JP2005026473A - 冷却装置およびそれを備えた電子機器 - Google Patents

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JP2005026473A JP2003190614A JP2003190614A JP2005026473A JP 2005026473 A JP2005026473 A JP 2005026473A JP 2003190614 A JP2003190614 A JP 2003190614A JP 2003190614 A JP2003190614 A JP 2003190614A JP 2005026473 A JP2005026473 A JP 2005026473A
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Yoichi Tsuda
陽一 津田
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Abstract

【課題】少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置を提供する。
【解決手段】CPU2からの発熱を用いて熱電変換素子3により発電した電力を利用して放熱フィン5に接触して設けられた発風板6を揺動させることにより、空気の流れを発生させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置および該冷却装置を備えた電子機器に関するものであり、より詳しくは、コンピュータに搭載された高性能CPUや冷蔵庫における放熱板、冷房装置の室外機放熱板、プロジェクタランプ等、熱を発生し、冷却機能を必要とする、集積回路を備えた各種電子機器における冷却対象部分の冷却に利用可能な冷却装置および該冷却装置を備えた電子機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータによる処理能力を向上させるためにCPUの動作速度が上がり、集積回路の集積度も増加しているため、CPU等の集積回路素子での発熱量は増える傾向にある。
【0003】
そこで、これら集積回路素子における発熱による作動不良を防止するため、これら集積回路素子を冷却する方法が種々提案されている。
【0004】
図10は、モータ等の回転動力装置とプロペラとを組み合わせてなる冷却ファンを用いた従来のCPU冷却装置の概略構成を示す斜視図である。
【0005】
図10に示すように、上記従来のCPU冷却装置は、CPU50に接するように、銅やアルミニウム等の熱伝導性の良い材料で形成されたヒートシンク51と呼ばれる構造体を備え、その上部に、モータ等の回転動力装置とプロペラとを組み合わせてなる冷却ファン52が設けられた構成を有している。
【0006】
上記ヒートシンク51は、複数のひだや複数の突起構造からなる放熱フィン53を備え、CPU50から発生する熱を該ヒートシンク51に伝導させ、上記放熱フィン53により表面積を広げることで空気との間で熱交換を行うようになっている。上記冷却ファン52は、放熱フィン53から空気に移った熱が滞留することがないように、放熱フィン53に常に空気を吹き付けて強制空冷を行うことで、放熱フィン53から熱を空気に効率良く逃がすようになっている。
【0007】
上記したように、放熱フィンに風を送る送風機構としては、モータとプロペラとを組み合わせてなる冷却ファンが一般的である。
【0008】
このような冷却ファンを回転させる方法としては、例えば、CPUから発生する熱を利用し、周辺空気温度とCPU表面との温度差からペルチェ素子等の熱電変換素子を用いて発生させた電力を用いる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
また、放熱フィンに風を送る発風機構としては、上記したような一般的な冷却ファン以外に、圧電素子に交流電圧を加えて屈曲振動を発生させることにより風を起こす構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
具体的には、上記特許文献2に記載の圧電ファン付きヒートシンクは、ヒートシンクの底板上、つまりCPU等の発熱源に接着された板状部材上に並設された板状の放熱フィン間に、2枚の板状の圧電素子でリン青銅板を挟持してなる圧電ファンが、上記ヒートシンクの底板上に設けられた支柱に固定された固定枠に配設された支持梁から垂下された構成を有し、上記圧電素子に交流電圧を印加して圧電素子を屈曲振動させることで、これら圧電素子間に挟持されたリン青銅板を屈曲振動させて上記放熱フィンに風を吹き付けるようになっている。
【0011】
さらに、高冷却能力を提供できるCPUの冷却方法として、発熱部であるCPUと、放熱フィン等の放熱部とを、冷却液循環パイプを用いて接続させた液冷システムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−339969号(公開日2001年12月7日)
【0013】
【特許文献2】
特開平08−330488号公報(公開日1996年12月13日)
【0014】
【特許文献3】
特開2003−29879号公報(公開日2003年1月31日)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特許文献は、何れも、CPUの冷却を行うために必要とする消費電力が大きく、例えばノートパソコン等を電池駆動させる場合、駆動時間の制限が非常に大きいという問題点を有している。
【0016】
通常CPUの表面温度は70℃以下に保つのが良いとされている場合が多く、パソコン等を使用する環境も気温が30℃以上になることも十分に想定される。
【0017】
しかしながら、ペルチェ素子として現実的に入手可能なペルチェ素子によって上記温度領域および温度差で得られる熱電変換効率は、通常、わずか1%前後であり、例えば高性能CPUの80W程度の発熱から得られる電力は0.8W程度にすぎない。
【0018】
このため、上記特許文献1に記載の方法では、上記ペルシェ素子のみでは、上記温度領域および温度差、つまり、CPUの表面温度が70℃以下でパソコン等を使用する環境が気温30℃以上の条件下では、CPUから発生する熱の放出を行うために必要な冷却ファンを十分に駆動させることが可能なだけの電力、特に、高性能CPUから発生する80Wの熱の放出を行うために必要な冷却ファンを十分に駆動させられる1.8W程度の電力を得ることはできない。
【0019】
しかも、高性能CPUでは、上記したように動作時に多量の熱が放出されるため、従来の冷却ファンを用いた空気冷却方法では冷却能力が不十分となるため、冷却効率を高めるためには大型のプロペラを用いた冷却ファンが必要となる。このため、消費電力がさらに増大する。
【0020】
また、上記特許文献2に示すように、圧電素子の屈曲振動により風を発生させるためには、交流電圧を外部から供給する必要がある。
【0021】
このため、上記特許文献2に記載の発風機構を用いた圧電ファン付きヒートシンクは、消費電力が大きいことに加えて、上記圧電ファン付きヒートシンクを、特にノートパソコン等の携帯用の電子機器に用いる場合、上記圧電ファン付きヒートシンクを駆動させるために電池に蓄えられた電力がすぐに消費されてしまうため、上記電子機器を駆動できる時間が非常に短くなるという問題点を有している。
【0022】
さらに、上記特許文献2では、前記したように、圧電素子の振動部分と放熱フィンとが直接接しておらず、放熱フィンと空気との熱伝導効率が良いとは言えない。
【0023】
また、特許文献3に記載の液冷システムのように冷却液を循環させるためには液体用のポンプ機構が必要であり、特許文献3では、冷却液を循環させるためのポンプを駆動させるための電力を、パソコン本体の電源等により供給している。
【0024】
このため、上記特許文献3に記載の液冷システムもまた、消費電力が大きく、上記液冷システムを、ノートパソコン等の電池駆動において用いる場合、駆動時間の制限が非常に大きいという問題点を有している。
【0025】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置およびそれを備えた電子機器を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、発熱源(例えば集積回路を有するコンピュータ等の電子機器に設けられたCPU等、冷却対象となる発熱体)から発生する熱を、放熱フィンを通じて放熱するヒートシンクと、空気の流れを発生させて上記ヒートシンクの放熱フィンを強制空冷する発風機構とを備えた冷却装置において、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記ヒートシンクに与える熱電変換機構(例えば、ペルチェ素子やダイオード素子等の熱電変換素子)と、上記熱電変換機構により得られた電力によって上記発風機構を駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段(例えば、パルス電圧発生機能を有する制御回路素子等の回路素子)とを備えると共に、上記発風機構は、弾性を有すると共に、上記放熱フィンに固定された固定端と、自由端とを有する揺動体(例えば、板ばね状の弾性体(発風板))を備え、上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記揺動体における自由端を揺動させて空気の流れを発生させることを特徴としている。
【0027】
上記発風機構は、モータによるプロペラの回転を必要とする冷却ファンのように大きな駆動電圧を必要とせず、上記冷却ファンを駆動させるよりも、駆動に必要な電力が少なくて済むため、上記熱電変換機構により得られる電力で十分に駆動が可能である。しかも、上記の構成によれば、冷却対象となる発熱源から発生する廃熱を電力(電気エネルギー)に変換するため、外部から冷却のための電力を供給する必要がなく、上記冷却に必要な電力を新たに消費することがない。しかも、発熱量の一部を電力として回収するため、発熱量の絶対量も減少する。このため、上記の構成によれば、従来の冷却ファン方式で必要であった冷却ファンの駆動のための電力を節約することができ、低消費電力化を図ることができると共に、当該冷却装置を搭載した電子機器全体のエネルギーを有効に利用することができ、当該冷却装置を搭載した電子機器全体の低消費電力化を図ることが可能となる。従って、上記の構成によれば、例えば電池駆動でノートパソコン等を使用する場合には、使用時間を延長させることができる。
【0028】
