JP2005026606A - 研磨剤組成物および半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 銅を含む膜の研磨およびバリア膜の研磨に適用可能であり、各膜の研磨で起こりうる各種の課題を解決しつつ、平坦性を満足できるレベルで、かつ、適正な研磨時間で研磨することができる研磨剤の提供。
【解決手段】 砥粒と、乳酸及び/又はその塩と、キノリノールと、防錆剤と、任意に酸化剤を含む研磨剤組成物により、研磨剤組成物中の各成分の濃度を適正にすることで上記課題が解決される。
【選択図】 なし

Description

本発明は、半導体デバイスの製造工程の一工程である化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing:以下「CMP」という)による平坦化技術に使われる研磨剤組成物とその使用方法に関する。
半導体デバイス製造工程において、一般的に、基板上には素子分離膜の上に絶縁膜や金属膜等の層を多層積層した多層積層構造が形成される。多層積層化の際には、一般的には、基板に素子分離膜、層間絶縁膜や金属膜を堆積後、生じた凹凸をCMPによって平坦化処理をおこない、平坦となった面に新たな配線を積み重ねていく工程が必須となる。
近年、半導体デバイスは微細化が進むに連れて、基板に積層される多層積層の各層において、ますます精度の高い平坦性が必要となっている。そのため、CMP工程に期待するところが大きく、半導体デバイス製造過程におけるCMPによる平坦化工程の割合が増大している。
このCMP工程に使用される研磨剤として、近年、タングステン膜等の硬いメタル膜にはアルミナを砥粒として含む研磨剤が使用されてきている。また、Cu等の柔らかいメタル膜には、アルミナより柔らかい砥粒、例えば、煙霧状シリカや、原料が水ガラスや金属アルコキシドであるコロイダルシリカ等のシリカを砥粒として含む研磨剤が好んで使われている。このような研磨剤においては、金属膜とバリア膜や酸化膜との選択比を制御するための添加剤とともにアルミナやシリカがスラリー化されている。一方、層間絶縁膜や素子分離膜などに対する平坦化研磨では、シリカ粒子やセリア粒子が砥粒として使用されている。
ここで、金属配線として銅または銅を主成分として含む合金を用いた場合、層間絶縁膜中への銅拡散がデバイス特性を劣化させる。そこで、層間絶縁膜中への銅拡散防止のために、Cu膜の下層には、通常、TaN,Ta,TiN,Ti等を含むバリア膜が形成される。従来、このようなバリア膜は薄く、10nm〜20nm程度が多かったが、最近は、研磨条件を広く取る観点および平坦性をよりよくする観点から、30nm〜50nm程度の厚さのバリア膜も多く形成されるに至った。
このような状況下で、銅を含む膜、ある程度の厚みのあるバリア膜、層間絶縁膜を備えたデバイスウエハーを研磨平坦化する際には、まずは銅を含む膜を研磨する第一工程(フェーズ1)と、TaN,Ta,TiN,Ti等のバリア膜を研磨するファイナル工程(フェーズ2)を経ることになる。また、必要に応じて、銅を含む膜をわずかに残して第一工程を終了させ、ファイナル工程前に当該残存膜を研磨することもある。
銅を含む膜を研磨する第一工程で用いられる研磨剤組成物を開発する際には、通常、銅含有膜を如何に腐食させず、かつ、スクラッチを発生させずに、適正な研磨レートで平坦に研磨するか、研磨時間約1分前後で如何に安定した研磨作業を得ることができるか、といった課題に焦点が絞られる。
一方、バリア膜を研磨するファイナル工程で用いられる研磨剤組成物の開発では、上記課題の他に、バリア膜、銅含有膜、層間絶縁膜の研磨レートの制御という課題に焦点が絞られる。
ここで、銅を含む膜の研磨である第一工程からバリア膜を研磨するためのファイナル工程までを、同一成分の研磨剤組成物を用いて、優れた研磨特性を保ちつつ、かつ、適正な研磨時間で研磨することができれば、二種類の研磨剤供給装置の用意や、定盤を取り替えるといった作業、あるいは研磨剤組成物の切り替え等の煩雑な作業がなくなるため非常に望ましい。このような研磨ができれば、第一工程とファイナル工程の間に必ず出現する、硬いバリア膜と柔らかい銅を含む膜が共存する膜も、煩雑な切替作業なしに良好に研磨することができるようになる。
しかしながら、上述したように、それぞれの研磨工程において、研磨レート、研磨選択比、デシュイングの防止、欠陥の低減など数多くの課題を解決していかなければならず、これらの課題を解決すると同時に、第一工程とファイナル工程の両方に適用できる研磨剤組成物は存在しなかった。
従来、Cu膜用の研磨剤組成物としては、シリカ等の砥粒以外に、Cu膜の研磨レートを制御したり、Cuの腐蝕や溶解を抑えたりするために、シュウ酸、クエン酸等の有機酸;キナルジン酸、EDTA(エチレンジアミン4酢酸)等のキレート化剤;ベンゾトリアゾール等の防錆剤などを微量併用することが知られている。
具体的には、例えば、特開2001―127017(特許文献1)には、研磨速度が大きく、エッチング速度が小さく、デシュイング及びエロージョンが少ない、過酸化水素等のCu酸化剤;有機酸や無機酸等の酸化金属溶解剤;保護膜形成剤;及び水;必要に応じて水溶性ポリマを配合した、砥粒の入らないスラリーレスの研磨剤が開示されている。また、特開平9−55363(特許文献2)には、酸化剤の存在下で、銅と反応し、水に難溶性でかつ銅よりも機械的に脆弱な銅錯体を生成する水溶性のキナルジン酸等の有機酸;シリカ等の研磨砥粒;および水;必要に応じて酸化剤を含有することを特徴とし、銅や銅合金の浸漬時においてCu等を全く溶解せず、かつ研磨処理時に前記CuまたはCu合金を実用的な速度で研磨することが可能な銅系金属用研磨液が開示されている。
