JP2005019160A - 直流リレー - Google Patents
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Abstract
【課題】小型かつ簡易な構造でもって、短時間で直流高電圧を遮断でき、かつ信頼性の高いものとする。
【解決手段】スイッチ部10の可動接点3を、ソレノイド部50の可動鉄心54の進退により、固定接点21、22に接離させる直流リレーである。両固定接点の間に対の中間固定接点23a、23bを少なくとも1つ設け、各可動接点3は、各固定接点2との接触時、それらの固定接点が直列に接続されるように配列接続されている。このように、各接点を分割して遮断高電圧を分圧すれば、接点間のアークが小さくなり消弧も短時間でなされ、アーク電流による接点の損傷も抑制される。スイッチ部10とソレノイド部50は分離して、一方に対し他方の大きさを適宜に選択して、各種の大きさの要望に応える。その両者のケーシング1、51を接点接離方向でねじ止め締結し、ソレノイド進退方向の長さ変動を極力抑制し、接点の接離作用を安定化させる。
【選択図】 図2
【解決手段】スイッチ部10の可動接点3を、ソレノイド部50の可動鉄心54の進退により、固定接点21、22に接離させる直流リレーである。両固定接点の間に対の中間固定接点23a、23bを少なくとも1つ設け、各可動接点3は、各固定接点2との接触時、それらの固定接点が直列に接続されるように配列接続されている。このように、各接点を分割して遮断高電圧を分圧すれば、接点間のアークが小さくなり消弧も短時間でなされ、アーク電流による接点の損傷も抑制される。スイッチ部10とソレノイド部50は分離して、一方に対し他方の大きさを適宜に選択して、各種の大きさの要望に応える。その両者のケーシング1、51を接点接離方向でねじ止め締結し、ソレノイド進退方向の長さ変動を極力抑制し、接点の接離作用を安定化させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、小型で、かつ簡易な構造により、確実に直流電流を遮断できる直流リレーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、環境問題の点から、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車が開発され、これらの自動車は、直流高電圧の主電池と高電圧回路からなる制御回路を備えている。その主電池は、例えば300Vの直流高電圧であるため、事故などの非常時には制御回路から切り離す必要がある。このため、その電池と制御回路との間には、通常メカニカル接点の直流リレーを備え、前記非常時には、その直流リレーにより主電池と制御回路を遮断するようにしている。
【0003】
この直流高電圧用直流リレーとして、例えば、特許文献1、2に示されるように、スイッチ部とソレノイド部からなり、前記スイッチ部は、ケーシング外面に出力端子と入力端子が設けられ、ケーシング内には、前記入力端子に接続された入力固定接点と前記出力端子に接続された出力固定接点が設けられているとともにその両固定接点に接離する可動接点が設けられたものであり、前記ソレノイド部は、ケーシング内に励磁コイルを設けてその励磁コイルによりその中の可動鉄心を進退させるものであり、そのソレノイド部の前記可動鉄心の進退により、前記スイッチ部の可動接点を固定接点に接離させる構成のものがある。
【0004】
この直流リレーは、一般に直流高電圧を遮断するときに、接点間で発生するアークが非常に大きくなることから、遮断速度が非常に遅く、短時間で遮断するのは非常に難しい。このため、従来では特許文献1に示すように、アーク発生部に磁石を設置してローレンツ力によりアークを引き伸ばしたり、特許文献2に示すように、水素などの冷却効果の大きい気体をアーク発生部に封入してアークの発生を抑えるようにしている。さらにその磁石とアークの発生を抑える気体とを併用するものもある(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−203368号公報 図1
【特許文献2】
特開平9−320411号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の直流リレーにおいて、特許文献1に示す、磁界の作用によりアークを引き伸ばすものは、リレーの即時遮断に必要なアークの引き伸ばし量を確保する必要があるため、アークを引き伸ばす空間を確保するとともに、そのアーク引き伸ばし量に見合った磁力を有する磁石を配置しなければならない。その結果、リレー全体が大型化してしまう問題がある。
【0007】
また、特許文献2に示す、水素などの気体でアークの発生を抑制するものは、気体をケース内に完全に密閉できるケース構造を必要とする。この場合、ケースはアークによる耐熱性が必要となって高価なもの(例えばセラミックなど)となる。また、気密性および耐熱性を上げるためには、ケースの厚みを大きくとる必要があり、ケースの形状が大きくなる問題もある。さらに、耐熱性が得られない場合には、廃車までメンテナンスをせずに気密性を維持することは非常に困難となる。
【0008】
このように、水素などの気体を封入した直流リレーにおいては、気体が封入された状態を長期間保持するために大型化が要求され、さらに構造も複雑となる。その結果、自動車という限られたスペースに搭載する機器において性能を落とすことなく小型化を実現することは非常に困難であった。
【0009】
この発明は、小型で、かつ簡易な構造により、短時間で直流高電圧を遮断できるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、この発明は、まず、固定接点と可動接点を複数に分割するとともに直列接続し、その分割した各接点に高電圧を分圧して印加するようにしたのである。接点間の電圧が下れば、アークも小さくなって消弧も短時間でなされるようになり、そのアーク電流による接点の損傷も抑制される。
【0011】
つぎに、この発明は、スイッチ部のケーシングとソレノイド部のケーシングを、締付け方向が固定接点と可動接点の接離方向としたねじ止めで固定することとしたのである。スイッチ部とソレノイド部を分離することにより、一方に対し他方を適宜に選択して、各種の要望に答える直流リレーを得ることができるうえに、その両者のケーシングが、固定接点と可動接点の接離方向でねじ止めにより締結されていることにより、その接離方向、すなわちソレノイドの進退方向の長さ変動が極力抑制され、よって接点の接離作用も安定する(信頼性の高いものとなる)。