しかも、上記の構成によれば、上記揺動体の弾性により、少ないエネルギーでも、上記揺動体の自由端では、上記揺動体に加えられたエネルギーに比して大きな変位を生じさせることが可能となるため、少ないエネルギーでも十分な空気の流れを作り出すことができる。さらに、上記の構成によれば、上記揺動体の固定端が上記放熱フィンに固定されている、つまり、上記揺動体が上記放熱フィンに接して設けられていることにより、上記放熱フィンから空気に熱を効率よく伝導させることができる。
【0029】
よって、上記の構成によれば、少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置を提供することができる。
【0030】
また、上記の構成によれば、従来の冷却ファンを用いた場合のように、冷却動作時に、冷却ファンの動作音、つまり、モータとプロペラとによって生じる騒音が発生せず、冷却ファンを用いた場合と比して駆動音が小さく、騒音の少ない冷却装置を提供することができる。
【0031】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、上記熱電変換機構は、上記発熱源とヒートシンクとに各々接触して設けられており、上記発熱源との接触面の温度と上記ヒートシンクとの接触面の温度との温度差により、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換することを特徴としている。
【0032】
上記の構成によれば、上記熱電変換機構における上記発熱源との接触面の温度と上記ヒートシンクとの接触面の温度との温度差、言い換えれば、周辺の空気温度(周辺空気温度と同等の温度になっている放熱フィンの温度)と、発熱に伴い、周囲の空気温度よりも高い状態にある発熱源の表面温度との温度差によって上記熱電変換機構が電力を発生し、上記温度差に応じた熱電変換機構による発生電力量によって上記発風機構が自動的に動作を開始することにより、上記発熱源を許容温度以下に冷却するに際し、例えばCPU等からの動作開始制御信号等を送る配線や電力制御等は不要となる。
【0033】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、上記駆動電圧発生手段は、上記熱電変換機構により得られた電力によってパルス電圧を発生すると共に、上記発風機構は、上記揺動体における固定端と自由端との間で上記揺動体と接触するように設けられ、印加電圧に応じて伸縮(例えば電圧のON時に伸長し、OFF時に収縮)する圧電素子を備え、上記圧電素子は、上記駆動電圧発生手段により印加されるパルス電圧に応じて伸縮し、上記揺動体に周期的に衝撃を加えることで上記揺動体における自由端を揺動させることを特徴としている。
【0034】
上記の構成によれば、上記揺動体に一方向から繰り返し衝撃を与えることにより、上記揺動体の弾性によって元に戻ろうとする作用が働き、上記揺動体の固定端を支点、圧電素子打撃部分(圧電素子との当接点)を力点、上記揺動体の自由端を作用点とする梃子の原理により、力は強いが微小な圧電素子の変位量が、作用点である上記揺動体の自由端で大きな変位となるため、上記揺動体の周辺部分に必要な空気の流れを作り出すことができる。
【0035】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、上記圧電素子と上記揺動体との接触部分に、柔軟性および電気絶縁性を有する接点保護材が設けられていることを特徴としている。
【0036】
上記の構成によれば、上記圧電素子と上記揺動体との接触部分に上記接点保護材が設けられていることで、上記圧電素子と上記揺動体との接触部分に設けられた配線の機械的な接合強度を高めることができ、長期の使用による電気的接点部分の破壊や断線等を防ぐことができると共に、上記圧電素子の揺動体への衝撃印加時や揺動体の戻り時に発生する衝突音を低減することができる。
【0037】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、上記ヒートシンクは、上記発風機構を複数備えると共に、該ヒートシンク周辺の空気の温度を検知する複数の温度検知手段を備え、上記駆動電圧発生手段は、上記温度検知手段により検知した温度情報に基づいて、上記発風機構に印加する駆動電圧の印加のタイミングを制御することを特徴としている。
【0038】
上記の構成によれば、上記ヒートシンクが、該ヒートシンク(冷却装置)周辺の空気の温度を検知する温度検知手段を複数備えることで、該ヒートシンク(冷却装置)周辺の空気の温度分布を検出することがでる。
【0039】
このため、上記の構成によれば、上記温度分布(温度情報)に基づいて、上記発風機構の位相制御を行う等して上記発風機構に印加する駆動電圧の印加のタイミングを制御することで、より温度の低い空気を放熱フィンに送るように空気の流れを制御することができるので、同じ風量を発生させる場合でも、効率よくヒートシンクの冷却を行うことができ、冷却能力を向上させることができる。
【0040】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、上記ヒートシンクは、上記発風機構を複数備え、上記駆動電圧発生手段は、上記駆動電圧を制御することにより、各発風機構における揺動体の振幅、振動周期、および位相のうち少なくとも1つを制御することを特徴としている。
【0041】
上記の構成によれば、各揺動体、つまり、複数の揺動体の振幅、振動周期および位相のうち少なくとも1つを制御(調整)することで、上記ヒートシンクにおける発風機構の冷却能力を調整することが可能となる。特に、上記揺動体の振幅を制御することにより送風量の調整が可能となる。また、振動周期を変えることで空気流速の調整と、動作音周波数の調整とを行うことができると共に、放熱フィンとの不要な共振を抑制することができる。さらに、複数の揺動体の位相(振動位相)をずらすことによって放熱フィンやヒートシンク等との不要な共振振動の発生を抑制することができる。
【0042】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、上記駆動電圧発生手段は、外部の電源(例えばパソコン本体の電源等の外部電源装置)と接続可能に設けられており、上記熱電変換機構による発電量が不足する場合、上記発風機構を、外部からの電力を用いて駆動することにより空気の流れを発生させると共に、上記熱電変換機構に外部から電力を供給して低温側から高温側に熱を輸送するヒートポンプ動作を行わせることを特徴としている。
【0043】
上記の構成によれば、当該冷却装置周辺部の空気温度が高く、熱電変換機構の発電量が不足する場合でも、上記発風機構を、外部からの電力を用いて駆動することにより空気の流れを発生させることができ、発熱源の冷却を行うことが可能となると共に、これにより、発熱源と当該冷却装置周辺部の空気温度との温度差を確保することが可能となる。また、上記熱電変換機構に外部から電力を供給して低温側から高温側に熱を輸送するヒートポンプ動作を行わせることで、上記熱電変換機構を、電子冷却デバイスとして動作させることができる。
【0044】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、上記熱電変換機構がペルチェ素子であることを特徴としている。
【0045】
上記の構成によれば、上記熱電変換機構、すなわち、発熱源から発生する熱から電力を取り出すデバイスとして、CPUの電子冷却に使用されることもあるペルチェ素子を使用し、冷却すべき発熱源からの発熱量が多く、しかも当該冷却装置周辺部の空気温度が高い場合(例えばCPUの発熱量が多く、しかもパソコン動作環境が高温である場合)には、上述したように、パソコン本体の電源等、外部の電源から電力を供給することで、上記熱電変換機構(ペルチェ素子)を電子冷却デバイスとして機能させることができる。この結果、さらに高い冷却能力を発揮させることができる。これにより、CPUの熱暴走等、発熱により電子機器が正常に作動しなくなることを防止することができる。
【0046】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、上記熱電変換機構は、上記発熱源に接して設けられたカソード電極と、真空封止材を介して上記カソード電極に対応すると共に、上記ヒートシンクと接触して設けられたアノード電極とを備え、電子トンネル効果により電位差を発生させるダイオード素子であることを特徴としている。
【0047】
上記の構成によれば、上記熱電変換機構として、電子トンネル効果を応用した上記のダイオード素子を使用し、ペルチェ素子を用いた場合と同様に外部の電源から電力を供給することで、上記熱電変換機構を電子熱輸送デバイスとして機能させることができる。この結果、さらに高い冷却能力を発揮させることができる。これにより、CPUの熱暴走等、発熱により電子機器が正常に作動しなくなることを防止することができる。
【0048】
さらに、ペルチェ素子に比してダイオード素子自身の発熱量は少ないため、上記の構成によれば、ペルチェ素子を用いた場合よりも消費電力を少なくすることができる。
【0049】
本発明にかかる冷却装置は、上記の課題を解決するために、発熱源(例えば集積回路を有するコンピュータ等の電子機器に設けられたCPU等、冷却対象となる発熱体)から発生する熱を吸熱する吸熱部と、該吸熱部で吸熱した熱を放熱する放熱部とを備え、上記吸熱部と放熱部との間で冷却液を循環させることにより放熱を行う放熱機構を備えた冷却装置において、発熱源から発生する熱を拡散させて吸熱する熱拡散板と、上記熱拡散板内部を貫通して上記熱拡散板の外部に延設された冷却液輸送パイプと、上記冷却液輸送パイプ内に封入された冷却液を循環させる冷却液循環ポンプと、発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記熱拡散板に与える熱電変換機構(例えば、後述するペルチェ素子やダイオード素子等の熱電変換素子)と、上記熱電変換機構により得られた電力によって上記冷却液循環ポンプを駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段(例えば、冷却液循環ポンプの駆動制御を行う制御回路素子等の回路素子)とを備え、上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記冷却液循環ポンプを駆動し、上記放熱を行うことを特徴としている。
【0050】
