は部分的に重なるようにして複合圧電体層27の周囲に巻きつけることが好ましい。さらに、被覆層28としては、塩化ビニルやポリエチレンを用いればよいが、就床者12が接触したことによる押圧時に圧電センサ22が弾性変形しやすいよう複合圧電体層27よりも柔軟性及び可撓性の良いゴム等の弾性材料を用いてもよい。このようなゴムとして、 例えばエチレンプロピレンゴム (EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、シリコンゴム(Si)、熱可塑性エラストマー等を用いれば良い。
【0025】
図8は、判定手段17を備えた感圧センサ16としての圧電センサ22のシステム外観図を示す。図8において、ケーブル状の圧電センサ22の一方の端部29に断線検出用抵抗体30が内蔵してある断線検出用抵抗体30はケーブル状の圧電センサ22の中心電極25と外側電極26との間に接続されている。断線検出用抵抗体30は焦電効果によって圧電センサ22に発生する電荷を放電する放電部を兼用しており、部品の合理化となっている。就床者12の接触を判定する判定手段17は圧電センサ22と直接接続され、圧電センサ22と判定手段17とは一体化されている。31は電源供給用と検出信号の出力用のケーブル、32はコネクタである。
【0026】
次に、上記構成による動作・作用を説明する。
【0027】
図4に示したように、例えば、就床者12が背上げ床部13および膝上げ床部14を昇降動作中に、何らかの事態により仰臥状態から横臥状態に体が動き、 背上げ床部13および膝上げ床部14のほぼ中央部から端部にずれてしまった場合、就床者12が感圧センサ16に接触すると、感圧センサ16からの出力信号が判定手段17に伝達され、判定手段17により就床者12の接触が判定されると、制御手段(図示せず)により駆動手段が制御され、背上げ床部13および膝上げ床部14の昇降駆動を即停止する。尚、この際、背上げ床部13および膝上げ床部14を元の位置に戻すように制御してもよく、駆動停止時に万一、挟み込みが起こっても、挟み込みを解除できるのでさらに安全性が向上する。
【0028】
以上の動作制御は、背上げ床部13および膝上げ床部14を昇降駆動中のみ動作し、背上げ床部13および膝上げ床部14が未駆動時は、感圧センサ16にて就床者12の移動を検出しても前記動作をしないようにしている。
【0029】
また、背上げ床部13が昇降駆動中に、就床者12の身体の一部が、何らかの事態により背上げ床部13の上端より飛び出した場合にも、感圧センサ16に前記身体の一部が接触すると、感圧センサ16からの出力信号が判定手段17に伝達され、判定手段17により就床者12の接触が判定されると、背上げ床部13および膝上げ床部14の昇降駆動を即停止する。これにより、立ち上げ部フレーム11aに身体の一部が不要に当たったり、立ち上げ部フレーム11aに身体の一部が不要に挟まるといったことない。
【0030】
また、膝上げ床部14の昇降駆動中に、就床者12の身体の一部が膝上げ床部14の下端部より飛び出した場合も、感圧センサ16に前記身体の一部が接触すると、感圧センサ16からの出力信号が判定手段17に伝達され、判定手段17により就床者12の接触が判定されると、膝上げ床部14の昇降駆動を即停止する。これにより、立ち上げ部フレーム11bに身体の一部が不要に当たったり、立ち上げ部フレーム11bに身体の一部が不要に挟まるといったことない。
【0031】
図9は就床者12の接触により感圧センサ16に荷重Wが印加された場合の感圧センサ16の変形の様子を示した外観図、図10は荷重W、感圧センサ16の変位L(図9参照)、 圧電センサ22の出力信号D、判定手段の判定出力Jを示す特性図である。図10において、縦軸は上から順にW、L、D、J、横軸は時刻tである。
【0032】
図9および図10において、就床者12の接触により感圧センサ16に荷重Wが印加されていき、時刻t1でWがW1より大となると非線形たわみ部材21が凹状に変形しLが非線形に急激に上昇する。この時の状態が図9に示す状態である。この際、圧電センサ22も大きな変形を受けるので、Dには大きな信号力が現れる。そして、判定手段17は、DがD1より大ならば就床者12の接触有りと判定して時刻t2でJをHiとし、保持する。次に、Wを減らして行き時刻t3でWがW1より小となると、今度は非線形たわみ部材21が凸状に変形し元の形状に戻るため、Lが非線形に急激に低下する。この際、圧電センサ22も上記とは反対方向の大きな変形を受けるので、Dには上記と極性が反対の大きな信号力が現れる。そして、判定手段17は、DがD2より小ならば就床者12の接触がなくなった判定して時刻t4でJをLoとするものである。
