JP2005023688A - 機械式錠前に対する電気錠の制御箱の取付構造 - Google Patents

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小林久晃
Masahiro Imada
今田雅裕
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Abstract

【課題】扉や機械式錠前に対して、極力、孔、切欠等の加工を施さないで、かつ、簡単に電気錠の制御箱を後付することができること。
【解決手段】機械式錠前1を扉11の内壁面12に取付け、該錠前の錠箱2から突出するサムターン摘み5に、制御箱9に設けた動力伝達機構の伝動歯車22と噛合する歯部23を有するサムターン摘み用キャップ8を外嵌合し、該キャップ用の開口部30及び取付け孔を有する制御箱9の一端部側9aを、前記錠箱の外壁面2aに位置決めした状態で添設しかつ固着具10を介して該制御箱9を錠箱2に後付固定したことを特徴とする機械式錠前に対する電気錠の制御箱の取付構造。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、手動式で施・解錠する機械式錠前に、電気錠の制御箱を後付する機械式錠前に対する電気錠の制御箱の取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
先行技術開示義務として、(1)特開平10−184126号公報、(2)特許第3333168号、(3)特開2003−74226を記載する。前記(1)の公開公報の図7には、扉に矩形状の切欠部を形成し、電源部及び制御部を内装する制御箱を取付ける考え方が開示されている。前記(2)特許公報には、扉の室外側の錠箱から離間した上方部位に円形切欠部を形成し、該切欠部にICカードの情報を読み取る円盤型のカードリーダを取付ける考え方が開示されている。なお、円盤型のカードリーダは、裏側にメネジ杆を有し、扉の内壁面から差し込まれかつ前記メネジ杆に螺合する固着具により扉に固定されている。前記(3)の公開公報には、扉の内部にタグ式の情報記憶媒体の情報を読み取る回路部、判別回路部、制御回路部、電源部など制御部を内臓する考え方が開示されている。
【0003】
ところで、現在、シリンダ錠や操作部材を備え、手動式で施・解錠する錠前に、電気錠の入力部材及び制御部を有する制御箱を後付し、施・解錠操作が容易な電気錠の機能を付加する技術が要望されている。
しかしながら、前記(1)乃至(3)の公報記載のように、扉に追加加工を施し、入力部材又は/及び制御箱を後付することは、特に集合住宅の転居・入居などの事情を考慮すると、「扉に対する現状回復義務」との関係で問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の主たる目的は、特に集合住宅の転居・入居時に扉に対する現状回復義務との関係を考慮し、扉や機械式錠前に対して、極力、孔、切欠等の加工を施さないで電気錠の制御箱を後付すること。本発明の第2の目的は、電気錠の制御箱を錠箱に簡単に固定並びに取り外し可能であること。本発明の第3の目的は、扉の外壁面側に固定された電気錠の入力部材のコネクタと、扉の内壁面に錠箱を介して固定された電気錠の制御箱のコネクタを、錠箱を加工するとこなく、後付制御箱に合理的に収納できること。本発明の第4の目的は、制御箱を扉の左右勝手に対応して錠箱に後付固定することができることである。加えて、機械式錠前に電気錠の他の機能(入力部材)を扉に加工を施さないようにして加味し、該錠前を電動錠としても使用することができることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の機械式錠前に対する電気錠の制御箱の取付構造は、機械式錠前1を扉11の内壁面12に取付け、該錠前の錠箱2から突出するサムターン摘み5に、制御箱9に設けた動力伝達機構の伝動歯車22と噛合する歯部23を有するサムターン摘み用キャップ8を外嵌合し、該キャップ用の開口部30及び取付け孔を有する制御箱9の一端部側9aを、前記錠箱の外壁面2aに位置決めした状態で添設しかつ固着具10を介して該制御箱9を錠箱2に後付固定したことを特徴とする。
【0006】
上記構成に於いて、扉の外壁面には、前面に入力手段用の収納部を有する取付けベース板が固定されていることを特徴とする。また、制御箱の内壁面には、扉の外壁面に固定された入力部材側のコネクタと、これに電気的に接続した制御箱側のコネクタとを収納する凹所が形成されていることを特徴とする。さらに、制御箱には、錠箱に形成されたネジ孔と符合し、かつ、扉の左右勝手に対応する複数個の取付け孔が形成されていることを特徴とする。
