JP2005019153A - 車両用灯具 - Google Patents
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Abstract
【課題】組立てが容易で、可動シェードの姿勢を切り替える際の作動音を抑制することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【解決手段】可動シェード4の姿勢をソレノイド6によって切り替えて光源からの光を複数の配光パターンに切り替える車両用灯具1。可動シェード4とソレノイドのプランジャ6aとは、連結手段J,Pnを介して連結されており、相互に連結されている可動シェードとソレノイドとの間には、プランジャの軸方向に隙間が設けられている。
【選択図】 図2
【解決手段】可動シェード4の姿勢をソレノイド6によって切り替えて光源からの光を複数の配光パターンに切り替える車両用灯具1。可動シェード4とソレノイドのプランジャ6aとは、連結手段J,Pnを介して連結されており、相互に連結されている可動シェードとソレノイドとの間には、プランジャの軸方向に隙間が設けられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、可動シェードの姿勢を切り替えることにより、1個の光源ですれ違い時における配光パターンや走行時における配光パターン等の複数の配光パターンを得る車両用灯具に関し、更に詳しくは、ソレノイドのプランジャと可動シェードとの連結構造に特徴を有する車両用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗用車などの自動車に搭載され、一つの光源(メタルハイドランプ等の高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)などの放電灯)からの光をすれ違い用の配光パターンと走行用の配光パターンに形成するヘッドランプが提案されている(例えば、特許文献1)。この種のヘッドランプは、1つの光源(7)と、この光源(7)からの光を反射することで、すれ違い用の配光パターンと走行用の配光パターンのそれぞれを得るリフレクタ(5)、リフレクタ(5)に光源(7)からの光が照射される範囲を切り替える可動シェード(11)と、この可動シェード(11)の姿勢を切り替える、すなわちすれ違い用の配光パターンを得るロービーム位置と走行用の配光パターンを得るハイビーム位置のいずれかに移動させるソレノイド(8)およびスプリング(20)と、を備えるものである。
【0003】
上記従来のヘッドランプの動作は、まず光源(7)を点灯すると、光源(7)からの光は、リフレクタ(5)に照射される。このとき、光源(7)からの光は可動シェード(11)の姿勢をロービーム位置あるいはハイビーム位置に切り替えることにより、リフレクタ(5)に照射される範囲が切り替えられる。従って、可動シェード(11)がロービーム位置の場合は、リフレクタ(5)に照射された光源(7)からの光が、リフレクタ(5)を介してすれ違い用の配光パターンを形成する。一方、ソレノイド(8)に通電することにより、可動シェード(11)がロービーム位置からハイビーム位置に移動した場合は、リフレクタ(5)に照射された光源(7)からの光が、リフレクタ(5)を介して走行用の配光パターンを形成する。なお、可動シェード(11)がハイビーム位置において、ソレノイド(8)の通電を遮断するとソレノイドの吸引力がなくなり、可動シェード(11)はスプリング(20)の弾性力により、ロービーム位置に復帰することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−133914号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のヘッドランプは、ソレノイド(8)のプランジャ(9)と可動シェード(11)とがリテーナ(16)を介して連結されている。このため、従来のヘッドランプは、組立て作業に手間が掛かるうえ、可動シェード(11)の姿勢を切り替えるためには、リテーナ(16)と共に可動シェード(11)を動かす必要があり、大きなパワーが必要なことから、プランジャ(9)の重量やサイズが大きくなってしまうという問題があった。しかも、この場合、ヘッドランプにおいては、可動シェード(11)やリテーナ(16)を駆動する際の駆動エネルギーが大きくなることから、不快な作動音を生じ、室内の静粛性を重視する自動車においてはこのような作動音を極力抑制することが求められていた。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点に鑑みてなされたもので、組立てが容易で、可動シェードの姿勢を切り替える際の作動音を抑制することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、可動シェードの姿勢をソレノイドによって切り替えて光源からの光を複数の配光パターンに切り替える車両用灯具において、前記可動シェードと前記ソレノイドのプランジャとは、連結手段を介して連結されており、相互に連結されている前記可動シェードと前記ソレノイドとの間には、前記プランジャの軸方向に隙間が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、可動シェードの姿勢を切り替えるときに、可動シェードの振動とソレノイドにおけるプランジャの振動との位相がずれる結果、両振動を合成したときの振動レベルが低減される。
【0009】
ここで、本明細書において、プランジャの連結部と可動シェードの弾性係合部との間にプランジャの軸方向に形成される隙間とは、車両用灯具の複数の配光パターンに振動による影響を与えない程度の隙間をいうものとする。
【0010】
また、この発明では、請求項1に記載の車両用灯具において、前記連結手段は、前記プランジャに設けられ、前記プランジャの外周に周方向に沿って形成された連結溝を有する連結部と、前記可動シェードに設けられ、前記プランジャの連結部にプランジャの軸方向に隙間があり、かつ、前記プランジャの径方向に隙間なく弾性係合する弾性係合部と、からなることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、可動シェードとソレノイドとが直接連結されるので、部品点数が低減される。
【0012】
また、この発明では、請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具において、前記弾性係合部は、前記プランジャの連結溝にプランジャの軸に直交する方向から圧入され、前記プランジャと複数の点で当接する当接片を有することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、可動シェードは、弾性係合部をプランジャの連結溝にプランジャの軸に直交する方向から圧入するだけでプランジャと連結できるので、車両用灯具の組立てが容易になる。
【0014】
また、この発明では、請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用灯具において、前記連結部は、前記連結溝の一側面がテーパ面に形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、プランジャと可動シェードは、連結したときに、連結部と弾性係合部との間に軸方向の隙間が確実に形成され、かつ、プランジャの径方向のがたつきを確実に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
図1はこの発明にかかるヘッドランプの概略構成例を示す図、図2は可動シェード、ストッパ部材、ソレノイド、コイルスプリングの斜視図である。ここで、本実施形態においては、左側通行区分の自動車用のヘッドランプについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、右側通行区分の自動車用のヘッドランプについても用いることができ、この場合はその構造が左右逆となる。同図に示すように、ヘッドランプ1は、少なくとも光源2と、リフレクタ3と、可動シェード4と、ストッパ部材5と、ソレノイド6と、コイルスプリング7とを備えている。なお、8はハウジング、9はハウジング8内の保護を兼ねたレンズ、10はインナーパネルである。