【0033】
図11は、上記の判定手順を示したフローチャートである。先ず、スタートするとステップST1で初期値として、就床者12の接触なしとしてJをLoとする。次にステップST2でDがD1より大ならばステップST3で就床者12の接触ありと判定してJをHiとする。DがD1以下ならばステップST2でDがD1より大となるのを待つ。次に、ステップST4でDがD2より小ならばステップST1に戻り就床者12の接触がなくなった判定してJをLoとする。DがD2以上ならばステップST4でDがD2より小となるのを待つものとなる。
【0034】
ここで、本実施例の感圧センサとして非線形たわみ部材と可撓性を有した圧電センサとの組み合わせを用いた理由は以下の通りである。
【0035】
(1)荷重を検出するタイプの感圧センサとして、通常用いられる電極接触式のテープ状の感圧スイッチや荷重により抵抗値が変化する感圧抵抗変化式の感圧センサをベッドのマットレス周囲に配設した場合、背上げ床部や膝上げ床部の昇降駆動を行うとマットレスが屈曲する部分で感圧センサが屈曲による応力のため誤検出してしまう。
【0036】
(2)上記課題を解決するためな、屈曲部分を避けて上記感圧センサを分割して配設した場合、物体が感圧センサに接触してもマットレスの柔らかさのためマットレスが押圧を緩衝してしまい、接触を検出できない場合があり、特に、床ずれ防止用として体圧分散の優れた低反発性ウレタンフォームのマットレスを使用したベッドではこのような不検出が起こりやすい。
【0037】
一方、本実施例の感圧センサは可撓性を有した圧電センサを使用しており、変形の加速度に応じた出力信号を発生するが、背上げ床部や膝上げ床部の昇降駆動による動作は安全のため速度が遅く、上記のようなマットレスの屈曲部分で生じる感圧センサの変形の加速度も小さいため、昇降駆動による圧電センサからの出力信号は小さく抑えられるので、判定手段で接触判定のための閾値を適切に選択することにより誤判定は回避可能である。
【0038】
また、非線形たわみ部材を併用しているので、マットレスが柔らかかったり、接触速度がゆっくりしていても物体の接触によりある一定値以上の荷重が印加すると非線形たわみ部材が急に変形し、非線形たわみ部材の変位により圧電センサも急な変形を受けるので、物体の接触を検出するのに十分な大きさの出力信号が感圧センサから得ることができる。
【0039】
以上のように、本実施例では、背上げ床部と膝上げ床部の少なくとも一方の表面端部の全周囲または一部に配設された感圧センサと、前記感圧センサからの出力信号に基づき前記感圧センサへの就床者の接触を判定する判定手段と、前記判定手段からの判定信号により前記背上げ床部と前記膝上げ床部の昇降駆動を行う駆動手段を制御するものである。これにより、背上げ床部や膝上げ床部を昇降中に、前記感圧センサへの就床者の接触を判定すると前記背上げ床部や前記膝上げ床部の昇降駆動を停止したり駆動方向を反転する等の制御が可能となるので、ベッドの昇降の際の不要な挟み込みを防止することができる。
【0040】
また、感圧センサを荷重に対する変位量が非線型な非線形たわみ部材と、前記非線形たわみ部材の変位により変形する可撓性を有した圧電センサにて形成することにより、就床者の感圧センサへの接触の感度を高めることができる。これは、就床者による感圧センサへの押圧荷重が所定値以上となると、非線形たわみ部材が急に変形し、非線形たわみ部材の変位により圧電センサも急な変形を受けるので、就床者の動きによる接触を検出するのに十分な大きさの出力信号が感圧センサから得ることができる。
【0041】
また、非線形たわみ部材が帯状に成形され凸部を有する薄型弾性体からなるもので、シンプルで実用性が高い。
【0042】
また、非線形たわみ部材と圧電センサが荷重により変形可能な変形手段に配設されたもので、荷重が印加された場合に非線形たわみ部材と圧電センサがさらに変形しやすくなるので、感圧センサの感度をさらに向上させることができる。
