JP2005026910A - 波長多重光伝送システム、波長多重光送信装置、波長多重光受信装置及び光中継装置 - Google Patents
波長多重光伝送システム、波長多重光送信装置、波長多重光受信装置及び光中継装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】波長多重光伝送システムなどにおいて、光帯域を有効に利用しながら光ファイバの四光波混合による干渉波の影響を低減させる。
【解決手段】波長多重光伝送システムにおける各光信号の光周波数配置を等間隔としながら、四光波混合による干渉波が大きい波長の光信号強度を大きく設定し、四光波混合による干渉波が少ない波長の光信号強度を小さく設定することで、四光波混合によるダイナミックレンジの劣化を緩和する。
【選択図】 図1
【解決手段】波長多重光伝送システムにおける各光信号の光周波数配置を等間隔としながら、四光波混合による干渉波が大きい波長の光信号強度を大きく設定し、四光波混合による干渉波が少ない波長の光信号強度を小さく設定することで、四光波混合によるダイナミックレンジの劣化を緩和する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、概して複数の光信号を多重化して伝送する波長多重光伝送システム、波長多重光送信装置、波長多重光受信装置及び光中継装置に関し、さらに詳細には波長多重光伝送システムにおいて光ファイバが有する四光波混合に起因する光信号間干渉の影響を削減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の光信号を多重化して伝送する波長多重光伝送システムで用いる伝送用光ファイバにおいては波長分散により伝送波形が劣化するという現象が起こる。これを避けるために、分散シフトファイバを用いて分散が少ない零分散の波長帯の波長を選定する場合が多い。しかしながら、この零分散の波長帯で複数の光信号を多重化すると、光ファイバの非線形光学現象の1つである四光波混合により光信号の3次歪みが生じることが知られている。3波以上の光信号(波長をλ1、λ2、λ3とする)を等間隔で配置した場合、3次歪み(λ=λ1±λ2±λ3)の中のλ1−λ2+λ3の周波数に生じるものはλ2に生じることとなり、λ2の光信号と干渉を起こしてしまう。また、このような3次歪みによる干渉波の強度は、同じ波長に生じる干渉波の組み合わせの数に比例し、多重化する光信号が増えると指数関数的に増加する。また、干渉波の組み合わせの数は中心に位置する波長の光信号が一番多くなるという特徴を有する。
【0003】
例えば、等間隔の波長λ1、λ2、・・・、λ7で等しい強度(=M)の光信号CH1、CH2、・・・、CH7を多重化して分散シフトファイバで伝送した場合に受信側で観測される光信号と四光波混合による干渉波を図11に示す。受信側で観測される光信号CHi(i=1、2、・・・、7)の強度をΔiとし、波長λiの干渉波の強度をIiとすると、Δi=M−Iiとなる。図11に示すように、四光波混合による干渉波は、光信号群CH1〜CH7の中心波長λ4の強度が最大で、波長がλ(4±1)、λ(4±2)と中心波長から離れるにしたがって小さくなり、CH1及びCH7で最小となる。これに伴い、SN比(信号対雑音比)も、中心波長に近いほど小さくなる。
【0004】
このような四光波混合による信号の干渉を防ぐために種々の提案がなされてきた。従来の波長多重光伝送システムでは、任意の光信号の波長差が不等間隔になるように光信号の波長を選定することで四光波混合による干渉を防いでいる。例えば、下記の特許文献1〜3は、多重化すべき光信号の波長の割り当てに、それぞれ工夫を凝らすことにより光信号間の干渉を防ぐ技術を開示している。このように、上記従来の波長多重光伝送システムでも四光波混合による干渉を防ぎ、良好な伝送を実現することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−256128号公報
【特許文献2】
特開平9−247091号公報
【特許文献3】
特開2000−13361号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の波長多重光伝送システムでは、干渉波を避けると波長間隔が広くなり、干渉波の帯域が信号帯域より広くなるため、高密度の多重ができないという問題があった。本発明は、このような四光波混合による信号の干渉の問題を、前述のような従来技術とは全く異なる観点から解決しようとするものである。すなわち、四光波混合により信号同士が干渉すること自体を防ぐのではなく、四光波混合による信号の干渉の影響を低減させることにより、四光波混合の問題を解決しようとするものである。
【0007】
したがって、求むべきは、零分散の波長帯を使いながらも四光波混合などによる受信信号の劣化を抑え、かつ高密度の伝送を可能にする波長多重光伝送システム、波長多重光送信装置、波長多重光受信装置及び光中継装置である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の波長多重光伝送システムは、複数の波長の異なる光信号を多重化して伝送する波長多重光伝送システムにおいて、受信ダイナミックレンジが各波長の前記光信号でほぼ均等になるように、各波長の光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0010】
請求項2に記載の波長多重光伝送システムは、前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波を含むことを特徴とする。
【0011】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0012】
請求項3に記載の波長多重光伝送システムは、前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波と分散によって各波長に生じる成分を含み、前記手段が、前記干渉波による波形劣化と前記分散に起因する成分による波形劣化とを加算した総伝送劣化が各波長の前記光信号で均等になるように、各波長の前記光信号の強度を半固定的に設定する手段からなることを特徴とする。
【0013】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉のみならず分散による波形の歪みも緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0014】
請求項4に記載の波長多重光送信装置は、入力電気信号をそれぞれの波長の光信号に変換し出力する複数の光送信装置と前記複数の光送信装置が出力する光信号を多重化して、受信側に接続された1本の光ファイバヘと出力する波長多重カプラを備えた波長多重光送信装置であり、受信ダイナミックレンジが各波長の受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各波長の前記光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0016】
請求項5に記載の波長多重光送信装置は、請求項4に記載の前記手段が、前記複数の光送信装置に分散して含まれ、前記複数の光送信装置に分散して含まれる前記手段が、それぞれの光送信装置が出力する前記光信号の強度を決定する回路定数を有する素子からなることを特徴とする。
【0017】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0018】
請求項6に記載の波長多重光送信装置は、前記手段が、前記複数の光送信装置の各々と前記波長多重カプラとの間に挿入された光増幅装置からなり、前記受信ダイナミックレンジが各波長の受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各波長に対応する光増幅装置の増幅度が設定される。
【0019】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0020】
請求項7に記載の波長多重光送信装置は、前記手段が、前記波長多重カプラの出力に設けられた透過光信号強度に波長特性を有する光フィルタを含み、前記受信ダイナミックレンジが各波長の受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、前記光フィルタの波長特性が設定される。
【0021】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0022】
請求項8に記載の波長多重光送信装置は、請求項4から7のいずれか1つにおいて、前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波を含むことを特徴とする。
【0023】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0024】