【0018】
光源2は、例えばメタルハイドランプ等の高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)などの放電灯であり、リフレクタ3に着脱可能に取り付けられている。また、光源2は、リフレクタ3に取り付けることにより、リフレクタ3に対して所定の位置となるように配置される。また、光源2は、コネクタ11が着脱可能に接続されており、コネクタ11は後述するバラスト12からの電力を光源2に供給するものである。ここで、12は、光源2である放電灯の始動に必要な高電圧を供給し、且つ放電灯の点灯時には安定した電圧を供給するバラストである。
【0019】
リフレクタ3は、その内凹面がアルミ蒸着あるいは銀塗装などが施されており、回転放物面を基準に変形させた自由曲面で構成される反射面を有する。この反射面は、光源2から光を後述する所定のすれ違い用の配光パターンに形成する第1反射面3aと光源2から光を後述する所定の走行用の配光パターンに形成する第2反射面3bが設けられている。なお、3cは可動シェード4やソレノイド6などをヘッドランプ1の前方から視認できないようにするエクステンションであり、リフレクタ3と一体に成形されている。なお、エクステンション3cは、リフレクタ3とは、別個に設けて良い。また、リフレクタ3は、図示しない光軸調整手段を介してハウジング8に取り付けられている。
【0020】
ここで、エクステンション3cには、図1に示すように、前方側が閉塞し且つ後方側が開口したSUSなどの薄鋼板からなる筒状の固定シェード13がスクリューなどの固定手段により取り付けられている。固定シェード13は、エクステンション3cに取り付けられることで、光源2の前方に配置され、光源2からの光のうち第1反射面3aおよび第2反射面3bに照射される照射光以外の前方に直接照射される直射光を遮光するものである。
【0021】
可動シェード4は、図2に示すように、SUSなどの薄鋼板からなる本体4a、ステー4b及び連結片4eを備えている。本体4aは、略円筒形状であり、その外径は上記固定シェード13の内径よりも小さく、その内径は光源2と接触しない大きさとなっている。また、本体4aには、ステー4bに取り付けるための脚部4cが設けられている。一方、ステー4bは、その長手方向の前方側(図2では、左上側)に、幅方向に突出する突出部4dが2箇所設けられ、突出部4dに本体4aの脚部4cが取り付けられている。また、ステー4bの長手方向の後方側(図2では、右下側)は、その一部を垂直方向に折り曲げて連結片4eが形成されている。連結片4eは、可動シェード4を後述するソレノイド6のプランジャ6aに連結する弾性係合部Pcが下部に設けられている。弾性係合部Pcは、図3に示すように、中央に後述する連結溝6dに挿通されるスリット4fが設けられ、スリット4fの上部には連結溝6dの外周部に当接する3つの当接片4gが突設されてE形止め輪状に形成されている。弾性係合部Pcは、プランジャ6aの軸に直交する方向から後述する連結溝6dに圧入され、連結片4eと連結溝6dとの間にはプランジャ6aの軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもって連結される。また、突出部4dは、ステー4bの長手方向の前方側および後方側のそれぞれにステー4bの幅方向に対して傾斜角(例えば、45度)を有する2つのハイビーム側当接面4h、2つのロービーム側当接面4jが設けられている。つまり、ハイビーム側当接面4hとロービーム側当接面4jは、ステー4bにハの字状に設けられている。なお、4kは、後述するコイルスプリング7を可動シェード4とソレノイド6との間に取り付けるための可動シェード側取付穴である。ここで、可動シェード4は、脚部4cにより本体4aをステー4bに取り付けているが、本体4aおよびステー4bを一体に成形しても良い。
【0022】
ストッパ部材5は、図2に示すように、SUSなどの薄鋼板からなる長方形状であり、その四隅にステー4bの突出部4dのハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jにそれぞれ平行なハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bが上方に突設されている。つまり、ハイビーム側突起部5aとロービーム側突起部5bは、ストッパ部材5にハの字状に設けられている。また、ストッパ部材5の一部が鉛直方向に折り曲げられており、その折り曲げられたストッパ部材5の一部に後述するソレノイド6の係止穴6fに対応するように2つの係止突起部5cが設けられている。ここで、ストッパ部材5の長手方向の長さh2は、可動シェード4がロービーム位置からハイビーム位置まで移動する距離、すなわちソレノイド6のプランジャ6aのストローク量と可動シェード4の突出部4dの長手方向の長さh1を合わせた長さとなっている。なお、ハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bは、弾性を有することが好ましい。これにより、ステー4bのハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jがそれぞれハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bに当接する際の当接音を減少することができるからである。
【0023】
図5は、ソレノイド6の要部断面図であり、同図(a)はコイルに通電していない状態、同図(b)はコイルに通電している状態を示す図である。ソレノイド6は、プル式ソレノイドであり、図2および図5(a)に示すように、プランジャ6a、コイル6b、ヨーク6cを備えている。プランジャ6aは、図2および図4に示すように、円柱形状であり、その先端近傍に可動シェード4の連結片4eを連結する連結部Jが設けられている。連結部Jは、外周に周方向に沿って全周に亘って連結溝6dが形成され、ヨーク6c側の一側面がテーパ面6eに成形されている。ここで、連結溝6dは、プランジャ6aの軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもって連結片4eを連結することができれば、周方向に沿って独立して形成され、3つの当接片4gのそれぞれが個々に嵌合する3つの連結溝6dとしてもよい。コイル6bは、ヨーク6c内にプランジャ6aを取り囲むように設けられている。ソレノイド6は、コイル6bに通電することにより、プランジャ6aがコイル6bの磁力により同図(a)に示す矢印B方向に移動する。このときのプランジャ6aのストローク量は、可動シェード4がロービーム位置とハイビーム位置との間を移動できる長さに設定されている。なお、ソレノイド6にはストッパ部材5の係止突起部5cに対応する位置に2つの係止穴6fが設けられている。また、6gは、後述するコイルスプリング7をソレノイド6と可動シェード4との間に取り付けるためのソレノイド側取付穴である。また、図示は省略するが、ソレノイド6はハウジング8に取り付けられている。
【0024】
コイルスプリング7は、図2に示すように、弾性を有する線材を円錐台形状に巻いたものである。コイルスプリング7には、それぞれステー4bの可動シェード側取付穴4kおよびソレノイド6のソレノイド側取付穴6gに挿入される先端部7a,7bが設けられている。ここで、コイルスプリング7は、軸方向の長さがソレノイド6におけるプランジャ6aのストローク量よりも若干長めに設定されている。これは、コイルスプリング7を可動シェード4とソレノイド6との間に付勢した状態で取り付けるためである。なお、コイルスプリング7は、コイルスプリング7が縮んだ際に線材が互いに接触しないように線材が円錐台形状に巻かれていることが好ましい。これにより、コイルスプリング7が縮んだ際にその軸方向の長さが円筒状のコイルスプリングと比較して小さくなり、ソレノイド6のプランジャ6aの長さを極力プランジャ6aがストロークするのに必要な長さとすることができ、ソレノイド6のコンパクト化を図ることができるからである。
【0025】
次に、可動シェード4、ストッパ部材5、ソレノイド6、コイルスプリング7の組み立てについて説明する。図6は、ロービーム位置における可動シェード4、ストッパ部材5、ソレノイド6、コイルスプリング7の組立斜視図である。図2および図6に示すように、まず、ストッパ部材5の係止突起部5cをソレノイド6の係止穴6fに挿入することで、ストッパ部材5は、ソレノイド6の上部に係止される。次に、ソレノイド6のプランジャ6aの外周にコイルスプリング7を配置する。このとき、コイルスプリング7の先端部7bをソレノイド6のソレノイド側取付穴6gに挿入する。