これらの銅含有膜用の研磨剤をバリア膜の研磨に使用した場合には、化学成分も含有量も同一である研磨剤組成物を使用した場合はもちろんのこと、同一化学成分としながら含有量をできるだけバリア膜研磨に対して適正となるようにして配合したとしても、実用的ではなかった。すなわち、従来知られていたこれらの銅含有膜用の研磨剤を用いても、硬いTaN,Ta,TiN,Ti等を含むバリア膜を適正な速度で研磨することができず目標の時間に作業が終わらない、あるいは、SiO2、Cu、Low−K膜等の研磨選択比がうまく合わないため、絶縁膜も余計に研磨してしまい、希望する平坦性が得られないといった問題があった。
また、特開平10−44047(特許文献3)には、水分散砥粒、酸化剤、乳酸等の有機酸を含有する研磨スラリーが開示されている。同文献によれば、金属層を酸化することによって研磨レートを早め、且つ酸化膜への研磨選択比を制御することができるとされている。しかしながら、早い研磨レートでバリア膜を研磨できるかについて何ら具体的な記載もなく、現に適正な速度で研磨することができなかった。したがって、最近の30nm〜50nmなどの厚いバリア膜を研磨するには実用的ではなかった。
また、特開2000−183003(特許文献4)には、乳酸、2−キノリンカルボン酸、研磨砥粒、酸化剤からなる銅系金属用研磨液が開示されている。これは、特許文献2に開示された研磨液を改良させた研磨液であり、乳酸を併用することで、Cuに比べて脆弱である、銅錯体からなる水不溶層をより早く形成し、研磨レートを上げる効果がある。また、実施例にはバリア膜も研磨する例が記載されている。しかしながら、同公報開示の研磨液組成では、実施例にも開示されているように、バリア膜の研磨速度が1nm〜2nm/分と非常に遅く、従来の薄いバリア膜を研磨するには問題がそれほどなかったが、最近の厚いバリア膜を研磨するには、実用的ではなかった。
一方、バリア膜用の研磨剤として、特公表2000−501771(特許文献5)には、スラリー、ヒドロキシルアミン等の選択的酸化還元化合物、及びpH調節化合物を含むことを特徴とする化学機械研磨用組成物が開示されている。
このバリア膜用の研磨剤を銅含有膜に使用した場合にも、化学成分も含有量も同一である研磨剤組成物を使用した場合はもちろんのこと、同一化学成分として、その配合を変えて適用しても、Cuの腐食発生や欠陥発生を防ぐことはできず、また、適正な研磨レートを得ることができず、実用的ではなかった。
また、特開2000−160139(特許文献6)には、銅からなる層とタンタル含有化合物からなる層を含む半導体デバイスを研磨することができる研磨剤として、研磨材、タンタルを酸化することができる過酸化水素等の酸化剤、酸化タンタルを還元することができるシュウ酸等の還元剤、および水、必要に応じてキレート性化合物を含む研磨剤が開示されている。
しかしながら、この研磨剤は、なお、Cu膜の研磨には良いがバリア膜は研磨しにくく適合できないという問題があった。
したがって、銅を含む膜の研磨からバリア膜の研磨までを、各膜の研磨で起こりうる各種の課題を解決しつつ、平坦性を満足できるレベルで、かつ、適正な研磨時間で研磨することができる研磨剤は未だ得られていなかった。
本発明は、Cu-CMPプロセスにおいて、銅を含む膜の研磨、バリア膜の研磨のいずれにも適用でき、しかも、いずれの研磨工程においても、良好な平坦性を実現でき、また、デシュイングおよび欠陥の発生を防止できる研磨剤を提供することを目的とするものである。
特開2001―127017 特開平9−55363 特開平10−44047 特開2000−183003 特公表2000−501771 特開2000−160139
本発明者等は、砥粒と、乳酸及び/又はその塩と、キノリノールと、防錆剤と、任意に酸化剤とを含む研磨剤組成物により、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明にかかる研磨剤組成物によれば、化学成分自体を変えずに、または化学成分のほとんどを変えずに、研磨剤組成物中の各成分の一部または全部の含有量を変えるだけで、第一工程のCu膜研磨の際にも、ファイナル工程におけるCu膜やSiO、low-kからなる層間絶縁膜存在下でのバリア膜研磨の際にも、さらに、Cu膜からバリア膜へ膜質が変わる中間工程の際にも適用することができることを見出し、したがって、Cu膜研磨からバリア膜研磨終了まで、あえて研磨装置を交換したり、大きく組成の異なる研磨剤組成物に替えたりすることなく、極めて簡易な操作手順で目標とする基板を製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明では、砥粒と、乳酸及び/又はその塩と、キノリノールと、防錆剤とを含み、Cu膜、Cuを主成分として含む膜、バリア膜及び層間絶縁膜からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜を備えた半導体基板を研磨平坦化するための研磨剤組成物が提供される。
本発明において、前記砥粒が、コロイダルシリカ又は有機ポリマー微粒子であることが好ましい。また、前記防錆剤が、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明において、前記研磨剤組成物が、更に酸化剤を含むことが好ましく、前記酸化剤が、過酸化水素であることが更に好ましい。