【0012】
このような利点があることから、この発明の直流リレーを、ハイブリッド自動車などの高電圧の自動車における高電圧回路をON・OFFするためのリレーとして利用すれば、コンパクトなものとすることができ、限られたスペースの有効利用ができる。
【0013】
具体的には、スイッチ部とソレノイド部からなり、前記スイッチ部は、ケーシング外面に出力端子と入力端子が設けられ、ケーシング内には、前記入力端子に接続された入力固定接点と前記出力端子に接続された出力固定接点が設けられているとともにその入出力両固定接点に接離する可動接点が設けられたものであり、前記ソレノイド部は、ケーシング内に励磁コイルを設けてその励磁コイルによりその中の可動鉄心を進退させるものであり、そのソレノイド部の前記可動鉄心の進退により、前記スイッチ部の可動接点を固定接点に接離させる直流リレーにおいて、前記入出力両固定接点の間に相互に接続された対の中間固定接点を少なくとも1つ設け、前記可動接点は前記入出力両固定接点及び中間固定接点に対応してそれぞれ接離する接点の数とし、その各可動接点は、入出力両固定接点及び中間固定接点に接触した際、前記入力固定接点、中間固定接点及び出力固定接点が直列に接続されるように接続されており、かつ、前記スイッチ部のケーシングと前記ソレノイド部のケーシングは、締付け方向を前記固定接点と可動接点の接離方向としたねじ止めで固定されている構成を採用する。
【0014】
対の中間固定接点は、例えば、U字状またはコ字状の部材で形成することが好ましい。U字状などにする場合には、U字またはコ字の両端部が中間固定接点となり、この接点の端面に可動接点を接触させる。各可動接点は、例えば、対の中間固定接点が一つの場合、接点接触時(導通時)において、入力固定接点と対の中間固定接点の一方に接触する両可動接点を接続し、出力固定接点と対の中間固定接点の他方に接続する両可動接点を接続する。対の中間固定接点が複数ある場合には、二つの対の中間固定接点の一方又は他方に接触する可動接点と入力固定接点又は出力固定接点に接触する可動接点をそれぞれ接続し、隣り合う対の中間固定接点の隣り合う中間固定接点同士に接続する可動接点を接続する。これらの各可動接点の相互接続により、入力固定接点、各中間固定接点、出力固定接点が、導通時に直列に接続される。
【0015】
可動接点は、例えば、U字状や、コ字状や、平板状の部材で形成することができる。U字状やコ字状の場合は、両端面部が可動接点となり、平板の場合には、平板の平面に固定接点の2つを接触させて、その接触点が可動接点となる。
【0016】
このようにして、導通時において、入力固定接点、可動接点、中間固定接点、可動接点、出力固定接点の順(対の中間固定接点が複数ある場合には、入力固定接点、可動接点、 中間固定接点、可動接点、中間固定接点、・・・可動接点、出力固定接点の順のように、対の中間固定接点の数だけ、その可動接点と中間固定接点の間の電流流れ数が増える)に、各接点が直列に接続される。
【0017】
このように直列接続すれば、固定接点と可動接点を接触させた状態で、入力端子(入力固定端子)から電流が流れると、可動接点、中間固定接点、固定接点を通過して電流が出力端子(出力固定接点)まで流れる。一方、 固定接点と可動接点を離すと、全ての接点が非接触状態となり、対向している固定接点と可動接点の間にアークが発生するが、各固定接点及び可動接点を直列に接続させているので、遮断電圧が各接点間に分圧されて、アークの消弧が行われる。この遮断電圧の分圧により、アークも小さくなり、 短時間で電圧を遮断することができる。その結果、気密構造が不要となり、安価に直流リレーを製造することができる。さらに、一つの接点にかかる電圧を下げることでアーク電流による接点の損傷を抑制する。
【0018】
全ての接点は同一直線上に配列させることが好ましい。具体的には、図3に示すように、入力固定接点、中間固定接点、出力固定接点を同一直線上に配置するとともに、この線上で、入力固定接点、中間固定接点、出力固定接点と例えば上下に重なるように複数の可動接点を配置して、平面視同一線上となるようにする。
【0019】
このとき、各接点の接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くなるように形成することが好ましい。この接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くするとは、接触面の形状を例えば楕円状、長円状、長方形状などに形成し、接触面の短軸方向が接点の配列方向となるようにすることをいう。
【0020】
複数の接点を同一線上に配置させる場合、接点の数が増えるとリレー全体が配列方向に大きくなってしまう可能性がある。この発明では、可動接点をソレノイドで動かすため、そのソレノイドに既製品を用いる場合、そのソレノイドの大きさが決められてしまうことから、接点の配列を考慮してスイッチ部は、このソレノイドの横断面積からはみ出さないようにすることが好ましい。例えば、接点の接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くなるように形成することにより、接点の接触面の大きさを十分確保できながらリレーの接点配列方向への長さの増大を最小限に抑える。通常、接点配列方向と直交する方向には、ソレノイドの横断面の面積内に有効スペースが生じるが、このように、その有効スペースに向けて接点の接触面を伸ばし、配列方向の長さを短くすれば、リレー全体の体積を減らすことができる。
【0021】
さらに、全ての接点を同一直線上に配列させ、その両固定接点及び中間固定接点の各接点間に磁石をそれぞれ配置し、その磁石により、固定接点から可動接点が離れる際のアークを前記接点の配列方向に交差する方向に歪曲させるようにすることができる。
【0022】
例えば、磁石は、接点の配列線上において、入力端子側の固定接点における中間固定接点の反対側と、出力端子側の固定接点における中間固定接点の反対側と、対の中間固定接点の間に、異なる極が対面するように配設することが好ましい。これらの磁石により、接点を遮断する時に各接点の間に生じるアークを磁界により歪曲させることができる。すなわち、磁石の磁界により接点間に生じるアークを接点の接触面に対して所定の方向に吹き飛ばす。このとき、各接点は直列に接続されているので、電流Iは図4に示すように蛇行状に流れる。
【0023】
さらに同図に示すように電流Iの流れを2本ごとに磁石で挟む構成とした場合、磁力線は常に同一方向に向かって生じる。その結果、フレミングの左手の法則により、ローレンツ力によってアークaは、図5に示すように、接点配列方向と直交する方向に伸び、かつ、配列方向に沿って交互に向きが逆になるように歪曲する。