【0026】
次に、コイルスプリング7をソレノイド6側へ押圧しながら、プランジャ6aの軸に直交する上方から弾性係合部Pcを連結溝6dに圧入し、可動シェード4をプランジャ6aに連結する。これにより、可動シェード4は、3つの当接片4gが連結溝6dの外周部に3点で当接し、連結片4eと連結溝6dとの間には軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもってプランジャ6aと連結される。このとき、可動シェード4は、2つの突出部4dが、ストッパ部材5の突起部5a,5b内に位置するようにしてストッパ部材5の上部に配置し、ステー4bの可動シェード側取付穴4kにコイルスプリング7の先端部7aを挿入する。以上により、可動シェード4とストッパ部材5とソレノイド6とコイルスプリング7を組み立て、ソレノイド6をハウジング8に固定することで、可動シェード4を光源2や固定シェード13に対して所定の位置に配置したヘッドランプ1が容易に組み立てられる。
【0027】
次に、本発明にかかるヘッドランプ1の動作について説明する。図7は、ヘッドランプ1の動作説明図であり、図7(a)は可動シェードがロービーム位置の状態の平面図、図7(b)は可動シェードがロービーム位置の状態の平面図を示す図である。また、図8は、この発明にかかるヘッドランプ1の配光パターンを示す図であり、同図(a)はすれ違い用の配光パターン、同図(b)は走行用の配光パターンを示す図である。ここで、同図に示す配光パターンは、ヘッドランプ1から10m先のスクリーンに投影されたものであり、HL−HRはスクリーンの左右の水平線、VU−VDはスクリーンの上下の垂直線を示すものである。
【0028】
可動シェード4は、ソレノイド6のコイル6bに通電されていない状態では、ストッパ機構であるステー4bの2つロービーム側当接面4jとストッパ部材5の2つのロービーム側突起部5bが当接することで、図1および図6に示すように、ロービーム位置に停止している。ここで、コイルスプリング7はステー4bとソレノイド6との間に付勢された状態で取り付けられているため、ロービーム側当接面4jはロービーム側突起部5bに押し付けられた状態で当接している。従って、ステー4bはその長手方向のいずれにも移動せず、またロービーム側当接面4jとロービーム側突起部5bがハの字状であるため、その幅方向のいずれにも移動しないので、自動車の振動などにより可動シェード4がロービーム位置からずれることはない。
【0029】
また、光源2は、図1に示すバラスト12に電力を供給することで点灯される。点灯された光源2からの光は、その一部がロービーム位置に停止している可動シェード4の本体4aにより遮光される。遮光されない光源2からの光は、図1に示すように、リフレクタ3の第1反射面3aに照射光L1として照射される。第1反射面は、照射光L1に基づく反射光L11を前方に照射する。このため、ヘッドランプ1では、反射光L11により、図8(a)に示すような所定のすれ違い用の配光パターンLPが得られる。配光パターンLPは、眩惑光を制限するように、明暗境界線LP1を有し、明暗境界線LP1は対向車に眩惑光を与えないための水平線部分LP2と左側路肩歩行者に眩惑光を与えずに且つ左側路肩歩行者を視認できるための緩傾斜線部分LP3とから構成されている。
【0030】
次に、ソレノイド6のコイル6bに通電すると、コイルから発生する磁力によりプランジャ6aが、図5(a)の矢印B方向に移動する。即ち、ソレノイド6にプランジャ6aを吸引する吸引力が発生し、プランジャ6aに固定された可動シェード4が図1に矢印Aで示す方向に移動し、プランジャ6aが図5(b)に示す位置に切り替わる。これにより、可動シェード4とソレノイド6との間に取り付けられたコイルスプリング7が、図7(a)に示す状態から図7(b)に示すように軸方向に圧縮され、弾性力が発生する。このときのコイルスプリング7の弾性力は、ソレノイド6の吸引力を減衰する方向に作用する。
【0031】
図9は、ソレノイドに発生する力およびコイルスプリングに発生する力とプランジャのストロークとの関係を示す図である。ここで、同図に示すストローク量は、ソレノイド6のプランジャ6aが吸引される方向を+とする。同図に示すように、ソレノイド6の吸引力(同図では、点線)は、プランジャ6aのストローク量に比例して増加する。一方、コイルスプリング7の弾性力(同図では、実線)は、このコイルスプリング7が円錐台形状をしているため、プランジャ6aがソレノイド6内に吸引され初めには、緩やかに増加する。つまり、同図の矢印Cに示すように、ソレノイド6の吸引力とコイルスプリング7の弾性力との差は、ソレノイド6の吸引力と円筒状のコイルスプリング7の弾発力(同図では、二点鎖線)との差と比較して緩やかに縮まる。従って、コイルスプリング7の弾性力がソレノイド6の吸引力をあまり減衰させないように作用するので、プランジャ6aに取り付けられた可動シェード4はロービーム位置からハイビーム位置へと移動しやすくなる。
【0032】
また、コイルスプリング7の弾性力は、プランジャ6aがソレノイド6内に吸引され終わりには、急激に増加する。つまり、同図の矢印Dに示すように、ソレノイド6の吸引力とコイルスプリング7の弾性力との差は、ソレノイド6の吸引力と円筒状のコイルスプリングの弾発力との差と比較して急激に縮まる。従って、コイルスプリング7の弾性力がソレノイド6の吸引力を急激に減衰させるように作用するので、プランジャ6aに取り付けられた可動シェード4がロービーム位置からハイビーム位置に近づくにつれて、可動シェード4の移動速度が低下する。移動速度が低下した状態でストッパ機構であるステー4bの2つのハイビーム側当接面4hとストッパ部材5の2つのハイビーム側突起部5aが当接する。これにより、ハイビーム側当接面4hがハイビーム側突起部5aに当接する際の当接音の減少を図ることができる。
【0033】
ここで、ソレノイド6のコイル6bに通電し続けることで、ステー4bのハイビーム側当接面4hがストッパ部材5のハイビーム側突起部5aに押し付けられ当接した状態を維持でき、可動シェード4はハイビーム位置に停止する。従って、ステー4bはその長手方向のいずれにも移動せず、またハイビーム側当接面4hとハイビーム側突起部5aがハの字状であるため、その幅方向のいずれにも移動しないので、自動車の振動などにより可動シェード4がハイビーム位置からずれることはない。このとき、可動シェード4がロービーム位置の状態のときに、本体4aにより遮光されていた光源2からの光は、リフレクタ3の第2反射面3bに照射光L2として照射される。第2反射面3bは、照射光L2により反射光L21を前方に照射する。このため、ヘッドランプ1では、反射光L21および反射光L11により、図8(b)に示すような所定の走行用の配光パターンHPが得られる。配光パターンHPは、最大光度値や最大光度帯が考慮されたパターンであり、その中央部分にホットゾーンHZ(最大光度点を含む最大光度帯)が形成される。
【0034】
そして、ソレノイド6のコイル6bに通電を停止すると、軸方向に縮んだコイルスプリング7の弾性力により、可動シェード4が元の位置に押し戻され、可動シェード4がロービーム位置に復帰する。このとき、ソレノイド6には、図9に示すように、プランジャ6aの位置を保持する保持力(同図では、一点鎖線)が発生する。ソレノイド6のこの保持力は、コイルスプリング7の弾性力を減衰するように作用するので、プランジャ6aに取り付けられた可動シェード4がハイビーム位置からロービーム位置に近づくにつれて、可動シェード4の移動速度が低下する。このため、ストッパ機構であるステー4bの2つのロービーム側当接面4jとストッパ部材5の2つのロービーム側突起部5bは、移動速度が低下した状態で当接する。
【0035】
