JP2005023789A - 可撓性隔膜を備えたベローズポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベローズ(8)の可動端(8b)とポンプハウジング(6)の間に可撓性隔膜(22)を張設して、ベローズ外領域(23)を密閉室とする。可撓性隔膜はベローズの往復動に追従し、その動作に支障を与えない。ポンプ動作中にベローズが破損してポンプ室11よりポンプ給送流体が漏出しても密閉されたベローズ外領域に留められ、駆動モータ(14)を含む駆動部分へは及ばない。又、この可撓性隔膜によって外部からベローズ側へのゴミ、埃等の侵入が防止され、これに起因するベローズの破損等の不具合も防止される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベローズポンプに係り、ベローズの破損によるポンプ給送流体の漏洩による問題を解消し、特に、爆発性のガスを扱うエアーポンプ等に好適なベローズポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
ベローズの破損によって、ポンプ給送流体として、例えば爆発性のガスがベローズの外側に漏れ出すと、ベローズを駆動するモータの火花に引火するなど、極めて危険であるから、安全性の確保のために何等かの防爆措置を施す必要がある。このため、従来においては、モータ部分を含めてポンプ全体を防爆構造にしたものが見られる。又、ベローズの破損によるポンプ室の圧力変化を検知して検出値が所定レベルになったときにポンプ動作を停止させるセンサを設けることも一般に行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ポンプ全体を防爆構造としたものでは、ベローズの破損によってポンプ給送流体がポンプ外部に漏出することは回避できるが、一度、漏洩が発生すると、駆動モータの部分を含めてポンプ全体が使用不可能となるので、ポンプ寿命が短く、メンテナンス費用も増大するといった問題があった。又、防爆構造の採用によりポンプ全体が大型化し、防爆措置に要する費用も大であるといった問題もあった。
更に、漏洩検出用センサを単に、設けただけでは、既に漏出したガス等による危険を阻止することは不可能である。
【0004】
本発明は、上記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、万一、ベローズが破損してポンプ給送流体が漏出した場合にも、駆動モータ等の危険部位への漏出流体の侵入を確実に防止し、ポンプ寿命の長期化、メンテナンスの容易化を図り得、低コストで安全性の高い小型のベローズポンプを提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ポンプ給送流体を流通させる吸込口及び吐出口を備えたポンプヘッドと、該ポンプヘッドに固定された筒状ポンプハウジングと、該ポンプハウジング内に収容され、内部にポンプ室を区画するとともに前記ポンプヘッドの吸込口及び吐出口を一方向弁を介してそれぞれ該ポンプ室に連通させる固定端と、ポンプ動作に応じて往復動可能な可動端とを備えた伸縮自在なベローズと、前記ベローズの可動端とクランク機構を介して連結され、該ベローズを往復動させてポンプ動作を遂行させるベローズ駆動手段と、を備えた構成において、前記ベローズの可動端と前記ハウジングとの間に、該可動端の往復動に追従可能な可撓性隔膜を張設して、該ベローズの外側において該ベローズとハウジングとによって区画されたベローズ外領域を密閉室としたことを特徴とする可撓性隔膜を備えた構成のベローズポンプを提案するものである。
【0006】
上記構成の本発明のベローズポンプによれば、ベローズが破損して内部のポンプ給送流体がベローズの外側に漏出しても、可撓性隔膜によって仕切られた密閉室内に留まるので、その漏洩がポンプ全体に及ぶことが回避され、特に、火花を発生する等のベローズの駆動部への侵入を確実に阻止することができる。従って、破損したベローズの交換のみで、ポンプを再稼働させることができ、メンテナンス及び安全性の点で望ましい構造である。
【0007】
又、本発明においては、その具体的構成として、前記ベローズポンプ室容積を制限する容積制限部材を該ポンプ室内に配置するとともに該容積制限部材を保持するリテーナをベローズの可動端に取着し、前記可撓性隔膜の一端を該リテーナと可動端によって挟持してなる構成のベローズポンプをも提案するものである。
【0008】
上記構成のごとく、リテーナを利用して可撓性隔膜の一端をベローズ可動端に取付けることができるので、別途の取付手段を要しない。
【0009】
更に、本発明においては、上記可撓性隔膜として、ダイヤフラムを採用することも提案する。ダイヤフラムの材料はダイヤフラム型ポンプにおいてポンプの往復動部分に使用されるもので、ベローズよりは長期使用に耐えることから密閉室を構成するのに望ましい。
【0010】
