JP2005024886A - 異方性散乱フィルム及び投射型画像表示装置 - Google Patents

異方性散乱フィルム及び投射型画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】投射型画像表示装置のスクリーンとして好適であり、解像度、コントラスト、及び明るさのすべての性能に優れた異方性散乱フィルム等を提供する。
【解決手段】特定の方向から入射した光のみが散乱し、該特定方向以外の他の方向から入射した光は透過すると共に、該特定方向から入射した光の散乱光における2つの散乱面での散乱角に対する散乱光強度の分布曲線において、最大散乱光強度の2分の1になる2つの角度の差である半値幅(FWHM)が、該2つの散乱面で異なることを特徴とする異方性散乱フィルム。2つの半値幅の差が、10〜180度である態様、2つの散乱面が互いに直交する態様、異方性散乱フィルムに対し法線方向及び散乱特性を有する方向から入射したときの全光線透過率が、75%以上である態様、などが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイ装置、ビーム成形、光を拡散透過する必要性がある窓、スクリーン等に好適に用いられる異方性散乱フィルム、及び該異方性散乱フィルムをスクリーンとして用いた投射型画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
拡散板は、例えば、ディスプレイ装置、ビーム成形、又は光を拡散透過する必要性のある窓、スクリーンとして広く用いられている。従来の拡散板としては、フィルムやガラスの片面又は両面を粗面化したもの、フィルムやガラスの表面に散乱粒子含有層を設けたもの、などが挙げられる。
【0003】
近年、単に光を均等に拡散するだけでなく、特定の方向から入射した光のみを散乱する拡散板が提案されている(非特許文献1参照)。また、光の散乱プロファイルが異方性を有する拡散板が提案されている(特許文献1参照)。これらは、従来の拡散板にはない優れた機能を備えており、それぞれの機能に応じて使用されているが、特定の用途に限定されており、広く用いられるには至っていない。
【0004】
前記拡散板のディスプレイ装置への応用として、投射型画像表示装置のスクリーン用途が挙げられる。前記投射型画像表示装置のスクリーンとしては、フロントプロジェクション用の反射型スクリーン、リアプロジェクション用の透過型スクリーンがある。前記透過型スクリーンとしては、観察者の方向にのみ画像光が進むようにするため、フレネルレンズとレンチキュラーレンズの組合せによる指向性スクリーンが提案されている(非特許文献2参照)。この指向性スクリーンによれば、画像光が効率よく利用でき、画像が明るくなるという利点を有するが、近年のディスプレイの高精細化に伴って、レンズ構造が画素の大きさと同程度になってしまい、モアレ縞等の画像欠陥が生じてしまうという問題がある。
【0005】
また、スクリーンにおける解像度の低下を防ぐため、画素よりも微小な粒子による散乱を用いた散乱型スクリーンが提案されている(非特許文献3参照)。この散乱型スクリーンによれば、画像の解像度の低下は防止できるが、散乱に指向性がないので、画像の明るさが低下してしまうという問題がある。更に、前記散乱型スクリーンは、室内灯のような外光がスクリーンに入射すると後方散乱により、表示面側に戻されるため、画像コントラストが低下してしまうという問題がある。このため、吸収性素材をスクリーンに入れて画像コントラストの低下を防止した散乱型スクリーンが提案されている。しかし、この提案では、吸収性素材によって画像光が吸収され、画像の明るさが更に低下してしまうという問題が生じる。
【0006】
また、外光の後方散乱による画像コントラストの低下を防ぐ方法として、特定の方向から入射した光のみを散乱する拡散フィルムをスクリーンとして用いることが提案されている(非特許文献1参照)。この提案では、外光のうち散乱が生じる方向から入射した光も後方散乱を生じて、コントラスト低下は改良できるが、依然として画像光の散乱に指向性がないため、前記指向性スクリーンに比べると明るさが低下してしまうという問題がある。
【0007】
また、前記指向性を有する散乱型スクリーンとして、光の異方性散乱プロファイルを有する拡散板をスクリーンとして用いることが提案されている(特許文献1参照)。しかし、この提案では、指向性を有するので、明るさの低下は改良されるものの、外光の後方散乱は低減できないため、コントラストが低下してしまうという問題がある。
【0008】
以上のように、従来の拡散板においては、投射型画像表示装置のスクリーンに要求される解像度、コントラスト、及び明るさの全ての特性を同時に満たすものは未だ提供されておらず、更なる改良が望まれているのが現状である。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第6,158,245号明細書
【非特許文献1】
「高分子学会予稿集」,1998年,47巻1号,46頁
【非特許文献2】
「フラットパネルディスプレイの新展開」,125頁,(株)東レリサーチセンター発行,1996年
【非特許文献3】
「SID2003 International Symposium Digest of Technical Papers」,2003年,Vol.34,Book2,p.882