この状態を更に詳細に観察すると、ロービーム側当接面4jとロービーム側突起部5bが当接した後、可動シェード4の弾性係合部Pcからこの当接に伴う振動がプランジャ6aへと伝わって来る。しかし、弾性係合部Pcは、軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもってプランジャ6aと連結されている。このため、振動レベル(dB)について見ると、図10(a)に示すように、プランジャ6aの振動(図中、矢印P)は、この隙間に相当する分だけ、可動シェード4の振動(図中、矢印S)に対して位相がずれる。この結果、ヘッドランプ1においては、ハイビーム位置からロービーム位置に切り替えたときに、可動シェード4の振動とプランジャ6aの振動とが合成され、図10(a)に太線で示すような振動が生じる。このとき、連結片4eは、弾性係合部Pcが形成されておらず、ボルト,リベット或いはスポット溶接等によってプランジャ6aの先端に軸方向に隙間がないように取り付けられている場合、ハイビーム位置からロービーム位置に切り替えると、図10(b)に示すような振動が生じる。このように、弾性係合部Pcを軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもってプランジャ6aと連結すると、ボルト,リベット等の締結具を用いない分だけプランジャ6aの重量が軽量化されて最大の振動レベルが図10(a)に矢印Eで示す分だけ低減され、ロービーム側当接面4jがロービーム側突起部5bに当接する際の作動音を抑制することができる。
【0036】
以上により、ヘッドランプ1においては、可動シェード4は、図1に示すように、ロービーム位置とハイビーム位置のいずれにもその姿勢を切り替えることができる。これにより、可動側である可動シェード4のハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jがそれぞれ固定側であるストッパ部材のハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bに当接する際に、この可動側がゆっくりと固定側に当接すると共に、プランジャ6aの振動と可動シェード4の振動(図中、矢印S)との位相がずれ、合成された振動の振動レベルが低減されることとなる。このため、ヘッドランプ1においては、可動シェード4の姿勢を切り替える際の作動音を抑制することができる。また、ヘッドランプ1においては、コイルスプリング7が緩衝部材としての機能を有するので、可動側と固定側との間に新たに緩衝部材を設ける必要がなくなり、ソレノイド6のコンパクト化、ヘッドランプの組み立て時間や製造コストの減少を図ることができる。
【0037】
しかも、上記実施形態では、ボルト,リベット或いはリテーナ等を用いることなく、可動シェード4とソレノイド6のプランジャ6aと連結しているため、ヘッドランプ1の組立てが容易で、この分ソレノイド6が駆動すべき重量が軽減される。このため、この軽量化によっても作動音が抑制されるうえ、可動シェード4の切替速度を早くでき、また、駆動源としてのソレノイド6を小容量化することができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、可動シェード4の駆動手段としてプル式のソレノイドを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、プッシュ式のソレノイドを用いても良い。この場合は、プランジャ6aが押し出された際に、このプランジャ6aが押し出される方向にコイルスプリング7が縮むように、コイルスプリング7を可動シェード4と別途設けた固定部材(例えば、ハウジング8)との間に取り付ければ良い。
【0039】
また、本発明では、ハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jは、ステー4bの幅方向に対して傾斜角を有し、且つハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bは、ハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jと平行に設けられているが、可動シェード4がその姿勢の切り替え時において、ステー4bの幅方向にずれる恐れがない場合は、上記ハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4j、ハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bをステー4bの幅方向と平行に設けても良い。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、可動シェードとソレノイドのプランジャとを、連結手段を介して連結し、相互に連結されている前記可動シェードと前記ソレノイドとの間に、前記プランジャの軸方向に隙間が設けられているように構成したので、組立てが容易で、可動シェードの姿勢を切り替える際の作動音を抑制することができる車両用灯具を提供することができる。
【0041】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記連結手段は、前記プランジャに設けられ、前記プランジャの外周に周方向に沿って形成された連結溝を有する連結部と、前記可動シェードに設けられ、前記プランジャの連結部にプランジャの軸方向に隙間があり、かつ、前記プランジャの径方向に隙間なく弾性係合する弾性係合部とからなり、可動シェードとソレノイドとが直接連結されるので、車両用灯具は、部品点数の低減を図ることができる。
【0042】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記弾性係合部は、前記プランジャの連結溝にプランジャの軸に直交する方向から圧入され、前記プランジャと複数の点で当接する当接片を有し、可動シェードは、弾性係合部をプランジャの連結溝にプランジャの軸に直交する方向から圧入するだけでプランジャと連結できるので、車両用灯具を容易に組み立てることができる。
【0043】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記連結部は、前記連結溝の一側面がテーパ面に形成されているので、プランジャと可動シェードは、連結したときに、連結部と弾性係合部との間に軸方向の隙間が確実に形成され、かつ、プランジャの径方向のがたつきを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるヘッドランプの概略構成例を示す図である。
【図2】可動シェード、ストッパ部材、ソレノイド、コイルスプリングの斜視図である。
【図3】可動シェードの弾性係合部を拡大して示す正面図である。
【図4】プランジャの連結部を拡大して示す側面図である。
【図5】ソレノイドの要部断面図であり、同図(a)はコイルに通電していない状態、同図(b)はコイルに通電している状態を示す図である。
【図6】可動シェード、ストッパ部材、ソレノイド、コイルスプリングの組立斜視図である。
【図7】この発明にかかるヘッドランプの動作説明図であり、同図(a)は可動シェードがロービーム位置の状態の平面図、同図(b)は可動シェードがハイビーム位置の状態の平面図である。
【図8】この発明にかかるヘッドランプの配光パターンを示す図であり、同図(a)はすれ違い用の配光パターン、同図(b)は走行用の配光パターンを示す図である。
【図9】ソレノイドに発生する力およびコイルスプリングに発生する力とプランジャのストロークとの関係を示す図である。
【図10】同図(a)は可動シェードの振動、ソレノイドのプランジャの振動、両振動が合成された振動を示す図で、同図(b)は可動シェードとソレノイドのプランジャとが隙間なく連結されている場合における振動を示す図である。
【符号の説明】
1 ヘッドランプ
2 光源
3 リフレクタ
3a 第1反射面
3b 第2反射面
4 可動シェード
4a 本体
4b ステー
4d 突出部
4e 連結片
4f スリット
4g 当接片
4h ハイビーム側当接面
4j ロービーム側当接面
5 ストッパ部材
5a ハイビーム側突起部
5b ロービーム側突起部
6 ソレノイド
6a プランジャ
6d 連結溝
6e テーパ面
7 コイルスプリング
8 ハウジング
9 レンズ
10 インナーパネル
11 コネクタ
12 バラスト
13 固定シェード
J 連結部
Pc 弾性係合部
【発明の属する技術分野】
