JP2005020873A - 配電線の断線検出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】従来公知の配電線の断線検出システムで検出不能であった地絡事故を伴わない断線すなわち配電線導体の錆や応力腐食あるいは素線切れによる断線を自動的に検出すること。
【解決手段】配電線の各区間ごとに設置される各開閉器の2次電流値を収集し、該各区間ごとに実行する当該2次電流に基づく電流差動演算結果を基に断線の発生している区間を検出する機能を備えた配電線の断線検出システム。
【選択図】 図1
【解決手段】配電線の各区間ごとに設置される各開閉器の2次電流値を収集し、該各区間ごとに実行する当該2次電流に基づく電流差動演算結果を基に断線の発生している区間を検出する機能を備えた配電線の断線検出システム。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電系統の断線検出に係り、地絡事故に至る配電線の断線、および配電線導体の錆や応力腐食あるいは素線切れなど地絡事故に移行しない断線を、迅速かつ自動的に検出するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧配電線では、配電線の故障防止および公衆保安確保の立場から電線の絶縁化が強く要望され、非特許文献1の320〜321頁で述べられているように、昭和40年代後半から絶縁電線への切り替えが進められた。また、昭和51年に改正された「電気設備に関する技術基準」において、新設高圧配電線については、裸電線の使用が禁止されるに至り、現在では全面的に絶縁電線が採用されている。この絶縁電線の採用によって、配電線故障は大幅に減少し、供給信頼度の向上および公衆保安の確保に多大な効果をあげているが、その反面、雷雨時の異相地絡によって、素線が溶断する現象がでてきた。これは、絶縁電線においては、アーク点が絶縁損傷点に固定され移動しないため、配電線が停止する前に、溶断に至る場合があるからである。このほかにも、導体の錆(さび)や応力腐食あるいは素線切れなどにより、断線が起きる場合があり、絶縁電線の断線事故率は裸電線に比べ高いと云われている。いずれの場合も、一度断線を生じると故障区間の発見および復旧に長時間を要し、停電時間が長くなる場合が多く、かつ断線垂下した電線が課電された場合、地絡に至らず送電を継続するおそれがある。
【0003】
このため、各種の断線検出方法ならびに断線防止策が検討・実施されている。絶縁電線の断線検出および断線につながる素線切れなどの検出について公知の方法は、種々あるが、既存の断線保護方式には大別すると、下記のように三つの方法がある。
【0004】
(1)配電用変電所のみの情報で断線を検出し、選択遮断する。
【0005】
(2)断線点より、負荷側で断線を検出し、この情報を配電用変電所に通報し、選択遮断する。
【0006】
(3)地絡事故発生時、配電用変電所側でこれを検出後、この情報により予め定められた事故点切離し手順情報をもとに、中央装置がテレコン親局経由で子局に対し、順次、開閉器の制御指令を出力し、地絡事故を伴った断線区間を切離す方法。
【0007】
しかし、配電系の実態として、配電変電所からみた場合に配電線の分岐が多く、保護領域が面的な広がりを持つ事、及び単相負荷も多いことから電圧・電流に不平衡を生じ常時においても残留電圧・電流が存在するなどから、断線検出にあたって複雑な要因も多い。したがって上記の夫々の方式とも下記の如く一長一短を有している。
【0008】
(1)配電用変電所でのみの情報で保護する方式
この方式は非特許文献1の321〜322頁に述べられているように、従来、過電流リレー、地絡電流リレーそれぞれ別個のリレーで短絡および地絡現象を検出していたため、雷断線時の断線検出に必要な異相地絡現象が判別できなかったものを雷サージによる零相電圧検出条件も加え、過電流検出条件とのANDにより、その判別を可能とした方式である。
【0009】
(2)断線点の負荷側で検出し配電用変電所に通報し、選択遮断する方式
非特許文献2の495〜497頁に「電線断線区間検出システム」として述べられているように、変電所で感知できない配電線の断線を検出するシステムである。その基本原理は▲1▼区分開閉器近傍の変圧器計測ユニットで変圧器の二次電圧を計測し、この電圧で一次側の断線を検出し、▲2▼断線検出後、事故点標定・切離しシステムへ連係する方法であるが、非特許文献2の図11〜45中にも示されているように地絡事故に至る断線のみが検出対象となっている。
【0010】
(3)配電用変電所側で地絡事故検出後、この情報により中央装置がテレコン親局経由で子局に対し、順次、開閉器の制御指令を出力し、地絡事故区間を切離す方法この方法は、特許文献1で開示されているように地絡事故発生による配電線の断線を検出し、この情報をもとに予め設定された事故検出切離し手順制御のパターンを中央装置からテレコン親局が受け取り子局の当該開閉器の制御により断線事故区間を切離すものである。
【0011】
上記した(1)の方式は、非特許文献1に記載されている通り動作原理上、広い範囲の保護領域を持つが、反面機械的及び応力腐食による断線等地絡を伴わない断線事故は検出できないという欠点があった。また(2)の方式は、雷断線区間を負荷側で検出でき、事故点標定・切離しシステムと連係しているため、専用の信号伝送路が不用であるなどの利点はあるものの、やはり機械的ならびに応力腐食による断線事故は検出できないことが欠点であった。更に(3)の方法は地絡事故を伴わない断線事故の検出は不可能であるという欠点があった。
【0012】
【特許文献1】
特開平4−49813号公報
【0013】
【非特許文献1】
電気学会編:電気設備の診断技術 コロナ社刊(1993−8−5)
【0014】
【非特許文献2】
関根泰次監修:配電技術総合マニュアル オーム社刊(1991−11)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記、従来実施されてきた3つの方法の欠点である地絡事故を伴わない断線事故も確実に検出できる配電線の断線検出システムを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、本発明の配電線断線検出システムは、配電線に設置されている開閉器の2次側電流を常時計測、該開閉器のON/OFF状態、当該地点で短絡状態(検出の有無)、地絡状態(検出の有無)情報を取得しているTC子局、当該配電線の配下にある多数の子局より公知のポーリング手法で子局が計測・取得している情報を一定周期でサイクリックに収集するTC親局、および該親局の収集情報の転送を受け、各開閉器間に流入,流出する電流情報をもとに断線が発生している区間の候補(断線発生区間候補)を判別し、これと収集した短絡状態、地絡状態を加味した判定論理処理により短絡や地絡事故として検出されない断線区間を決定し、その断線区間の最も変電所側に近い開閉器に対し、開放指令を発するため、その指令をTC親局に与える手段もしくはステップを有する断線検出装置BLDEを備えたことを特徴としている。また当該配電線の変電所と第1開閉器SW1の間(これを第0区間と称す)、あるいは末端の開閉器(後述する実施例ではSW5)と配電線末端の間(これを末端区間と称す)に発生する断線を検出するため、前者に対しては開閉器SW1近傍の2次側電圧情報をもとに、後者に対しては配電線の末端の2次側電圧情報をもとに断線を検出する断線検出ユニットBLRYをそれぞれに設け、その検出情報を当該TC子局を介して、前記各開閉器の情報を収集したのと同様の手法でTC親局経由で断線検出装置BLDEに送り、第0区間及び末端区間で発生した断線を確実に検出できる機能を備えたことが特徴である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の代表的実施例を説明する。図1は本発明を適用する配電系統と本発明の断線検出システムの構成を示す。この図において変電所の配電線出口の遮断器CBから右側が、配電線を示しており、開閉器SW1〜SW5により、配電線が6つの区間すなわちDL0、DL1、DL2、DL3、DL4、DL5に区分されている場合の例であり、該配電線の区間DL0、DL1、DL2、DL3、DL4、およびD5のうちの任意個所の断線が発生するときの断線検出の実施方法の一例を説明する。開閉器SW1にはTC子局TC1が結ばれており、同様にSW2にはTC2、SW3にはTC3、SW4にはTC4、SW5にはTC5が結ばれる。また、TC1には区間0で生ずる配電線の断線を検出する断線検出ユニットBLRY−1が、そしてTC5には区間DL5で生ずる配電線の断線を検出する断線検出BLRY−2が夫々接続される。更にTC1〜TC5の各TC子局は、変電所に設置されているTC親局TCMへ各々結ばれる。更にTC親局TCMは断線検出装置BLDEへと結ばれる。
【0018】
TC親局TCMは、接続されている全てのTC子局に対し、図2に示すようにアドレス順にポーリング電文でデータの送信を要求すると、各TC子局は、自局へのポーリング信号を受信した時点で校正されたクロックタイミングによりサンプリングし、ディジタル量に変換されている当該地点の各相電流(実効値)情報やそのタイミングにおける開閉器のON/OFF状態、短絡・地絡事故の検出の有無などのデータ(これらのデータを一括してデータAと呼ぶ)を、図2に示す自局データ電文の所定スロットに挿入してTC親局TCMへ伝送する。
【0019】
例えば、TC子局TC3を例にとって説明すると、各相の電流実効値情報は、a相の値を図2のデータスロットD3の中味の詳細構成例を示すデータ電文フォーマット中のTM1に、b相の値をTM2へ、c相の値をTM3に挿入する。また、開閉器SW3のON/OFF情報や、当該個所の短絡リレーによる短絡事故検出の有無、地絡リレーによる地絡事故検出の有無等の情報は、該電文フォーマツト中のスーパーヴィジョン情報スロット(SVスロット)であるSV1〜SV3のそれぞれの情報に割り当てられたビット位置に挿入することで、上記した機能を達成するようにしている。
【0020】
同様に、TC1、TC2、TC4およびTC5は、夫々に当該の上記諸情報であるデータAを、前記電文フォーマットの当該TC子局に相当のSV1〜SV3のそれぞれの情報に割当てられたビット位置に挿入するように構成する。
【0021】