【0007】
ここでは「機械式錠前」とは、公知、新規とを問わず、シリンダ錠や操作部材を備え、手動式で施・解錠する錠前のことを言う。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、図1は本発明の実施例の環境を示す概略説明図である。1は機械式錠前、2は機械式錠前の錠箱、3はデッドボルト、4はラッチボルト、5は錠箱2の幅広外壁面2aから突出するサムターン摘み、6は角孔を有するハンドルカム軸、7は前記ハンドルカム軸に軸部が嵌入する内側ハンドル、8はサムターン摘み5に外嵌合するサムターン摘み用キャップ、9は錠箱2の上壁面に一端部側9aが位置決めした状態で添設され、かつ、複数個の固着具10を介して固定される制御箱である。
【0009】
以上が扉11の内壁面12側に設けられる主な構成部材である。錠前1には、もちろんサムターンの軸が連係するサムターンダルマ(デッドカム)、施・解錠機構を構成する部材が内装されている(省略)。
【0010】
一方、扉11の外壁面13には、次の部材が設けられている。すなわち、14は扉11の外壁面13に固定され、かつ、前面に入力手段用の収納部15を有する取付けベース板、16は錠前1のハンドルカム軸に軸部が嵌入する外側ハンドル、17はサムターンとは反対側のダルマに連係装着されるシリンダ錠である。なお、錠前1及び後述する後付電気錠Xの電気回路との関係で、合鍵50、携帯型情報記憶媒体51が存在する。
【0011】
次に本発明の主要部について説明する。図2は錠箱2のサムターン摘み5にサムターン摘み用キャップ8を被せた状態の正面図である。図2を基準にすると、内側ハンドル7がハンドルカム軸6に装着されている。この内側ハンドル7とキャップ8との間の適宜部位、例えば左側壁2b寄りの幅広外壁面2aには、固着具用の第1のメネジ孔19が形成されている。また、キャップ8とフロントに相当する側壁18寄りの幅広外壁面2aには、固着具用の第2のメネジ孔20が形成されている。
【0012】
図3はサムターン摘み用キャップ8と伝動歯車22の斜視図である。キャップ8は、嵌める方のキャップ部21の外周部に制御箱9に設けた伝動歯車22と噛合する歯部23を有する。
しかして、24はキャップ部21の内部に形成されたサムターン摘み5用の嵌合凹所で、この嵌合凹所24はサムターン摘み5の突起形状に対応して開口がトラック形状に形成されている。また25はキャップ部21の外壁面の中央部に突出形成されたキャップ摘みである。
【0013】
図4は制御箱9の内部に設けられた電源部59、駆動源64、動力伝達機構65等の概略を示す。サムターン摘み用キャップ8は、電源部59から給電されて駆動する駆動モータ64の駆動力により左右に所定量回転する。
【0014】
動力伝達機構65は、本発明の特定要件でないので、簡単に説明する。27は駆動モータ64の出力軸と共に回転するベベルギヤ、28は初期の歯車がベベルギヤと噛合する減速歯車列、22は図示しないクラッチ歯車を介して回転し、かつ、キャップ8の歯部23と噛合する前述の伝動歯車である。
【0015】
図5は制御箱9の正面図である。一端部(下端部)側の中央部には、サムターン摘み用キャップ8のキャップ部21が遊嵌合する開口部の一例としてのキャップ嵌合孔30が形成されている。31はキャップ嵌合孔30を基準にすると、制御箱9の一端部側9aのキャップ嵌合孔30よりも下方の下端中央部寄りの部位に形成された左右一対の第1取付け孔で、これらの第1取付け孔31の一つ(例えば左側の孔)は、前述した錠箱2の第1メネジ孔19に符合する。
【0016】
また、32は一端部側9aの下端部にそれぞれ形成された左右一対の第2取付け孔で、これらの第2取付け孔32の一つ(例えば右側の孔)は、前述した錠箱2の第2メネジ孔20に符合する。これらの第1及び第2の取付け孔31.32は、扉の左右勝手に対応して形成されているので、錠箱2に形成されたネジ孔31.32の位置如何によって選択的に利用される。
【0017】
図6は制御箱9の裏側(背面)を示す説明図である。図6から明らかなように、制御箱9の一端部側9aに連設する他端部(上端部)側9bは、ボックス状に裏側に突出している。ボックス状の他端部側9bの内部には、電源(電池)部59や制御部57が内装される。
【0018】