この発明は、可動シェードの姿勢を切り替えることにより、1個の光源ですれ違い時における配光パターンや走行時における配光パターン等の複数の配光パターンを得る車両用灯具に関し、更に詳しくは、ソレノイドのプランジャと可動シェードとの連結構造に特徴を有する車両用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗用車などの自動車に搭載され、一つの光源(メタルハイドランプ等の高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)などの放電灯)からの光をすれ違い用の配光パターンと走行用の配光パターンに形成するヘッドランプが提案されている(例えば、特許文献1)。この種のヘッドランプは、1つの光源(7)と、この光源(7)からの光を反射することで、すれ違い用の配光パターンと走行用の配光パターンのそれぞれを得るリフレクタ(5)、リフレクタ(5)に光源(7)からの光が照射される範囲を切り替える可動シェード(11)と、この可動シェード(11)の姿勢を切り替える、すなわちすれ違い用の配光パターンを得るロービーム位置と走行用の配光パターンを得るハイビーム位置のいずれかに移動させるソレノイド(8)およびスプリング(20)と、を備えるものである。
【0003】
上記従来のヘッドランプの動作は、まず光源(7)を点灯すると、光源(7)からの光は、リフレクタ(5)に照射される。このとき、光源(7)からの光は可動シェード(11)の姿勢をロービーム位置あるいはハイビーム位置に切り替えることにより、リフレクタ(5)に照射される範囲が切り替えられる。従って、可動シェード(11)がロービーム位置の場合は、リフレクタ(5)に照射された光源(7)からの光が、リフレクタ(5)を介してすれ違い用の配光パターンを形成する。一方、ソレノイド(8)に通電することにより、可動シェード(11)がロービーム位置からハイビーム位置に移動した場合は、リフレクタ(5)に照射された光源(7)からの光が、リフレクタ(5)を介して走行用の配光パターンを形成する。なお、可動シェード(11)がハイビーム位置において、ソレノイド(8)の通電を遮断するとソレノイドの吸引力がなくなり、可動シェード(11)はスプリング(20)の弾性力により、ロービーム位置に復帰することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−133914号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のヘッドランプは、ソレノイド(8)のプランジャ(9)と可動シェード(11)とがリテーナ(16)を介して連結されている。このため、従来のヘッドランプは、組立て作業に手間が掛かるうえ、可動シェード(11)の姿勢を切り替えるためには、リテーナ(16)と共に可動シェード(11)を動かす必要があり、大きなパワーが必要なことから、プランジャ(9)の重量やサイズが大きくなってしまうという問題があった。しかも、この場合、ヘッドランプにおいては、可動シェード(11)やリテーナ(16)を駆動する際の駆動エネルギーが大きくなることから、不快な作動音を生じ、室内の静粛性を重視する自動車においてはこのような作動音を極力抑制することが求められていた。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点に鑑みてなされたもので、組立てが容易で、可動シェードの姿勢を切り替える際の作動音を抑制することができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明では、可動シェードの姿勢をソレノイドによって切り替えて光源からの光を複数の配光パターンに切り替える車両用灯具において、前記可動シェードと前記ソレノイドのプランジャとは、連結手段を介して連結されており、相互に連結されている前記可動シェードと前記ソレノイドとの間には、前記プランジャの軸方向に隙間が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、可動シェードの姿勢を切り替えるときに、可動シェードの振動とソレノイドにおけるプランジャの振動との位相がずれる結果、両振動を合成したときの振動レベルが低減される。
【0009】
ここで、本明細書において、プランジャの連結部と可動シェードの弾性係合部との間にプランジャの軸方向に形成される隙間とは、車両用灯具の複数の配光パターンに振動による影響を与えない程度の隙間をいうものとする。
【0010】
また、この発明では、請求項1に記載の車両用灯具において、前記連結手段は、前記プランジャに設けられ、前記プランジャの外周に周方向に沿って形成された連結溝を有する連結部と、前記可動シェードに設けられ、前記プランジャの連結部にプランジャの軸方向に隙間があり、かつ、前記プランジャの径方向に隙間なく弾性係合する弾性係合部と、からなることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、可動シェードとソレノイドとが直接連結されるので、部品点数が低減される。
【0012】
また、この発明では、請求項1又は請求項2に記載の車両用灯具において、前記弾性係合部は、前記プランジャの連結溝にプランジャの軸に直交する方向から圧入され、前記プランジャと複数の点で当接する当接片を有することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、可動シェードは、弾性係合部をプランジャの連結溝にプランジャの軸に直交する方向から圧入するだけでプランジャと連結できるので、車両用灯具の組立てが容易になる。
【0014】
また、この発明では、請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用灯具において、前記連結部は、前記連結溝の一側面がテーパ面に形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、プランジャと可動シェードは、連結したときに、連結部と弾性係合部との間に軸方向の隙間が確実に形成され、かつ、プランジャの径方向のがたつきを確実に防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
図1はこの発明にかかるヘッドランプの概略構成例を示す図、図2は可動シェード、ストッパ部材、ソレノイド、コイルスプリングの斜視図である。ここで、本実施形態においては、左側通行区分の自動車用のヘッドランプについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、右側通行区分の自動車用のヘッドランプについても用いることができ、この場合はその構造が左右逆となる。同図に示すように、ヘッドランプ1は、少なくとも光源2と、リフレクタ3と、可動シェード4と、ストッパ部材5と、ソレノイド6と、コイルスプリング7とを備えている。なお、8はハウジング、9はハウジング8内の保護を兼ねたレンズ、10はインナーパネルである。
【0018】
光源2は、例えばメタルハイドランプ等の高圧金属蒸気放電灯、高輝度放電灯(HID)などの放電灯であり、リフレクタ3に着脱可能に取り付けられている。また、光源2は、リフレクタ3に取り付けることにより、リフレクタ3に対して所定の位置となるように配置される。また、光源2は、コネクタ11が着脱可能に接続されており、コネクタ11は後述するバラスト12からの電力を光源2に供給するものである。ここで、12は、光源2である放電灯の始動に必要な高電圧を供給し、且つ放電灯の点灯時には安定した電圧を供給するバラストである。
【0019】
リフレクタ3は、その内凹面がアルミ蒸着あるいは銀塗装などが施されており、回転放物面を基準に変形させた自由曲面で構成される反射面を有する。この反射面は、光源2から光を後述する所定のすれ違い用の配光パターンに形成する第1反射面3aと光源2から光を後述する所定の走行用の配光パターンに形成する第2反射面3bが設けられている。なお、3cは可動シェード4やソレノイド6などをヘッドランプ1の前方から視認できないようにするエクステンションであり、リフレクタ3と一体に成形されている。なお、エクステンション3cは、リフレクタ3とは、別個に設けて良い。また、リフレクタ3は、図示しない光軸調整手段を介してハウジング8に取り付けられている。
【0020】
