JP2005022709A - キャップ及びキャップ付ボトル缶 - Google Patents

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泰浩 花房
Motohiko Kamata
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Abstract

【課題】開栓するためにキャップを回動させることにより、ブリッジが破断し、リシールしたキャップ付ボトル缶を鞄等の収納物に入れたとしても、破断されたブリッジの断面により収納物が傷つけられることを防止できるようにする。
【解決手段】口金部51に雄ねじ部52とかぶら部53が形成されたボトル缶50に対して被着され雄ねじ部52に嵌合する雌ねじ部14が形成されるキャップ本体上部12と前記かぶら部に係止されるピルファープルーフ部20が設けられるキャップ本体下部11とがブリッジ13により連結され、その外表面に塗膜40が形成されたキャップCにおいて、少なくとも前記ブリッジ13周辺部の前記塗膜40の厚さが、15μm以上40μm以下となることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開栓時にキャップ下部をボトル缶の口金部に係止させることにより残した状態でキャップ上部を回動操作して開栓する形式のキャップ、及びこのキャップを備えたキャップ付ボトル缶に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、アルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属を絞り・しごき成形によって口金部を有するボトル缶本体を形成し、この口金部にキャップを被着させてなる構成のキャップ付ボトル缶が使用されている。これは、清涼飲料等を充填する場合に使用されるものである。このボトル缶本体の先端側には、口金部が形成されており、この口金部の先端部には雄ねじ部が形成されている。また、その雄ねじ部の下部には外側に膨出したかぶら部が形成されている。また、キャップは天板と天板の周辺部に周壁部が設けられたものであり、カップ状に形成されたものであって、その周壁部の上部には雌ねじ部が設けられており、その周壁部の下部にはピルファープルーフ部が形成されている。なお、このボトル缶及び、キャップの表面には塗膜が形成されている。
また、このキャップは、上部と下部との間にスコア(切り込み)を断続的に形成したキャップをボトル缶口金部に被せて、ねじ部、かぶら部等の形状に沿うように塑性変形させることにより、ボトル缶口金部に被着されている。
【0003】
このキャップは、開栓時にボトル缶口金部に対して回転されると、ボトル缶口金部に形成されたねじ山のリードに従い上部が上方へ移動されながら回転する一方で、下部がボトル缶の口金部のかぶら部に係止されて回転するのみで上方へ移動しないことにより、キャップ本体の上下部が上下に離れて、ブリッジが引き切られるようになっている。したがって、このブリッジが切れているかどうかを目視確認することにより、ボトル缶の開栓を容易に確認し得て、いたずらを防止できる(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−302194号公報(図1、図8、図10)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のキャップ及びキャップ付ボトル缶においては、開栓時において、キャップを回動させると、本体の上部のねじ部分がボトル缶のねじ部に沿って上方に持ち上がりながら回転する一方、ピルファープルーフ部が形成された本体の下部がボトル缶のかぶら部に係止され、本体の上部と一体に持ち上がらずに回転する。すると、本体上部と本体下部とが徐々に離間するので、これらを連結するブリッジが上下方向に引っ張られ、ブリッジが周方向に破断される。
【0006】
以上のように、上記キャップ及びキャップ付ボトル缶においては、キャップの開栓により、破断されたブリッジの断面及び断面の外周部分は鋭利なものになるため、キャップをリシールしたキャップ付ボトル缶を鞄等に入れた場合に鞄等を傷つける等の問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、開栓によって破断されたブリッジの破断面によって、鞄等の収納物を傷つけないキャップ及びキャップ付ボトル缶を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は以下の手段を提案している。請求項1に係る発明は、口金部に雄ねじ部とかぶら部が形成された缶に対して被着され前記雄ねじ部に嵌合する雌ねじ部が形成されるキャップ本体上部と前記かぶら部に係止されるピルファープルーフ部が設けられるキャップ本体下部とがブリッジにより連結され、その外表面に塗膜が形成されたキャップにおいて、少なくとも前記ブリッジ周辺部の前記塗膜の厚さが、15μm以上40μm以下となることを特徴とする。なお、少なくともブリッジ周辺部に形成される塗膜の厚さが、15μm以上25μm以下となるように形成されることが好ましい。