請求項9に記載の波長多重光送信装置は、請求項4から7のいずれか1つにおいて、前記光信号が、分散によって各波長に生じる成分を含むことを特徴とする。
【0025】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、分散による波形の歪みを緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0026】
請求項10に記載の波長多重光送信装置は、請求項4から7のいずれか1つにおいて、前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波と分散によって各波長に生じる成分を含むことを特徴とする。
【0027】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉のみならず分散による波形の歪みも緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0028】
請求項11に記載の波長多重光送信装置は、請求項4、5及び7のいずれか1つにおいて前記波長多重カプラの直後に光増幅装置を設けたことを特徴とする。これにより、光出力レベルを高めることができるため、更に長い距離の波長多重伝送が可能となる。
【0029】
請求項12に記載の光中継装置は、波長多重光伝送システムの光伝送路に挿入され、上流の光ファイバから入力される多重化光信号を増幅して、受信側に接続された下流の光ファイバに出力光信号を出力する光中継装置であり、受信ダイナミックレンジが各波長の前記受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各波長の前記出力光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0031】
請求項13に記載の光中継装置は、前記中継装置が、前記多重化光信号を波長により分離する波長分離カプラと、前記波長分離カプラの複数の出力にそれぞれ接続された光増幅装置と、前記複数の光増幅装置からの出力を多重化して前記下流の光ファイバに前記出力光信号を出力する波長多重カプラからなり、受信ダイナミックレンジが各波長の前記受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各光増幅装置の増幅度が設定されることを特徴とする。
【0032】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0033】
請求項14に記載の光中継装置は、請求項12に記載の前記光中継装置が、前記多重化光信号を増幅する光増幅装置と、透過光信号強度に波長特性を有し、前記光増幅装置の出力を濾過して前記下流の光ファイバに結合させる光フィルタからなり、受信ダイナミックレンジが各波長の前記受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、前記光フィルタの前記波長特性が設定されることを特徴とする。
【0034】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0035】
請求項15に記載の光中継装置は、請求項12から14のいずれか1つにおいて光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波を含むことを特徴としているから、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0036】
請求項16に記載の光中継装置は、請求項12から14のいずれか1つにおいて光信号が、分散によって各波長に生じる成分を含むことを特徴としている。
【0037】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、分散による波形の歪みを緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0038】
請求項17に記載の光中継装置は、請求項12から14のいずれか1つにおいて光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波と分散によって各波長に生じる成分を含むことを特徴としている。
【0039】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉のみならず分散による波形の歪みも緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0040】
請求項18に記載の波長多重光受信装置は、光ファイバから受信した多重化光信号を波長により分離する波長分離カプラと、前記波長分離カプラから出力されるそれぞれの波長の光信号を電気信号に変換して出力する複数の光受信装置とからなる波長多重光受信装置であり、受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、各波長の前記光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えたことを特徴とする。これにより、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0041】
請求項19に記載の波長多重光受信装置は、請求項18に記載の前記手段が、前記波長分離カプラの入力に設けられ、透過光信号強度に波長特性を持つ光フィルタを含み、前記受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、前記光フィルタの前記波長特性を設定したことを特徴とする。
【0042】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0043】
請求項20に記載の波長多重光受信装置は、請求項19において、前記光ファイバと前記光フィルタとの間に光増幅装置を備えたことを特徴としている。
【0044】
この構成により、光出力レベルを高めることができるため、さらに長い距離の波長多重伝送が可能となる。
【0045】
請求項21に記載の波長多重光受信装置は、請求項19において、前記手段が、前記波長分離カプラと各光受信装置との間に挿入された前記複数の光増幅装置からなり、前記受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ均等になるように、各光増幅装置の増幅度が設定されたことを特徴としている。
【0046】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面により本発明を詳細に説明する。なお、複数の図面に同じ要素を示す場合には同一の参照符号を付ける。また、本明細書では、簡単のために、多重伝送する信号の数を7として説明するが、多重伝送する信号の数は任意に決めてよい。
【0048】
図1(A)は、本発明の波長多重光伝送システムの原理を説明する図である。図1(A)において、波長多重光伝送システム100は、複数、例えば7の信号DATA1、DATA2、・・・、DATA7を多重化して送信する波長多重光送信装置200、この装置200の出力光信号を伝送する光ファイバ300、及び光ファイバ300から光信号を受信し、受信した光信号から元の信号DATA1、DATA2、・・・、DATA7を復元して出力する波長多重光受信装置400からなる。波長多重光送信装置200の送信端302における出力光信号は、信号DATA1〜DATA7に割り当てられた等間隔の波長λ1、λ2、・・・、λ7の信号成分からなるが、これらの信号成分の強度をそれぞれS1、S2、・・・、S7とする(便宜上、多重化された信号成分もS1〜S7と記すこととする)。当業者であれば、信号成分S1〜S7が光ファイバ300を伝播して受信端304に達するまでに四光波混合により発生する波長λ1、λ2、・・・、λ7の干渉波の強度I1、I2、・・・、I7を容易に算出することができる(便宜上、干渉波もI1〜I7と記す)。
【0049】
図1(B)は、受信端304における四光波混合による干渉波I1〜I7及び信号成分強度を、図1(C)は、送信端302における信号成分強度S1〜S7を、各波長チャンネルCH1〜CH7について表す図である。これらの図から分かるように、本発明によれば、波長多重光送信装置200を次のように構成する。すなわち、波長多重光送信装置200の各波長の出力信号強度S1〜S7を、受信端304における波長λ1〜λ7の受信信号レベルから対応する干渉波レベルI1〜I7を引いた信号成分の強度(この例においては、Δ)がほぼ等しくなるように半固定的に設定する。換言すれば、各波長λi(i=1、2、・・・、7)に関して、
Si = a・(Δ+Ii) ・・・(1)