ここで、エクステンション3cには、図1に示すように、前方側が閉塞し且つ後方側が開口したSUSなどの薄鋼板からなる筒状の固定シェード13がスクリューなどの固定手段により取り付けられている。固定シェード13は、エクステンション3cに取り付けられることで、光源2の前方に配置され、光源2からの光のうち第1反射面3aおよび第2反射面3bに照射される照射光以外の前方に直接照射される直射光を遮光するものである。
【0021】
可動シェード4は、図2に示すように、SUSなどの薄鋼板からなる本体4a、ステー4b及び連結片4eを備えている。本体4aは、略円筒形状であり、その外径は上記固定シェード13の内径よりも小さく、その内径は光源2と接触しない大きさとなっている。また、本体4aには、ステー4bに取り付けるための脚部4cが設けられている。一方、ステー4bは、その長手方向の前方側(図2では、左上側)に、幅方向に突出する突出部4dが2箇所設けられ、突出部4dに本体4aの脚部4cが取り付けられている。また、ステー4bの長手方向の後方側(図2では、右下側)は、その一部を垂直方向に折り曲げて連結片4eが形成されている。連結片4eは、可動シェード4を後述するソレノイド6のプランジャ6aに連結する弾性係合部Pcが下部に設けられている。弾性係合部Pcは、図3に示すように、中央に後述する連結溝6dに挿通されるスリット4fが設けられ、スリット4fの上部には連結溝6dの外周部に当接する3つの当接片4gが突設されてE形止め輪状に形成されている。弾性係合部Pcは、プランジャ6aの軸に直交する方向から後述する連結溝6dに圧入され、連結片4eと連結溝6dとの間にはプランジャ6aの軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもって連結される。また、突出部4dは、ステー4bの長手方向の前方側および後方側のそれぞれにステー4bの幅方向に対して傾斜角(例えば、45度)を有する2つのハイビーム側当接面4h、2つのロービーム側当接面4jが設けられている。つまり、ハイビーム側当接面4hとロービーム側当接面4jは、ステー4bにハの字状に設けられている。なお、4kは、後述するコイルスプリング7を可動シェード4とソレノイド6との間に取り付けるための可動シェード側取付穴である。ここで、可動シェード4は、脚部4cにより本体4aをステー4bに取り付けているが、本体4aおよびステー4bを一体に成形しても良い。
【0022】
ストッパ部材5は、図2に示すように、SUSなどの薄鋼板からなる長方形状であり、その四隅にステー4bの突出部4dのハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jにそれぞれ平行なハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bが上方に突設されている。つまり、ハイビーム側突起部5aとロービーム側突起部5bは、ストッパ部材5にハの字状に設けられている。また、ストッパ部材5の一部が鉛直方向に折り曲げられており、その折り曲げられたストッパ部材5の一部に後述するソレノイド6の係止穴6fに対応するように2つの係止突起部5cが設けられている。ここで、ストッパ部材5の長手方向の長さh2は、可動シェード4がロービーム位置からハイビーム位置まで移動する距離、すなわちソレノイド6のプランジャ6aのストローク量と可動シェード4の突出部4dの長手方向の長さh1を合わせた長さとなっている。なお、ハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bは、弾性を有することが好ましい。これにより、ステー4bのハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jがそれぞれハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bに当接する際の当接音を減少することができるからである。
【0023】
図5は、ソレノイド6の要部断面図であり、同図(a)はコイルに通電していない状態、同図(b)はコイルに通電している状態を示す図である。ソレノイド6は、プル式ソレノイドであり、図2および図5(a)に示すように、プランジャ6a、コイル6b、ヨーク6cを備えている。プランジャ6aは、図2および図4に示すように、円柱形状であり、その先端近傍に可動シェード4の連結片4eを連結する連結部Jが設けられている。連結部Jは、外周に周方向に沿って全周に亘って連結溝6dが形成され、ヨーク6c側の一側面がテーパ面6eに成形されている。ここで、連結溝6dは、プランジャ6aの軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもって連結片4eを連結することができれば、周方向に沿って独立して形成され、3つの当接片4gのそれぞれが個々に嵌合する3つの連結溝6dとしてもよい。コイル6bは、ヨーク6c内にプランジャ6aを取り囲むように設けられている。ソレノイド6は、コイル6bに通電することにより、プランジャ6aがコイル6bの磁力により同図(a)に示す矢印B方向に移動する。このときのプランジャ6aのストローク量は、可動シェード4がロービーム位置とハイビーム位置との間を移動できる長さに設定されている。なお、ソレノイド6にはストッパ部材5の係止突起部5cに対応する位置に2つの係止穴6fが設けられている。また、6gは、後述するコイルスプリング7をソレノイド6と可動シェード4との間に取り付けるためのソレノイド側取付穴である。また、図示は省略するが、ソレノイド6はハウジング8に取り付けられている。
【0024】
コイルスプリング7は、図2に示すように、弾性を有する線材を円錐台形状に巻いたものである。コイルスプリング7には、それぞれステー4bの可動シェード側取付穴4kおよびソレノイド6のソレノイド側取付穴6gに挿入される先端部7a,7bが設けられている。ここで、コイルスプリング7は、軸方向の長さがソレノイド6におけるプランジャ6aのストローク量よりも若干長めに設定されている。これは、コイルスプリング7を可動シェード4とソレノイド6との間に付勢した状態で取り付けるためである。なお、コイルスプリング7は、コイルスプリング7が縮んだ際に線材が互いに接触しないように線材が円錐台形状に巻かれていることが好ましい。これにより、コイルスプリング7が縮んだ際にその軸方向の長さが円筒状のコイルスプリングと比較して小さくなり、ソレノイド6のプランジャ6aの長さを極力プランジャ6aがストロークするのに必要な長さとすることができ、ソレノイド6のコンパクト化を図ることができるからである。
【0025】
次に、可動シェード4、ストッパ部材5、ソレノイド6、コイルスプリング7の組み立てについて説明する。図6は、ロービーム位置における可動シェード4、ストッパ部材5、ソレノイド6、コイルスプリング7の組立斜視図である。図2および図6に示すように、まず、ストッパ部材5の係止突起部5cをソレノイド6の係止穴6fに挿入することで、ストッパ部材5は、ソレノイド6の上部に係止される。次に、ソレノイド6のプランジャ6aの外周にコイルスプリング7を配置する。このとき、コイルスプリング7の先端部7bをソレノイド6のソレノイド側取付穴6gに挿入する。
【0026】
次に、コイルスプリング7をソレノイド6側へ押圧しながら、プランジャ6aの軸に直交する上方から弾性係合部Pcを連結溝6dに圧入し、可動シェード4をプランジャ6aに連結する。これにより、可動シェード4は、3つの当接片4gが連結溝6dの外周部に3点で当接し、連結片4eと連結溝6dとの間には軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもってプランジャ6aと連結される。このとき、可動シェード4は、2つの突出部4dが、ストッパ部材5の突起部5a,5b内に位置するようにしてストッパ部材5の上部に配置し、ステー4bの可動シェード側取付穴4kにコイルスプリング7の先端部7aを挿入する。以上により、可動シェード4とストッパ部材5とソレノイド6とコイルスプリング7を組み立て、ソレノイド6をハウジング8に固定することで、可動シェード4を光源2や固定シェード13に対して所定の位置に配置したヘッドランプ1が容易に組み立てられる。
【0027】