また、本発明において、前記研磨剤組成物全重量に対して、前記砥粒の固形分含有量が0.05重量%〜20重量%であり、前記乳酸及び/又はその塩の含有量が0.1重量%〜5重量%であり、前記キノリノールの含有量が0.01重量%〜5重量%であり、前記防錆剤の含有量が0.01重量%〜2重量%であり、酸化剤が含まれる場合は、前記酸化剤の含有量が0.01重量%〜20重量%であってもよい。
また、本発明において、前記研磨剤組成物全重量に対して、前記砥粒の固形分含有量が0.05重量%〜8重量%であり、前記乳酸及び/又はその塩の含有量が0.1重量%〜5重量%であり、前記キノリノールの含有量が0.05重量%〜3重量%であり、前記防錆剤の含有量が0.01重量%〜2重量%であり、前記酸化剤の含有量が0.01重量%〜10重量%であってもよい。
また、本発明において、前記研磨剤組成物全重量に対して、前記砥粒の固形分含有量が0.1重量%〜20重量%であり、前記乳酸及び/又はその塩の含有量が0.1重量%〜5重量%であり、前記キノリノールの含有量が0.01重量%〜3重量%であり、前記防錆剤の含有量が0.01重量%〜2重量%であり、酸化剤が含まれる場合は、前記酸化剤の含有量が0.01重量%〜20重量%であってもよい。
また、本発明では、Cu膜、Cuを主成分として含む膜、バリア膜及び層間絶縁膜からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜を備えた半導体基板を研磨平坦化するための研磨剤組成物であって、乳酸及び/又はその塩の含有量が30重量%〜100重量%である高濃度乳酸水溶液又は高濃度乳酸溶液に、キノリノールを溶解させて均質混合溶液を得、前記均質混合溶液と砥粒、防錆剤及び任意に酸化剤とを混合して得られる研磨剤組成物が提供される。
また、本発明では、本発明にかかる上述した研磨剤組成物を用いて、Cu膜、Cuを主成分として含む膜、バリア膜及び層間絶縁膜からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜を備えた半導体基板を研磨平坦化する工程を含むことを特徴とする半導体基板の製造方法が提供される。
また、本発明では、少なくとも、バリア膜と、層間絶縁膜と、Cu膜又はCuを主成分として含む膜とを備えた半導体基板を研磨平坦化する工程を含む半導体基板の製造方法であって、前記半導体基板を研磨平坦化する工程が、少なくともCu膜又はCuを主成分として含む膜を研磨平坦化する第一工程と、少なくともバリア膜を研磨平坦化するファイナル工程とを含み、前記第一工程及び前記ファイナル工程において、本発明にかかる上述した研磨剤組成物を用い、かつ、前記第一工程に用いられる研磨剤組成物の組成と、前記ファイナル工程に用いられる研磨剤組成物の組成とが同一であること、または研磨剤組成物の組成のほとんどが同一である(たとえば少なくとも、砥粒と、乳酸及び/又はその塩と、キノリノールは同一である)ことを特徴とする、半導体基板の製造方法が提供される。
また、本発明では、少なくとも、バリア膜と、層間絶縁膜と、Cu膜又はCuを主成分として含む膜とを備えた半導体基板を研磨平坦化する工程を含む半導体基板の製造方法であって、前記半導体基板を研磨平坦化する工程が、少なくともCu膜又はCuを主成分として含む膜を研磨平坦化する第一工程を含み、前記第一工程において、本発明にかかる上述した研磨剤組成物を用いることを特徴とする、半導体基板の製造方法が提供される。
また、本発明では、少なくとも、バリア膜と、層間絶縁膜と、Cu膜又はCuを主成分として含む膜とを備えた半導体基板を研磨平坦化する工程を含む半導体基板の製造方法であって、前記半導体基板を研磨平坦化する工程が、少なくともバリア膜を研磨平坦化するファイナル工程を含み、前記ファイナル工程において、本発明にかかる上述した研磨剤組成物を用いることを特徴とする、半導体基板の製造方法が提供される。
本発明によれば、化学成分を変えることなく、または化学成分のほとんどを変えずに、順次適正な濃度とすることで、Cu-CMPプロセスにおける銅含有膜の研磨、バリア膜の研磨のいずれにも適用でき、しかも、いずれの研磨工程においても、良好な平坦性を実現でき、また、デシュイングおよび欠陥の発生を防止することができる。
本発明にかかる研磨剤組成物に使用できる砥粒としては、無機金属酸化物微粒子、有機ポリマー微粒子を挙げることができる。無機金属酸化物微粒子としては、たとえば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア等を使用することができる。また有機ポリマー微粒子としては、たとえば、ポリメチルメタアクリレート樹脂、アクリル酸エステル樹脂、シリコーン、ナイロン等が使用出来る。
これらのうち無機金属酸化物微粒子からなる砥粒は、無機塩水溶液、有機金属、金属アルコキシド、無水金属ハロゲン化物、金属メタルなどを原料として製造することができる。たとえばシリカとしては、水ガラスを原料としイオン交換法でNaを除去し粒子成長させて作るコロイダルシリカ、金属アルコキシドを加水分解して作る高純度コロイダルシリカ、四塩化珪素を水素酸素炎下で高温加水分解して作る煙霧状超微粒子シリカを水にコロイド分散したシリカスラリーを使用することができる。その他、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニアも、シリカの場合と同様な製法で作られが、焼成した粉末を粉砕超微粉末化し、水でスラリー化したものも好ましく使用することができる。
有機ポリマー微粒子からなる砥粒は、粒子の大きさ、粒子の分布、粒子の密度、粒子の柔らかさに応じて選定することができるが、ポリメチルメタアクリレート樹脂、アクリル酸エステル樹脂、シリコーン、ナイロンなどの公知の粒子や、その他多くの新しい粒子も使用することができる。