上記冷却液循環ポンプは、モータによるプロペラの回転を必要とする冷却ファンのように大きな駆動電圧を必要とせず、上記冷却ファンを駆動させるよりも、駆動に必要な電力が少なくて済むため、上記熱電変換機構により得られる電力で十分に駆動が可能である。しかも、上記の構成によれば、冷却対象となる発熱源から発生する廃熱を電力(電気エネルギー)に変換するため、外部から冷却のための電力を供給する必要がなく、上記冷却に必要な電力を新たに消費することがない。しかも、発熱量の一部を電力として回収するため、発熱量の絶対量も減少する。このため、上記の構成によれば、従来の冷却ファン方式で必要であった冷却ファンの駆動のための電力を節約することができ、低消費電力化を図ることができると共に、当該冷却装置を搭載した電子機器全体のエネルギーを有効に利用することができ、当該冷却装置を搭載した電子機器全体の低消費電力化を図ることが可能となる。従って、上記の構成によれば、例えば電池駆動でノートパソコン等を使用する場合には、使用時間を延長させることができる。
【0051】
しかも、上記冷却装置は、上記構成を有することで、冷却ファンを用いた従来の冷却装置と比して高冷却能力を有している。
【0052】
よって、上記の構成によれば、少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置を提供することができる。
【0053】
また、上記の構成によれば、従来の冷却ファンを用いた場合のように、冷却動作時に、冷却ファンの動作音、つまり、モータとプロペラとによって生じる騒音が発生せず、冷却ファンを用いた場合と比して駆動音が小さく、騒音の少ない冷却装置を提供することができる。
【0054】
本発明にかかる電子機器は、上記の課題を解決するために、上記した本発明にかかる冷却装置の何れかを備えていることを特徴としている。
【0055】
上記の構成によれば、本発明にかかる電子機器が上記冷却装置を備えていることで、冷却に必要な電力の消費を抑え、エネルギーを有効に利用することができると共に、発熱により当該電子機器が正常に作動しなくなるといった不具合のない電子機器を提供することができる。また、上記の構成によれば、上記冷却装置の消費電力が小さいことで、当該電子機器全体の低消費電力化を図ることができ、例えば当該電子機器がノートパソコンである場合等、当該電子機器の電池駆動を行う場合に、従来よりも使用時間を延長させることが可能となる。
【0056】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0057】
なお、以下の各実施の形態1〜4では、冷却対象となる発熱体(発熱源)として、パソコン(パーソナルコンピュータ)等の電子機器本体に設けられたCPU(central processing unit:中央演算処理装置)を例に挙げて説明するものとするが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0058】
図1は、本発明の実施の一形態にかかる冷却装置を搭載したコンピュータ(電子機器)の要部の概略構成を示す斜視図である。また、図2(a)は、本発明の実施の一形態にかかる冷却装置における放熱フィン部の概略構成の一例を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示す放熱フィン部のA−A線矢視断面図である。なお、図2(b)では、便宜上、図2(a)に示す構成要素と同じ構成要素には同じ模様を付して構成要素を区別するものとする。また、以下の説明において、図1に示す放熱フィン部には、その一例として、図2(a)・(b)に示す放熱フィン部を用いるものとする。
【0059】
図1に示すように、本実施の形態にかかる冷却装置41は、熱電変換素子3(熱電変換機構)と、放熱機構としてのヒートシンク4と、制御部としての制御回路素子8(制御回路、駆動電圧発生手段)とを備えている。
【0060】
本実施の形態において用いられる上記熱電変換素子3は、その主面が、パソコン等の電子機器本体に設けられたCPU2(発熱源)に接触(密着)するように設置されている。上記CPU2は、例えば、パソコン等の本体に設置されるCPUボード1にソケット等の固定手段を用いて固定されている。
【0061】
また、上記熱電変換素子3における上記CPU2との接触面(以下、底面と記す)とは反対側の主面(以下、天面と記す)上には、上記ヒートシンク4が、該ヒートシンク4の底板(基盤)となる熱拡散板12が上記熱電変換素子3と密着するように接触して設けられている。
【0062】
これにより、上記熱電変換素子3は、CPU2から発生し、供給される熱の一部を電気に変換し、その残りの熱を、ヒートシンク4を通じて空気中に放出(放熱)するようになっている。
【0063】
なお、本実施の形態では、上記熱電変換素子3から上の部品群、つまり、後述する放熱フィン部27を備えたヒートシンク4が一体となって本実施の形態にかかる冷却装置41を構成している。
【0064】
ヒートシンク4は、基盤となる熱拡散板12上に、放熱フィン部27と、制御部としての制御回路素子8(制御回路)とが設けられた構成を有している。
【0065】
上記放熱フィン部27は、上記熱拡散板12上に立設された複数の放熱フィン5と、該放熱フィン5表面に設けられた発風機構28とを備えている。
【0066】
上記熱拡散板12および放熱フィン5は、熱の良導体(良熱伝導性材料)であるアルミニウム(Al)や銅(Cu)等の材料からなり、上記放熱フィン5により表面積を広げることで、CPU2から熱電変換素子3を通じて伝導された熱を、放熱、つまり、空気との間で熱交換するようになっている。
【0067】
発風機構28は、放熱フィン5から空気に移った熱が滞留することがないように、放熱フィン5に空気を吹き付けて強制空冷を行うことで、放熱フィン5から熱を空気に効率良く逃がすようになっており、各放熱フィン5に密着するように各放熱フィン5の主面(つまり、放熱フィン5における空気との主熱交換面)中央部に突出するように搭載された圧電素子7と、該圧電素子7に当接するように各放熱フィン5における圧電素子7搭載面上に設けられた発風板6とを備えている。
【0068】
発風板6は、図1および図2(a)・(b)に示すように、放熱フィン5の表面に、例えばニッケル(Ni)等の、熱伝導性が比較的良好な材料からなる、弾性を有する板が密着して形成され、その一部にコの字状の切欠き部6cが設けられてなり、放熱フィン5の表面に固着された枠体6aと、該枠体の一辺を支軸9(固定端)として揺動可能に設けられた板ばね状の揺動体6bとを備えた構成を有している。上記発風板6(揺動体6b)としては、上記圧電素子7による微小な伸縮の変位量を大きな変動量に拡大させる、例えば直方体状の、薄い板ばねのような弾性体からなり、しかも熱の伝導性が良好な材料からなることが好ましい。
【0069】
本実施の形態で用いられる上記ヒートシンク4は、上記放熱フィン5として、例えば直方体の板状に形成されたフィン(ひれ)を備え、各放熱フィン5は、その短手方向端部において上記熱拡散板12と接合されている。上記発風板6は、この放熱フィン5における圧電素子7搭載面の大部分、好適には圧電素子7搭載面略全面を覆うように長方形状に形成されている。そして、上記揺動体6bは、その短手方向の一辺、すなわち、上記切欠き部6cの始点と終点とを結ぶ辺(本実施の形態では揺動体6bの上端)を支軸9(固定端)として、上記切欠き部6cによって形成された自由端10が、図2(b)中、矢印aにて示すように、上記切欠き部6c内にて往復振動可能に設けられている。
【0070】
圧電素子7は、上記揺動体6bの裏面中央部に当接するように配されており、該圧電素子7に電圧が加えられると、伸長して上記揺動体6bに強い衝撃を与えて突き上げることで、上記揺動体6bを揺動(振動)させるようになっている。
【0071】
上記揺動体6bは、その一端(支軸9)が固定されているために、その裏面側から突き上げられると、弾性によって元に戻ろうとする作用が働く。このため、上記揺動体6bは、その裏面側から突き上げられると、上記支軸9(固定端)を支点、圧電素子7による打撃部分(当接部)を力点、自由端10を作用点として、梃子の原理により、圧電素子7の変位量(伸縮変位量)の数十倍もの大きな変位を生じる。このため、上記発風機構28によれば、圧電素子7の変位量が微小であっても、十分な空気の流れを生じさせることができる。
【0072】
このように、上記発風機構28は、上記圧電素子7に加えられた電圧によって該圧電素子7が伸縮運動して上記揺動体6bにおける支軸9と自由端10との間に周期的に一方向から繰り返し衝撃を加えることにより、上記揺動体6bの自由端10を往復振動させて空気の流れを発生させるようになっている。
【0073】
また、上記圧電素子7と発風板6における揺動体6bとの接触部分、本実施の形態では上記圧電素子7における揺動体6bとの当接部分には、柔軟性および電気絶縁性を有する接点保護材11が設けられている。
【0074】
該接点保護材11は、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性接着用コーティング材料を上記圧電素子7と発風板6における揺動体6bとの接触部分(本実施の形態では上記圧電素子7における揺動体6bとの当接部分)に塗布して硬化させることにより形成することができる。
【0075】
圧電素子7による発風板6、すなわち、揺動体6bの突き上げ時と、突き上げられた揺動体6bが自身の弾性により元の位置に戻る際に、圧電素子7と揺動体6bとが直接当接すると、両者の当接点では、両者の衝突による音が発生する。このため、両者が、上記接点保護材11を介して当接するように設けられていることで、衝突音の発生が抑制されると共に、発風板6および放熱フィン5を経由して圧電素子7に印加される電圧がショートすることを防ぐことができる。
【0076】
また、圧電素子7と上記発風板6における揺動体6bとの接触部分には、電圧を印加するための配線が設けられているため、絶縁性接着用コーティング材料からなる接点保護材11を塗布して硬化させることにより、配線部分の機械的な接合強度を高めることができ、長期の使用による電気的接点部分の破壊や断線等を防ぐことができる。
【0077】
制御回路素子8は、熱電変換素子3から供給された電力によって、圧電素子7を駆動させるためのパルス電圧(駆動電圧)を発生させる機能を有し、各圧電素子7にパルス電圧を印加することで、発風板6における揺動体6bを振動させることができるようになっている。上記制御回路素子8は、圧電素子7が高い電圧を必要とするため、昇圧型のDC(direct current:直流電流)−DCコンバータ機能を有している。
【0078】
また、上記制御回路素子8は、上記パルス電圧(駆動電圧)を上記圧電素子7に供給すると共に、各放熱フィン5に設けられた各圧電素子7に供給するパルス電圧(駆動電圧)を制御することにより、各発風板6における揺動体6bの振幅、振動周期、および位相(揺動体6bの振動位相)等を制御するようになっている。
【0079】