【0009】
この発明に係るキャップによれば、開栓時にキャップを回動すると、ブリッジが上下方向に引っ張れることになり、ブリッジ周辺部に形成された塗膜も上下方向に引っ張られることになる。さらに、キャップを回動させると、ブリッジ及びブリッジの周辺部に塗布された塗膜が破断されることになる。この発明においては、塗膜の厚さが上記範囲に設定されていることから、ブリッジの破断面に厚肉の塗膜が存在することになり、したがって、該破断面が収納物等に直接接触することが防止され、収納物等の損傷が防止される。
なお、塗膜の厚さを上記範囲に設定することにしたのは、塗膜の厚さが15μmよりも薄くなると、ブリッジの破断面が大きく露出して塗膜による保護効果が急速に減少するからであり、また、塗膜の厚さが40μm以上に形成されると、膜強度が弱くなり剥離し易くなるからである。また、塗膜の厚さを15μm以上25μm以下に設定すると、さらに、塗膜の保護効果が確実なものとなり、同塗膜の剥離を防止することができる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたキャップにおいて、前記塗膜が、加熱されたことにより発泡させられた発泡性マイクロカプセルを含有する発泡インキ膜を有していることを特徴とする。
【0011】
この発明に係るキャップによれば、発泡インキ膜に含まれる発泡性マイクロカプセルが加熱されることにより発泡することになり、発泡インキ膜が膨張することになる。このため、塗膜の厚さを容易に厚くすることができる。また、発泡性マイクロカプセルが加熱されて発泡すると、発泡インキ膜が凸形状を形成するので、開栓時におけるグリップ性が向上し開栓時において開栓し易いことになる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載されたキャップにおいて、前記発泡インキ膜は、バインダー樹脂内に前記発泡性マイクロカプセルを含有させてなり、前記発泡性マイクロカプセルが塗膜の厚み方向に重ならないように形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係るキャップによれば、前記発泡性マイクロカプセルが塗膜の厚み方向に重ならないように形成されていることから、発泡後の凹凸形状が大きくならず、かつ均一となる。このようにキャップの外周が均一な凹凸形状であると、キャップ製造工場におけるキャップ搬送時にキャップとコンベアガイド等が頻繁に擦れあう場合や、また、開栓する場合においても、塗料及び印刷膜の剥離が起こり難いことになる。したがって、本発明によれば係る塗料及び印刷膜の剥離をも防止することができる。
【0014】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載されたキャップにおいて、前記塗膜は、金属薄板上にその外表面から外方に向けて順次ベースコート膜、印刷膜、トップコート膜が積層状態に構成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係るキャップによれば、確実に、少なくともブリッジ周辺部の塗膜の厚さを、15μm以上40μm以下に設定することができる。また、トップコート膜が積層状態に構成されることにより、加工時において絞り成形性を良くするとともに、キャップとしての開栓性、耐摩耗性の性能機能が向上され、ベースコート膜や印刷膜の保護が向上されることになる。さらに、キャップ外表面の光沢向上及び、製造ラインでの滑り性が向上されることになる。
【0016】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載されたキャップにおいて、前記塗膜がグラビア印刷方式により形成されることを特徴とする。
【0017】
この発明に係るキャップによれば、グラビア印刷方式を採用するため、グラビア印刷方式で使用される凹版の画像部の溝の深さを調節することにより、容易に、少なくともブリッジの周辺部の塗膜の厚さを上記の範囲とするための印刷膜を塗布させることができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のキャップが被着されているキャップ付ボトル缶を特徴とする。
【0019】
この発明に係るキャップ付ボトル缶によれば、前記ブリッジ周辺部の前記塗膜の厚さが、15μm以上40μm以下に形成されているので、開栓によりキャップ本体上部とキャップ本体下部とが分離されることになり、キャップ本体上部とボトル缶の口金部に係止されたキャップ本体下部とに形成されたブリッジの破断面おいても、開栓後において、リシールされたキャップ付ボトル缶を鞄等の収納物に入れたとしても、該収納物を傷つけることを防止することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明する。図1〜図5は本発明の第1の実施の形態を示す図であって、図1はキャップの一部を断面視した側面図、図2はキャップCに塗膜を形成する方法の説明図、図3はキャップCのブリッジ13周辺部の断面図である。