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高い指向性と特定の方向からのみの散乱性を備えた異方性散乱フィルム、及び該異方性散乱フィルムをスクリーンとして用いた解像度、コントラスト、及び明るさのすべての特性に優れた投射型画像表示装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 特定の方向から入射した光のみが散乱し、該特定方向以外の他の方向から入射した光は透過すると共に、該特定方向から入射した光の散乱光における2つの散乱面での散乱角に対する散乱光強度の分布曲線において、最大散乱光強度の2分の1になる2つの角度の差である半値幅(FWHM)が、該2つの散乱面で異なることを特徴とする異方性散乱フィルムである。
<2> 2つの散乱面における半値幅(FWHM)の差が、10〜180度である前記<1>に記載の異方性散乱フィルムである。
<3> 2つの散乱面が互いに直交する前記<1>から<2>のいずれかに記載の異方性散乱フィルムである。
<4> 異方性散乱フィルムに対し法線方向及び散乱特性を有する方向から入射したときの全光線透過率が、75%以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の異方性散乱フィルムである。
<5> フィルムの厚さ方向に対し屈折率が異なる屈折率不均一構造を有する前記<1>から<4>のいずれかに記載の異方性散乱フィルムである。
<6> ホログラフィック手法を用いて形成された前記<1>から<5>のいずれかに記載の異方性散乱フィルムである。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の異方性散乱フィルムを、スクリーンとして前面に配置したことを特徴とする投射型画像表示装置である。
<8> 異方性散乱フィルムにおける半値幅(FWHM)が最大となる方向がスクリーンの左右方向となり、かつ該異方性散乱フィルムにおける半値幅(FWHM)が最小となる方向がスクリーンの上下方向となるように異方性散乱フィルムを配置する前記<7>に記載の投射型画像表示装置である。
<9> スクリーンとして配置した異方性散乱フィルムにおける上下方向の半値幅(FWHM)が10〜120度であり、かつ該スクリーンとして配置した異方性散乱フィルムにおける左右方向の半値幅(FWHM)が40〜160度である前記<7>から<8>のいずれかに記載の投射型画像表示装置である。
【0012】
本発明の異方性散乱フィルムは、特定の方向から入射した光のみが散乱し、該特定方向以外の他の方向から入射した光は透過すると共に、該特定方向から入射した光の散乱光における2つの散乱面での散乱角に対する散乱光強度の分布曲線において、最大散乱光強度の2分の1になる2つの角度の差である半値幅(FWHM)が、2つの散乱面で異なる。その結果、後方散乱が起りにくく、高コントラストとなり、ユーザ位置である左右方向に画像光が広がるため明るく、レンズ構造を用いていないため、高解像度を維持することができ、特にディスプレイ装置、ビーム成形、光を拡散透過する必要性がある窓、スクリーン等の用途に好適なものである。
【0013】
本発明の投射型画像表示装置は、本発明の前記異方性散乱フィルムを、スクリーンとして前面に配置したものである。本発明の前記異方性散乱フィルムは、高い指向性と特定の方向からのみの散乱性を備えているので、後方散乱が起りにくく、高コントラストとなり、ユーザのいる位置にのみ画像光が広がるため明るく、レンズ構造を用いていないため、高解像度を維持することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(異方性散乱フィルム)
本発明の異方性散乱フィルムは、特定の方向から入射した光のみが散乱し、該特定方向以外の他の方向から入射した光は透過すると共に、該特定方向から入射した光の散乱光における2つの散乱面での散乱角に対する散乱光強度の分布曲線において、最大散乱光強度の2分の1になる2つの角度の差である半値幅(FWHM)が、前記2つの散乱面で異なる。即ち、本発明の異方性散乱フィルムは、下記(A)及び(B)の2つの機能を有することを特徴とする。
(A)特定の方向から入射した光のみが散乱し、該特定方向以外の他の方向から入射した光は透過するという特性(以下、「散乱特性の入射光角度依存性」と称することがある)。
(B)特定方向から入射した光の散乱光における任意の2つの散乱面内での方位角に対する散乱光強度の散乱プロファイルが異方性を有する(以下、「散乱プロファイルが異方性を有する」と称することがある)。
【0015】
前記(A)の散乱特性の入射光角度依存性とは、特定の入射方向の入射光のみを散乱し、他の方向からの入射光はそのまま透過して透明になる特性を有することを意味する。ここで、前記特定の入射方向とは、最大の散乱特性を有する中心方向から一定の範囲を持っていても構わない。また、散乱が生じる方向は必ずしも一方向とは限られず、複数の方向であってもよい。
【0016】
前記(A)の散乱特性の入射角度依存性は、従来の表面凹凸層や粒子含有層を用いた光散乱では達成することが困難である。本発明においては、フィルムの厚さ方向に対し屈折率が異なる屈折率不均一構造を有する異方性散乱フィルムを用いることにより、前記(A)の散乱特性の入射角度依存性を達成することができる。前記屈折率不均一構造は、例えば、フィルム内部に屈折率の異なる部分が不規則なピッチで存在し、その屈折率の高低からなる構造が層状及び筒状のいずれかの構造を有し、該層状及び筒状の構造がフィルム厚み方向に対し0度又は傾斜して分布している。この屈折率不均一構造によって、特定の入射角の入射光のみから波長依存性が小さく、着色の少ない散乱光を得ることができる。