となるように、波長多重光送信装置200の出力光信号成分のレベルを調節する。ここで、aは、光ファイバ300による伝播によって生じる減衰を考慮して適宜決定される定数である。
【0050】
なお、「半固定的に設定する」とは、回路定数を変えられる要素を用いて設定するという意味ではなく、設計段階、製造段階または設置段階などで決定するという意味である。
これにより、λ1からλ7までのダイナミックレンジが等しく(Δ)なるので、中心波長(この例では、λ4)により生じる干渉波で従来制限されていた伝送距離の制限を緩和することができる。
要するに、本発明の原理は、四光波混合による干渉波などの受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、各波長の光信号の強度を半固定的に設定することである。
なお、前記干渉波の強度I1〜I7は、実際に波長多重光送信装置200から出力される信号成分S1〜S7から算出する代わりに、図11のように信号成分を所定の一定レベルであると仮定して計算しても、本発明による次善の効果を得ることができる。
【0051】
<第1の実施の形態>
図2に本発明の第1の実施の形態による波長多重光送信装置のブロック図を示す。図2において、波長多重光送信装置201は、例えば入力される7種類の電気信号データDATA1、DATA2、・・・、DATA7を等間隔の波長λ1、λ2、・・・、λ7の光信号にそれぞれ変換して出力する光送信装置5−1、5−2、・・・、5−7、及びこれらの光送信装置5の出力を多重化して1本の光ファイバ300に出力する波長多重カプラ3からなる。好ましくは、光ファイバ300には、分散シフトファイバを用い、零分散の波長帯で多重化する。
【0052】
第1の実施の形態によれば、λ1からλ7の光信号の強度は、図1(B)に示したように、四光波混合による干渉波が最も少ないλ1とλ7の光信号が一番小さく、四光波混合による干渉波が最も多いλ4の光信号が一番大きくなるように設定される。このため、各光送信装置5−iにおいて、出力レベルを決定する要因となる要素、例えば半導体レーザなどの光源の出力パワーを前述の式(1)を満たすように決定する。
【0053】
以上の構成における動作を説明する。波長多重光送信装置201より光ファイバ300に出力された7波の波長の光信号は、光ファイバ300の非線形効果である四光波混合によって光信号の3次歪による干渉波を生じる。この干渉波の強度は、図1(B)に示したように、中心の波長であるλ4に生じるものが多く、両端に位置するλ1とλ7に生じるものは少なくなるが、λ4の波長の光信号強度を大きく、λ1とλ7の波長の光信号強度を小さくなるように設定してあるため、λ1からλ7の光信号のダイナミックレンジΔは等しくなる。このように本発明における第1の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和することができるという効果を有する。
【0054】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態の波長多重光伝送システム及び波長多重光送信装置について図3を用いて説明する。図3(A)に光ファイバ300の各波長の波長分散特性(実線)と波長分散によるパワーペナルティ(点線)を示す。図3(B)に本実施の形態による波長多重光伝送システムにおける各波長に対する光強度、パワーペナルティ及び四光波混合による干渉波と波長多重光送信装置の出力レベルの関係を示す。本実施の形態による波長多重光送信装置は、各波長の出力光信号の強度が異なる点を除けば、先に述べた第1の実施の形態と同じであるから、構成図としては図2を用いる。
【0055】
光ファイバ300の非線形効果である四光波混合によって光信号の3次歪による干渉波を生じるとともに、波長分散が少ない波長領域を使用する波長多重光伝送システムであっても各波長に若干の波長分散(ps/nm・Km)と波長分散によるパワーペナルティが生じる。このパワーペナルティは、図3(A)に示したような波長特性を持っている。そこで、図3(B)に示すように、この波長分散によるパワーペナルティと四光波混合による干渉波によるダイナミックレンジの劣化が各波長の光信号で均等になるように、光強度を半固定的に設定する。ここで、半固定的に設定するとは、回路定数を変えられる要素を用いて設定するという意味ではなく、設計段階、製造段階または設置段階などで決定するという意味である。このため、λ1からλ7の光信号のダイナミックレンジは等しくなる。このように本発明における第2の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波と波長分散で制限されていた伝送距離の制限を緩和することができるという効果を有する。
【0056】
<第3の実施の形態>
図4は、本発明の第3の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図である。図4の波長多重光送信装置201aが、図2の装置201と異なる点は、波長多重カプラ3の直後に光増幅装置(光アンプとも言う)21が挿入されたことである。このことにより、カプラ3の出力は増幅され、更に長距離伝送が可能となる。このように本発明における第3の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和するとともに光出力強度を増加し、長距離伝送が可能なる。
【0057】
<第4の実施の形態>
図5は、本発明の第4の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図である。図5の波長多重光送信装置202は、次の点を除いて図2の波長多重光送信装置201と同じである。すなわち、図5においては、各光送信装置5−iが通常の光送信装置5a−iに置き換えられ、かつ各光送信装置5a−iと波長多重カプラ3との間に光増幅装置(光アンプ)6−iが挿入されている。
【0058】
光送信装置5a−1、5a−2、・・・、5a−7は、入力される7種類の電気信号データDATA1、DATA2、・・・、DATA7を等間隔の波長λ1、λ2、・・・、λ7の光信号にそれぞれ変換して出力する。光増幅装置6−1、6−2、・・・、6−7は、図1(B)に示すように各波長に対し受信端304における受信信号レベルから四光混合波による干渉波を差し引いたレベルが等しくなるように、増幅度が設定されている。したがって、光増幅装置6−1、6−2、・・・、6−7からは、図1(C)のような光信号が波長多重カプラ3に出力される。このことにより、光増幅装置に入力される光信号強度が一定になり、各波長の光信号の信号対雑音比が一定に保たれたまま光送信装置5aの出力が増幅され、更に長距離伝送が可能となる。このように本発明における第4の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和するとともに光出力強度を増加し、長距離伝送が可能となる。
【0059】
<第5の実施の形態>
図6(A)は、本発明の第5の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図である。この波長多重光送信装置203は、次の点を除いて図5の波長多重光送信装置202と同じである。すなわち、図6においては、光増幅装置6−1〜6−7が削除され、代わりに光増幅装置21と光フィルタ38が波長多重カプラ3の直後に挿入されている。図6(B)は、光フィルタ38の光パワー伝達特性を示す図である。同図から分かるように、光増幅装置21の出力光が光フィルタ38を通過すると、図1(C)のような強度の波長成分を持つようになる。このことにより、光増幅装置に入力される元信号強度が一定になり、各波長の元信号の信号対雑音比が一定に保たれたまま波長多重光送信装置203の出力は増幅され、更に長距離伝送が可能となる。このように本発明における第5の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和されるとともに光出力強度が増加し、長距離伝送が可能となる。
【0060】
<第6の実施の形態>
図7は、本発明の第6の実施の形態による波長多重光中継増幅装置を示す。図7において、波長多重光中継増幅装置40は、光ファイバ300−1から波長多重化された光信号を受信して波長ごとに分離する波長分離カプラ4、この波長分離カプラ4の各出力に接続された光増幅装置6−1、6−2、・・・、6−7、及びこれら光増幅装置の出力を多重化して後続の光ファイバ300−2に多重化光信号を出力する波長多重カプラ3からなる。波長多重カプラ3からの出力は、光ファイバ300−2により次の中継装置又は波長多重光受信装置へと伝送される。
光増幅装置6−1〜6−7には、次の中継間隔での伝送距離に応じて、図5の光増幅装置の増幅度と同様に増幅度が割り当てられているので、波長多重カプラ3からの波長多重光信号は、図1(C)のような強度の波長成分からなる。
【0061】
<第7の実施の形態>
