JP2005026084A - 有機電界発光素子およびその製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性が高く、駆動寿命が長い有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】陽極、陰極、および両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子において、前記陽極と発光層との間に、湿式成膜法により形成された、ナフタレン骨格を有する特定の正孔輸送性化合物を含む層を有することを特徴とする、有機電界発光素子および該素子の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機電界発光素子及びその製造方法に関するものであり、詳しくは、有機化合物から成る発光層に電界をかけて光を放出する薄膜型デバイスとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜型の電界発光(EL)素子としては、無機材料のII−VI族化合物半導体であるZnS、CaS、SrS等に、発光中心であるMnや希土類元素(Eu、Ce、Tb、Sm等)をドープしたものが一般的であるが、上記の無機材料から作製したEL素子は、1)交流駆動が必要(一般に50〜1000Hz)、2)駆動電圧が高い(一般に200V程度)、3)フルカラー化が困難で特に青色に問題がある、4)周辺駆動回路のコストが高い、という問題点を有している。
【0003】
しかし、近年、上記問題点の改良のため、有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになった。特に、発光効率を高めるため、電極からのキャリアー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行い、芳香族ジアミンから成る正孔輸送層と8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体から成る発光層とを設けた有機電界発光素子の開発(Appl. Phys. Lett., 51巻, 913頁,1987年)により、従来のアントラセン等の単結晶を用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改善がなされ、実用特性に近づいている。
【0004】
上記の様な低分子材料を用いた電界発光素子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリ[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンビニレン]、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリフルオレン等の高分子材料を用いた電界発光素子の開発や、ポリビニルカルバゾール等の高分子に低分子の発光材料と電子移動材料を混合分散した素子の開発も行われている。
【0005】
ところで、有機電界発光素子の最大の課題は、駆動時の寿命であり、素子の駆動を不安定にする現象として、具体的には、発光輝度の低下、定電流駆動時の電圧上昇、非発光部分(ダークスポット)の発生等が挙げられる。これらの現象の原因はいくつか存在するが、主な原因の一つとして有機層の薄膜形状の劣化が挙げられる。この薄膜形状の劣化は、素子駆動時の発熱による有機非晶質膜の結晶化(または凝集)等に起因すると考えられている。特に、駆動電圧の上昇抑制については陽極と正孔輸送層のコンタクトが重要である。
【0006】
そこで、陽極と正孔輸送層のコンタクトを向上させるために、両層の間に正孔注入層を設け、駆動電圧を低下させることが検討されている。この正孔注入層に用いられる材料に要求される条件としては、陽極とのコンタクトがよく、均一な薄膜が形成でき、熱的に安定、即ち、融点及びガラス転移温度Tgが高いことが挙げられ、具体的には300℃以上の融点と100℃以上のTgを有することが好ましい。さらに、イオン化ポテンシャルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度が大きいことが挙げられる。
【0007】
従来、正孔注入層の材料としては種々のものが検討されており、例えば特許文献1には、非共役系の直鎖型正孔輸送性ポリマーに電子受容性化合物を混合し、正孔注入層を形成することにより、素子の低電圧駆動が可能である旨、記載されている。
ポリマーを用いた正孔注入層は、層表面の平坦性が高く、陽極(ITOなど)の平坦性をカバーするため好ましいが、正孔移動度の高さという点からは、一般に低分子化合物が好ましい。また、一般に有機電界発光素子における材料はその純度が素子の特性に大きな影響を及ぼすが、正孔輸送性ポリマーは低分子化合物に比べ精製が非常に困難であるという問題がある。
【0008】
一方、特許文献2には、正孔輸送性化合物と電子受容性化合物とからなる正孔注入層を、真空蒸着法により形成することが開示されている。しかし該層の形成に当たり真空蒸着法を用いると、電子受容性化合物が熱分解したり、真空蒸着装置内を腐食させる等の弊害があり、材料の選択幅が限られる。
特許文献3には、分子量が1000未満の芳香族アミン化合物等の正孔輸送性化合物と、該材料を酸化しうる電子受容性化合物を含有する層を、湿式成膜法にて形成し正孔注入層として使用する旨、記載されているが、実施例に記載されている正孔輸送性化合物:4,4’−ビス[N−(m−トリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(TPD)および4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPD)はともにTgが100℃以下であり、駆動寿命の点で更なる改良が求められている。
【0009】
一方、Tgの高い正孔輸送性化合物は、一般に溶剤への溶解性が低いために湿式成膜法を用いることが困難であった。
【0010】
【化5】
Figure 2005026084
【0011】
【特許文献1】
特開平11−283750号公報
【特許文献2】
特開平11−251067号公報
【特許文献3】
特開2002−56985号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように有機電界発光素子の駆動時における電圧が高いこと、そして、耐熱性を含めた安定性が低いことは、ファクシミリ、複写機、液晶ディスプレイのバックライト等の光源としては大きな問題であり、特にフルカラーフラットパネル・ディスプレイ等の表示素子としても望ましくない。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、低電圧、高発光効率で駆動させることができ、かつ良好な耐熱性を有し、高温において長期間に亙って安定な発光特性を維持することができる有機電界発光素子を提供することを目的とする。
本発明はまた、上述の陽極の表面粗さに起因する素子作製時の短絡欠陥を防止することができ、しかも、ガラス転移温度の高い正孔輸送性化合物を用いることにより、耐熱性を含めた安定性に優れる有機電界発光素子を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、比較的低分子量で正孔移動度が高く、ガラス転移温度が高くさらに溶剤への溶解性に優れる、特定の構造を有する正孔輸送性化合物を含有する正孔注入層を湿式成膜法にて形成することにより、低電圧、高発光効率で駆動できる有機電界発光素子が得られることを見いだし、本発明に至った。
【0015】
すなわち、本発明の有機電界発光素子は、陽極、陰極、および両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子において、陽極と発光層との間に、湿式成膜法により形成された下記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物を含む層を有することを特徴とする。
【0016】
【化6】
Figure 2005026084
【0017】
(上記一般式(1)において、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。なおArとAr、およびArとArは、互いに結合して、各々独立に置換基を有していてもよい環を形成していても良い。
上記一般式(1)におけるナフタレン骨格は、−NArAr基および−NArAr基以外に、任意の基で置換されていてもよく、また該置換基同士、あるいは該置換基とAr〜Arから選ばれた1以上の基が結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
また本発明の有機電界発光素子の製造方法は、陽極、陰極、および両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子を製造するに際し、陽極上に、前記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物を含む正孔注入層を、湿式成膜法にて形成する工程を含むことを特徴とする。
【0018】
有機電界発光素子の製造において、低分子化合物を用いて層を形成する場合、通常は真空蒸着法が使用される。しかし低分子化合物の場合、蒸着過程における化合物の熱分解などに留意する必要があるが、本発明では湿式成膜法にて成膜することにより、このような問題が生じないため好ましい。
また一般に、ガラス転移温度が高い化合物は溶剤への溶解性に乏しいが、本発明において用いられる、前記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物は、ガラス転移温度が高く、かつ、溶剤への溶解性に優れるため、湿式成膜法での成膜が可能である。
【0019】
本発明の有機電界発光素子は、湿式成膜法により、高い正孔移動度と高いガラス転移温度を有する正孔輸送性化合物を含む層を、陽極と発光層との間、好ましくは陽極上に形成する。このような層を設けることにより、陽極の表面粗さが緩和され、良好な表面平滑化効果が得られるため、素子作製時の短絡欠陥を防止することが可能であり、かつ、耐熱性を含めた駆動安定性に優れる。
【0020】
なお、正孔輸送性化合物を含む層は、陽極と発光層との間であればどこにあっても良く、後掲の図1〜3に示す如く、陽極上に直接設けるものに何ら限定されない。しかし、前述したように、湿式成膜法にて形成された該層は表面平坦性が高く、このような層を陽極上に形成することにより、陽極の表面粗さが緩和され、素子作製時の短絡欠陥の防止に効果的であるというこの層の長所を十分に生かすためには、陽極と接する位置に正孔注入層として形成するのが最も有利である。
【0021】
さらに、本発明において、正孔輸送性化合物を含む層に、該正孔輸送性化合物を酸化しうる電子受容性化合物をも含有させることにより、素子の発光特性と耐熱性を同時に改善することが可能である。即ち、電子供与性の正孔輸送性化合物に電子受容性化合物を併用することにより、電荷移動が起こり、結果としてフリーキャリアである正孔が生成するため、この層の電気電導度が高くなる。このような層を設けることで、発光層(有機層)と陽極(無機層である場合が多い)との電気的接合が改善され、素子の駆動電圧が低下すると同時に連続駆動時の安定性も向上する。
【0022】
また本発明において、正孔輸送性化合物を含む層は、さらに正孔輸送性ポリマーを含有していてもよい。該正孔輸送性ポリマーを含有させることにより、正孔輸送性化合物を含む層の正孔移動度の大幅な低下を招かずに、層中における正孔輸送性化合物の凝集を抑えることが可能であるため好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機電界発光素子は、陽極、陰極、および両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子において、陽極と発光層との間に、湿式成膜法により形成された下記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物を含有する層を有することを特徴とする。