伝動歯車22の一部は、制御箱の中央切欠部33から露呈している。また、制御箱9の背面からは制御箱側のリード線34及びコネクタ35が引き出されている。さらに、制御箱9の背面中央部には、入力部材(取付けに入力板)14側のリード線36の端部に設けられたコネクタ37と、これに電気的に接続する制御箱側の前記コネクタ35とを収納する凹所38が形成されている。
なお、符号39は電源部の引き出し型キャップ、40は錠箱2の一端部側の一側壁に取り外し可能に添設された飾り側板である。
【0019】
図7は制御箱9を錠箱2に固定した正面図である。制御箱9を錠箱2に固定する場合には、キャップ用の開口部30及び取付け孔31.32を有する一端部側9aを、錠箱2の上壁面2aに位置決めした状態で添設し、その後、2本の固着具10.10を介して固定する。固着具10は、本実施例では、図7で示すように左下の第1取付け孔31と右上の第2取付け孔32にそれぞれ差し込み螺合している。41は固着具10を覆う弧状のカバーである。カバー41は取り外し自在に錠箱2に係脱する。
【0020】
図8は扉11の外壁面13に、前面に入力手段用の収納部15を有する取付け入力板14を外側ハンドル用取付け座板43、複数本の取付け座板用固着具44.44を介して取付け、一方、機械式錠前1を扉13の内壁面12に内側ハンドル用取付け板45を介して取付けた説明図である。
【0021】
前記外側ハンドル用取付け座板43は、内壁面の上下部に水平方向に突出する一対のメネジ杆46.46を有し、これらのメネジ杆46.46に前記固着具44.44がそれぞれ螺合する。
【0022】
なお、前記取付け入力板14の収納部15には、起動スイッチS、入力部の一例としてのアンテナ48aを有する受信部48が設けられている。錠箱2側の孔(嵌合孔或いは開口)も扉11側の孔(嵌合孔或いは開口)も、普通一般に既存の孔である。
【0023】
次に図9及び図10は、機械式錠前1に制御箱9と入力部材14とを後付した電気錠Xの電気回路を示す。
前述したように、50は合鍵で、この合鍵50には、リングなどを介して携帯型情報記憶媒体(ダグタイプ、カードタイプなど)51が吊り下っている。情報記憶媒体51は、俗に「ICカード」とも称されている。
【0024】
情報記憶媒体51は、電気錠Xの受信部48に接近すると(所定の領域内に入り込むと)、アンテナ52で受信した大きい電波をエネルギー源に用いて受信部53で電気を生成させ、データ制御回路54を起動させる。そこで、データ制御回路54は、識別コードを格納した携帯メモリー55にアクセスして該識別コードを取得し、送信部56に出力し続ける。なお、符号49は交信用の送信部である。
【0025】
本実施例の電気錠Xは、携帯型情報記憶媒体51が取付け入力板14の受信部48に接近しただけでは、制御部57は起動しない。制御部57を起動させるためには、まず、起動用スイッチSをオン(ON)にさせる必要がある。
【0026】
そこで、情報記憶媒体51の所持者は、起動用スイッチSを押す。起動用スイッチSを押すと、起動信号aが制御部57に送られるので、制御部57は情報記憶媒体51の該識別コードを読み取ることが可能な状態になる。そこで、情報記憶媒体51の所持者は、当該情報記憶媒体51を取付け入力板14の受信部48に「かざす」、或いは「あてがう」ようにする。
【0027】
そうすると、非接触型のアンテナ48aを有する受信部48は、前記送信部56から投げられた識別信号(識別コード)bを受信して制御部57へと送る。制御部57のデータ読み取り回路60は、情報記憶媒体51の識別信号bを読み取る。データ照合判別回路61は、メモリー62に登録されている正規情報と当該識別信号bとが一致する否かを照合し、かつ、判別する。
【0028】
データ照合判別回路61が「当該識別信号bは正規のものである」と判別した時、制御部57はタイマー回路を備えた駆動源制御回路63の指令に基づいて駆動源64を起動させる。駆動源64が起動すると、減速機構、クラッチ機構などを備えた動力伝達機構65が作動する。動力伝達機構65が作動すると、キャップ8が回転すると共に、錠箱2内の施・解錠機構66を介してデッドボルト3が解錠方向へと後退する。
【0029】
【実施例】
携帯型情報記憶媒体51は、合鍵50と別体(吊り下げ型)であるが、合鍵50自体に携帯型情報記憶媒体51を埋設しても良い(一体型)。また入力部の起動用スイッチは押しボタン式の接触型であるが、人体の接近を感応する非接触型でも良い。また、入力部は、情報交信手段、リモコン等の非接触型の受信部48であるが、接触型(例えば指で信号を入力することができるテンキー)であっても良い。したがって、声紋、眼球などを検知する公知の入力部は、受信部28の置換事項に過ぎない。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、次に列挙するような効果がある。