【0043】
また、制御手段が、駆動手段が昇降駆動を行っている場合は判定手段からの判定信号を有効とし、駆動手段が昇降駆動を行っていない場合は判定手段からの判定信号を無効とするものである。これにより、例えば背上げ床部が静止中に就床者や第3者が感圧センサに接触しても背上げ床部が不要に昇降駆動することがなく、背上げ床部が昇降駆動中のみ感圧センサへの接触の判定信号を有効としているので、誤動作のない安心感のある電動ベッド装置を提供することができる。
【0044】
尚、本発明の実施例1では、背上げ床部13および膝上げ床部14が昇降駆動する電動ベッド装置について述べてきたが、背上げ床部13のみ昇降駆動する電動ベッド装置に、前述の感圧センサ16、16aと同構成のものを適用してもよい。この構成での感圧センサの配設構成を図13に基づき説明する。図12(a)は感圧センサ16bを背上げ床部13の上端部および幅方向の両端部にて、側辺に沿って表面にコの字状に配設するものである。図12(b)は感圧センサ16cを背上げ床部13の幅方向の両端部にて側辺に沿って表面に、それぞれに感圧センサを配設するものである。そして、感圧センサ16b、16cからの出力信号に基づき、感圧センサ16b、16cへの就床者12の接触を判定する判定手段17を備え、判定手段17の判定結果により、背上げ床部13の昇降駆動を停止するまたは元の位置に戻すように制御することにより、不要な挟み込みを防止できる電動ベッド装置を提供できる。
【0045】
また、マットレスの両サイドに圧電センサからなる感圧センサを配設し、マットレス上の就床者の就寝位置の片寄りを感圧センサにより検出して、片寄りがあると判定した場合は、昇降駆動を行わないようにして、挟み込みを未然に防止する構成としてもよい。この場合、片寄りの判定方法としては、例えば、各々の圧電センサにより就床者の心拍や呼吸に基づく微小体動を検出し、双方の微小体動に基づく出力信号の比がある設定値以上ならば片寄り有りと判定する。すなわち、微小体動による圧電センサの出力信号を用い、いずれか一方の圧電センサの出力信号の振幅が他方の圧電センサの出力信号の振幅よりも予め設定した設定倍率だけ大きいと片寄り有りと判定する。片寄り有りと判定された場合は、片寄りがあるので不安全である旨の警告を発生してベッドの中央にもどるよう促すメッセージを報知したり、ナースコールや通信手段により介護者に片寄りが有る旨を伝達する構成としてもよい。また、この構成と実施例1の構成を併用すれば、挟み込み防止をさらに効果的に防止することができる。
【0046】
尚、通常のウレタンフォームのマットレスにより就床者の心拍や呼吸に基づく微小体動を検出可能だが、特に低反発性ウレタンフォームを使用するとさらに感度よく心拍や呼吸に基づく微小体動を検出できる。この様子を図12に基づき説明する。図13(a) は通常のウレタンフォームを使用して就寝している場合の断面図、図13(b)は低反発性ウレタンフォームを使用して就寝している場合の断面図を示すものである。
【0047】
通常のウレタンフォームと低反発性ウレタンフォームとの物性値の顕著な違いは反発弾性値が、前者が35%程度に対して後者は5%程度である。つまり、通常のウレタンフォームは反発性が強いものである。これらのことを、出願人らの実験的な検証結果に基づいて述べると、通常のウレタンフォーム33の場合は、図13(a)に示すように、就床者12の背面側で凸部となっている部分、すなわち頭部P1と肩甲骨部P2と臀部P3および足の踵P4の部分が、とくに、ベッドの背上げ床部13および膝上げ床部14に強くあたるために深く沈む。
【0048】
これに対して、低反発性ウレタンフォーム34の場合は、図13(b)に示すように、ベッドの背上げ床部13および膝上げ床部14に対して、就床者12の背面側が頭より首、肩、背、腰、臀部、太股、ふくらはぎ、足の踵などの部位がほぼ均一に沈む。
【0049】