更に、TC子局TC1には、その近傍に区間DL0の各線間電圧情報を計測しそこでの断線候補の有無、短絡事故の有無、地絡事故の有無、及び当該区間に用いられる変圧器のフューズ断の有無などの諸情報(これらを一括してデータBと呼ぶ)を検出できる手段を備えた断線検出ユニットBLRY−1を設置し、該諸情報も該TC子局TC1を介してTC親局TCMへ伝送できる手段(もしくはステップ)をも具備し、配電線の末端LES1には、区間DL5における上記と同様の情報、すなわち配電線の末端LES1における各線間電圧情報を計測しそこでの断線候補の有無、短絡事故の有無、地絡事故の有無などの諸情報であるデータBを検出できる手段(もしくはステップ)を備えた断線検出ユニットBLRY−2を設置し、これらの諸情報を例えば前記開閉器SW5に備えられているTC子局TC5を介してTC親局TCMへ伝送できる手段(もしくはステップ)も具備している。
【0022】
TC子局TC1およびTC5における夫々の断線検出ユニットで検出される上記の諸情報(データB)は、前記電文フォーマットの当該子局のSV1〜SV3の前記した情報に割当てられたビット位置以外の空きビット位置に割当てることによって、TC親局TCMへ伝送する。
【0023】
TC親局TCMは、上記ポーリングを常時、所定の順で全TC子局に向けて送信し、これが一巡すると再びこれを繰り返しすことによって、いわゆる時系列的に一定周期Tのサイクルでサイクリックに全てのTC子局からデータ(データAおよびデータBの双方)を収集することができる。
【0024】
TC親局TCMはまた、必要時にポーリングフォーマットの制御スロットの当該部を用い、特定TC子局配下の開閉器を選択したり、その子局配下の開閉器のON/OFF制御を行うことができる。このときの選択、制御は公知の2挙動で行うのを基本とする。
【0025】
該TC親局TCMは、このようにして収集された各TC子局の情報を一時的に、内部の図示は省略している記憶部の該当位置に格納し、断線検出装置BLDEより図1の信号線SDRQを介しデータの転送要求を受けたときに、信号線SD経由で該断線検出装置BLDEに転送する。また、信号線RVを介して該断線検出装置BLDEから断線区間開放の指令を受けたときには、当該の開閉器SWの属するTC子局に対して、当該ポーリング電文フォーマットの制御スロットを用いて、当該の開閉器SWを選択し、制御(開放)する制御指令を転送できるように構成する。
【0026】
当該TC子局は、受信するポーリング信号中の制御スロットを解読し、TC親局TCMより、自局配下の開閉器が選択され、制御指令を受信していることが解読されたときには、即座に当該開閉器に対する制御を実行するように構成する。
【0027】
該断線検出装置BLDEは、たとえばパソコンあるいはマイクロコンピュータのような情報処理機能を有するハードウェアを主体に構成し、その内部に図1に例示する11つの処理手段もしくはステップを具備している。
【0028】
この11つの処理手段(もしくはステップ)のうち、まずステップ10は、データ受信処理A手段(もしくはステップ)であり、後述する方法でTC親局TCMへデータA転送要求を出したときに、該TC親局TCMから転送される各子局の各相電流実効値情報や、当該開閉器のON/OFF状態、及び当該区間での短絡、地絡事故検出の有無の情報データA(本実施例ではデータAに関わる手段もしくはステップにはその名称の中にAという文字を含んで表現し、後述するデータBに関わる手段もしくはステップ名称中に含ませたBなる文字の意味と区別する)を受信する処理を実行し、さらにそれら個々の情報を該断線検出装置BLDE中の図示していない記憶エリアの当該位置に格納する処理を実行する。そして格納処理の終了後にはステップ100へ移行する。
【0029】
ステップ100は、データ受信処理B手段(もしくはステップ)であり、後述する方法でTC親局TCMへデータB転送要求を出したときに、該TC親局TCMから転送される区間DL0及び区間DL5の情報である、夫々の区間の「断線候補の有無の検出結果」の情報、「当該開閉器のON/OFF状態」の情報、「当該区間での短絡、地絡事故検出の有無」の情報、及び「当該変圧器のフューズ断検出の有無」の情報等の、いわゆるデータBを受信する処理を実行し、さらにそれら個々の情報を該断線検出装置BLDE中の図示していない記憶エリアの当該位置に格納する処理を実行する。
そして格納処理の終了後にはステップ20への移行処理を実行する。
【0030】
ステップ20は、断線検出演算A手段(もしくはステップ)で、当該配電線の区間DL1、DL2、DL3及びDL4の各相毎に同一データサイクルで収集された当該区間へ流入する電流実行値と、流出する電流実効値との電流差動演算処理を実行し(たとえば区間DL1の場合の断線検出にはTC子局TC1とTC2から、同一のデータサイクルで収集した同じ相の電流実効値同士の差[=減算]を演算し)、それらのそれぞれの区間のそれぞれの相毎の演算結果を記憶エリアのそれぞれの当該エリアに一時的に格納する処理を実行する。すなわち、区間DL1に対する電流差動演算処理の場合は、既に記憶エリアの当該エリアに格納されている区間DL1における該データサイクルの関連データ、すなわちTC子局TC1から送られた開閉器SW1の各相電流実効値I1a,I1b,I1c及びTC子局TC2から送られた開閉器SW2の各相電流実効値I2a,I2b,I2cを読み出し、これらを基に下記の式(1) ̄(3)により区間DL1への流入電流と流出電流の電流差動演算を実施し、その結果得た区間DL1の夫々の相の流入電流と流出電流の電流差ΔI1a,ΔI1b,ΔI1cを夫々当該の記憶エリアに格納し、これに引き続き区間DL2〜DL4についても、上記と同様の手順で電流差動演算処理を実行し、それぞれの演算結果である電流差を夫々当該の記憶エリアに格納し、次ステップであるステップ30への移行処理を実行する。なお、この電流差動演算は、例えば、断線がa相で発生しているときには式(1)の右辺ΔI1a≒I1aとなり、断線のないときの右辺ΔI1a≒0と区別できるので、このΔI1aを後述する次ステップ30で基準値Kと比較すれば断線の有無の候補を判別可能なことから、このような差動演算処理を行うものである。
【0031】
I1a+I2a=ΔI1a …… (1)
I1b+I2b=ΔI1b …… (2)
I1c+I2c=ΔI1c …… (3)
ステップ30は、断線区間候補判別A手段(もしくはステップ)である。このステップ30では、上記ステップ20での演算結果である区間DL1〜区間DL4の各相毎の電流差を記憶エリアから順次読み出し、それぞれを予めセツトしてある基準値Kと大小比較して、該配電線各区間のいずれかの相に、断線もしくはそれに類似した不具合現象(以下、それらを一括して断線候補と称し、それには短絡や地絡事故も含む)が発生しているか否かを判別する処理を行い、それぞれの判別結果を夫々に当該の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次のステップ40へ移行する。
【0032】
ステップ40は、短絡事故発生有無判別A手段(もしくはステップ)で、前記ステップ10でTC親局TCMから転送され、該断線検出装置BLDEの記憶エリアの当該位置に格納されている区間DL1〜区間DL4のデータA情報のうち、最新の各開閉器近傍における短絡事故検出情報ビットを読み出し、現データサイクルにおける各区間のそれぞれの相毎の短絡事故の発生の有無を判別する処理を実行し、夫々の結果を夫々に該当の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次ステップ400へ移行する。
【0033】
該ステップ400は、短絡事故発生有無判別B手段(もしくはステップ)であり、上記ステップ100でTC親局TCMから転送を受け、該断線検出装置BLDEの記憶エリアの当該位置に格納したデータB情報のうち0区間DL0、区間DL5の最新の記憶情報ビットを読み出し、現データサイクルにおける当該区間のそれぞれの相毎の短絡事故の検出の有無を確認する処理を実行し、夫々の結果を夫々に該当の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次ステップ50へ移行する。
【0034】
ステップ50は、地絡事故発生有無判別A手段(もしくはステップ)で、前記ステップ10でTC親局TCMから転送され、該断線検出装置BLDEの記憶エリアの当該位置に格納されているデータB情報のうち、最新の各開閉器近傍における地絡事故検出情報ビットを読み出し、現データサイクルにおける当該区間のそれぞれの相毎の地絡事故の発生の有無を判別する処理を実行し、夫々の結果を夫々に該当の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次ステップ500へ移行する。
【0035】
該ステップ500は、地絡事故発生有無判別B手段(もしくはステップ)であり、上記ステップ100でTC親局TCMから転送を受け、該断線検出装置BLDEの記憶エリアの当該位置に格納したデータB情報のうち、区間DL0、区間DL5の最新の記憶情報ビットを読み出し、現データサイクルにおける当該区間のそれぞれの相毎の地絡事故の検出の有無を確認する処理を実行し、夫々の結果を夫々に該当の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次ステップ60へ移行する。
【0036】
ステップ60は、断線区間確定処理A手段(もしくはステップ)であり、上記ステップ30、ステップ40及びステップ50での判別結果の情報を基に、当該配電線の各区間の各相のそれぞれにおいて、「短絡や地絡事故には至ってない断線が発生しているか否かを確定する」ための論理演算処理を実行するもので、その具体的な処理フローを図3(a)に示す。
【0037】
配電線の一区間につきa、b、c相の3つの相に対する確定処理が必要なことから、本実施例ではこのステップ60を、区間DL1の各相の断線事故を確定できるステップをはじめ、このほか区間DL2〜DL4も含め、各区間の夫々の相に対する確定処理に相当するステップ61A、61B、61C、…、64Cの計12の確定処理ステップ、それら個々のステップの確定結果、断線あり確定に相当するYESという結果が得られたとき、当該確定結果の記憶エリアに「1」をセットする処理を行うステップ61AY,61BY,61CY、…、64CY、及び断線なし確定に相当するNOという結果が得られたとき、当該確定結果の記憶エリアに「0」をセツトする処理を行うステップ61AN、61BN、61CN,・…、64CNの計12ステップを具備し、合計36ステップで構成している。