【0024】
本発明で用いられる正孔輸送性化合物は、下記一般式(1)で表される。
【0025】
【化7】
Figure 2005026084
【0026】
(上記一般式(1)において、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。なおArとAr、およびArとArは、互いに結合して、各々独立に置換基を有していてもよい環を形成していても良い。
上記一般式(1)におけるナフタレン骨格は、−NArAr基および−NArAr基以外に、任意の基を有していてもよく、また該置換基同士、あるいは該置換基とAr〜Arから選ばれた1以上の基が結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
Ar〜Arとして具体的には、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基などの5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族炭化水素基、およびチエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ピロリル基、インドリル基、ベンゾインドリル基、イソインドリル基、ベンゾイソインドリル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ピリジル基、キノリル基、ナフトピリジル基、キノキサリニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基などの5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基が挙げられる。
【0027】
ArとAr、およびArとArは互いに結合して、各々独立に、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。例えば、ArおよびArがいずれもフェニル基である場合に、これらが結合し、−NArAr基全体としてN−カルバゾリル基を形成してなる化合物等が挙げられる。このような−NArAr基(または−NArAr基)としては、例えば以下に示す基が挙げられる。
【0028】
【化8】
Figure 2005026084
【0029】
前記一般式(1)におけるArないしArとしては、耐熱性の点からは、縮合環からなる芳香族炭化水素基または芳香族複素環基、特にα−ナフチル基、β−ナフチル基、9−フェナントリル基、p−ビフェニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基などの縮合多環式芳香族炭化水素基が好ましい。
また化合物の溶解性の点からは、m−トリル基、m−アニシル基、3,4−キシリル基などの、m−位にアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基が好ましく、イオン化ポテンシャルが低い点からは、p−トリル基、p−アニシル基などのp−位にアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基;4−ジフェニルアミノフェニル基等の4−(ジアリールアミノ)フェニル基;3−ジ−p−トリルアミノフェニル基等の3−(ジアリールアミノ)フェニル基がこのましい。
Ar〜Arにおける芳香族炭化水素基、芳香族複素環基、およびArとAr、またはArとArが結合してなる環は、置換基を有していてもよく、本発明の性能を損なわない限り、該置換基には特に制限はない。該置換基の詳細については後述する。
【0030】
前記一般式(1)におけるナフタレン骨格は、本発明の性能を損なわない限り、−NArAr基および−NArAr基以外に、任意の置換基を有していてもよく、該置換基同士、または該置換基と、Ar〜Arから選ばれた1以上の基が結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。
上記した任意の置換基としては、例えばハロゲン原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していても良いアルキニル基、置換基を有しても良いアラルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、置換基を有していても良いアリールオキシ基、置換基を有していても良いアミノ基、置換基を有していても良いアシル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、および置換基を有していても良い芳香族複素環基等が挙げられる。
【0031】
具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜11のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜11のアルキニル基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ等の炭素数6〜20のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、エチルメチルアミノ基等の、炭素数1〜10のアルキル鎖を有するジアルキルアミノ基;メチルフェニルアミノ基などの、炭素数1〜10のアルキル鎖と炭素数6〜20の芳香族炭化水素基部分を有するアルキルアリールアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基等の、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基部分を有するジアリールアミノ基;アセチル基等の2〜11のアシル基;フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基等の、5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族炭化水素基;および、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基、などが挙げられる。
【0032】
ナフタレン骨格が有しうる置換基としては、溶解性および化合物の正孔移動度を低減させないものが好ましい。具体的にはアルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ジアルキルアミノ基、またはジアリールアミノ基などが挙げられるが、中でも特に、メチル基、エチル基、メトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などが好ましい。最も好ましくは、ナフタレン骨格が−NArAr基および−NArAr基以外に置換基を有していない場合である。
【0033】
Ar〜Arにおける芳香族炭化水素基および芳香族複素環基、ArとAr、またはArとArが結合してなる環、並びに一般式(1)におけるナフタレン骨格が有する置換基が、有しうる置換基としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜11のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜11のアルキニル基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素数6〜20のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、エチルメチルアミノ基等の、炭素数1〜10のアルキル鎖を有するジアルキルアミノ基;メチルフェニルアミノ基などの、炭素数1〜10のアルキル鎖と炭素数6〜20の芳香族炭化水素基部分を有するアルキルアリールアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基等の、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基部分を有するジアリールアミノ基;アセチル基等の2〜11のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基;フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基等の、5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族炭化水素基;および、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基、などが挙げられる。これらはさらに置換されても良い。
【0034】
さらなる置換基としては、特に制限はないが、例えばアルキル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子等が挙げられる。
また前記一般式(1)において、ナフタレン骨格が有する−NArAr基および−NArAr基以外の置換基同士、または該置換基と、Ar1〜Ar4から選ばれた1以上の基が互いに結合して、該ナフタレン骨格に縮合する環を形成していてもよい。このように形成された環は、いずれも置換基を有していてもよく、該置換基としては例えば「Ar〜Arにおける芳香族炭化水素基および芳香族複素環基、ArとAr、またはArとArが結合してなる環、並びに一般式(1)におけるナフタレン骨格が有する置換基が、有しうる置換基」として前述した基と同様の基が挙げられる。
【0035】
前記一般式(1)のナフタレン骨格における、−NArAr基および−NArAr基の結合位置に、特に制限はないが、好ましくは2,6−位、2,7−位または1,5−位である。具体的には、下記一般式(2)〜(4)のいずれかで表される化合物が好ましい。
【0036】
【化9】
Figure 2005026084
【0037】
(上記一般式(2)および(3)におけるAr〜Arは、前記一般式(1)におけると同義である。
上記一般式(2)および(3)におけるナフタレン骨格は、−NArAr基および−NArAr基以外に、任意の置換基を有していてもよく、また該置換基同士、あるいは該置換基とAr〜Arから選ばれた1以上の基が結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
【0038】
【化10】
Figure 2005026084
【0039】
(上記一般式(4)におけるArおよびArは、前記一般式(1)におけると同義である。
〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。
【0040】
また上記一般式(4)におけるナフタレン骨格およびベンゼン環は、上記一般式(4)中に明記してある基以外に、任意の置換基を有していてもよく、また該置換基同士、あるいは該置換基と、Ar、Ar、R、R、RおよびRから選ばれた1以上の基とが結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
上記一般式(4)におけるR〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表すが、これらアルキル基、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基の具体例としては、「Ar〜Arにおける芳香族炭化水素基および芳香族複素環基、ArとAr、またはArとArが結合してなる環、並びに一般式(1)におけるナフタレン骨格が有する置換基が、有しうる置換基」として前述した基と同様の基が挙げられる。なお、これらアルキル基、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有しうる置換基としては、アルキル基、芳香族炭化水素基、およびハロゲン原子などが挙げられる。
