JP2005022255A - 成形体の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

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Hiroshi Shinoki
洋志 篠木
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Abstract

【課題】印刷時間の調整を簡易に行うことができ、成形体の成形時間と印刷面の印刷時間とを同期させ、成形体の成形後に連続して印刷面を形成することができる成形体の製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】成形体は、底面と、同底面の周縁から縦方向へ延びるように立設された周面とを備える合成樹脂製のものである。この成形体の製造装置は、成形体を所定形状に成形するための成形装置と、当該成形体に印刷面を形成するための印刷装置とを備えるとともに、これら印刷装置と成形装置とは同一ライン上に配置されている。そして、成形体は、成形工程で成形装置による成形に続いて、印刷工程で印刷装置による印刷面の形成が連続して行われることによって製造される。加えて、印刷工程では、紫外線硬化型インクを使用し、シルク印刷で印刷面の形成が行われている。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、その外側面に表示、用途等が印刷された、例えばコンテナ、パレット等の合成樹脂製の成形体の製造方法及びその製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記のような成形体は、射出成形機等の成形装置を使用し、有底箱状、矩形状等の所定形状に成形されるとともに、成形後は一旦保管され、生産量が所定値に達する毎に、その外側面等に印刷面が形成される。この印刷面の形成は、主に作業者の手作業により、一つ一つの成形体に対し、スクリーン印刷等の手段を用いて行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の方法による印刷面の形成は、煩雑で長時間を要し、生産量の向上、生産時間の短縮化等を妨げる要因となっていた。このため、成形体の成形後に連続して印刷面を形成することが考えられた。しかし、成形体の成形時間と印刷面の印刷時間との差によって様々な不具合が生じることとなった。例えば、印刷面の印刷時間が成形体の成形時間よりも長い場合、印刷待ちの成形体が生産ライン上に溢れかえったり、インクが十分に乾燥しないまま成形体が生産ライン上を流れたり等するという不具合が生じた。この他にも、印刷面の形成不良、生産ライン上に流れ出たインクによる装置の稼働不良等の不具合が生じた。一方、印刷面の印刷時間が成形体の成形時間よりも短い場合、印刷装置の稼働効率が低下する等の不具合が生じた。
【0004】
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、印刷時間の調整を簡易に行うことができ、成形体の成形時間と印刷面の印刷時間とを同期させ、成形体の成形後に連続して印刷面を形成することができる成形体の製造方法及びその製造装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の成形体の製造方法の発明は、底面と、同底面の周縁から縦方向へ延びるように立設された周面とを備える合成樹脂製の成形体の製造方法であって、前記成形体を所定形状に成形するための成形工程に続いて、当該成形体の周面に印刷面を形成するための印刷工程を行い、成形体の成形後に連続して印刷面を形成するとともに、当該印刷工程では、紫外線硬化型インクを使用し、シルク印刷で印刷面を形成することを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の成形体の製造方法の発明は、請求項1に記載の発明において、前記紫外線硬化型インクは、その粘度が3〜5Pa・sであることを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の成形体の製造装置の発明は、底面と、同底面の周縁から縦方向へ延びるように立設された周面とを備える合成樹脂製の成形体の製造装置であって、前記成形体を所定形状に成形するための成形装置と、当該成形体に印刷面を形成するための印刷装置とを備え、この印刷装置を成形装置と同一ライン上に配置するとともに、当該印刷装置は、紫外線硬化型インクを使用してシルク印刷で成形体の周面に印刷面を形成するものであることを要旨とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を運搬用容器の製造方法及びその製造装置に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1に示すように、成形体としての運搬用容器10は、合成樹脂により有底長四角箱状に形成されている。