(1)扉や機械式錠前に対して、極力、孔、切欠等の加工を施さないで電気錠の制御箱を後付することができる。したがって、特に集合住宅の転居・入居時に扉に対する現状回復義務との関係で有効である。
(2)電気錠の制御箱の一端部を錠箱の外壁面に添設するので、制御箱を錠箱に簡単に後付固定することができる。また、後付した後、必要に応じて簡単に取り外しすることもできる。
(3)扉の外壁面側に固定された電気錠の入力部材のコネクタと、扉の内壁面に面付け固定された電気錠の制御箱のコネクタを、錠箱を加工するとこなく、後付制御箱に合理的に収納できる。
(4)制御箱の一端部に、錠箱2側のメネジ孔に対応する左右一対の第1及び第2取付け孔がそれぞれ形成されている実施例の場合には、制御箱を扉の左右勝手に対応して錠箱に固定することができる。
(5)機械式錠前に電気錠の他の機能(入力部材)を加味し、該錠前を電動式でも施・解錠することができる。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図10は本発明の一実施例を示す各説明図。
【図1】実施形態を示す主たる構成部材の概略的な分解斜視図。
【図2】面付け錠前の正面からの説明図(摘みにキャップを外嵌合)。
【図3】キャップと伝動歯車の説明図。
【図4】制御箱の動力伝達機構等の概略説明図。
【図5】制御箱の正面図。
【図6】制御箱の裏側から見た斜視図。
【図7】制御箱を錠前に固定した一例の説明図。
【図8】扉に、機械式錠前に取付け入力板と制御箱を後付した一部概略断面説明図。
【図9】後付けした場合の電気錠の電気回路を示すブロック図。
【図10】図9に於いて、入力部材と携帯型情報記憶媒体との交信の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1…機械式錠前、2…錠箱、2a…外壁面、2b…左側壁、3…デッドボルト、5…サムターン摘み、6…ハンドルカム軸、7…内側ハンドル、8…キャップ、9…制御箱、10…固着具、11…扉、12…扉の内壁面、13…扉の外壁面、14…取付け入力板、15…収納部、16…外側ハンドル、17…シリンダ錠、19.20…メネジ孔、21…キャップ部、22…伝動歯車、23…歯部、24…嵌合凹所、25…キャップ摘み、28…減速歯車列、30…キャップの開口部、31…第1取付け孔、32…第2取付け孔、33…中央切欠部、35…制御箱側のコネクタ、37…取付け入力板のコネクタ、38…凹所、40…飾り側板、S…制御部用起動スイッチ、57…制御部、59…電源部、50…合鍵、51…携帯型情報記憶媒体、56…送信部、60…データ読み取り回路、61…データ照合判別回路、63…駆動源制御回路、64…駆動源、65…動力伝達機構。

Claims (6)

  1. 機械式錠前1を扉11の内壁面12に取付け、該錠前の錠箱2から突出するサムターン摘み5に、制御箱9に設けた動力伝達機構の伝動歯車22と噛合する歯部23を有するサムターン摘み用キャップ8を外嵌合し、該キャップ用の開口部30及び取付け孔を有する制御箱9の一端部側9aを、前記錠箱の外壁面2aに位置決めした状態で添設しかつ固着具10を介して該制御箱9を錠箱2に後付固定したことを特徴とする機械式錠前に対する電気錠の制御箱の取付構造。
  2. 請求項1に於いて、扉の外壁面13には、前面に入力手段用の収納部15を有する取付け入力板14が固定されていることを特徴とする電気錠の制御箱の取付構造。
  3. 請求項1に於いて、取付け入力板14は、外側ハンドル用取付け座板を介して固定されていることを特徴とする電気錠の制御箱の取付構造。
  4. 請求項1に於いて、制御箱の裏側には、扉の外壁面に固定された取付け入力板側のコネクタ37と、これに電気的に接続する制御箱側のコネクタ35とを収納する凹所38が形成されていることを特徴とする電気錠の制御箱の取付構造。
  5. 請求項1に於いて、制御箱には、錠箱に形成されたネジ孔と符合し、かつ、扉の左右勝手に対応する複数個の取付け孔31.32が形成されていることを特徴とする電気錠の制御箱の取付構造。
  6. 請求項1に於いて、制御箱には、電源部59と、該電源部から給電されて駆動する駆動モータ64と、この駆動モータの駆動力を伝達すると共に、キャップ8の歯部23と噛合する伝動歯車22を有する動力伝達機構65とが設けられていることを特徴とする電気錠の制御箱の取付構造。
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