本発明において、好ましい砥粒は、第一工程にもファイナル工程にも共通して良い結果が出せるシリカとアルミナであり、なかでも高純度コロイダルシリカが特に好ましく用いられる。また、Low−K膜が絶縁膜として使われている場合は、有機ポリマー粒子や、金属アルコキシドを加水分解して作られる、表面が柔らかくなるように粒子形成されたコロイダルシリカなどが好ましく用いられる。
また、本発明において使用される砥粒の粒径としては、5nm〜300nmであることが好ましく、特にコロイダルシリカでは10nm〜200nmであることが好ましい。
本発明において、砥粒の含有量は、研磨剤組成物全重量に対して、固形分含有量で0.05重量%〜20重量%であることが好ましい。特に、第一工程に用いる場合は、固形分含有量で0.05重量%〜8重量%であることが好ましい。また、ファイナル工程に用いる場合は、第一工程の場合より一般的に研磨する膜が硬いため、より高濃度が良い場合が多く、たとえば、0.1重量%〜20重量%であることが好ましいが、いずれの工程に用いる場合も、併用する他の化合物の種類および濃度に応じて適宜決定される。
本発明にかかる研磨剤組成物は、乳酸及び/又はその塩と、キノリノールとを含む。本発明においては、これらの濃度調節が重要であり、これらの化合物が所定量の範囲で含有しているため、例えば過酸化水素等の酸化剤の濃度のみを変えるだけで、第一工程に好ましい研磨剤組成物からファイナル工程に好ましい研磨剤組成物までを提供することができる。
一般的に、第一工程では、Cu表面を水酸化、酸化、キレート化など種々の状態の膜とすることによって研磨平坦化がなされ、ファイナル工程では、バリア膜であるTaN膜やTa膜、TiN膜、Ti膜の研磨レートを上げ、CuやSiO膜の研磨レートを抑える、すなわち、バリア膜の研磨レートと同じか、それに近くする、またはSiO膜の研磨レートのみを抑えることによって研磨平坦化がなされる。
たとえば、特許文献4に開示されているように、銅系金属用研磨液に乳酸及び2−キノリンカルボン酸(キナルジン酸)を含ませることにより、強い酸性下で素早く銅を溶解し、Cuに比べて脆弱な、水不溶性の銅錯体膜を形成して銅膜の研磨レートを制御する手法が知られていた。しかしながら、このような組成を持つ研磨液では、TiやTaやその窒化物を含むバリア膜の研磨レートを上げることができず、バリア膜について実用的な研磨を達成することはできなかった。
本発明者らは、TiやTaやその窒化物を含むバリア膜を実用的な研磨レートで研磨できる研磨剤組成物を鋭意検討した結果、砥粒と、乳酸及び/又はその塩と、キノリノールと、防錆剤と、任意に酸化剤を含ませることによって、上記従来の問題を一気に解決できることを見出した。すなわち、乳酸及び/又はその塩とキノリノールの相乗的な働きによって、バリア膜の研磨レートを著しく高め、かつ、銅膜については、膜の腐蝕、発錆、異常反応を抑えることで、水不溶性の銅錯体膜を形成しなくとも、安定的に研磨できることを見出した。
さらに、キナルジン酸と異なり、キノリノールを水に不溶解物を出さずに液成分を均質で安定に調合することが極めてむずかしく、したがって、従来、このデバイスCMPの研磨スラリーとして見受けられなかった。
そこで、本発明者等は、キノリノールの均質溶液を調製する方法を検討した結果、あらかじめ作成した乳酸の高濃度の水溶液あるいは乳酸溶液に直接固体のキノリノールを混練して溶解後水稀釈していくと、均質溶液が調整でき、これによって、銅含有膜のみならず、TiやTaやその窒化物を含むバリア膜も実用的な研磨レートで研磨することができる本発明を完成することができた。
すなわち、本発明にかかる研磨剤組成物は、キノリノールと乳酸及び/又はその塩が完全に均質となるように混合した溶媒混合液であり、これらの相乗効果によって、エッチング及び研磨に関して幅広い選択肢を与えることができる。
本発明において、乳酸及び/又はその塩の含有量は、研磨剤組成物全重量に対して0.1重量%〜5重量%であることが好ましく、0.2重量%〜4重量%であることが更に好ましい。
また、キノリノールの含有量は、研磨剤組成物全重量に対して0.01重量%〜5重量%であることが好ましく、0.05重量%〜2重量%であることが更に好ましい。特に、第一工程に用いる場合は0.05重量%〜3重量%であることが好ましく、ファイナル工程に用いる場合は、0.01重量%〜3重量%であることが好ましい。これは、上述したように、ファイナル工程ではCuやSiO膜の研磨レートを抑える必要がしばしばあるため、第一工程の場合の0.1倍〜1.0倍の低濃度で使用することが好ましいからである。
本発明において、乳酸及び/又はその塩と、キノリノールとの合計含有量は、研磨剤組成物全重量に対して、0.4重量%〜3重量%であることが好ましいが、各工程における研磨平坦化後の表面の要求物性により適宜設定される。
本発明において使用される乳酸の塩としては、乳酸アンモニウム、酸性乳酸アンモニウムの他、乳酸と、アンモニウムの代わりのアミン、第4級アンモニウム、一価アルカリ金属のNa、Kとの塩などを挙げることができる。
本発明にかかる研磨剤組成物は防錆剤を含む。防錆剤としては、たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどアルキルアミン類、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、トリアゾール、ヒドロキシトリアゾール、それらの誘導体等を挙げることができ、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、それらの誘導体を好ましく挙げることができる。