【0024】
このように磁石を設けることにより、遮断電圧を分圧させるとともに、磁石によるアークの吹き飛ばしで、アークaの電圧をさらに短時間で上昇させて、短時間でリレーを遮断させることが可能となる。
【0025】
また、電圧を分圧させながら、磁石によるアークの引き伸ばしでアークエネルギーを消費させるので、従来のような電圧遮断に必要な所定のアーク引き伸ばし量を確保する必要はなく、さらに、使用する磁石の磁力も従来よりも小さくでき磁石も小型化できる。
【0026】
因みに、特許文献1に示すリレー構造では、可動接点および固定接点には接触部が2箇所あり、磁石による磁束でアークを対向する接触部とは反対側に引き出すようにしている。このため、リレーに回生エネルギーなどの逆電流が流れた場合、アークは、対向する接触部に向かって引き伸ばされることとなり、アーク同士が繋がってしまうという問題が生ずる。
【0027】
これに対し、この発明では、アークの引き伸ばし方向が、接点配列方向と交差する方向となるので、回生エネルギーなどの逆電流が生じても、接点配列方向と交差する方向にアークが引き伸ばされる。そのため、逆電流が生じても、アーク同士が繋がってしまうことがなく、逆電流にも十分対応することができる。
【0028】
さらに、スイッチ部内の接点配列方向と直交する方向には、ソレノイドとの関係から上記したように有効スペースが生じる場合があることから、この有効スペースをアーク引き伸ばし用スペースとして利用することができるので、アークスペースを別途確保する必要が無くなる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1乃至図5に一実施形態を示し、図1は斜視図、図2及び図3は、この実施形態の具体的な構成を示す縦断面図及び図2のX−X線断面図、図4は、接点接触の状態を示し、図5は接点非接触の状態を示す。
【0030】
この実施形態は、スイッチ部10とソレノイド部50とから成り、両者10、50は、スイッチ部10のケーシング1にソレノイド部50のケーシング51をねじ52により取付フランジ51aを介して締結することにより一体とされている。そのねじ締め方向は、後述の固定接点2と可動接点3の接離方向となっており、ねじ締めにより両ケーシング1、51が強固に一体化されるため、その接離方向の長さ変動が極力抑制され、その接離作用が安定する。なお、スイッチ部10及びソレノイド部50内における各部品の動きは、各ケーシング1、51内に強固に固定されることにより阻止される。
【0031】
スイッチ部10は、図2に示すように、絶縁合成樹脂製ケーシング1内に、複数の固定接点2と複数の可動接点3と接点駆動機構4とを備え、外面に入力端子25と出力端子26が設けられている。固定接点2は、入力端子25に一体の入力固定接点21と、出力端子26に一体の出力固定接点22と、これら接点21、22の間に配設される対の中間固定接点23a、23bから成り、中間固定接点23a、23bは、断面U字状またはコ字状部材の両端で形成されている。これらの接点(端子)21、22、23a、23b、25、26は、図示していないが、ケーシング1内に嵌め込んだ後、 ネジなどにより固定されている。
【0032】
可動接点3は、固定接点2と同数の接点31、33a、33b、32から成り、それらの各接点が各固定接点21、23a、23b、32にそれぞれ対応する。その左右対の可動接点31、33aと33b、32は対の導電性部材34の両端にそれぞれ設けられて相互に導通(接続)している。
【0033】
これらの各接点21、22、23a、23b及び31、33a、33b、32は同一直線上にケーシング1内に配置されている。すなわち、固定接点2と可動接点3を接離させた状態(導通させた状態)で、平面視それぞれの接点21、22、23a、23bと31、33a、33b、32がそれぞれ同一直線上に配置される。
【0034】
このように各接点を配置して、図4に示すように、各接点21、22、23a、23b及び31、33a、33b、32を接触させることにより、各接点は、入力接点21から、可動接点31、33a、中間固定接点23a、23b、可動接点33a、32、出力接点22へと直列に接続されて、電流Iが流れる。
【0035】
このとき、入力固定接点21の接触部、出力固定接点22の接触部、中間固定接点23a、23bの接触部、可動接点31、32、33a、33bの接触部のいずれも、他方の接触部と接触させる接触面の形状を長円状に形成している(例えば、可動接点3の接触部(接点)31、33a、33b、32について図3を参照)。その長円状の各接触部は、長円の短軸方向が各接点の配列方向(図3において左右方向)となるようになっている。その各接点は、例えば、接触面(部)が長円状の円柱金属ブロックでもって形成する。
【0036】
可動接点31、33a、33b、32は、接点駆動機構4により接点開閉方向に往復移動させるようになっている。接点駆動機構4により接点2,3間を開閉して、可動接点3を、入力固定接点21と出力固定接点22と中間固定接点23a,23bに対して、接触または非接触状態にする。その接点駆動機構4は、支持部材41と、2つの第1ばね42と、1つの第2ばね43から成る。
【0037】
支持部材41は、可動接点3の支持部材34の支持軸34aを挿通可能に支持する。第1ばね42は,両支持部材41、34の間に配設され、かつ、支持軸34が挿通される。第2ばね43は、支持部材41とケーシング1と一体のリブとの間に配設され、支持部材41を接点開方向に付勢する。
【0038】
ソレノイド部50は、ケーシング51内に励磁コイル53を設け、そのコイル53内に可動鉄心54及び固定鉄心55を設けたものであり、コイル53への通電により可動鉄心54が固定鉄心55側に引き寄せられる。その可動鉄心54には固定鉄心55を挿通して上記支持部材41に連結された駆動軸44が設けられている。このため、コイル53に通電されて可動鉄心54が固定鉄心55に引き寄せられると、駆動軸44は第2ばね43に抗して固定接点2に向けて(接点閉方向)移動し(進行し)、図2鎖線で示すように可動接点3を固定接点2に接触させる。
【0039】
この可動接点3が固定接点2に当接した後、 駆動軸44はさらに支持部材41がケーシング1リブの第2ばね43の受座凹部43aの内壁に当接するまで進行するが、 その進行は、第1ばね42を収縮させながら支持部材41が支持軸34a上を移動して吸収し、両接点2、3に適切な接触圧を付与する。