【0021】
図1において、ボトル缶50は、アルミまたはアルミ合金の金属板材に絞り・しごき加工の加工処理が行われることよって、缶基体が形成され、次いで、その缶基体の上端部が切断されることによって缶基体の高さが調節されるトリミング処理が行われる。さらに、ネックイン処理により、缶基体の上端部が絞り・しごき加工されることにより細い形状となり、口金部51が設けられる。その後、口金部51の上端部を軽く膨出させ、さらにねじ切り処理によって、かぶら部53及び、ねじ部52が設けられる。このねじ部52の形成時には上端を外側に折り返してねじ部52の先端に、キャップCの内面側に圧着されているライナ21と密着させるカール部が形成される。
【0022】
また、キャップCは、天板10と天板10の周辺部に周壁部15が設けられたものであり、カップ状に形成されたものであって、天板部10側のキャップ本体上部12とそのキャップ本体上部12に連設されたキャップ本体下部11とからなっている。キャップ本体上部12には凹部と凸部を周方向に繰り返したナール部17が形成されている。また、ナール部17の下側には、雌ねじ部14が形成されており、ボトル缶50の雄ねじ部52に螺着されている。また、この雌ねじ部14の下側にはピルファープルーフ部20が形成されており、ボトル缶50のかぶら部53に係止されている。また、キャップ本体上部12とキャップ本体下部11との間にはスリット16が設けられており、さらに、このキャップ本体上部12とキャップ本体下部11とは、スリット16間に設けられたブリッジ13によって互いに連結されている。また、キャップCの内側にはライナ21が圧着されており、キャップCの外表面には塗膜40が形成されている。
【0023】
上記のキャップCの製造方法について説明すると、図2に示されるように、キャップCの外面側を形成することになるアルミまたはアルミ合金板材である金属薄板9の表面の全面に、ベースコート膜P11が形成され、このベースコート膜P11の上に光遮蔽性膜62(発泡インキ膜、印刷膜)が印刷により形成される。このベースコート膜P11は、アルミまたはアルミ合金板材と光遮蔽性膜62との密着性を向上させ、加工での塗膜の剥離を防ぐための塗膜により構成されている。また、この塗料に、下地の金属色の影響を受けずに発色性の良い印刷を施すための顔料を含めてよい。なお、図3と図5においては、このキャップCの外面側に形成されるベースコート膜P11については、図示を省略する。
【0024】
光遮蔽性膜62は、光の透過を妨げる性質の膜である。光遮蔽性膜62を形成するための光遮蔽性インキは、発泡性マイクロカプセルdの他に、バインダー樹脂bと光遮蔽性材料とを少なくとも含んでいる。そして光遮蔽性膜62の上には、光透過性膜64(トップコート膜)が塗装により形成されている。さらに、キャップCの内面側を形成することになる金属薄板9の表面の全面に、膜P1が形成され、その上に膜P3が形成されている。この金属薄板9を加熱させて、発泡性マイクロカプセルdを発泡させた後に、この金属薄板9をプレス用小板に切断し、このプレス用小板をカップ状に成形する。この場合、光遮蔽性膜62はバインダー樹脂b内に発泡性マイクロカプセルd含むものであり、加熱により発泡性マイクロカプセルdが発泡することになる。
【0025】
このカップ状に形成したものにナール成形等を行い、さらに、キャッピング装置を用いて、図1に示されるように、キャップCを形成する。キャップCをボトル缶50の口金部51に被着させるには、ボトル缶50の口金部51に被せられた金属製のカップ状のキャップにローラを側方から押し付けて巻き締めるキャッピング装置が用いられる。キャッピング装置は、カップ状のキャップの側面にボトル缶50の口金部51の雄ねじ部52と対応する雌ねじ部14を形成するねじ形成ローラと、カップ状のキャップの下端部を口金部に巻き締める裾巻きローラとを備えるものである。ねじ形成ローラは、押圧力でカップ状のキャップの側面に押し当てられた状態でボトル缶50の口金部51の周囲を回転され、口金部51のねじ山に沿って転動することにより,カップ状のキャップを巻き締め力で巻き締めながら雌ねじ部14を形成する。
【0026】
一方、裾巻きローラは、カップ状のキャップの下端部に押し当てられた状態でボトル缶50の口金部51の周囲を回転され、口金部51のかぶら部53に沿って転動することにより、カップ状のキャップの下端部をボトル缶50のかぶら部53に沿うように変形させて巻き締め、ピルファープルーフ部20を形成する。図3は、キャップCのブリッジ13の詳細を示している。ここで、ブリッジ13周辺部の塗膜40の厚さLは、15μm以上40μm以下に設定されている。