この運搬用容器10は、長四角板状に形成された底壁11と、同底壁11の周縁に沿って立設された対向する各一対の短側壁12及び長側壁13とを備えている。これら短側壁12及び長側壁13は、それぞれ底壁11に対して回動可能に取着されている。そして、当該運搬用容器10は、一対の短側壁12を底壁11の上面に折り畳んだ後、一対の長側壁13を短側壁12の上面に折り畳むことにより、折り畳み可能に構成されている。
【0010】
当該運搬用容器10において、その周面は、底壁11の外面、つまり底面の周縁から縦方向へ延びるように立設された短側壁12及び長側壁13のそれぞれの外面によって構成されている。当該短側壁12の外面において、一側部には印刷面14が設けられている。また、当該長側壁13の中央部は、壁面を外方へ膨らむように湾曲させることによって曲面状とされ、この曲面状をなす中央部の外面に印刷面14が設けられている。これら印刷面14は、紫外線硬化型インクを使用し、使用者名、商品名等の表示、用途等を印刷することによって形成されている。当該紫外線硬化型インクには、硬化剤の添加量を調整することによって所定の定着性を発揮可能なものが使用されている。
【0011】
この定着性は、次に示すような剥離試験によって評価される。すなわち、当該剥離試験は、表面に紫外線硬化型インクを塗布した試験片を100℃の沸騰水中に10分間浸漬して10分間放冷するという操作を2回繰り返した後、当該試験片の表面に粘着テープを貼付し、同粘着テープを剥離させることによって行われる。なお、試験片には、運搬用容器10に使用する合成樹脂と同一の合成樹脂で形成されたものが使用される。また、粘着テープには、ニチバン社製の商品名CT−24が使用される。そして、紫外線硬化型インクには、この剥離試験の結果、試験片から剥離することのないものが使用されている。
【0012】
次に、運搬用容器10の製造装置について説明する。図2は当該製造装置の構成を示すブロック図である。当該製造装置は、成形装置21と、印刷装置22とを備えている。この成形装置21は、底壁11、短側壁12及び長側壁13のぞれぞれを射出成形によって形成する成形部と、同成形部で形成された各部材を組み立て、運搬用容器10を形成する組立部とを有している。これら成形部と組立部との間はコンベアによって接続されており、同コンベアによって各部材等が各部の間を搬送される。そして、各部材の成形から、各部材の組み立てまでが一貫して行われることにより、成形装置21による成形ラインが構成されている。
【0013】
前記印刷装置22は、粗面処理部23と、印刷部24と、インク硬化部25とを有している。前記粗面処理部23は、短側壁12及び長側壁13の外面において、印刷面14となる箇所をコロナ放電によって粗面化するためのものである。前記印刷部24は、ローラ等を使用し、粗面化された短側壁12及び長側壁13の外面に紫外線硬化型インクをシルク印刷で塗布するためのものである。前記インク硬化部25は、紫外線硬化型インクが塗布された短側壁12及び長側壁13の外面に紫外線を照射し、当該紫外線硬化型インクを硬化させ、印刷面14を形成するものである。これら粗面処理部23、印刷部24及びインク硬化部25のそれぞれの間はコンベアによって接続されており、同コンベアによって各部材等が各部の間を搬送される。そして、短側壁12及び長側壁13の外面の粗面化から印刷面14の形成までが一貫して行われることにより、印刷装置22による印刷ラインが構成されている。
【0014】
当該製造装置において、成形装置21と印刷装置22との間はコンベアによって接続されている。当該コンベアによって接続された成形装置21と印刷装置22とは、同一ライン上に配置されており、運搬用容器10は、一時的に保管等されることなく、成形ラインから印刷ラインへと直接的に搬送されている。また、運搬用容器10は、折り畳まれた状態ではなく、組み立てられた状態、つまり有底四角箱状とした状態で成形ラインから印刷ラインへと搬送されている。