次に、本発明の第7の実施の形態による波長多重光中継増幅装置について図8を用いて説明する。図8において、波長多重光中継増幅装置41は、光ファイバ300−1から波長多重化された光信号を受信して増幅する光増幅装置21、及び光増幅装置21と光ファイバ300−2の間に挿入された光フィルタ38からなる。光フィルタ38も、図6(B)の光パワー伝達特性を有するものである。このように本発明の第7の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和するとともに低価格な波長多重光中継増幅装置を提供することができる。
【0062】
<第8の実施の形態>
図9は、本発明の第8の実施の形態による波長多重光受信装置のブロック図である。図9において、波長多重光受信装置43は、光ファイバ300からの多重化光信号を増幅する光増幅装置21、光増幅装置21の出力に設けられた光フィルタ38、光フィルタ38の出力側に結合された波長分離カプラ4、波長分離カプラ4の各出力から受信した光信号を電気信号として出力する光受信装置12−1、12−2、・・・、12−7から構成される。前述のように、光フィルタ38は、図6(B)に示す光パワー伝達特性を有するものである。
【0063】
光ファイバ300により伝送されてきた波長多重された光信号は、光増幅装置21により増幅され、光フィルタ38により各波長の光信号強度が一定になるように補正され、波長分離カプラ4により波長ごとに分離され、波長λ1〜λ7の光信号は光受信装置12−1〜12−7にそれぞれ入力される。各光受信装置では、光信号を電気信号に変換して出力する。このように、本発明の第8の実施の形態によれば、従来中心の波長の光信号に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和する波長多重光受信装置を提供することができる。
【0064】
<第9の実施の形態>
次に、本発明の第9の実施の形態による波長多重光受信装置について図10を用いて説明する。図10の波長多重光受信装置402は、次の点を除き、先に述べた第8の実施の形態と同じである。すなわち、図10においては、光増幅装置21と光フィルタ38が削除され、代わりに、波長分離カプラ4と各光増幅装置12−iとの間に光増幅装置6−iが挿入されている。光増幅装置6−1〜6−7は、第4の実施の形態と同様に利得を調整することにより、波長により異なる光信号強度が一定になるようにそれぞれの光信号を増幅する。このように、本発明における第9の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和することができる。
【0065】
前述の第2の実施の形態において用いた本発明の原理、すなわち、四光波混合による干渉波のみならず波長分散によるパワーペナルティによって生じるダイナミックレンジに劣化が各波長の光信号で均等になるように、光強度を設定する技術は、その他の任意の実施の形態にも適応することができる。
また、実施の形態2においては、四光波混合による干渉波と波長分散によるパワーペナルティの両方に対処する方法を示したが、本発明の原理、すなわち、受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、光強度を半固定的に設定する技術は、単に波長分散によるパワーペナルティに対処するために使用することも可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上のように本発明は、複数の波長の異なる光信号を多重化して伝送する波長多重光伝送システムにおいて、それぞれの光信号の出力強度を変えたことにより、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度な長距離の波長多重伝送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の波長多重光伝送システムの原理を説明する図であり、
(A)ブロック図
(B)受信端における信号成分強度を示すグラフ
(C)送信端における信号成分強度を示すグラフ
【図2】本発明の第1の実施の形態による波長多重光送信装置のブロック図
【図3】本発明の第2の実施の形態の波長多重光伝送システム及び波長多重光送信装置の動作原理を示す図であり、
(A)光ファイバの各波長分散特性と波長分散によるパワーペナルティを示すグラフ
(B)各波長に対する光強度、パワーペナルティ及び四光波混合による干渉波と波長多重光送信装置の出力レベルの関係を示すグラフ
【図4】本発明の第3の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明の第4の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図
【図6】本発明の第5の実施の形態による波長多重光送信装置を説明するための図であり、
(A)波長多重光送信装置の構成を示すブロック図
(B)光フィルタの光パワー伝達特性を示すグラフ
【図7】本発明の第6の実施の形態による波長多重光中継増幅装置のブロック図
【図8】本発明の第7の実施の形態による波長多重光中継増幅装置のブロック図
【図9】本発明の第8の実施の形態による波長多重光受信装置のブロック図
【図10】本発明の第9の実施の形態による波長多重光受信装置のブロック図
【図11】従来技術の波長多重光伝送システムの信号強度の波長特性図
【符号の説明】
3 波長多重カプラ
4 波長分離カプラ
5−1〜5−7、5a−1〜5a−7 光送信装置
6−1〜6−7、21 光増幅装置(光アンプ)
12−1〜12−7 光受信装置
38 光フィルタ
40、41 波長多重光中継増幅装置
43、400、401、402 波長多重光受信装置
100 波長多重光伝送システム
200、201、201a、202、203 波長多重光送信装置
300、300−1、300−2 光ファイバ
302 送信端
304 受信端
【発明の属する技術分野】
本発明は、概して複数の光信号を多重化して伝送する波長多重光伝送システム、波長多重光送信装置、波長多重光受信装置及び光中継装置に関し、さらに詳細には波長多重光伝送システムにおいて光ファイバが有する四光波混合に起因する光信号間干渉の影響を削減する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の光信号を多重化して伝送する波長多重光伝送システムで用いる伝送用光ファイバにおいては波長分散により伝送波形が劣化するという現象が起こる。これを避けるために、分散シフトファイバを用いて分散が少ない零分散の波長帯の波長を選定する場合が多い。しかしながら、この零分散の波長帯で複数の光信号を多重化すると、光ファイバの非線形光学現象の1つである四光波混合により光信号の3次歪みが生じることが知られている。3波以上の光信号(波長をλ1、λ2、λ3とする)を等間隔で配置した場合、3次歪み(λ=λ1±λ2±λ3)の中のλ1−λ2+λ3の周波数に生じるものはλ2に生じることとなり、λ2の光信号と干渉を起こしてしまう。また、このような3次歪みによる干渉波の強度は、同じ波長に生じる干渉波の組み合わせの数に比例し、多重化する光信号が増えると指数関数的に増加する。また、干渉波の組み合わせの数は中心に位置する波長の光信号が一番多くなるという特徴を有する。
【0003】
例えば、等間隔の波長λ1、λ2、・・・、λ7で等しい強度(=M)の光信号CH1、CH2、・・・、CH7を多重化して分散シフトファイバで伝送した場合に受信側で観測される光信号と四光波混合による干渉波を図11に示す。受信側で観測される光信号CHi(i=1、2、・・・、7)の強度をΔiとし、波長λiの干渉波の強度をIiとすると、Δi=M−Iiとなる。図11に示すように、四光波混合による干渉波は、光信号群CH1〜CH7の中心波長λ4の強度が最大で、波長がλ(4±1)、λ(4±2)と中心波長から離れるにしたがって小さくなり、CH1及びCH7で最小となる。これに伴い、SN比(信号対雑音比)も、中心波長に近いほど小さくなる。
【0004】
このような四光波混合による信号の干渉を防ぐために種々の提案がなされてきた。従来の波長多重光伝送システムでは、任意の光信号の波長差が不等間隔になるように光信号の波長を選定することで四光波混合による干渉を防いでいる。例えば、下記の特許文献1〜3は、多重化すべき光信号の波長の割り当てに、それぞれ工夫を凝らすことにより光信号間の干渉を防ぐ技術を開示している。このように、上記従来の波長多重光伝送システムでも四光波混合による干渉を防ぎ、良好な伝送を実現することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−256128号公報
【特許文献2】
特開平9−247091号公報
【特許文献3】