【0040】
一方、 コイル53が非通電となれば、図2実線で示すように、駆動軸44は、第2ばね43のばね力により固定接点2から離れる方向(接点開方向)に移動し、その移動につれ、 第1ばね42も伸長してやがて可動接点3が固定接点2から離れて、図2実線の状態に復帰する。
【0041】
このように、ソレノイド部50の作用により、駆動軸44の動きに伴って支持部材41により第1ばね42を介して可動接点3の支持部が固定接点2側に押されて各可動接点31、33a、33b、32が固定接点21、23a、23b、22に同時に接触する。
【0042】
一方、支持部材41が接点開方向に移動したときは、支持部材41により支持軸34aのフランジ部を介して可動接点3の支持部が引き戻される。このため、可動接点31、33a、33b、32が固定接点21、23a、23b、22から同時に離れる。このように、ソレノイド部50により、可動接点3を固定接点2に対して開閉する。そのとき、入力端子25に直流電流Iが接続され、各接点が接触・隔離することで通電・遮断を行う。
【0043】
さらに、ケーシング1内に3つの板状の永久磁石5を設けている。永久磁石5は、入力固定接点21および出力固定接点22の中間固定接点23a,23bの反対側の2箇所と、中間固定接点23a、23bの間で中間の可動接点33aと33bの間となる箇所に配設している。
【0044】
この永久磁石5は、図4に示すように、一方の極(例えばN極)が同じ側に位置するように同一直線上に配置される。これら永久磁石5により、固定接点2と可動接点3との間に磁界が生じ、この磁界により、接点2,3の遮断時、各接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32の間に生じるアークaがローレンツ力を受けて引き伸ばされ歪曲する。このとき、図5に示すように、同一極が同じ側に位置して、左から右に磁力線が向かうように永久磁石5を配置しているため、フレミングの左手の法則により、ローレンツ力は、同図において前に向かう力と後に向かう力とが交互に生じ、接点遮断時に発生したアークaが前後に交互に歪曲して干渉しない。
【0045】
この実施形態は以上の構成であり、各接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32間を閉じて通電させる場合、可動接点3を閉動作させて可動接点3と固定接点2とを接触させて導通させる(図4の状態)。一方、各接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32間を開いて遮断する場合は、可動接点3の開動作により、可動接点3と固定接点2との間が離隔されて遮断が行われる(図5の状態)。
【0046】
この導通・遮断時、固定接点2と可動接点3との間にアークaが発生するが、このアークaは、永久磁石5の磁界により前記した方向に歪曲する。このとき、多数の接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32を直列に接続させているので、各接点間で遮断電圧を分圧して、アークaの消弧が行え、短時間で電圧を遮断する。その結果、接点周辺を気密構造にする必要はなく、しかも、アークaの引き伸ばし量を大きくとることなく、アークaを消弧させることができるので、非常にコンパクトな直流リレーを実現できる。さらに、各接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32を直列に配置して遮断電圧を分圧するので、接点の耐久性向上を実現できる。
【0047】
また、アークaの引き伸ばし方向が、接点配列方向に沿って交互に異なるため、回生エネルギーなどの逆電流が生じても、アークa同士が繋がってしまうことがなくなり、逆電流にも十分対応することができる。さらに、図2および図3に示すように、入力固定接点21と中間固定接点23aの間、および、出力固定接点22と中間固定接点23bの間にケーシング1の一部で板状の絶縁部11を設けている。この絶縁部11により、接点接触時に、隣り合う接点の間の絶縁を行う。また、ケーシング1の上面にも絶縁突部11’を設けて両端子25,26間の絶縁を行っている。
【0048】
スイッチ部10とソレノイド部50の一体化態様としては、上記以外に、ソレノイド部50がスイッチ部10より大きくなる場合には、図6に示すように、スイッチ部10に取付フランジ51aを設けて、そのフランジ51aを介してねじ52により締結する。また、ソレノイド部50とスイッチ部10が略同じ大きさの場合には、図7に示すように、両者にフランジ51aを設けてねじ52により締結する。ソレノイド部50とスイッチ部10のどちらが大きいかに関係なく、図8に示すように、ねじ52をスイッチ部10を貫通させてソレノイド部50にねじ込んで締結したり、図9に示すように、 ソレノイド部50を貫通させてスイッチ部10にねじ込んで締結したりすることができる。各図中、56は、この直流リレーを車体フレームに取付るための取付フランジである。
【0049】
【発明の効果】
この発明は、以上のように、固定接点と可動接点を複雑に分割し、その分割した各接点に高電圧を分圧して印加するようにしたので、各接点間の電圧が下がり、アークも小さくなってその消弧も短時間でなされるとともに、接点の損傷も抑制される。
【0050】
また、スイッチ部とソレノイド部を分離することにより、一方に対し他方を適宜に選択して、各種の要望に答える直流リレーを得ることができるうえに、その両者のケーシングが、固定接点と可動接点の接離方向でねじ止めにより締結されていることにより、リレー作用の信頼性も高いものとし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の概略斜視図
【図2】同実施形態の切断正面図
【図3】図2のX−X線断面図
【図4】同実施形態の通電時の作用図
【図5】同遮断時の作用図
【図6】他の実施形態の概略斜視図
【図7】他の実施形態の概略斜視図
【図8】他の実施形態の概略斜視図
【図9】他の実施形態の概略斜視図
【符号の説明】
1 スイッチ部ケーシング
2 固定接点
3 可動接点
5 永久磁石
10 スイッチ
21 入力固定接点
22 出力固定接点
23a、23b 中間固定接点
31、32、33a、33b 可動接点
50 ソレノイド部
51 ソレノイド部のケーシング
52 締結ねじ
53 励磁コイル
54 可動鉄心
55 固定鉄心
【発明の属する技術分野】