【0017】
前記屈折率不均一構造を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、(1)相互に屈折率が異なる少なくとも2種類の光重合可能なモノマー及びオリゴマーを用いる方法、(2)ホログラフィック手法、などが挙げられる。
【0018】
本発明の異方性散乱フィルムは、前記(1)の相互に屈折率が異なる少なくとも2種類の光重合可能なモノマー及びオリゴマーの少なくともいずれかを含む異方性散乱フィルム用組成物を用いて形成される。
【0019】
前記光重合可能なモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、特開平7−64069号公報に例示されているような、2,4,6−トリブロムフェニルアクリレート、トリブロムフェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ペンテニルオキシエチルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ポリオールポリアクリレート、イソシアヌル酸骨格のポリアクリレート、メラミンアクリレート、ヒダントイン骨格のポリアクリレート、ウレタンアクリレート、などが挙げられる。
【0020】
前記光重合可能なモノマー又はオリゴマーは、相互に屈折率が異なる2種以上が使用される。その組合せとしては、例えば、モノマーから選ばれる2種、モノマー1種とオリゴマー1種、オリゴマーから選ばれる2種、あるいはこれらの組合せにさらに1種以上のモノマー又はオリゴマーを加えたものが挙げられる。これらの組合せにおいて、その少なくとも2種は屈折率差が0.01以上であることが、必要な光散乱能を得る上で好ましい。
【0021】
前記屈折率不均一構造を形成するには、例えば、上述したような光重合可能な材料を支持体上に塗布し、ほぼ平行にコリメートした紫外線(UV)又は500nm以下の可視光をあらかじめ作製したランダムマスクパターンを通して照射すればよい。前記層状及び筒状のいずれかを有する屈折率不均一構造は、このランダムマスクパターンの模様、サイズ分布及び照射光の入射角によってコントロールすることができる。
【0022】
前記(2)のホログラフィック手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、「光機能材料マニュアル」第3部第6部第3節(光機能材料マニュアル編集幹事会編、1997年)に記載されているような方法を用いることができる。前記屈折率不均一構造を層内に自在に形成するためには、体積ホログラムであることが好ましく、干渉露光による体積ホログラムであることがより好ましい。
【0023】
前記屈折率不均一構造における屈折率差は、散乱特性制御の観点から、0.001〜0.2が好ましく、0.005〜0.1がより好ましい。前記屈折率不均一構造における厚みは、十分な散乱特性を得るため、1〜1000μmが好ましく、5〜500μmがより好ましく、10〜200μmが更に好ましい。
【0024】
前記屈折率不均一構造のサイズは、可視光域において波長依存性が小さくなるようにするためにランダムであるが、可視光の散乱性を発現させるためにそのサイズは0.1〜500μmが好ましく、0.5〜100μmがより好ましい。
【0025】
前記(B)の散乱光の異方性散乱プロファイル特性について、図1に基づいて説明する。
図1に示すように、前記異方性散乱フィルムFに対し上方から入射光Lを入射する。該入射光Lは、異方性散乱フィルムFを通過して、種々の方向(例えば、図1中、Lsx及びLsyに示す方向等)に散乱する。例えば、任意の2つの散乱面をx−z面P(異方性散乱フィルムFの左右方向)、それに直交する散乱面をy−z面P(異方性散乱フィルムFの上下方向)とする。異方性散乱フィルムFの下方に散乱光の強度を測定する測定器(不図示)を配置し、前記散乱面P及びP内のそれぞれの散乱角(方位角θ)に対する散乱光強度を測定する。
前記測定器としては、種々の角度の散乱光強度を測定可能なように、検出部が変位可能なものを用いることが好ましく、例えば、三次元変角分光測色システム(GCMS−13型、株式会社村上色彩技術研究所製)、などが用いられる。
前記散乱面P及びP内のそれぞれの散乱角(方位角θ)に対して散乱光強度の測定値をプロットすることにより、図2に示すような、2つの散乱面での散乱角に対する散乱光強度の分布曲線(散乱プロファイル)が得られる。各散乱面における散乱プロファイルを比較することで、散乱光分布の異方性を評価することができる。なお、前記2つの散乱面は、任意に選定することができるが、2つの散乱面が互いに直交する面であることが好ましい。
【0026】
前記異方性散乱フィルムにおける「散乱プロファイルが異方性を有する」とは、前記特定の方向から入射した光の散乱光における2つの散乱面(P、P)での散乱角に対する散乱光強度の分布曲線において、最大散乱光強度の2分の1になる2つの角度の差である半値幅(Full Width Half Maximum:以下、「FWHM」と略記する)が2つの散乱面で異なることを意味する。即ち、半値幅(FWHM(P))と半値幅(FWHM(P))とが異なることを意味する。