【0027】
ここで、各塗膜について説明する。光遮蔽性膜62は、光の透過を妨げる性質の膜である。光遮蔽性膜62を形成するための光遮蔽性インキは、前述したように、発泡性マイクロカプセルdの他に、バインダー樹脂bと光遮蔽性材料とを少なくとも含んでいる。バインダー樹脂bは、金属薄板9と発泡した発泡性マイクロカプセルdとを接着により一体化して、前記発泡性マイクロカプセルdを金属薄板9表面に結合するための樹脂であって、合成樹脂などである。
【0028】
図1、図3に示されるキャップ成形後における金属薄板10の地模様(地金)が透けて見えるのを防止するために、発泡性マイクロカプセルdに加えて、光遮蔽性材料、例えば金属粉末、顔料などが光遮蔽性インキに添加される。また、光遮蔽性インキには、必要に応じて、染料などの他の添加剤を配合してもよい。なお、図2において、2aはバインダー樹脂bの印刷膜基準レベル面である。
【0029】
ここで、図2に示されるように、光遮光性膜62は、発泡性マイクロカプセルdの一部が、インキを印刷した直後に形成される印刷膜基準レベル面2a上に突出するように印刷されている。この場合、発泡性マイクロカプセルdの全てが、その上部の一部を印刷膜基準レベル面2a上に突出するようにすることは必要ではない。
【0030】
図4に示されるように、発泡性マイクロカプセルdは、気体又は低沸点の液体が封入され加熱により体積膨脹する性質を持つ小球である。発泡性マイクロカプセルdは、平均粒径が6〜30μm、特に6〜15μmであることが好ましい。6μm未満であると、発泡による泡が小さ過ぎるので、キャップ成形後における金属薄板10の地模様を十分に遮蔽できないからである。15μmを超えると、オフセット印刷等において発泡性マイクロカプセルdの転写性が悪くなり、発泡性マイクロカプセルdが版、ブラケット上に残留して印刷不良を招き易い。また、15μmを超えると印刷膜の強度が低下し易いからである。
【0031】
発泡性マイクロカプセルdは、樹脂から成る外殻Sを有し、その中空に低沸点の気体又は低沸点の液体、例えば低沸点の炭化水素を封入したものが好ましい。このようなカプセルは加熱されると外殻の樹脂が熱軟化するので、封入されている気体Mが熱膨脹して、その粒径が数倍(例えば、4倍)になり体積膨脹する(発泡する)という性質を有する。
【0032】
また、発泡性マイクロカプセルdは、光遮蔽性インキに対して、約1〜10重量%配合されることが好ましい。約1重量%未満であると少な過ぎて、金属薄板10の地模様を十分に遮蔽できない。10重量%を超えると、印刷時のインキ転移性を損ない、印刷不良を招き易い。
【0033】
光遮蔽性膜62の上には、図2に示すように、光透過性膜64が塗装により形成される。光透過性膜64は、例えばクリヤーニスを塗装することにより形成される。クリヤーニスとは実質的に顔料を含まないニスである。光透過性膜64は、透明性ある膜を光遮蔽性膜62の上に形成し、しかも、発泡により体積膨脹した発泡性マイクロカプセルdを金属薄板9の上に固着するとともに、発泡後の発泡性マイクロカプセルdを表面保護するとともに、キャップ外表面の光沢を向上させる。
【0034】
光透過性膜64を形成するための光透過性塗装ニスは、印刷された発泡性マイクロカプセルdを十分に覆うような厚みに塗装により塗布される。その厚みは、発泡性マイクロカプセルdの粒径等に依存するが、4〜20μmであることが望ましい。4μm未満であると、発泡性マイクロカプセルdを十分に覆うことができないし、20μmを超えると過剰であって、発泡性マイクロカプセルdの発泡倍率が抑制される等の問題がある。
【0035】
光遮蔽性膜62はオフセット印刷により形成されることが好ましく、光透過性膜64はロール塗装で形成されることが好ましい。
また、光遮蔽性膜62の上に光透過性膜64を有する金属薄板9は、加熱されるが,このときの加熱(例えば、120〜200゜C)によって、発泡性マイクロカプセルdが、その粒径が数倍(例えば、4倍)となるように、体積膨脹する。発泡した後の発泡性マイクロカプセルdの平均粒径は24〜120μm、特に24〜60μmであることが好ましい。発泡した発泡性マイクロカプセルdは、発泡前に予め形成された光透過性膜64によって表面保護される。
【0036】
次に、この実施形態の作用について説明する。図1において、ボトル缶50の口金部51に被着されたキャップCを開栓するために回転させると、雌ねじ部14が形成されたキャップ本体上部12が、ボトル缶50の雄ねじ部52に沿って上方へ持ち上がりながら回転し、一方ピルファープルーフ部20が形成されたキャップ本体下部11はボトル缶50のかぶら部53に係止され、本体上部12と一体に持ち上がらずに回転する。
【0037】