特開2000−13361号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の波長多重光伝送システムでは、干渉波を避けると波長間隔が広くなり、干渉波の帯域が信号帯域より広くなるため、高密度の多重ができないという問題があった。本発明は、このような四光波混合による信号の干渉の問題を、前述のような従来技術とは全く異なる観点から解決しようとするものである。すなわち、四光波混合により信号同士が干渉すること自体を防ぐのではなく、四光波混合による信号の干渉の影響を低減させることにより、四光波混合の問題を解決しようとするものである。
【0007】
したがって、求むべきは、零分散の波長帯を使いながらも四光波混合などによる受信信号の劣化を抑え、かつ高密度の伝送を可能にする波長多重光伝送システム、波長多重光送信装置、波長多重光受信装置及び光中継装置である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の波長多重光伝送システムは、複数の波長の異なる光信号を多重化して伝送する波長多重光伝送システムにおいて、受信ダイナミックレンジが各波長の前記光信号でほぼ均等になるように、各波長の光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0010】
請求項2に記載の波長多重光伝送システムは、前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波を含むことを特徴とする。
【0011】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0012】
請求項3に記載の波長多重光伝送システムは、前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波と分散によって各波長に生じる成分を含み、前記手段が、前記干渉波による波形劣化と前記分散に起因する成分による波形劣化とを加算した総伝送劣化が各波長の前記光信号で均等になるように、各波長の前記光信号の強度を半固定的に設定する手段からなることを特徴とする。
【0013】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉のみならず分散による波形の歪みも緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0014】
請求項4に記載の波長多重光送信装置は、入力電気信号をそれぞれの波長の光信号に変換し出力する複数の光送信装置と前記複数の光送信装置が出力する光信号を多重化して、受信側に接続された1本の光ファイバヘと出力する波長多重カプラを備えた波長多重光送信装置であり、受信ダイナミックレンジが各波長の受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各波長の前記光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0016】
請求項5に記載の波長多重光送信装置は、請求項4に記載の前記手段が、前記複数の光送信装置に分散して含まれ、前記複数の光送信装置に分散して含まれる前記手段が、それぞれの光送信装置が出力する前記光信号の強度を決定する回路定数を有する素子からなることを特徴とする。
【0017】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0018】
請求項6に記載の波長多重光送信装置は、前記手段が、前記複数の光送信装置の各々と前記波長多重カプラとの間に挿入された光増幅装置からなり、前記受信ダイナミックレンジが各波長の受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各波長に対応する光増幅装置の増幅度が設定される。
【0019】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0020】
請求項7に記載の波長多重光送信装置は、前記手段が、前記波長多重カプラの出力に設けられた透過光信号強度に波長特性を有する光フィルタを含み、前記受信ダイナミックレンジが各波長の受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、前記光フィルタの波長特性が設定される。
【0021】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0022】
請求項8に記載の波長多重光送信装置は、請求項4から7のいずれか1つにおいて、前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波を含むことを特徴とする。
【0023】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0024】
請求項9に記載の波長多重光送信装置は、請求項4から7のいずれか1つにおいて、前記光信号が、分散によって各波長に生じる成分を含むことを特徴とする。
【0025】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、分散による波形の歪みを緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0026】
請求項10に記載の波長多重光送信装置は、請求項4から7のいずれか1つにおいて、前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波と分散によって各波長に生じる成分を含むことを特徴とする。
【0027】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉のみならず分散による波形の歪みも緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0028】
請求項11に記載の波長多重光送信装置は、請求項4、5及び7のいずれか1つにおいて前記波長多重カプラの直後に光増幅装置を設けたことを特徴とする。これにより、光出力レベルを高めることができるため、更に長い距離の波長多重伝送が可能となる。
【0029】
請求項12に記載の光中継装置は、波長多重光伝送システムの光伝送路に挿入され、上流の光ファイバから入力される多重化光信号を増幅して、受信側に接続された下流の光ファイバに出力光信号を出力する光中継装置であり、受信ダイナミックレンジが各波長の前記受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各波長の前記出力光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0031】
請求項13に記載の光中継装置は、前記中継装置が、前記多重化光信号を波長により分離する波長分離カプラと、前記波長分離カプラの複数の出力にそれぞれ接続された光増幅装置と、前記複数の光増幅装置からの出力を多重化して前記下流の光ファイバに前記出力光信号を出力する波長多重カプラからなり、受信ダイナミックレンジが各波長の前記受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各光増幅装置の増幅度が設定されることを特徴とする。
【0032】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0033】
請求項14に記載の光中継装置は、請求項12に記載の前記光中継装置が、前記多重化光信号を増幅する光増幅装置と、透過光信号強度に波長特性を有し、前記光増幅装置の出力を濾過して前記下流の光ファイバに結合させる光フィルタからなり、受信ダイナミックレンジが各波長の前記受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、前記光フィルタの前記波長特性が設定されることを特徴とする。
【0034】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0035】
請求項15に記載の光中継装置は、請求項12から14のいずれか1つにおいて光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波を含むことを特徴としているから、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0036】
請求項16に記載の光中継装置は、請求項12から14のいずれか1つにおいて光信号が、分散によって各波長に生じる成分を含むことを特徴としている。
【0037】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、分散による波形の歪みを緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0038】
請求項17に記載の光中継装置は、請求項12から14のいずれか1つにおいて光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波と分散によって各波長に生じる成分を含むことを特徴としている。