【0041】
以下に、一般式(1)で表される正孔輸送性化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定するものではない。
【0042】
【表1】
Figure 2005026084
【0043】
【表2】
Figure 2005026084
【0044】
【表3】
Figure 2005026084
【0045】
【表4】
Figure 2005026084
【0046】
【表5】
Figure 2005026084
【0047】
【表6】
Figure 2005026084
【0048】
【表7】
Figure 2005026084
【0049】
前記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物のうち、ガラス転移温度等で表される耐熱性が高い点では一般式(2)で表される化合物が好ましく、合成が容易である点では一般式(3)で表される化合物が好ましい。また、溶解性および非晶質性が高い点では、一般式(4)で表される化合物が好ましい。
本発明で用いられる正孔輸送性化合物の分子量は通常450〜2000程度、好ましくは500〜1500程度、さらに好ましくは550〜1000程度である。
本発明で用いられる正孔輸送性化合物は、例えば、次のように、ジヒドロキシナフタレンを出発原料にして簡便に合成される。
【0050】
【化11】
Figure 2005026084
【0051】
ジヒドロキシナフタレンと一般式(6)で表される芳香族アミンを脱水反応させる。得られた一般式(7)で表される中間体を、一般式(8)で表される芳香族ハロゲン化物と反応させることにより、本発明に用いられる正孔輸送性化合物(9)が得られる。
(上記一般式(6)、(7)、(8)および(9)におけるAr21およびAr22は、前記一般式(1)におけるAr〜Arに相当し、各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子を表す。)
また、次の(a)または(b)のように段階的に反応させることで、非対称型の正孔輸送性化合物を得ることができる。
【0052】
【化12】
Figure 2005026084
【0053】
(a)ジヒドロキシナフタレンと一般式(10)で表される芳香族アミンを一対一で脱水反応させる。続いて、得られた一般式(11)で表される中間体と一般式(12)で表される芳香族アミン脱水反応させる。得られた一般式(13)で表される中間体を、一般式(14)で表される芳香族ハロゲン化物と反応させることにより、本発明に用いられる正孔輸送性化合物(15)が得られる。
(上記一般式(10)、(11)、(12)、(13)、(14)および(15)におけるAr23〜Ar25は、前記一般式(1)におけるAr〜Arに相当し、各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子を表す。)
【0054】
【化13】
Figure 2005026084
【0055】
(b)ジヒドロキシナフタレンと一般式(16)で表される芳香族アミン脱水反応させる。得られた一般式(17)で表される中間体を、一般式(18)で表される芳香族ハロゲン化物と一対一で反応させる。得られた一般式(19)で表される中間体を、一般式(20)で表される芳香族ハロゲン化物と反応させることにより、本発明に用いられるの正孔輸送性化合物(21)が得られる。
(上記一般式(16)、(17)、(18)、(19)、(20)および(21)におけるAr26〜Ar28は、前記一般式(1)におけるAr〜Arに相当し、各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子を表す。)
また、本発明に用いられる正孔輸送性化合物は、以下の(c)または(d)のような別法によって合成することも可能である。
【0056】
【化14】
Figure 2005026084
【0057】
(c)ジアミノナフタレンと一般式(22)で表される芳香族ハロゲン化物を一対二で反応させる。得られた一般式(23)で表される中間体を、一般式(24)で表される芳香族ハロゲン化物と反応させることにより、本発明に用いられる正孔輸送性化合物(25)が得られる。
(上記一般式(22)、(23)、(18)、(24)および(25)におけるAr29およびAr30は、前記一般式(1)におけるAr〜Arに相当し、各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子を表す。)
【0058】
【化15】
Figure 2005026084
【0059】
(d)二ハロゲン化ナフタレンと一般式(26)で表される芳香族アミンを一対一で反応させる。得られた一般式(27)で表される中間体を、一般式(28)で表される芳香族アミンと反応させることにより、本発明に用いられる正孔輸送性化合物(29)が得られる。
(上記一般式(26)、(27)、(28)および(29)におけるAr31〜Ar34は、前記一般式(1)におけるAr〜Arに相当し、各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。Xはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子などのハロゲン原子を表す。)
一般式(1)で表される化合物は、有機電界発光素子における陽極と発光層の間であれば、どの層に含有されていてもよく、例えば図1〜3に示す構成例で後述するように、正孔輸送層として使用してもよく、正孔注入層として使用しても良い。正孔輸送層と正孔注入層との両方に使用しても良い。
【0060】
正孔輸送層及び/又は正孔注入層に一般式(1)で表される化合物が含有される場合、同一の層内に2種以上の一般式(1)で表される化合物が含有されていても良く、各層に1種以上ずつ含有されていてもよい。正孔輸送層及び正孔注入層の双方に一般式(1)で表される化合物が含有されている場合、これらの層に含有される正孔輸送性化合物は、同一であっても異なっていてもよい。
【0061】
なお、本発明の有機電界発光素子において、陽極−発光層間の層が、1つの場合にはこれを「正孔注入層」と称し、2つ以上の場合は陽極に接している層を「正孔注入層」、それ以外の層を総称して「正孔輸送層」と称す。
以下に、本発明の正孔輸送性化合物を含有する層を、正孔注入層として有する場合を例に、本発明の有機電界発光素子及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0062】
図1〜3は本発明の有機電界発光素子の実施の形態を示す模式的な断面図であり、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は正孔輸送層、5は発光層、6は電子輸送層、7は陰極を各々表わす。
基板1は、有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板またはフイルムが好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
【0063】
図1に示す素子において、基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は正孔輸送層4への正孔注入の役割を果たすものである。陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物などの導電性の金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより形成される。陽極2は、通常、基板1上へのスパッタリング、真空蒸着などにより形成されることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などで陽極2を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液中に分散させて、基板1上に塗布する方法により形成することもできる。さらに、導電性高分子で陽極2を形成する場合には、電解重合により基板1上に直接重合薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子溶液を塗布する方法によることもできる(Appl. Phys. Lett., 60 巻, 2711頁,1992年)。陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料の積層構造とすることも可能である。
【0064】
陽極2は、不透明であっても良いが、透明であることが好ましい。通常は、可視光の透過率が60%以上、特に80%以上であることが好ましい。この透明性を確保するため、陽極2の厚みの上限は通常1000nm好ましくは500nmであり、下限は通常5nm好ましくは10nmである。不透明で良い場合は陽極2の厚さは任意であり、所望により金属で形成して基板1を兼ねても良い。
【0065】
図1に示す素子構造においては、陽極2の上に正孔注入層3が設けられる。この正孔注入層3に用いられる材料に要求される条件としては、陽極2からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが挙げられる。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。
【0066】
本発明の有機電界発光素子は、好ましくはこの正孔注入層3を、前記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物を含有する層とする。また、本発明においては、この正孔注入層3を湿式成膜法で陽極2上に形成することにより、素子の駆動電圧を下げるとともに、陽極2(ITOなど)表面を平坦化し、電極間の短絡を防止する効果を得る。また、正孔輸送能に優れ、ガラス転移温度の高い正孔輸送性化合物を用いることで、高温において安定な発光特性を維持できる有機電界発光素子を提供できる。
【0067】
なお、本発明の性能を損わない範囲で、該層は前記一般式(1)で表される化合物以外の正孔輸送性化合物を含有していてもよい。
また本発明の有機電界発光素子における正孔注入層3は、更に電子受容性化合物を併用させると好ましい。電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより、正孔注入層3の導電率を向上させる機能を有する。このような化合物として、例えば下記一般式(5)に示すホウ素原子を有した化合物が好適である。
【0068】
【化16】
Figure 2005026084
【0069】
(上記一般式(5)において、Ar〜Arは各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。)
前記一般式(5)で表される電子受容性化合物は、ルイス酸であることが好ましい。また、該化合物の電子親和力は4eV以上であることが好ましく、5eV以上であればより好ましい。
【0070】
電子受容性化合物を表す前記一般式(5)において、好ましくは、Ar〜Arは各々独立に、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基等の、5または6員環の単環、またはこれらが2〜3個縮合及び/または直接結合してなる芳香族炭化水素環基であるか、或いは置換基を有していても良いチエニル基、ピリジル基、トリアジル基、ピラジル基、キノキサリル基等の、5または6員環の単環、またはこれらが2〜3個縮合及び/または直接結合してなる芳香族複素環基を表す。
【0071】
前記置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチル基等のアシル基、トリフルオロメチル基等のハロアルキル基、シアノ基等が挙げられる。