このような特性の違いにより、通常のウレタンフォーム33の場合は身体とマットレスが部分的にしか接触していないため、心拍や呼吸に基づく微小体動がマットレスに伝播しにくく、結果的に微小体動が圧電センサへ伝わりにくいので微小振動による圧電センサの変形も小さい。一方、低反発性ウレタンフォーム34の場合は、全身がマットレスに均一に接触しているため、心拍や呼吸に基づく微小体動がマットレスに伝播し易く、結果的に微小体動が圧電センサへ伝わり易いので微小振動による圧電センサの変形がより大きくなる。このように、低反発性ウレタンフォームを使用すると通常のウレタンフォームを使用するよりも感度よく心拍や呼吸に基づく微小体動を検出できる。
【0050】
(実施例2)
本発明の実施例2は、感圧センサの他の構成を示すもので、図14(a)はケーブル状圧電センサと非線形たわみ部材との間に距離をおいた構成の感圧センサの断面図、図14(b)は中空部を設けた構成の感圧センサの断面図、図14(c)は可撓性のあるシート状の圧電センサを使用した場合の感圧センサの断面図である。図に基づいて説明する。
【0051】
図14(a)はケーブル状圧電センサ22と非線形たわみ部材21との間に距離をおいた構成の感圧センサ35で、感圧センサ35に就床者12が接触し荷重が印加された場合に、先ず、ケーブル状圧電センサ22が変形し、その後、ケーブル状圧電センサ22と非線形たわみ部材21との間の弾性部材が十分圧縮された後に非線形たわみ部材21が変形する。従って、就床者12が接触し始めてケーブル状圧電センサ22が変形すれば非線形たわみ部材21が変形する以前に、就床者12の接触を判定することが出来るものとなる。
【0052】
図14(b)は図14(a)の構成に、さらに中空部36を設けた構成の感圧センサ37で、就床者12の接触の際、ケーブル状圧電センサ22がより変形し易くなるので、出力信号がより大きくなり接触判定がし易くなる。
【0053】
図14(c)は圧電センサとして可撓性のあるシート状の圧電センサ38を使用した場合の感圧センサ39の断面図で、シート状の圧電センサ38を使用しているため実施例1と異なり面状であり感圧センサ39の実用性が高い。
【0054】
尚、以上の実施例において、感圧センサ16は背上げ床部13および膝上げ床部14の表面に配設する構成にて述べているが、他の構成としては、例えば図15(a)に示すように、感圧センサ16を背上げ床部13および膝上げ床部14の裏面に配設して、背上げ床部13および膝上げ床部14の下降駆動時に背上げ床部13や膝上げ床部14の裏面への物体の接触を検出して下降駆動を停止または反転させたり、下降駆動時背上げ床部13や膝上げ床部14と電動ベッド装置のヘッドボードやフットボードとの間への挟み込みを防止する構成としてもよい。
【0055】
また、図15(b)に示すように、感圧センサ16を背上げ床部13および膝上げ床部14の側面19に配設してもよく、側面19と側柵18との間への物体の不要な挟み込みを防止できる。
【0056】
また、図15(c)に示すように、背上げ床部13および膝上げ床部14の表面と側面19にまたがる形態に配設してもよく、背上げ床部13および膝上げ床部14の表面、側面、裏面の全ての面と側柵18との間への物体の不要な挟み込みを防止できる。
【0057】
また、背上げ床部13および膝上げ床部14がマットレスを備えた場合、図15(d)に示すように、感圧センサ16をマットレスの側面19に蛇行させて配設してもよい。この場合、感圧センサ16としては非線形たわみ部材のない圧電センサのみを用いればよく、蛇行による屈曲部位が多数あるため、物体の直接的・間接的な接触による変形時に変形部分の曲率が大きくなり、変形の加速度も大きくなるので感度が向上し、物体の接触を検出し易くなる。また、マットレスの側面に感圧センサを配設するので、就床状態で就床者に違和感を感じさせることもない。
【0058】
【発明の効果】
本発明の電動ベッド装置によれば、背上げ床部と膝上げ床部の少なくとも一方の表面端部の全周囲または一部に配設された感圧センサと、前記感圧センサからの出力信号に基づき前記感圧センサへの就床者の接触を判定する判定手段と、前記判定手段からの判定信号により前記背上げ床部と前記膝上げ床部の昇降駆動を行う駆動手段を制御するものである。これにより、背上げ床部や膝上げ床部を昇降中に、前記感圧センサへの就床者の接触を判定すると前記背上げ床部や前記膝上げ床部の昇降駆動を停止したり駆動方向を反転する等の制御が可能となるので、ベッドの昇降の際の不要な挟み込みを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における電動ベッド装置の外観斜視図