このように、各揺動体6b、つまり、複数の揺動体6bの振幅、振動周期および位相のうち少なくとも1つを制御(調整)することで、上記ヒートシンク4における発風機構28の冷却能力を調整することが可能となる。特に、各揺動体6bの振幅を制御することにより、各揺動体6bによる送風量の調整が可能となる。また、各揺動体6bの振動周期を変えることで空気流速の調整と、動作音周波数の調整とを行うことができると共に、これら揺動体6b…と放熱フィン5…との不要な共振を抑制することができる。さらに、複数の揺動体6bの位相(振動位相)をずらすことによって、これら揺動体6b…と、放熱フィン5…やヒートシンク4等との不要な共振振動の発生を抑制することができる。
【0080】
次に、本実施の形態にかかる冷却装置41の駆動の一例について、図3を用いて以下に説明する。図3は、本実施の形態にかかる冷却装置41における電力の流れを模式的に示す説明図である。
【0081】
本実施の形態では、熱電変換素子3として、図3に示すような一般的なペルチェ素子を使用している。ペルチェ素子は、通常、電子冷却素子として小型冷蔵庫等に使用されており、数ミリ角の直方体形状のp型半導体素子19とn型半導体素子20とが複数並べられたモジュールである。
【0082】
図3に示すように、熱電変換素子3は天面(上面)と底面(下面)との温度差から発電するため、上記冷却装置41は、熱電変換素子3の天面、つまり、ヒートシンク4との接触面の温度が、CPU2の表面温度よりも低く保たれた状態で作動する。
【0083】
近年のパソコン処理能力向上の要求による高速動作で、高性能CPUから発生する熱は80W程度であり、一方、CPUの動作上限温度は70℃以下に抑えることが要求されている。
【0084】
上記CPU2の表面温度は概ね70℃であり、パソコン本体内部の空気温度は概ね40℃である。本実施の形態にかかる冷却装置41は、上記CPU2の表面温度と、パソコン本体内部の空気温度との間に温度差があることを利用して、冷却装置41に必要な電力を熱電変換素子3によって発電し、供給するようになっている。
【0085】
本実施の形態において、熱の良導体であるAlやCu等の材料からなるヒートシンク4に対して、発風機構28を動作させ、発風板6で風を送る場合、ヒートシンク4の熱抵抗値は0.23℃/W程度まで下げることができる。このため、CPU2から発生する80Wの熱を空気中に放出させる場合、パソコン内部の空気温度が40℃であるのに対し、ヒートシンク4の温度は、上記パソコン内部の空気温度よりも約18℃高い58℃程度に保たれる。
【0086】
したがって、熱電変換素子3は、CPU2の表面温度(70℃)とヒートシンク4(放熱フィン5)の温度(58℃)との温度差(12℃)により、直流電力17を発生し、制御回路素子8を経由して複数の圧電素子7に、圧電素子駆動電圧18を供給することによって、発風機構28を駆動させている。
【0087】
本実施の形態によれば、上記熱電変換素子3が、発熱源であるCPU2との接触面の温度と上記ヒートシンク4との接触面の温度との温度差、言い換えれば、周辺の空気温度(周辺空気温度と同等の温度になっている放熱フィン5の温度)と、発熱に伴い、周囲の空気温度よりも高い状態にあるCPU2の表面温度との温度差により電力を発生し、上記温度差に応じた発生電力量によって上記発風機構28が自動的に動作を開始することにより、上記CPU2をその許容温度以下に冷却するに際し、例えばCPU2等からの動作開始制御信号等を送る配線や電力制御等は不要となる。
【0088】
本実施の形態によれば、上記熱電変換素子3を制御回路素子8に接続することで電力を取り出すことができる。
【0089】
本実施の形態のペルチェ素子を用いた熱電変換素子3の熱から電気への変換効率は低く、CPU2からの発熱量80Wから得られる直流電力17は0.25W程度であるが、圧電素子7と発風板6からなる発風機構の必要電力は小さいため、本実施の形態にかかる冷却装置41は安定した冷却動作を行うことができる。このため、CPU2を、その動作時間の経過に拘らず、その動作上限温度以下に保つことができる。
【0090】
なお、上記した説明では、圧電素子7を駆動させるための圧電素子駆動電圧18は、CPU2から発生し、供給される熱の一部を上記熱電変換素子3が電気に変換することで発生する直流電力17により賄われている構成としたが、パソコン本体内部の空気温度が40℃よりも高く、CPU2と周辺空気温度との温度差が不十分な場合には、パソコン本体の電源等の外部電源装置から制御回路素子8に不足する電力を供給して圧電素子7を駆動させる構成としてもよい。
【0091】
以下に、CPU2と周辺空気温度との温度差が不十分な場合における本実施の形態にかかる冷却装置41の駆動の一例について、図4を用いて以下に説明する。図4は、本実施の形態にかかる冷却装置41における熱電変換素子3による発電量不足時の電力の流れを模式的に示す説明図である。
【0092】
本実施の形態にかかる冷却装置41は、上記制御回路素子8が、上記熱電変換素子3に加えて、パソコン本体の電源等の外部電源装置21(電源)に接続可能に設けられている構成を有していることが好ましい。
【0093】
上記の構成によれば、上記冷却装置41周辺部の空気温度、この場合にはパソコン本体内部の空気温度が40℃よりも高く、CPU2と周辺空気温度との温度差が不十分で、熱電変換素子3による発電量が不足する場合でも、図4に示すように、パソコン本体の電源等の外部電源装置21から制御回路素子8に不足する電力を供給して圧電素子7を駆動させることで、空気の流れを発生させることができ、上記CPU2の冷却を行うことが可能となる。また、この結果、上記CPU2と周辺空気温度との温度差を確保することが可能となるため、上記冷却動作の開始以降、つまり、上記温度差が確保された後には、上記熱電変換素子3による発風機構28の駆動に必要な電力を十分に確保することができる。
【0094】
また、上記の構成によれば、CPU2と周辺空気温度との温度差が不十分な場合であってもCPU2の冷却を行うことができ、発熱によりCPU2が正常に作動しなくなることを防止することができる。
【0095】
さらに、上記の構成によれば、熱電変換素子3に外部から電力を供給することで、上記熱電変換素子3に、低温側から高温側に熱を輸送するヒートポンプ動作を行わせることができる。この結果、上記熱電変換素子3に、ペルチェ素子としての電子冷却機能を発揮させることができ、上記熱電変換素子3を、電子冷却デバイスとして動作させることが可能となる。このようにペルチェ素子を電子冷却デバイスとして機能させることで、さらに高い冷却能力を発揮させることができる。これにより、CPU2の熱暴走等、発熱により電子機器が正常に作動しなくなることを防止することができる。
【0096】
なお、上記制御回路素子8は、例えば、上記熱電変換素子3からの発電量を検知し、上記熱電変換素子3からの発電量が、上記発風機構28の駆動に必要な所定の電力に満たないと判断した場合に自動的に外部電源装置21からの外部電力に切り替える構成としてもよく、上記熱電変換素子3からの発電量の不足分を上記外部電力で補う構成としてもよい。
【0097】
また、上記冷却装置41が、上記熱電変換素子3におけるCPU2(発熱源)との接触面およびヒートシンク4との接触面(もしくは発熱源および当該冷却装置(ヒートシンク)の周辺の空気)の温度を検知する温度センサ(温度検知手段)を備える構成とする等、上記熱電変換素子3におけるCPU2(発熱源)との接触面およびヒートシンク4との接触面(もしくは発熱源および当該冷却装置(ヒートシンク)の周辺の空気)の温度差を検知し、該温度差に応じて、上記制御回路素子8への発風機構28の駆動のための電力供給手段を、上記熱電変換素子3と外部電源装置21からの外部電力との間で切り替える構成としてもよく、上記熱電変換素子3からの発電量の不足分を上記外部電力で補う構成としてもよい。
【0098】
何れにしても、上記発風機構28は、モータによるプロペラの回転を必要とする冷却ファンのように大きな駆動電圧を必要とせず、上記冷却ファンを駆動させるよりも、駆動に必要な電力が少なくて済むため、CPU2の冷却に要する消費電力を、従来よりも低減することができる。しかも、上記発風機構28は、揺動体6bが上記放熱フィン5に接して設けられていることにより、上記放熱フィン5から空気に熱を効率よく伝導させることができる。よって、上記したように、CPU2と周辺空気温度との温度差が不十分で、熱電変換素子3による発電量が不足し、上記発風機構28の駆動に外部の電力を利用する場合でも、従来よりも少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置を提供することができる。
【0099】
なお、本実施の形態では、上記放熱フィン5として、熱拡散板12上に立設された直方体状の放熱フィンが設けられている構成を例に挙げて説明したが、上記放熱フィン5の形状はこれに限定されるものではなく、その表面に、前記発風機構28を設けることができさえすれば、ひだ状、あるいは、上記した以外の形状を有する突起構造であっても構わない。
【0100】
また、発風板6もまた、上記放熱フィン5表面に送風可能に設けられてさえいれば上記形状に限定されるものではなく、上記放熱フィン5の形状に応じて形成することができる。
【0101】
さらに、図1では、上記放熱フィン5の表面に、上記放熱フィン5よりも面積や横幅が小さな揺動体6bが設けられている構成としたが、上記揺動体6bの大きさはこれに限定されるものではなく、上記揺動体6bは、各々の揺動体6bの揺動並びに空気の流れを阻害しない程度に大きく形成することができる。
【0102】
さらに、上記した説明においては、上記揺動体6bを、上記揺動体6bの裏面に当接する圧電素子7により周期的に衝撃を加えることにより揺動(往復振動)させる構成としたが、上記揺動体6bを揺動させる方法はこれに限定されるものではなく、例えば上記揺動体6bに電極を設けると共に磁性材料を使用し、パルス電圧を印加する等、上記揺動体6bに周期的に振動を与えることができさえすれば、特に限定されるものではない。
【0103】
また、上記した説明においては、外部電源装置21として、上記冷却装置41を搭載した電子機器本体(本実施の形態ではパソコン本体)の電源等を用いる構成としたが、上記冷却装置41が、上記熱電変換素子3以外の電力供給源として電源装置(外部電源装置21)をさらに備えている構成としても構わない。
【0104】
〔実施の形態2〕
本発明にかかる他の実施形態について、前記図2(a)・(b)および図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態では、主に、前記実施の形態1との相違点について説明するものとする。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1にかかる冷却装置41における構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。また、本実施の形態においても、図5に示す放熱フィン部27には、その一例として、図2(a)・(b)に示す放熱フィン部27を用いるものとする。