【0039】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉のみならず分散による波形の歪みも緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0040】
請求項18に記載の波長多重光受信装置は、光ファイバから受信した多重化光信号を波長により分離する波長分離カプラと、前記波長分離カプラから出力されるそれぞれの波長の光信号を電気信号に変換して出力する複数の光受信装置とからなる波長多重光受信装置であり、受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、各波長の前記光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えたことを特徴とする。これにより、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0041】
請求項19に記載の波長多重光受信装置は、請求項18に記載の前記手段が、前記波長分離カプラの入力に設けられ、透過光信号強度に波長特性を持つ光フィルタを含み、前記受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、前記光フィルタの前記波長特性を設定したことを特徴とする。
【0042】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0043】
請求項20に記載の波長多重光受信装置は、請求項19において、前記光ファイバと前記光フィルタとの間に光増幅装置を備えたことを特徴としている。
【0044】
この構成により、光出力レベルを高めることができるため、さらに長い距離の波長多重伝送が可能となる。
【0045】
請求項21に記載の波長多重光受信装置は、請求項19において、前記手段が、前記波長分離カプラと各光受信装置との間に挿入された前記複数の光増幅装置からなり、前記受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ均等になるように、各光増幅装置の増幅度が設定されたことを特徴としている。
【0046】
この構成により、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、受信ダイナミックレンジの劣化を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度の長距離波長多重伝送を実現することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面により本発明を詳細に説明する。なお、複数の図面に同じ要素を示す場合には同一の参照符号を付ける。また、本明細書では、簡単のために、多重伝送する信号の数を7として説明するが、多重伝送する信号の数は任意に決めてよい。
【0048】
図1(A)は、本発明の波長多重光伝送システムの原理を説明する図である。図1(A)において、波長多重光伝送システム100は、複数、例えば7の信号DATA1、DATA2、・・・、DATA7を多重化して送信する波長多重光送信装置200、この装置200の出力光信号を伝送する光ファイバ300、及び光ファイバ300から光信号を受信し、受信した光信号から元の信号DATA1、DATA2、・・・、DATA7を復元して出力する波長多重光受信装置400からなる。波長多重光送信装置200の送信端302における出力光信号は、信号DATA1〜DATA7に割り当てられた等間隔の波長λ1、λ2、・・・、λ7の信号成分からなるが、これらの信号成分の強度をそれぞれS1、S2、・・・、S7とする(便宜上、多重化された信号成分もS1〜S7と記すこととする)。当業者であれば、信号成分S1〜S7が光ファイバ300を伝播して受信端304に達するまでに四光波混合により発生する波長λ1、λ2、・・・、λ7の干渉波の強度I1、I2、・・・、I7を容易に算出することができる(便宜上、干渉波もI1〜I7と記す)。
【0049】
図1(B)は、受信端304における四光波混合による干渉波I1〜I7及び信号成分強度を、図1(C)は、送信端302における信号成分強度S1〜S7を、各波長チャンネルCH1〜CH7について表す図である。これらの図から分かるように、本発明によれば、波長多重光送信装置200を次のように構成する。すなわち、波長多重光送信装置200の各波長の出力信号強度S1〜S7を、受信端304における波長λ1〜λ7の受信信号レベルから対応する干渉波レベルI1〜I7を引いた信号成分の強度(この例においては、Δ)がほぼ等しくなるように半固定的に設定する。換言すれば、各波長λi(i=1、2、・・・、7)に関して、
Si = a・(Δ+Ii) ・・・(1)
となるように、波長多重光送信装置200の出力光信号成分のレベルを調節する。ここで、aは、光ファイバ300による伝播によって生じる減衰を考慮して適宜決定される定数である。
【0050】
なお、「半固定的に設定する」とは、回路定数を変えられる要素を用いて設定するという意味ではなく、設計段階、製造段階または設置段階などで決定するという意味である。
これにより、λ1からλ7までのダイナミックレンジが等しく(Δ)なるので、中心波長(この例では、λ4)により生じる干渉波で従来制限されていた伝送距離の制限を緩和することができる。
要するに、本発明の原理は、四光波混合による干渉波などの受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、各波長の光信号の強度を半固定的に設定することである。
なお、前記干渉波の強度I1〜I7は、実際に波長多重光送信装置200から出力される信号成分S1〜S7から算出する代わりに、図11のように信号成分を所定の一定レベルであると仮定して計算しても、本発明による次善の効果を得ることができる。
【0051】
<第1の実施の形態>
図2に本発明の第1の実施の形態による波長多重光送信装置のブロック図を示す。図2において、波長多重光送信装置201は、例えば入力される7種類の電気信号データDATA1、DATA2、・・・、DATA7を等間隔の波長λ1、λ2、・・・、λ7の光信号にそれぞれ変換して出力する光送信装置5−1、5−2、・・・、5−7、及びこれらの光送信装置5の出力を多重化して1本の光ファイバ300に出力する波長多重カプラ3からなる。好ましくは、光ファイバ300には、分散シフトファイバを用い、零分散の波長帯で多重化する。
【0052】
第1の実施の形態によれば、λ1からλ7の光信号の強度は、図1(B)に示したように、四光波混合による干渉波が最も少ないλ1とλ7の光信号が一番小さく、四光波混合による干渉波が最も多いλ4の光信号が一番大きくなるように設定される。このため、各光送信装置5−iにおいて、出力レベルを決定する要因となる要素、例えば半導体レーザなどの光源の出力パワーを前述の式(1)を満たすように決定する。
【0053】
以上の構成における動作を説明する。波長多重光送信装置201より光ファイバ300に出力された7波の波長の光信号は、光ファイバ300の非線形効果である四光波混合によって光信号の3次歪による干渉波を生じる。この干渉波の強度は、図1(B)に示したように、中心の波長であるλ4に生じるものが多く、両端に位置するλ1とλ7に生じるものは少なくなるが、λ4の波長の光信号強度を大きく、λ1とλ7の波長の光信号強度を小さくなるように設定してあるため、λ1からλ7の光信号のダイナミックレンジΔは等しくなる。このように本発明における第1の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和することができるという効果を有する。
【0054】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態の波長多重光伝送システム及び波長多重光送信装置について図3を用いて説明する。図3(A)に光ファイバ300の各波長の波長分散特性(実線)と波長分散によるパワーペナルティ(点線)を示す。図3(B)に本実施の形態による波長多重光伝送システムにおける各波長に対する光強度、パワーペナルティ及び四光波混合による干渉波と波長多重光送信装置の出力レベルの関係を示す。本実施の形態による波長多重光送信装置は、各波長の出力光信号の強度が異なる点を除けば、先に述べた第1の実施の形態と同じであるから、構成図としては図2を用いる。
【0055】