【0038】
次に、上記ステップ61Aの処理内容について、図3(a)を用いて少し詳細に説明する。該ステップ61Aでは、このデータサイクルにおける前記ステップ30、ステップ40及びステップ50での判別結果として夫々に当該の記憶エリアに記憶されている情報を読み出し、それらの情報を基に該図3(b)に示す論理演算処理を実行して、その結果を出力する。すなわち、もし区間DL1のa相に、短絡事故、もしくは地絡事故が起きていないことが確認され、同時に断線区間候補と判定されて入るときには、このステップ61Aは短絡、地絡事故に至らない断線があったことを確定したことに相当するYESという結果を出力するように処理が実行される。反対に、この区間に短絡事故が発生していたり、あるいは地絡事故が発生していたり、あるいはa相断線事故が発生していなかったときには、短絡もしくは地絡事故に至らない断線が発生してなかったことを確定したことに相当するNOという結果を出力するように処理が実行される。
【0039】
そして、これに続くステップ61B、61C、・・・…、64Cの各ステップも、同様の処理手法で実現でき、当該区間の当該相について、同様の目的を果たし得ることは容易に類推できるところである。
【0040】
もちろん、これらの処理ステップの後には、夫々上記で当該のステップ61BY、61BN、あるいはステップ61CY、61CN、・・…、あるいはステップ64CY、64CNへの移行処理が実行され、ステップ64CYもしくはステップ64CNの処理終了後に、次のステップ600へ移行する。
【0041】
該ステップ600は断線区間確定処理B手段(もしくはステップ)であり、上記ステップ100、ステップ400、ステップ500での夫々の処理結果に基づき記憶エリアに格納されている当該情報を読み出し、それらの情報を基に、当該配電線の区間DL0もしくは区間DL5の各相のそれぞれにおいて、短絡や地絡事故には至ってなく、かつまた当該変圧器にフューズ断が発生してない状態で、断線区間が発生したか否かを確定するための処理を実行する。
【0042】
図3(a)は、上記ステップ600の具体的な構成を示している。このステップ600は、区間DL0及び区間DL5においてa、b、c相の3つについて確認する処理が必要なことから、区間DL0の断線区間を確定する処理に相当する図中のステップ600A、600B、600C及び区間DL5の断線区間を確定する処理に相当する図中のステップ605A、605B、605Cの6つの確認ステップを備えて構成した。また、それらの個々の確認の結果、YESの結果が得られたときにそれぞれの当該結果の記憶エリアに「1」をセットする処理を行うステップ600AY、600BY、600CY、605AY、605BY、605CYの計6ステップ、およびNOの結果が得られたときに「0」をセットする処理を行うステップの600AN、600BN、600CN、605AN、605BN、605CNの計6ステップも具備し、合計18ステップで該ステップ600を構成している。
【0043】
なお、本実施例の上記ステップ600A、600B、600C、605A、605B、605Cは、図3(c)に示す論理演算処理で実現している。これは、該ステップ600A、600B、600C、605A、605B、605CがデータBを対象に断線を検出するようにしているためで、この点がデータAを対象に断線を検出していた前記実施例における対応するステップ61A、61B、61C、…、64Cが、図3(b)のような論理演算処理手段で実現していた点と異なる点である。そしてこのステップ600の処理終了後には、次ステップ700へ移行する処理を実行する。
【0044】
ステップ700は、断線区間開放指令転送AB手段(もしくはステップ)で、上記ステップ60及びステップ600での確定結果を基に、配電線の区間DL1〜DL4については、短絡や地絡事故には至ってない断線事故が発生している区間や相があるときには、TC親局TCMに対して、開放指令を与えるべき当該TC子局、開閉器の情報を転送する処理を実行し、また、配電線の区間DL0もしくは区間DL5については、短絡や地絡事故には至ってなく、当該変圧器にフューズ断が発生してない状態で、断線事故が発生している区間や相があるときには、TC親局TCMに対して、開放指令を与えるべき当該TC子局、開閉器の情報を転送する処理を実行し、その処理の終了後に、このデータサイクルの断線AB検出の一連の処理を終了し、次のデータサイクルの処理に備え待機するため、ステップ10の冒頭部へ移行する。
【0045】
本実施例では、前記の如く区間DL0の断線候補は開閉器SW1近傍の各線間電圧情報を基に、そして区間DL5の断線候補検出は配電線末端LES1側の各線間電圧情報を基に、夫々検出している。そして、開閉器SW1もしくは配電線末端LES1近傍の各線間電圧情報を基に断線を検出するときに、夫々の近傍に設置される当該の変圧器(図示は省略)のフューズ断を、夫々の当該配電線の断線と判定してしまうことを避けるため、それら当該変圧器のフューズ断検出の情報も入力するように構成している。次に、この機能を果たす断線検出ユニットBLRY−1及びBLRY−2についての実施例を説明する。これら両ユニットは共に、専用ハードウェアもしくはマイクロコンピュータを主体に構成できるが、本実施例では後者の構成による場合の例を述べる。その内部には、図4に例示する処理手段(もしくはステップ)80を具備しており、それを下記の12のステップから構成する場合の例で説明する。
【0046】
まず、冒頭のステップ81では、配電線の当該個所の各線間電圧実効値情報であるVab,Vbc,Vcaを取り込み、ユニット内の記憶部の当該エリアに格納する。そして、この処理が終了した後、次のステップ82へ移行する処理を実行するよう構成している。
【0047】
該ステップ82では、該各線間電圧Vab、Vbc、Vcaを当該記憶エリアから読み出し、夫々を予めセツトしてある基準値Vkと比較し、Vk と同じ、あるいはVk より小さいと判定された場合には当該相に断線が発生している可能性があるので断線候補と判定しYES方向の次ステップ82Yへ分岐する処理を実行し、逆にVより大きいと判定された場合には当該相に断線の発生がないと判定しNO方向の次ステップ82Nへ分岐する。
【0048】
該ステップ82Yでは、前ステップにて当該相が断線候補であったと判定されたので、記憶エリアの当該ビット位置に「1」をセットする処理を実行する。一方、該ステップ82Nでは、当該相での断線発生はないと判定されたので、上記当該ビット位置に「0」をセットする。そして、ステップ82Y、及びステップ82Nはまた、上記の処理を終了後、次のステップ83に移行する。
【0049】
該ステップ83では、ステップ82Yもしくはステップ82Nの記憶エリアへのセット処理が当該の全ての線間電圧について終了したか否かを判定し、終了(YESの)しているときには、次ステップ84への移行、終了してない(NOの)ときには、前記ステップ82の冒頭部へ移行する。
【0050】
該ステップ84は、前に触れた当該変圧器の各相にフューズ断が発生しているか否かを検出処理であり、前記ステップ81で記憶された最新の各線間電圧情報Vab、Vbc、Vcaを記憶エリアの当該位置から読み出し、夫々予めセットしてある基準値Vfと比較し、Vfと同じ、あるいはVfより小さいと判定された場合には該変圧器の当該相にフューズ断が発生している可能性があると判定しYES方向の次ステップ84Yへ分岐する処理を実行し、逆にVfより大きいと判定された場合には該変圧器の当該相にフューズ断が発生してないと判定しNO方向の次ステップ84Nへ分岐する。
【0051】
該ステップ84Yでは、前ステップにて該変圧器の当該相でフューズ断があったと判定されたので、記憶エリアの当該ビット位置に「1」をセットする処理を実行する。一方、該ステップ84Nでは、該変圧器の当該相でフューズ断の発生はないと判定されたので、上記当該ビット位置に「0」をセットする処理を実行する。そして、ステップ84Y、及びステップ84Nはまた、上記の処理を終了後、次のステップ85に移行する。
【0052】
該ステップ85では、前記ステップ84Yもしくはステップ84Nの処理が当該の線間電圧全てについて終了したか否かを判定し、終了(YESの)しているときには、次ステップ86への移行、終了してない(NOの)ときには、前記ステップ84の冒頭部へ移行する。
【0053】
該ステップ86では、図示してない短絡検出リレー等から入力端子へ与えられる情報の信号レベルから、当該区間で短絡事故が発生しているか否かの情報を受取り、短絡事故が発生しているときには記憶エリアの当該ビットに「1」を、逆に発生してないときには「0」をセットする処理を実行し、次ステップ87へ移行する。
【0054】
該ステップ87では、図示してない地絡検出リレー等から入力端子へ与えられる情報の信号レベルから、当該区間で地絡事故が発生しているか否かの情報を受取り、地絡事故が発生しているときには記憶エリアの当該ビットに「1」を、逆に発生してないときには「0」をセットする処理を実行し、次ステップ88へ移行する。
【0055】
該ステップ88では、以上の各ステップでの処理結果として記憶されている最新の、各相の「断線候補の有無」情報、「短絡事故発生の有無」情報、「地絡事故発生の有無」情報、及び「変圧器のフューズ断検出の有無」情報を、夫々記憶エリアの当該位置より読み出して前記した当該TC子局に転送する処理を実行し、その終了後に前記ステップ81の冒頭に移行する処理を実行する。
【0056】
上記のようにして、断線検出ユニットBLRY−1もしくはBLRY−2は夫々配電線の区間DL0もしくは区間DL5の断線検出に関わる情報を収集し、当該のTC子局TC1、もしくはTC5に収集情報を転送するので、断線検出装置BLDEは、前記図2で説明したTCシステムによるデータ収集の方法により、TC親局TCM、及びTC子局を介して、これらデータBの情報の転送を受けることができる。
【0057】
以上の説明により、本発明が図1の配電線の任意区間の任意相で発生する短絡事故や地絡事故に至らない断線を、その発生直後のデータサイクルの経過時間程度の早期時間内に、確実に検出し、かつその断線のあった区間を確実に該配電系統から切離すことができることを開示した。したがって、本発明は当初狙いとしたことを達成できることが明らかである。