【0072】
この置換基として、特に好ましくは、ハメット定数(σ および/またはσ)が正の値を有する置換基である(“Lange’s Handbook of Chemistry”, McGraw−Hill, 14th Ed.,Section 9参照)。
前記一般式(5)で表される化合物として、より好ましくは、ArないしArの少なくとも1つが、ハメット定数(σおよび/またはσ)が正の値を示す置換基を有する化合物であり、特に好ましくは、ArないしArが、いずれもハメット定数(σおよび/またはσ)が正の値を示す置換基を有する化合物である。このような、電子吸引性の置換基を有することにより、該化合物の電子受容性が向上するため、好ましい。最も好ましくは、ArないしArがいずれも、ハロゲン原子で置換された芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を表す化合物である。
【0073】
前記一般式(5)で表されるホウ素を含む電子受容性化合物の、好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
【0074】
【化17】
Figure 2005026084
【0075】
【化18】
Figure 2005026084
【0076】
【化19】
Figure 2005026084
【0077】
これらの内、特に好ましくは、以下に示す化合物が挙げられる。
【0078】
【化20】
Figure 2005026084
【0079】
なお、正孔注入層3において、前記正孔輸送性化合物に対する電子受容性化合物の含有量は、通常100モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下であり、また通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。
本発明で用いられる電子受容性化合物としては、前記一般式(5)で表される化合物が好ましいが、これ以外でも、公知のルイス酸等から適宜選択された化合物を、電子受容性化合物として使用してもよい。具体的には、例えば下記に示す化合物等が、電子受容性化合物として使用できる。
【0080】
【化21】
Figure 2005026084
【0081】
本発明の有機電界発光素子において使用する電子受容性化合物としては、併用する正孔輸送性化合物との間で電荷移動を起こすものであればよいが、特に正孔輸送性化合物のイオン化ポテンシャル:IP(HTM)と、電子受容性化合物(アクセプタ)の電子親和力:EA(アクセプタ)の2つの物性値が、
IP(HTM)−EA(アクセプタ)≦ 0.7eV
の関係式で表される場合に、本発明の目的に有効である。
【0082】
イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定されるか、電気化学的に測定した酸化電位を基準電極に対して補正しても求められる。後者の方法の場合は、例えば、飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、
イオン化ポテンシャル=酸化電位(vs.SCE)+4.3 eV
で表される(“Molecular Semiconductors”, Springer−Verlag, 1985年、98頁)。電子親和力は、上述のイオン化ポテンシャルから光学的バンドギャップを差し引いて求められるか、電気化学的な還元電位から上記の式で同様に求められる。
【0083】
前記イオン化ポテンシャルと電子親和力の関係式は、酸化電位と還元電位を用いて、
【0084】
【数1】
{酸化電位(HTM)}−{還元電位(アクセプタ)}≦ 0.7eV
と表現することもできる。
本発明の正孔輸送性化合物を含有する層は、更に正孔輸送性ポリマーを含有していても良い。本発明における正孔輸送性ポリマーとは、重量平均分子量が1,000〜1,000,000の芳香族三級アミン構造を有する化合物を意味する。具体的には、例えば下記一般式(6)で表される繰り返し単位を有する正孔輸送性ポリマーが好適である。
【0085】
【化22】
Figure 2005026084
【0086】
(上記一般式(6)において、Ar〜Ar10は各々独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素残基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環残基を示し、RおよびR10は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を示し、Xは下記構造式で表される連結基から選ばれた基を示す。)
【0087】
【化23】
Figure 2005026084
【0088】
(式中、Ar11〜Ar17は各々独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素残基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環残基を示す。Ar18は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を示し、R11およびR12は各々独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していても良いアルケニル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基を示す。)
Ar〜Ar17として具体的にはベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、ピレン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環などの5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族炭化水素環の2価の残基、およびチオフェン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、フラン環、ベンゾフラン環、ジベンゾフラン環、ピロール環、インドール環、ベンゾインドール環、イソインドール環、ベンゾイソインドール環、カルバゾール環、ベンゾカルバゾール環、ピリジン環、キノリン環、ナフトピリジン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環などの5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基の2価の残基が挙げられる。
【0089】
Ar18として具体的には、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基などの5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族炭化水素基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ピロリル基、インドリル基、ベンゾインドリル基、イソインドリル基、ベンゾイソインドリル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ピリジル基、キノリル基、ナフトピリジル基、キノキサリニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基などの5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基が挙げられる。
【0090】
11およびR12として具体的には、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜7のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基などの5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族炭化水素基;チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ピロリル基、インドリル基、ベンゾインドリル基、イソインドリル基、ベンゾイソインドリル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ピリジル基、キノリル基、ナフトピリジル基、キノキサリニル基、フェナントリジニル基、フェナントロリニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基などの5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基などが挙げられる。
【0091】
Ar〜Ar18、R11およびR12が有しうる置換基は、本発明の性能を損なわない限り特に制限はないが、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜11のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基等の炭素数2〜11のアルキニル基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜20のアラルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜20のアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、エチルメチルアミノ基等の、炭素数1〜10のアルキル鎖を有するジアルキルアミノ基;メチルフェニルアミノ基などの、炭素数1〜10のアルキル鎖および炭素数6〜20の芳香族炭化水素基部分を有するアルキルアリールアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基等の、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基部分を有するジアリールアミノ基;アセチル基等の2〜11のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基;フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基、ピレニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基等の、5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族炭化水素基;および、チエニル基、ベンゾチエニル基、フリル基、ベンゾフリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ピリジル基、キノリル基、キノキサリル基などの、5または6員環の単環または2〜4縮合環からなる芳香族複素環基、から選ばれた1以上の基が挙げられ、これらはさらに置換されても良い。
【0092】
さらなる置換基としては、特に制限はないが、例えばアルキル基、芳香族炭化水素基、ハロゲン原子が挙げられる。
前記一般式(6)で表される、正孔輸送性ポリマーの繰り返し単位について、好ましい具体例を以下に示すが、これらに限定するものではない。
【0093】
【表8】
Figure 2005026084
【0094】
【表9】
Figure 2005026084
【0095】
【表10】
Figure 2005026084
【0096】
本発明において、正孔輸送性材料と併用される正孔輸送性ポリマーとしては、上記一般式(6)で表される部分構造を有するものが好ましいが、これ以外の正孔輸送性ポリマー、例えば芳香族三級アミノ基を主鎖中に含む、以下の繰り返し単位を有する正孔輸送性ポリマー等が使用できる。
【0097】
【化24】
Figure 2005026084