本発明において、防錆剤の含有量は、研磨剤組成物全重量に対して、0.01重量%〜2重量%であることが好ましく、0.02重量%〜0.5重量%であることがより好ましい。特に、第一工程に用いる場合は、やや低濃度の0.02重量%〜0.8重量%であることが好ましい。また、ファイナル工程に用いる場合は、本工程が、各層におけるCu−CMPの仕上げの工程となるため、防錆効果を確実にする理由から、0.02重量%〜1.2重量%であることが好ましいが、いずれの工程に用いる場合も、併用する他の化合物の種類および濃度に応じて適宜決定される。
本発明では、任意に酸化剤を含むことができる。酸化剤を含ませることにより、銅含有膜が酸化され、さらに乳酸及び/又はその塩とキノリノールとによって安定した変成層が形成されるため、安定した研磨レートを維持することが可能となる。また、酸化剤を含ませることによりバリア膜が酸化され、研磨レートの向上を図ることができる。本発明で使用される酸化剤としては、ヨウ素酸・過ヨウ素酸及びその塩、有機パーオキサイド、ハイドロキシアミン及びその塩、ケイモリブデン酸及びそのアンモン塩、過炭酸塩、過酸化水素を挙げることができ、過酸化水素、ハイドロキシアミンを好ましく挙げることができる。
本発明において、酸化剤の含有量は、研磨剤組成物全重量に対して、0.01重量%〜20重量%であることが好ましく、0.02重量%〜10重量%であることがより好ましい。
本発明にかかる研磨剤組成物の一態様としては、第一工程で用いる場合と、ファイナル工程で用いる場合とで、酸化剤以外の成分は含有量を同一とし、酸化剤の含有量のみを変化させることで、いずれの工程も適用可能な研磨剤を提供することもできる。酸化剤の含有量としては、第1工程に用いる場合には、ファイナル工程に用いる場合の含有量の3〜30倍くらいの高濃度とする場合を挙げることができる。
本発明にかかる研磨剤組成物は、水を分散媒として用いることが好ましいが、他に、水溶性有機溶媒を少量、たとえば研磨剤組成物全重量に対して10重量%以下の含有量で併用することができる。
このような水溶性有機溶媒としては、アミド類、グリコールエーテル類、スルホキシド類、アルコール類等の水溶性有機溶媒を挙げることができる。
アミド類としては、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N, N-ジメチルホルムアミド、N-エチルホルムアミド、N, N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N, N-ジメチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、N, N-ジエチルアセトアミド等が挙げられる。
グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
また、スルホキシド類としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドが挙げられる。
また、アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノールなどが挙げられる。
本発明にかかる研磨剤組成物では、本発明の効果を妨げない範囲内で、各種添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、流動性調整剤、酸化剤、防食剤、腐食剤、緩衝溶液等を挙げることができる。
また、本発明にかかる研磨剤組成物のpHは通常酸性であり、たとえば、1〜6、好ましくは3.0〜4.8に調整することができる、
本発明にかかる研磨剤組成物の調合および研磨装置への供給は以下の様に行う事が出来る。
本発明にかかる研磨剤組成物は、たとえば、乳酸及び/又はその塩の含有量が30重量%〜100重量%、好ましくは30重量%〜70重量%である高濃度乳酸水溶液または高濃度乳酸溶液に、キノリノールを溶解させて均質混合溶液を得、必要に応じて水希釈し、ついで、この均質混合溶液又は均質混合水溶液と、砥粒及び防錆剤、必要に応じて酸化剤とを混合することによって調製することができる。
第一工程およびファイナル工程において、必要であれば中間工程において、必要な個々の化学成分の濃度調整及び混合は、通常、各原料タンクから各成分をパイプラインにて調整タンクに供給し、ここであらかじめ混合準備することにより行われる。調整された研磨剤組成物は調整タンクから供給タンクに送られ、ここで保存され、使用時には供給タンクから各研磨装置に供給される。また、各原料をパイプラインにて所定濃度になるように自動計測しながら供給タンクに直接供給することもできるが、この場合は濃度調整に高い精度が必要となる。
また、本発明にかかる研磨剤組成物の使用方法としては、研磨装置のポリッシングパッドに本発明にかかる研磨剤組成物を担持させて、基板上に形成された膜を研磨する方法が挙げられる。研磨装置としては、ポリッシングパッドが貼り付けられ一体化された回転可能な定盤と、基板を保持する回転可能なトップリング(キャリアともいう)とを備えた回転定盤方式、ポリッシングパッドが一体化され直線方向に移動するベルトと、基板を保持する回転可能なトップリングとを備えたベルト方式、ポリッシングパッドが一体化されオービタル運動をする定盤と、基板を保持する回転可能なトップリングとを備えたオービタル方式、その他、オプシヂアン方式等を挙げることができる。本発明において、回転定盤方式を好ましく使用することができる。