すると、キャップ本体上部12とキャップ本体下部11とが徐々に離間するので、これらを連結するブリッジ13が上下方向に引っ張られ、また、ブリッジ13付近に塗布された塗膜40も上下方向に引っ張られ、上下方向に伸びることになる。さらに、キャップCを回動させると、ブリッジ13は、破断されることになる。ブリッジ13が破断されると、ブリッジ13付近に塗布されていた塗膜40も破断されることになる。ここで、図3に示されるように、ブリッジ13周辺部の塗膜40の厚さLが、15μm以上40μm以下に設定されていることから、図5に示されるように、ブリッジ13の破断面の近傍に厚肉の塗膜41が存在することになり、したがって、該破断面が収納物等に直接接触することが防止され、収納物等の損傷を防止することができる。
また上記のキャップCにおいては、キャップCの全面に発泡性マイクロカプセルdが配置されるため、発泡性マイクロカプセルdが加熱されると発泡して凸形状を形成することから、開栓時におけるグリップ性が向上し、開栓が容易にすることができる。
【0038】
さらに、図3に示されるように、発泡後の発泡性マイクロカプセルdは気泡を含むので、光拡散性を有することになり、このため金属薄板10の地模様が透けて見えるのを防止することができる。したがって、キャップCの外表面上にベースコート膜を形成する必要がなくなる。
また、このキャップCにおいては、製造の際に図2に示すように、発泡性マイクロカプセルdが、その上部を印刷面基準レベル2aの上に均一な高さで突出するように配置されるので、発泡性マイクロカプセルdを均一に発泡させることができ、均一なマット感(艶消し感)のある印刷を得ることができる。
【0039】
なお、発泡性マイクロカプセルdを有する光遮蔽性膜62を金属薄板9の上に発泡性マイクロカプセルdが膜内で重ならないように印刷により形成し、該光遮蔽性膜62の上に光透過性膜64を塗装により形成した後、発泡性マイクロカプセルdを発泡させることにしてもよい。
これにより、発泡性マイクロカプセルdが、印刷膜内で重なることを防止しつつも、レベル面2a上に均一な高さで突出させることができる。これにより、発泡後において、塗膜40の厚さLが厚くなり過ぎることが防止でき、膜強度を確保することができることになる。このため、この塗膜40が剥離されることを防止することができる。さらに、発泡性マイクロカプセルdが均一に発泡することになり、均一なマット感のある印刷を得ることができる。
【0040】
つぎに、本発明の第2の実施形態によるキャップCについて図6、図7を参照して説明する。なお、図6、図7において、図1〜図5と共通する構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。ここにおいて、アルミまたはアルミ合金板材の表面のうちキャップの外面側を形成することになる表面にベースコート膜P11を形成し、その上に印刷膜P12が形成される。そして、印刷膜P12の上に、トップコート膜P13が形成される。ここで、この実施の形態においては、上記印刷膜P12をグラビア印刷方式により塗布することを特徴とするものである。
【0041】
このように、この実施の形態においては、印刷膜P12をグラビア印刷方式により印刷するので、凹版の溝の深さを調節することにより、アルミまたはアルミ合金板材の表面のうちブリッジ13付近を形成する部分の印刷膜P12の厚さが容易に調節されることになり、図6、図7に示されるように、キャップCのブリッジ13付近の塗膜40の厚さLが、15μm以上40μm以下(好ましくは、15μm以上25μm以下)とすることができる。なお、印刷膜P12は、キャップ用塗料であり、耐加工性、耐熱性、衛生性、耐磨耗性を有するものであり、顔料や染料等の着色材と印刷機上での流動と転移を助け、アルミまたはアルミ合金板材に固着するビヒクル(vehicle)からなるものである。
【0042】
したがって、この実施の形態においても、開栓時にブリッジ13が破断されたとしても、ブリッジ13の周辺部の塗膜40の厚さLが厚く形成されるため、ブリッジ13の破断面の近傍に厚肉の塗膜が存在することになり、したがって、該破断面が収納物に直接することが防止され、収納物の損傷が防止されるという効果が得られる。
【0043】
図8は、この発明の第3の実施の形態を示す図である。この実施の形態が、図7に示される第2の実施の形態と異なる点は、キャップCの全面にわたって塗膜40の厚さLが15μm以上40μm(好ましくは、15μm以上25μm以下)に形成されていることである。その他の構成は、上述した第2の実施の形態と同一構成である。したがって、この実施の形態においても、上記の第2の実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0044】
図9は、この発明の第4の実施の形態を示す図である。なお、図9において、図1〜図8と共通する構成部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。この図に示す第4の実施の形態は、アルミまたはアルミ合金板材のうちブリッジ13付近を形成する部分の表面に形成されるトップコート膜P13が繰り返し塗布されることにより、キャップCのブリッジ13周辺部の塗膜40の厚さLを15μm以上40μm以下(好ましくは15μm以上25μm以下)としたものである。