【0098】
(上記一般式(30)式中、Ar53〜Ar57は、各々独立して置換基を有していても良い2価の芳香族環基を示し、R51〜R52は置換基を有していても良い1価の芳香族環基を示し、X51は直接結合、または下記の連結基から選ばれる。なお、本発明において、「芳香族環基」とは、「芳香族炭化水素環由来の基」及び「芳香族複素環由来の基」の両方を含む。)
【0099】
【化25】
Figure 2005026084
【0100】
(上記一般式(31)式中、Ar58は置換基を有していても良い2価の芳香族環基を示し、Ar59は置換基を有していても良い1価の芳香族環基を示す。)
前記一般式(30)において、Ar53〜Ar57は、好ましくは、各々独立して置換基を有していても良い2価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニルであり、前記置換基としてはハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基が挙げられる。前記置換基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が、特に好ましくはメチル基が挙げられる。
【0101】
51〜R52は、好ましくは、各々独立して置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピリジル基、トリアジル基、ピラジル基、キノキサリル基、チエニル基、ビフェニル基であり、前記置換基としてはハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基が挙げられる。
【0102】
前記一般式(30)で表される構造を繰り返し単位として有する化合物は、例えば、城戸らの方法(Polymers for Advanced Technologies, 7巻,31頁,1996年;特開平9−188756号公報)に開示されている経路で合成される。
前記一般式(31)において、Ar58は、置換基を有していても良い2価の芳香族環基、好ましくは正孔輸送性の面からは芳香族炭化水素環基であり、具体的には置換基を有していても良い2価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニル、ターフェニル等が挙げられ、前記置換基としてはハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基が挙げられる。前記置換基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が、特に好ましくはメチル基が挙げられる。
【0103】
Ar59は、置換基を有していても良い芳香族環基、好ましくは正孔輸送性の面からは芳香族炭化水素環基であり、具体的には、置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピリジル基、トリアジル基、ピラジル基、キノキサリル基、チエニル基、ビフェニル基等が挙げられ、前記置換基としてはハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基が挙げられる。
【0104】
前記一般式(31)で表される構造を繰り返し単位として有する化合物は、例えば、以下の原料及び反応式に従って、キシレン等の有機溶媒中、パラジウム触媒の存在下で、110℃で16時間反応させることにより合成することができる。
【0105】
【化26】
Figure 2005026084
【0106】
また、芳香族三級アミノ基を側鎖として含む正孔輸送性化合物としては、例えば、以下の一般式(32)及び(33)で表される構造を有する繰り返し単位として有する化合物が挙げられる。
【0107】
【化27】
Figure 2005026084
【0108】
(上記一般式(32)中、Ar60は置換基を有していても良い2価の芳香族環基を示し、Ar61〜Ar62は置換基を有していても良い1価の芳香族環基を示し、R53〜R55は、各々独立して水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、または置換基を有していても良い1価の芳香族環基を示す。)
【0109】
【化28】
Figure 2005026084
【0110】
(上記一般式(33)中、Ar63〜Ar67は、各々独立して置換基を有していても良い2価の芳香族環基を示し、R56〜R57は置換基を有していても良い芳香族環基を示し、X52は直接結合、または下記の連結基から選ばれる。)
【0111】
【化29】
Figure 2005026084
【0112】
前記一般式(32)において、Ar60は、好ましくは、各々置換基を有していても良い2価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニルであり、前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、特に好ましくはメチル基が挙げられる。
【0113】
Ar61及びAr62は、好ましくは、各々独立してフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピリジル基、トリアジル基、ピラジル基、キノキサリル基、チエニル基、ビフェニル基であり、これらは置換基を有していても良い。置換基としては例えば、ハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基が挙げられる。
【0114】
53〜R55は、好ましくは、各々独立して、水素原子;ハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェニル基;トリル基である。
前記一般式(32)で表される構造を繰り返し単位として有する化合物は、例えば、特開平1−105954号公報に開示されている経路で合成される。
【0115】
前記一般式(33)において、Ar63〜Ar67は、好ましくは、各々独立して置換基を有していても良い2価のベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニルであり、前記置換基としてはハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基が挙げられる。前記置換基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基が、特に好ましくはメチル基が挙げられる。
【0116】
56〜R57は、好ましくは、各々独立して置換基を有していても良いフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピリジル基、トリアジル基、ピラジル基、キノキサリル基、チエニル基、ビフェニル基であり、前記置換基としてはハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6の直鎖または分岐のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基等のジアルキルアミノ基が挙げられる。
【0117】
前記一般式(33)で表される化合物は、例えば、城戸らの方法(Polymers for Advanced Technologies, 7巻,31頁,1996年;特開平9−188756号公報)に開示されている経路で合成される。
前記一般式(30)〜(33)で示される構造のうち好ましい例を以下に示すが、何らこれらに限定されない。
【0118】
【化30】
Figure 2005026084
【0119】
本発明に係る正孔輸送性ポリマーは、前記一般式(6)および前記一般式(30)〜(33)のいずれかで表される繰り返し単位からなるホモポリマーであることが最も好ましいが、他の任意のモノマーとの共重合体(コポリマー)であっても良い。共重合体である場合、前記一般式(6)および(30)〜(33)のいずれかで表される構成単位の合計を50モル%以上、特に70モル%以上含有することが好ましい。
【0120】
なお、本発明に係る正孔輸送性ポリマーは、一化合物中に、前記一般式(6)および(30)〜(33)、のいずれかで表される構造を複数種含有していても良い。
本発明の有機電界発光素子において、前記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物を含有する層中には、前記一般式(6)および(30)〜(33)のいずれかで表される構造を含む化合物を、複数種併用して用いても良い。
【0121】
また、本発明の性能を損わない範囲で、上記以外の各種正孔輸送性ポリマーが含まれていてもよく、このようなポリマーとしては、例えばポリフルオレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレンなどが挙げられる。
なお、陽極から正孔注入層への電荷注入障壁を考慮すると、正孔輸送性ポリマーのイオン化ポテンシャルは5.4eV以下程度であることが好ましい。
正孔注入層3が正孔輸送性ポリマーを含む場合、該層に単なるバインダ樹脂(上述した正孔輸送性ポリマーに該当しない樹脂)を含有させた場合とは異なり、該層における正孔移動度の大幅な低下を招かずに、層中における正孔輸送性化合物の凝集を抑える効果が期待される。よって、正孔輸送性および耐熱性の面から、正孔輸送性ポリマーの含有量は、該層中80重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。また5重量%以上が好ましく、10重量%以上がさらに好ましい。
【0122】
本発明において、前記正孔輸送性化合物を含有する正孔注入層3は、湿式成膜法により前記陽極2上に形成される。例えば、前記正孔輸送性化合物の所定量に、必要に応じて電子受容性化合物、正孔輸送性ポリマー、正孔のトラップにならないバインダー樹脂(上述した正孔輸送性ポリマーに該当しない樹脂)、および塗布性改良剤などの添加剤等を添加し、溶解して塗布溶液を調製する。これをスプレー法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法等の塗布法や、インクジェット法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の印刷法などの湿式成膜法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔注入層3を形成する。
【0123】
なお、バインダ樹脂を含有する場合、その種類や含有量によっては、正孔注入層3中の正孔移動度が低下するおそれがある。よって正孔移動度の面からは、バインダ樹脂の含有量は、該層中50重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、実質的にバインダ樹脂を含有しない場合が最も好ましい。
前述の如く、従来の有機電界発光素子では、ITO等の陽極2の表面粗さに起因する素子作製時の短絡の問題があったが、このように湿式成膜法により形成された正孔注入層は、表面が平滑なものとなるため、この短絡の問題を解消することができる。このようにして形成される正孔注入層3の膜厚は、上限値が通常1000nm程度、好ましくは500nm程度である。また下限値は通常5nm程度、好ましくは10nm程度である。
【0124】
図1に示す素子において、正孔注入層3の上には発光層5が設けられる。発光層5は、電界を与えられた電極間において、陽極2から注入されて正孔注入層3を移動する正孔と、陰極7から注入された電子との再結合により、励起されて強い発光を示す化合物を主成分とする。
また、この化合物は、安定な薄膜形状を有し、固体状態で高い(発光の)量子収率を示し、正孔および/または電子を効率よく輸送することができることが必要である。さらに電気化学的かつ化学的に安定であり、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求される。