研磨条件としては、通常CMPで採用される研磨条件を採用することができる。ポリッシングパッドとしては一般的な発砲ポリウレタン、不織布、多孔質フッ素樹脂などを使用することができ、特に制限がない。またパッドには研磨剤組成物が溜まるような溝加工を施すことが好ましい。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明の技術的範囲がこれに限定されるものでない。
(1)研磨剤組成物の調製
研磨剤組成物の調製は以下のように行った。
1000mlビーカーに乳酸60g秤取し、フレーク状キノリノール40gを乳酸に少しずつ加え混練しながら全量加えなじませ、純水を少量ずつ加えマグネチックスターラーで5分攪拌した。キノリノールを完全に溶解したことを確認してから、更に純水を加えて1000gとし3分間攪拌して、キノリノールを4重量%、乳酸を6重量%含む、乳酸キノリノール混合水溶液1000gを調整した。
次に攪拌機を備えた2リットルビーカーに超純水500mlを加え攪拌しながら、前記乳酸キノリノール混合水溶液200gを添加した。さらに1重量%イミダゾール水溶液100gを加え、SiO20重量%を含有する粒子径14nmの高純度コロイダルシリカ100gを加えた。最後に30重量%の過酸化水素水133gを順次添加混合し、超純水を加えて液量を2リットルとし、さらに3分攪拌し、第一工程用の研磨剤組成物(実施例1)を調製した。
第一工程用の研磨剤組成物と同じ手順で、実施例1にかかるファイナル工程の研磨剤組成物を調製した。但し、30重量%の過酸化水素水133gを添加する代わりに、同濃度の過酸化水素水6.7gを加え、最後に超純水を加えて、液量を2リットルとした。なお、pHは3.8であった。
同様の手順で、表1に示す配合に従って、実施例2〜4及び比較例1〜3の研磨剤組成物を調製した。
なお、実施例4では、砥粒として、平均粒子径約80nmのポリメチルメタアクリレート(PMMA)を固形分として33gを分散させたスラリーを使用した。
Figure 2005026606
(2)試験用ウエハーの作成
<試験用ベタウエハ>
直径200mmのシリコンウエハーに、15000Åの厚さでCuをメッキしてCu膜ベタウエハを作成した。同じく直径200mmのSiウエハーにTaNを3000Åの厚さで堆積したTaNバリア膜ベタウエハー、および、同じく直径200mmのSiウエハーに熱酸化膜であるToxを15000Å堆積した熱酸化膜ベタウエハーを使用した。
<試験用パターンウエハー>
直径200mmのシリコンウエハーに、酸化膜Toxを厚さ5500Åで堆積後、SiNを厚さ1000Åで堆積し、その上にp−TEOSを厚さ7000Åで堆積した。次いで、ラインアンドスペースが50ミクロンと100ミクロンとなるように、メタルを埋め込むための深さ5000Åの溝を掘り、この上にバリア膜としてTaNを厚さ1000Åで堆積し、その上にCuを厚さ14000Åで堆積したパターンウエハーを使用した。このウエハーはSEMATECH831CMP001として市販しているパターンウエハーに略同じものであった。
(3)ベタ膜の研磨
実施例1、実施例3、実施例4、比較例1および比較例3で得られた研磨剤組成物を使用して、各試験用ベタウエハを研磨し、その研磨レートおよび銅腐食性を評価した。また、実施例1および比較例1については、洗浄乾燥後の欠陥の評価も行った。評価結果は表2に示す。
研磨装置としてはエバラEPO222Dを用い、研磨パッドとしてはIC1000とsuba400(P)の二層パッドを使用した。
また、研磨条件としては、研磨圧力をトップリング3psi(20.7kPa)、バックサイド1.5psi(10.3kPa)とし、定盤回転数を100rpmとし、ウエハーを保持しているキャリアの回転数を107rpmとし、研磨剤組成物供給速度を200ml/minとした。
SiOなど絶縁膜はケーエルエー・テンコール(KLA−TENCOR)社製F5Xを使用し、TaNなどバリア膜およびメタル膜の研磨レートは、フォーディメンジョン社製の接触型薄膜測定装置Model280SIを用いて測定した。
銅腐食性については、ライカ社製の光学顕微鏡ライカUMSC300を用いて評価した。
また、欠陥の評価は、研磨洗浄乾燥後の表面に残るパーティクルの大きさ及びその数の測定およびスクラッチの観察の観察により行い、これらの測定には、ケーエルエー・テンコール(KLA−TENCOR)社製のSP1−TB1を使用した。
洗浄は、洗浄液としてホスフォン系洗浄剤でイーケーシーテクノロジー株式会社製ポストCMP洗浄液MNK108AF8を水で50倍に稀釈し使用した。この洗浄液を流量上部450ml/分、下部850ml/分で25秒間流し、ブラッシスクラブ洗浄の後、ペンシルブラッシにて流量500ml/分で55秒水洗浄し、スピンドライヤーにより付着した水を払い落として乾燥表面とし、各種評価を行った。
Figure 2005026606
実施例1で得られた研磨剤組成物の評価
表2に示したとおり、実施例1の第一工程用研磨剤組成物を用いた場合は、Cu膜の研磨レートとして13400Å/分と十分なレートが出ており、また、磨きたくないバリア膜すなわちTaNの研磨レートは140Å/分であり、酸化膜すなわちToxの研磨レートは30Å/分といずれも低いレートに抑えることが出来た。Cuの腐蝕やスクラッチの異常発生はなかった。
一方、第一工程用研磨剤組成物とは濃度のみ異なるファイナル工程用研磨剤組成物を用いた場合は、メタル膜すなわちCuの研磨レートは1068Å/分であり、磨きたくない酸化膜すなわちToxは30Å/分と低いレートに抑えられていた。磨きたいバリア膜すなわちTaNの研磨レートは、第一工程用研磨剤組成物の場合のおおよそ10倍の1010Å/分であり、良好であった。また、0.14μm以上のスクラッチや粒子残りなどの欠陥は16個と少なく、良好な結果であった。