【0105】
図5は本実施の形態にかかる冷却装置を搭載したコンピュータ(電子機器)の要部の概略構成を示す斜視図である。
【0106】
図5に示すように、本実施の形態にかかる冷却装置45は、前記実施の形態1にかかる冷却装置(冷却装置41)に対し、ヒートシンク4に、該ヒートシンク4周辺部分、つまり、冷却装置周辺部分の空気温度を検知するための温度センサ22(温度検知手段)が複数設けられている構成を有している。本実施の形態では、上記ヒートシンク4における熱拡散板12における互いに対向する側面に、各々1つずつ、計2つの温度センサ22が設けられている。
【0107】
本実施の形態にかかる冷却装置45は、温度センサ22を複数有することで、周辺の空気温度を計測し、空気温度の分布を検出することができ、より低い温度の空気をヒートシンク4に吸い寄せることができるように発風機構を制御するようになっている。
【0108】
具体的には、図5において、冷却装置45の右側、つまり、ヒートシンク4の右側に画像処理LSI(large scale integration:大規模集積回路)等の発熱源がある場合、温度センサ22・22により、冷却装置45の右側の空気が、冷却装置45の左側の空気よりも温度が高いことが検知される。
【0109】
このため、本実施の形態では、図5において、冷却装置45の左側から右側に向かって並設された放熱フィン5を順に5a,5b,5cとし、これら放熱フィン5a〜5cに備えられた各圧電素子7を、上記の順に各々7a,7b,7cとすると、7a→7b→7c→7aの順にタイミングをずらして電圧を印加することにより、放熱フィン5の間を通ってヒートシンク4から送り出される空気は冷却装置45の右側に流れることになる。
【0110】
本実施の形態によれば、同様に全ての放熱フィン5に搭載されている各圧電素子7への電圧の印加、すなわち、発風板6(揺動部6b)の駆動を制御することで、空気の流れを制御することが可能である。
【0111】
本実施の形態によれば、この場合、逆に、上記冷却装置45の左側、つまり、ヒートシンク4の左側から、より低い温度の空気が流れ込むため、同じ風量を発生させる場合でも、効率良くヒートシンク4の冷却を行うことができるため、CPU2に対する冷却能力を向上させることが可能となっている。
【0112】
つまり、本実施の形態によれば、上記ヒートシンク4(冷却装置45)周辺の空気温度の情報に基づいて、制御回路素子8により、位相(揺動部6bの振動位相)を制御する等して上記揺動部6bの駆動タイミングを、風を送りたい方向に順番にずらすことで、放熱フィン部27(放熱フィン5)から周囲への空気の流れる方向を制御することが可能であり、温度の低い空気のある方向と逆方向に放熱フィン部27(放熱フィン5)からの排気方向を向けることで、温度の低い空気を新たに取り入れることが可能となる。すなわち、冷却効率の高まる方向に空気の流れを制御することができる。
【0113】
なお、本実施の形態では、温度センサ22を、冷却装置45の左右に設けた構成としたが、例えば、冷却装置45の四方に設ける等、その設置個数並びに設置位置は、上記の構成に限定されるものではない。
【0114】
〔実施の形態3〕
本発明にかかる他の実施形態について、図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態では、主に、前記実施の形態1・2との相違点について説明するものとする。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1・2にかかる冷却装置における構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0115】
図6は、本実施の形態にかかる冷却装置における電力の流れを模式的に示す説明図である。
【0116】
本実施の形態にかかる冷却装置は、熱電変換素子として、図6に示すようなデバイス構造を有する熱電変換素子26を用いた点を除けば、前記実施の形態1または2における冷却装置(冷却装置41・42)と同様の構成を有している。
【0117】
図6に示すように、本実施の形態にかかる冷却装置46における熱電変換素子26は、電子トンネル効果により電位差を発生させるダイオード素子であり、互いに近接して設けられた対向する導体からなるカソード電極23およびアノード電極24を備え、両電極(カソード電極23およびアノード電極24)間の対向する周辺部が、真空封止材25により貼り合わされてなる構成を有している。
【0118】
本実施の形態において、上記両電極は、上記真空封止材25により、その間隙(間隔)が1〜10nmの範囲内に保持されていると共に、真空に近い状態に保持されている。
【0119】
上記カソード電極23およびアノード電極24は、例えば、銀(Ag)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の一般的な導電材料により形成されている。これらカソード電極23およびアノード電極24の表面は、真空への電子放出が容易になるように、その表面が、アルカリ金属類で被覆されていることが好ましい。上記真空封止材25には、例えば、酸化ケイ素等の絶縁性材料が用いられる。
【0120】
上記熱電変換素子26は、カソード電極23側がCPU2等の発熱体(発熱源)に接触(密着)し、アノード電極24側がヒートシンク4に接触(密着)するように設置されており、該熱電変換素子26から取り出された電力を、制御回路素子8を介して圧電素子駆動電圧18として圧電素子7に供給するようになっている。
【0121】
以下に、本実施の形態にかかる冷却装置46の駆動の一例について、図6を用いて以下に説明する。
【0122】
図6に示す熱電変換素子26は、CPU2に接触(密着)させたカソード電極23から、熱により大きな運動エネルギーをもった電子が、電子トンネル効果(電子トンネリング)によって、カソード電極23とアノード電極24との間の間隙(ギャップ)を飛び越えてアノード電極24に達することで、両電極間に電位差が発生するようになっている。このため、本実施の形態においても、前記実施の形態1〜3同様、上記熱電変換素子26を制御回路素子8に接続することで電力を取り出すことができる。
【0123】
カソード電極23とアノード電極24との間に温度差がない場合には、上記した電子トンネリングによる電子の移動量が相殺されるため電位差を発生させることができないが、本実施の形態では、アノード電極24にはヒートシンク4が密着されており、周囲の空気によって冷却されることによりアノード電極24の温度をカソード電極23よりも低くすることができるため、電力を発生させることができる。
【0124】
なお、前記したように、本実施の形態にかかる冷却装置46は、熱電変換素子の構造以外は前記実施の形態1・2と同様であるため、周辺空気温度が高く冷却効率が不足する場合の制御方法や、周辺空気温度差に応じた効率の良い送風方向制御については、前記実施の形態1・2と同様の構成により実施することができる。
【0125】
また、本実施の形態にかかる熱電変換素子26も、熱電変換素子として前記ペルチェ素子を用いた熱電変換素子3を用いた場合と同様、該熱電変換素子26に電力を供給することで、電子熱輸送デバイスとして機能させることができ、電子冷却の機能を発揮させることができる。この結果、さらに高い冷却能力を発揮させることができる。これにより、CPU2の熱暴走等、発熱により電子機器が正常に作動しなくなることを防止することができる。
【0126】
また、ペルチェ素子に比してダイオード素子自身の発熱量は少ないため、上記熱電変換素子26は、ペルチェ素子を用いた熱電変換素子3よりも消費電力が少ない、効率の良い電子冷却素子として機能する。
【0127】
以上のように、実施の形態1〜3にかかる冷却装置は、発熱源から発生する熱を、放熱フィンを通じて放熱するヒートシンクと、空気の流れを発生させて上記ヒートシンクの放熱フィンを強制空冷する発風機構とを備えた冷却装置において、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記ヒートシンクに与える熱電変換機構と、上記熱電変換機構により得られた電力によって上記発風機構を駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段とを備えると共に、上記発風機構は、弾性を有すると共に、上記放熱フィンに固定された固定端と、自由端とを有する揺動体を備え、上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記揺動体における自由端を揺動させて空気の流れを発生させる構成である。
【0128】
上記発風機構は、モータによるプロペラの回転を必要とする冷却ファンのように大きな駆動電圧を必要とせず、上記冷却ファンを駆動させるよりも、駆動に必要な電力が少なくて済むため、上記熱電変換素子により得られる電力で十分に駆動が可能である。しかも、上記の構成によれば、冷却対象となる発熱源から発生する廃熱を電力(電気エネルギー)に変換するため、外部から冷却のための電力を供給する必要がなく、上記冷却に必要な電力を新たに消費することがない。しかも、発熱量の一部を電力として回収するため、発熱量の絶対量も減少する。このため、上記の構成によれば、従来の冷却ファン方式で必要であった冷却ファンの駆動のための電力を節約することができ、低消費電力化を図ることができると共に、当該冷却装置を搭載した電子機器全体のエネルギーを有効に利用することができ、当該冷却装置を搭載した電子機器全体の低消費電力化を図ることが可能となる。従って、上記の構成によれば、例えば電池駆動でノートパソコン等を使用する場合には、使用時間を延長させることができる。
【0129】
しかも、上記の構成によれば、上記揺動体の弾性により、少ないエネルギーでも、上記揺動体の自由端では、上記揺動体に加えられたエネルギーに比して大きな変位を生じさせることが可能となるため、少ないエネルギーでも十分な空気の流れを作り出すことができる。さらに、上記の構成によれば、上記揺動体の固定端が上記放熱フィンに固定されている、つまり、上記揺動体が上記放熱フィンに接して設けられていることにより、上記放熱フィンから空気に熱を効率よく伝導させることができる。
【0130】
よって、上記の構成によれば、少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れ、上記熱電変換機構により発電された電力で、十分に発風機構を動作させることができ、発熱源の冷却を行うことが可能であり、発熱により電子機器が正常に作動しなくなることを防止することができる冷却装置を提供することができる。
【0131】