又更に、本発明のベローズポンプは、ポンプ給送流体として、特に爆発性のガス等の気体を扱うエアーポンプとして高い安全性を発揮する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係るベローズポンプの実施形態を説明する。図1において、1はポンプ給送流体を流通させる吸込口2及び吐出口3を形成したポンプヘッドである。このポンプヘッド1は吸込口2及び吐出口3に介在してそれぞれ設けた一方向弁4a,4bと、その一方向弁を支持する弁ケース5を有し、弁ケース5はポンプヘッド1の構成部に含まれる。一方向弁4a,4bは、シート状をなし、吸込口2に配置された一方向弁4aは吸込口2からのポンプ給送流体の流入を許容し、その逆方向の流れを阻止する。他方、吐出口3に配置された一方向弁4bは吐出口3からのポンプ給送流体の流出を許容し、その逆方向の流れを阻止する。
【0012】
6は筒状ポンプハウジングで、その一端がポンプヘッド1の一部をなす弁ケース5にガスケット7を介してシール状態で固定されている。8はベローズでその蛇腹部分が変形することにより当該ポンプの長手軸線X−Xに沿って伸縮する。その一端(固定端)8aは、割りフランジ9を介してポンプヘッド1に固定されている。フランジ9はポンプハウジング6の一端内周に形成された段部に載置された状態になっている。又、ベローズ8の固定端8aとポンプヘッド1との間は、ガスケット10によりシール状態に保持されている。以上の各ポンプ構成部分は、ボルト25がポンプヘッド1から、その反対側にある連結フレーム24にまで軸線X−Xに沿って挿着されることにより相互に挟持状態で固定される。
【0013】
ベローズ8の内部はポンプ室11として区画され、このポンプ室11には吸込口2及び吐出口3が、それぞれの一方向弁4a,4bを介してベローズ8の固定端8aより連通している。ポンプ動作に応じてベローズ8が軸線X−Xに沿って往復動することにより、ポンプ給送流体が吸込口2より一方向弁4aを介してポンプ室11に送り込まれるとともに他方の一方向弁4bを介して吐出口3より外部の所要部位へ送り出されるようにポンプ動作が遂行される。
【0014】
ポンプ給送流体としては、例えば、爆発性のあるガスが扱われ、この場合、当該ポンプはエアーポンプを構成する。但し、当該ポンプはポンプ給送流体として薬液等の液体を扱うことも可能であり、エアーポンプに限定されない。
【0015】
ポンプ動作に応じて往復動可能なベローズ8の他端(可動端)8bは、コンロッド12及び偏心軸13よりなるクランク機構を介して駆動モータ14に連結されている。駆動モータ14の駆動回転が、モータ軸15から偏心軸13を介してコンロッド12に伝達されてコンロッド12の往復動に変換され、その往復動がベローズ8の可動端8bに伝達される。これら駆動モータ14及びモータ軸15は、クランク機構をなす偏心軸13及びコンロッド12を介してベローズ8にポンプ動作を遂行させるベローズ駆動手段を構成する。偏心軸13は、一端においてモータ軸15をキー16によって固定されるとともに他端において軸受17を介して駆動モータのフレーム18に回転自在に支承され、中間に形成した偏心軸13aが軸受19を介してコンロッド12の一端に作動連結されている。
【0016】
コンロッド12の他端は、ベローズ8の可動端8bに取着されたリテーナ20にネジ込みにより一体的に連結され、そのリテーナ20はベローズ8の内部に配置したポンプ室容積を制限する容積制限部材21をネジ込みによってベローズ8の可動端に取付けた状態に保持している。この容積制限部材21は、ポンプ動作においてベローズ8のポンプ室11の容積変化を大としてポンプ効率を高めるために配置され、これによりポンプ室11の、いわゆるデッドスペースを解消する。
【0017】
22は可撓性隔膜で、図2で示すように全体に円盤状をなし、ゴムあるいは柔軟な合成樹脂材料により製作され、ベローズ8の可動端8bとポンプハウジング6との間に張設されている。
【0018】
可撓性隔膜22の内周端ないし一端22aは、図1で示すようにリテーナ20と可動端8aによって挟持した態様で可動端8aにシール状態で取付けられるので、このリテーナ20の利用により別途の取付手段を不要とする。又、外周端ないし他端22bにはフランジ状のシール突起を一体に設け、これをポンプハウジング6と連結フレーム24との間にシール状態で固定することにより可撓性隔膜22の取付が行なわれている。
【0019】
上記可撓性隔膜22の張設によって、ベローズ8とポンプハウジング6によって区画されたベローズ8の外側の領域、すなわちベローズ外領域23は密閉室とされる。従って、ベローズ8がポンプ動作中に破損してポンプ室11よりポンプ給送流体がベローズ外領域23へ漏出しても、この密閉室内に留まり、これより外部に漏出することが阻止される。
【0020】
すなわち、ベローズ外領域23の、ベローズの固定端8a側にあっては、ポンプヘッド1が位置するとともにガスケット7及び10によってシールされ、他方、ベローズの可動端8b側にあっては可撓性隔膜22により閉鎖されるので、このベローズ外領域23が密閉室を構成する。可撓性隔膜22はベローズの可動端8bの往復動に追従して変形可能であるから、可動端の動作に支障を与えない。
【0021】