前記半値幅(FWHM)が2つの散乱面で同一であると、2つの散乱プロファイルが同一となり、観察者が見ることのない視角へ画像光を散乱させてしまうため、画像の明るさが低下してしまうことがある。
また、2つの散乱面における半値幅の差(前記FWHM(P)と前記FWHM(P)との差)が、10〜180度が好ましく、30〜160度がより好ましく、60〜140度が更に好ましい。
前記半値幅の差10度未満であると、上述したように、散乱プロファイルがほぼ同一となって明るさが低下してしまうことがあり、180度を超えると、縦方向の視野角が十分に得られず、上下方向から画像が見えにくくなることがある。
【0027】
本発明の異方性散乱フィルムの製造方法は、(1)前記(A)の散乱特性の入射角度依存性を有するフィルムにプリズム構造を有する表面層を形成する方法、(2)前記(A)の散乱特性の入射角度依存性をフィルムに形成するときに、同時に異方性散乱プロファイルを有するマスターを用いてホログラフィックに散乱特性を記録する方法、などが挙げられる。
【0028】
前記(1)の方法では、例えば、図3に示すように、前記(A)の屈折率不均一構造を有する層31の表面に、プリズム構造を有する表面層32を形成し、入射光又は散乱光のプロファイルを狭く若しくは広くする形成方法である。該形成方法としては、このプリズム構造を有する表面層32は、屈折率不均一構造を有するフィルムと同じフィルムの表面であっても構わないし、別のフィルムとして2枚を組み合わせても構わない。
前記プリズム構造は、予めプリズム構造を有するマスターを用いて転写、エンボスする方法、レーザー加工等により表面に直接形成する方法によって作製することができる。
【0029】
前記プリズム構造のサイズは、幾何光学的な屈折を起こすために10〜500μmが好ましい。前記プリズム構造は二等辺三角形だけでなく、傾いた三角形、又は角が丸くなった構造でも構わない。前記屈折率は、反射率を小さくするために1.4〜1.7が好ましい。前記プリズムの頂角は、更に必要とする散乱プロファイルや用いる材料の屈折率により異なるが、30〜120度が好ましい。
【0030】
前記プリズム構造を非対称にしたり、又は入射光に対して0度以外の方向が最大散乱光強度を有するように異方性散乱プロファイルを発現するマスターを設計することによって、前記異方性散乱フィルムにフレネルレンズと同じような光学特性を持たせることもできる。
【0031】
ここで、本発明の異方性散乱フィルムの製造方法の好適な具体例を以下に示す。
ホログラム用フォトポリマー(デュポン株式会社製、OmniDex HRF−352)含有塗布液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、該塗布膜に対しランダムパターンを有するマスクの上から488nmのアルゴンレーザーを照射した。
得られたフィルムの表面に、紫外線硬化樹脂としてのFCM−10(ナガセケムテックス株式会社製)を塗布し、予め作製したプリズム構造を形成するための濃度マスクを通して紫外線(UV)を露光し、プリズム構造を付与した。以上により、本発明の異方性散乱フィルムが製造される。
【0032】
前記(2)の方法では、前記(A)の散乱特性の入射角度依存性を有するフィルムに対し、予め設計した異方的散乱プロファイルを発現する反射板、又はフィジカルオプティクス社(Physical Optics Corporation)等から市販されているような異方性散乱プロファイルを有するホログラフィック拡散板のような異方性散乱マスターを用いてホログラフィックに散乱特性を記録することにより形成することができる。
【0033】
具体的には、図4に示すように、コヒーレントなレーザー光源(不図示)を用い、ハーフミラーで同一光源からの光線を2つに分岐した後、一方のレーザー光線44を拡散反射面で反射し、他方のレーザー光線43は異方性散乱マスター41を透過させてから前記(A)の散乱特性の入射角度依存性を有するフィルム(例えば光重合可能な材料塗布面)に2つの光線を照射し、干渉により形成されるスペックルパターンによっても屈折率不均一構造を形成することができる。
【0034】
ここで、本発明の異方性散乱フィルムの製造方法の好適な具体例を以下に示す。
ホログラム用フォトポリマー(デュポン株式会社製、OmniDex HRF−352)含有塗布液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、塗布膜を形成した。次に、488nmのアルゴンレーザーをハーフミラーで分岐し、一方のレーザー光線のみを100%延伸したエンボスシート(パナック工業株式会社製)の表面にアルミニウム蒸着を施した指向性反射板で反射させて、2つのレーザー光線を塗布膜表面に照射した。以上により、本発明の異方性散乱フィルムを作製した。
【0035】
また、前記異方性散乱フィルムは、明るさを向上させる観点から高透過率であることが好ましい。例えば、異方性散乱フィルムの法線方向及び散乱特性を有する方向から入射したときの全光線透過率(散乱光を含む透過率)は、75%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