【0125】
このような条件を満たし、蛍光を示す発光層を形成する化合物としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの錯体化合物(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの錯体化合物(特開平6−322362号公報)、ビススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、同2−222484号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの錯体化合物(特開平8−315983号公報)、シロール誘導体等が挙げられる。また、正孔輸送層4の材料として後述するもののうち、蛍光性を有する芳香族アミン系化合物も発光層材料として用いることができる。これらの発光層材料は、通常は真空蒸着法により正孔注入層3上に積層される。
【0126】
発光層5の膜厚の上限は通常200nm好ましくは100nmであり、下限は通常10nm好ましくは20nmである。
発光層5も正孔注入層3と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
素子の発光効率を向上させるとともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレーザー用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phys., 65巻, 3610頁, 1989年)等が行われている。このドーピング手法は、発光層5にも適用でき、ドープ用材料としては、クマリン以外にも各種の蛍光色素が使用できる。青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリンおよびそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
【0127】
上記のドープ用蛍光色素以外にも、ホスト材料に応じて、レーザー研究,8巻,694頁,803頁,958頁(1980年);同9巻,85頁(1981年)、に列挙されている蛍光色素が発光層用のドープ材料として使用することができる。
ホスト材料に対して上記蛍光色素がドープされる量は、10−3重量%以上、10重量%以下が好ましい。
【0128】
上述の蛍光色素を発光層5のホスト材料にドープする方法を以下に説明する。
塗布の場合は、前記発光層5のホスト材料と、ドープ用蛍光色素、さらに必要により、電子のトラップや発光の消光剤とならないバインダー樹脂や、レベリング剤等の塗布性改良剤などの添加剤を添加し溶解した塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により正孔注入層3上に塗布し、乾燥して発光層5を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔/電子移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常発光層5中の含有量で50重量%以下が好ましい。
【0129】
真空蒸着法の場合には、前記ホスト材料を真空容器内に設置されたルツボに入れ、ドープする蛍光色素を別のルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のルツボを同時に加熱して蒸発させ、ルツボと向かい合って置かれた基板上に層を形成する。また、他の方法として、上記の材料を予め所定比で混合したものを同一のルツボを用いて蒸発させてもよい。
【0130】
上記各ドーパントが発光層中にドープされる場合、発光層の膜厚方向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。例えば、正孔注入層3側の界面近傍にのみドープしたり、逆に、陰極7側の界面近傍にドープしてもよい。
燐光を示す発光層は通常、燐光性ドーパントとホスト材料から形成される。
【0131】
燐光性ドーパントとしては、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)等のポルフィリン錯体(USP 6,303,238号公報)、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウムなどの有機イリジウム錯体(WO 00/70655号公報)、ビス(2−チエニルピリジン)白金などの有機白金錯体(WO 00/57676号公報)、ビス(2−(2’−ベンゾチエニル)−ピリジナト)イリジウム(アセチルアセトナト)等の混合配位子有機金属錯体(WO 01/41512号公報)、等が挙げられる。
【0132】
ホスト材料としては、4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニルなどのカルバゾール誘導体(WO 00/70655号公報)、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(USP 6,303,238号公報)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリル)トリス[1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール](Appl. Phys. Lett., 78巻, 1622項, 2001)、ポリビニルカルバゾール(特開2001−257076号公報)等が挙げられる。
【0133】
これらの材料からなる発光層も、蛍光を発する発光層と同様の方法で形成することができ、膜厚も前記蛍光発光層と同程度である。
本発明の有機電界発光素子の発光特性を向上させるために、図2に示すように、正孔注入層3と発光層5との間に正孔輸送層4を設けたり、さらには、図3に示す様に発光層5と陰極7との間に電子輸送層6を設けるなど、機能分離型素子としてもよい。
【0134】
図2及び図3の機能分離型素子において、正孔輸送層4の材料としては、正孔注入層3からの正孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが必要である。そのためには、イオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが要求される。また、発光層と直接接する層であるために、発光を消光する物質が含まれていないことが望ましい。
【0135】
このような正孔輸送材料としては、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開平5−234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国特許第4,923,774号)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族ジアミン(米国特許第4,764,625号)、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−p−キシレン(特開平3−269084号公報)、分子全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体(特開平4−129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジアミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結した芳香族ジアミン(特開平4−264189号公報)、スチリル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公報)、チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結したもの(特開平4−304466号公報)、スターバースト型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)、ベンジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報)、フルオレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5−25473号公報)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公報)、ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−320634号公報)、N,N,N−トリフェニルアミン誘導体(特開平6−1972号公報)、フェノキサジン構造を有する芳香族ジアミン(特開平7−138562号公報)、ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公報)、ヒドラゾン化合物(特開平2−311591号公報)、シラザン化合物(米国特許第4,950,950号公報)、シラナミン誘導体(特開平6−49079号公報)、ホスファミン誘導体(特開平6−25659号公報)、キナクリドン化合物等が挙げられる。
【0136】
これらの化合物は、単独で用いても良いし、必要に応じて、各々、混合して用いても良い。
上記の化合物以外に、正孔輸送層4の材料として、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルトリフェニルアミン(特開平7−53953号公報)、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン(Polym. Adv. Tech., 7巻、33頁、1996年)等の高分子材料が挙げられる。
【0137】
正孔輸送層4は上記の正孔輸送性化合物を塗布法あるいは真空蒸着法により前記正孔注入層3上に積層することにより形成される。
塗布法の場合は、正孔輸送性化合物の1種または2種以上に、必要により正孔のトラップにならないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤とを添加し、溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法などの方法により正孔注入層3上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4を形成する。ここで、バインダー樹脂としては、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バインダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させるので、少ない方が望ましく、通常50重量%以下が好ましい。
【0138】
真空蒸着法の場合には、正孔輸送性化合物を真空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、ルツボを加熱して、正孔輸送性化合物を蒸発させ、ルツボと向き合って置かれた、陽極2および正孔注入層3が形成された基板1上に正孔輸送層4を形成する。
このようにして形成される、正孔輸送層4の膜厚の上限は通常300nm、好ましくは100nmであり、下限は通常5nm、好ましくは10nmである。このように薄い膜を一様に形成するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
【0139】
図1に示す素子構造において、発光層5の上に設けられる陰極7は、発光層5に電子を注入する役割を果たす。陰極7として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
【0140】