また、上記冷却装置は、従来の冷却ファンを用いた場合のように、冷却動作時に、冷却ファンの動作音、つまり、モータとプロペラとによって生じる騒音が発生せず、冷却ファンを用いた場合と比して駆動音が小さい。特に、上記実施の形態1〜3では、上記発風機構として、前記発風板6と圧電素子7とからなる圧電式の小型うちわを複数使用していることから、冷却動作時の騒音を殆ど発生させることなくパソコンが使用できるため、病院や図書館などの静粛性を要求される場所でもパソコンの使用が可能となる。
【0132】
なお、上記冷却装置は、当該冷却装置周辺の空気温度を検知する機構(温度検知手段)を複数備え、空気温度の分布を検出する構成を有していてもよい。
【0133】
また、上記発風機構は、上記放熱フィンの表面に複数個装着され、これら複数個の発風機構の揺動体の振幅、振動周期および位相を、制御回路としての上記駆動電圧発生手段により任意に制御することで冷却能力を調整可能としてもよい。
【0134】
また、上記発風機構は、上記放熱フィンの表面に複数個装着され、これら複数個の発風機構の揺動体の位相を、制御回路としての上記駆動電圧発生手段により任意に制御し、上記温度検知手段の周辺空気温度情報に基づき、冷却効率の高まる方向に空気の流れを制御する構成としてもよい。
【0135】
また、上記冷却装置において、上記駆動電圧発生手段は、外部の電源と接続可能に設けられており、上記熱電変換機構による発電量が不足する場合、上記発風機構を、外部からの電力を用いて駆動することにより空気の流れを発生させると共に、上記熱電変換機構に外部から電力を供給して低温側から高温側に熱を輸送するヒートポンプ動作を行わせてもよい。これにより、当該冷却装置周辺部の空気温度が高く、熱電変換機構の発電量が不足する場合でも、上記発風機構を、外部からの電力を用いて駆動することにより空気の流れを発生させることができ、発熱源の冷却を行うことが可能となると共に、結果として、発熱源と当該冷却装置周辺部の空気温度との温度差を確保することが可能となる。また、上記熱電変換機構に外部から電力を供給して低温側から高温側に熱を輸送するヒートポンプ動作を行わせることで、上記熱電変換機構を、電子冷却デバイスとして動作させることができる。この場合でも、本発明によれば、従来よりも少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置を提供することができる。なお、上記冷却装置は、上記熱電変換機構による発電量が不足する場合に上記発風機構、さらには上記熱電変換機構に電力を供給する電源をさらに備えている構成としても構わない。
【0136】
〔実施の形態4〕
本発明にかかる他の実施形態について、図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態では、主に、前記実施の形態1〜3との相違点について説明するものとする。なお、説明の便宜上、前記実施の形態1〜3にかかる冷却装置(冷却装置41〜43)における構成要素と同様の機能を有する構成要素には同一の番号を付し、その説明を省略する。
【0137】
前記実施の形態1〜3では、前記したように、熱電変換素子(熱電変換素子3もしくは熱電変換素子26)におけるCPU2(発熱源)との接触面とは反対側の主面に、放熱機構として、空気の流れを発生させる発風機構28が設けられたヒートシンク4を設け、CPU2から発生する熱を電力に変換することにより発風機構28を駆動させて放熱を行う場合について説明した。
【0138】
本実施の形態では、熱電変換素子におけるCPU2との接触面とは反対側の主面に、放熱機構として、熱輸送用の液体の流れを発生させるポンプ機構38が設けられた熱拡散板を設け、CPU2から発生する熱を電力に変換することによりポンプ機構38を駆動させて放熱を行う場合について説明する。
【0139】
図7は、本実施の形態にかかる冷却装置を搭載したコンピュータ(電子機器)の要部の概略構成を示す斜視図である。
【0140】
図7に示すように、本実施の形態にかかる冷却装置47は、熱電変換素子3と、該熱電変換素子3から発電された電力を利用して熱輸送用の液体(冷却液)の流れを発生させるポンプ機構38が設けられた熱拡散板36と、制御部としての制御回路素子35(制御回路)とを備えている。
【0141】
本実施の形態においても、上記熱電変換素子3は、前記実施の形態1〜3同様、その主面が、パソコン等の電子機器本体に設けられたCPU2(発熱源)に接触(密着)するように設置されており、上記CPU2は、例えば、パソコン等の本体に設置されるCPUボード1にソケット等の固定手段で固定されている。
【0142】
本実施の形態では、上記熱電変換素子3における上記CPU2との接触面(底面)とは反対側の主面(天面)上には、上記熱拡散板36が上記熱電変換素子3と密着するように接触して設けられている。
【0143】
これにより、上記熱電変換素子3は、CPU2から発生し、供給される熱の一部を電気に変換し、その残りの熱を、上記熱拡散板36に設けられたポンプ機構38を通じて空気中に放出(放熱)するようになっている。
【0144】
本実施の形態にかかる冷却装置47は、ポンプ機構38として、上記熱拡散板36内部を貫通して上記熱拡散板36の外部に延設された冷却液輸送パイプ37と、冷却液循環ポンプ34とを備えている。上記熱拡散板36には、熱を空気に効率良く放散させる良熱伝導性材料を用いることができ、上記熱拡散板36に上記冷却液輸送パイプ37が貫通して設けられていることを除けば、上記熱拡散板36としては、前記実施の形態1における熱拡散板12と同様のものを用いることができる。
【0145】
本実施の形態にかかる冷却装置47においては、上記冷却液輸送パイプ37に冷却液を封入して上記冷却液循環ポンプ34により上記冷却液を循環させ、上記冷却液輸送パイプ37における上記熱拡散板貫通部37a(吸熱部)において、上記冷却液輸送パイプ37を流れる冷却液によって、上記熱拡散板36の熱を吸熱し、該吸熱した熱を、上記冷却液輸送パイプ37における上記熱拡散板36の外部への延設部37b(放熱部)、より具体的には後述する熱交換器33において外部に放熱している。
【0146】
より具体的には、本実施の形態では、上記冷却液輸送パイプ37における上記熱拡散板36の外部への延設部37bを、パソコン本体の筐体部分等の熱交換器33と接続することにより、熱拡散板36の熱を吸熱した高温冷却液31を、上記熱交換器33まで運び、熱交換器33から周辺の空気に熱を自然放出させることにより冷却を行う。そして、熱交換器33で放熱することにより温度の下がった低温冷却液32を、冷却液循環ポンプ34を介して冷却液輸送パイプ37により、再び熱拡散板36まで循環させるようになっている。
【0147】
制御回路素子35は、熱電変換素子3から供給された電力によって、冷却液循環ポンプ34を駆動させるための電圧を発生させる機能を有し、上記冷却液循環ポンプ34に駆動電圧を印加することで、上記冷却液循環ポンプ34の駆動制御を行うことができるようになっている。
【0148】
以上のように、本実施の形態でも、前記実施の形態1〜3同様、放熱機構の冷却に用いる電力は、冷却すべき発熱源であるCPU2から発生する熱を熱電変換素子3により電力に変換することにより賄っており、本実施の形態では、熱電変換素子3により発電された電力は、ポンプ制御回路素子として機能する上記制御回路素子35を介して冷却液循環ポンプ34に供給され、これにより、上記冷却液輸送パイプ37内に封入された冷却液を循環させるようになっている。
【0149】
なお、上記した各構成要素、つまり、例えば冷却液、冷却液循環ポンプ34、熱拡散板36、冷却液輸送パイプ37等には、各々、冷却液、冷却液循環ポンプ、熱拡散板、冷却液輸送パイプ等として従来常用されているものを用いることができ、その材料や大きさ、形状等は特に限定されるものではない。
【0150】
本実施の形態において熱電変換素子3から発電される電力量は、前記実施の形態1〜3と同等であるが、ポンプ、すなわち、上記冷却液循環ポンプ34を動作させるために要する電力は比較的小さいため、該冷却液循環ポンプ34を駆動するための電力は、上記熱電変換素子3の電力のみで賄うことができる。
【0151】
また、上記した説明においては、上記冷却液輸送パイプ37における上記熱拡散板36の外部への延設部37bを、パソコン本体の筐体部分等の熱交換器33と接続することにより、熱拡散板36の熱を吸熱した高温冷却液31を、上記熱交換器33まで運んで冷却(放熱)を行う構成としたが、上記冷却装置47自体が、上記冷却液輸送パイプ37の循環経路内に熱交換器(熱交換器33)をさらに備えている構成としても構わない。
【0152】
以上のように、本実施の形態にかかる冷却装置は、発熱源から発生する熱を吸熱する吸熱部と、該吸熱部で吸熱した熱を放熱する放熱部とを備え、上記吸熱部と放熱部との間で冷却液を循環させることにより放熱を行う放熱機構を備えた冷却装置において、発熱源から発生する熱を拡散させて吸熱する熱拡散板と、上記熱拡散板内部を貫通して上記熱拡散板の外部に延設された冷却液輸送パイプと、上記冷却液輸送パイプ内に封入された冷却液を循環させる冷却液循環ポンプと、発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記熱拡散板に与える熱電変換機構と、上記熱電変換機構により得られた電力によって上記冷却液循環ポンプを駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段とを備え、上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記冷却液循環ポンプを駆動し、上記放熱を行う構成であり、上記冷却液を、上記熱電変換機構の発熱源側と逆の冷却面(すなわち、熱拡散板)に冷却液を循環させる構成となっている。
【0153】
上記冷却液循環ポンプは、モータによるプロペラの回転を必要とする冷却ファンのように大きな駆動電圧を必要とせず、上記冷却ファンを駆動させるよりも、駆動に必要な電力が少なくて済むため、上記熱電変換機構により得られる電力で十分に駆動が可能である。しかも、上記の構成によれば、冷却対象となる発熱源から発生する廃熱を電力(電気エネルギー)に変換するため、外部から冷却のための電力を供給する必要がなく、上記冷却に必要な電力を新たに消費することがない。しかも、発熱量の一部を電力として回収するため、発熱量の絶対量も減少する。このため、上記の構成によれば、従来の冷却ファン方式で必要であった冷却ファンの駆動のための電力を節約することができ、低消費電力化を図ることができると共に、当該冷却装置を搭載した電子機器全体のエネルギーを有効に利用することができ、当該冷却装置を搭載した電子機器全体の低消費電力化を図ることが可能となる。従って、上記の構成によれば、例えば電池駆動でノートパソコン等を使用する場合には、使用時間を延長させることができる。
【0154】