この場合、特に、散乱特性が最大となる方向(例えば、フィルムの法線方向)から入射したときの全光線透過率が75%以上であるということは、吸収がない場合には後方散乱光が25%未満(吸収がある場合には更に小さくなる)であることを意味する。したがって、前記全光線透過率が75%以上である異方性散乱フィルムを投射型画像表示装置のスクリーンに用いることによって、外光によるコントラスト低下を防止することができる。
ここで、前記全光線透過率は、狭い範囲に光線を入射し、入射範囲より十分広い面積を有する受光器を用いて透過光強度を測定することによって、前記透過光強度と前記入射光強度との比として定義することができる。
前記全光線透過率は、例えば、瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000、大塚電子株式会社製)を用い、散乱光出射面より広い面積を有する受光器を用いて測定することができる。
【0036】
また、前記異方性散乱フィルムにおいて、外光は後方散乱だけでなく表面の反射によっても表示面側に戻されるが、前記異方性散乱フィルムの表示面側に反射防止層を設けることにより、外光の存在下でのコントラストは更に改善される。
【0037】
前記反射防止層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、米国特許第6,210,858号明細書、James D.Rancourt著のOptical Thin Films:User Handbookのp.78などに記載されているものを用いることができる。具体的には、金属酸化物の透明薄膜を化学蒸着する方法(CVD法)や物理蒸着する方法(PVD法)、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法、無機微粒子やポリマー、モノマーを塗布する方法等が挙げられる。
【0038】
また、前記異方性散乱フィルムにおける散乱特性をコントロールするため、補助的に前記異方性散乱フィルムに粒子分散層及び表面凹凸層のいずれかを付与することが好ましい。
前記粒子分散層としては、例えば、有機微粒子であっても、無機微粒子であっても構わない。
前記有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ、等が挙げられる。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカビーズ、アルミナビーズ、等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記表面凹凸の形成方法としては、例えば、エンボス、サンドブラスト等によってフィルム上に直接凹凸を付与する方法、電子ビーム描画やレーザー照射等により、予め表面凹凸を形成したマスターの凹凸上に紫外線硬化樹脂や熱硬化性樹脂を塗布し、硬化した後、剥離する方法、更にエンボス等によってメカニカルに凹凸を転写する方法が挙げられる。
【0040】
前記粒子分散層のみ有する異方性散乱フィルム、又は前記表面凹凸層のみ有する異方性散乱フィルムの全光線透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
【0041】
前記異方性散乱フィルムは、透明基材の上に形成することが好ましい。前記透明基材の素材としては、例えば、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シート、透明ガラス、などが挙げられる。
前記透明樹脂フィルムとしては、プラスチックフィルムを用いることが好ましい。前記プラスチックフィルムの上に形成することができる。
前記プラスチックフィルムの材料としては、例えば、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート(トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリスチレン等)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、ノルボルネン(日本ゼオン株式会社製)、ゼオノア(日本ゼオン株式会社製)、アートン(JSR株式会社製)、などが挙げられる。これらの中でも、セルロースエステル、ノルボルネン、ゼオノア、アートン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記プラスチックフィルムの光透過率は、80%以上が好ましく、86%以上がより好ましい。
【0042】
また、前記異方性散乱フィルムを投射型画像表示装置のスクリーンとして用いる場合、その表面はハードコート性を有することが好ましく、ハードコート性を付与するため、飽和炭化水素及びポリエーテルのいずれかを主鎖として有するバインダーポリマーを用いることが好適である。
【0043】
前記バインダーポリマーとしては、飽和炭化水素及びポリエーテルのいずれかを主鎖として有するポリマーが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーがさらに好ましい。なお、前記バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。
【0044】
前記飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーとしては、例えば、エチレン性不飽和基を有するモノマーの重合反応により得られるポリマーが好ましい。架橋しているバインダーを得るためには、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