次に、本発明にかかるヘッドランプ1の動作について説明する。図7は、ヘッドランプ1の動作説明図であり、図7(a)は可動シェードがロービーム位置の状態の平面図、図7(b)は可動シェードがロービーム位置の状態の平面図を示す図である。また、図8は、この発明にかかるヘッドランプ1の配光パターンを示す図であり、同図(a)はすれ違い用の配光パターン、同図(b)は走行用の配光パターンを示す図である。ここで、同図に示す配光パターンは、ヘッドランプ1から10m先のスクリーンに投影されたものであり、HL−HRはスクリーンの左右の水平線、VU−VDはスクリーンの上下の垂直線を示すものである。
【0028】
可動シェード4は、ソレノイド6のコイル6bに通電されていない状態では、ストッパ機構であるステー4bの2つロービーム側当接面4jとストッパ部材5の2つのロービーム側突起部5bが当接することで、図1および図6に示すように、ロービーム位置に停止している。ここで、コイルスプリング7はステー4bとソレノイド6との間に付勢された状態で取り付けられているため、ロービーム側当接面4jはロービーム側突起部5bに押し付けられた状態で当接している。従って、ステー4bはその長手方向のいずれにも移動せず、またロービーム側当接面4jとロービーム側突起部5bがハの字状であるため、その幅方向のいずれにも移動しないので、自動車の振動などにより可動シェード4がロービーム位置からずれることはない。
【0029】
また、光源2は、図1に示すバラスト12に電力を供給することで点灯される。点灯された光源2からの光は、その一部がロービーム位置に停止している可動シェード4の本体4aにより遮光される。遮光されない光源2からの光は、図1に示すように、リフレクタ3の第1反射面3aに照射光L1として照射される。第1反射面は、照射光L1に基づく反射光L11を前方に照射する。このため、ヘッドランプ1では、反射光L11により、図8(a)に示すような所定のすれ違い用の配光パターンLPが得られる。配光パターンLPは、眩惑光を制限するように、明暗境界線LP1を有し、明暗境界線LP1は対向車に眩惑光を与えないための水平線部分LP2と左側路肩歩行者に眩惑光を与えずに且つ左側路肩歩行者を視認できるための緩傾斜線部分LP3とから構成されている。
【0030】
次に、ソレノイド6のコイル6bに通電すると、コイルから発生する磁力によりプランジャ6aが、図5(a)の矢印B方向に移動する。即ち、ソレノイド6にプランジャ6aを吸引する吸引力が発生し、プランジャ6aに固定された可動シェード4が図1に矢印Aで示す方向に移動し、プランジャ6aが図5(b)に示す位置に切り替わる。これにより、可動シェード4とソレノイド6との間に取り付けられたコイルスプリング7が、図7(a)に示す状態から図7(b)に示すように軸方向に圧縮され、弾性力が発生する。このときのコイルスプリング7の弾性力は、ソレノイド6の吸引力を減衰する方向に作用する。
【0031】
図9は、ソレノイドに発生する力およびコイルスプリングに発生する力とプランジャのストロークとの関係を示す図である。ここで、同図に示すストローク量は、ソレノイド6のプランジャ6aが吸引される方向を+とする。同図に示すように、ソレノイド6の吸引力(同図では、点線)は、プランジャ6aのストローク量に比例して増加する。一方、コイルスプリング7の弾性力(同図では、実線)は、このコイルスプリング7が円錐台形状をしているため、プランジャ6aがソレノイド6内に吸引され初めには、緩やかに増加する。つまり、同図の矢印Cに示すように、ソレノイド6の吸引力とコイルスプリング7の弾性力との差は、ソレノイド6の吸引力と円筒状のコイルスプリング7の弾発力(同図では、二点鎖線)との差と比較して緩やかに縮まる。従って、コイルスプリング7の弾性力がソレノイド6の吸引力をあまり減衰させないように作用するので、プランジャ6aに取り付けられた可動シェード4はロービーム位置からハイビーム位置へと移動しやすくなる。
【0032】
また、コイルスプリング7の弾性力は、プランジャ6aがソレノイド6内に吸引され終わりには、急激に増加する。つまり、同図の矢印Dに示すように、ソレノイド6の吸引力とコイルスプリング7の弾性力との差は、ソレノイド6の吸引力と円筒状のコイルスプリングの弾発力との差と比較して急激に縮まる。従って、コイルスプリング7の弾性力がソレノイド6の吸引力を急激に減衰させるように作用するので、プランジャ6aに取り付けられた可動シェード4がロービーム位置からハイビーム位置に近づくにつれて、可動シェード4の移動速度が低下する。移動速度が低下した状態でストッパ機構であるステー4bの2つのハイビーム側当接面4hとストッパ部材5の2つのハイビーム側突起部5aが当接する。これにより、ハイビーム側当接面4hがハイビーム側突起部5aに当接する際の当接音の減少を図ることができる。
【0033】
ここで、ソレノイド6のコイル6bに通電し続けることで、ステー4bのハイビーム側当接面4hがストッパ部材5のハイビーム側突起部5aに押し付けられ当接した状態を維持でき、可動シェード4はハイビーム位置に停止する。従って、ステー4bはその長手方向のいずれにも移動せず、またハイビーム側当接面4hとハイビーム側突起部5aがハの字状であるため、その幅方向のいずれにも移動しないので、自動車の振動などにより可動シェード4がハイビーム位置からずれることはない。このとき、可動シェード4がロービーム位置の状態のときに、本体4aにより遮光されていた光源2からの光は、リフレクタ3の第2反射面3bに照射光L2として照射される。第2反射面3bは、照射光L2により反射光L21を前方に照射する。このため、ヘッドランプ1では、反射光L21および反射光L11により、図8(b)に示すような所定の走行用の配光パターンHPが得られる。配光パターンHPは、最大光度値や最大光度帯が考慮されたパターンであり、その中央部分にホットゾーンHZ(最大光度点を含む最大光度帯)が形成される。
【0034】
そして、ソレノイド6のコイル6bに通電を停止すると、軸方向に縮んだコイルスプリング7の弾性力により、可動シェード4が元の位置に押し戻され、可動シェード4がロービーム位置に復帰する。このとき、ソレノイド6には、図9に示すように、プランジャ6aの位置を保持する保持力(同図では、一点鎖線)が発生する。ソレノイド6のこの保持力は、コイルスプリング7の弾性力を減衰するように作用するので、プランジャ6aに取り付けられた可動シェード4がハイビーム位置からロービーム位置に近づくにつれて、可動シェード4の移動速度が低下する。このため、ストッパ機構であるステー4bの2つのロービーム側当接面4jとストッパ部材5の2つのロービーム側突起部5bは、移動速度が低下した状態で当接する。
【0035】
この状態を更に詳細に観察すると、ロービーム側当接面4jとロービーム側突起部5bが当接した後、可動シェード4の弾性係合部Pcからこの当接に伴う振動がプランジャ6aへと伝わって来る。しかし、弾性係合部Pcは、軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもってプランジャ6aと連結されている。このため、振動レベル(dB)について見ると、図10(a)に示すように、プランジャ6aの振動(図中、矢印P)は、この隙間に相当する分だけ、可動シェード4の振動(図中、矢印S)に対して位相がずれる。この結果、ヘッドランプ1においては、ハイビーム位置からロービーム位置に切り替えたときに、可動シェード4の振動とプランジャ6aの振動とが合成され、図10(a)に太線で示すような振動が生じる。このとき、連結片4eは、弾性係合部Pcが形成されておらず、ボルト,リベット或いはスポット溶接等によってプランジャ6aの先端に軸方向に隙間がないように取り付けられている場合、ハイビーム位置からロービーム位置に切り替えると、図10(b)に示すような振動が生じる。このように、弾性係合部Pcを軸方向に0.1〜0.05mmの隙間をもってプランジャ6aと連結すると、ボルト,リベット等の締結具を用いない分だけプランジャ6aの重量が軽量化されて最大の振動レベルが図10(a)に矢印Eで示す分だけ低減され、ロービーム側当接面4jがロービーム側突起部5bに当接する際の作動音を抑制することができる。
【0036】