しかも、上記冷却装置は、上記構成を有することで、冷却ファンを用いた従来の冷却装置と比して高冷却能力を有している。
【0155】
よって、上記の構成によれば、少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置を提供することができる。
【0156】
また、上記の構成によれば、従来の冷却ファンを用いた場合のように、冷却動作時に、冷却ファンの動作音、つまり、モータとプロペラとによって生じる騒音が発生せず、冷却ファンを用いた場合と比して駆動音が小さく、騒音の少ない冷却装置を提供することができる。
【0157】
なお、上記実施の形態1〜4では、集積回路を備えた電子機器としてコンピュータを例に挙げ、上記冷却装置を上記コンピュータのCPU2の冷却に使用する場合を例に挙げて説明したが、本発明にかかる冷却装置はこれに限定されるものではなく、例えば冷蔵庫における背面放熱パネル等の放熱板や、冷房装置の室外機放熱板、プロジェクタランプ等、熱を発生し、冷却機能を必要とする、あらゆる電子機器(電気機器)における冷却対象部分の冷却に利用することができる。
【0158】
図8および図9は、本発明の実施の一形態にかかる電子機器の概念を模式的に示す説明図であり、図8は、図1に示す冷却装置を備えた冷蔵庫の概念を模式的に示し、図9は、図1に示す冷却装置を備えたプロジェクタの概念を模式的に示している。
【0159】
すなわち、図8は、本発明にかかる冷却装置を応用した電子機器の一例であり、図8に示す冷蔵庫42は、発熱源としての放熱用の背面放熱パネル43(放熱板)に、図1に示す冷却装置41が複数個装着されている例を示している。
【0160】
また、図9は、本発明にかかる冷却装置を応用した電子機器の他の一例であり、図9に示すプロジェクタ44は、上記プロジェクタ44のランプ(プロジェクタランプ)による発熱を利用して上記プロジェクタ44本体の冷却を行うために、上記プロジェクタランプに図1に示す冷却装置41が装着されている例を示している。
【0161】
なお、上記図8および図9においては、図示の便宜上、本発明にかかる冷却装置の一例として、実施の形態1における冷却装置41を用いた場合について例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記冷却装置41に代えて、前記実施の形態2〜3に記載の冷却装置45〜47の何れかを用いてもよい。
【0162】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0163】
【発明の効果】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、発熱源から発生する熱を、放熱フィンを通じて放熱するヒートシンクと、空気の流れを発生させて上記ヒートシンクの放熱フィンを強制空冷する発風機構とを備えた冷却装置において、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記ヒートシンクに与える熱電変換機構と、上記熱電変換機構により得られた電力によって上記発風機構を駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段とを備えると共に、上記発風機構は、弾性を有すると共に、上記放熱フィンに固定された固定端と、自由端とを有する揺動体を備え、上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記揺動体における自由端を揺動させて空気の流れを発生させる構成である。
【0164】
上記発風機構は、駆動に必要な電力が、冷却ファンを用いた従来の冷却装置と比して少なく、冷却対象となる発熱源から発生する廃熱を利用して駆動されるため、低消費電力化が可能であり、また、上記揺動体の弾性により、少ないエネルギーでも十分な空気の流れを作り出すことができると共に、上記揺動体が上記放熱フィンに接して設けられていることにより、上記放熱フィンから空気に熱を効率よく伝導させることができるという効果を併せて奏する。
【0165】
それゆえ、上記の構成によれば、少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置を提供することができるという効果を奏する。
【0166】
また、上記の構成によれば、従来の冷却ファンを用いた場合のように、冷却動作時に、冷却ファンの動作音、つまり、モータとプロペラとによって生じる騒音が発生せず、冷却ファンを用いた場合と比して駆動音が小さく、騒音の少ない冷却装置を提供することができる。
【0167】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、上記熱電変換機構は、上記発熱源とヒートシンクとに各々接触して設けられており、上記発熱源との接触面の温度と上記ヒートシンクとの接触面の温度との温度差により、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換する構成である。
【0168】
上記の構成によれば、上記熱電変換機構における上記発熱源との接触面の温度と上記ヒートシンクとの接触面の温度との温度差、言い換えれば、周辺の空気温度(周辺空気温度と同等の温度になっている放熱フィンの温度)と、発熱に伴い、周囲の空気温度よりも高い状態にある発熱源の表面温度との温度差によって上記熱電変換機構が電力を発生し、上記温度差に応じた熱電変換機構による発生電力量によって上記発風機構が自動的に動作を開始することにより、上記発熱源を許容温度以下に冷却するに際し、例えばCPU等からの動作開始制御信号等を送る配線や電力制御等が不要となるという効果を奏する。
【0169】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、上記駆動電圧発生手段は、上記熱電変換機構により得られた電力によってパルス電圧を発生すると共に、上記発風機構は、上記揺動体における固定端と自由端との間で上記揺動体と接触するように設けられ、印加電圧に応じて伸縮する圧電素子を備え、上記圧電素子は、上記駆動電圧発生手段により印加されるパルス電圧に応じて伸縮し、上記揺動体に周期的に衝撃を加えることで上記揺動体における自由端を揺動させる構成である。
【0170】
上記の構成によれば、上記揺動体の固定端を支点、圧電素子打撃部分(圧電素子との当接点)を力点、上記揺動体の自由端を作用点とする梃子の原理により、圧電素子の変位量と比して大きな変位を上記揺動体に与えることができるという効果を奏する。
【0171】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、上記圧電素子と上記揺動体との接触部分に、柔軟性および電気絶縁性を有する接点保護材が設けられている構成である。
【0172】
上記の構成によれば、上記圧電素子と上記揺動体との接触部分に上記接点保護材が設けられていることで、上記圧電素子と上記揺動体との接触部分に設けられた配線の機械的な接合強度を高めることができ、長期の使用による電気的接点部分の破壊や断線等を防ぐことができると共に、上記圧電素子の揺動体への衝撃印加時や揺動体の戻り時に発生する衝突音を低減することができるという効果を奏する。
【0173】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、上記ヒートシンクは、上記発風機構を複数備えると共に、該ヒートシンク周辺の空気の温度を検知する複数の温度検知手段を備え、上記駆動電圧発生手段は、上記温度検知手段により検知した温度情報に基づいて、上記発風機構に印加する駆動電圧の印加のタイミングを制御する構成である。
【0174】
上記の構成によれば、上記温度検知手段による温度情報に基づいて、より温度の低い空気を放熱フィンに送るように空気の流れを制御することができるので、同じ風量を発生させる場合でも、効率よくヒートシンクの冷却を行うことができ、冷却能力を向上させることができるという効果を奏する。
【0175】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、上記ヒートシンクは、上記発風機構を複数備え、上記駆動電圧発生手段は、上記駆動電圧を制御することにより、各発風機構における揺動体の振幅、振動周期、および位相のうち少なくとも1つを制御する構成である。
【0176】
上記の構成によれば、各揺動体、つまり、複数の揺動体の振幅、振動周期および位相のうち少なくとも1つを制御(調整)することで、上記ヒートシンクにおける発風機構の冷却能力を調整することが可能となるという効果を奏する。また、このとき特に、上記揺動体の振幅を制御することにより送風量の調整が可能となる。また、振動周期を変えることで空気流速の調整と、動作音周波数の調整とを行うことができると共に、放熱フィンとの不要な共振を抑制することができる。さらに、複数の揺動体の位相(振動位相)をずらすことによって放熱フィンやヒートシンク等との不要な共振振動の発生を抑制することができる。
【0177】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、上記駆動電圧発生手段は、外部の電源と接続可能に設けられており、上記熱電変換機構による発電量が不足する場合、上記発風機構を、外部からの電力を用いて駆動することにより空気の流れを発生させると共に、上記熱電変換機構に外部から電力を供給して低温側から高温側に熱を輸送するヒートポンプ動作を行わせる構成である。
【0178】
上記の構成によれば、当該冷却装置周辺部の空気温度が高く、熱電変換機構の発電量が不足する場合でも、上記発風機構を、外部からの電力を用いて駆動することにより空気の流れを発生させることができ、発熱源の冷却を行うことが可能となると共に、これにより、発熱源と当該冷却装置周辺部の空気温度との温度差を確保することが可能となるという効果を奏する。また、上記熱電変換機構に外部から電力を供給して低温側から高温側に熱を輸送するヒートポンプ動作を行わせることで、上記熱電変換機構を、電子冷却デバイスとして動作させることができるという効果を奏する。
【0179】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、上記熱電変換機構がペルチェ素子である構成である。
【0180】
上記の構成によれば、上記ペルチェ素子に外部の電源から電力を供給することで、上記ペルチェ素子を電子冷却デバイスとして機能させることができ、さらに高い冷却能力を発揮させることができるという効果を奏する。
【0181】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、上記熱電変換機構は、上記発熱源に接して設けられたカソード電極と、真空封止材を介して上記カソード電極に対応すると共に、上記ヒートシンクと接触して設けられたアノード電極とを備え、電子トンネル効果により電位差を発生させるダイオード素子である構成である。