光ファイバ300の非線形効果である四光波混合によって光信号の3次歪による干渉波を生じるとともに、波長分散が少ない波長領域を使用する波長多重光伝送システムであっても各波長に若干の波長分散(ps/nm・Km)と波長分散によるパワーペナルティが生じる。このパワーペナルティは、図3(A)に示したような波長特性を持っている。そこで、図3(B)に示すように、この波長分散によるパワーペナルティと四光波混合による干渉波によるダイナミックレンジの劣化が各波長の光信号で均等になるように、光強度を半固定的に設定する。ここで、半固定的に設定するとは、回路定数を変えられる要素を用いて設定するという意味ではなく、設計段階、製造段階または設置段階などで決定するという意味である。このため、λ1からλ7の光信号のダイナミックレンジは等しくなる。このように本発明における第2の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波と波長分散で制限されていた伝送距離の制限を緩和することができるという効果を有する。
【0056】
<第3の実施の形態>
図4は、本発明の第3の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図である。図4の波長多重光送信装置201aが、図2の装置201と異なる点は、波長多重カプラ3の直後に光増幅装置(光アンプとも言う)21が挿入されたことである。このことにより、カプラ3の出力は増幅され、更に長距離伝送が可能となる。このように本発明における第3の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和するとともに光出力強度を増加し、長距離伝送が可能なる。
【0057】
<第4の実施の形態>
図5は、本発明の第4の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図である。図5の波長多重光送信装置202は、次の点を除いて図2の波長多重光送信装置201と同じである。すなわち、図5においては、各光送信装置5−iが通常の光送信装置5a−iに置き換えられ、かつ各光送信装置5a−iと波長多重カプラ3との間に光増幅装置(光アンプ)6−iが挿入されている。
【0058】
光送信装置5a−1、5a−2、・・・、5a−7は、入力される7種類の電気信号データDATA1、DATA2、・・・、DATA7を等間隔の波長λ1、λ2、・・・、λ7の光信号にそれぞれ変換して出力する。光増幅装置6−1、6−2、・・・、6−7は、図1(B)に示すように各波長に対し受信端304における受信信号レベルから四光混合波による干渉波を差し引いたレベルが等しくなるように、増幅度が設定されている。したがって、光増幅装置6−1、6−2、・・・、6−7からは、図1(C)のような光信号が波長多重カプラ3に出力される。このことにより、光増幅装置に入力される光信号強度が一定になり、各波長の光信号の信号対雑音比が一定に保たれたまま光送信装置5aの出力が増幅され、更に長距離伝送が可能となる。このように本発明における第4の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和するとともに光出力強度を増加し、長距離伝送が可能となる。
【0059】
<第5の実施の形態>
図6(A)は、本発明の第5の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図である。この波長多重光送信装置203は、次の点を除いて図5の波長多重光送信装置202と同じである。すなわち、図6においては、光増幅装置6−1〜6−7が削除され、代わりに光増幅装置21と光フィルタ38が波長多重カプラ3の直後に挿入されている。図6(B)は、光フィルタ38の光パワー伝達特性を示す図である。同図から分かるように、光増幅装置21の出力光が光フィルタ38を通過すると、図1(C)のような強度の波長成分を持つようになる。このことにより、光増幅装置に入力される元信号強度が一定になり、各波長の元信号の信号対雑音比が一定に保たれたまま波長多重光送信装置203の出力は増幅され、更に長距離伝送が可能となる。このように本発明における第5の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和されるとともに光出力強度が増加し、長距離伝送が可能となる。
【0060】
<第6の実施の形態>
図7は、本発明の第6の実施の形態による波長多重光中継増幅装置を示す。図7において、波長多重光中継増幅装置40は、光ファイバ300−1から波長多重化された光信号を受信して波長ごとに分離する波長分離カプラ4、この波長分離カプラ4の各出力に接続された光増幅装置6−1、6−2、・・・、6−7、及びこれら光増幅装置の出力を多重化して後続の光ファイバ300−2に多重化光信号を出力する波長多重カプラ3からなる。波長多重カプラ3からの出力は、光ファイバ300−2により次の中継装置又は波長多重光受信装置へと伝送される。
光増幅装置6−1〜6−7には、次の中継間隔での伝送距離に応じて、図5の光増幅装置の増幅度と同様に増幅度が割り当てられているので、波長多重カプラ3からの波長多重光信号は、図1(C)のような強度の波長成分からなる。
【0061】
<第7の実施の形態>
次に、本発明の第7の実施の形態による波長多重光中継増幅装置について図8を用いて説明する。図8において、波長多重光中継増幅装置41は、光ファイバ300−1から波長多重化された光信号を受信して増幅する光増幅装置21、及び光増幅装置21と光ファイバ300−2の間に挿入された光フィルタ38からなる。光フィルタ38も、図6(B)の光パワー伝達特性を有するものである。このように本発明の第7の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和するとともに低価格な波長多重光中継増幅装置を提供することができる。
【0062】
<第8の実施の形態>
図9は、本発明の第8の実施の形態による波長多重光受信装置のブロック図である。図9において、波長多重光受信装置43は、光ファイバ300からの多重化光信号を増幅する光増幅装置21、光増幅装置21の出力に設けられた光フィルタ38、光フィルタ38の出力側に結合された波長分離カプラ4、波長分離カプラ4の各出力から受信した光信号を電気信号として出力する光受信装置12−1、12−2、・・・、12−7から構成される。前述のように、光フィルタ38は、図6(B)に示す光パワー伝達特性を有するものである。
【0063】
光ファイバ300により伝送されてきた波長多重された光信号は、光増幅装置21により増幅され、光フィルタ38により各波長の光信号強度が一定になるように補正され、波長分離カプラ4により波長ごとに分離され、波長λ1〜λ7の光信号は光受信装置12−1〜12−7にそれぞれ入力される。各光受信装置では、光信号を電気信号に変換して出力する。このように、本発明の第8の実施の形態によれば、従来中心の波長の光信号に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和する波長多重光受信装置を提供することができる。
【0064】
<第9の実施の形態>
次に、本発明の第9の実施の形態による波長多重光受信装置について図10を用いて説明する。図10の波長多重光受信装置402は、次の点を除き、先に述べた第8の実施の形態と同じである。すなわち、図10においては、光増幅装置21と光フィルタ38が削除され、代わりに、波長分離カプラ4と各光増幅装置12−iとの間に光増幅装置6−iが挿入されている。光増幅装置6−1〜6−7は、第4の実施の形態と同様に利得を調整することにより、波長により異なる光信号強度が一定になるようにそれぞれの光信号を増幅する。このように、本発明における第9の実施の形態によれば、従来λ4の波長に生じる干渉波で制限されていた伝送距離の制限を緩和することができる。
【0065】
前述の第2の実施の形態において用いた本発明の原理、すなわち、四光波混合による干渉波のみならず波長分散によるパワーペナルティによって生じるダイナミックレンジに劣化が各波長の光信号で均等になるように、光強度を設定する技術は、その他の任意の実施の形態にも適応することができる。
また、実施の形態2においては、四光波混合による干渉波と波長分散によるパワーペナルティの両方に対処する方法を示したが、本発明の原理、すなわち、受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、光強度を半固定的に設定する技術は、単に波長分散によるパワーペナルティに対処するために使用することも可能である。
【0066】
【発明の効果】
以上のように本発明は、複数の波長の異なる光信号を多重化して伝送する波長多重光伝送システムにおいて、それぞれの光信号の出力強度を変えたことにより、多重化する光信号の波長配置が等間隔であっても、四光波混合による干渉を緩和することができるため、零分散波長帯を用いて高品質で高密度な長距離の波長多重伝送を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の波長多重光伝送システムの原理を説明する図であり、
(A)ブロック図
(B)受信端における信号成分強度を示すグラフ