【0058】
以上では、配電線に分岐のない系統のケースにおける本発明の実施例について説明したが、実際の配電系統では、1つの開閉器から複数の開閉器に分岐する場合がある。本発明は、そのような配電系統の場合でも基本的には同様の手法にて短絡や地絡事故に至らない断線事故を検出することが可能である。以下、図5(a)にて示した区間内の分岐前の箇所f1で事故が発生した場合及び図5(b)にて示した区間内の分岐後の箇所f2で事故が発生した場合に、本発明の方式が断線を検出するケースの実施例を示す。
【0059】
これらのケースの場合には、図1のステップ20(断線検出演算A)の詳細を示す前掲の演算式(1)〜(3)を次に述べるように変更することにより、対処できる。
【0060】
最初に図5(a)に示すように開閉器SW10の後で配電線が2つに分岐する構成の配電系統における任意の地点で短絡や地絡事故に至らない断線事故が発生したケースの場合は、該開閉器SW10の分岐後の配電線に設置される2つの分岐配電線の開閉器を夫々SW20及びSW50とするとき、該3つの開閉器SW10、SW20及びSW50で閉じられた区間に発生する断線事故を検出することになるので、前記した演算式(1)〜(3)の処理を以下の3つの式に置き換えることにより、その検出が可能となる。
【0061】
I10a+I20a+I50a=ΔI10a …… (10)
I10b+I20b+I50b=ΔI10b …… (20)
I10c+I20c+I50c=ΔI10c …… (30)
例えば、図5(a)の3つの開閉器SW10、SW20及びSW50の範囲内の分岐前の箇所f1でc相断線が発生した場合には、上記式(30)の右辺が当該配電区間への流入電流に等しいΔI10c≒I10cとなり、断線のない平常時の結果であるΔI10c≒0とは異なることから、前記ステップ20を構成する要素演算処理ステップの電流差動演算の数式内容を、上記のように分岐数を考慮した数式に変更することで対応できる。
【0062】
同様に、図5(b)の3つの開閉器SW10、SW20及びSW50の範囲内の分岐後の箇所f2でc相断線が発生した場合には、上記式(30)の右辺が当該配電区間への流入電流I10cより小さくなり、また0ともならない、すなわち0<ΔI10c≦I10cとなり、これも断線のない平常時の結果であるΔI10c≒0と異なることから、前記ステップ20を構成する要素演算処理ステップの電流差動演算の数式内容を上記のように分岐数を考慮した数式に変更することで対応できる。
【0063】
上記では分岐の数が2つのケースを説明したが、その分岐数は任意の場合でも上記の式の左辺を最大分岐ケースの電流項の分だけ備えておき、そのときの配電系統の運用状態における分岐数に見合った電流項のみを計算できるように当該電流項の採否を制御して演算することで実現できる。
【0064】
また、このように配電線に分岐がある場合、系統の運用状態よっては分岐先の開閉器が、配下の系統の作業停電等で「開」となって運用されるケースも想定される。そのような場合でも、あらかじめ断線検出装置BLDEに、その配電系統の開閉器のON/OFF情報が常に収集されているので、この開閉器のON/OFF情報を用い、当該開閉器の電流情報を0に制御することにより断線発生の有無の検出を行うことができる。
【0065】
また本発明は、短絡や地絡事故に至らない断線を検出を目的としてきたが、図1のステップ60(断線区間確定処理A)及びステップ600(断線区間確定処理B)において実施された論理処理を変更することにより、短絡や地絡事故に至ってしまった断線事故をも検出することも可能である。すなわち前記実施例の場合、図3(b)及び(c)に記載されている論理処理において、当該区間短絡及び当該区間地絡を断線区間候補から除外するような論理判定処理を行っていたが、当該区間短絡及び当該区間地絡を断線区間候補除外の論理条件から削除することにより、該断線事故をも検出することが可能となる。
【0066】
以上では、配電用変電所の配下に1つの配電線系統のみがある場合の本発明の実施例について説明したが、配下に独立する配電線系統が複数ある場合にも、夫々の配電線系統からの情報を断線検出装置BLDEが夫々の配電線に対応するTC親局を介して並行的に受渡しできるように構成することによって実施可能である。
【0067】
更に、上記した本発明の実施例では区間DL0及び区間DL5に発生する断線を区間DL1〜DL4と異なる方法での本発明実施例を説明したが、区間DL0の変電所側にTC子局(例えばTC0)を、また配電線の末端LES1にTC子局(例えばTC6)を設置し、夫々、前記TC子局TC1〜TC4と同様の情報を収集させ、且つ該断線検出装置BLDEで電流差動演算を行わせることにより、全区間同一手法で断線発生を検出できるようにすることも可能である。
【0068】
本発明の断線検出システムによる断線の検出及び該断線区間の開放制御に要する合計時間の概略値を以下に説明する。ただし、本発明の実施例で前記したTC親局及びTC子局には、電力会社の配電用テレコンで通常用いられていると同等水準の技術を用いることとし、一つの配電線の区間数を通常考えられる最大の数である50区間とする。まず、本発明の実施例で述べた前記図2の伝送フォーマットの上り,下りの情報伝送ビットの構成は上記電力会社の配電用テレコンと同等技術で実現する場合、
▲1▼TC親局からのポーリング情報(下り情報)が、アドレスが初送、連送分を加え16ビット、それに制御信号も初送、連送分の16ビットを加えた32ビットで構成できる。
【0069】
▲2▼各TC子局あたり一つのアドレス情報と、三つのSVデータ情報、及び四つのTMデータ情報より構成される該各TC子局上り情報が、アドレス情報=同期ワード11ビット+初送アドレスワード11ビット+連送アドレスワード11ビット=33ビットと、三つのSVデータ情報の3ワード分=11ビット×2初送 ・ 連送×3ワード=66ビット、及び四つのTMデータ情報=11ビット×2初送 ・ 連送×4ワード=88ビットとを合計した187ビットで構成できる。
【0070】
次に、ひとつの配電線の最大区間数である50区間の全てのTC子局から当該子局情報を収集し、次のフレームでその断線結果の判断及びその判断結果に基づく開放制御とを行う本発明によれば、最悪ケースでも2フレームのデータサイクル相当長の時間内で、配下の任意区間に発生する断線を判定し、開放制御できるので、TCシステムの伝送速度を2400ビット/秒とするとき、本発明の断線検出システムによる断線区間の検出、及び当該区間の開放制御に要する時間は、
(1/2400)秒/ ビット×50局×(33+187)ビット×2フレーム=9.2秒
以下の所要時間である事がわかる。
【0071】
この9.2秒なる時間は、配電線保護リレーで通常適用されている再閉路時間である15秒より、十分小さな値なので、本発明が、当初目的とした迅速な断線検出及び開放制御の自動化システムとして実用性の高いことが理解される。
【0072】
また、電気電流差動演算に用いた各開閉器の2次電流実効値の開閉器ごとのサンプリング時間差の最大値は、1区間内の分岐数が5であるところで断線が起こるケースを想定しても、高々、
(1/2400)秒/ ビット×(5+1)局×(33+187)ビット=0.55秒
程度であり、かつ通常最も多い串差状の縦続区間のケースでは、
(1/2400)秒/ ビット×(1+1)局×(33+187)ビット=0.18秒
である。これらいずれのケースでも、実用上差し支えない値である。
【0073】
【発明の効果】
本発明により、導体腐食や錆びなどに起因して生じる、いわゆる地絡事故に至らない配電線の断線の発生区間を迅速、確実に自動検出でき、開放制御できるので、配電線運用の安全性を大幅に改善でき、人身事故も未然に防止できる効果がある。本発明はまた、適用される配電線の分岐の有無や分岐数の多少に関わらず、共通的な手法により配電線断線検出システムを実現できるので、システム構成の標準化が可能で、かつその保守の標準化も可能な効果がある。
【0074】
更に、本発明は、本発明を適用する配電系の運用開始後に、周辺地域の電力負荷需要の増加に伴い、当該配電線の区間増設や、分岐数増設がある場合でも、当初より最大区間に対する処理手段、及び最大分岐数に対応する処理手段を設け、それらの未設分に関する処理を未設の期間は有効にしないように予め設定し、増設後に有効にするよう設定変更することで対処できるので、可拡張性に富むと同時に、それらへの対応が経済的に達成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】配電系統の断線検出を行なう本発明による断線検出システムの実施例を示す図。
【図2】TC親局とTC子局間のポーリング伝送の説明図。
【図3】ステップ60(断線区間確定処理A)及びステップ600(断線区間確定処理B)の実施例を示す図。
【図4】ステップ80(断線検出ユニット)の処理手段の実施例を示す図。
【図5】配電線に分岐のある区間を有する場合の説明図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電系統の断線検出に係り、地絡事故に至る配電線の断線、および配電線導体の錆や応力腐食あるいは素線切れなど地絡事故に移行しない断線を、迅速かつ自動的に検出するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高圧配電線では、配電線の故障防止および公衆保安確保の立場から電線の絶縁化が強く要望され、非特許文献1の320〜321頁で述べられているように、昭和40年代後半から絶縁電線への切り替えが進められた。また、昭和51年に改正された「電気設備に関する技術基準」において、新設高圧配電線については、裸電線の使用が禁止されるに至り、現在では全面的に絶縁電線が採用されている。この絶縁電線の採用によって、配電線故障は大幅に減少し、供給信頼度の向上および公衆保安の確保に多大な効果をあげているが、その反面、雷雨時の異相地絡によって、素線が溶断する現象がでてきた。これは、絶縁電線においては、アーク点が絶縁損傷点に固定され移動しないため、配電線が停止する前に、溶断に至る場合があるからである。このほかにも、導体の錆(さび)や応力腐食あるいは素線切れなどにより、断線が起きる場合があり、絶縁電線の断線事故率は裸電線に比べ高いと云われている。いずれの場合も、一度断線を生じると故障区間の発見および復旧に長時間を要し、停電時間が長くなる場合が多く、かつ断線垂下した電線が課電された場合、地絡に至らず送電を継続するおそれがある。