【0015】
次いで、運搬用容器10の製造方法について説明する。当該運搬用容器10は、上記の製造装置を使用し、成形工程及び印刷工程を経て製造される。当該成形工程は、製造装置の成形装置21による成形ライン上で行われる工程であり、この工程で運搬用容器10は有底四角箱状に形成される。当該印刷工程は、製造装置の印刷装置22による印刷ライン上で行われる工程であり、この工程で運搬用容器10の外面には印刷面14が形成される。この製造装置において、成形装置21と印刷装置22とは同一ライン上に配置されており、印刷面14の形成は、運搬用容器10の成形後に連続して行われる。そして、印刷面14が形成された運搬用容器10が搬送、出荷等される。
【0016】
当該印刷面14は、紫外線硬化型インクを使用し、シルク印刷で形成される。このシルク印刷は、シルクスクリーン等を原板とし、同原板を介して紫外線硬化型インクを塗布する方法である。この印刷面14の形成においては、運搬用容器10が製造装置から排出されるまでの間にインクを硬化させる必要がある。これは、運搬用容器10が製造装置内を搬送される際、インクを迅速に硬化させなければ、インクの流動によって印刷面14の形状等が崩れたり、装置にインクが付着して不具合を起こしたり等するためである。
【0017】
当該紫外線硬化型インクは、従来のインクと同様の流動性を有し、質感の高い印刷面14を形成することができるとともに、紫外線の照射によって迅速に硬化するという性質を有している。すなわち、シルク印刷による紫外線硬化型インクの塗布時間と、紫外線硬化型インクの硬化時間との和が印刷面14の印刷時間である。印刷時間うち、塗布時間はインクの種類、粘度等に影響されず、印刷内容が同じであれば略一定である。一方、硬化時間は、インクの種類、粘度等が異なれば大きく異なることから、この硬化時間を略一定とすることが難しく、印刷時間の調整が困難となっていた。これに対し、紫外線硬化型インクは紫外線の照射によって迅速に硬化することから、硬化時間を略一定とすることが可能であり、当該製造方法では印刷時間の調整が簡易なものとなる。従って、印刷時間の調整により、成形体である運搬用容器10の成形時間と、印刷面14の印刷時間とを同期させることが可能となり、運搬用容器10の成形後に連続して印刷面14が形成される。さらに、紫外線硬化型インクは、紫外線を照射しない限り、硬化することがない。このため、成形時間のずれ等によって待機状態にある印刷装置22において、内部のインクが硬化して印刷不能となる等の不具合をも防止することが可能である。
【0018】
また、当該印刷面14は、運搬用容器10の周面に設けられており、印刷中にインクが流動してしまうおそれがある。特に、当該運搬用容器10の場合、折り畳んだ状態で短側壁12上に長側壁13が載せられ、短側壁12の外面で印刷面14を形成すべき箇所が隠されてしまうことから、組み立てた状態で印刷面14を形成せざるを得ない。このため、当該紫外線硬化型インクは、印刷面14の形成不良を抑制するため、そのインク粘度が3〜5Pa・s(30〜50P(ポイズ))となるように調整することが好ましい。このインク粘度が3Pa・s未満の場合、インクの流動による印刷面14の形成不良が発生しやすくなる。インク粘度が5Pa・sを超える場合、インクが印刷面14を形成するに足る十分な伸びを有さず、印刷面14の形成不良が発生しやすくなる。当該紫外線硬化型インクのインク粘度を3〜5Pa・sとするためには、インク1L(リットル)中に5〜10体積%の希釈剤を混合することが好ましい。
【0019】
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 実施形態の運搬用容器10によれば、製造装置の成形装置21による成形工程に連続して印刷装置22による印刷工程を行って製造されている。このため成形後の運搬用容器10を一旦保管した後に印刷を行う等のような従来の煩雑な作業を簡易なものとすることができるとともに、運搬用容器10を短時間で無駄なく必要量だけ生産することができる。そして、印刷工程では、紫外線の照射によって迅速に硬化させることが可能な紫外線硬化型インクが使用されている。このため、製造装置内における印刷面14の硬化不足、インクの付着による装置の作動不良発生等を防止しつつ、印刷時間の調整を簡易に行うことができる。従って、運搬用容器10の成形時間と印刷面14の印刷時間とを同期させ、運搬用容器10の成形後に連続して印刷面14を形成することができる。