(C)送信端における信号成分強度を示すグラフ
【図2】本発明の第1の実施の形態による波長多重光送信装置のブロック図
【図3】本発明の第2の実施の形態の波長多重光伝送システム及び波長多重光送信装置の動作原理を示す図であり、
(A)光ファイバの各波長分散特性と波長分散によるパワーペナルティを示すグラフ
(B)各波長に対する光強度、パワーペナルティ及び四光波混合による干渉波と波長多重光送信装置の出力レベルの関係を示すグラフ
【図4】本発明の第3の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図
【図5】本発明の第4の実施の形態による波長多重光送信装置の構成を示すブロック図
【図6】本発明の第5の実施の形態による波長多重光送信装置を説明するための図であり、
(A)波長多重光送信装置の構成を示すブロック図
(B)光フィルタの光パワー伝達特性を示すグラフ
【図7】本発明の第6の実施の形態による波長多重光中継増幅装置のブロック図
【図8】本発明の第7の実施の形態による波長多重光中継増幅装置のブロック図
【図9】本発明の第8の実施の形態による波長多重光受信装置のブロック図
【図10】本発明の第9の実施の形態による波長多重光受信装置のブロック図
【図11】従来技術の波長多重光伝送システムの信号強度の波長特性図
【符号の説明】
3 波長多重カプラ
4 波長分離カプラ
5−1〜5−7、5a−1〜5a−7 光送信装置
6−1〜6−7、21 光増幅装置(光アンプ)
12−1〜12−7 光受信装置
38 光フィルタ
40、41 波長多重光中継増幅装置
43、400、401、402 波長多重光受信装置
100 波長多重光伝送システム
200、201、201a、202、203 波長多重光送信装置
300、300−1、300−2 光ファイバ
302 送信端
304 受信端
Claims (21)
- 複数の波長の異なる光信号を多重化して伝送する波長多重光伝送システムにおいて、受信ダイナミックレンジが各波長の前記光信号でほぼ均等になるように、各波長の光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えたことを特徴とする波長多重光伝送システム。
- 前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波を含むことを特徴とする請求項1に記載の波長多重光伝送システム。
- 前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波と分散によって各波長に生じる成分を含み、前記手段が、前記干渉波による波形劣化と前記分散に起因する成分による波形劣化とを加算した総伝送劣化が各波長の前記光信号で均等になるように、各波長の前記光信号の強度を半固定的に設定する手段からなることを特徴とする請求項1に記載の波長多重光伝送システム。
- 入力電気信号をそれぞれの波長の光信号に変換し出力する複数の光送信装置と前記複数の光送信装置が出力する光信号を多重化して、受信側に接続された1本の光ファイバヘと出力する波長多重カプラを備えた波長多重光送信装置であり、受信ダイナミックレンジが各波長の受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各波長の前記光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えた波長多重光送信装置。
- 前記手段が、前記複数の光送信装置に分散して含まれ、前記複数の光送信装置に分散して含まれる前記手段が、それぞれの光送信装置が出力する前記光信号の強度を決定する回路定数を有する素子からなる請求項4に記載の波長多重光送信装置。
- 前記手段が、前記複数の光送信装置の各々と前記波長多重カプラとの間に挿入された光増幅装置からなり、前記受信ダイナミックレンジが各波長の受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各波長に対応する光増幅装置の増幅度が設定される請求項4に記載の波長多重光送信装置。
- 前記手段が、前記波長多重カプラの出力に設けられた透過光信号強度に波長特性を有する光フィルタを含み、前記受信ダイナミックレンジが各波長の受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、前記光フィルタの波長特性が設定される請求項4に記載の波長多重光送信装置。
- 前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波を含む請求項4から7のいずれか1つに記載の波長多重光送信装置。
- 前記光信号が、分散によって各波長に生じる成分を含む請求項4から7のいずれか1つに記載の波長多重光送信装置。
- 前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波と分散によって各波長に生じる成分を含む請求項4から7のいずれか1つに記載の波長多重光送信装置。
- 前記波長多重カプラの直後に光増幅装置を設けた請求項4、5及び7のいずれか1つに記載の波長多重光送信装置。
- 波長多重光伝送システムの光伝送路に挿入され、上流の光ファイバから入力される多重化光信号を増幅して、受信側に接続された下流の光ファイバに出力光信号を出力する光中継装置であり、受信ダイナミックレンジが各波長の前記受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各波長の前記出力光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えた光中継装置。
- 前記中継装置が、前記多重化光信号を波長により分離する波長分離カプラと、前記波長分離カプラの複数の出力にそれぞれ接続された光増幅装置と、前記複数の光増幅装置からの出力を多重化して前記下流の光ファイバに前記出力光信号を出力する波長多重カプラからなり、受信ダイナミックレンジが各波長の前記受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、各光増幅装置の増幅度が設定される請求項12に記載の光中継装置。
- 前記光中継装置が、前記多重化光信号を増幅する光増幅装置と、透過光信号強度に波長特性を有し、前記光増幅装置の出力を濾過して前記下流の光ファイバに結合させる光フィルタからなり、受信ダイナミックレンジが各波長の前記受信側での受信光信号でほぼ等しくなるように、前記光フィルタの前記波長特性が設定される請求項12に記載の光中継装置。
- 前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波を含む請求項12から14のいずれか1つに記載の光中継装置。
- 前記光信号が、分散によって各波長に生じる成分を含む請求項12から14のいずれか1つに記載の光中継装置。
- 前記光信号が、光ファイバの四光波混合による干渉波と分散によって各波長に生じる成分を含む請求項12から14のいずれか1つに記載の光中継装置。
- 光ファイバから受信した多重化光信号を波長により分離する波長分離カプラと、前記波長分離カプラから出力されるそれぞれの波長の光信号を電気信号に変換して出力する複数の光受信装置とからなる波長多重光受信装置であり、受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、各波長の前記光信号の強度を半固定的に設定する手段を備えた波長多重光受信装置。
- 前記手段が、前記波長分離カプラの入力に設けられ、透過光信号強度に波長特性を持つ光フィルタを含み、前記受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、前記光フィルタの前記波長特性を設定した請求項18に記載の波長多重光受信装置。
- 前記光ファイバと前記光フィルタとの間に光増幅装置を備えた請求項19に記載の波長多重光受信装置。
- 前記手段が、前記波長分離カプラと各光受信装置との間に挿入された前記複数の光増幅装置からなり、前記受信ダイナミックレンジが各波長の光信号でほぼ等しくなるように、各光増幅装置の増幅度が設定された請求項19に記載の波長多重光受信装置。
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-
2003
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Cited By (2)
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CN117478234B (zh) * | 2023-12-27 | 2024-04-05 | 无限光通讯(深圳)有限公司 | 一种基于波分复用器的相交波长调制方法及系统 |
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