【0003】
このため、各種の断線検出方法ならびに断線防止策が検討・実施されている。絶縁電線の断線検出および断線につながる素線切れなどの検出について公知の方法は、種々あるが、既存の断線保護方式には大別すると、下記のように三つの方法がある。
【0004】
(1)配電用変電所のみの情報で断線を検出し、選択遮断する。
【0005】
(2)断線点より、負荷側で断線を検出し、この情報を配電用変電所に通報し、選択遮断する。
【0006】
(3)地絡事故発生時、配電用変電所側でこれを検出後、この情報により予め定められた事故点切離し手順情報をもとに、中央装置がテレコン親局経由で子局に対し、順次、開閉器の制御指令を出力し、地絡事故を伴った断線区間を切離す方法。
【0007】
しかし、配電系の実態として、配電変電所からみた場合に配電線の分岐が多く、保護領域が面的な広がりを持つ事、及び単相負荷も多いことから電圧・電流に不平衡を生じ常時においても残留電圧・電流が存在するなどから、断線検出にあたって複雑な要因も多い。したがって上記の夫々の方式とも下記の如く一長一短を有している。
【0008】
(1)配電用変電所でのみの情報で保護する方式
この方式は非特許文献1の321〜322頁に述べられているように、従来、過電流リレー、地絡電流リレーそれぞれ別個のリレーで短絡および地絡現象を検出していたため、雷断線時の断線検出に必要な異相地絡現象が判別できなかったものを雷サージによる零相電圧検出条件も加え、過電流検出条件とのANDにより、その判別を可能とした方式である。
【0009】
(2)断線点の負荷側で検出し配電用変電所に通報し、選択遮断する方式
非特許文献2の495〜497頁に「電線断線区間検出システム」として述べられているように、変電所で感知できない配電線の断線を検出するシステムである。その基本原理は▲1▼区分開閉器近傍の変圧器計測ユニットで変圧器の二次電圧を計測し、この電圧で一次側の断線を検出し、▲2▼断線検出後、事故点標定・切離しシステムへ連係する方法であるが、非特許文献2の図11〜45中にも示されているように地絡事故に至る断線のみが検出対象となっている。
【0010】
(3)配電用変電所側で地絡事故検出後、この情報により中央装置がテレコン親局経由で子局に対し、順次、開閉器の制御指令を出力し、地絡事故区間を切離す方法この方法は、特許文献1で開示されているように地絡事故発生による配電線の断線を検出し、この情報をもとに予め設定された事故検出切離し手順制御のパターンを中央装置からテレコン親局が受け取り子局の当該開閉器の制御により断線事故区間を切離すものである。
【0011】
上記した(1)の方式は、非特許文献1に記載されている通り動作原理上、広い範囲の保護領域を持つが、反面機械的及び応力腐食による断線等地絡を伴わない断線事故は検出できないという欠点があった。また(2)の方式は、雷断線区間を負荷側で検出でき、事故点標定・切離しシステムと連係しているため、専用の信号伝送路が不用であるなどの利点はあるものの、やはり機械的ならびに応力腐食による断線事故は検出できないことが欠点であった。更に(3)の方法は地絡事故を伴わない断線事故の検出は不可能であるという欠点があった。
【0012】
【特許文献1】
特開平4−49813号公報
【0013】
【非特許文献1】
電気学会編:電気設備の診断技術 コロナ社刊(1993−8−5)
【0014】
【非特許文献2】
関根泰次監修:配電技術総合マニュアル オーム社刊(1991−11)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記、従来実施されてきた3つの方法の欠点である地絡事故を伴わない断線事故も確実に検出できる配電線の断線検出システムを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するため、本発明の配電線断線検出システムは、配電線に設置されている開閉器の2次側電流を常時計測、該開閉器のON/OFF状態、当該地点で短絡状態(検出の有無)、地絡状態(検出の有無)情報を取得しているTC子局、当該配電線の配下にある多数の子局より公知のポーリング手法で子局が計測・取得している情報を一定周期でサイクリックに収集するTC親局、および該親局の収集情報の転送を受け、各開閉器間に流入,流出する電流情報をもとに断線が発生している区間の候補(断線発生区間候補)を判別し、これと収集した短絡状態、地絡状態を加味した判定論理処理により短絡や地絡事故として検出されない断線区間を決定し、その断線区間の最も変電所側に近い開閉器に対し、開放指令を発するため、その指令をTC親局に与える手段もしくはステップを有する断線検出装置BLDEを備えたことを特徴としている。また当該配電線の変電所と第1開閉器SW1の間(これを第0区間と称す)、あるいは末端の開閉器(後述する実施例ではSW5)と配電線末端の間(これを末端区間と称す)に発生する断線を検出するため、前者に対しては開閉器SW1近傍の2次側電圧情報をもとに、後者に対しては配電線の末端の2次側電圧情報をもとに断線を検出する断線検出ユニットBLRYをそれぞれに設け、その検出情報を当該TC子局を介して、前記各開閉器の情報を収集したのと同様の手法でTC親局経由で断線検出装置BLDEに送り、第0区間及び末端区間で発生した断線を確実に検出できる機能を備えたことが特徴である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の代表的実施例を説明する。図1は本発明を適用する配電系統と本発明の断線検出システムの構成を示す。この図において変電所の配電線出口の遮断器CBから右側が、配電線を示しており、開閉器SW1〜SW5により、配電線が6つの区間すなわちDL0、DL1、DL2、DL3、DL4、DL5に区分されている場合の例であり、該配電線の区間DL0、DL1、DL2、DL3、DL4、およびD5のうちの任意個所の断線が発生するときの断線検出の実施方法の一例を説明する。開閉器SW1にはTC子局TC1が結ばれており、同様にSW2にはTC2、SW3にはTC3、SW4にはTC4、SW5にはTC5が結ばれる。また、TC1には区間0で生ずる配電線の断線を検出する断線検出ユニットBLRY−1が、そしてTC5には区間DL5で生ずる配電線の断線を検出する断線検出BLRY−2が夫々接続される。更にTC1〜TC5の各TC子局は、変電所に設置されているTC親局TCMへ各々結ばれる。更にTC親局TCMは断線検出装置BLDEへと結ばれる。
【0018】
TC親局TCMは、接続されている全てのTC子局に対し、図2に示すようにアドレス順にポーリング電文でデータの送信を要求すると、各TC子局は、自局へのポーリング信号を受信した時点で校正されたクロックタイミングによりサンプリングし、ディジタル量に変換されている当該地点の各相電流(実効値)情報やそのタイミングにおける開閉器のON/OFF状態、短絡・地絡事故の検出の有無などのデータ(これらのデータを一括してデータAと呼ぶ)を、図2に示す自局データ電文の所定スロットに挿入してTC親局TCMへ伝送する。
【0019】
例えば、TC子局TC3を例にとって説明すると、各相の電流実効値情報は、a相の値を図2のデータスロットD3の中味の詳細構成例を示すデータ電文フォーマット中のTM1に、b相の値をTM2へ、c相の値をTM3に挿入する。また、開閉器SW3のON/OFF情報や、当該個所の短絡リレーによる短絡事故検出の有無、地絡リレーによる地絡事故検出の有無等の情報は、該電文フォーマツト中のスーパーヴィジョン情報スロット(SVスロット)であるSV1〜SV3のそれぞれの情報に割り当てられたビット位置に挿入することで、上記した機能を達成するようにしている。
【0020】
同様に、TC1、TC2、TC4およびTC5は、夫々に当該の上記諸情報であるデータAを、前記電文フォーマットの当該TC子局に相当のSV1〜SV3のそれぞれの情報に割当てられたビット位置に挿入するように構成する。
【0021】
更に、TC子局TC1には、その近傍に区間DL0の各線間電圧情報を計測しそこでの断線候補の有無、短絡事故の有無、地絡事故の有無、及び当該区間に用いられる変圧器のフューズ断の有無などの諸情報(これらを一括してデータBと呼ぶ)を検出できる手段を備えた断線検出ユニットBLRY−1を設置し、該諸情報も該TC子局TC1を介してTC親局TCMへ伝送できる手段(もしくはステップ)をも具備し、配電線の末端LES1には、区間DL5における上記と同様の情報、すなわち配電線の末端LES1における各線間電圧情報を計測しそこでの断線候補の有無、短絡事故の有無、地絡事故の有無などの諸情報であるデータBを検出できる手段(もしくはステップ)を備えた断線検出ユニットBLRY−2を設置し、これらの諸情報を例えば前記開閉器SW5に備えられているTC子局TC5を介してTC親局TCMへ伝送できる手段(もしくはステップ)も具備している。
【0022】
TC子局TC1およびTC5における夫々の断線検出ユニットで検出される上記の諸情報(データB)は、前記電文フォーマットの当該子局のSV1〜SV3の前記した情報に割当てられたビット位置以外の空きビット位置に割当てることによって、TC親局TCMへ伝送する。
【0023】
TC親局TCMは、上記ポーリングを常時、所定の順で全TC子局に向けて送信し、これが一巡すると再びこれを繰り返しすことによって、いわゆる時系列的に一定周期Tのサイクルでサイクリックに全てのTC子局からデータ(データAおよびデータBの双方)を収集することができる。
【0024】
TC親局TCMはまた、必要時にポーリングフォーマットの制御スロットの当該部を用い、特定TC子局配下の開閉器を選択したり、その子局配下の開閉器のON/OFF制御を行うことができる。このときの選択、制御は公知の2挙動で行うのを基本とする。
【0025】
該TC親局TCMは、このようにして収集された各TC子局の情報を一時的に、内部の図示は省略している記憶部の該当位置に格納し、断線検出装置BLDEより図1の信号線SDRQを介しデータの転送要求を受けたときに、信号線SD経由で該断線検出装置BLDEに転送する。また、信号線RVを介して該断線検出装置BLDEから断線区間開放の指令を受けたときには、当該の開閉器SWの属するTC子局に対して、当該ポーリング電文フォーマットの制御スロットを用いて、当該の開閉器SWを選択し、制御(開放)する制御指令を転送できるように構成する。