比較例1で得られた研磨剤組成物の評価
比較例1の研磨剤組成物は、キレート化合物としてクペロン(C6932)を使用したものである。表2の結果のとおり、第一工程用とファイナル工程用とで、同じ化学成分を用いて濃度のみを変えて種々検討したが、第一工程用の研磨剤組成物は適正な研磨レートは得られたものの、ファイナル工程用の研磨剤組成物では、磨きたくない酸化膜すなわちToxの研磨レートも128Å/分と磨き過ぎてしまっており、研磨選択比が希望どおり取れず、ファイナル工程用としては適さなかった。また、ファイナル工程後の洗浄終了後でも、0.14μm以上のスクラッチや粒子残りが320個と多く残存していた。
実施例3で得られた研磨剤組成物の評価
実施例3の研磨剤組成物は、防錆剤としてベンゾトリアゾール、酸化剤としてハイドロキシアミンを使用したものであり、実施例1と略同様な良好な結果を得た。
比較例3で得られた研磨剤組成物の評価
比較例3の研磨剤組成物は、有機酸としてクエン酸を使用したものである。第一工程用研磨剤組成物は適正な研磨レートは得られたものの、ファイナル工程用の研磨剤組成物ではTaNが希望どおり磨れなかった。
実施例4で得られた研磨剤組成物の評価
実施例4の研磨剤組成物は、砥粒として、有機ポリマー微粒子であるポリメチルメタアクリレートを用いたものである。研磨・洗浄後の結果は表2のとおりであり、全般的に研磨レートは下がっているものの、十分に使用出来る範囲であった。
(4)パターンウエハーの研磨
実施例2および比較例2で得られた研磨剤組成物を使用して、前述した研磨条件にしたがって試験用パターンウエハーを研磨し、平坦性評価、洗浄評価を行った。ただし、研磨の終了時点は、トルク電流終点検出法エンドポイントデテクター(EPD)にしたがって決めた。
研磨終了後、特に断らない限り前述の洗浄条件で洗浄後、各種評価試験を行った。結果は表3に示す。
なお、銅腐食性については、ライカ社製の光学顕微鏡ライカUMSC300を用いて評価した。
平坦性の評価などは、面内均一性、ステップハイト、デシュイングの評価により行い、それぞれDI:VX300S AFM顕微鏡を用いて測定した。
Figure 2005026606
実施例2で得られた研磨剤組成物の評価
試験用パターンウエハーのCu膜を、第一工程用の研磨剤組成物を用いて研磨を行った(第一工程)。第一工程はEPDにしたがって終了させたところ、約50秒研磨に要した。第一工程後、純水を用いて1分間洗浄してから表面を評価したところ、ステップハイトは、当初8000Åであったところが、350Åと低減し、段差解消が満足できるものであった。またCu表面の腐蝕もなく、良好な結果であった。
次にファイナル工程用の研磨剤組成物を用いてファイナル工程の研磨を行なった。研磨終点はEPDで行なったところ、約180秒研磨に要した。洗浄後、スピンドライヤーにより付着した水を払い落とし乾燥後表面の評価を行った。表3に示したとおり、Cu表面の腐蝕もなく、面内均一性も良好な結果であった。また、Cu膜のデシュイングも900Åと、ライン/スペースが50/100μmと広くて難しいパターンにもかかわらず少なく、良好であった。
このように、実施例2にかかる第一工程用の研磨剤組成物およびファイナル工程用の研磨剤組成物は、それぞれその単一工程の使用にも十分に適した研磨剤スラリーであった。
比較例2で得られた研磨剤組成物の評価
比較例2についても実施例2と全く同様に研磨・洗浄評価したところ、ステップハイトは、当初8000Åあったものが、第一工程後に2800Åまでしか下がらず、段差解消は不完全であった。また、デシュイングも3500Åと大きく、好ましくなかった。
(5)パターンウエハーの研磨(中間工程がある場合)
実施例1で得られた第一工程用研磨剤を使用して、前述した研磨条件にしたがって、試験用パターンウエハーのCu膜を研磨した(第一工程)。第一工程終了後、すぐ研磨装置の研磨圧力をトップリング及びバックサイドともに0.2psi(1.4kPa)まで下げ、ファイナル工程用の研磨剤組成物に切り替えて2分間研磨した(中間工程)。その後もとの研磨圧力に戻してファイナル工程を行い、EPDの指示に従ってファイナル工程を終了した。ファイナル工程の時間は約150秒であった。
研磨終了後、前述の洗浄条件で洗浄後、各種評価試験を行った。結果は表4に示す。
なお、銅腐食性については、ライカ社製の光学顕微鏡ライカUMSC300を用いて評価した。
平坦性の評価などは、面内均一性、ステップハイト、デシュイングの評価により行い、それぞれDI:VX300S AFM顕微鏡を用いて測定した。
Figure 2005026606
表4に示したように、Cu表面の腐蝕もなく、良好な結果であった。また、Cu膜のデシュイングも1110Åと少なく良好であった。
本発明の研磨剤組成物は、Cu-CMPプロセスにおいて、銅を含む膜の研磨、バリア膜の研磨のいずれにも適用できる研磨剤組成物として利用される。

Claims (16)

  1. 砥粒と、乳酸及び/又はその塩と、キノリノールと、防錆剤とを含み、
    Cu膜、Cuを主成分として含む膜、バリア膜及び層間絶縁膜からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜を備えた半導体基板を研磨平坦化するための研磨剤組成物。
  2. 前記砥粒が、コロイダルシリカ又は有機ポリマー微粒子である、請求項1記載の研磨剤組成物。
  3. 前記防錆剤が、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2記載の研磨剤組成物。