【0045】
前記二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、ビニルベンゼン誘導体、ビニルスルホン、アクリルアミド、メタクリルアミド、等が挙げられる。これらの中でも、膜硬度(耐傷性)を向上させることができる点で、3個以上の官能基を有するアクリレート又はメタアクリレートモノマー、更には、5個以上の官能基を有するアクリレートモノマーが特に好ましい。
なお、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物が市販されており、該混合物も好ましく用いられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,3,5−シクロヘキサントリオールトリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。前記ビニルベンゼン誘導体としては、例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサン等が挙げられる。前記ビニルスルホンとしては、例えば、ジビニルスルホン等が挙げられる。前記アクリルアミドとしては、例えば、メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
【0047】
前記エチレン性不飽和基を有するモノマーは、各種の重合開始剤、その他の添加剤と共に溶剤に溶解し、塗布、乾燥させた後、電離放射線、又は熱による重合反応により硬化することができる。
【0048】
前記二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりに又は該モノマーに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを反応させて架橋構造をバインダーに導入することもできる。
【0049】
前記架橋性官能基モノマーとしては、例えば、イソシアナート基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アジリジン基含有モノマー、オキサゾリン基含有モノマー、アルデヒド基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、ヒドラジン基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、メチロール基含有モノマー、活性メチレン基含有モノマー、などが挙げられる。
また、ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル、ウレタン;テトラメトキシシラン等の金属アルコキシド、更に、ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基含有化合物を用いてもよい。なお、前記架橋性官能基を有するモノマー又は化合物は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであっても構わない。
これら架橋性官能基を有するバインダーは、塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
【0050】
本発明の前記異方性散乱フィルムは、「散乱特性の入射光角度依存性」と、「散乱プロファイルが異方性を有する」との2つの機能を兼ね備えており、指向性と特定の方向からの散乱性を有しており、例えば、ディスプレイ装置、ビーム成形、光を拡散透過する必要性がある窓、スクリーン等に好適に用いられる。
【0051】
(投射型画像表示装置)
本発明の投射型画像表示装置は、本発明の前記異方性散乱フィルムを、スクリーンとして前面に配置し、投写光学系、反射ミラー、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
【0052】
図5(A),(B)は、本発明の前記異方性散乱フィルムを用いた投射型画像表示装置の一例を示し、図5(B)に示したように、画像光53は光学系によって拡大されてスクリーン52に入射する。該スクリーン52は本発明の前記異方性散乱フィルムにより形成されているので、前記画像光の入射方向の光のみを散乱して表示面側に透過する。投射型画像表示装置の内部からは画像光以外の光はほとんど存在しないため、内部からの光漏れはほとんど問題にならない。
一方、外光はあらゆる方向からスクリーンに入射する可能性がある。該外光が異方性散乱フィルムの散乱特性を有しない方向から入射した場合、後方散乱は生じないため、反射光以外には表示面側に戻ることはなく、コントラストの低下はほとんど生じない。また、散乱特性を有する方向から入射した場合でも、本発明の前記異方性散乱フィルムは75%以上の全光線透過率を有しているので、表示面側に戻される光は通常の異方性散乱フィルムより少ない。
【0053】
前記投射型画像表示装置は、一般に大画面であり、30インチ以上が好ましく、40インチ以上がより好ましい。このような大画面においては、上方向や下方向から画像を見る観察者はあまりいないため、左右方向にのみ光が散乱した方が明るさを向上させる観点から好ましい。