【0026】
当該TC子局は、受信するポーリング信号中の制御スロットを解読し、TC親局TCMより、自局配下の開閉器が選択され、制御指令を受信していることが解読されたときには、即座に当該開閉器に対する制御を実行するように構成する。
【0027】
該断線検出装置BLDEは、たとえばパソコンあるいはマイクロコンピュータのような情報処理機能を有するハードウェアを主体に構成し、その内部に図1に例示する11つの処理手段もしくはステップを具備している。
【0028】
この11つの処理手段(もしくはステップ)のうち、まずステップ10は、データ受信処理A手段(もしくはステップ)であり、後述する方法でTC親局TCMへデータA転送要求を出したときに、該TC親局TCMから転送される各子局の各相電流実効値情報や、当該開閉器のON/OFF状態、及び当該区間での短絡、地絡事故検出の有無の情報データA(本実施例ではデータAに関わる手段もしくはステップにはその名称の中にAという文字を含んで表現し、後述するデータBに関わる手段もしくはステップ名称中に含ませたBなる文字の意味と区別する)を受信する処理を実行し、さらにそれら個々の情報を該断線検出装置BLDE中の図示していない記憶エリアの当該位置に格納する処理を実行する。そして格納処理の終了後にはステップ100へ移行する。
【0029】
ステップ100は、データ受信処理B手段(もしくはステップ)であり、後述する方法でTC親局TCMへデータB転送要求を出したときに、該TC親局TCMから転送される区間DL0及び区間DL5の情報である、夫々の区間の「断線候補の有無の検出結果」の情報、「当該開閉器のON/OFF状態」の情報、「当該区間での短絡、地絡事故検出の有無」の情報、及び「当該変圧器のフューズ断検出の有無」の情報等の、いわゆるデータBを受信する処理を実行し、さらにそれら個々の情報を該断線検出装置BLDE中の図示していない記憶エリアの当該位置に格納する処理を実行する。
そして格納処理の終了後にはステップ20への移行処理を実行する。
【0030】
ステップ20は、断線検出演算A手段(もしくはステップ)で、当該配電線の区間DL1、DL2、DL3及びDL4の各相毎に同一データサイクルで収集された当該区間へ流入する電流実行値と、流出する電流実効値との電流差動演算処理を実行し(たとえば区間DL1の場合の断線検出にはTC子局TC1とTC2から、同一のデータサイクルで収集した同じ相の電流実効値同士の差[=減算]を演算し)、それらのそれぞれの区間のそれぞれの相毎の演算結果を記憶エリアのそれぞれの当該エリアに一時的に格納する処理を実行する。すなわち、区間DL1に対する電流差動演算処理の場合は、既に記憶エリアの当該エリアに格納されている区間DL1における該データサイクルの関連データ、すなわちTC子局TC1から送られた開閉器SW1の各相電流実効値I1a,I1b,I1c及びTC子局TC2から送られた開閉器SW2の各相電流実効値I2a,I2b,I2cを読み出し、これらを基に下記の式(1) ̄(3)により区間DL1への流入電流と流出電流の電流差動演算を実施し、その結果得た区間DL1の夫々の相の流入電流と流出電流の電流差ΔI1a,ΔI1b,ΔI1cを夫々当該の記憶エリアに格納し、これに引き続き区間DL2〜DL4についても、上記と同様の手順で電流差動演算処理を実行し、それぞれの演算結果である電流差を夫々当該の記憶エリアに格納し、次ステップであるステップ30への移行処理を実行する。なお、この電流差動演算は、例えば、断線がa相で発生しているときには式(1)の右辺ΔI1a≒I1aとなり、断線のないときの右辺ΔI1a≒0と区別できるので、このΔI1aを後述する次ステップ30で基準値Kと比較すれば断線の有無の候補を判別可能なことから、このような差動演算処理を行うものである。
【0031】
I1a+I2a=ΔI1a …… (1)
I1b+I2b=ΔI1b …… (2)
I1c+I2c=ΔI1c …… (3)
ステップ30は、断線区間候補判別A手段(もしくはステップ)である。このステップ30では、上記ステップ20での演算結果である区間DL1〜区間DL4の各相毎の電流差を記憶エリアから順次読み出し、それぞれを予めセツトしてある基準値Kと大小比較して、該配電線各区間のいずれかの相に、断線もしくはそれに類似した不具合現象(以下、それらを一括して断線候補と称し、それには短絡や地絡事故も含む)が発生しているか否かを判別する処理を行い、それぞれの判別結果を夫々に当該の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次のステップ40へ移行する。
【0032】
ステップ40は、短絡事故発生有無判別A手段(もしくはステップ)で、前記ステップ10でTC親局TCMから転送され、該断線検出装置BLDEの記憶エリアの当該位置に格納されている区間DL1〜区間DL4のデータA情報のうち、最新の各開閉器近傍における短絡事故検出情報ビットを読み出し、現データサイクルにおける各区間のそれぞれの相毎の短絡事故の発生の有無を判別する処理を実行し、夫々の結果を夫々に該当の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次ステップ400へ移行する。
【0033】
該ステップ400は、短絡事故発生有無判別B手段(もしくはステップ)であり、上記ステップ100でTC親局TCMから転送を受け、該断線検出装置BLDEの記憶エリアの当該位置に格納したデータB情報のうち0区間DL0、区間DL5の最新の記憶情報ビットを読み出し、現データサイクルにおける当該区間のそれぞれの相毎の短絡事故の検出の有無を確認する処理を実行し、夫々の結果を夫々に該当の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次ステップ50へ移行する。
【0034】
ステップ50は、地絡事故発生有無判別A手段(もしくはステップ)で、前記ステップ10でTC親局TCMから転送され、該断線検出装置BLDEの記憶エリアの当該位置に格納されているデータB情報のうち、最新の各開閉器近傍における地絡事故検出情報ビットを読み出し、現データサイクルにおける当該区間のそれぞれの相毎の地絡事故の発生の有無を判別する処理を実行し、夫々の結果を夫々に該当の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次ステップ500へ移行する。
【0035】
該ステップ500は、地絡事故発生有無判別B手段(もしくはステップ)であり、上記ステップ100でTC親局TCMから転送を受け、該断線検出装置BLDEの記憶エリアの当該位置に格納したデータB情報のうち、区間DL0、区間DL5の最新の記憶情報ビットを読み出し、現データサイクルにおける当該区間のそれぞれの相毎の地絡事故の検出の有無を確認する処理を実行し、夫々の結果を夫々に該当の記憶エリアに記憶する処理を実行し、その終了後に次ステップ60へ移行する。
【0036】
ステップ60は、断線区間確定処理A手段(もしくはステップ)であり、上記ステップ30、ステップ40及びステップ50での判別結果の情報を基に、当該配電線の各区間の各相のそれぞれにおいて、「短絡や地絡事故には至ってない断線が発生しているか否かを確定する」ための論理演算処理を実行するもので、その具体的な処理フローを図3(a)に示す。
【0037】
配電線の一区間につきa、b、c相の3つの相に対する確定処理が必要なことから、本実施例ではこのステップ60を、区間DL1の各相の断線事故を確定できるステップをはじめ、このほか区間DL2〜DL4も含め、各区間の夫々の相に対する確定処理に相当するステップ61A、61B、61C、…、64Cの計12の確定処理ステップ、それら個々のステップの確定結果、断線あり確定に相当するYESという結果が得られたとき、当該確定結果の記憶エリアに「1」をセットする処理を行うステップ61AY,61BY,61CY、…、64CY、及び断線なし確定に相当するNOという結果が得られたとき、当該確定結果の記憶エリアに「0」をセツトする処理を行うステップ61AN、61BN、61CN,・…、64CNの計12ステップを具備し、合計36ステップで構成している。
【0038】
次に、上記ステップ61Aの処理内容について、図3(a)を用いて少し詳細に説明する。該ステップ61Aでは、このデータサイクルにおける前記ステップ30、ステップ40及びステップ50での判別結果として夫々に当該の記憶エリアに記憶されている情報を読み出し、それらの情報を基に該図3(b)に示す論理演算処理を実行して、その結果を出力する。すなわち、もし区間DL1のa相に、短絡事故、もしくは地絡事故が起きていないことが確認され、同時に断線区間候補と判定されて入るときには、このステップ61Aは短絡、地絡事故に至らない断線があったことを確定したことに相当するYESという結果を出力するように処理が実行される。反対に、この区間に短絡事故が発生していたり、あるいは地絡事故が発生していたり、あるいはa相断線事故が発生していなかったときには、短絡もしくは地絡事故に至らない断線が発生してなかったことを確定したことに相当するNOという結果を出力するように処理が実行される。
【0039】
そして、これに続くステップ61B、61C、・・・…、64Cの各ステップも、同様の処理手法で実現でき、当該区間の当該相について、同様の目的を果たし得ることは容易に類推できるところである。
【0040】
もちろん、これらの処理ステップの後には、夫々上記で当該のステップ61BY、61BN、あるいはステップ61CY、61CN、・・…、あるいはステップ64CY、64CNへの移行処理が実行され、ステップ64CYもしくはステップ64CNの処理終了後に、次のステップ600へ移行する。
【0041】
該ステップ600は断線区間確定処理B手段(もしくはステップ)であり、上記ステップ100、ステップ400、ステップ500での夫々の処理結果に基づき記憶エリアに格納されている当該情報を読み出し、それらの情報を基に、当該配電線の区間DL0もしくは区間DL5の各相のそれぞれにおいて、短絡や地絡事故には至ってなく、かつまた当該変圧器にフューズ断が発生してない状態で、断線区間が発生したか否かを確定するための処理を実行する。
【0042】