さらに陰極7と、発光層5または電子輸送層6の界面にLiF、MgF、LiO等の極薄絶縁膜(膜厚0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl. Phys. Lett., 70巻,152頁,1997年;特開平10−74586号公報;IEEE Trans. Electron. Devices,44巻,1245頁,1997年)。
【0141】
陰極7の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す上で有効である。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図3に示す如く、発光層5と陰極7の間に電子輸送層6を設けてもよい。電子輸送層6は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層5の方向に輸送することができる化合物より形成される。このような電子輸送材料としては、既に発光層材料として挙げた8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体、オキサジアゾール誘導体(Appl. Phys. Lett., 55巻, 1489頁, 1989年) やそれらをポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の樹脂に分散した系、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げられる。
さらに、上記各化合物に代表される電子輸送材料とともに、芳香族アミン化合物等の正孔輸送性材料を少量含有させてもよい。
【0142】
電子輸送層6の膜厚の上限は通常200nm、好ましくは100nmであり、下限は通常5nm、好ましくは10nmである。
電子輸送層6は、正孔輸送層4と同様にして塗布法あるいは真空蒸着法により、発光層5上に形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
図1〜3は、本発明で採用される素子構造の一例であって、本発明は何ら図示のものに限定されるものではない。例えば、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極7、発光層5、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能であり、少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2及び図3に示したものについても、前記各構成層を逆の構造に積層することも可能である。また、各層間に前述の層以外の任意の層が形成されていても良い。
【0143】
なお、ここまでは、本発明の正孔輸送性化合物を含有する層を、陽極に接する正孔注入層として設けた場合を例に、本発明の有機電界発光素子とその製法について説明したが、本発明の素子において、該層は必ずしも正孔注入層である必要はなく、陽極と発光層との間に設けられていれば良い。
ただし、この湿式成膜法で形成される層を正孔注入層として陽極に接して設けることにより、陽極の表面粗さに起因する素子の短絡の問題を解消することができ、また、耐熱性の高い層を陽極に接して設けることで高温下での安定性も高められ、より好ましい。
【0144】
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる構造、および陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造等、いずれにおいても適用することができる。
【0145】
【実施例】
次に、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0146】
(実施例1)
例示化合物(1−1)の合成
1) N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−2,6−ナフタレンジアミンの合成
2,6−ジヒドロキシナフタレン15.0g(0.093mol)、p−トルイジン28.1g(0.262mol)、ヨウ素1.2g(0.0047mol)にテトラエチレングリコールジメチルエーテル4mLを加え、窒素下、165℃で10時間反応させた。反応終了後、反応液にエタノール200mLを加え、30分間還流させた。放冷後、得られた結晶を濾過により回収し、酢酸エチルおよびエタノールで洗浄することにより、白色針状結晶18.6g(0.055mol,収率59%)が得られた。
2) N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−N,N’−ジ(9−フェナントリル)−2,6−ナフタレンジアミンの合成
N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−2,6−ジアミノナフタレン10.9g(0.032mol)、9−ヨードフェナントレン23.5g(0.077mol)、銅4.1g(0.064mol)、炭酸カリウム13.4g(0.097mol)にテトラエチレングリコールジメチルエーテル30mLを加え、窒素下、200℃で8時間反応させた。反応終了後、反応液にTHF300mLを加え不溶物を濾別した。濾液に含まれるTHFを減圧留去した後、メタノールに注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収した。得られた沈殿物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=2/1)によって精製し、メタノールで洗浄することにより薄黄色粉末14.3g(0.021mol,
64%)が得られた。
【0147】
この薄黄色粉末7.00gを昇華精製したところ、黄色固体6.30g(収率90%)が回収された。回収物の質量分析を行ったところ、分子量が690であったことから、該黄色固体が例示化合物(1−1)であることを確認した。該黄色固体のH−NMR(CDCl,270MHz)データを以下に示す。
8.73(d,2H,J=9.3)
8.69(d,2H,J=9.3)
8.09(dd,2H,J=8.2,1.0)
7.73(dd,2H,J=7.6,1.6)
7.66−7.52(m,6H)
7.58(s,2H)
7.45(ddd,2H,7.3,7.1,1.0)
7.36−7.19(m,4H)
7.23(s,2H)
2.29(s,6H)
得られた化合物について、セイコー電子社製DSC−20により示差熱分析測定したところ、Tgは156℃と高い値を示した。融点は高い非晶質性のために検出できなかった。
【0148】
また、BAS社製エレクトロケミカルアナライザー650Aにより、過塩素酸テトラブチルアンモニウム0.1Mの塩化メチレン溶液中で、作用電極としてBAS製GCE、対電極としてPt線、参照電極としてAg線を用いてサイリックボルタンメトリーを測定したところ、酸化還元電位は0.56V(vs.SCE)であった。なお、酸化還元電位は内標物質としてフェロセン/フェロセニウムを用いて換算した。
真空蒸着により作成した、例示化合物(1−1)からなる薄膜試料のイオン化ポテンシャルを、理研計器(株)製の紫外線電子分析装置(AC−1)を用いて測定したところ、4.75eVであった。
【0149】
(実施例2)
例示化合物(3−1)の合成
1) N,N’−ビス[4−(フェニルアミノ)フェニル]−2,7−ナフタレンジアミンの合成
2,7−ジヒドロキシナフタレン8.0g(0.050mol)、N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン22.5g(0.125mol)、ヨウ素0.7gにテトラエチレングリコールジメチルエーテル2mLを加え、窒素下、200℃で8時間反応させた。反応終了後、反応液にエタノール200mLを加え、30分間還流させた。放冷後、得られた結晶を濾過により回収し、エタノールで洗浄することにより、青色固体12.6g (0.026mol,収率51%)が得られた。
2) N,N’−ビス[4−(4−メチルジフェニルアミノ)フェニル]−N,N’−ビス(4−メチルフェニル)−2,7−ナフタレンジアミンの合成
N,N’−ビス[4’−(フェニルアミノ)フェニル]−2,7−ナフタレンジアミン1.47g(0.0030mol)、p−ヨードトルエン3.27g (0.0175mol)、銅0.95g(0.0175mol)、炭酸カリウム4.15g(0.035mol)にテトラエチレングリコールジメチルエーテル4mLを加え、窒素下、180℃で8時間反応させた。反応終了後、反応液にクロロホルム100mLを加え不溶物を濾別した。濾液に含まれるクロロホルムを減圧留去した後、メタノールに注ぎ、得られた沈殿物を濾過により回収した。得られた沈殿物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/トルエン=2/1)によって精製し、メタノールで洗浄することにより黄色粉末1.07g(0.0013mol,42%)が得られた。
【0150】
この黄色粉末0.82gを昇華精製したところ、黄色アメ状固体0.61g(収率74%)が回収された。回収物の質量分析を行ったところ、分子量が853であったことから、該黄色アメ状固体が例示化合物(3−1)であることを確認した。該黄色アメ状固体のH−NMR(CDCl,270MHz)データを以下に示す。
7.56(d,2H,J=8.3)
7.20(d,4H,J=7.6)
7.15−6.89(m,34H)
2.31(s,12H)
得られた化合物につき、セイコー電子社製DSC−20により示差熱分析測定したところ、Tgは114℃と高い値を示した。融点は高い非晶質性のために検出できなかった。
【0151】
BAS社製エレクトロケミカルアナライザー650Aにより、過塩素酸テトラブチルアンモニウム0.1Mの塩化メチレン溶液中で、作用電極としてBAS製GCE、対電極としてPt線、参照電極としてAg線を用いてサイリックボルタンメトリーを測定したところ、酸化還元電位は0.41V(vs.SCE)であった。なお、酸化還元電位はフェロセン/フェロセニウムを用いて換算した。
【0152】
(実施例3)
図3に示す構造を有する有機電界発光素子を、以下の方法で作製した。
ガラス基板1上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を 120nm堆積したもの(ジオマテック社製;電子ビーム成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて 2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
【0153】
次に、正孔輸送性化合物(例示化合物(1−1))と、正孔輸送性ポリマー(例示化合物(4−1))(重量平均分子量25,300;ガラス転移温度171℃)と、電子受容性化合物(例示化合物(A−2))とを含有する安息香酸エチル溶液を以下の濃度で調製した。
例示化合物(1−1): 1.67 [重量%]
例示化合物(4−1): 0.33 [重量%]
例示化合物(A−2) : 0.02 [重量%]
得られた溶液を、上記ITOガラス基板上にスピンコート(スピナ回転数1,500rpm;スピナ回転時間30秒)し、100℃で90分間乾燥して、30nmの膜厚の均一な薄膜形状を有する正孔注入層3を形成した。
【0154】
次に、上記正孔注入層3を形成した基板を、真空蒸着装置内に設置した。この装置の粗排気を油回転ポンプにより行った後、装置内の真空度が2×10−6Torr(約2.7×10−4Pa)以下になるまで液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプを用いて排気した。
配置されたセラミックルツボに、下記に示す芳香族アミン化合物(Q−1)を入れ、ルツボの周囲のタンタル線ヒーターで加熱して蒸着を行った。蒸着時の真空度は1.3×10−6Torr(約1.7×10−4Pa)で、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒で膜厚40nmの正孔輸送層4を成膜した。