従って、本発明の前記投射型画像表示装置は、散乱プロファイルに異方性を有している本発明の前記異方性散乱フィルムをスクリーンとして用いている。この場合、前記異方性散乱フィルムにおける半値幅(FWHM)が最大になる方向がスクリーンの左右方向となり、かつ異方性散乱フィルムにおける半値幅(FWHM)が最小になる方向がスクリーンの上下方向となるように異方性散乱フィルムを配置することが好ましく、これにより、通常の散乱型スクリーンよりも明るい画像を得ることができる。また、前記スクリーン(本発明の前記異方性散乱フィルム)の上下方向の半値幅は10〜120度が好ましく、20〜90度がより好ましい。また、前記スクリーン(本発明の前記異方性散乱フィルム)の左右方向の半値幅は40〜160度が好ましく、80〜120度がより好ましい。
【0054】
本発明の投射型画像表示装置は、リアプロジェクション方式であることが好ましく、本発明の前記異方性散乱フィルムが透過型スクリーンとして投射型画像表示装置の前面に配置されている。
本発明の投射型画像表示装置に用いる画像表示素子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、CRT方式、LCD方式、DMD(Digital Micromirror Device)方式、などが挙げられる。これらの中でも、LCD方式が好適である。該LCD方式としては、例えば、STNモード、TNモード、IPSモード、VAモード、OCBモード、SSFLCモード、等が挙げられる。
【0055】
前記投写光学系としては、投写光を生成して射出することができるものであれば特に制限はなく、例えば、光源装置、画像形成光学系、及び投写レンズ等を有している。
前記反射ミラーは、前記投写光学系が射出した投写光を反射してスクリーンに導くものである。
【0056】
本発明の投射型画像表示装置は、前記スクリーンとして本発明の前記異方性散乱フィルムを用いているので、解像度、コントラスト、及び明るさのすべての特性に優れたものである。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
−異方性散乱フィルム(AS−1)の作製−
ホログラム用フォトポリマー(デュポン株式会社製、OmniDex HRF−352)含有塗布液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚みが10μmとなるように塗布し、該塗布膜に対しランダムパターンを有するマスクの上から488nmのアルゴンレーザーを照射した。
得られたフィルムの表面に、紫外線硬化樹脂としてのFCM−10(ナガセケムテックス株式会社製)を厚みが50μmとなるように塗布し、予め作製したプリズム構造を形成するための濃度マスクを通して紫外線(UV)を露光し、プリズム構造を付与した。以上により、異方性散乱フィルム(AS−1)を作製した。
【0059】
(実施例2)
−異方性散乱フィルム(AS−2)の作製−
ホログラム用フォトポリマー(デュポン株式会社製、OmniDex HRF−352)含有塗布液を、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に厚みが12μmとなるように塗布し、塗布膜を形成した。次に、488nmのアルゴンレーザーをハーフミラーで分岐し、一方のレーザー光線のみを100%延伸したエンボスシート(パナック工業株式会社製)の表面にアルミニウム蒸着を施した指向性反射板(マスター)で反射させて、2つのレーザー光線を塗布膜表面に照射した。以上により、異方性散乱フィルム(AS−2)を作製した。
【0060】
(比較例1)
比較例1として、等方性散乱フィルムとしてのエンボスシート(パナック工業株式会社製)を等方性散乱フィルム(S−1)として用いた。
【0061】
次に、実施例1〜2及び比較例1のフィルムについて、以下のようにして、半値幅(FWHM)及び全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。
【0062】
<半値幅(FWHM)の測定>
三次元変角分光測色システム(GCMS−13型、株式会社村上色彩技術研究所製)により、直交する2つの散乱面(P、P)における散乱プロファイルを測定した。直交する2つの散乱面(P、P)としては、異方性散乱フィルムの異方性を決定する特徴的な面(例えば、ホログラフィック手法で用いた異方性散乱フィルムの異方性軸、レンズ構造の水平方向)と、それに対して直交する面とを選択した。
得られた2つの散乱プロファイルから、最大散乱光強度の2分の1となる最大散乱角度の両側2箇所の散乱角を求め、半値幅(角度差)(FWHM(P)、FWHM(P))、及び半値幅の差をそれぞれ算出した。
【0063】
<全光線透過率>
瞬間マルチ測光システム(MCPD−3000、大塚電子株式会社製)を用い、散乱光出射面より広い面積を有する受光器を用いて、全光線透過率を測定した。
【0064】
【表1】
Figure 2005024886
【0065】
−投射型画像表示装置の作製−
次に、実施例1〜2の異方性散乱フィルム及び比較例1の等方性散乱フィルムを30インチのスクリーンとして用い、常法により、図5に示したような投射型画像表示装置を作製した。なお、実施例1〜2では異方性散乱フィルムにおける半値幅(FWHM)が最大になる方向がスクリーンの左右方向となり、かつ異方性散乱フィルムにおける半値幅(FWHM)が最小になる方向がスクリーンの上下方向となるように異方性散乱フィルムを配置した。