図3(a)は、上記ステップ600の具体的な構成を示している。このステップ600は、区間DL0及び区間DL5においてa、b、c相の3つについて確認する処理が必要なことから、区間DL0の断線区間を確定する処理に相当する図中のステップ600A、600B、600C及び区間DL5の断線区間を確定する処理に相当する図中のステップ605A、605B、605Cの6つの確認ステップを備えて構成した。また、それらの個々の確認の結果、YESの結果が得られたときにそれぞれの当該結果の記憶エリアに「1」をセットする処理を行うステップ600AY、600BY、600CY、605AY、605BY、605CYの計6ステップ、およびNOの結果が得られたときに「0」をセットする処理を行うステップの600AN、600BN、600CN、605AN、605BN、605CNの計6ステップも具備し、合計18ステップで該ステップ600を構成している。
【0043】
なお、本実施例の上記ステップ600A、600B、600C、605A、605B、605Cは、図3(c)に示す論理演算処理で実現している。これは、該ステップ600A、600B、600C、605A、605B、605CがデータBを対象に断線を検出するようにしているためで、この点がデータAを対象に断線を検出していた前記実施例における対応するステップ61A、61B、61C、…、64Cが、図3(b)のような論理演算処理手段で実現していた点と異なる点である。そしてこのステップ600の処理終了後には、次ステップ700へ移行する処理を実行する。
【0044】
ステップ700は、断線区間開放指令転送AB手段(もしくはステップ)で、上記ステップ60及びステップ600での確定結果を基に、配電線の区間DL1〜DL4については、短絡や地絡事故には至ってない断線事故が発生している区間や相があるときには、TC親局TCMに対して、開放指令を与えるべき当該TC子局、開閉器の情報を転送する処理を実行し、また、配電線の区間DL0もしくは区間DL5については、短絡や地絡事故には至ってなく、当該変圧器にフューズ断が発生してない状態で、断線事故が発生している区間や相があるときには、TC親局TCMに対して、開放指令を与えるべき当該TC子局、開閉器の情報を転送する処理を実行し、その処理の終了後に、このデータサイクルの断線AB検出の一連の処理を終了し、次のデータサイクルの処理に備え待機するため、ステップ10の冒頭部へ移行する。
【0045】
本実施例では、前記の如く区間DL0の断線候補は開閉器SW1近傍の各線間電圧情報を基に、そして区間DL5の断線候補検出は配電線末端LES1側の各線間電圧情報を基に、夫々検出している。そして、開閉器SW1もしくは配電線末端LES1近傍の各線間電圧情報を基に断線を検出するときに、夫々の近傍に設置される当該の変圧器(図示は省略)のフューズ断を、夫々の当該配電線の断線と判定してしまうことを避けるため、それら当該変圧器のフューズ断検出の情報も入力するように構成している。次に、この機能を果たす断線検出ユニットBLRY−1及びBLRY−2についての実施例を説明する。これら両ユニットは共に、専用ハードウェアもしくはマイクロコンピュータを主体に構成できるが、本実施例では後者の構成による場合の例を述べる。その内部には、図4に例示する処理手段(もしくはステップ)80を具備しており、それを下記の12のステップから構成する場合の例で説明する。
【0046】
まず、冒頭のステップ81では、配電線の当該個所の各線間電圧実効値情報であるVab,Vbc,Vcaを取り込み、ユニット内の記憶部の当該エリアに格納する。そして、この処理が終了した後、次のステップ82へ移行する処理を実行するよう構成している。
【0047】
該ステップ82では、該各線間電圧Vab、Vbc、Vcaを当該記憶エリアから読み出し、夫々を予めセツトしてある基準値Vkと比較し、Vk と同じ、あるいはVk より小さいと判定された場合には当該相に断線が発生している可能性があるので断線候補と判定しYES方向の次ステップ82Yへ分岐する処理を実行し、逆にVより大きいと判定された場合には当該相に断線の発生がないと判定しNO方向の次ステップ82Nへ分岐する。
【0048】
該ステップ82Yでは、前ステップにて当該相が断線候補であったと判定されたので、記憶エリアの当該ビット位置に「1」をセットする処理を実行する。一方、該ステップ82Nでは、当該相での断線発生はないと判定されたので、上記当該ビット位置に「0」をセットする。そして、ステップ82Y、及びステップ82Nはまた、上記の処理を終了後、次のステップ83に移行する。
【0049】
該ステップ83では、ステップ82Yもしくはステップ82Nの記憶エリアへのセット処理が当該の全ての線間電圧について終了したか否かを判定し、終了(YESの)しているときには、次ステップ84への移行、終了してない(NOの)ときには、前記ステップ82の冒頭部へ移行する。
【0050】
該ステップ84は、前に触れた当該変圧器の各相にフューズ断が発生しているか否かを検出処理であり、前記ステップ81で記憶された最新の各線間電圧情報Vab、Vbc、Vcaを記憶エリアの当該位置から読み出し、夫々予めセットしてある基準値Vfと比較し、Vfと同じ、あるいはVfより小さいと判定された場合には該変圧器の当該相にフューズ断が発生している可能性があると判定しYES方向の次ステップ84Yへ分岐する処理を実行し、逆にVfより大きいと判定された場合には該変圧器の当該相にフューズ断が発生してないと判定しNO方向の次ステップ84Nへ分岐する。
【0051】
該ステップ84Yでは、前ステップにて該変圧器の当該相でフューズ断があったと判定されたので、記憶エリアの当該ビット位置に「1」をセットする処理を実行する。一方、該ステップ84Nでは、該変圧器の当該相でフューズ断の発生はないと判定されたので、上記当該ビット位置に「0」をセットする処理を実行する。そして、ステップ84Y、及びステップ84Nはまた、上記の処理を終了後、次のステップ85に移行する。
【0052】
該ステップ85では、前記ステップ84Yもしくはステップ84Nの処理が当該の線間電圧全てについて終了したか否かを判定し、終了(YESの)しているときには、次ステップ86への移行、終了してない(NOの)ときには、前記ステップ84の冒頭部へ移行する。
【0053】
該ステップ86では、図示してない短絡検出リレー等から入力端子へ与えられる情報の信号レベルから、当該区間で短絡事故が発生しているか否かの情報を受取り、短絡事故が発生しているときには記憶エリアの当該ビットに「1」を、逆に発生してないときには「0」をセットする処理を実行し、次ステップ87へ移行する。
【0054】
該ステップ87では、図示してない地絡検出リレー等から入力端子へ与えられる情報の信号レベルから、当該区間で地絡事故が発生しているか否かの情報を受取り、地絡事故が発生しているときには記憶エリアの当該ビットに「1」を、逆に発生してないときには「0」をセットする処理を実行し、次ステップ88へ移行する。
【0055】
該ステップ88では、以上の各ステップでの処理結果として記憶されている最新の、各相の「断線候補の有無」情報、「短絡事故発生の有無」情報、「地絡事故発生の有無」情報、及び「変圧器のフューズ断検出の有無」情報を、夫々記憶エリアの当該位置より読み出して前記した当該TC子局に転送する処理を実行し、その終了後に前記ステップ81の冒頭に移行する処理を実行する。
【0056】
上記のようにして、断線検出ユニットBLRY−1もしくはBLRY−2は夫々配電線の区間DL0もしくは区間DL5の断線検出に関わる情報を収集し、当該のTC子局TC1、もしくはTC5に収集情報を転送するので、断線検出装置BLDEは、前記図2で説明したTCシステムによるデータ収集の方法により、TC親局TCM、及びTC子局を介して、これらデータBの情報の転送を受けることができる。
【0057】
以上の説明により、本発明が図1の配電線の任意区間の任意相で発生する短絡事故や地絡事故に至らない断線を、その発生直後のデータサイクルの経過時間程度の早期時間内に、確実に検出し、かつその断線のあった区間を確実に該配電系統から切離すことができることを開示した。したがって、本発明は当初狙いとしたことを達成できることが明らかである。
【0058】
以上では、配電線に分岐のない系統のケースにおける本発明の実施例について説明したが、実際の配電系統では、1つの開閉器から複数の開閉器に分岐する場合がある。本発明は、そのような配電系統の場合でも基本的には同様の手法にて短絡や地絡事故に至らない断線事故を検出することが可能である。以下、図5(a)にて示した区間内の分岐前の箇所f1で事故が発生した場合及び図5(b)にて示した区間内の分岐後の箇所f2で事故が発生した場合に、本発明の方式が断線を検出するケースの実施例を示す。
【0059】
これらのケースの場合には、図1のステップ20(断線検出演算A)の詳細を示す前掲の演算式(1)〜(3)を次に述べるように変更することにより、対処できる。
【0060】
最初に図5(a)に示すように開閉器SW10の後で配電線が2つに分岐する構成の配電系統における任意の地点で短絡や地絡事故に至らない断線事故が発生したケースの場合は、該開閉器SW10の分岐後の配電線に設置される2つの分岐配電線の開閉器を夫々SW20及びSW50とするとき、該3つの開閉器SW10、SW20及びSW50で閉じられた区間に発生する断線事故を検出することになるので、前記した演算式(1)〜(3)の処理を以下の3つの式に置き換えることにより、その検出が可能となる。
【0061】
I10a+I20a+I50a=ΔI10a …… (10)
I10b+I20b+I50b=ΔI10b …… (20)
I10c+I20c+I50c=ΔI10c …… (30)
例えば、図5(a)の3つの開閉器SW10、SW20及びSW50の範囲内の分岐前の箇所f1でc相断線が発生した場合には、上記式(30)の右辺が当該配電区間への流入電流に等しいΔI10c≒I10cとなり、断線のない平常時の結果であるΔI10c≒0とは異なることから、前記ステップ20を構成する要素演算処理ステップの電流差動演算の数式内容を、上記のように分岐数を考慮した数式に変更することで対応できる。
【0062】
同様に、図5(b)の3つの開閉器SW10、SW20及びSW50の範囲内の分岐後の箇所f2でc相断線が発生した場合には、上記式(30)の右辺が当該配電区間への流入電流I10cより小さくなり、また0ともならない、すなわち0<ΔI10c≦I10cとなり、これも断線のない平常時の結果であるΔI10c≒0と異なることから、前記ステップ20を構成する要素演算処理ステップの電流差動演算の数式内容を上記のように分岐数を考慮した数式に変更することで対応できる。