この発明は、小型で、かつ簡易な構造により、確実に直流電流を遮断できる直流リレーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、環境問題の点から、ハイブリッド自動車や燃料電池自動車が開発され、これらの自動車は、直流高電圧の主電池と高電圧回路からなる制御回路を備えている。その主電池は、例えば300Vの直流高電圧であるため、事故などの非常時には制御回路から切り離す必要がある。このため、その電池と制御回路との間には、通常メカニカル接点の直流リレーを備え、前記非常時には、その直流リレーにより主電池と制御回路を遮断するようにしている。
【0003】
この直流高電圧用直流リレーとして、例えば、特許文献1、2に示されるように、スイッチ部とソレノイド部からなり、前記スイッチ部は、ケーシング外面に出力端子と入力端子が設けられ、ケーシング内には、前記入力端子に接続された入力固定接点と前記出力端子に接続された出力固定接点が設けられているとともにその両固定接点に接離する可動接点が設けられたものであり、前記ソレノイド部は、ケーシング内に励磁コイルを設けてその励磁コイルによりその中の可動鉄心を進退させるものであり、そのソレノイド部の前記可動鉄心の進退により、前記スイッチ部の可動接点を固定接点に接離させる構成のものがある。
【0004】
この直流リレーは、一般に直流高電圧を遮断するときに、接点間で発生するアークが非常に大きくなることから、遮断速度が非常に遅く、短時間で遮断するのは非常に難しい。このため、従来では特許文献1に示すように、アーク発生部に磁石を設置してローレンツ力によりアークを引き伸ばしたり、特許文献2に示すように、水素などの冷却効果の大きい気体をアーク発生部に封入してアークの発生を抑えるようにしている。さらにその磁石とアークの発生を抑える気体とを併用するものもある(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−203368号公報 図1
【特許文献2】
特開平9−320411号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の直流リレーにおいて、特許文献1に示す、磁界の作用によりアークを引き伸ばすものは、リレーの即時遮断に必要なアークの引き伸ばし量を確保する必要があるため、アークを引き伸ばす空間を確保するとともに、そのアーク引き伸ばし量に見合った磁力を有する磁石を配置しなければならない。その結果、リレー全体が大型化してしまう問題がある。
【0007】
また、特許文献2に示す、水素などの気体でアークの発生を抑制するものは、気体をケース内に完全に密閉できるケース構造を必要とする。この場合、ケースはアークによる耐熱性が必要となって高価なもの(例えばセラミックなど)となる。また、気密性および耐熱性を上げるためには、ケースの厚みを大きくとる必要があり、ケースの形状が大きくなる問題もある。さらに、耐熱性が得られない場合には、廃車までメンテナンスをせずに気密性を維持することは非常に困難となる。
【0008】
このように、水素などの気体を封入した直流リレーにおいては、気体が封入された状態を長期間保持するために大型化が要求され、さらに構造も複雑となる。その結果、自動車という限られたスペースに搭載する機器において性能を落とすことなく小型化を実現することは非常に困難であった。
【0009】
この発明は、小型で、かつ簡易な構造により、短時間で直流高電圧を遮断できるようにすることを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、この発明は、まず、固定接点と可動接点を複数に分割するとともに直列接続し、その分割した各接点に高電圧を分圧して印加するようにしたのである。接点間の電圧が下れば、アークも小さくなって消弧も短時間でなされるようになり、そのアーク電流による接点の損傷も抑制される。
【0011】
つぎに、この発明は、スイッチ部のケーシングとソレノイド部のケーシングを、締付け方向が固定接点と可動接点の接離方向としたねじ止めで固定することとしたのである。スイッチ部とソレノイド部を分離することにより、一方に対し他方を適宜に選択して、各種の要望に答える直流リレーを得ることができるうえに、その両者のケーシングが、固定接点と可動接点の接離方向でねじ止めにより締結されていることにより、その接離方向、すなわちソレノイドの進退方向の長さ変動が極力抑制され、よって接点の接離作用も安定する(信頼性の高いものとなる)。
【0012】
このような利点があることから、この発明の直流リレーを、ハイブリッド自動車などの高電圧の自動車における高電圧回路をON・OFFするためのリレーとして利用すれば、コンパクトなものとすることができ、限られたスペースの有効利用ができる。
【0013】
具体的には、スイッチ部とソレノイド部からなり、前記スイッチ部は、ケーシング外面に出力端子と入力端子が設けられ、ケーシング内には、前記入力端子に接続された入力固定接点と前記出力端子に接続された出力固定接点が設けられているとともにその入出力両固定接点に接離する可動接点が設けられたものであり、前記ソレノイド部は、ケーシング内に励磁コイルを設けてその励磁コイルによりその中の可動鉄心を進退させるものであり、そのソレノイド部の前記可動鉄心の進退により、前記スイッチ部の可動接点を固定接点に接離させる直流リレーにおいて、前記入出力両固定接点の間に相互に接続された対の中間固定接点を少なくとも1つ設け、前記可動接点は前記入出力両固定接点及び中間固定接点に対応してそれぞれ接離する接点の数とし、その各可動接点は、入出力両固定接点及び中間固定接点に接触した際、前記入力固定接点、中間固定接点及び出力固定接点が直列に接続されるように接続されており、かつ、前記スイッチ部のケーシングと前記ソレノイド部のケーシングは、締付け方向を前記固定接点と可動接点の接離方向としたねじ止めで固定されている構成を採用する。
【0014】
対の中間固定接点は、例えば、U字状またはコ字状の部材で形成することが好ましい。U字状などにする場合には、U字またはコ字の両端部が中間固定接点となり、この接点の端面に可動接点を接触させる。各可動接点は、例えば、対の中間固定接点が一つの場合、接点接触時(導通時)において、入力固定接点と対の中間固定接点の一方に接触する両可動接点を接続し、出力固定接点と対の中間固定接点の他方に接続する両可動接点を接続する。対の中間固定接点が複数ある場合には、二つの対の中間固定接点の一方又は他方に接触する可動接点と入力固定接点又は出力固定接点に接触する可動接点をそれぞれ接続し、隣り合う対の中間固定接点の隣り合う中間固定接点同士に接続する可動接点を接続する。これらの各可動接点の相互接続により、入力固定接点、各中間固定接点、出力固定接点が、導通時に直列に接続される。