【0045】
この実施の形態においても、開栓時にブリッジ13が破断されたとしても、ブリッジ13の周辺部の塗膜40の厚さLが厚く形成されるため、ブリッジ13の破断面の近傍に厚肉の塗膜が存在することになり、したがって、該破断面が収納物に直接することが防止され、収納物の損傷が防止されるという効果が得られる。
【0046】
図10は、この発明の第5の実施の形態を示す図である。この図10に示す第5の実施の形態が、上記図9に示す実施の形態と異なる点は、キャップCの全面にトップコートP13が繰り返し塗布され、ブリッジ13周辺部の塗膜40の厚さLを15μm以上40μm以下(好ましくは、15μm以上25μm以下)とした点である。したがって、この実施の形態においても、上記図9の実施の形態と同様の作用、効果を得ることができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のキャップまたはキャップ付ボトル缶によれば、開栓するためにキャップを回動させることにより、ブリッジが破断した場合においても、少なくともブリッジの周辺部の塗膜が厚肉に形成されているため、開栓後、リシールしたキャップ付ボトル缶を鞄等の収納物に入れた場合においても、収納物を傷つけるおそれがないという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるキャップCの一部を断面視した側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるキャップCに塗膜を形成する方法の説明図である。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるキャップCのブリッジ13周辺部の断面図である。
【図4】発泡性マイクロカプセルdの断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における、開栓後におけるブリッジ13周辺部の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態によるキャップCの一部を断面視した側面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるキャップCのブリッジ13周辺部の断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態におけるキャップCのブリッジ13周辺部の断面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態におけるキャップCのブリッジ13周辺部の断面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態におけるキャップCのブリッジ13周辺部の断面図である。
【符号の説明】
C キャップ材
13 ブリッジ
14 雌ねじ部
62 光遮光性膜(発泡インキ膜、印刷膜)
64 光透過性膜(トップコート膜)
P11 ベースコート膜
P12 印刷膜
P13 トップコート膜

Claims (6)

  1. 口金部に雄ねじ部とかぶら部が形成されたボトル缶に対して被着され、前記雄ねじ部に嵌合する雌ねじ部が形成されるキャップ本体上部と前記かぶら部に係止されるピルファープルーフ部が設けられるキャップ本体下部とがブリッジにより連結され、その外表面に塗膜が形成されたキャップにおいて、
    少なくとも前記ブリッジ周辺部の前記塗膜の厚さが、15μm以上40μm以下となることを特徴とするキャップ。
  2. 請求項1に記載されたキャップにおいて、
    前記塗膜が、加熱されたことにより発泡させられた発泡性マイクロカプセルを含有する発泡インキ膜を有していることを特徴とするキャップ。
  3. 請求項2に記載されたキャップにおいて、
    前記発泡インキ膜は、バインダー樹脂内に前記発泡性マイクロカプセルを含有させてなり、前記発泡性マイクロカプセルが塗膜の厚み方向に重ならないように形成されていることを特徴とするキャップ。
  4. 請求項1に記載されたキャップにおいて、
    前記塗膜は、金属薄板上にその外表面から外方に向けて順次ベースコート膜、印刷膜、トップコート膜が積層状態に構成されていることを特徴とするキャップ。
  5. 請求項1に記載されたキャップにおいて、
    前記塗膜がグラビア印刷方式により形成されることを特徴とするキャップ。
  6. 請求項1から請求項5に記載されたキャップのいずれかを被着されてなるキャップ付ボトル缶。
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