【0020】
・ また、紫外線硬化型インクのインク粘度は3〜5Pa・sとされている。当該運搬用容器10のような折り畳み式のものの場合、運搬用容器10を組み立てた状態で印刷面14を形成する必要がある。この印刷面14を形成する箇所は、縦方向、つまり鉛直方向へ延びており、インクが下方へ流動し、印刷面14が形成不良となりやすい。特に、長側壁13の印刷面14は曲面状をなす箇所に形成されており、インクの流動が生じやすい。このため、インク粘度を3〜5Pa・sとすることにより、インクの流動を抑制しつつも、印刷面14を形成するに足る十分な伸びを維持することが可能であり、良好な印刷面14を形成することができる。
【0021】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 実施形態では成形体を折り畳み式の運搬用容器10としたが、これ以外の他の成形体としてもよい。例えば、有底四角箱状の運搬用容器として、対向する各一対の側壁が上方に向かうほど広がるテーパ状に形成されたものが挙げられる。さらに、運搬用容器として、有底四角箱状に限らず、有底円筒状等の有底筒状のものが挙げられる。この他の成形体として、矩形状に形成されたパレットが挙げられる。なお、このパレットの場合、下面(底面)及び上面を除く側面が周面である。この他にも成形体として、トレイ、バケツ、桶、コップ等の日用品が挙げられる。特に、日用品の場合には生産量が多いため、インクの硬化を待つことなく、製造直後に積み重ねた状態で梱包することが可能となるため、好ましい。
【0022】
・ 印刷装置22において、十分な定着性を保持可能で有れば、粗面処理部23を省略して構成してもよい。また、インク硬化部25を省略するとともに、印刷部24において、紫外線硬化型インクを塗布しながら、紫外線を照射して硬化させる等のように、塗布と硬化をほぼ同時に行ってもよい。
【0023】
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記紫外線硬化型インクは、その粘度が3〜5Pa・sであることを特徴とする請求項3に記載の成形体の製造装置。
【0024】
・ 前記印刷装置は、紫外線硬化型インクを使用する前に予め成形体の周面を粗面化するための粗面処理部を備えることを特徴とする請求項3に記載の成形体の製造装置。
【0025】
・ 前記印刷装置は、紫外線硬化型インクを使用した後に成形体の周面に紫外線を照射して紫外線硬化型インクを硬化させるためのインク硬化部を備えることを特徴とする請求項3に記載の成形体の製造装置。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、不具合を発生させることなく、成形体の成形後に連続して印刷面を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】運搬用容器を示す斜視図。
【図2】成形体の製造装置を示すブロック図。
【符号の説明】
10…成形体としての運搬用容器、14…印刷面、21…成形装置、22…印刷装置。

Claims (3)

  1. 底面と、同底面の周縁から縦方向へ延びるように立設された周面とを備える合成樹脂製の成形体の製造方法であって、
    前記成形体を所定形状に成形するための成形工程に続いて、当該成形体の周面に印刷面を形成するための印刷工程を行い、成形体の成形後に連続して印刷面を形成するとともに、当該印刷工程では、紫外線硬化型インクを使用し、シルク印刷で印刷面を形成することを特徴とする成形体の製造方法。
  2. 前記紫外線硬化型インクは、その粘度が3〜5Pa・sであることを特徴とする請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 底面と、同底面の周縁から縦方向へ延びるように立設された周面とを備える合成樹脂製の成形体の製造装置であって、
    前記成形体を所定形状に成形するための成形装置と、当該成形体に印刷面を形成するための印刷装置とを備え、この印刷装置を成形装置と同一ライン上に配置するとともに、当該印刷装置は、紫外線硬化型インクを使用してシルク印刷で成形体の周面に印刷面を形成するものであることを特徴とする成形体の製造装置。
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