【0015】
可動接点は、例えば、U字状や、コ字状や、平板状の部材で形成することができる。U字状やコ字状の場合は、両端面部が可動接点となり、平板の場合には、平板の平面に固定接点の2つを接触させて、その接触点が可動接点となる。
【0016】
このようにして、導通時において、入力固定接点、可動接点、中間固定接点、可動接点、出力固定接点の順(対の中間固定接点が複数ある場合には、入力固定接点、可動接点、 中間固定接点、可動接点、中間固定接点、・・・可動接点、出力固定接点の順のように、対の中間固定接点の数だけ、その可動接点と中間固定接点の間の電流流れ数が増える)に、各接点が直列に接続される。
【0017】
このように直列接続すれば、固定接点と可動接点を接触させた状態で、入力端子(入力固定端子)から電流が流れると、可動接点、中間固定接点、固定接点を通過して電流が出力端子(出力固定接点)まで流れる。一方、 固定接点と可動接点を離すと、全ての接点が非接触状態となり、対向している固定接点と可動接点の間にアークが発生するが、各固定接点及び可動接点を直列に接続させているので、遮断電圧が各接点間に分圧されて、アークの消弧が行われる。この遮断電圧の分圧により、アークも小さくなり、 短時間で電圧を遮断することができる。その結果、気密構造が不要となり、安価に直流リレーを製造することができる。さらに、一つの接点にかかる電圧を下げることでアーク電流による接点の損傷を抑制する。
【0018】
全ての接点は同一直線上に配列させることが好ましい。具体的には、図3に示すように、入力固定接点、中間固定接点、出力固定接点を同一直線上に配置するとともに、この線上で、入力固定接点、中間固定接点、出力固定接点と例えば上下に重なるように複数の可動接点を配置して、平面視同一線上となるようにする。
【0019】
このとき、各接点の接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くなるように形成することが好ましい。この接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くするとは、接触面の形状を例えば楕円状、長円状、長方形状などに形成し、接触面の短軸方向が接点の配列方向となるようにすることをいう。
【0020】
複数の接点を同一線上に配置させる場合、接点の数が増えるとリレー全体が配列方向に大きくなってしまう可能性がある。この発明では、可動接点をソレノイドで動かすため、そのソレノイドに既製品を用いる場合、そのソレノイドの大きさが決められてしまうことから、接点の配列を考慮してスイッチ部は、このソレノイドの横断面積からはみ出さないようにすることが好ましい。例えば、接点の接触面の形状を接点の配列方向の長さが配列方向と直交する方向の長さよりも短くなるように形成することにより、接点の接触面の大きさを十分確保できながらリレーの接点配列方向への長さの増大を最小限に抑える。通常、接点配列方向と直交する方向には、ソレノイドの横断面の面積内に有効スペースが生じるが、このように、その有効スペースに向けて接点の接触面を伸ばし、配列方向の長さを短くすれば、リレー全体の体積を減らすことができる。
【0021】
さらに、全ての接点を同一直線上に配列させ、その両固定接点及び中間固定接点の各接点間に磁石をそれぞれ配置し、その磁石により、固定接点から可動接点が離れる際のアークを前記接点の配列方向に交差する方向に歪曲させるようにすることができる。
【0022】
例えば、磁石は、接点の配列線上において、入力端子側の固定接点における中間固定接点の反対側と、出力端子側の固定接点における中間固定接点の反対側と、対の中間固定接点の間に、異なる極が対面するように配設することが好ましい。これらの磁石により、接点を遮断する時に各接点の間に生じるアークを磁界により歪曲させることができる。すなわち、磁石の磁界により接点間に生じるアークを接点の接触面に対して所定の方向に吹き飛ばす。このとき、各接点は直列に接続されているので、電流Iは図4に示すように蛇行状に流れる。
【0023】
さらに同図に示すように電流Iの流れを2本ごとに磁石で挟む構成とした場合、磁力線は常に同一方向に向かって生じる。その結果、フレミングの左手の法則により、ローレンツ力によってアークaは、図5に示すように、接点配列方向と直交する方向に伸び、かつ、配列方向に沿って交互に向きが逆になるように歪曲する。
【0024】
このように磁石を設けることにより、遮断電圧を分圧させるとともに、磁石によるアークの吹き飛ばしで、アークaの電圧をさらに短時間で上昇させて、短時間でリレーを遮断させることが可能となる。
【0025】
また、電圧を分圧させながら、磁石によるアークの引き伸ばしでアークエネルギーを消費させるので、従来のような電圧遮断に必要な所定のアーク引き伸ばし量を確保する必要はなく、さらに、使用する磁石の磁力も従来よりも小さくでき磁石も小型化できる。
【0026】
因みに、特許文献1に示すリレー構造では、可動接点および固定接点には接触部が2箇所あり、磁石による磁束でアークを対向する接触部とは反対側に引き出すようにしている。このため、リレーに回生エネルギーなどの逆電流が流れた場合、アークは、対向する接触部に向かって引き伸ばされることとなり、アーク同士が繋がってしまうという問題が生ずる。
【0027】
これに対し、この発明では、アークの引き伸ばし方向が、接点配列方向と交差する方向となるので、回生エネルギーなどの逆電流が生じても、接点配列方向と交差する方向にアークが引き伸ばされる。そのため、逆電流が生じても、アーク同士が繋がってしまうことがなく、逆電流にも十分対応することができる。
【0028】
さらに、スイッチ部内の接点配列方向と直交する方向には、ソレノイドとの関係から上記したように有効スペースが生じる場合があることから、この有効スペースをアーク引き伸ばし用スペースとして利用することができるので、アークスペースを別途確保する必要が無くなる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1乃至図5に一実施形態を示し、図1は斜視図、図2及び図3は、この実施形態の具体的な構成を示す縦断面図及び図2のX−X線断面図、図4は、接点接触の状態を示し、図5は接点非接触の状態を示す。
【0030】