【0063】
上記では分岐の数が2つのケースを説明したが、その分岐数は任意の場合でも上記の式の左辺を最大分岐ケースの電流項の分だけ備えておき、そのときの配電系統の運用状態における分岐数に見合った電流項のみを計算できるように当該電流項の採否を制御して演算することで実現できる。
【0064】
また、このように配電線に分岐がある場合、系統の運用状態よっては分岐先の開閉器が、配下の系統の作業停電等で「開」となって運用されるケースも想定される。そのような場合でも、あらかじめ断線検出装置BLDEに、その配電系統の開閉器のON/OFF情報が常に収集されているので、この開閉器のON/OFF情報を用い、当該開閉器の電流情報を0に制御することにより断線発生の有無の検出を行うことができる。
【0065】
また本発明は、短絡や地絡事故に至らない断線を検出を目的としてきたが、図1のステップ60(断線区間確定処理A)及びステップ600(断線区間確定処理B)において実施された論理処理を変更することにより、短絡や地絡事故に至ってしまった断線事故をも検出することも可能である。すなわち前記実施例の場合、図3(b)及び(c)に記載されている論理処理において、当該区間短絡及び当該区間地絡を断線区間候補から除外するような論理判定処理を行っていたが、当該区間短絡及び当該区間地絡を断線区間候補除外の論理条件から削除することにより、該断線事故をも検出することが可能となる。
【0066】
以上では、配電用変電所の配下に1つの配電線系統のみがある場合の本発明の実施例について説明したが、配下に独立する配電線系統が複数ある場合にも、夫々の配電線系統からの情報を断線検出装置BLDEが夫々の配電線に対応するTC親局を介して並行的に受渡しできるように構成することによって実施可能である。
【0067】
更に、上記した本発明の実施例では区間DL0及び区間DL5に発生する断線を区間DL1〜DL4と異なる方法での本発明実施例を説明したが、区間DL0の変電所側にTC子局(例えばTC0)を、また配電線の末端LES1にTC子局(例えばTC6)を設置し、夫々、前記TC子局TC1〜TC4と同様の情報を収集させ、且つ該断線検出装置BLDEで電流差動演算を行わせることにより、全区間同一手法で断線発生を検出できるようにすることも可能である。
【0068】
本発明の断線検出システムによる断線の検出及び該断線区間の開放制御に要する合計時間の概略値を以下に説明する。ただし、本発明の実施例で前記したTC親局及びTC子局には、電力会社の配電用テレコンで通常用いられていると同等水準の技術を用いることとし、一つの配電線の区間数を通常考えられる最大の数である50区間とする。まず、本発明の実施例で述べた前記図2の伝送フォーマットの上り,下りの情報伝送ビットの構成は上記電力会社の配電用テレコンと同等技術で実現する場合、
▲1▼TC親局からのポーリング情報(下り情報)が、アドレスが初送、連送分を加え16ビット、それに制御信号も初送、連送分の16ビットを加えた32ビットで構成できる。
【0069】
▲2▼各TC子局あたり一つのアドレス情報と、三つのSVデータ情報、及び四つのTMデータ情報より構成される該各TC子局上り情報が、アドレス情報=同期ワード11ビット+初送アドレスワード11ビット+連送アドレスワード11ビット=33ビットと、三つのSVデータ情報の3ワード分=11ビット×2初送 ・ 連送×3ワード=66ビット、及び四つのTMデータ情報=11ビット×2初送 ・ 連送×4ワード=88ビットとを合計した187ビットで構成できる。
【0070】
次に、ひとつの配電線の最大区間数である50区間の全てのTC子局から当該子局情報を収集し、次のフレームでその断線結果の判断及びその判断結果に基づく開放制御とを行う本発明によれば、最悪ケースでも2フレームのデータサイクル相当長の時間内で、配下の任意区間に発生する断線を判定し、開放制御できるので、TCシステムの伝送速度を2400ビット/秒とするとき、本発明の断線検出システムによる断線区間の検出、及び当該区間の開放制御に要する時間は、
(1/2400)秒/ ビット×50局×(33+187)ビット×2フレーム=9.2秒
以下の所要時間である事がわかる。
【0071】
この9.2秒なる時間は、配電線保護リレーで通常適用されている再閉路時間である15秒より、十分小さな値なので、本発明が、当初目的とした迅速な断線検出及び開放制御の自動化システムとして実用性の高いことが理解される。
【0072】
また、電気電流差動演算に用いた各開閉器の2次電流実効値の開閉器ごとのサンプリング時間差の最大値は、1区間内の分岐数が5であるところで断線が起こるケースを想定しても、高々、
(1/2400)秒/ ビット×(5+1)局×(33+187)ビット=0.55秒
程度であり、かつ通常最も多い串差状の縦続区間のケースでは、
(1/2400)秒/ ビット×(1+1)局×(33+187)ビット=0.18秒
である。これらいずれのケースでも、実用上差し支えない値である。
【0073】
【発明の効果】
本発明により、導体腐食や錆びなどに起因して生じる、いわゆる地絡事故に至らない配電線の断線の発生区間を迅速、確実に自動検出でき、開放制御できるので、配電線運用の安全性を大幅に改善でき、人身事故も未然に防止できる効果がある。本発明はまた、適用される配電線の分岐の有無や分岐数の多少に関わらず、共通的な手法により配電線断線検出システムを実現できるので、システム構成の標準化が可能で、かつその保守の標準化も可能な効果がある。
【0074】
更に、本発明は、本発明を適用する配電系の運用開始後に、周辺地域の電力負荷需要の増加に伴い、当該配電線の区間増設や、分岐数増設がある場合でも、当初より最大区間に対する処理手段、及び最大分岐数に対応する処理手段を設け、それらの未設分に関する処理を未設の期間は有効にしないように予め設定し、増設後に有効にするよう設定変更することで対処できるので、可拡張性に富むと同時に、それらへの対応が経済的に達成できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】配電系統の断線検出を行なう本発明による断線検出システムの実施例を示す図。
【図2】TC親局とTC子局間のポーリング伝送の説明図。
【図3】ステップ60(断線区間確定処理A)及びステップ600(断線区間確定処理B)の実施例を示す図。
【図4】ステップ80(断線検出ユニット)の処理手段の実施例を示す図。
【図5】配電線に分岐のある区間を有する場合の説明図。
Claims (6)
- 配電線の各区間ごとに設置される各開閉器の2次電流値を収集し、該各区間ごとに実行する当該2次電流に基づく電流差動演算結果を基に断線の発生している区間を検出する機能を備えた配電線の断線検出システム。
- 請求項1に記載の配電線の断線検出システムにおいて、該配電線の前記各開閉器の設置地点における短絡故障検出情報、及び地絡故障検出情報を収集し、該収集情報と前記電流差動演算結果を基に断線の発生している区間を検出する機能を備えた配電線の断線検出システム。
- 請求項1に記載の配電線の断線検出システムにおいて、配電線の各区間ごとに設置される各開閉器の2次電流値を、該開閉器に対応して設置される伝送子局を経由して、常時一定周期で伝送親局に収集し該伝送親局内部に一時的に記憶する機能を有するように構成した情報収集手段、該伝送親局の記憶する該各開閉器から収集した2次電流値情報を、該伝送親局に対し与える転送要求に基づき転送を受けて内部に一時的に記憶する機能、該記憶情報を読み出して該各区間ごとに実行する当該2次電流に基づく電流差動演算結果を基に断線の発生している区間を検出する機能、該検出結果の情報を基に該断線区間の中の最も変電所側に近い開閉器を判別する機能、及び該開閉器に開放指令を発するための情報を前記伝送親局に報知する機能を有するように構成した断線検出手段、及び該断線検出装置より前記開閉器への開放指令情報の報知を受けて当該の伝送子局に対し該開閉器の選択、開放指令を送信し、これを受信した該伝送子局が該開閉器を開放する機能を有するように構成した情報配信・制御手段を備えた配電線の断線検出システム。
- 請求項1に記載の配電線の断線検出システムにおいて、配電線の各区間ごとに設置される各開閉器の2次電流値、該配電線の該開閉器設置点の短絡故障検出情報、及び地絡故障検出情報を、該開閉器に対応して設置される伝送子局を経由して、常時一定周期で伝送親局に収集し該伝送親局内部に一時的に記憶する機能を有するように構成した情報収集用伝送手段、該伝送親局の記憶する該各開閉器から収集した2次電流値情報、該配電線の該開閉器設置点の短絡故障検出情報、及び地絡故障検出情報を、該伝送親局に対し与える転送要求に基づき転送を受けて内部に一時的に記憶する機能、該記憶情報を読み出して該各区間ごとに実行する当該2次電流に基づく電流差動演算結果と、該2次電流値と同時刻に収集され、記憶された該配電線の該開閉器設置点の短絡故障検出情報、及び地絡故障検出情報を基に断線の発生している区間を検出する機能、該検出結果の情報を基に該断線区間の中の最も変電所側に近い開閉器を判別する機能、及び該開閉器に開放指令を発するための情報を前記伝送親局に報知する機能を有するように構成した断線検出手段、及び該断線検出装置より前記開閉器への開放指令情報の報知を受けて当該の伝送子局に対し該開閉器の選択、開放指令を送信し、これを受信した該伝送子局が該開閉器を開放する機能を有するように構成した情報配信・伝送制御用手段を備えた配電線の断線検出システム。
- 請求項1に記載の配電線の断線検出システムにおいて、該配電系統の変電所と第1番目の開閉器SW1との間の第0区間(DL0)、もしくは最末端の開閉器と該配電線末端部との間の第M区間(DLM)の、夫々の当該開閉器の2次側の電圧情報を基に、当該区間に発生する断線を検出する機能、該検出結果を当該の伝送子局を経由して、常時一定周期で伝送親局にその他の区間の前記2次電流情報と共に収集し該親局内部に一時的に記憶する機能を有するように構成した情報収集手段を備えた請求項1に記載の配電線の断線検出システム。
- 請求項5に記載の配電線の断線検出システムにおいて、各区間の当該開閉器近傍に設置される変圧器付設フューズ断線を、配電線断線と識別可能な手段を備えた配電線の断線検出システム。
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