【0182】
上記の構成によれば、上記ダイオード素子に外部の電源から電力を供給することで、上記ダイオード素子を電子熱輸送デバイスとして機能させることができ、さらに高い冷却能力を発揮させることができるという効果を奏する。また、ペルチェ素子に比してダイオード素子自身の発熱量は少ないため、上記の構成によれば、ペルチェ素子を用いた場合よりも消費電力を少なくすることができるという効果を奏する。
【0183】
本発明にかかる冷却装置は、以上のように、発熱源から発生する熱を吸熱する吸熱部と、該吸熱部で吸熱した熱を放熱する放熱部とを備え、上記吸熱部と放熱部との間で冷却液を循環させることにより放熱を行う放熱機構を備えた冷却装置において、発熱源から発生する熱を拡散させて吸熱する熱拡散板と、上記熱拡散板内部を貫通して上記熱拡散板の外部に延設された冷却液輸送パイプと、上記冷却液輸送パイプ内に封入された冷却液を循環させる冷却液循環ポンプと、発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記熱拡散板に与える熱電変換機構と、上記熱電変換機構により得られた電力によって上記冷却液循環ポンプを駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段とを備え、上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記冷却液循環ポンプを駆動し、上記放熱を行う構成である。
【0184】
上記冷却液循環ポンプは、駆動に必要な電力が、冷却ファンを用いた従来の冷却装置と比して少なく、冷却対象となる発熱源から発生する廃熱を利用して駆動されるため、低消費電力化が可能であり、また、冷却ファンを用いた従来の冷却装置と比して高冷却能力を有する。このため、上記の構成によれば、少ないエネルギーで駆動が可能であり、かつ、冷却効率に優れた冷却装置を提供することができるという効果を奏する。
【0185】
また、上記の構成によれば、従来の冷却ファンを用いた場合のように、冷却動作時に、冷却ファンの動作音、つまり、モータとプロペラとによって生じる騒音が発生せず、冷却ファンを用いた場合と比して駆動音が小さく、騒音の少ない冷却装置を提供することができるという効果を併せて奏する。
【0186】
本発明にかかる電子機器は、以上のように、上記した本発明にかかる冷却装置の何れかを備えている構成である。
【0187】
上記の構成によれば、本発明にかかる電子機器が上記冷却装置を備えていることで、冷却に必要な電力の消費を抑え、エネルギーを有効に利用することができると共に、発熱により当該電子機器が正常に作動しなくなるといった不具合のない電子機器を提供することができるという効果を奏する。また、上記の構成によれば、上記冷却装置の消費電力が小さいことで、当該電子機器全体の低消費電力化を図ることができ、例えば当該電子機器がノートパソコンである場合等、当該電子機器の電池駆動を行う場合に、従来よりも使用時間を延長させることが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる冷却装置を搭載したコンピュータの要部の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の実施の一形態にかかる冷却装置における放熱フィン部の概略構成の一例を示す平面図であり、図2(b)は、図2(a)に示す放熱フィン部のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1に示す冷却装置における電力の流れを模式的に示す説明図である。
【図4】図1に示す冷却装置における熱電変換素子による発電量不足時の電力の流れを模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態にかかる冷却装置を搭載したコンピュータの要部の概略構成を示す斜視図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態にかかる冷却装置における電力の流れを模式的に示す説明図である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態にかかる冷却装置を搭載したコンピュータの要部の概略構成を示す斜視図である。
【図8】図1に示す冷却装置を備えた冷蔵庫の概念を模式的に示す説明図である。
【図9】図1に示す冷却装置を備えたプロジェクタの概念を模式的に示す説明図である。
【図10】従来のCPU冷却装置の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 CPUボード(電子機器)
2 CPU(発熱源)
3 熱電変換素子(熱電変換機構)
4 ヒートシンク
5 放熱フィン
6 発風板
6a 枠体
6b 揺動体
7 圧電素子
8 制御回路素子(駆動電圧発生手段)
9 支軸(固定端)
10 自由端
11 接点保護材
12 熱拡散板
17 直流電力
18 圧電素子駆動電圧
21 外部電源装置
22 温度センサ(温度検知手段)
23 カソード電極
24 アノード電極
25 真空封止材
26 熱電変換素子(熱電変換機構)
27 放熱フィン部
28 発風機構
31 高温冷却液
32 低温冷却液
33 熱交換器
34 冷却液循環ポンプ
35 制御回路素子
36 熱拡散板
37 冷却液輸送パイプ
37a 熱拡散板貫通部(吸熱部)
37b 延設部(放熱部)
38 ポンプ機構
41 冷却装置
42 冷蔵庫(電子機器)
44 プロジェクタ(電子機器)
45 冷却装置
46 冷却装置
47 冷却装置

Claims (11)

  1. 発熱源から発生する熱を、放熱フィンを通じて放熱するヒートシンクと、空気の流れを発生させて上記ヒートシンクの放熱フィンを強制空冷する発風機構とを備えた冷却装置において、
    上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記ヒートシンクに与える熱電変換機構と、
    上記熱電変換機構により得られた電力によって上記発風機構を駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段とを備えると共に、
    上記発風機構は、
    弾性を有すると共に、上記放熱フィンに固定された固定端と、自由端とを有する揺動体を備え、
    上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記揺動体における自由端を揺動させて空気の流れを発生させることを特徴とする冷却装置。
  2. 上記熱電変換機構は、
    上記発熱源とヒートシンクとに各々接触して設けられており、
    上記発熱源との接触面の温度と上記ヒートシンクとの接触面の温度との温度差により、上記発熱源から発生する熱の一部を電力に変換することを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  3. 上記駆動電圧発生手段は、上記熱電変換機構により得られた電力によってパルス電圧を発生すると共に、
    上記発風機構は、
    上記揺動体における固定端と自由端との間で上記揺動体と接触するように設けられ、印加電圧に応じて伸縮する圧電素子を備え、
    上記圧電素子は、上記駆動電圧発生手段により印加されるパルス電圧に応じて伸縮し、上記揺動体に周期的に衝撃を加えることで上記揺動体における自由端を揺動させることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  4. 上記圧電素子と上記揺動体との接触部分に、柔軟性および電気絶縁性を有する接点保護材が設けられていることを特徴とする請求項3記載の冷却装置。
  5. 上記ヒートシンクは、上記発風機構を複数備えると共に、該ヒートシンク周辺の空気の温度を検知する複数の温度検知手段を備え、
    上記駆動電圧発生手段は、上記温度検知手段により検知した温度情報に基づいて、上記発風機構に印加する駆動電圧の印加のタイミングを制御することを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  6. 上記ヒートシンクは、上記発風機構を複数備え、
    上記駆動電圧発生手段は、上記駆動電圧を制御することにより、各発風機構における揺動体の振幅、振動周期、および位相のうち少なくとも1つを制御することを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  7. 上記駆動電圧発生手段は、
    外部の電源と接続可能に設けられており、
    上記熱電変換機構による発電量が不足する場合、上記発風機構を、外部からの電力を用いて駆動することにより空気の流れを発生させると共に、
    上記熱電変換機構に外部から電力を供給して低温側から高温側に熱を輸送するヒートポンプ動作を行わせることを特徴とする請求項1記載の冷却装置。
  8. 上記熱電変換機構がペルチェ素子であることを特徴とする請求項7記載の冷却装置。
  9. 上記熱電変換機構は、
    上記発熱源に接して設けられたカソード電極と、真空封止材を介して上記カソード電極に対応すると共に、上記ヒートシンクと接触して設けられたアノード電極とを備え、電子トンネル効果により電位差を発生させるダイオード素子であることを特徴とする請求項7記載の冷却装置。
  10. 発熱源から発生する熱を吸熱する吸熱部と、該吸熱部で吸熱した熱を放熱する放熱部とを備え、上記吸熱部と放熱部との間で冷却液を循環させることにより放熱を行う放熱機構を備えた冷却装置において、
    発熱源から発生する熱を拡散させて吸熱する熱拡散板と、
    上記熱拡散板内部を貫通して上記熱拡散板の外部に延設された冷却液輸送パイプと、
    上記冷却液輸送パイプ内に封入された冷却液を循環させる冷却液循環ポンプと、
    発熱源から発生する熱の一部を電力に変換すると共に、残りの熱を上記熱拡散板に与える熱電変換機構と、
    上記熱電変換機構により得られた電力によって上記冷却液循環ポンプを駆動する駆動電圧を発生させる駆動電圧発生手段とを備え、
    上記駆動電圧発生手段を通じて、上記熱電変換機構により得られた電力を用いて上記冷却液循環ポンプを駆動し、上記放熱を行うことを特徴とする冷却装置。
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載の冷却装置を備えていることを特徴とする電子機器。
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