以上により、ヘッドランプ1においては、可動シェード4は、図1に示すように、ロービーム位置とハイビーム位置のいずれにもその姿勢を切り替えることができる。これにより、可動側である可動シェード4のハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jがそれぞれ固定側であるストッパ部材のハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bに当接する際に、この可動側がゆっくりと固定側に当接すると共に、プランジャ6aの振動と可動シェード4の振動(図中、矢印S)との位相がずれ、合成された振動の振動レベルが低減されることとなる。このため、ヘッドランプ1においては、可動シェード4の姿勢を切り替える際の作動音を抑制することができる。また、ヘッドランプ1においては、コイルスプリング7が緩衝部材としての機能を有するので、可動側と固定側との間に新たに緩衝部材を設ける必要がなくなり、ソレノイド6のコンパクト化、ヘッドランプの組み立て時間や製造コストの減少を図ることができる。
【0037】
しかも、上記実施形態では、ボルト,リベット或いはリテーナ等を用いることなく、可動シェード4とソレノイド6のプランジャ6aと連結しているため、ヘッドランプ1の組立てが容易で、この分ソレノイド6が駆動すべき重量が軽減される。このため、この軽量化によっても作動音が抑制されるうえ、可動シェード4の切替速度を早くでき、また、駆動源としてのソレノイド6を小容量化することができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、可動シェード4の駆動手段としてプル式のソレノイドを用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、プッシュ式のソレノイドを用いても良い。この場合は、プランジャ6aが押し出された際に、このプランジャ6aが押し出される方向にコイルスプリング7が縮むように、コイルスプリング7を可動シェード4と別途設けた固定部材(例えば、ハウジング8)との間に取り付ければ良い。
【0039】
また、本発明では、ハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jは、ステー4bの幅方向に対して傾斜角を有し、且つハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bは、ハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4jと平行に設けられているが、可動シェード4がその姿勢の切り替え時において、ステー4bの幅方向にずれる恐れがない場合は、上記ハイビーム側当接面4h、ロービーム側当接面4j、ハイビーム側突起部5a、ロービーム側突起部5bをステー4bの幅方向と平行に設けても良い。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、可動シェードとソレノイドのプランジャとを、連結手段を介して連結し、相互に連結されている前記可動シェードと前記ソレノイドとの間に、前記プランジャの軸方向に隙間が設けられているように構成したので、組立てが容易で、可動シェードの姿勢を切り替える際の作動音を抑制することができる車両用灯具を提供することができる。
【0041】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記連結手段は、前記プランジャに設けられ、前記プランジャの外周に周方向に沿って形成された連結溝を有する連結部と、前記可動シェードに設けられ、前記プランジャの連結部にプランジャの軸方向に隙間があり、かつ、前記プランジャの径方向に隙間なく弾性係合する弾性係合部とからなり、可動シェードとソレノイドとが直接連結されるので、車両用灯具は、部品点数の低減を図ることができる。
【0042】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記弾性係合部は、前記プランジャの連結溝にプランジャの軸に直交する方向から圧入され、前記プランジャと複数の点で当接する当接片を有し、可動シェードは、弾性係合部をプランジャの連結溝にプランジャの軸に直交する方向から圧入するだけでプランジャと連結できるので、車両用灯具を容易に組み立てることができる。
【0043】
また、請求項4に記載の発明によれば、前記連結部は、前記連結溝の一側面がテーパ面に形成されているので、プランジャと可動シェードは、連結したときに、連結部と弾性係合部との間に軸方向の隙間が確実に形成され、かつ、プランジャの径方向のがたつきを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるヘッドランプの概略構成例を示す図である。
【図2】可動シェード、ストッパ部材、ソレノイド、コイルスプリングの斜視図である。
【図3】可動シェードの弾性係合部を拡大して示す正面図である。
【図4】プランジャの連結部を拡大して示す側面図である。
【図5】ソレノイドの要部断面図であり、同図(a)はコイルに通電していない状態、同図(b)はコイルに通電している状態を示す図である。
【図6】可動シェード、ストッパ部材、ソレノイド、コイルスプリングの組立斜視図である。
【図7】この発明にかかるヘッドランプの動作説明図であり、同図(a)は可動シェードがロービーム位置の状態の平面図、同図(b)は可動シェードがハイビーム位置の状態の平面図である。
【図8】この発明にかかるヘッドランプの配光パターンを示す図であり、同図(a)はすれ違い用の配光パターン、同図(b)は走行用の配光パターンを示す図である。
【図9】ソレノイドに発生する力およびコイルスプリングに発生する力とプランジャのストロークとの関係を示す図である。
【図10】同図(a)は可動シェードの振動、ソレノイドのプランジャの振動、両振動が合成された振動を示す図で、同図(b)は可動シェードとソレノイドのプランジャとが隙間なく連結されている場合における振動を示す図である。
【符号の説明】
1 ヘッドランプ
2 光源
3 リフレクタ
3a 第1反射面
3b 第2反射面
4 可動シェード
4a 本体
4b ステー
4d 突出部
4e 連結片
4f スリット
4g 当接片
4h ハイビーム側当接面
4j ロービーム側当接面
5 ストッパ部材
5a ハイビーム側突起部
5b ロービーム側突起部
6 ソレノイド
6a プランジャ
6d 連結溝
6e テーパ面
7 コイルスプリング
8 ハウジング
9 レンズ
10 インナーパネル
11 コネクタ
12 バラスト
13 固定シェード
J 連結部
Pc 弾性係合部
Claims (4)
- 可動シェードの姿勢をソレノイドによって切り替えて光源からの光を複数の配光パターンに切り替える車両用灯具において、
前記可動シェードと前記ソレノイドのプランジャとは、連結手段を介して連結されており、相互に連結されている前記可動シェードと前記ソレノイドとの間には、前記プランジャの軸方向に隙間が設けられていることを特徴とする車両用灯具。 - 前記連結手段は、前記プランジャに設けられ、前記プランジャの外周に周方向に沿って形成された連結溝を有する連結部と、前記可動シェードに設けられ、前記プランジャの連結部にプランジャの軸方向に隙間があり、かつ、前記プランジャの径方向に隙間なく弾性係合する弾性係合部と、からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
- 前記弾性係合部は、前記プランジャの連結溝にプランジャの軸に直交する方向から圧入され、前記プランジャと複数の点で当接する当接片を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
- 前記連結部は、前記連結溝の一側面がテーパ面に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両用灯具。
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Cited By (2)
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2003
- 2003-06-25 JP JP2003181440A patent/JP2005019153A/ja not_active Abandoned
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JP4627271B2 (ja) * | 2006-02-28 | 2011-02-09 | スタンレー電気株式会社 | 車両用前照灯 |
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