【0155】
【化31】
Figure 2005026084
【0156】
引続き、発光層5の材料として、以下の構造式に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(Q−2)と前記の芳香族アミン化合物(Q−1)およびC545T(Q−3)を同時に蒸着した。
【0157】
【化32】
Figure 2005026084
【0158】
正孔輸送層4と同様にして蒸着を行った。アルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(Q−2)に対する芳香族アミン化合物(Q−1)の割合は50重量%、アルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(Q−1)に対するC545Tの割合は0.8重量%になるようにした。この時の蒸着時の真空度は0.8×10−6Torr(約1.0×10−4Pa)で、アルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(Q−2)および芳香族アミン化合物(Q−1)の蒸着速度は0.1〜0.2nm/秒であった。また、C545Tの蒸着速度は約0.0012nm/秒であった。このように蒸着された発光層5の膜厚は30nmであった。
【0159】
続いて、電子輸送層6としてアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(Q−2)および前記の芳香族アミン化合物(Q−1)を蒸着し成膜を行った。アルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(Q−2)に対する芳香族アミン化合物(Q−1)の割合は50重量%になるようにした。蒸着時の真空度は1.5×10−6Torr(約2×10−4Pa)で、アルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(Q−2)および芳香族アミン化合物(Q−1)の蒸着速度は0.1〜0.2nm/秒で、蒸着された電子輸送層の膜厚は30nmであった。
【0160】
なお、上記の正孔輸送層4及び発光層5、電子輸送層6を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層6までの蒸着を行った素子を一旦前記真空蒸着装置内より大気中に取り出し、陰極7蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプと直交するように素子に密着させた。この素子を別の真空蒸着装置内に設置し、有機層と同様にして装置内の真空度が2×10−6Torr(約2.7×10−4Pa)以下になるまで排気した。
【0161】
陰極7として、まず、フッ化リチウム(LiF)をモリブデンボートを用いて膜厚0.3nm となるようにして蒸着した。蒸着時の真空度は5.0×10−6Torr(約6×10−4Pa)であった。さらに、この上部に、アルミニウムをモリブデンボートを用いて膜厚80nmとなるように蒸着して陰極7を形成した。蒸着時の真空度は1.0×10−5Torr(約1.3×10−3Pa)であった。陰極7の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
【0162】
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性を表−1に示す。表−1において、発光輝度は250mA/cmの電流密度での値、発光効率は100cd/mでの値、輝度/電流は輝度−電流密度特性の傾きを、電圧は100cd/mでの値を各々示す。
【0163】
次に、85℃の条件下で、この素子のDCおよび1/64duty駆動寿命試験を行った。
作成した素子について、85℃に制御した恒温槽内で通電試験を行った。DC駆動については、素子の試験開始時の輝度が300cd/mとなる一定の電流値を外部より通電した。
【0164】
Duty駆動については、フレーム周波数70Hz、Duty比1/64の定電流パルス通電し、非点灯時には−10Vの逆バイアスを印加した。すなわち、1フレームは約14,286μsであり、1フレーム内において開始後223μsまで、矩形パルス定電流を通電した。このときのパルスのピーク電流値は、素子の試験開始時の平均輝度が300cd/mとなる値とし、試験を通じて一定の値とした。残りの14,063μsは、素子の陰極側が正電圧となる極性で絶対値が10Vの定電圧を印加した。
【0165】
任意の時間間隔で、素子の輝度、印加電圧を記録した。結果を表−2に示す。
表−2において、DC駆動特性は通電開始時の発光輝度が300cd/mとなる電流値で駆動試験を行い、発光輝度が180cd/mとなったときの通電時間を示す。また、1/64duty駆動特性通電開始時の発光輝度が300cd/mとなる電流値で駆動試験を行い、発光輝度が240cd/mとなったときの通電時間を示す。
表−1に示すように、例示化合物(1−1)、例示化合物(4−1)および例示化合物(A−2)を含む正孔注入層の使用により、低い駆動電圧が達成され、発光効率が良く、高輝度を有し、さらには、表−2に示すように、駆動寿命の長い素子が得られたことが明らかである。
【0166】
(比較例1)
正孔注入層3を形成するために用いる塗布溶液を以下の組成にしたこと以外は、実施例3と同様にして有機電界発光素子を作成した。
溶媒 : 安息香酸エチル
例示化合物(4−1): 2.00 [重量%]
例示化合物(A−2): 0.20 [重量%]
(例示化合物(4−1):重量平均分子量 25,300;ガラス転移温度 171℃)
この素子の発光特性を表−1に、駆動特性を表−2に示す。
【0167】
(比較例2)
正孔注入層3を形成するために用いる塗布溶液を、以下の組成にしようと試みたところ、芳香族アミン化合物(Q−1)が安息香酸エチルへ溶解しなかったため、塗布溶液を調製することができなかった。
【0168】
溶媒 : 安息香酸エチル
芳香族アミン化合物(Q−1): 1.67 [重量%]
例示化合物(4−1): 0.33 [重量%]
例示化合物(A−2): 0.02 [重量%]
(例示化合物(4−1):重量平均分子量 25,300;ガラス転移温度 171℃)
【0169】
【表11】
Figure 2005026084
【0170】
【表12】
Figure 2005026084
【0171】
【発明の効果】
以上詳述した通り、陽極と陰極との間に、特定の構造を有する正孔輸送性化合物を含有する層を湿式成膜法により形成した本発明の有機電界発光素子によれば、低電圧での高発光効率駆動が可能で、しかも耐熱性が良好な駆動寿命の長い素子が提供される。
【0172】
従って、本発明による有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、特に、高耐熱性が要求される車載用表示素子として、その技術的価値は大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の一例を示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の他の例を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の有機電界発光素子の実施の形態の別の例を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 電子輸送層
7 陰極

Claims (7)

  1. 陽極、陰極、および両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子において、陽極と発光層との間に、湿式成膜法により形成された下記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物を含む層を有することを特徴とする、有機電界発光素子。
    Figure 2005026084
    (上記一般式(1)において、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。なおArとAr、およびArとArは、互いに結合して、各々独立に置換基を有していてもよい環を形成していても良い。
    上記一般式(1)におけるナフタレン骨格は、−NArAr基および−NArAr基以外に、任意の置換基を有していてもよく、また該置換基同士、あるいは該置換基とAr〜Arから選ばれた1以上の基が結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
  2. 正孔輸送性化合物が下記一般式(2)または(3)で表される、請求項1記載の有機電界発光素子。
    Figure 2005026084
    (上記一般式(2)および(3)におけるAr〜Arは、前記一般式(1)におけると同義である。
    上記一般式(2)および(3)におけるナフタレン骨格は、−NArAr基および−NArAr基以外に、任意の置換基を有していてもよく、また該置換基同士、あるいは該置換基とAr〜Arから選ばれた1以上の基が結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
  3. 正孔輸送性化合物が下記一般式(4)で表される、請求項1記載の有機電界発光素子。
    Figure 2005026084
    (上記一般式(4)におけるArおよびArは、前記一般式(1)におけると同義である。
    〜Rは各々独立に水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。
    また上記一般式(4)におけるナフタレン骨格およびベンゼン環は、上記一般式(4)中に明記してある基以外に、任意の置換基を有していてもよく、また該置換基同士、あるいは該置換基と、Ar、Ar、R、R、RおよびRから選ばれた1以上の基とが結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
  4. 前記正孔輸送性化合物を含有する層が、陽極に接して設けられた正孔注入層である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  5. 前記正孔輸送性化合物を含有する層が、さらに電子受容性化合物を含有する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  6. 前記正孔輸送性化合物を含有する層が、さらに正孔輸送性ポリマーを含有する、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
  7. 陽極、陰極、および両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子の製造方法において、陽極上に、下記一般式(1)で表される正孔輸送性化合物を含む正孔注入層を、湿式成膜法にて形成する工程を含むことを特徴とする、有機電界発光素子の製造方法。
    Figure 2005026084
    (上記一般式(1)において、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基を表す。なおArとAr、およびArとArは、互いに結合して置換基を有していてもよい環を形成していても良い。
    上記一般式(1)におけるナフタレン骨格は、−NArAr基および−NArAr基以外に任意の基を有していてもよく、また該置換基同士、あるいは該置換基とAr〜Arから選ばれた1以上の基が結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
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