可撓性隔膜22としては、上述の通りゴムあるいは柔軟な合成樹脂材料により製作され、特に、このためにダイヤフラムを用いるのが望ましい。ダイヤフラムはベローズに比して長期使用に耐えるので、密閉室を構成するのに望ましい。又、特にその形状としては、図1に示すように、中間部分に湾曲した円環状の溝部22cを一体に設けたものが望ましい。このように円環状溝部22cを設けることにより、可撓性隔膜22の変形時に余裕が生じ、ベローズの可動部8bの往復動に対する抵抗の度合がより減少するので、よりスムーズなポンプ動作を保証する。
【0022】
このように、ベローズ8が破損してポンプ給送流体がベローズ外領域23に漏出しても、可撓性隔膜22の張設により、この密閉された領域23内に留まり、駆動モータ14を含む駆動部側とは遮断されるため、この部位に及ぶことが確実に防止される。従って、ポンプ給送流体として爆発性のガスを扱う場合でも駆動モータの周辺で機械的摩擦により発生する火花に引火するなどの危険を防止できポンプ全体を防爆構造とすることなく所要の安全性を確保できる。又、メンテナンスに当たっては破損したベローズのみを交換すれば足り、駆動モータ等を含めて他の構成部をそのまま使用することができる。
【0023】
又、上記可撓性隔膜22を設けたことにより、ベローズ8の部分に外部からゴミ、埃などの侵入も防止できるので、ベローズの蛇腹部分に異物が挟まって生じるベローズの破損の可能性を完全に防止でき、この点でも安全性の向上が得られる。
【0024】
なお、ベローズ8の破損検出はポンプ室内圧を適宜の圧力センサ(図示せず)で監視することにより行なうことができる。すなわち、ベローズ外領域23が密閉室になっていても、ベローズの破損によりポンプ室容積が密閉室を含んで拡大することにより生じる圧力降下を検出する。又、吐出側配管に流路センサ(図示せず)を配置し、ベローズの破損によりポンプ室内の容積比が所定値を下回って吐出側への流出が停止することを検出することによりベローズの破損検出が可能である。
【0025】
以上、本発明のベローズポンプの実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明に係るベローズポンプは、特に爆発の恐れのある危険ガスを扱うエアーポンプ用として好適であるが、その他一般のガスあるいは薬液等を扱うポンプにおいても同様に用い得るものである。又、可撓性隔膜としては、ダイヤフラムが好適であるが、その他の柔軟な膜状のものであれば適用可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明のベローズポンプにおいては、可撓性隔膜をベローズの可動端とハウジングの間に張設することによってベローズ外領域を密閉室としてので、ポンプ動作中にベローズが破損してポンプ室内からポンプ給送流体がベローズ外に漏出しても、この密閉室内に留められるため、駆動モータ等の駆動部分へ及ぶことがない。従って、ポンプ給送流体として爆発性のガスを扱うエアーポンプにおいてもガスの漏洩による危険を防止でき、ポンプ全体を保護する防爆構造を不要とするため、ポンプの小型化が容易であり、メンテナンスにおいては破損したベローズのみの交換ですむので、その費用の節約ができるものである。又、可撓性隔膜によって外部からベローズ側へゴミや埃の侵入も阻止し、これに起因するベローズの破損なども防止できる等、小型で安全性が高く、長寿命のベローズポンプを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るベローズポンプの実施形態の縦断面図である。
【図2】平面形状の可撓性隔膜を示すために図1のA−A線に沿って見た横断面図である。
【符号の説明】
1 ポンプヘッド
6 筒状ポンプハウジング
8 ベローズ
11 ポンプ室
14 駆動モータ
20 リテーナ
21 容積制限部材
22 可撓性隔膜
23 ベローズ外領域(密閉室)
Claims (4)
- ポンプ給送流体を流通させる吸込口及び吐出口を備えたポンプヘッドと、
該ポンプヘッドに固定された筒状ポンプハウジングと、
該ポンプハウジング内に収容され、内部にポンプ室を区画するとともに前記ポンプヘッドの吸込口及び吐出口を一方向弁を介してそれぞれ該ポンプ室に連通させる固定端と、ポンプ動作に応じて往復動可能な可動端とを備えた伸縮自在なベローズと、
前記ベローズの可動端とクランク機構を介して連結され、該ベローズを往復動させてポンプ動作を遂行させるベローズ駆動手段と、
よりなり、
前記ベローズの可動端と前記ハウジングとの間に、該可動端の往復動に追従可能な可撓性隔膜を張設して、該ベローズの外側において該ベローズとハウジングとによって区画されたベローズ外領域を密閉室としたことを特徴とする可撓性隔膜を備えたベローズポンプ。 - 前記ベローズポンプ室容積を制限する容積制限部材を該ポンプ室内に配置するとともに該容積制限部材を保持するリテーナをベローズの可動端に取着し、前記可撓性隔膜の一端を該リテーナと可動端によって挟持してなる請求項1に記載のベローズポンプ。
- 前記可撓性隔膜をダイヤフラムで構成してなる請求項1又は2に記載のベローズポンプ。
- ポンプ給送流体として爆発性のガス等の気体をポンプ給送するエアーポンプである請求項1ないし3のいずれか1に記載のベローズポンプ。
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