この実施形態は、スイッチ部10とソレノイド部50とから成り、両者10、50は、スイッチ部10のケーシング1にソレノイド部50のケーシング51をねじ52により取付フランジ51aを介して締結することにより一体とされている。そのねじ締め方向は、後述の固定接点2と可動接点3の接離方向となっており、ねじ締めにより両ケーシング1、51が強固に一体化されるため、その接離方向の長さ変動が極力抑制され、その接離作用が安定する。なお、スイッチ部10及びソレノイド部50内における各部品の動きは、各ケーシング1、51内に強固に固定されることにより阻止される。
【0031】
スイッチ部10は、図2に示すように、絶縁合成樹脂製ケーシング1内に、複数の固定接点2と複数の可動接点3と接点駆動機構4とを備え、外面に入力端子25と出力端子26が設けられている。固定接点2は、入力端子25に一体の入力固定接点21と、出力端子26に一体の出力固定接点22と、これら接点21、22の間に配設される対の中間固定接点23a、23bから成り、中間固定接点23a、23bは、断面U字状またはコ字状部材の両端で形成されている。これらの接点(端子)21、22、23a、23b、25、26は、図示していないが、ケーシング1内に嵌め込んだ後、 ネジなどにより固定されている。
【0032】
可動接点3は、固定接点2と同数の接点31、33a、33b、32から成り、それらの各接点が各固定接点21、23a、23b、32にそれぞれ対応する。その左右対の可動接点31、33aと33b、32は対の導電性部材34の両端にそれぞれ設けられて相互に導通(接続)している。
【0033】
これらの各接点21、22、23a、23b及び31、33a、33b、32は同一直線上にケーシング1内に配置されている。すなわち、固定接点2と可動接点3を接離させた状態(導通させた状態)で、平面視それぞれの接点21、22、23a、23bと31、33a、33b、32がそれぞれ同一直線上に配置される。
【0034】
このように各接点を配置して、図4に示すように、各接点21、22、23a、23b及び31、33a、33b、32を接触させることにより、各接点は、入力接点21から、可動接点31、33a、中間固定接点23a、23b、可動接点33a、32、出力接点22へと直列に接続されて、電流Iが流れる。
【0035】
このとき、入力固定接点21の接触部、出力固定接点22の接触部、中間固定接点23a、23bの接触部、可動接点31、32、33a、33bの接触部のいずれも、他方の接触部と接触させる接触面の形状を長円状に形成している(例えば、可動接点3の接触部(接点)31、33a、33b、32について図3を参照)。その長円状の各接触部は、長円の短軸方向が各接点の配列方向(図3において左右方向)となるようになっている。その各接点は、例えば、接触面(部)が長円状の円柱金属ブロックでもって形成する。
【0036】
可動接点31、33a、33b、32は、接点駆動機構4により接点開閉方向に往復移動させるようになっている。接点駆動機構4により接点2,3間を開閉して、可動接点3を、入力固定接点21と出力固定接点22と中間固定接点23a,23bに対して、接触または非接触状態にする。その接点駆動機構4は、支持部材41と、2つの第1ばね42と、1つの第2ばね43から成る。
【0037】
支持部材41は、可動接点3の支持部材34の支持軸34aを挿通可能に支持する。第1ばね42は,両支持部材41、34の間に配設され、かつ、支持軸34が挿通される。第2ばね43は、支持部材41とケーシング1と一体のリブとの間に配設され、支持部材41を接点開方向に付勢する。
【0038】
ソレノイド部50は、ケーシング51内に励磁コイル53を設け、そのコイル53内に可動鉄心54及び固定鉄心55を設けたものであり、コイル53への通電により可動鉄心54が固定鉄心55側に引き寄せられる。その可動鉄心54には固定鉄心55を挿通して上記支持部材41に連結された駆動軸44が設けられている。このため、コイル53に通電されて可動鉄心54が固定鉄心55に引き寄せられると、駆動軸44は第2ばね43に抗して固定接点2に向けて(接点閉方向)移動し(進行し)、図2鎖線で示すように可動接点3を固定接点2に接触させる。
【0039】
この可動接点3が固定接点2に当接した後、 駆動軸44はさらに支持部材41がケーシング1リブの第2ばね43の受座凹部43aの内壁に当接するまで進行するが、 その進行は、第1ばね42を収縮させながら支持部材41が支持軸34a上を移動して吸収し、両接点2、3に適切な接触圧を付与する。
【0040】
一方、 コイル53が非通電となれば、図2実線で示すように、駆動軸44は、第2ばね43のばね力により固定接点2から離れる方向(接点開方向)に移動し、その移動につれ、 第1ばね42も伸長してやがて可動接点3が固定接点2から離れて、図2実線の状態に復帰する。
【0041】
このように、ソレノイド部50の作用により、駆動軸44の動きに伴って支持部材41により第1ばね42を介して可動接点3の支持部が固定接点2側に押されて各可動接点31、33a、33b、32が固定接点21、23a、23b、22に同時に接触する。
【0042】
一方、支持部材41が接点開方向に移動したときは、支持部材41により支持軸34aのフランジ部を介して可動接点3の支持部が引き戻される。このため、可動接点31、33a、33b、32が固定接点21、23a、23b、22から同時に離れる。このように、ソレノイド部50により、可動接点3を固定接点2に対して開閉する。そのとき、入力端子25に直流電流Iが接続され、各接点が接触・隔離することで通電・遮断を行う。
【0043】
さらに、ケーシング1内に3つの板状の永久磁石5を設けている。永久磁石5は、入力固定接点21および出力固定接点22の中間固定接点23a,23bの反対側の2箇所と、中間固定接点23a、23bの間で中間の可動接点33aと33bの間となる箇所に配設している。
【0044】
この永久磁石5は、図4に示すように、一方の極(例えばN極)が同じ側に位置するように同一直線上に配置される。これら永久磁石5により、固定接点2と可動接点3との間に磁界が生じ、この磁界により、接点2,3の遮断時、各接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32の間に生じるアークaがローレンツ力を受けて引き伸ばされ歪曲する。このとき、図5に示すように、同一極が同じ側に位置して、左から右に磁力線が向かうように永久磁石5を配置しているため、フレミングの左手の法則により、ローレンツ力は、同図において前に向かう力と後に向かう力とが交互に生じ、接点遮断時に発生したアークaが前後に交互に歪曲して干渉しない。
【0045】