  4. 前記研磨剤組成物が、更に酸化剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の研磨剤組成物。
  5. 前記酸化剤が、過酸化水素である、請求項4に記載の研磨剤組成物。
  6. 前記研磨剤組成物全重量に対して、
    前記砥粒の固形分含有量が0.05重量%〜20重量%であり、
    前記乳酸及び/又はその塩の含有量が0.1重量%〜5重量%であり、
    前記キノリノールの含有量が0.01重量%〜5重量%であり、
    前記防錆剤の含有量が0.01重量%〜2重量%である、
    請求項1〜3のいずれかに記載の研磨剤組成物。
  7. 前記研磨剤組成物全重量に対して、
    前記砥粒の固形分含有量が0.05重量%〜20重量%であり、
    前記乳酸及び/又はその塩の含有量が0.1重量%〜5重量%であり、
    前記キノリノールの含有量が0.01重量%〜5重量%であり、
    前記防錆剤の含有量が0.01重量%〜2重量%であり、
    前記酸化剤の含有量が0.01重量%〜20重量%である、
    請求項4又は5に記載の研磨剤組成物。
  8. 前記研磨剤組成物全重量に対して、
    前記砥粒の固形分含有量が0.05重量%〜8重量%であり、
    前記乳酸及び/又はその塩の含有量が0.1重量%〜5重量%であり、
    前記キノリノールの含有量が0.05重量%〜3重量%であり、
    前記防錆剤の含有量が0.01重量%〜2重量%であり、
    前記酸化剤の含有量が0.01重量%〜10重量%である、
    請求項4又は5に記載の研磨剤組成物。
  9. 前記研磨剤組成物全重量に対して、
    前記砥粒の固形分含有量が0.1重量%〜20重量%であり、
    前記乳酸及び/又はその塩の含有量が0.1重量%〜5重量%であり、
    前記キノリノールの含有量が0.01重量%〜3重量%であり、
    前記防錆剤の含有量が0.01重量%〜2重量%である、
    請求項1〜3のいずれかに記載の研磨剤組成物。
  10. 前記研磨剤組成物全重量に対して、
    前記砥粒の固形分含有量が0.1重量%〜20重量%であり、
    前記乳酸及び/又はその塩の含有量が0.1重量%〜5重量%であり、
    前記キノリノールの含有量が0.01重量%〜3重量%であり、
    前記防錆剤の含有量が0.01重量%〜2重量%であり、
    前記酸化剤の含有量が0.01重量%〜20重量%である、
    請求項4又は5に記載の研磨剤組成物。
  11. Cu膜、Cuを主成分として含む膜、バリア膜及び層間絶縁膜からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜を備えた半導体基板を研磨平坦化するための研磨剤組成物であって、
    乳酸及び/又はその塩の含有量が30重量%〜100重量%である高濃度乳酸水溶液又は高濃度乳酸溶液に、キノリノールを溶解させて均質混合溶液を得、前記均質混合溶液と砥粒及び防錆剤とを混合して得られる研磨剤組成物。
  12. Cu膜、Cuを主成分として含む膜、バリア膜及び層間絶縁膜からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜を備えた半導体基板を研磨平坦化するための研磨剤組成物であって、
    乳酸及び/又はその塩の含有量が30重量%〜100重量%である高濃度乳酸水溶液又は高濃度乳酸溶液に、キノリノールを溶解させて均質混合溶液を得、前記均質混合溶液と砥粒、防錆剤及び酸化剤とを混合して得られる研磨剤組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の研磨剤組成物を用いて、Cu膜、Cuを主成分として含む膜、バリア膜及び層間絶縁膜からなる群より選ばれる少なくとも1種の膜を備えた半導体基板を研磨平坦化する工程を含むことを特徴とする、半導体基板の製造方法。
  14. 少なくとも、バリア膜と、層間絶縁膜と、Cu膜又はCuを主成分として含む膜とを備えた半導体基板を研磨平坦化する工程を含む半導体基板の製造方法であって、
    前記半導体基板を研磨平坦化する工程が、少なくともCu膜又はCuを主成分として含む膜を研磨平坦化する第一工程と、少なくともバリア膜を研磨平坦化するファイナル工程とを含み、
    前記第一工程及び前記ファイナル工程において、請求項1〜12のいずれかに記載の研磨剤組成物を用い、かつ、前記第一工程に用いられる研磨剤組成物の組成と、前記ファイナル工程に用いられる研磨剤組成物の組成とが同一であることを特徴とする、半導体基板の製造方法。
  15. 少なくとも、バリア膜と、層間絶縁膜と、Cu膜又はCuを主成分として含む膜とを備えた半導体基板を研磨平坦化する工程を含む半導体基板の製造方法であって、
    前記半導体基板を研磨平坦化する工程が、少なくともCu膜又はCuを主成分として含む膜を研磨平坦化する第一工程を含み、
    前記第一工程において、請求項8記載の研磨剤組成物を用いることを特徴とする、半導体基板の製造方法。
  16. 少なくとも、バリア膜と、層間絶縁膜と、Cu膜又はCuを主成分として含む膜とを備えた半導体基板を研磨平坦化する工程を含む半導体基板の製造方法であって、
    前記半導体基板を研磨平坦化する工程が、少なくともバリア膜を研磨平坦化するファイナル工程を含み、
    前記ファイナル工程において、請求項9又は10に記載の研磨剤組成物を用いることを特徴とする、半導体基板の製造方法。
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