【図2】同装置の感圧センサを背上げ床部および膝上げ床部の表面端部の一部に配設した外観斜視図
【図3】同装置のベッドの背上げ床部と側柵の位置関係を示す概略側面図
【図4】同装置の就床者が感圧センサに接触した状態を示す概略斜視図
【図5】同装置の感圧センサの要部斜視図
【図6】同装置の感圧センサを背上げ床部および膝上げ床部にミシン縫製にて固定した状態を示す要部概略図
【図7】同装置の感圧センサとしての圧電センサの要部斜視図
【図8】同装置の判定手段を備えた感圧センサとしての圧電センサのシステム外観図
【図9】同装置の感圧センサに荷重が印加された時の変形状態を示す外観図
【図10】同装置の感圧センサに荷重が印加された時の荷重W、感圧センサの変位L、圧電センサの出力信号D、判定手段の判定結果Jを示す特性図
【図11】同装置の判定手段における判定手順を示すフローチャート
【図12】(a)同装置の感圧センサを背上げ床部の上端部および幅方向の両端部にて表面にコの字状に配設した場合の外観斜視図
(b)同装置の感圧センサを背上げ床部の幅方向の両端部にて配設した場合の外観斜視図
【図13】(a)同装置に通常のウレタンフォームを使用した場合のクッション状態を示す断面図
(b)同装置に低反発性ウレタンフォームを使用した場合のクッション状態を示す断面図
【図14】(a)本発明の実施例2の感圧センサにおいて圧電センサと非線形たわみ部材との間に距離をおいた構成の断面図
(b)本発明の実施例2の感圧センサにおいて中空部を設けた構成の断面図
(c)本発明の実施例2の感圧センサにおいてシート状の圧電センサを配設した構成の断面図
【図15】(a)感圧センサ16を背上げ床部13および膝上げ床部14の裏面に配設した構成の外観斜視図
(b)感圧センサ16を背上げ床部13および膝上げ床部14の側面19に配設した構成の外観斜視図
(c)感圧センサ16をマットレスの側面19に蛇行させて配設した構成の外観斜視図
【図16】従来の電動ベッド装置を示す外観斜視図
【符号の説明】
10 電動ベッド装置
12 就床者
13 背上げ床部
14 膝上げ床部
15 昇降駆動部
16、16a、35、37、39 感圧センサ
17 判別手段
18 側柵
20 変形手段
21 非線形たわみ部材
22 圧電センサ(ケーブル状)
36 中空部
38 圧電センサ(シート状)

Claims (7)

  1. 背上げ床部と膝上げ床部の少なくとも一方と、前記背上げ床部と前記膝上げ床部の少なくとも一方の昇降駆動を行う駆動手段とを備え、側柵を装着可能な電動ベッド装置において、
    前記背上げ床部と前記膝上げ床部の少なくとも一方の表面端部の全周囲または一部に配設された感圧センサと、前記感圧センサからの出力信号に基づき前記感圧センサへの就床者の接触を判定する判定手段と、前記判定手段からの判定信号により前記駆動手段を制御する制御手段とを備えた電動ベッド装置。
  2. 感圧センサは、荷重に対する変位量が非線型な非線形たわみ部材と、前記非線形たわみ部材の変位により変形する可撓性を有した圧電センサにて形成する請求項1記載の電動ベッド装置。
  3. 非線形たわみ部材は帯状に成形され凸部を有する薄型弾性体からなる請求項2記載の電動ベッド装置。
  4. 非線形たわみ部材と圧電センサは荷重により変形可能な変形手段に配設された請求項2乃至3のいずれか1項に記載の電動ベッド装置。
  5. 変形手段は非線形たわみ部材と圧電センサの少なくとも一つが容易に変形するよう形成された中空部を有した請求項4記載の電動ベッド装置。
  6. 判定手段は、圧電センサの出力信号に基づき感圧センサに就床者が接触し続けているか否かを判定する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電動ベッド装置。
  7. 制御手段は、駆動手段が昇降駆動を行っている場合は判定手段からの判定信号を有効とし、駆動手段が昇降駆動を行っていない場合は判定手段からの判定信号を無効とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記載の電動ベッド装置。
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