実施例1におけるスクリーンの上下方向の半値幅(FWHM)は32度であり、かつスクリーンの左右方向の半値幅(FWHM)は75度であった。
実施例2におけるスクリーンの上下方向の半値幅(FWHM)は42度であり、かつスクリーンの左右方向の半値幅(FWHM)は103度であった。
比較例1におけるスクリーンの上下方向の半値幅(FWHM)は96度であり、かつスクリーンの左右方向の半値幅(FWHM)は96度であった。
【0066】
また、比較例2として、フレネルレンズとレンチキュラーレンズを組み合わせた30インチのスクリーンとして用い、常法により、図5に示したような投射型画像表示装置を作製した。なお、比較例2の全光線透過率は83%であった。
【0067】
実施例1〜2及び比較例1〜2の投射型画像表示装置について、以下のようにして、解像度、コントラスト、及び明るさを評価した。結果を表2に示す。
【0068】
<解像度、コントラスト、及び明るさの評価>
スクリーンの後部から画像を投射し、前方から画像を解像度、コントラスト、及び明るさについて目視観察により下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○・・・良好
△・・・普通
×・・・不良
【0069】
【表2】
Figure 2005024886
表2の結果から、実施例1〜2の投射型画像表示装置は、比較例1〜2の投射型画像表示装置に比べて、解像度、コントラスト、及び明るさの総ての性能が良好であることが認められた。
【0070】
【発明の効果】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、高い指向性と特定の方向からのみの散乱性を備えた異方性散乱フィルム、及び該異方性散乱フィルムをスクリーンとして用いた解像度、コントラスト、及び明るさのすべての性能に優れた投射型画像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の異方性散乱フィルムの散乱特性を説明するために用いた模式図である。
【図2】図2は、本発明の異方性散乱フィルムが示す散乱光分布の一例を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の異方性散乱フィルムの一例を示す概略図である。
【図4】図4は、異方的屈折率不均一構造を形成する方法の一例を示す模式図である。
【図5】図5(A)は、本発明の異方性散乱フィルムを用いた投射型画像表示装置の一例を示す斜視図である。図5(B)は、図5(A)の側面図である。
【符号の説明】
F フィルム
入射光
、P 散乱面
sx、Lsy 散乱光
θsx、θsy 散乱角
31 異方性散乱層
32 プリズム構造
33 異方性散乱フィルム
41 異方性散乱マスター
42 異方性散乱フィルム
43 マスターからの光
44 参照光
51 投射型画像表示装置
52 異方性散乱フィルム(スクリーン)
53 入射画像光
54 出射散乱光

Claims (9)

  1. 特定の方向から入射した光のみが散乱し、該特定方向以外の他の方向から入射した光は透過すると共に、該特定方向から入射した光の散乱光における2つの散乱面での散乱角に対する散乱光強度の分布曲線において、最大散乱光強度の2分の1になる2つの角度の差である半値幅(FWHM)が、該2つの散乱面で異なることを特徴とする異方性散乱フィルム。
  2. 2つの散乱面における半値幅(FWHM)の差が、10〜180度である請求項1に記載の異方性散乱フィルム。
  3. 2つの散乱面が互いに直交する請求項1から2のいずれかに記載の異方性散乱フィルム。
  4. 異方性散乱フィルムに対し法線方向及び散乱特性を有する方向から入射したときの全光線透過率が、75%以上である請求項1から3のいずれかに記載の異方性散乱フィルム。
  5. フィルムの厚さ方向に対し屈折率が異なる屈折率不均一構造を有する請求項1から4のいずれかに記載の異方性散乱フィルム。
  6. ホログラフィック手法を用いて形成された請求項1から5のいずれかに記載の異方性散乱フィルム。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の異方性散乱フィルムを、スクリーンとして前面に配置したことを特徴とする投射型画像表示装置。
  8. 異方性散乱フィルムにおける半値幅(FWHM)が最大となる方向がスクリーンの左右方向となり、かつ該異方性散乱フィルムにおける半値幅(FWHM)が最小となる方向がスクリーンの上下方向となるように異方性散乱フィルムを配置する請求項7に記載の投射型画像表示装置。
  9. スクリーンとして配置した異方性散乱フィルムにおける上下方向の半値幅(FWHM)が10〜120度であり、かつ該スクリーンとして配置した異方性散乱フィルムにおける左右方向の半値幅(FWHM)が40〜160度である請求項7から8のいずれかに記載の投射型画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006251811A (ja) * 2005-02-15 2006-09-21 K Laser Technology Inc 空間変化拡散角方式リヤプロジェクションスクリーン

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