この実施形態は以上の構成であり、各接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32間を閉じて通電させる場合、可動接点3を閉動作させて可動接点3と固定接点2とを接触させて導通させる(図4の状態)。一方、各接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32間を開いて遮断する場合は、可動接点3の開動作により、可動接点3と固定接点2との間が離隔されて遮断が行われる(図5の状態)。
【0046】
この導通・遮断時、固定接点2と可動接点3との間にアークaが発生するが、このアークaは、永久磁石5の磁界により前記した方向に歪曲する。このとき、多数の接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32を直列に接続させているので、各接点間で遮断電圧を分圧して、アークaの消弧が行え、短時間で電圧を遮断する。その結果、接点周辺を気密構造にする必要はなく、しかも、アークaの引き伸ばし量を大きくとることなく、アークaを消弧させることができるので、非常にコンパクトな直流リレーを実現できる。さらに、各接点21、23a、23b、22と31、33a、33b、32を直列に配置して遮断電圧を分圧するので、接点の耐久性向上を実現できる。
【0047】
また、アークaの引き伸ばし方向が、接点配列方向に沿って交互に異なるため、回生エネルギーなどの逆電流が生じても、アークa同士が繋がってしまうことがなくなり、逆電流にも十分対応することができる。さらに、図2および図3に示すように、入力固定接点21と中間固定接点23aの間、および、出力固定接点22と中間固定接点23bの間にケーシング1の一部で板状の絶縁部11を設けている。この絶縁部11により、接点接触時に、隣り合う接点の間の絶縁を行う。また、ケーシング1の上面にも絶縁突部11’を設けて両端子25,26間の絶縁を行っている。
【0048】
スイッチ部10とソレノイド部50の一体化態様としては、上記以外に、ソレノイド部50がスイッチ部10より大きくなる場合には、図6に示すように、スイッチ部10に取付フランジ51aを設けて、そのフランジ51aを介してねじ52により締結する。また、ソレノイド部50とスイッチ部10が略同じ大きさの場合には、図7に示すように、両者にフランジ51aを設けてねじ52により締結する。ソレノイド部50とスイッチ部10のどちらが大きいかに関係なく、図8に示すように、ねじ52をスイッチ部10を貫通させてソレノイド部50にねじ込んで締結したり、図9に示すように、 ソレノイド部50を貫通させてスイッチ部10にねじ込んで締結したりすることができる。各図中、56は、この直流リレーを車体フレームに取付るための取付フランジである。
【0049】
【発明の効果】
この発明は、以上のように、固定接点と可動接点を複雑に分割し、その分割した各接点に高電圧を分圧して印加するようにしたので、各接点間の電圧が下がり、アークも小さくなってその消弧も短時間でなされるとともに、接点の損傷も抑制される。
【0050】
また、スイッチ部とソレノイド部を分離することにより、一方に対し他方を適宜に選択して、各種の要望に答える直流リレーを得ることができるうえに、その両者のケーシングが、固定接点と可動接点の接離方向でねじ止めにより締結されていることにより、リレー作用の信頼性も高いものとし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の概略斜視図
【図2】同実施形態の切断正面図
【図3】図2のX−X線断面図
【図4】同実施形態の通電時の作用図
【図5】同遮断時の作用図
【図6】他の実施形態の概略斜視図
【図7】他の実施形態の概略斜視図
【図8】他の実施形態の概略斜視図
【図9】他の実施形態の概略斜視図
【符号の説明】
1 スイッチ部ケーシング
2 固定接点
3 可動接点
5 永久磁石
10 スイッチ
21 入力固定接点
22 出力固定接点
23a、23b 中間固定接点
31、32、33a、33b 可動接点
50 ソレノイド部
51 ソレノイド部のケーシング
52 締結ねじ
53 励磁コイル
54 可動鉄心
55 固定鉄心
Claims (3)
- スイッチ部10とソレノイド部50からなり、前記スイッチ部10は、ケーシング1外面に出力端子26と入力端子25が設けられ、ケーシング1内には、前記入力端子25に接続された入力固定接点21と前記出力端子に接続された出力固定接点22が設けられているとともにその入出力両固定接点21、22に接離する可動接点31、32が設けられたものであり、前記ソレノイド部50は、ケーシング51内に励磁コイル53を設けてその励磁コイル53によりその中の可動鉄心54を進退させるものであり、そのソレノイド部50の前記可動鉄心54の進退により、前記スイッチ部10の可動接点3を固定接点2に接離させる直流リレーにおいて、
上記入出力両固定接点21、22の間に相互に接続された対の中間固定接点23a、23bを少なくとも1つ設け、上記可動接点3は、前記入出力両固定接点21、22及び中間固定接点23a、23bに対応してそれぞれ接離する接点の数とし、その各可動接点31、32、33a、33bは、入出力両固定接点21、22及び中間固定接点23a、23bに接触した際、前記入力固定接点21、中間固定接点23a、23b及び出力固定接点22が直列に接続されるように接続されており、
かつ、上記スイッチ部10のケーシング1と上記ソレノイド部50のケーシング51は、締付け方向を上記固定接点2と可動接点3の接離方向としたねじ止めで固定されていることを特徴とする直流リレー。 - 上記入出力両固定接点21、22と中間固定接点23a、23b及び各可動接点31、32、33a、33bをそれぞれ直線状に配列し、その各接点の接触面の形状を、前記接点の配列方向の長さがその配列方向に直交する方向の長さより短くなるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
- 上記入出力両固定接点21、22と中間固定接点23a、23b及び各可動接点31、32、33a、33bをそれぞれ直線状に配列し、その両固定接点21、22の中間固定接点23a、23bの反対側及び対の中間固定接点23a、23bの間に磁石5を配置し、その磁石5により、固定接点2から可動接点3が離れる際のアークaを前記接点の配列方向に交差する方向に歪曲させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の直流リレー。
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